説明

パッシブコヒーレント探索アプリケーションにおいて、集中方式で関連付けし追尾するシステムおよび方法

【課題】PCLアプリケーション用の集中方式で関連付けおよび追尾するシステムおよび方法。
【解決手段】検出レポートは、ターゲット追尾処理システムで受け取られる。検出レポートは、早期の処理オペレーションにおけるターゲットエコーと関連付けられたライントラックと関係がある測定値を含む。さらに、パラメータおよびオブザーバブルなどの他の情報がターゲット追尾処理システムによって受け取られる。ターゲット追尾処理システムは、検出レポート内の測定値に従って、ライントラックについてライントラック関連付け機能部およびトラックフィルタリング機能部を実施する。これらのオペレーションはまた、追尾のために、ターゲットパラメータを予測し評価する。ターゲットパラメータは、伝搬させられ、更新されたターゲットトラックから外挿され、ユーザのためにディスプレイに供給されるか、または、さらに処理を行うために、PCLシステムに戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
発明の分野
本発明は、パッシブコヒーレント探索(「PCL」)レーダシステムおよび方法に関し、より詳細には、PCLレーダアプリケーションにおいて、ライントラックをターゲットに関連付け、ターゲットを追尾するシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2001年5月4日に出願された「System and Method for Central Association and Tracking for PCL Applications」と題する米国仮特許出願第60/288,492号(参照により本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0003】
関連技術の説明
PCLレーダシステムは、マルチスタティックレーダシステムに代表されることできる。マルチスタティックレーダシステムは、1つまたは複数の送信機から離れた複数の受信機を有する。送信機からの放射信号は、いくつかの別個の経路を介して受信機に到達する。1つの経路は送信機から受信機への直接経路であり、他の経路は、送信機からターゲットを介して受信機までの間接経路を含むターゲット経路である可能性がある。測定値は、ターゲット経路信号の全経路長すなわち通過時間、ターゲット経路信号の到来角度、ならびに直接経路信号およびターゲット経路信号の周波数を含んでよい。ターゲットが動いている場合、ドップラー効果によって、周波数の差を検出することができる。
【0004】
ターゲット経路信号から情報を抽出する場合、受信機において送信信号がわかっていることが望ましい。ドップラー周波数シフトを求めるのには送信周波数が望ましい。全散乱経路長を求める場合、時間または位相もまた望まれる。周波数基準は直接信号から得ることができる。送信機と受信機の間の距離が既知であれば、時間基準もまた直接信号から得ることができる。
【0005】
マルチスタティックレーダシステムは、レーダの到達範囲内にあるターゲットの存在、ターゲットの場所、および、レーダに対する速度成分すなわちドップラーを確定することができる。ターゲット位置を探索するプロセスは、距離と到来角度を測定することを含んでもよい。受信サイトに対する距離の測定は、受信サイトでの到来角度ならびに送信機と受信機の間の距離の両方を含んでもよい。直接信号を利用できる場合、直接信号を基準信号として用いて、ドップラー周波数シフトを抽出することができる。
【0006】
PCLレーダシステムにおいて、送信機は放射器(illuminator)として知られている。放射器は、商用周波数変調(「FM」)放送送信機および/またはリピータ、商用高品位テレビジョン(「HDTV」)放送送信機および/またはリピータなどを含む広帯域オポチュニティ源(sources of opportunities)であってよい。広帯域信号事前検出処理および同一チャネル干渉緩和のための技法が存在している。手法は、主放射器などの利用されるオポチュニティ源、および環境に存在する任意の他の同一チャネル信号を受信するのに用いられるアンテナアレイを含んでもよい。
【0007】
PCLシステムは、いくつかの異なる送信機からの複数の直接信号および反射信号を受信することができる。信号は、特定され、適当なターゲットと関連付けられるはずである。さらに、いくつかのターゲットは、種々の場所での散乱信号である可能性がある。種々の信号およびそれらの測定データは、適当なターゲットと関連付けられるはずである。ターゲットが存在しない場合、ターゲットに対して、新たな追尾が実施されなければならないであろう。逆に、更新がもはや受信されない場合、古い追尾はシステムから削除されるはずである。より効率がよく、かつ当を得た測定データの関連付けによって、PCLシステムにおけるターゲット追尾が改善される可能性がある。
【0008】
[発明の概要]
したがって、本発明はPCLアプリケーションおよび信号処理を対象とする。そのため、PCLアプリケーションにおいて集中方式で関連付けしかつ追尾するシステムおよび方法が本明細書において開示される。
【0009】
一実施形態によれば、パッシブコヒーレント探索システムのためのライントラックをターゲットに関連付ける方法が開示される。方法は、ターゲットに対応するライントラックを有する検出レポートを受信することを含む。方法はまた、ライントラックの測定値について、ターゲットの状態および状態共分散を計算することを含む。方法はまた、ターゲットの状態および状態共分散に従って、ライントラックをスコアリングすることを含む。方法はまた、スコアに従って、ライントラックをターゲットトラックに割り当てることを含む。
【0010】
別の実施形態によれば、パッシブコヒーレント探索システム内でターゲットデータを関連付け、追尾する方法が開示される。ターゲットデータは測定値を含む。方法は、測定値から、ターゲットの状態および状態共分散を計算することを含む。方法はまた、ターゲットの状態および前記状態共分散に従って、ターゲットデータに関係があるライントラックをターゲットトラックに割り当てることを含む。方法はまた、ターゲットトラックを初期化することを含む。方法はまた、ターゲットの状態および状態共分散に従って、フィルタを初期化することを含む。方法はまた、フィルタを用いてターゲットトラックを追尾することを含む方法はまた、ターゲットトラックからターゲットデータを外挿することを含む。
【0011】
別の実施形態によれば、パッシブコヒーレント探索システム内で、ターゲット追尾オペレーションのために、ライントラックをターゲットトラックに関連付ける方法が開示される。方法はまた、ライントラックについて、候補関連付け組み合わせ(candidate association combination)を確定することを含む。方法はまた、少なくとも1つのゲートを、候補関連付け組み合わせに適用することを含む。方法はまた、ライントラックについてターゲットの状態および状態共分散を推定することを含む。方法はまた、ターゲットの状態および状態共分散に従って、候補関連付け組み合わせについてスコアを計算することを含む。方法はまた、スコアに従ってライントラックをターゲットトラックに割り当てることを含む。
【0012】
別の実施形態によれば、パッシブコヒーレント探索システム内で、ターゲットに関連する測定値を有する検出レポートと関係があるターゲットトラックをフィルタリングする方法が開示される。方法は、検出レポートについて、ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算することを含む。方法はまた、補正を用いてターゲットの状態および状態共分散を更新することを含む。方法はまた、更新されたターゲットの状態および更新された状態共分散を用いてターゲットトラックを伝搬させることを含む。
【0013】
別の実施形態によれば、ターゲットについて、ターゲットのパラメータを推定するシステムが開示される。システムは、測定値を含む検出レポートを含む。システムはまた、検出レポートと関係があるライントラックを、ターゲットトラックに関連付けるライントラック関連付け機能部を含む。システムはまた、測定値に従って、ターゲットトラックを伝搬させるトラックフィルタリング機能部を含む。システムはまた、ターゲットトラックおよび測定値からターゲットパラメータを計算するターゲット外挿関数を含む。
【0014】
別の実施形態によれば、ライントラックをターゲットトラックに関連付けるシステムが開示される。ライントラックは少なくとの1つの検出レポートと関係がある。システムは、少なくとも1つの検出レポートからの測定値についてターゲットの状態および状態共分散を計算し、ライントラックについての候補関連付け組み合わせをスコアリングする非線形最小二乗バッチ推定器を含む。システムはまた、候補関連付け組み合わせについてのスコアに従って、ライントラックを割り当てるライントラック割り当て機能部を含む。
【0015】
別の実施形態によれば、ターゲットトラックをトラックフィルタリングするシステムが開示される。ターゲットトラックは少なくとも1つの検出レポートからのライントラックに関連付けられる。システムは、ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算して、検出レポートからの測定残差(residual)および測定値の部分微分を計算する手段を用いてターゲットトラックを更新するようにするフィルタを含む。システムはまた、速度の大きさ成分および加速度の大きさ成分を用いて、更新されたターゲットトラックを確認する妥当性確認関数を含む。
【0016】
本発明の付加的な特徴および利点は次に続く開示に記載されるであろう。そして、本発明の付加的な特徴および利点は、一部は開示から明らかとなるであろう、すなわち、本発明の実施によって知ることができる。本発明の目的および他の利点は、書面の説明およびその特許請求の範囲ならびに添付図面において特に明らかにされた構造によって、認識され、得られるであろう。
【0017】
本発明をさらに理解できるようにするために含められ、本明細書の一部に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、その説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0018】
[好適な実施形態の詳細な説明]
ここで、本発明の好ましい実施形態に対し詳細にわたって参照を行うが、実施形態の例は添付図面に示す。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による、レーダシステム、ターゲットおよび送信機のブロック図を示す。レーダ検出システム10は、複数の送信機110、112、および114を用いて、1つまたは複数の対象のターゲット150を追尾するPCLシステム100を含む。PCLシステム100は、同一系統のマルチスタティック広域ターゲット監視センサを表す。PCLシステム100は、往々にして、他の目的で動作することができるオポチュニティ源からの、連続波(「CW」)電磁エネルギーを利用する。オポチュニティ源は、テレビジョン放送局およびFMラジオ局を含んでもよい。PCLシステム100は、オポチュニティ源110、112、および114としても知られている、複数の統制されていない送信機からの送波(transmission)を受信できるのが好ましい。統制されていない送信機は、受信機の直接の制御下にはない送信機に属する。より好ましくは、送信機110、112、および114は、商用FM放送送信機および/またはリピータ、ならびに、商用HDTV TV放送送信機および/またはリピータを含む広帯域オポチュニティ源であってよい。しかし、送信機110、112、および114は、これらのオポチュニティ源に限定されず、統制されていない信号を送信する、任意のデバイス、システムまたは手段を含んでよい。
【0020】
送信機110、112、および114は、広帯域電磁エネルギー送波を全方向に送信することができる。これらの送波のいくつかは、1つまたは複数の対象のターゲット150によって反射され、PCLシステム100によって受信される。たとえば、反射した送波130は、ターゲット150によって反射され、PCLシステム100によって受信される場合がある。さらに、送信機114に関して、基準送波140は、PCLシステム100によって直接受信される。PCLシステム100は、基準送波140と反射した送波130を比較して、1つまたは複数の対象のターゲット150についての位置情報が求められる。基準送波140は直接経路信号としても知られている。反射した送波130はまたターゲット経路信号としても知られている。位置情報は、到達時間差(「TDOA」)、到達周波数差(「FDOA」)、および到来角度(「AOA」)を求めることによる、場所、速度、および加速度を含むターゲット150の位置に関する任意の情報を含んでもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施形態による、パッシブコヒーレント探索システムのブロック図を示す。PCLシステム100は、アンテナサブシステム200、アナログ−デジタル変換器(「ADC」)サブシステム220、処理サブシステム240、および出力デバイス260を含む。アンテナサブシステム200は、少なくとも1つのアンテナによって、図1の反射した送波130および基準送波140を含む電磁エネルギー送波を受信する。アンテナサブシステム200はアンテナアレイであるのが好ましい。ADCサブシステム220は、その入力部でアンテナサブシステム200の信号出力を受け取り、あるサンプリングレートで信号をサンプリングし、各サンプリング区間におけるアナログ信号についての大きさを用いてデジタル波形を形成することによって、デジタルの信号サンプルを出力する。処理サブシステム240は、アセンブリサブシステム220の出力を受け取り、測定データ、追尾、ターゲットの更新などのために信号を処理する。出力デバイス260は、処理結果を受け取り、処理サブシステム240の出力を表示する。
【0022】
図3Aは、本発明の実施形態による、PCLシステム内で、集中方式でターゲットを関連付け、追尾するシステムを示す。ターゲット追尾処理システム300は、入力を受け取り、ディスプレイ344および付加的なPCL信号処理関数346に出力を生成することによって、PCLアプリケーションに対して集中方式での関連付けおよび追尾を可能にする。ターゲット追尾処理システム300は、少なくとも1つの送信機によって検出されたターゲットについての位置、速度、および加速度を評価する。位置は、所定の制約下では3次元であってもよい。
【0023】
ターゲット追尾処理システム300は、ライントラッカからの検出ブロック302の流れを受け取ることができる。検出ブロック302は、ライントラック識別番号、放射器識別、および検出時間によって特定される検出レポートを含むことができる。さらに、各検出レポートは、ライントラックのステータスを指定する状態パラメータを含むことができる。入力もまたパラメータ304を含んでよい。パラメータ304を用いて、ターゲットトラックが初期化される。パラメータ304は、以下の表1に開示する入力パラメータを含んでよい。表1の入力パラメータは、ターゲット追尾処理システム300によって処理されるべき各受信機および各放射器を指定することができる。
【0024】
【表1】

【0025】
ターゲット追尾処理システム300は出力342を生成する。出力342は、現在のコヒーレントな処理区間についてのターゲットデータブロックの流れである。出力342はディスプレイ344によって受け取られ得る。ディスプレイ344は、ターゲットをユーザに対して表示するために、表示ソフトウェアおよび関連するハードウェアを含んでよい。さらに、出力342は、PCL信号処理関数346によって受け取られることができ、PCL信号処理関数346は、出力342をPCL信号処理チェーンの初段の要素にフィードバックする。PCL信号処理関数346は、検出および特徴抽出のために、出力342を処理要素に供給するのが好ましい。表2は、出力342の各ターゲットデータブロックについての出力パラメータの好ましいリストを開示している。
【0026】
【表2】

【0027】
図示するように、ターゲット追尾処理システム300は3つの関数を備える。ライントラック関連付け機能部320は、全てのライントラック−ターゲットトラック割り当てを行い、全ての新しいターゲットトラックの初期化および許可される場合には存在するトラックの再初期化を操作し、矛盾を生じるようになった(become inconsistent)割り当てを解消することによって、割り当ての品質を監視する。トラックフィルタリング機能部330は、拡張カルマンフィルタを利用して、各ターゲットの位置、速度、および加速度を2次元で、または、全ての条件が合えば3次元で、追尾するようにする。トラックフィルタリング機能部330の初期状態および共分散は、ライントラック関連付け機能部320によって初期化されることができる。トラックフィルタリング機能部330は、測定値を取り込んでいる各トラックを伝搬させ、トラックが確実に妥当なままでいるようにライントラック関連付け機能部を監視する。ライントラック関連付け機能部320およびトラックフィルタリング機能部330は両方ともより詳細に以下で述べられる。
【0028】
ターゲットデータ外挿機能部340は、ターゲット追尾処理システム300からディスプレイ344に対して要求されるターゲットデータを計算する。ターゲットデータ外挿機能部340は、各ターゲットについて信号を生成する。位置(「T」)および速度(「T2」)の状態ベクトルを用いて、出力342におけるパラメータが計算される。受信機の位置(「R」)および速度(「R2」)についての状態ベクトルもまた用いられる。各ベクトルは、個々の座標を表す3つの変数を有することができる。たとえば、ターゲット位置ベクトルは、T=[xT、yT、zT]として表すことができるが、ターゲット速度はT2=[xT2、yT2、zT2]として表すことができる。ターゲットおよび受信機位置探索は、以下に記載するEast−North−Up(「ENU」)座標系で記述することができる。ENU座標系におけるUp座標は、天頂、すなわち接平面がEastおよびNorth座標を含むような局所接平面に対する法線として定義されることができる。
【0029】
ターゲットを追尾する時、2つのタイプの状態ベクトルおよび関連する共分散を用いることができる。第1は、ターゲットが更新を受け取るたびに生成される更新した状態ベクトルである。第2は、各コヒーレント処理区間について計算された外挿したターゲット軌跡である伝搬した状態ベクトルである。伝搬した状態ベクトルおよび共分散は、以下の表3に開示されている計算に用いられる状態ベクトルのタイプであってよい。ライントラック関連付け機能部320およびトラックフィルタリング機能部330は、ターゲットデータ外挿機能部340において用いられる状態ベクトルおよび共分散についての値または更新を決め(establish)ようとする。
【0030】
【表3】

【0031】
ライントラック関連付け機能部320を実施する前に、所定の値および付加的なパラメータが計算されなければならない。ターゲットデータを求める時、これらの値およびその関連するアルゴリズムが、ターゲット追尾処理システム300によって用いられることができる。ターゲット追尾処理システム300の関数のうちの任意の関数によって値が用いられることがでできる。最初に、基準フレーム310が計算され得る。ターゲット追尾処理システム300は、3つの主基準フレーム間での操作を要求する可能性がある。開示した基準フレームおよびフレーム間での変換(conversion)は、以下の開示において、基準フレーム310に関して言及されるであろう。以下の議論では、基準フレーム310および座標系変換(transformation)を開示する。
【0032】
地球中心、地球固定(Earth Centered, Fixed)(「ECF」)基準フレームは、地球の地理的中心で画定されるデカルト基準フレームである。赤道は、主軸がグリニッジ子午線を指した状態で、座標系の主平面を画定することができる。ECFフレームは、自転する地球に取り付けられる。しかし、ターゲット追尾処理システム300において、全ての地球の自転の影響を無視することができる。
【0033】
測地(「GEO」)座標系は、基準楕円に対する地球表面上での場所(location)を定義する。基準楕円は、平均海面に一番よく合う回転楕円体であると考えられ得る。ターゲット追尾処理システム300は、パラメータ間の関係と共に、以下の表4に開示されている値を用いることができる。
【0034】
【表4】

【0035】
局所正接(「ENU」)基準フレームは、基準楕円上の地点で画定されるデカルト基準フレームである。局所接平面は、主軸が局所East方向を指した状態で、座標系の主平面を画定する。乗り物(vehicle)外挿およびカルマンフィルタリングを含むターゲットトラック処理用の全てのターゲット追尾およびライントラック関連付け機能部は、受信機の局所正接フレームにおいて実行される。ターゲット追尾処理システム300は、2次元または3次元で関数を実行することができる。
【0036】
2次元ターゲットトラックの場合、ターゲット追尾処理システム300は、水平直線飛行(straight and level flight)によって一定速度を取り込むことができる。水平直線飛行条件は、地球の表面に従い、受信機の正接平面には従わない。したがって、位置および速度の垂直成分は、地球の曲率について補正されることができる。
【0037】
状態ダイナミックス308は、ターゲット状態ベクトル、共分散行列、および状態ダイナミックスに対するモデルを開示することができる。状態ダイナミックス308によって開示されるモデルは、受信機のENU局所基準フレームにおけるEast成分、North成分、およびUp成分について定義されることができる。2次元追尾の場合、ターゲットには、そのトラックの持続期間にわたって地球の曲率が補正されることができる指定の高度(altitude)が与えられる。ターゲット乗り物状態ダイナミックス308は、指数関数的に相関した加速度運動モデルを取り入れる。
【0038】
ターゲットの状態には、状態値の不確定性を反映するターゲット状態共分散行列が関連する。共分散行列の対角値は状態値の分散を表す。非対角要素は状態間の相関を反映する。指数関数的に相関した加速度モデルの影響は、状態共分散の外挿に含まれるはずである。共分散行列は、状態遷移行列およびプロセス雑音行列を用いて、所定時間の間伝搬される。
【0039】
オブザーバブル306は、ターゲットの状態(target's state)を初期化し、更新するのに用いられる測定オブザーバブルである。本明細書で開示されるオブザーバブルは、PCL信号処理において、各コヒーレント処理区間について早い時期に計算されることができる。オブザーバブルは、検出および特徴抽出中に計算されるのが好ましい。オブザーバブル306は、各オブザーバブルについて、ターゲットの状態に対して観測の部分微分を計算することに関係する可能性がある。ターゲット追尾処理システム300のライントラック関連付け機能部320およびトラックフィルタリング機能部330の間、部分微分が用いられる。図3Bは、本発明の実施形態によるバイスタティック時間遅延およびバイスタティックドップラーを計算する時に用いられる幾何学的形状の概観を示す。
【0040】
オブザーバブル306のバイスタティック時間遅延は、間接経路と直接経路に沿った放射器と受信機の間の移動(travel)時間の差を反映する。以下の式
d=1/c(d1+dR−dD
に従い、ここで、cは光速であり、オブジェクト間の距離は内積の平方根、すなわち、
【数1】

として表される。状態推定には、ターゲットの状態xTに対する部分微分の計算が要求される。
ターゲットの状態に対するレンジ(range)式の部分微分は、
∂dI/∂xT=rI/dI
∂dR/∂xT=rR/dR
∂dD/∂xT=0
となる。ターゲットの状態に対するバイスタティック時間遅延測定の部分微分についての式は、
【数2】

である。
【0041】
オブザーバブル306のバイスタティクドップラーは、観測信号と放射器からの送信信号の間の周波数変化を反映する。測定には、放射器、受信機、およびターゲットの位置と速度が要求される可能性がある。このように、本発明の実施形態は、飛行プラットフォームまたは海洋航行船舶などの、移動送信機および受信機を利用することができる。したがって、式
fd=−1/λ×∂(dI+dR)/∂t
に従う。ここで、λは放射器の送信波長であり、放射器−ターゲットおよび受信機−ターゲットのレンジは上で定義されている。レンジ(「レンジレート」)式の時間に関する導関数は、
【0042】
【数3】

【0043】
であり、ドップラーについての式
【0044】
【数4】

【0045】
が得られる。状態推定には、ターゲットの状態xTに対する部分微分の計算が要求され得る。ターゲットの状態に対するレンジレート式の部分微分は、
【0046】
【数5】

【0047】
である。ターゲットの状態に対するバイスタティックドップラー測定の部分微分についての式は、
【0048】
【数6】

【0049】
である。
【0050】
テレビジョン放射器の場合、ドップラーは、ターゲットのエコーと放射器搬送波の周波数測定値から作成される可能性がある。ライントラックにおけるターゲットエコーの戻りに対応する放射器があいまいではないため、作成されたドップラー測定値は、ライントラック関連付け機能部320において分解されるという仮定と関連付けられる。仮定について構成されたドップラーは、
d=fr−(fcr=(f−fLO)−(fc−fLO
で与えられる。ここで、fLOは発信器の周波数(「Hz」)であり、fcは搬送波周波数であり、下つき添え字「r」は局部発信器に対する周波数を示す。
【0051】
入ってくる信号の到来角度は、図3Cに示すように、アンテナの本体固定フレームにおいて角度θで示される。ターゲット追尾処理システム300にレポートされるボアサイトからずれた(off-boresight:オフボアサイト)角度は、到来角度の余角、すなわちθob=θ−(π/2)である。到来角度の計算には、ターゲットの位置およびアンテナアレイの左手軸の向き、すなわち、
【数7】

が要求される。ここで、lhは左手軸の単位ベクトルである。状態推定には、ターゲットの状態xTに対する部分微分の計算が要求され得る。ターゲットの状態に対する到来角度の式の部分微分は、
∂θ/∂xT=1/(dRsinθ)×〔cosθ×(xR/dR)−lh〕
である。
【0052】
オブザーバブル306のバイスタティック時間遅延、バイスタティックドップラー、および到来角度は、図1および2を参照して開示した時間遅延、ドップラー、および到来角度と関係がある。しかし、ターゲット追尾処理システム300は、以下で開示するように、これらの値を用いる。状態式および部分微分は、ベクトルを更新し、伝搬させるためにターゲット追尾処理システム300によって用いられ、したがって、図3A、3B、および3Cを参照して開示されている。
【0053】
図4は、本発明の実施形態によるライントラック関連付け機能部を示す。図4は、図3のライントラック関連付け機能部320と関係があるライントラック関連付け機能部400を示す。ライントラック関連付け機能部400は、ライントラック関連付け機能部320の好ましい実施形態を開示する。しかし、ライントラック関連付け機能部320は、図4で開示される実施形態に限定されない。ライントラック関連付け機能部400は、全てのライントラック−ターゲットトラックの割り当てを行い、全ての新しいターゲットトラックの初期化および許可があれば存在するトラックの再初期化を操作し、矛盾を生じるようになった割り当てを解消することによって、割り当ての品質を監視しようとする。ゲーティングオペレーションを用いて、ライントラック関連付け機能部400がスコアリングおよび評価する候補割り当ての数を減らすようにすることができる。ゲートを通過する候補割り当ては、スコアリングされ、スコアに基づいて割り当てを行う割り当てアルゴリズムへの入力として供給される。トラックフィルタリング機能部330における時刻tにおけるカルマンフィルタ測定更新の前に、現在時刻tにて、割り当てアルゴリズムが適用される。
【0054】
ライントラック関連付けの前に、より効率的な方法でライントラックを処理するための所定の条件が満たされる可能性がある。変調ライン試験機能部404はライントラック402を受け取る。全てのFMライントラックは、ライントラック402がライントラック関連付け処理を受けることができる前に、この試験を通らなければならない。変調ライン試験機能部404は、ライントラック402のライントラックがブレード(blade)変調ラインによって生成されたかを判断し、そうであれば、ライントラック関連付けにおいてライントラックの使用を止めるようにする。ブレード変調ラインは、航空機または乗り物のロータブレードと関連付けられることができ、当業者には知られている可能性がある。変調ライン試験機能部404は、集積したドップラーからおよび遅延差から得られるデルタ遅延(delta-delay)時系列(time-series)を見る。ライントラック402のライントラックが、本体の運動によるドップラーに対するドップラーシフトを特徴とする変調ラインである場合、2つのデルタ遅延系列の間の差は、線形のランオフ(runoff)すなわち傾斜を持って生じる(evolve)可能性がある。傾斜を検出することによって、ブレード変調ライントラックが特定され、さらなるライントラック関連付けオペレーションから除去されることができる。
【0055】
バッファ406は、変調ライン試験後にライントラック402の検出レポートをバッファリングすることができる。バッファ406は、一意の各ライントラックについて関連付けされる検出レポート用の先入れ先出しバッファであるのが好ましい。バッファ406は、検出レポートの最小数、すなわちNBFがバッファ406に蓄積されている(accumulate)場合に、検出レポートに対して、ライントラックに「ライントラック関連付けに利用可能である」とマークを付けることができる。後続のライントラック関連付けオペレーションにおいて、ライントラック関連付け機能部400は、さらに処理されるためにマークが付けられたライントラックを考察することができる。バッファ406用の待ち行列のサイズは、NBFと無関係であってよいが、サイズはNBF以上であることが好ましい。以下に開示するように、ライントラック関連付け機能部400のスコアリング計算において、バッファ406用の待ち行列のライントラック402の検出レポートの全てを用いることができる。テレビジョン信号の場合、好ましいバッファサイズは1.5NBFである。
【0056】
ライントラックの状態が待ち行列内で1〜3である場合、ライントラック402の検出レポートをバッファ406に付加することができる。ライントラックの状態は、特定のライントラックと関係があるバッファ406の検出レポートの数と関係がある。ライントラック状態4に達した時、ライントラック停止が行われる(enacted)。バッファ406は、所定の管理維持(housekeeping)オペレーションを行って、現在アクティブな任意のターゲットトラックとの関連付けを除去し、さらにライントラックの関連付けオペレーションを行うためにライントラックがバッファ406から除去された結果として、ターゲットトラックに関連付けされるライントラックが残っていない場合、対応するターゲットトラックの状態を「コースト」状態に設定するようにする。
【0057】
ライントラック関連付け機能部400は、変調検査およびバファリング後に、指定された候補関連付け組み合わせ(「CAC」)を考察することができる。たとえば、3つのタイプのCACがあり得る。第1のCACは、ライントラックjを有する現在トラックI、すなわちTL(I,j)であり得る。第2のCACは、ライントラックIおよびjからの新しいトラック、すなわちLL(I,j)であり得る。第3のCACは、ライントラックIからの新しいトラック、すなわちL(i)であり得る。ライントラック関連付け機能部400内における処理は、ライントラック関連付けに利用可能であるとマークを付けられており、ターゲットトラックに現在のところ割り当てられていないか、または、これまで他のライントラック割り当てをどれも受けたことがないターゲットトラックに割り当てられており、現在検出レポートを有しているライントラックに制限されることができる。さらに、ライントラック関連付けオペレーションは、テレビジョン放射器についてのTL(I,j)タイプに対するリンクなどの、TDOA測定値を有するリンクからの未割り当てのライントラックに制限されることができる。ライントラック処理は、ライントラック関連付け機能部400内の関数を最適化することに制限されることができる。しかし、これらの制限は実施されない場合があり、全てのライントラックが、ライントラック関連付け処理に関して考察される場合がある。さらに、付加的な、または異なる制約がライントラックに適用されて、ライントラック関連付けオペレーションを最適化することができる。
【0058】
ライントラック関連付け機能部400を通して3つの経路を実施することができる。これらの「経路」は、ゲーティング、スコアリング、および未割り当てのFMライントラックを用いた割り当てを含んでよい。第1の経路において、TL(I,j)の組み合わせを処理することができる。この経路の最後に、この経路の間に割り当てられたライントラックは、さらなる考察から除去されることができる。第2の経路において、ライントラック関連付け機能部400によって、LL(I,j)の組み合わせを処理することができる。この経路の最後に、この経路の間に割り当てられたライントラックは、さらなる考察から除去されることができる。第3の経路において、残りのL(i)CACを処理することができる。第4の経路が作られて、新たに更新したTL(I,j)の組み合わせを処理することができるが、この時、テレビジョン放射器と関係がある未割り当てのライントラックなどの、TDOA測定値のない未割り当てのライントラックが考察される。ライントラック関連付け機能部400内でのゲーティング、スコアリング、割り当て、および新しいトラックの初期化アルゴリズムは、以下で詳細に述べられる。
【0059】
テレビジョン無線周波数チャネルによって周波数ライントラックに関連付けされた放射器が、複数のテレビジョン放射器が特定された時には常にあいまいであると考えられるライントラックを、テレビジョン周波数ライントラック仮定試験機能部408は分解する(resolve)ことができる。このシナリオを操作するために、各周波数ライントラックは、特定されたテレビジョン放射器のそれぞれについて放射器の仮定(an illuminator hypothesis)と関連付けられることができる。特定の放射器の下でのライントラックが存在するターゲットとうまく関連付けられた時には、あいまいさが解消されると考えられる。TL(I,j)の組み合わせのみが考察されるのが好ましい。こういう場合が生ずると、送信機識別フィールドはライントラックに関連する全ての検出レポートにおいて更新されることができる。
【0060】
仮定は、仮定に関連する放射器の場所および搬送波周波数によって決まる必要があるため、各仮定についてレンジレート測定値を構成することができる。構成は以下の通りであり得る。n=(tid,rid)を、送信機ノード「tid」および受信機ノード「rid」を指すリンクインデックスであるとする。仮定nの下で、時刻tkでのターゲットTiおよびテレビジョン周波数ライントラックLjなどの、特定のTL(I,j)を考察することができる。この仮定の場合、ライントラックについての構成されたレンジレート測定値およびターゲットについての予測されるレンジレート測定値は、
【0061】
【数8】

【0062】
で与えられる。ここで、(frjは、ライントラックjからの相対周波数測定値であり、(fr,cnは、仮定nの下での搬送波の相対周波数であり、XXは、ターゲット「I」についての速度ベクトルであり、
【数9】

は、仮定nの下でのターゲットIと関連するバイスタティックベクトルである。バイスタティックベクトル
【数10】

は、受信機からターゲットおよび放射器からターゲットを指す(pointing from receiver-to-target and illuminator-to-target)単位ベクトルの和として定義されることができる。この仮定では、関連付けられた搬送波ライントラックが、搬送波について相対周波数測定値を有することを要求される可能性がある。残差測定値は、
【数11】

として定義されることができる。ゲーティング検査は、この残差測定値および以下で述べられるその関連付けされた共分散行列Sに適用されることができる。
【0063】
ゲート410は、スコアリング前に適用されて、ありそうもないCACを、さらなる処理から排除することができる。ゲート410は、ライントラック関連付け機能部400への処理負荷を減らそうとする。ゲート410のゲーティングができなかった任意のCACは、最初のオポチュニティで除去されて、処理効率を増し、無関係なライントラック処理を減らすことができる。ゲート410は、スコアリング前ゲートとして知られている。ゲート410は、CACにおいて、任意のリンクからせいぜい1つのライントラックを可能にするラインゲートを含んでよい。ゲート410のリンクゲートは、ライントラック関連付けオペレーションの現在経路の間に、共通リンクからの複数のライントラックを有するCACを、さらなる処理から除去することができる。
【0064】
ゲート410はまた、TL(I,j)経路について、正規化イノベーション二乗ゲートを適用する正規化イノベーション二乗ゲートを含むことができる。ゲート410の正規化イノベーション二乗ゲートは、ライントラックを通過させるための計算において、T(i)の2次元状態ベクトルと共分散ならびにL(j)についてバッファリングされた検出レポートの測定値データを利用することができる。ゲート410の正規化イノベーション二乗ゲートは、ライントラックを評価する時に、以下のステップを取り入れることができる。最初に、ドップラー残差すなわちy、およびドップラー部分微分すなわちHが、上述したようにライントラックについて計算されることができる。次に、測定値予測共分散行列Sは、
【0065】
【数12】

【0066】
として計算されることができる。ここで、
【数13】

は、存在するターゲットからの事前の2次元状態共分散であり、Hは、ライントラックについての測定値部分行列であり、Rは、ライントラックについての測定雑音行列である。次に、正規化イノベーションを二乗したεが計算され、以下のゲーティング判定基準
ε=yT-1y<γ
が適用される。ここで、γは、対象の測定値タイプをゲーティングするために用いられるために二乗されたシグマの構成可能な数である。これらのステップは、時間遅延ドップラーシフト、および、もし利用できるのであれば、ボアサイトからずれた角度について、繰り返されることができる。
【0067】
ゲート410は、2次元位置ウェッジゲートを含むことができる。ゲート410の2次元位置ウェッジゲートは、バイスタティックレンジおよびボアサイトをはずれた測定値を有するLL(I,j)の組み合わせに適用されることができる。ウェジゲート経路判定基準は、
|θi−θj|≦ηθ
|Ri−Rj|≦ηR
である。ここで、R=.5rb(rb+2Rd)/(rd+(1−cosγ)Rd)であり、θは、円錐到来角度測定値であり、Rは、ターゲットから受信機への散乱信号レンジであり、Rdは、放射器からターゲットまでの直接経路であり、γは、受信機からターゲットへの射線と受信機から放射器への射線の間の角度であり、rbは、バイスタティックレンジ測定値である。ゲート410のゲーティング検査は、L(i)およびL(j)の両方に共通する時間区間にわたる、バイスタティックレンジおよび角度測定値の平均を用いることができ、ここで、L(i)およびL(j)はライントラックである。
【0068】
ゲート410の適用後に、スコアリングおよびトラック初期化機能部412は、バッチ非線形最小二乗(「NLS」)オペレーションを用いて2次元ターゲットトラックを初期化することができ、バッチ適合に基づいてスコアを計算する。スコアリングおよびトラック初期化機能部412は、呼ぶことのできる(callable)モジュールである。スコアリングおよびトラック初期化機能部412のオペレーションは、1つまたは複数のライントラックからのバッファリングされた検出レポートに基づいて初期状態ベクトルおよび共分散行列を推定する。スコアリングおよびトラック初期化機能部412は、2つのサービスを実施することができる。スコアリングおよびトラック初期化機能部412は、CACについてのスコアを計算し、また、トラック初期化データを提供することができる。トラック初期化データは、新しいトラックが形成されるか、または、古いトラックが再初期化される時に用いられることができる。
【0069】
スコアリングおよびトラック初期化機能部412は、NLSバッチ推定器414を取り入れて、テレビジョンライントラックと存在するターゲットトラックとの提案された関連付けについて、スコア「s」を計算するようにする。NLSバッチ推定器414は、1つまたは複数のライントラックの、バッファ406内の検出レポートからの測定値について、ターゲットの状態および状態共分散を計算する。これらの計算は、トラックフィルタリング機能部330に転送されることができる。NLSバッチ推定器414はまた、NLSアルゴリズムを用いてスコアを計算する。NLSバッチ推定器414は、スコアリングおよびトラック初期化機能部412内に取り込まれるのが好ましい。スコアリングおよびトラック初期化機能部412およびNLSバッチ推定器414のオペレーションおよび機能は、図6を参照して、以下により詳細に述べられる。
【0070】
スコアリング後、ゲート416を適用することができる。ゲート416は、スコアリング後ゲートとして知られている。スコアリング後ゲートは、ユーザが供給した閾値に対して正規化されたカイ二乗スコアを検査することができる。ゲート416は、ゲート判定基準、すなわちs≦εncsを満たさないスコアを有するCACを破棄することができる。ゲート416の第2の検査では、テレビジョンライントラックの存在するターゲットトラックへの近似性を考察することができる。平均二乗距離が、構成可能なRMS関連付けゲートの二乗より小さい、すなわち、s2<η2rmsagである場合、この検査が通る。この試験が通らない場合、適合が打ち切られ、提案された関連付けが排除される。したがって、ゲート416は、ユーザが指定したスコアリング判定基準を満たさないライントラック関連付けを除去することによって、ライントラック関連付け機能部400のライントラック関連付けオペレーションをさらに最適化することができる。
【0071】
スコアリングおよびトラック初期化機能部412における、単一リンクの新しいターゲットの初期化後に、トラック初期化確認機能部418は、正規化されたカイ二乗スコアが関係s≦εNCS_SNGLを満たしていることを確認することができる。確認が失敗である場合、新しいターゲットトラックを削除し、次のコヒーレント処理区間で初期化を試みることができるように、関連付けされたライントラックを次に渡すことができる。1つから2つのFMリンクの状態再初期化の場合、初期化確認機能部418によって、速度の大きさおよび加速度の大きさは、関係
【0072】
【数14】

【0073】
を満たすことが保証される。ここで、
【数15】

であり、
【数16】

であり、γvel、γaccは、それぞれ、ターゲットの速度閾値および加速度閾値である。初期化確認機能部418のいずれの確認も失敗である場合、新しいターゲットトラックは削除することができ、次のコヒーレント処理区間更新で初期化を試みることができるように、関連付けされたライントラックを次に渡すことができる。
【0074】
ライントラック割り当て機能部420は、タイプごとに(by type)順次、割り当てアルゴリズムをCACに適用することができる。以下の順序、すなわち、TL(I,j)、LL(I,j)およびL(i)を実施することができるのが好ましい。CACリストは、ゲート410およびゲート416などの全てのゲートを通過したものを含む。アルゴリズムは、以下に記載する順序を有してよい。第1に、ライントラック割り当て機能部420は、初期化確認機能部418からの許容されるCACのリストの中で最も低いスコアを有するCACが指示する割り当てを行うことができる。第2に、ライントラック割り当て機能部420は、先に割り当てたライントラックの1つまたは複数を利用するか、または先に行った新しい割り当てのためにリンクゲートに違反するであろうCACを、リストから除去することができる。第3に、ライントラック割り当て機能部420は、リスト上の全てのライントラックが割り当てられるまで、第1および第2の開示されたステップを繰り返すことができる。割り当てられたライントラック424を生成するこれらのステップ実行する時に、好ましい順序をたどることができる。それゆえ、割り当てられたライントラック424は、ライントラック関連付け機能部400から出力されることができる。
【0075】
したがって、要約すると、ライントラック関連付け機能部400は、CACを用いて、ライントラックをゲーティングし、スコアリングし、割り当てる。ゲーティングオペレーションは、不要な処理または誤りを生ずる可能性のあるライントラックを除去しようとする。ライントラック関連付け機能部400は、NLSバッチ推定器414を用いて各CACをスコアリングする。スコアを用いて、ライントラック関連付け機能部400は、ライントラックを適当に割り当てる。最も低いスコアを有するCACが最初に割り当てられるのが好ましい。
【0076】
図5は、本発明の実施形態により、ライントラック関連付けオペレーションの前にライントラックを前処理するためのフローチャートを示す。ステップ502は、変調ライン試験を行なうことによって実行される。このステップによって、調査下の(under scrutiny)ライントラックが、プロペラなどのブレード変調ラインによって生成されるかが判断される。検査によって、集積したドップラーおよび遅延差から得られたデルタ遅延時系列履歴が発展して線形ランオフになるかが判断され得る。ステップ504は、上述したように、ライントラックが、プロペラなどのブレード変調ラインによって生成されるかを判断することによって実行される。イエスであれば、ステップ506が、ライントラックを除去することによって実行される。イエスであれば、ステップ508が、先入れ先出し待ち行列において、ライントラックについての検出レポートをバッファリングすることによって実行される。ステップ510は、ライントラック関連付けオペレーションに利用可能な、バッファ内のライントラックをマーク付けすることによって実行される。
【0077】
図6は、本発明の別の実施形態によるライントラック関連付けオペレーションについてのフローチャートを示す。図6を参照して開示されるオペレーションおよびステップは、図4で開示した特徴と関係がある場合がある。ステップ602は、関連付けオペレーションのために適当なライントラックを選択することによって実行される。ライントラックは、バッファ406などのバッファを通過後、ライントラック関連付けに利用可能であるとしてマークを付けられることができる。ライントラック関連付けに利用可能であるとマークを付けられているライントラックは、変調ライン試験などの指定された判定基準をすでに満たしているのが好ましい。他の判定基準は、ターゲットトラックに割り当てられていないこと、または、他のライントラック割り当てを全く有していないターゲットトラックに割り当てられていることを含んでもよい。別の可能な判定基準は、ライントラックが現在の検出レポートを有していることであってよい。
【0078】
ステップ604は、TDOA測定値を有していない未割り当てのライントラックをTL(I,j)CACに制限することによって実行される。TDOA測定値を有していないライントラックは、テレビジョン放射器とのリンクである可能性がある。ステップ606は、複数の可能なテレビジョン放射器を特定したチャネルに対して放射器仮定オペレーションを行うことによって実行される。このステップで行なわれる機能は、先の図4のテレビジョン周波数ライントラック仮定試験機能部408を参照してより詳細に開示される。
【0079】
ステップ608は、ライントラック関連付けオペレーションについてTL(I,j)CACを選択することによって実行される。TL(I,j)CACは、現在トラックiがライントラックjと組み合わされるような組み合わせと関係がある。ステップ610〜620において、TL(I,j)CACは、以下でより詳細に開示されるように、本発明の実施形態に従って処理されることができる。ステップ610は、スコアリング前ゲートをライントラックに適用することによって実行されることができる。図4を参照すると、ゲート410が適用され、ゲート410は、ラインゲート、正規化イノベーション二乗ゲート、2次元位置ウェッジゲートなどを含んでよい。ライントラックは、ライントラックがゲートの判定基準を通過しない場合、さらなる考察から除去されることができる。
【0080】
ステップ612は、バッチNLSオペレーションを用いてターゲットトラックを初期化することによって実行される。トラック初期化データは、このステップによって提供されることができる。新しいトラックが形成されるか、または、古いトラックが再初期化される時に、トラック初期化データが用いられることができる。ステップ614は、初期化されたターゲットトラックのバッチ適合に基づいてスコアを計算することによって実行される。初期の状態ベクトルおよび共分散行列は、1つまたは複数のライントラックからのバッファリングされた検出レポートに基づいて推定されることができる。スコア計算オペレーションは、以下でより詳細に開示される。
【0081】
ステップ616は、スコアリング後ゲートを、ゲート416などのスコアリングされたCACに適用することによって実行される。スコアリング後ゲートは、スコアリング判定基準に失敗したCACを排除することができる。ステップ618は、CACスコアに基づいてライントラックを割り当てることによって実行される。先に開示したように、好ましい順序は、CACの間で実施されることができる。開示した実施形態によれば、このステップでは、TL(i,j)の組み合わせを考察する。最も低いスコアを有するTL(i,j)CACが割り当てられる。全てのゲートを通過したCACのみが考察されるのが好ましい。ステップ620は、ステップ618において割り当てられたライントラックの1つまたは複数を利用するCACを除去することによって実行される。ステップ618および620は、全てのTL(i,j)の組み合わせが割り当てられるまで繰り返されることができる。
【0082】
ステップ622は、ライントラック関連付けオペレーションについてLL(i,j)CAC(複数可)を選択することによって実行される。LL(i,j)CACは、新しいターゲットトラックがライントラックIおよびjから確立される組み合わせと関係がある。ステップ624〜634において、LL(i,j)CACは、以下でより詳細に開示されるように、本発明の実施形態に従って処理されることができる。ステップ624は、スコアリング前ゲートをライントラックに適用することによって実行される。図4を参照すると、ゲート410が適用され、ゲート410は、ラインゲート、正規化イノベーション二乗ゲート、2次元位置ウェッジゲートなどを含んでよい。ライントラックは、ライントラックがゲートの判定基準を通過しない場合、さらなる考察から除去されることができる。
【0083】
ステップ626は、バッチNLSオペレーションを用いてターゲットトラックを初期化することによって実行される。トラック初期化データはこのステップによって提供されることができる。新しいトラックが形成されるか、または、古いトラックが再初期化される時に、トラック初期化データが用いられることができる。ステップ628は、初期化されたターゲットトラックのバッチ適合に基づいてスコアを計算することによって実行される。初期の状態ベクトルおよび共分散行列は、1つまたは複数のライントラックからのバッファリングされた検出レポートに基づいて推定されることができる。
【0084】
ステップ630は、スコアリング後ゲートを、ゲート416などのスコアリングされたCACに適用することによって実行される。スコアリング後ゲートは、スコアリング判定基準に失敗したCACを排除することができる。ステップ632は、CACスコアに基づいてライントラックを割り当てることによって実行される。先に開示したように、好ましい順序は、CACの間で実施されることができる。開示した実施形態によれば、このステップでは、LL(i,j)の組み合わせを考察する。最も低いスコアを有するLL(i,j)CACが割り当てられる。全てのゲートを通過したCACのみが考察されるのが好ましい。ステップ634は、ステップ632において割り当てられたライントラックの1つまたは複数を利用するCACを除去することによって実行される。ステップ632および634は、全てのTL(i,j)の組み合わせが割り当てられるまで繰り返されることができる。
【0085】
ステップ636は、ライントラック関連付けオペレーションについてL(i)CACを選択することによって実行される。L(i)CACは、新しいターゲットトラックiがライントラックiから確立される組み合わせと関係がある。ステップ638〜648において、L(i)CACは、本発明の開示した実施形態に従って処理されることができる。ステップ638は、スコアリング前ゲートをライントラックに適用することによって実行される。図4を参照すると、ゲート410が適用され、ゲート410は、ラインゲート、正規化イノベーション二乗ゲート、2次元位置ウェッジゲートなどを含んでよい。ライントラックは、ライントラックがゲートの判定基準を通過しない場合、さらなる考察から除去されることができる。
【0086】
ステップ640は、バッチNLSオペレーションを用いてターゲットトラックを初期化することによって実行される。トラック初期化データはこのステップによって提供されることができる。新しいトラックが形成されるか、または、古いトラックが再初期化される時に、トラック初期化データが用いられることができる。ステップ642は、初期化されたターゲットトラックのバッチ適合に基づいてスコアを計算することによって実行される。初期の状態ベクトルおよび共分散行列は、1つまたは複数のライントラックからのバッファリングされた検出レポートに基づいて推定されることができる。
【0087】
ステップ644は、スコアリング後ゲートを、ゲート416などのスコアリングされたCACに適用することによって実行される。スコアリング後ゲートは、スコアリング判定基準に失敗したCACを排除することができる。ステップ646は、CACスコアに基づいてライントラックを割り当てることによって実行される。先に開示したように、好ましい順序は、CACの間で実施されることができる。開示した実施形態によれば、このステップでは、L(i)の組み合わせを考察する。最も低いスコアを有するL(i)CACが割り当てられる。全てのゲートを通過したCACのみが考察されるのが好ましい。ステップ648は、ステップ646において割り当てられたライントラックの1つまたは複数を利用するCACを除去することによって実行される。ステップ646および648は、全てのL(i)の組み合わせが割り当てられるまで繰り返されることができる。
【0088】
ステップ650は、ステップ604において制限されたTL(i,j)の組み合わせを更新することによって実行される。これらの組み合わせは、テレビジョン放射器とのリンクなどの、TDOA測定値を有していないリンクからのライントラックと関係がある。CACが更新されたので、CACは、ライントラック関連付けオペレーションに対して適格である。ステップ652〜660において、更新されたTL(i,j)CACは、以下でより詳細に開示されるように、本発明の実施形態に従って処理されることができる。その後、ステップ652は、スコアリング前ゲートをライントラックに適用することによって実行される。図4を参照すると、ゲート410が適用され、ゲート410は、ラインゲート、正規化イノベーション二乗ゲート、2次元位置ウェッジゲートなどを含んでよい。ライントラックは、ライントラックがゲートの判定基準を通過しない場合、さらなる考察から除去されることができる。
【0089】
ステップ654は、バッチNLSオペレーションを用いてターゲットトラックを初期化することによって実行される。トラック初期化データはこのステップによって提供されることができる。新しいトラックが形成されるか、または、古いトラックが再初期化される時に、トラック初期化データが用いられることができる。ステップ656は、初期化されたターゲットトラックのバッチ適合に基づいてスコアを計算することによって実行される。初期の状態ベクトルおよび共分散行列は、1つまたは複数のライントラックからのバッファリングされた検出レポートに基づいて推定されることができる。
【0090】
ステップ658は、スコアリング後ゲートを、ゲート416などのスコアリングされたCACに適用することによって実行される。スコアリング後ゲートは、スコアリング判定基準に失敗したCACを排除することができる。ステップ660は、CACスコアに基づいてライントラックを割り当てることによって実行される。先に開示したように、好ましい順序は、CACの間で実施されることができる。開示した実施形態によれば、このステップでは、更新したTL(i,j)の組み合わせを考察する。最も低いスコアを有する更新したTL(i,j)CACが割り当てられる。全てのゲートを通過したCACのみが考察されるのが好ましい。ステップ660は、残りの全ての組み合わせが割り当てられるまで繰り返されることができる。
【0091】
図6は指定された順序で開示されているが、本発明の実施形態は、好ましい実施形態によって制限されない。ゲートを適用するステップ、初期化するステップ、およびスコアリングするステップは、好ましい順序に従って実行される割り当てるステップと同時に実行されることができる。さらに、いったんCACが割り当てられると、CACは、ターゲットトラック関連付けのさらなる考察から除去される。
【0092】
図7は、本発明の実施形態によるターゲットトラックの初期化およびスコアリングのためのフローチャートを示す。ステップ702は、スコアリングオペレーションを行なうためにNLSバッチ推定器を呼び出すことによって実行される。ステップ704は、テレビジョンライントラックを存在するターゲットトラックに関連付けるためにメトリック(metric)を挿入することによって実行される。テレビジョンライントラックを存在するターゲットトラックに関連付ける時に、スコアリングのために付加的なオペレーションが実行されることができるのが好ましい。NLSバッチ推定器414などのNLSバッチ推定器が、テレビジョンライントラックと存在するターゲットトラックとの提案された関連付けのために、スコア「s」を計算するように問われた時点で、付加的なメトリックが実施されることができる。メトリックは、NLS適合を行ってスコアを計算する前に、平均二乗残差によって、テレビジョンライントラックと存在するターゲットトラックとの近似性を示す。平均二乗距離は、
【0093】
【数17】

【0094】
によって計算される。ここで、K2は、考察中のテレビジョンライントラックに属する測定値の添え字集合であり、n2は、K2における測定値の数である。距離は、第1の反復の前にNLSバッチ適合において早期に計算された、正規化残差ykを用いて計算される。
【0095】
ステップ706は、リトレース除去オペレーションを行なうことによって実行される。ライントラックの使用年数(age)が閾値ηageより大きく、周波数レート(Sυ)(Hz/秒の単位)が閾値ηυより小さい時、ライントラックは、リトレースラインであると考えられ、使用不能とフラグを立てられ得る。リトレース除去解析について値が、
υ=αSυ+(1−α)|Δυ/Δt|
で計算されることができる。ここで、α=e-Δt/τ、Δυ=Δ(連続する周波数測定値)、Δt=連続した周波数測定値の時間ステップである。
【0096】
ステップ708は、NLSアルゴリズムをシードする(seed)ことによって実行される。NLSアルゴリズムは、ターゲットの状態および状態共分散の初期シードを要求するであろう反復プロセスである。ターゲット位置の初期シードは、バッチにおける最初の検出を用いて、観察−状態マッピングによって計算されるポイントであってよい。初期速度および加速度はゼロに設定される。ターゲットの状態共分散の初期シードは、初期位置、速度、および加速度の標準偏差、すなわち、
【数18】

を指定する1組の構成パラメータから導出されることができる。これらの関係は、
R=1/2×ctd(ctd+2dD)/2[dD(1−cosγ)+ctd
x=dRsin(θob+θbs
y=dRcos(θob+θbs
として示される。ここで、td=時間遅延測定値(秒)、θob=円錐角度測定値−π/2(ボアサイト(boresight)に対するおよそのターゲット方位角(ラジアン))、θbs=ボアサイト、方位角は、ラジアンである。
【0097】
先に開示したように、NLSバッチ推定器は、1つまたは複数のライントラックのバッファ内の検出レポートからの測定値についてターゲットの状態および状態共分散を計算するように問われる。ステップ710は、測定残差および部分微分を計算することによって実行される。各検出について、測定残差および部分微分は、
【0098】
【数19】

【0099】
によって計算されることができる。ここで、Ykは実際の測定値であり、Gkは計算した測定値であってよく、∂Gk/∂XTは先に生み出された部分微分の式であってよい。
【0100】
ステップ712は、部分微分情報をマッピングし、スケーリングすることによって実行される。部分微分情報は、
【0101】
【数20】

【0102】
を用いて、最終のコヒーレント処理区間にマッピングし直され、
k=1/σ×yk
k=1/σ×Hk
として、測定値標準偏差に従ってスケーリングされることができる。
【0103】
ステップ714は、測定残差および部分微分を累算することによって実行される。測定残差および部分微分は、1組の正規方程式、たとえば、
【0104】
【数21】

【0105】
に累算されることができる。
【0106】
ステップ716は、ターゲットの状態に対する補正のために線形系を解くことによって実行される。ターゲットの状態に対する補正は、線形系
【数22】

を解くことによって計算されることができる。ここで、行列M-1は現在の反復についての計算された状態共分散である。
【0107】
推定値の収束は、二乗平均平方根(「RMS」)、線形予測二乗平均平方根(「LPRMS」)、および相対二乗平均平方根(「RRMS」)を計算することによって決められることができる。以下のステップは、上記値を計算する時の好ましい実施形態を開示する。ステップ718は、真の測定残差と予測測定残差の間のRMSを計算することによって実行される。RMSは、真の測定残差と予測測定残差の間の二乗平均誤差の平方根であり、
【0108】
【数23】

【0109】
として計算されることができる。
【0110】
ステップ720は、LPRMSを計算することによって実行される。線形予測RMSは、状態更新の適用後のRMSの推定値であってよい。LPRMSは、
【0111】
【数24】

【0112】
に従って計算されることができる。
【0113】
ステップ722は、RRMSを計算することによって実行される。相対RMSは、
RRMS=(RMS−LPRMS)/RMS≦εrms
に従う収束について、ユーザ指定の閾値に対して計算され、検査されることができる。解が収束しなかった場合、状態更新が初期状態に付加されることができ、プロセスは、解が収束する、すなわち、反復の最大数IBFに達するまで、繰り返される。
【0114】
ステップ724は、
【0115】
【数25】

【0116】
に従ってスコアを計算することによって実行される。
【0117】
図8は、本発明の実施形態によるライントラック割り当てのためのフローチャートを示す。先に開示したように、スコアリング後、プロセスは、指定された順序に従ってスコアリングされたライントラックを割り当てる。ステップ802は、スコアリングされたCACリストを受け取ることによって実行される。CACおよびライントラックは、割り当てられるのに、全てのゲートおよび判定基準を通過しているはずである。ステップ804は、ターゲットトラックに対して最も低いスコアを有するCACを割り当てることによって実行される。ステップ806は、ステップ804から割り当てられたCACに関連する適当なCACを考察から除去することによって実行される。ステップ808は、全てのライントラックが割り当てられたかを判断することによって実行される。ノーであれば、プロセスは、ステップ804に戻って、次に最も低いスコアを有するCACを割り当てるようにする。イエスであれば、ステップ810は、トラックフィルタリングオペレーションについて割り当てられたライントラックのリストをまとめる(assemble)ことによって実行される。
【0118】
図9は、本発明の実施形態によるトラックフィルタリング機能部を示す。図9は、図3のライントラックフィルタリング機能部330と関係があるライントラックフィルタリング機能部900を示す。トラックフィルタリング機能部900は、トラックフィルタリング機能部330の好ましい実施形態を開示する。しかし、トラックフィルタリング機能部330は、図9で開示される実施形態によって制限されない。トラックフィルタリング機能部900は、拡張カルマンフィルタを利用して、2次元で、また、全ての条件が合えば3次元で、各ターゲットの位置、速度、および加速度を追尾できる。フィルタの初期状態および共分散は、先に開示したライントラック関連付けプロセスにおいて初期化される。フィルタ追尾は、測定値を取り込んでいる各トラックを伝搬させ、ライントラック関連付けを監視して、確実にトラックが有効のままであるようにする。
【0119】
検出レポート902は、トラックフィルタリング機能部900で受け取られる。検出レポート902は、検出レポート302と関係がある可能性がある。アウトライヤー訂正機能部904は、検出レポート902からの測定データを検査して、検出レポートが統計的にトラックと無矛盾であることを保証し、検査に失敗した検出レポートを無視するようにする。アウトライヤー訂正機能部904は、正規化されたイノベーション、または事前の測定残差を計算し、結果をカイ二乗分布閾値と比較することによって利用されることができる。閾値を超えている場合、検出レポートデータは.破棄されることができる。
【0120】
カルマンフィルタ906は、検出レポート902の一連の流れから、状態および状態共分散に対する補正を計算することができる。外挿されたターゲットの状態および状態共分散から始めて、カルマンフィルタ906内のアルゴリズムは、現在のコヒーレント処理区間からの測定情報を用いて状態更新を計算する。フィルタリングプロセスは、予測ステップおよび更新ステップを要求する可能性がある。予測ステップは、測定残差および部分微分の計算を要求する可能性がある。フィルタリングオペレーションは、以下でより詳細に開示される。
【0121】
ターゲット追尾処理システム300は、ターゲットが、ターゲットと関連付けられた最後のライントラックが終わった後、ある時間期間の間、コーストする(coast:惰性で進行する)ことを可能にすることができる。結果として、関連付けられたターゲットまたはライントラックと現在関連付けられているターゲットは、ライントラック関連付け機能部320または400へ渡される。コースト(coasting)ターゲットによって、ターゲットトラックを漏れ落とすことなく、以前に終わったライントラックの妥当な拡張である新しいライントラックをターゲットに関連付けることが可能になる。各時間更新について、ライントラック関連付け機能部320からの出力910は、新しいターゲットについて調べられる。新しいターゲットは、1組の、コーストしている、すなわち関連付けされていないターゲットと比較され、ある距離ゲートより短ければ、新しいターゲットと融合されることができる。ライントラック関連付けが、現在の時間更新について行われた後、コーストターゲット関連付けが実施されることができる。実施されるプロセスは、以下でより詳細に述べられる。
【0122】
図10は、本発明の実施形態による検出レポートフィルタリングのためのフローチャートを示す。ステップ1002は、現在のコヒーレント処理区間について測定値を取り出すことによって実行される。現在のコヒーレント処理区間における各測定値について、値は、
【0123】
【数26】

【0124】
である。ここで、Ykは実際の測定値であり、Gkは計算した測定値であり、∂Gk/∂XTは先に生み出された部分微分の式である。
【0125】
ステップ1004は、状態および状態共分散を更新することによって実行される。状態および状態共分散を補正するための更新オペレーションは、
【0126】
【数27】

【0127】
である。ここで、
【数28】

は、外挿された状態共分散行列であってよく、Hは、測定部分行列であってよい。カルマン利得は、
【数29】

によって与えられ、測定予測残差は、
【数30】

によって与えられ得る。ここで、Rは測定雑音行列である。ターゲットトラックが単一リンクトラックである場合、カルマン利得を計算する前に、測定雑音行列Rにおいて、ドップラー分散を、ドップラー分散スケール係数
【数31】

によってスケーリングする。
【0128】
ステップ1006は、独立な重み係数を付加することによって実行される。独立な重み係数は、「R」測定共分散行列を作るためなどで、場所追尾フィルタにおいて、タイプごとに測定について付加されることができる。たとえば、
【0129】
【数32】

【0130】
である。ここで、Cτ、Cv、Cθ、Cψは、遅延、ドップラー、方位角、および高さ(elevation)測定タイプについての単位無し(unitless)構成パラメータにおける重み係数である。ライン追尾、ライントラック関連付けなどの他の関数は、検出レポート内で指定された分散を用いるのが好ましい。
【0131】
検出レポートが、検出器内で、測定値およびその分散である、τ、σ2τ、v、σ2v、θ、ψ、およびσ2ψを含む時は常に、ウィンドウイング、少しのバイアスなどを考慮するために、分散についてスケール係数が存在してよい。たとえば、
σ2τ=K2τ/SNR・β2
である。
【0132】
ステップ1008は、状態誤差分散について最小範囲(bounds)を確立することによって実行される。測定更新後の状態誤差共分散行列は、おそらく、
P≡[Pij
で与えられる。ここで、I=1、2、…、Nであり、j=1、2、…、Nであり、(σImin≡状態Iについての最小のシグマ(構成パラメータであり得る)である。測定更新後、Pは、σの最小値を満たすように実施されることができる。√Pii<(σiminの場合、a=(σimin/√Piiと設定し、j=1、2、…、Nについて、Pij=aPij、Pji=aPjiと設定する。
【0133】
ステップ1010は、ターゲットの状態更新の間に高度(altitude)ステップサイズを制限することによって実行される。高度ステップサイズは、ENU座標系のターゲットの「Up」成分に対応するフィルタ状態更新値を確認することによって、ターゲットの状態更新の間に制限されることができる。
【数33】

の場合、差の表れに応じてUti=Uti-1+γzstepまたはUti=Uti-1+γUstepと設定する。ここで、zti=現在更新時刻でのターゲットの位置のUp成分、zti-1=以前の更新時刻でのターゲットの位置のUp成分、yUstep=ターゲットの状態更新についての最大Upステップサイズ、である。
【0134】
ステップ1012は、対数−尤度関数を計算することによって実行される。対数−尤度関数は、λk=λk-1+yTk-1kに従って各コヒーレント処理区間で計算されることができる。ステップ1014は、対数−尤度関数を正規化することによって実行される。正規化された対数−尤度関数は、
【数34】

として計算されることができる。ここで、nはλkに取り込まれる観測結果の総数である。
【0135】
ステップ1016は、関連付け解除(dissociation)解析を行うことによって実行される。FMライントラック使用年数が指定されたレベルに達するか、または、それを超えている場合、第2の指定閾値を用いて、当業者に知られている検査を適用することができる。FMライントラックがこの検査に失敗する場合、FMライントラックは、変調ライントラックとしてタグ付けされ、場所トラックの一部である場合、トラックは終了することができる。
【0136】
たとえば、ターゲットトラックの使用年数が、構成可能な時間期間より大きい、Tagellhである場合(τllh=対数−尤度検査を行う前の最小ターゲット使用年数)、正規化された対数−尤度関数は、閾値と比較されることができる。すなわち
【数35】

である。閾値をはずれる場合、ライントラックは、以下に開示されるように、関連付け解除されることができる。
【0137】
複数のFMおよびテレビジョンライントラックからなる探索(location)トラックについて、対数−尤度検査が失敗した時に、オペレーションを実施することができる。ライントラックについての仮定は、FMライントラックが、遅延、ドップラー、および到来角度測定値を含む検出レポートからなり、テレビジョンライントラックがドップラー測定値のみを含む検出レポートからなることである。信号電力および信号対雑音比の推定値もまた、検出レポートに含まれることができる。角度のないFMライントラックを、テレビジョンライントラックとして扱うことができる。このアクションは、探索トラックの一部であると考えられるFMライントラックが、FM変調ライントラックであると宣言される時にとることができる関連付け解除アクションとは異なってよい。
【0138】
以下の指針は、関連付け解除ロジックを述べる。便宜のために、「トラック」は、問題の探索トラックを指し、「検査」は、対数−尤度検査を指す。トラックが、単一のFMライントラックおよび1つまたは複数のテレビジョンライントラックからなる場合、ライントラックが検査に失敗したかどうかにかかわらず、トラックは、FMライントラックを用い、テレビジョンライントラックを破棄して再初期化されることができる。トラックが、2つ以上のライントラックおよび任意の数のテレビジョンライントラックからなる場合、検査を失敗したライントラックは、破棄されることができる。トラックが、2つのFMライントラックからなり、テレビジョンライントラックがない場合、トラックは、再初期化されることができる。トラックがテレビジョンライントラックからなる場合、トラックは終了することができる。
【0139】
ステップ1018は、ターゲットが妥当であることを保証するために、妥当性確認を行うことによって実行される。このステップは、以下でより詳細に開示される。ステップ1020は、更新されたターゲットの位置および速度の垂直成分を補正することによって実行される。2次元ターゲットトラックの場合、垂直成分を補正することができる。更新されたターゲットの位置および速度の垂直成分が更新されて、すなわち、xuおよびxu2であって、地球の曲率が考慮されることが好ましい。
【0140】
図11は、本発明の実施形態に従って、ターゲットについて妥当性確認を行うためのフローチャートを示す。図11は、図10のステップ1018と関係がある。しかし、ステップ1018は、図11によって開示される実施形態によって制限されない。ステップ1102は、水平位置ステップ更新を比較することによって実行される。上述からの
【数36】

を、現在のコヒーレント位置区間についてのターゲットの状態ベクトルに対する計算された更新であるとすることによって、全てのターゲットについて、距離閾値に対して、水平位置ステップ更新が確認されることができる。
【数37】

を、ターゲットの状態ベクトルからの位置ベクトルとする。水平位置ステップは、
【数38】

として確認されることができる。ここで、γposはターゲットの位置ステップ閾値である。ステップ1104は、位置確認が通ったかを判断することによって実行される。ノーである場合、ステップ1106が、ターゲットの位置閾値にほぼ等しい位置についてターゲットの状態ベクトルを更新することによって実行される。イエスである場合、ステップ1108が実行される。
【0141】
ステップ1108は、初期状態解の速度の大きさを計算することによって実行される。全てのターゲットについて、初期状態解の速度の大きさを計算することができるのが好ましい。ステップ1110は、
【0142】
【数39】

【0143】
として、速度の大きさを速度閾値と比較することによって実行される。ここで、
【数40】

γvel=ターゲットの速度閾値、である。ステップ1112は、ターゲットについて速度確認が通ったかを判断することによって実行される。ノーである場合、ステップ1114が、ターゲットトラックを削除し、その関連付けられたライントラックを次に渡すことによって実行され、こうして、このステップにより、次のコヒーレント処理区間更新で初期化するようにされる。別法として、ターゲットトラックは、現在関連付けられているライントラックを用いて初期化されることができる。構成スイッチ、Mvel_accは、確認が失敗した場合、どのオペレーションを実行するかを指示することができる。
【0144】
ステップ1112がイエスである場合、ステップ1116が、初期状態解の加速度の大きさを計算することによって実行される。全てのターゲットについて、初期状態解の加速度の大きさが計算されることができることが好ましい。ステップ1118は、
【0145】
【数41】

【0146】
として、加速度の大きさを加速度閾値と比較することによって実行される。ここで、
【数42】

γacc=ターゲットの加速度閾値、である。ステップ1120は、ターゲットについて加速度確認が通ったかを判断することによって実行される。ノーである場合、ステップ1124が、ターゲットトラックを削除し、その関連付けられたライントラックを次に渡すことによって実行され、こうして、このステップにより、次のコヒーレント処理区間更新で初期化するようにされる。別法として、ターゲットトラックは、現在関連付けられているライントラックを用いて初期化されることができる。構成スイッチ、Mvel_accは、確認が失敗した場合、どのオペレーションを実行するかを指示することができる。ステップ1120がイエスである場合、ステップ1122が、ターゲットが妥当であることを指示することによって実行され、ターゲット外挿または他の処理のために渡されることができる。
【0147】
図12は、本発明の実施形態に従って、コーストターゲットを関連付けるためのフローチャートを示す。コーストターゲット関連付け機能部908などのコーストターゲット関連付け機能部を取り入れる、システム300などのターゲット追尾処理関数は、ターゲットに関連付けられた最後のライントラックが終了した後の構成可能な時間期間の間、ターゲットがコーストすることを可能にする。結果として、関連付けられたターゲットまたはライントラックと現在関連付けられているターゲットは、ライントラック関連付け機能部320などのライントラック関連付け機能部へ渡されることができる。コーストターゲットによって、ターゲットトラックを漏れ落とすことなく、以前に終わったライントラックの妥当な拡張である新しいライントラックをターゲットに関連付けることが可能になる。各時間更新について、ライントラック関連付け機能部からの出力は、新しいターゲットについて調べられ得る。新しいターゲットは、1組の、コーストしている、すなわち関連付けされていないターゲットと比較され、ある距離ゲートより短ければ、新しいターゲットと融合されることができる。ライントラック関連付けが、現在の時間更新について行われた後、コーストターゲット関連付けが実施されることができる。図9のトラックフィルタリング機能部900の要素として開示したが、コーストターゲット関連付け機能部は、トラックフィルタリング機能部の外で実施され、ターゲット追尾処理システム300内のどこにでも構成されることができる。以下に開示されるコーストターゲットオペレーションは、現在のコヒーレント処理区間において関連付けされていない各ターゲットのためのものであってよい。
【0148】
ステップ1202は、許容可能なコースト期間が切れたか、すなわち、(tcurrent−tcoast)>τcoastであるかを確認することによって実行される。ステップ1204は、コースト期間が切れたかを判断することによって実行される。イエスである場合、ステップ1206が、ターゲットを終了させることによって実行される。ステップ1208は、現在のコヒーレント処理区間において次の関連付けされていないターゲットに進むことによって実行される。
【0149】
ステップ1204がノーである場合、ステップ1210が、速度確認を行うことによって実行される。全てのターゲットについて、初期状態解の速度の大きさが計算され、
【数43】

として、速度閾値と比較されることができるのが好ましい。ここで、
【数44】

の状態解の2次元または3次元速度ベクトル、γvel=ターゲットの速度閾値、である。速度確認が失敗した場合、ターゲットトラックを削除し、その関連付けられたライントラックを次に渡し、こうして、次のコヒーレント処理区間更新で初期化するか、または、現在関連付けされているライントラックを用いてターゲットを再初期化するようにする。構成スイッチ、Mvel_accは、確認が失敗した場合、どの方法を実行するかを指示することができる。
【0150】
速度確認が妥当である場合、ステップ1212は、加速度確認を行うことによって実行される。全てのターゲットについて、初期状態解の加速度の大きさが計算され、
【数45】

として、加速度閾値と比較されることができるのが好ましい。ここで、
【数46】

γacc=ターゲットの加速度閾値、である。加速度確認が失敗した場合、ターゲットトラックを削除し、その関連付けられたライントラックを次に渡し、こうして、次のコヒーレント処理区間更新で初期化するか、または、現在関連付けられているライントラックを用いて初期化するようにする。構成スイッチ、Mvel_accは、確認が失敗した場合、どの方法を実行するかを指示することができる。
【0151】
ステップ1214は、関連付けされていないターゲットに対して、現在のターゲットの状態予測に基づいて時間遅延、ドップラー、および到来角度の予測測定値を計算することによって実行される。ライントラック関連付け機能部によって報告された1組の新しいターゲットは、現在のコヒーレント処理区間の間にループで回される(loop over)ことができる。ステップ1216は、新しいターゲットの遅延、ドップラー、および到来角度のターゲット測定値と関連付けされていない、すなわちコーストしているターゲットの、遅延、ドップラー、および到来角度の測定値を
【数47】

によって比較することによって実行される。ここで、
【数48】

は、新しいターゲットについての最新の検出された測定値であり、
【数49】

は、コーストターゲット測定ゲートである。さらに、ターゲット方位についての比較、すなわち、
【数50】

を行うことができる。ここで、γBcoastは、コーストターゲット方位ゲートである。ステップ1218は、比較された新しいターゲットと関連付けされていないターゲットが、先に開示した条件を満たすかを判断することによって実行される。ノーである場合、ステップ1220は、次の関連付けされていないターゲットに進むことによって実行される。イエスである場合、ステップ1222は、新しいターゲットと関連付けされていないターゲットの対を可能なコーストターゲット関連付けのリストに加えることによって実行される。
【0152】
ステップ1224は、仮想コーストフラグを確認することによって実行される。後続のオペレーションは、仮想コーストフラグの状態によって決まる。仮想コーストは、新しいターゲットがコーストターゲットと関連付けられた時にターゲット識別の連続性を維持するようにすることができる。ステップ1226は、仮想コーストフラグが真であるかを判断することによって実行される。イエスである場合、ステップ1228は、コーストターゲットからターゲット識別情報を抽出することによって実行される。ステップ1230は、コーストターゲットを終了させることによって実行される。ステップ1232は、新しいターゲットのターゲット識別情報を、コーストターゲットのターゲット識別情報に再設定し、一方、ファイル出力、スクリーン上のバーンイントラックなどの、以前にコーストターゲットに関連付けられた全てのデータとの連続性を維持することによって実行される。ステップ1226がノーである場合、ステップ1234は、新しいターゲットライントラックを、関連付け解除し、関連付けされていないターゲットに関連付けることによって実行される。ステップ1236は、新しいターゲットトラックを終了させることによって実行される。
【0153】
次に、開示した実施形態によれば、PCLアプリケーション用の集中方式で関連付けし追尾するシステムおよび方法が開示される。開示した実施形態は、入力として、検出レポートおよび他の情報を受け取り、検出レポートを存在するライントラックに関連付け、検出レポート内のデータに従って、新しいライントラックを生成するか、または、ライントラックを終了させる。検出レポ−トは、PCLシステムによって追尾されている、可能性のあるターゲットから反射された信号についてのデータを含む。開示した方法、プロセス、およびアルゴリズムは、ターゲットトラック推定技法を改良する。位置、速度、加速度は、PCLシステムによって検出されたターゲットについて推定されることができる。ターゲットトラック処理を、開示した実施形態によって改良することができる。したがって、ターゲットは、より効率的な方法で、識別され、追尾されることができる。
【0154】
開示した実施形態によれば、検出レポートは、ターゲット追尾処理システムで受け取ることができる。検出レポートは、早期の処理オペレーションにおいてターゲットエコーと関連付けられたライントラックとに関係がある測定値を含む。さらに、パラメータおよびオブザーバブルなどの他の情報は、ターゲット追尾処理システムによって受け取られることができる。ターゲット追尾処理システムは、検出レポート内の測定値に従って、ライントラックについて、ライントラック関連付け機能部およびトラックフィルタリング機能部を実施することができる。ライントラック関連付け機能部は、ライントラックのCAC(複数可)をスコアリングし、ターゲットトラックに対するスコアに従ってライントラックを割り当てる。ライントラック関連付け機能部は、ライントラックに従って新しいターゲットトラックを初期化することもできる。トラックフィルタリング機能部は、検出レポート内の受け取った測定値に従って、ターゲットトラックを検査し、伝搬させることができる。これらのオペレーションはまた、追尾のために、ターゲットパラメータを予測し、評価するのに役立つ。ターゲットパラメータは、伝搬させられ、更新されたターゲットトラックから外挿され、ユーザのためにディスプレイに供給されるか、または、さらに処理を行うために、PCLシステムに戻されることができる。
【0155】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の開示した実施形態において種々の変更および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付特許請求項およびその等価物の範囲に入る限りにおいて、本発明の変更および変形を具体化することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の実施形態による、レーダシステム、ターゲット、および送信機のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による、パッシブコヒーレント探索システムについてのコンポーネントのブロック図である。
【図3A】本発明の実施形態による、PCLシステム内でターゲットを集中式で関連付けおよび追尾するシステムのブロック図である。
【図3B】本発明の実施形態による、バイスタティク時間遅延およびバイスタティックドップラーの計算に用いられる幾何学的形状の概観図である。
【図3C】本発明の実施形態による、入ってくる信号の到来角度を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による、ライントラック関連付け機能部を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による、ライントラック関連付けオペレーションのためのフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態による、ライントラック関連付けオペレーションのためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態による、ターゲットトラックを初期化およびスコアリングするためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態による、ライントラックを割り当てるためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態による、ライントラックを割り当てるためのブロック図である。
【図10】本発明の実施形態による、検出レポートをフィルタリングするためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態による、ターゲットについて妥当性の確認を行うためのフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態による、コーストターゲットを関連付けるためのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブコヒーレント探索システム内で、ターゲットに関連する測定値を有する検出レポートと関係があるターゲットトラックをフィルタリングする方法であって、
前記検出レポートについて、ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算する工程、
前記補正を用いて前記ターゲットの状態および前記状態共分散を更新する工程、および
更新された前記ターゲットの状態および更新された前記状態共分散を用いて前記ターゲットトラックを伝搬させる工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ターゲットトラックを編集する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定値に重み係数を付加する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更新された前記ターゲットトラックについて、少なくとも1つの妥当性確認を行う工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲットトラックが前記少なくとも1つの妥当性確認に失敗する時、前記ターゲットトラックを除去する工程をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ターゲットについて、ターゲットのパラメータを推定するシステムであって、
測定値を含む検出レポートと、
前記検出レポートと関係があるライントラックをターゲットトラックに関連付けるライントラック関連付け機能部と、
前記測定値に従って、前記ターゲットトラックを伝搬させるトラックフィルタリング機能部と、
前記ターゲットトラックおよび前記測定値から前記ターゲットパラメータを計算するターゲット外挿関数と
を含むシステム。
【請求項7】
前記ライントラック関連付け機能部は、前記ライントラックについて状態ベクトルおよび共分散行列を生成する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記トラックフィルタリング機能部は、前記状態ベクトルおよび前記共分散行列を伝搬させる請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ターゲットデータ外挿機能部は、前記伝搬した状態ベクトルおよび前記伝搬した共分散行列から前記ターゲットパラメータを外挿する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ライントラック関連付け機能部は前記ライントラックをスコアリングする請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記ライントラック関連付け機能部は、前記スコアに従って、前記ライントラックを前記ターゲットトラックに割り当てる請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記スコアを生成する非線形最小二乗バッチ推定器をさらに備える請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ターゲットパラメータを含む出力をさらに備える請求項6に記載のシステム。
【請求項14】
前記出力はディスプレイに送信される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記トラックフィルタリング機能部はカルマンフィルタを含む請求項6に記載のシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの検出レポートからのライントラックに関連付けられるターゲットトラックをトラックフィルタリングするシステムであって、
ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算するフィルタであって、前記フィルタは、前記少なくとも1つの検出レポートからの測定残差および測定値の偏微分を計算する手段を用いて前記ターゲットトラックを更新する、フィルタと、
速度の大きさ成分および加速度の大きさ成分を用いて、前記更新されたターゲットトラックを確認する妥当性チェッカと
を備えるシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの検出レポートからの前記測定値を検査するアウトライヤー編集器をさらに備え、前記アウトライヤー訂正機能部は、前記検査が失敗した場合に前記ターゲットトラックを捨てる請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記測定値について、前記フィルタ内で重み係数をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記ライントラックを含む複数のライントラックからなるターゲットトラックを分解する関連付け解除関数をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
特定の時間からなる期間の間、前記ターゲットトラックをコーストさせるコーストターゲット関連付け機能部をさらに含む請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
パッシブコヒーレント探索システム内で、ターゲットに関連する測定値を有する検出レポートと関係があるターゲットトラックをフィルタリングするシステムであって、
前記検出レポートについて、ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算する手段と、
前記補正を用いて前記ターゲットの状態および前記状態共分散を更新する手段と、
前記更新されたターゲットの状態および前記更新された状態共分散を用いて前記ターゲットトラックを伝搬させる手段と
を備えるシステム。
【請求項22】
コンピュータ可読コードを中に組み込んでいるコンピュータ使用可能媒体を備え、パッシブコヒーレント探索システム内で、ターゲットに関連する測定値を有する検出レポートと関係があるターゲットトラックをフィルタリングするためのコンピュータプログラム製品であって、
コンピュータによって実行されると、
前記検出レポートについて、ターゲットの状態および状態共分散に対する補正を計算するステップ、
前記補正を用いて前記ターゲットの状態および前記状態共分散を更新するステップ、および
更新された前記ターゲットの状態および更新された前記状態共分散を用いて前記ターゲットトラックを伝搬させるステップ
を含む複数のステップを実行させるようになっているコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−134256(P2008−134256A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337637(P2007−337637)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【分割の表示】特願2002−588221(P2002−588221)の分割
【原出願日】平成14年5月3日(2002.5.3)
【出願人】(503148122)ロッキード・マーティン・コーポレイション (6)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】700 N. Frederick Avenue, Gaithersburg, MD 20879, U.S.A.
【Fターム(参考)】