説明

パッケージ搬送システム

【課題】停止位置検知センサの上流側に新たなセンサを設け、当該センサから信号を受けたコンベア駆動制御部が当該信号により搬送コンベアの搬送速度を変速することで、パッケージ回収の作業効率を良くする。
【解決手段】糸巻取りユニットから排出されるパッケージを所定停止位置まで搬送するパッケージ搬送システムであって、パッケージを搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの搬送経路上の減速開始位置から停止位置までの範囲でパッケージの存在を検知する範囲検知センサと、搬送コンベアの駆動を制御するコンベア駆動制御部とを具備し、範囲検知センサがパッケージを検知しない場合はコンベア駆動制御部が搬送コンベアの搬送速度を通常搬送時の速度より加速するように制御し、加速制御を行った後範囲検知センサがパッケージを検知した場合はコンベア駆動制御部が加速した搬送速度を通常搬送時の速度まで減速するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一列に配置される糸巻取りユニットの各々から排出されるパッケージを受け取って、所定の停止位置まで搬送するパッケージ搬送システムであって、糸巻取りユニットの各々を経由して前記停止位置にまで至る搬送経路に沿って、パッケージを搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアの搬送経路上で、糸巻取りユニットの列における最下流位置よりも下流にある減速開始位置から前記停止位置までの範囲内におけるパッケージの存在を検知する範囲検知センサと、搬送コンベアの駆動を制御するコンベア駆動制御部とを具備して、パッケージの搬送効率を向上させるパッケージ搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワインダのような精紡機で生産されたボビンに巻かれた糸をパッケージに巻き取る装置は、多数のボビンをもとに多数のパッケージを生産するため、多数の糸巻取りユニットが列状に設置される。糸巻取りユニットにより生産されたパッケージは、糸巻取りユニットの列に沿って設置された搬送コンベア上へと払い出され、パッケージ回収位置まで搬送コンベアにより搬送される(特許文献1参照)。
【0003】
従来のパッケージ搬送システム200について、図面に基づいて説明する。
図3は、従来のパッケージ搬送システム200の概略平面図である。
【0004】
図3に示すように、パッケージ搬送システム200は、パッケージ1を搬送する搬送コンベア11と、搬送コンベア11から搬送されたパッケージ1を回収するパッケージ回収部12と、パッケージ1の停止位置P0におけるパッケージ1の有無を検知する停止位置検知センサ13と、コンベア駆動制御部14と、からなる。
【0005】
搬送コンベア11は、糸巻取りユニット15の列に沿って配置される。この搬送コンベア11によるパッケージ1の搬送経路は、糸巻取りユニット15の各々を経由して停止位置P0にまで至るように形成されている。そして、搬送コンベア11は、一列に配置される糸巻取りユニット15の各々から払い出されるパッケージ1を受け取って、停止位置P0まで搬送する。
【0006】
パッケージ回収部12は、搬送コンベア11の搬送終端部に配置され、搬送コンベア11より搬送されたパッケージ1を回収する部分である。ここで、パッケージ1は、搬送コンベア11の搬送終端部にある停止位置P0まで搬送される。そして、停止位置P0にパッケージ1が到着すると、搬送コンベア11の駆動が停止されて、このパッケージ1がパッケージ回収部12に回収される。パッケージ回収部12では、作業者が手作業でパッケージ1を回収する場合や回収装置(図示せず)が自動でパッケージ1を回収する場合がある。
【0007】
停止位置検知センサ13は、搬送コンベア11の搬送終端部に配置され、搬送コンベア11の上流から搬送されるパッケージ1がパッケージ回収部12の手前(停止位置P0)に到達したか否かを検知する。停止位置検知センサ13は、コンベア駆動制御部14と繋がれ、パッケージ1を検知すると、検知信号をコンベア駆動制御部14へ送信する。
【0008】
コンベア駆動制御部14は、搬送コンベア11の駆動を制御する制御部である。コンベア駆動制御部14は、停止位置検知センサ13と繋がれ、停止位置検知センサ13から送信される検知信号に応じて、搬送コンベア11の駆動を制御する。つまり、停止位置検知センサ13が停止位置P0でパッケージ1を検知した場合は、コンベア駆動制御部14は搬送コンベア11の駆動を停止させ、停止位置検知センサ13が停止位置P0でパッケージ1を検知しない場合は、コンベア駆動制御部14は搬送コンベア11を駆動する。
【0009】
次に、パッケージ1の搬送方法、及び搬送コンベア11の制御について、図3に基づいて説明する。
【0010】
糸巻取りユニット15により満玉になったパッケージ1は、玉揚げ装置16で玉揚げされ、搬送コンベア11へ送られる。送られたパッケージ1は、通常搬送時の一定の搬送速度で搬送コンベア11により停止位置P0へ搬送される。ここで、通常搬送時の速度とは、搬送コンベア11をその搬送速度から急停止させても、パッケージ1の姿勢が崩れない程度の速度を言う。
【0011】
停止位置検知センサ13が、搬送されてくるパッケージ1を検知すると、停止位置検知センサ13は、検知信号をコンベア駆動制御部14へ送信する。検知信号を受信したコンベア駆動制御部14は、搬送コンベア11の駆動を停止させるように制御する。これにより、パッケージ1は、停止位置P0で停止する。停止したパッケージ1をパッケージ回収装置(図示せず)又は作業者によりパッケージ回収部12で回収し、回収後、停止位置P0でパッケージ1が検知されない状態となると、再び搬送コンベア11が駆動し、上記動作を繰り返す。
【特許文献1】特開平7−33332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
パッケージ搬送システム200は、停止位置検知センサ13の検知の有無により、搬送コンベア11の駆動及び停止を行うのみである。このため、図3に示すように、パッケージの停止位置P0と、糸巻取りユニット15の列における最下流位置P1との間Pにパッケージがない場合であっても、次に停止位置検知センサ13がパッケージ1を検知するまでは、搬送コンベア11は搬送速度を加速することなく、通常搬送時の搬送速度で一定に搬送し続ける。
【0013】
しかしながら、停止位置P0で急停止させる構成上、停止時にパッケージ1の姿勢が崩れる不具合を防止するためには、通常搬送時の搬送速度をある一定の搬送速度より高速にすることはできなかった。従って、パッケージ1が停止位置P0に搬送されるまで、長時間パッケージの回収を待たなくてはならず、作業効率が悪いという問題があった。
【0014】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、停止位置に到達する時のパッケージの搬送速度を高めることなく、糸巻取りユニットの列における最下流位置から停止位置に到達する間にパッケージの搬送速度を高めることで、パッケージ回収の作業効率が良いパッケージ搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0016】
即ち、請求項1においては、一列に配置される糸巻取りユニットの各々から排出されるパッケージを受け取って、所定の停止位置まで搬送するパッケージ搬送システムであって、
前記糸巻取りユニットの各々を経由して前記停止位置にまで至る搬送経路に沿って、前記パッケージを搬送する搬送コンベアと、前記搬送コンベアの搬送経路上で、前記糸巻取りユニットの列における最下流位置と前記停止位置との間にある減速開始位置から前記停止位置までの範囲内における前記パッケージの存在を検知する範囲検知センサと、前記搬送コンベアの駆動を制御するコンベア駆動制御部と、を具備し、前記範囲検知センサが前記パッケージを検知しない場合には前記コンベア駆動制御部が前記搬送コンベアの搬送速度を通常搬送時の速度より加速するように制御し、前記加速制御を行った後、前記範囲検知センサが前記パッケージを検知した場合には前記コンベア駆動制御部が前記加速した搬送速度を前記通常搬送時の速度まで減速するように制御するものである。
【0017】
ここで、搬送コンベアの通常搬送時の搬送速度とは、搬送コンベアをその搬送速度から急停止させても、パッケージの姿勢が崩れない程度の速度を言う。
【0018】
以上構成により、以下の作用がある。
糸巻取りユニットの列における最下流位置と停止位置との間にある減速開始位置から停止位置までの範囲内にパッケージが存在する場合には、通常搬送時の速度でパッケージが搬送され、この範囲内にパッケージが存在しない場合には、加速した搬送速度でパッケージが搬送される。
【0019】
請求項2においては、請求項1記載のパッケージ搬送システムであって、前記範囲検知センサは、前記減速開始位置におけるパッケージの存在を検知する減速開始位置検知センサと、前記減速開始位置検知センサが前記パッケージを検知しない非検知時間が、前記パッケージが前記減速開始位置から前記停止位置まで前記通常搬送時の速度で搬送されるのに要する一定時間を超えたか否かを判断する判断手段と、から構成されるものである。
【0020】
以上構成により、請求項1と同様の作用が得られる。
【0021】
請求項3においては、請求項1又は2記載のパッケージ搬送システムであって、前記停止位置における前記パッケージの存在を検知する停止位置検知センサを備え、前記コンベア駆動制御部は、前記停止位置検知センサが前記パッケージを検知した場合に、前記搬送コンベアの駆動を停止させるように制御するものである。
【0022】
以上構成により、以下の作用がある。
パッケージが搬送コンベアの停止位置で停止する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
請求項1においては、前記減速開始位置から前記停止位置までの範囲内にパッケージがあるときには搬送速度が通常搬送時の速度に保たれ、この範囲内にパッケージがないときには搬送速度が前記加速した搬送速度となる。この範囲が、パッケージの減速区間として確保されており、この減速区間でパッケージの搬送速度の減速が可能となっている。このため、パッケージを停止位置で停止させる時に、パッケージの搬送速度を高めることなく、前記減速開始位置から停止位置に到達する間のパッケージの搬送速度を高めることができる。従って、パッケージ回収の作業効率が良いパッケージ搬送システムを提供することができる。
【0025】
請求項2においては、請求項1記載のパッケージ搬送システムと同様の効果が得られるとともに、パッケージの検知範囲が狭いパッケージ検知センサが使用できるため、パッケージ検知センサの設置台数、設置場所、設置コストを削減できる。
【0026】
請求項3においては、搬送コンベアの搬送終端からパッケージを搬送コンベアの軌道外へ落とすことなく、パッケージをパッケージ回収部において確実に回収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係るパッケージ搬送システム100について図1に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るパッケージ搬送システム100(通常搬送時)の平面図である。
【0028】
図1に示すように、パッケージ搬送システム100は、搬送コンベア11と、パッケージ回収部12と、停止位置検知センサ13と、コンベア駆動制御部14と、減速開始位置検知センサ20と、判断手段21と、からなる。また、減速開始位置検知センサ20及び判断手段21は、範囲検知センサ22を構成している。
【0029】
搬送コンベア11、パッケージ回収部12、及び停止位置検知センサ13は、従来のパッケージ搬送システム200と同様である。従って、これらの装置に関する説明は、以下では省略する。
【0030】
コンベア駆動制御部14は、搬送コンベア11の駆動を制御する制御部である。コンベア駆動制御部14は、停止位置検知センサ13、及び判断手段21を介して減速開始位置検知センサ20と繋がれ、停止位置検知センサ13から送信される検知信号、及び減速開始位置検知センサ20の検知信号を元に判断手段21から送信される判断結果に応じて、搬送コンベア11の駆動を制御する。
【0031】
パッケージ1が搬送コンベア11へ払い出されるタイミングは常に一定ではないため、搬送コンベア11上でのパッケージ1同士の間隔も常に一定ではない。従って、停止位置P0からパッケージ1までの距離が離れる場合が生じる。一方、従来においては、搬送コンベア11は、停止位置P0からパッケージ1までの距離の長短に関わらず、一定の搬送速度でパッケージ1を搬送する。このときの搬送速度を通常搬送時の速度とする。ここで、通常搬送時の速度とは、その搬送速度から搬送コンベア11を急停止させても、パッケージ1の姿勢が崩れない程度の速度を言う。
【0032】
停止位置P0からパッケージ1までの距離が離れている場合、パッケージ1が停止位置P0まで搬送されるまでに時間がかかり、その間パッケージ1の回収を待たなくてはならないため、搬送効率が悪くなる。従って、停止位置P0からパッケージ1までの距離が離れている場合には、コンベア駆動制御部14は搬送コンベア11の搬送速度を加速するように制御する。
【0033】
ここで、搬送コンベア11の搬送速度を、通常搬送時の搬送速度よりも速くすることで、
パッケージ1が効率良く停止位置P0に搬送されるため、搬送効率は向上するが、搬送コンベア11の搬送速度を高速にした状態でパッケージ1を停止位置P0で急停止させると、パッケージ1の姿勢が崩れ、パッケージの品質を低下させるという問題点もある。従って、搬送効率を向上させるために、搬送コンベア11の搬送速度を速めつつも、パッケージ1の姿勢を崩さずに停止位置P0で急停止を可能とするために、停止位置P0の手前で減速を開始する必要がある。そこで、パッケージ1の搬送速度を減速させる位置として減速開始位置P2を定め、減速開始位置P2に対応して減速開始位置検知センサ20を設けた。
それにより、減速開始位置検知センサ20が減速開始位置P2でパッケージ1を検知し、検知信号をコンベア駆動制御部14へ送信する。そして、コンベア駆動制御部14は、その検知信号に基づいて、搬送コンベア11の搬送速度を減速するように制御する。
【0034】
減速開始位置P2は、糸巻取りユニット15の列における最下流位置P1より下流側で、且つ停止位置P0の上流側に位置する。この減速開始位置P2は、パッケージ1が減速開始位置P2を通過してから停止位置P0に到達するまでに、コンベア駆動制御部14が搬送コンベア11の搬送速度を加速するように制御した際の搬送速度(以下「高速速度」と称す)から搬送コンベア11の通常搬送時の搬送速度まで減速できる位置として、停止位置P0を基準として定めたものである。
【0035】
従って、停止位置P0から減速開始位置P2までの距離Kは、搬送コンベア11の搬送速度により決まり、高速速度で搬送されるパッケージ1が、通常搬送時の搬送速度まで減速するための減速区間の距離となる。
【0036】
範囲検知センサ22は、減速区間である距離K内に、パッケージ1があるか否かを検知する。この範囲検知センサ22は、減速開始位置検知センサ20と、判断手段21とから、構成されている。
【0037】
減速開始位置検知センサ20は、搬送コンベア11上の減速開始位置P2において、搬送コンベア11の上流から搬送されるパッケージ1の有無を検知する。減速開始位置検知センサ20は、判断手段21と繋がれ、パッケージ1を検知すると、検知信号を判断手段21へ送信する。
【0038】
判断手段21は、減速開始位置検知センサ20と繋がれ、減速開始位置検知センサ20から送信される信号を受信する。
【0039】
判断手段21は、減速開始位置検知センサ20から送信される信号を受信するとコンベア駆動時間測定を開始し、次に減速開始位置検知センサ20から送信される信号を受信するまで、この時間測定を継続する。そして、判断手段21は、中断されることなく時間測定できた時間の長さ(非検知時間)が、前記一定時間(距離Kを搬送されるのに要する時間)を超えたか否かを、判断する。
【0040】
この非検知時間が前記一定時間を超えたか否かにより、次のことがわかる。非検知時間が前記一定時間を超えている場合、搬送コンベア11上で隣り合って搬送されるパッケージ1・1同士の間隔が所定の間隔(距離K)以上空いていることを意味する。逆に、非検知時間が前記一定時間を超えていない場合、パッケージ1・1同士の間隔が所定の間隔(距離K)より狭い間隔であることがわかる。
【0041】
そして、パッケージ1・1間の間隔が距離K以上空いている場合は、先のパッケージ1が停止位置P0に到達したときに、後のパッケージ1は、停止位置P0より距離K以上離れた位置にあることになる。
【0042】
後のパッケージ1が停止位置P0より距離K以上離れている場合、搬送コンベア11上にある全てのパッケージ1が減速開始位置P2より上流側に存在するので、次にパッケージ1が減速開始位置P2を通過するまで、すなわち減速開始位置検知センサ20がパッケージ1を検知するまでは、搬送コンベア11の搬送速度を高速速度にしても問題はない。
【0043】
次に、パッケージ1の搬送方法、及び搬送コンベア11の制御について、図1及び図2に基づいて説明する。
図2は本発明の実施形態に係るパッケージ搬送システム100(高速速度時)の平面図である。
糸巻取りユニット15により満玉になったパッケージ1は、玉揚げ装置16により、搬送コンベア11へ送られる。この時、パッケージ1は、満玉になった順に、個々の糸巻取りユニット15から搬送コンベア11へ払い出されるため、パッケージ1同士の間隔は、糸巻取りユニット15からの払い出し状況によって変わってくる。従って、停止位置P0から最下流のパッケージ1までの距離は、図1のように短い場合もあれば、図2のように距離が長い場合もある。なお、玉揚げ装置16は、搬送コンベア11上を既に搬送されているパッケージ1に、新たに払い出すパッケージ1が衝突しないように、適切に払い出し作業を行っている。
【0044】
パッケージ搬送システム100は、基本的には、通常搬送時の搬送速度で搬送コンベア11を駆動している。
【0045】
パッケージ1が減速開始位置P2に到達すると、減速開始位置検知センサ20は、パッケージ1を検知し、パッケージ1を検知したことを示す検知信号を判断手段21へ送信する。
【0046】
次に、パッケージ1が停止位置P0に到達すると、停止位置検知センサ13は、パッケージ1を検知し、パッケージ1を検知したことを示す検知信号をコンベア駆動制御部14へ送信する。
【0047】
コンベア駆動制御部14は、停止位置検知センサ13からの検知信号を受信することにより、搬送コンベア11の駆動を停止するように制御する。これにより、搬送コンベア11が停止するとともに、パッケージ1が搬送コンベア11の搬送終端部にある停止位置P0で停止する。
【0048】
停止位置P0で停止したパッケージ1は、パッケージ回収装置(図示せず)、又は作業者により、パッケージ回収部12に回収される。パッケージ1が回収され、停止位置P0でパッケージ1が検知されない状態となると、再び搬送コンベア11が駆動し、上記動作を繰り返す。
【0049】
パッケージ1は、停止位置P0に到達すると搬送コンベア11上から取り除かれる。パッケージ搬送システム100は、次々と停止位置P0に到達したパッケージ1が除去されても、停止位置P0と最下流のパッケージ1との距離が上述した距離K以内の場合、すなわち、パッケージ1が停止位置P0から距離Kの間にパッケージ1が存在し続ける場合には、上記動作を繰り返す。
【0050】
しかし、上述したように、糸巻取りユニット15から払い出されるパッケージ1の間隔は、常に一定ではなく、図2に示すように、停止位置P0と最下流のパッケージ1との距離が距離Kよりも長い場合がある。従って、パッケージ搬送システム100においては、停止位置P0と最下流のパッケージ1との距離が距離Kを超える場合には、以下のような動作を上記動作の途中で行う。
【0051】
上述したように、コンベア駆動制御部14は、通常、通常搬送時の搬送速度で搬送コンベア11を駆動している。上記動作において、減速開始位置検知センサ20が一定時間パッケージ1を検知しなかった場合、つまり、範囲検知センサ22が距離K内にパッケージ1が存在しないことを検知した場合、コンベア駆動制御部14は、搬送コンベア11の搬送速度を通常搬送時の搬送速度から高速速度へ加速するように制御する。この時、急激に速度を変化することなく、加速時のショックによりパッケージ1の姿勢が崩れない程度で制御する。加速開始時のショックでパッケージ1の姿勢が乱れると、パッケージ1の品質を低下させてしまうからである。
【0052】
搬送コンベア11が高速速度まで加速した後、又は加速するまでに、減速開始位置検知センサ20がパッケージ1を検知する、つまり範囲検知センサ22が距離K内にパッケージ1が存在することを検知すると、コンベア駆動制御部14は、搬送コンベア11の搬送速度を高速速度から通常搬送時の搬送速度へ減速するように制御する。この時、加速時と同様に、急激に速度を変化させるのではなく、減速時のショックによりパッケージ1の姿勢が崩れない程度に制御する。減速開始時のショックでパッケージ1の姿勢が乱れると、パッケージ1の品質を低下させてしまうからである。
【0053】
このように、搬送コンベア11の搬送速度を可変速とすることで、停止位置P0から最下流のパッケージ1までの距離が距離Kよりも長い場合には、搬送コンベア11の搬送速度を速くすることで、パッケージ1が停止位置P0に搬送される時間のロスを軽減でき、パッケージ1の搬送効率を向上させることができる。
【0054】
また、パッケージ搬送システム100は、停止位置P0から距離K内にパッケージ1が存在するか否かの判断を、減速開始位置検知センサ20が、あるパッケージ1を検知してから次のパッケージ1を検知するまでの時間を判断手段21が計測することにより行うため、搬送コンベア11上の特定位置にあるパッケージ1を検知できる程度の減速開始位置検知センサ20を少なくとも1台設置すれば良く、減速開始位置検知センサ20の設置台数、設置場所及び設置コストを削減することができる。
【0055】
なお、本願発明は、パッケージ搬送システム100の形態に限定されるものではなく、パッケージを払い出す装置に隣接して設けられた搬送コンベアであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るパッケージ搬送システム100(通常搬送時)の平面図。
【図2】本発明の実施形態に係るパッケージ搬送システム100(高速速度時)の平面図。
【図3】従来のパッケージ搬送システム200の平面図。
【符号の説明】
【0057】
1 パッケージ
11 搬送コンベア
12 パッケージ回収部
13 停止位置検知センサ
14 コンベア駆動制御部
15 糸巻取りユニット
16 玉揚げ装置
20 減速開始位置検知センサ
21 判断手段
22 範囲検知センサ
100 パッケージ搬送システム
K 停止位置から減速開始位置までの距離
P0 停止位置
P1 糸巻取りユニット15の列における最下流位置
P2 減速開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配置される糸巻取りユニットの各々から排出されるパッケージを受け取って、所定の停止位置まで搬送するパッケージ搬送システムであって、
前記糸巻取りユニットの各々を経由して前記停止位置にまで至る搬送経路に沿って、前記パッケージを搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの搬送経路上で、前記糸巻取りユニットの列における最下流位置と前記停止位置との間にある減速開始位置から前記停止位置までの範囲内における前記パッケージの存在を検知する範囲検知センサと、
前記搬送コンベアの駆動を制御するコンベア駆動制御部と、を具備し、
前記範囲検知センサが前記パッケージを検知しない場合には前記コンベア駆動制御部が前記搬送コンベアの搬送速度を通常搬送時の速度より加速するように制御し、
前記加速制御を行った後、前記範囲検知センサが前記パッケージを検知した場合には前記コンベア駆動制御部が前記加速した搬送速度を前記通常搬送時の速度まで減速するように制御することを特徴とするパッケージ搬送システム。
【請求項2】
前記範囲検知センサは、
前記減速開始位置におけるパッケージの存在を検知する減速開始位置検知センサと、
前記減速開始位置検知センサが前記パッケージを検知しない非検知時間が、前記パッケージが前記減速開始位置から前記停止位置まで前記通常搬送時の速度で搬送されるのに要する一定時間を超えたか否かを判断する判断手段と、
から構成される、
請求項1に記載のパッケージ搬送システム。
【請求項3】
前記停止位置における前記パッケージの存在を検知する停止位置検知センサを備え、
前記コンベア駆動制御部は、前記停止位置検知センサが前記パッケージを検知した場合に、前記搬送コンベアの駆動を停止させるように制御する、
請求項1又は請求項2に記載のパッケージ搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−230834(P2008−230834A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76625(P2007−76625)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】