説明

パッチ転写媒体の製造方法、パッチ転写媒体及びパッチ転写繊維質素材

【課題】
繊維質素材へ容易に転写でき、転写後には最表面の耐久性、特に耐擦傷性に優れるパッチ転写媒体、パッチ転写媒体の製造方法及びパッチ転写繊維質素材を提供する。
【解決手段】
(1)透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18を設けた転写材10準備工程と、(2)支持材30準備工程と、(3)転写材10への剥離層14及び離型層13形成工程と、(4)離型層13面と支持基材31面とを接着剤層29を介して積層する積層体50工程と、(5)転写材10へ設けた印刷層18面へ接着層19形成工程と、(6)剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19からなる構成を転写部23とし、該転写部23をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が離型層13面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程と、とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッチ転写媒体の製造方法に関し、さらに詳しくは、Tシャツ等の繊維素材に重ねてアイロン等で加熱加圧することで転写することのできるパッチ転写媒体の製造方法、製造されたパッチ転写媒体、該パッチ転写媒体を用いたパッチ転写繊維質素材に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、「ホログラム」は「ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明のパッチ転写媒体の製造方法、該製造方法で製造されたパッチ転写媒体、該パッチ転写媒体用いてパッチを転写してなるパッチ転写繊維質素材(媒体)の主なる用途としては、例えば、Tシャツなどの衣類、カートン、ケース、外装紙などの包装材類、バッグ類などの装身具、鑑賞券、グリーティングカード、封筒、タグ、しおり、カレンダー、ポスター、パンフレット、ネームプレート、レポート用紙など文具類、建材、パネル、エンブレム、履物、靴などの類などがある。しかしながら、転写後にはハードコート機能を有する剥離層が最表面となって、耐擦傷性に優れ、かつ意匠性に優れるホログラム及び印刷層を有するパッチをアイロン等で加熱加圧することで転写が容易にできる用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)近年、個人の好みが多様化し個性化が進み、多くの個人向け商品は多品種小ロット生産の傾向が高まっている。ステーショナリーやアパレル製品では、個性的な製品までが要望されている。しかしながら、従来の布や紙などの繊維質素材、例えばTシャツへの装飾の形成は直接スクリーン印刷するか、転写紙へオフセットやスクリーン印刷法で印刷した後に、Tシャツへ転写する方法のために、転写後には装飾がが最表面となって耐久性に劣るという問題点があった。また、装飾面へ、熱転写性樹脂層を有する保護層熱転写フィルムを重ね合わせ、アイロンや加熱ロール等を用いて、透明性を有する熱転写性樹脂層を転写させ、装飾上に保護層を形成することが行われている。しかしながら、上記の保護層はアイロン又は熱ロールによる転写時に、部分的に転写する必要があることから、箔切れ性を有する必要がある。この場合、保護層を数ミクロン程度の厚さの樹脂膜にせざるを得ないことから、強靱な耐擦傷性、耐薬品性等の耐久性を持たせることが出来ないという欠点があった。さらに、PETやOPPフィルムと共に転写するタイプもあるが、該フィルムは特に鋭利なものによる耐擦傷性に劣り、傷付き易いという問題点があった。
従って、布や紙などの繊維質素材への装飾であって、意匠性に優れるホログラム及び印刷層を有するパッチをアイロン等で加熱加圧した後に、前記支持基材及び離型層を剥離し除去することで、前記離型層と前記剥離層との間で剥離し、前記パッチが前記被転写体へ転写されてなり、最表面が前記剥離層となることで耐擦傷性に優れ、かつ意匠性に優れるホログラムを有するパッチ転写媒体、パッチ転写媒体の製造方法及びパッチ転写繊維質素材が求められている。
【0005】
(先行技術)従来、本出願人は基材、剥離性樹脂層、ハードコート機能を兼ねたホログラム層、透明反射層及び接着層を設けてなるホログラム転写箔が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、転写時には部分的な転写であり、箔切れ性をよくするために、ホログラム層を数ミクロン程度の厚さの樹脂膜にせざるを得ず、媒体の表面へ転写されて最表面となり、多数回の繰り返し使用されると、強靱な耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に欠けるという欠点がある。
また、Tシャツ等の表面に加熱したアイロンにて押さえることで転写する熱転写シートであって、Tシャツ等に転写された転写シートのカラートナー画像が表面化しないように構成した撥水性熱転写シートが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、強靱な耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に欠けるという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開2008−9134号公報
【特許文献2】特開2004−232148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、布や紙などの繊維質素材への装飾であって、意匠性に優れるホログラム及び印刷層を有するパッチをアイロン等で加熱加圧した後に、支持基材及び離型層を剥離し除去することで、離型層と剥離層との間で剥離し、転写が容易にでき、かつ、転写後にはハードコート機能を有する剥離層が最表面となって耐擦傷性に優れるパッチ転写媒体、パッチ転写媒体の製造方法及びパッチ転写繊維質素材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるパッチ転写媒体の製造方法は、(1)透明基材と、該透明基材の一方の面にホログラム層、透明反射層及び印刷層を設けてなる転写材を準備する転写材準備工程と、(2)支持基材からなる支持材を準備する支持材準備工程と、(3)前記転写材における透明基材のホログラム層と反対の面へ、剥離層及び離型層を設ける剥離層及び離型層形成工程と、(4)前記離型層面と前記支持材の支持基材面とを、接着剤層を介して積層して積層体とする積層工程と、(5)前記積層体の前記印刷層面へ、ホットメルトからなる接着層を設ける接着層形成工程と、(6)前記剥離層、透明基材、ホログラム層、透明反射層、印刷層及び接着層からなる構成を転写部とし、該転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが離型層面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程と、からなるように、したものである。
請求項2の発明に係わるパッチ転写媒体は、請求項1に記載のパッチ転写媒体の製造方法で製造されたパッチ転写媒体であって、前記剥離層、透明基材、ホログラム層、透明反射層、印刷層及び接着層から構成される転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記離型層面へ剥離可能に積層されてなり、前記離型層はアクリレート系樹脂を主成分とし、前記剥離層はメタアクリレート系樹脂とポリエチレンワックスを主成分とするように、したものである。
請求項3の発明に係わるパッチ転写繊維質素材は、請求項2に記載のパッチ転写媒体の前記接着層面と繊維質素材からなる被転写体とを重ね合わせて、アイロンで加熱加圧した後に、前記支持基材及び離型層を剥離し除去することで、前記離型層と前記剥離層との間で剥離し、前記パッチが前記被転写体へ転写されてなり、最表面が前記剥離層となることで耐擦傷性に優れ、かつ意匠性に優れるホログラムを有するように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、布や紙などの繊維質素材への装飾であって、意匠性に優れるホログラム及び印刷層を有するパッチをアイロン等で加熱加圧した後に、前記支持基材及び離型層を剥離し除去することで、前記離型層と前記剥離層との間で剥離し、前記パッチが前記被転写体へ転写できるパッチ転写媒体の製造方法が提供される。
請求項2の本発明によれば、パッチをアイロン等で加熱加圧した後に、前記支持基材及び離型層を剥離し除去することで、前記離型層と前記剥離層との間で剥離し、前記パッチが前記被転写体へ転写できるパッチ転写媒体が提供される。前記離型層はアクリレート系樹脂を主成分とし、前記剥離層はメタアクリレート系樹脂とポリエチレンワックスを主成分とする2層を用いることで、前記パッチを前記被転写体へ転写する際に、前記離型層と前記剥離層との間で、容易に安定して剥離でき被転写体へ転写される。
従来の離型層又は剥離層の1層構成では、離型層又は剥離層と接している他の層との間で剥離するが、他の層はそれぞれの機能を受け持っており、剥離はするが、層の受け持つ機能が重視されているので、剥離の剥離力の制御は副次的で制御しにくく、また、剥離の安定性も低いが、この欠点を解消することができる。
請求項3の本発明によれば、また、剥離した前記剥離層が最表面となり、剥離層は保護層を兼ねているので耐擦傷性に優れ、かつ意匠性に優れるホログラムを有するパッチ転写繊維質素材が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法を示すステップ図である。
図2は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ1の転写材準備工程で準備する転写材の断面図である。
図3は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ2の支持材準備工程で準備する支持材の断面図である。
図4は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ3の剥離層及び離型層形成工程後の断面図である。
図5は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ4の積層工程後の積層体の断面図である。
図6は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ5の接着層形成工程後の積層体の断面図である。
図7は、本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ6のハーフカット工程後の本発明のパッチ転写媒体の断面図である。
図8は、本発明のパッチ転写媒体を用いて繊維質基材への転写を説明する説明図である。
図9は、本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示すパッチ転写繊維質素材の断面図である。
【0011】
(画像形成方法)次に、本発明のパッチ転写媒体の製造方法について説明する。本発明のパッチ転写媒体の製造方法は、図1に示すように、ステップ1S1の(1)透明基材11と、該透明基材11の一方の面にホログラム層15、透明反射層17及び印刷層18を設けてなる転写材10を準備する転写材準備工程と、ステップ2S2の(2)支持基材31からなる支持材30を準備する支持材準備工程と、ステップ3S3の(3)前記転写材10における透明基材11のホログラム層15と反対の面へ、剥離層14及び離型層13を設ける剥離層及び離型層形成工程と、ステップ4S4の(4)前記離型層13面と前記支持材30の支持基材31面とを、接着剤層29を介して積層して積層体50とする積層工程と、ステップ5S5の(5)前記積層体50の前記印刷層18面へ、ホットメルトからなる接着層19を設ける接着層形成工程と、ステップ6S6の(6)前記剥離層14、透明基材11、ホログラム層15、透明反射層17、印刷層18及び接着層19からなる構成を転写部23とし、該転写部23をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が離型層13面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程と、からなっている。
【0012】
(ステップ1)ステップ1S1は、(1)透明基材11と、該透明基材11の一方の面にホログラム層15、透明反射層17及び印刷層18を設けてなる転写材10を準備する転写材準備工程である。転写材10は図2に示すような構成となる。
【0013】
(透明基材)透明基材11としては、ハーフカット処理された部分を境界にして、剥離層14、透明基材11、ホログラム層15、透明反射層17、印刷層17及び接着層19からなる構成を転写部23の1部として切断されパッチ21となって、被転写体である繊維質基材101へ転写されて、剥離層14とともに保護機能を発現する。透明性と、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性を有するものであれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどが例示できる。該透明基材11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。
【0014】
また、該透明基材11は、延伸又は未延伸のフィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。厚は、通常2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜25μmが好適である。該透明基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えてもよい。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルムが、耐熱性、機械的強度がよいため好適に使用され。
【0015】
(ホログラム層)ホログラム層15としては、電離放射線硬化樹脂を主成分とし、必要に応じてシリコーンやフィラーなどの添加物を含ませてもよい。
【0016】
該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
【0017】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では電離放射線硬化性樹脂組成物Mと呼称する)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
【0018】
(ホログラム層の形成)ホログラム層15の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂を主成分とし、必要に応じてシリコーンやフィラー、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、ホログラム(レリーフ)を賦型後に電離放射線で反応(硬化)させればよい。ホログラム層15の厚さは、通常、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μmである。
【0019】
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定の微細な凹凸(レリーフ構造)を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0020】
ホログラム層15面へ、レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0021】
また、ホログラム層15に形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(微細な凹凸=レリーフ構造=ホログラム)となる。
【0022】
(透明反射層)透明反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、透明反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率より高く又は低ければ、特に限定されない。該透明反射層17としては、真空薄膜法などによる透明反射層である。透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
【0023】
(印刷層)印刷層18としては、特に限定されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの公知の印刷法で、印刷すればよい。印刷図柄の色も特に限定されず、カラー、単色、複色、マタリックなどいずれでもよく、画像のパターンも特に限定されず、文字、記号、数字、イラスト、写真などいずれでもよい。図柄は転写されて基材11面から観察されるので、正常に観察できるように印刷すればよい。これを用いて、例えばTシャツへ転写すれば、好みに応じたホログラムと図柄を有するTシャツができる。
【0024】
(ステップ2)ステップ2S2は、(2)支持基材31からなる支持材30を準備する支持材準備工程である。支持材30は図3に示すような構成となる。
【0025】
(支持基材)支持基材31としては、特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、コート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどのフィルムが例示できる。
【0026】
支持材30となる支持基材31は10μm〜100μmの厚みのものが好ましく、シート基材が薄すぎると得られるパッチ転写媒体20のいわゆるコシがなくなり、熱転写プリンターで搬送できなかったり、パッチ転写媒体20にカールやシワが発生したりする。一方、支持材30が厚すぎると、得られるパッチ転写媒体20が厚くなりすぎ、熱転写プリンタで搬送駆動させる力が大きくなりすぎて、熱転写プリンタに故障が生じたり、正常に搬送できなかったりする。
【0027】
(耐熱滑性層)パッチ転写媒体20では、必要に応じて、支持基材31の接着剤層29面と反対面に耐熱滑性層や帯電防止層などの他の層を設けてもよく、その際にプライマ層を介してもよい。
パッチ転写媒体20を用いて繊維質基材101へ転写はサーマルヘッドやヒートロール等の熱転写プリンタが用いるので、その熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けるのが好ましい。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0028】
また、耐熱滑性層に添加、又は上塗りする滑り性付与剤としては、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、支持基材31の背面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等で塗布し乾燥して形成すればよい。
【0029】
(ステップ3)ステップ3S3は(3)前記転写材10における透明基材11のホログラム層15と反対の面へ、剥離層14及び離型層13を設ける剥離層及び離型層形成工程であり、図4に示すような構成となる。
【0030】
(剥離層)剥離層14としては通常、弗素系樹脂、シリコーン、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、繊維素系樹脂などの離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などを用いるが、本願発明では、アクリル系樹脂とポリエチレンワックスとを主成分とする。アクリル系樹脂としてはポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタアクリル酸ブチルなどのメタアクリレート系樹脂が例示でき、メチルメタアクリレート樹脂(ポリメタクリル酸メチル)などのポリメタアクリル酸エステル樹脂をが好ましい。
【0031】
(ポリエチレンワックス)ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。粒子の大きさとしては、剥離層14の厚さと同等か、又はより大きめで、剥離層14の表面へ露出する程度が耐擦傷性の点で好ましい。その添加量は、アクリル系樹脂:ポリエチレンワックス=100質量部:0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。この範囲未満では耐擦傷性に劣り、この範囲を超えては透明性が悪くなる。
【0032】
(剥離層の形成)剥離層14は、メタアクリレート系樹脂とポリエチレンワックスを主成分とし、必要に応じて添加剤を、溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥して剥離層14とする。剥離層14の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度、好ましくは3μm〜10μm程度である。複数回の塗布でもよい。
【0033】
(離型層)離型層13としては、アクリレート系樹脂を主成分とし、該アクリレート系樹脂としてはポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレートなどのポリアクリル酸エステル樹脂が好ましい。
【0034】
(離型層の形成)離型層13は、ポリアクリル酸エステル樹脂を主成分とし、必要に応じて添加剤を、溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコートなどの公知のコーティング方法で、塗布し乾燥して離型層13とする。離型層13の厚さとしては、通常は0.1μm〜20μm程度、好ましくは1μm〜10μm程度である。複数回の塗布でもよい。該厚さは薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
【0035】
(離型層と剥離層)即ち、アクリレート系樹脂を主成分とする離型層13と、メタアクリレート系樹脂とポリエチレンワックスを主成分とする剥離層14とを組み合わせて、転写する際の剥離する界面に2層を用いる。このために、前記パッチ21を前記被転写体101へ転写する際に、前記離型層13と前記剥離層14との間で、容易に安定して剥離でき、被転写体(繊維質基材101)へ転写される。従来の離型層又は剥離層の1層の構成では、離型層又は剥離層と接している他の層との間で剥離される。しかしながら、他の層はそれぞれの機能を受け持っており、剥離はするが、層の受け持つ機能が重視されているので、剥離の剥離力の制御は副次的で制御しにくく、また、剥離の安定性も低い。これらの欠点は、本願発明の離型層13と剥離層14とを組み合わせることで解消することができるのである。即ち、パッチ21をアイロン等で加熱加圧した後に、前記支持基材31及び離型層13を剥離し除去することで、前記離型層13と前記剥離層14との間で剥離し、前記パッチ21が前記被転写体(繊維質基材101)へ容易に安定した転写ができる。
【0036】
(ステップ4)ステップ4S4は(4)前記離型層13面と前記支持材31の透明基材11面とを、接着剤層29を介して積層して積層体50とする積層工程であり、図5に示すような構成となる。
【0037】
(積層工程)支持材30の支持基材31面と、転写材10へ設けられた離型層13面とを、粘着剤や接着剤19を介してのドライラミネーション法や、ホットメルトラミネーション法などの公知の積層方法でよい。好ましくは、ウレタン系2液接着剤を用いたドライラミネーション法である。
【0038】
(ステップ5)ステップ5S5は(5)前記積層体50の前記印刷層18面へ、ホットメルトからなる接着層19を設ける接着層形成工程であり、図6に示すような構成となる。
【0039】
(接着層)接着層19としては、常温または常圧では接着性がなく、加熱または加圧した時にのみ接着力を発揮する感熱または感圧接着剤であれば特に限定されないが、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂等の比較的低融点の樹脂が好ましい。上記のような樹脂を熱で熔融させて液状とし、ロールコート、コンマコートや、ホットマルトアプリケーター法で、塗布し冷却すればよい。被転写体がポーラスな繊維質基材101で浸透するので、厚味が30〜150μmが好ましい。また、接着層19には白色顔料、体質顔料、蛍光増白剤を含有させてもよく、これらは転写後の白色度を向上させたり、繊維質基材101の色を隠蔽することができる。
【0040】
(ステップ6)ステップ6S6は(6)前記剥離層14、透明基材11、ホログラム層15、透明反射層17、印刷層18及び接着層19からなる構成を転写部23とし、該転写部23をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が離型層13面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程であり、図7に示すような構成となり、本願発明のパッチ転写媒体20となる。
【0041】
(ハーフカット工程)ハーフカット処理法としては、カッター刃を取り付けた上型と台座の間に、カット前の積層状態のパッチ転写媒体20を挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工手段により熱処理加工方法等、ハーフカットできる方法であれば特に制限はない。パッチ21部分とそれ以外部分を除去しなくてもよいが、図7に示すパッチ転写媒体20の断面のように、ハーフカットしてパッチ21部分のみを残して、それ以外部分を予め剥離し除去しておく(当業者はカス取りという)のが好ましい。被転写体へパッチ21を転写する際に、ハーフカット処理された部分で透明基材11部が切断されることがなく、確実に転写することができる。
【0042】
なお、ハーフカットは、一般的には、パッチ21の回り一周分単位で連続的にカットを施す、四隅等の部分的にアンカット(全くカットがない)部分、ミシン目部分を設けたりして、熱転写プリンター搬送中等取扱で、ハーフカットの部分が剥離するトラブルを防ぐことができる。なお、支持材30の少なくとも1部はカットされず連続状にしておく。ハーフカット処理で切断の深さが深過ぎると、支持基材31まで切断されて、プリンター搬送中にハーフカット加工部で切断され、搬送トラブルが発生しやすくなる。
【0043】
パッチ21の形状としては、特に限定されないが、例えば矩形、楕円形、丸形、ドーナッツ形などが例示できる。ハーフカット処理されたパッチ21部分が被転写体の転写される全面の大きさよりも小さくてもよく、また、パッチ21部分が、被転写体に対して、部分的に抜けている部分があってもよく、さらに、パッチ転写媒体20の全幅が、被転写体の転写される面の幅よりも広くてもよい。
【0044】
(パッチ転写媒体)パッチ転写媒体20の剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19から構成される転写部23はハーフカットされてパッチ21となり、支持材30(支持基材31)/接着剤層29/離型層13の離型層13面へ剥離可能に積層されている。このように本発明のパッチ転写媒体の製造方法で製造された本発明のパッチ転写媒体20は、支持材30(支持基材31)/接着剤層29/離型層13/(剥離界面)/剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19から構成されている。剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19から構成される転写部23をハーフカット処理したパッチ21が、支持材30(支持基材31)/接着剤層29/離型層13の離型層13面へ剥離可能に積層されている。
【0045】
(パッチ転写繊維質基材)本発明のパッチ転写媒体20の接着層19面と繊維質素材101からなる被転写体とを重ね合わせて、アイロンなどで加熱加圧した後に、支持材30(支持基材31)/接着剤層29/離型層13を剥離し除去することで、前記パッチ21が繊維質素材101へ転写され、パッチ転写繊維質素材100となる。
【0046】
(被転写体)繊維質素材101が被転写体となるが、繊維質の素材であれば特に限定されず、紙パルプ、天然又は合成樹脂繊維、ガラス繊維などの繊維を、抄紙、織物、不織布などが例示できる。形態としても特に限定されず、例えば、ノート及びカタログなどの紙類、Tシャツ、エプロン、帽子などの衣類、靴類などが例示できる。また、繊維質素材101の媒体はその少なくとも1部に着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【0047】
(転写方法)被転写体への転写する転写方法としては、公知の転写法でよく、アイロンを例示したが、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法が適用できる。また、パッチ21の形状に合わせて加熱し転写してもよい。
【0048】
(耐久性)パッチ転写繊維質素材100の表面が剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19からなるパッチ21が保護機能層となり、主に剥離層14及び透明基材11が保護機能を発現する。多数回の繰り返し使用でも、パッチ転写繊維質素材100の表面と保護し、剥離層14と透明基材11の相乗で機械的化学的な損傷から長期間にわたって保護できる。特に剥離層14は、鋭利なものによる引掻きに対しても強靱な耐擦傷性に優れる。かつ、透明基材11により耐熱性、耐溶剤性などの物理的科学的な耐久性にも優れる。さらに、ホログラム層15のホログラムは意匠性とセキュリティ性に優れ、かつ、印刷層18の任意な図柄によるデザイン性も有する。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
【0050】
(実施例1)(S1)透明基材11と、該透明基材11の一方の面にホログラム層15、透明反射層17及び印刷層18を設けてなる転写材10を準備する転写材準備工程
透明基材11として厚さ16μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、下記のホログラム層組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<ホログラム層組成物>
ユピマーUV−V3031(三菱化学社製、UV硬化性樹脂商品名)100部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.5部
ポリエチレンワックス(平均粒径3〜5μm、球状) 2部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 5部
酢酸エチル 300部
次に、該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。
該透明反射層17面へ、ポリエステル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の等量混合体からなるプライマ層を介して、シルクスクリーン印刷法で小さなハート形を散りばめた図柄を透明ピンクインキで印刷し乾燥して印刷層18を設け、透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18の層構成からなる転写材10を得た。
(S2)支持基材31からなる支持材30を準備する支持材準備工程
支持基材31として、厚さ50μmのPETフィルムを用い、一方の面へ、公知のポリイミド系樹脂からなる耐熱滑性層組成物を、乾燥後の塗布量が2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、耐熱滑性層を形成して、耐熱滑性層/支持基材31から構成される支持材30を得た。
(S3)前記転写材10における透明基材11のホログラム層15と反対の面へ、剥離層14及び離型層13を設ける剥離層及び離型層形成工程
先に準備した透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18の層構成からなる転写材10の透明基材11面へ、下記剥離層組成物を、乾燥後の塗布量が5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて剥離層14を形成し、引き続き、下記離型層組成物を、乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて離型層13を形成した。
・<剥離層層組成物>
ポリメチルメタクリレート 100部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 5部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)300部
・<離型層層組成物>
ポリメチルアクリレート 100部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)300部
(S4)前記離型層13面と前記支持材30の支持基材31面とを、接着剤層29を介して積層して積層体50とする積層工程
支持材31の耐熱滑性層面と反対面へ、2液硬化型ウレタン系接着剤(接着剤層29となる)を用いて、先に準備しておいた転写材10の離型層13面とを、公知のドライラミネーション法で積層し、40℃で3日間放置して積層体50とした。
(S5)前記積層体50の前記印刷層18面へ、ホットメルトからなる接着層19を設ける接着層形成工程
積層体50の印刷層18面へ、下記のホットメルト組成物を厚さが30μmになるようにホットメルトアプリケーターを用いて150℃で熔融し塗布し冷却して、接着層19を形成した
・<接着層組成物>
エリーテルUE−3700(ユニチカ社製、ホットメルト、商品名) 100部
(S6)前記剥離層14、透明基材11、ホログラム層15、透明反射層17、印刷層18及び接着層19からなる構成を転写部23とし、該転写部23をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が離型層13面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程
上記の接着層19付き積層体50を、角丸の矩形状のカッター刃を取り付けた上型と台座とのプレス方式のハーフカット処理とカス取りを行えるハーフカット部で剥離層14/透明基材11/ホログラム層15/透明反射層17/印刷層18/接着層19の層構成部分を54mm×85mmで角丸形状(パッチ21となる)にハーフカット処理を施し、カス取りして、パッチ21が離型層13面から剥離可能に積層された連続巻取状の実施例1のパッチ転写媒体20を得た。
【0051】
以上のようにして得られたパッチ転写媒体20の接着層19面と、繊維質基材101として、ポリエステル製のTシャツへ重ねて、パッチ転写媒体20面から加熱したアイロンを押し当てて転写した後に、耐熱滑性層/支持材30(支持基材31)/接着剤層29/離型層13を剥離し除去して、パッチ21が転写されたTシャツ(パッチ転写繊維質素材100)を得た。パッチ転写媒体20は転写時の剥離性もよく、容易に安定して正常に転写することができた。該Tシャツの表面にはパッチ21が転写され、剥離層14が最表面となっている。該剥離層14は、鋭利なものによる引掻きに対しても耐擦傷性に優れていた、かつ、透明基材11により耐熱性、耐溶剤性などの物理的科学的な耐久性にも優れていた。さらに、ホログラム層15のホログラム及び印刷層18の印刷図柄は意匠性とセキュリティ性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のパッチ転写媒体の製造方法を示すステップ図である。
【図2】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ1の転写材準備工程で準備する転写材の断面図である。
【図3】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ2の支持材準備工程で準備する支持材の断面図である。
【図4】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ3の剥離層及び離型層形成工程後の断面図である。
【図5】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ4の積層工程後の積層体の断面図である。
【図6】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ5の接着層形成工程後の積層体の断面図である。
【図7】本発明のパッチ転写媒体の製造方法のステップ6のハーフカット工程後の本発明のパッチ転写媒体の断面図である。
【図8】本発明のパッチ転写媒体を用いて繊維質基材への転写を説明する説明図である。
【図9】本発明のパッチ転写媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示すパッチ転写繊維質素材の断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10:転写材
11:基材
14:剥離層
15:ホログラム層
17:透明反射層
19:接着層
20:パッチ転写媒体
21:パッチ
23:転写部
29:接着剤層
30:支持材
31:支持基材
33:剥離性樹脂層
50:積層体
100:パッチ転写繊維質素材
101:繊維質素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)透明基材と、該透明基材の一方の面にホログラム層、透明反射層及び印刷層を設けてなる転写材を準備する転写材準備工程と、(2)支持基材からなる支持材を準備する支持材準備工程と、(3)前記転写材における透明基材のホログラム層と反対の面へ、剥離層及び離型層を設ける剥離層及び離型層形成工程と、(4)前記離型層面と前記支持材の支持基材面とを、接着剤層を介して積層して積層体とする積層工程と、(5)前記積層体の前記印刷層面へ、ホットメルトからなる接着層を設ける接着層形成工程と、(6)前記剥離層、透明基材、ホログラム層、透明反射層、印刷層及び接着層からなる構成を転写部とし、該転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが離型層面へ剥離可能に積層されているようにするハーフカット処理工程と、からなることを特徴とするパッチ転写媒体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパッチ転写媒体の製造方法で製造されたパッチ転写媒体であって、前記剥離層、透明基材、ホログラム層、透明反射層、印刷層及び接着層から構成される転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記離型層面へ剥離可能に積層されてなり、前記離型層はアクリレート系樹脂を主成分とし、前記剥離層はメタアクリレート系樹脂とポリエチレンワックスを主成分とすることを特徴とするパッチ転写媒体。
【請求項3】
請求項2に記載のパッチ転写媒体の前記接着層面と繊維質素材からなる被転写体とを重ね合わせて、アイロンで加熱加圧した後に、前記支持基材及び離型層を剥離し除去することで、前記離型層と前記剥離層との間で剥離し、前記パッチが前記被転写体へ転写されてなり、最表面が前記剥離層となることで耐擦傷性に優れ、かつ意匠性に優れるホログラムを有することを特徴とするパッチ転写繊維質素材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−5886(P2010−5886A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167106(P2008−167106)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】