説明

パネル製造装置及びパネル製造方法

【課題】スペーサを用いることなく所望の間隔を形成することができるパネル製造装置を提供すること。
【解決手段】ギャップ形成ブロック61の上面には上基板保持部44に吸着された基板W2が当接され、上基板保持部44の下降が規制されるようにした。この状態において、ギャップ形成ブロック61の内側に収容され下基板保持部53に吸着された基板W1と、ギャップ形成ブロック61に当接された基板W2とが、所定の間隔にて保持される。即ち、両基板W1,W2の間に所定の基板ギャップが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル製造装置及びパネル製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)パネルや有機ELパネル等のパネルは、2つの基板を所定間隔にて離間させるとともに接着剤により貼り合わせられている。例えば、液晶ディスプレイパネルは、複数のTFT(薄膜トランジスタ)がマトリクス状に形成されたアレイ基板と、カラーフィルタ(赤、緑、青)や遮光膜などが形成されたカラーフィルタ基板とを備え、両基板はスペーサにより互いの間隔が保持されている。スペーサはガラスやセラミックなどの材料からなり、球状や棒状に形成されている。そして、スペーサは、例えば液晶を封止するシール材や、特許文献1のように接着剤に含まれる。スペーサを含むシール材や接着剤はディスペンサやスクリーン印刷法によってアレイ基板又はカラーフィルタ基板に塗布される。そして、アレイ基板とカラーフィルタ基板とを重ね合わせ、真空中で互いを押圧することにより、スペーサを両基板により挟持し、両基板間の間隔を形成する。
【特許文献1】特開平11−326919号公報(段落[0038])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のスペーサは、ディスペンサの吐出口やスクリーンに目詰まりを起こすため、ディスペンサやスクリーンの清掃が必要となり、工程管理が難しくなるとともに、両基板を貼り合せる装置の稼働率低下を招く。スペーサを用いない場合、シール材や接着剤が大気圧によりつぶれてしまうため、所望の間隔を形成することができない。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、スペーサを用いることなく所望の間隔を形成することができるパネル製造装置及びパネル製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、処理室内に上下方向に相対的に接離可能に支持された下基板保持部と上基板保持部に第1の基板と第2の基板をそれぞれ保持するとともに、下基板保持部と上基板保持部とを接近させて基板に塗布されたシール材により前記2枚の基板を貼り合わせたパネルを製造するパネル製造装置であって、前記上基板保持部と前記下基板保持部の相対的な接近を規制するギャップ形成ブロックを備えたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、ギャップ形成ブロックによって接近が規制された下基板保持部と上基板保持部とにそれぞれ保持された第1の基板と第2の基板の間の基板ギャップが形成される。このため、スペーサを用いることなく両基板間の基板ギャップを形成することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記上基板保持部に保持された第2の基板は、前記下基板保持部に保持された第1の基板よりも大きく形成され、前記ギャップ形成ブロックは、前記下基板保持部の周囲に配設されるとともにその上面に前記第2の基板が当接され、前記第1の基板は前記ギャップ形成ブロックの内側に収容される、ことを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、ギャップ形成ブロックにより第1の基板が簡略的に位置決めされる。そして、ギャップ形成ブロックに第2の基板が当接されることにより、ブロック内に収容された第1の基板と第2の基板と間の基板ギャップが容易に形成される。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記ギャップ形成ブロックの外周部上面には段差部が形成され、前記第2の基板は前記段差部の内側に収容される、ことを要旨とする。
この構成によれば、段差部によって第2の基板を位置決めすることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記シール材は光硬化性樹脂であり、前記下基板保持部には、下方に配設されたランプの光を該下基板保持部の上方へ導く透孔が形成され、該透孔を介して前記シール材に対して部分的に前記ランプの光が照射される、ことを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、所定の基板ギャップが形成された第1の基板と第2の基板との間に介在されたシール材を硬化することで、処理室内において両基板間の基板ギャップが変化しないようにすることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、処理室内に上下方向に相対的に接離可能に支持された下基板保持部と上基板保持部に第1の基板と第2の基板をそれぞれ保持するとともに、下基板保持部と上基板保持部とを接近させて基板に塗布されたシール材により前記2枚の基板を貼り合わせたパネルを製造するパネル製造方法であって、前記上基板保持部と前記下基板保持部の相対的な接近をギャップ形成ブロックにより規制するようにしたことを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、ギャップ形成ブロックによって接近が規制された下基板保持部と上基板保持部とにそれぞれ保持された第1の基板と第2の基板の間の基板ギャップが形成される。このため、スペーサを用いることなく両基板間の基板ギャップを形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上記述したように、本発明によれば、スペーサを用いることなく所望の間隔を形成することが可能なパネル製造装置及びパネル製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図4は、パネルとしての有機ELパネルの断面図である。このパネルは、例えば、液晶ディスプレイパネルのバックライトとして利用される。
【0016】
パネルPは、四角形板状に形成された2枚の基板1,2を備えている。両基板1,2は少なくとも一方が光透過性を有し、辺に沿って四角形枠状に形成されたシール材3により貼り合わせられるとともに所定の間隔にて離間保持されている。シール材3はスペーサを含まない光硬化樹脂(UVレジン:紫外線硬化樹脂)よりなり、両基板1,2とシール材3により囲まれた空間を真空封止している。光透過性を有する基板1のシール材3により囲まれた面には有機EL層4が形成され、基板2のシール材3により囲まれた面には乾燥剤5が貼着されている。シール材3は、有機EL層4と乾燥剤5が離間するように、両基板1,2を所定の間隔にて保持する。有機EL層4には図示しない電極が形成され、有機EL層4は該電極を介して供給される電圧により発光する。
【0017】
図1は、上記のパネルPを製造するパネル製造装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
このパネル製造装置11には、図4に示す1枚又は複数枚のパネルPを形成するための2種類の基板W1,W2が供給される。第1の基板W1には、上記の有機EL層4等が形成され、第2の基板W2には、上記の乾燥剤5が配設されている。第1及び第2の基板W1,W2は、それぞれの工程によって作成され、パネル製造装置11に供給される。
【0018】
第1及び第2の基板W1,W2は、先ずシールパターニング装置12に供給される。このシールパターニング装置12(第1工程)は、第1及び第2の基板W1,W2のうち何れか一方の基板、本実施の形態では第1の基板W1の上面に、紫外線硬化性樹脂よりなるシール材3を枠状に塗布する。シール材3はスペーサを含んでいないため、該シール材3を塗布するシールパターニング装置12の目詰まり(例えばスクリーン印刷に用いられるスクリーン)がなく、清掃などの手間が少ない。シール材3が塗布された第1の基板W1及び第2の基板W2は、搬送装置により基板貼合せ装置13に搬送される。
【0019】
基板貼合せ装置13は、処理室としてのチャンバ31(図2参照)を備えている。後述するように、チャンバ31内には、第1の基板W1を保持する下基板保持部53と、第2の基板W2を保持する上基板保持部44とが配設されている(それぞれ図2参照)。基板貼合せ装置13は、第1の基板W1を下基板保持部53に、第2の基板W2を上基板保持部44に保持した後、チャンバ31内の空気を乾燥された所定のガス(例えば、窒素等の不活性ガス)に置換する。そして、基板貼合せ装置13は、第1及び第2の基板W1,W2に所定の圧力を加えて、それら両基板W1,W2を所定の基板間隔までプレスする(第2行程)。その後、基板貼合せ装置13は、紫外線(UV)をシール材3に照射するランプを備え、該ランプからの紫外線をシール材3に対して部分的に照射する(第3行程)。これにより、基板貼合せ装置13は、紫外線が照射された部分を硬化する。その後、基板貼合せ装置13は、チャンバ31を開放(大気導入)する。このとき、両基板W1,W2間のシール材3が部分的に硬化されているため、両基板W1,W2間の間隔は変わらず、プレスにより形成された間隔(基板ギャップ)に保持される。このように貼り合わせられシール材3が部分的に硬化された第1及び第2の基板W1,W2は搬送装置により基板貼合せ装置13から硬化装置14に搬送される。
【0020】
硬化装置14(第4工程)は、紫外線(UV)を照射するランプを備え、該ランプからの紫外線を図示しない遮光マスクを介して上記プレス後の2枚の基板W1,W2に照射する。これにより、有機EL等への紫外線の照射を防ぎながらすべてのシール材3のみを硬化させる。こうしてシール材が硬化された第1及び第2の基板W1,W2よりなるパネルP1が搬送装置により硬化装置14から搬出される。このパネルP1をカットすることにより、図4に示すパネルPが製造される。
【0021】
各装置12〜14は制御装置15に接続されている。制御装置15は、各装置12〜14及び図示しない搬送装置を制御する。
図2は、基板貼合せ装置13の概略構成を示す断面図である。
【0022】
基板貼合せ装置13は、チャンバ31を備える。チャンバ31は、上側容器32と下側容器33とから構成されている。上側容器32は下側容器33に対し上下動自在に支持され、図示しないアクチュエータ等の駆動機構により下側容器33に対し上下動される。そして、上側容器32の側縁部が下側容器33の側縁部に当接するまで下降すると、上側容器32と下側容器33とで密封される空間により処理室(チャンバ31)が形成される。尚、下側容器33の側縁部には、上側容器32の側縁部との当接面にOリング34が取着されており、このOリング34によりチャンバ31の気密性が確保される。
【0023】
上側容器32の上面には複数の第1ガイド部材35が立設され、該第1ガイド部材35には第1支持部材36が上下動可能に支持されている。その第1支持部材36にはチャンバ31内部に延びる複数の第1支持棒37が吊下され、それらの第1支持棒37の下部には基板受取部材38が取着されている。つまり、基板受取部材38は、第1ガイド部材35,第1支持部材36,第1支持棒37によりチャンバ31内に配設され、第1支持部材36によって上下動する。上側容器32と第1支持部材36との間には、円筒状に形成されるとともに第1支持棒37が内挿され、チャンバ31の気密を保つ弾性体としてベローズ39が配設されている。ベローズ39の上端は第1支持部材36の下面と密着され、ベローズ39の下端は上側容器32の上面と密着されている。
【0024】
また、上側容器32の上面には上記の複数の第1ガイド部材35より内側に複数の第2ガイド部材41が立設され、該第2ガイド部材41には第2支持部材42が上下動可能に支持されている。その第2支持部材42にはチャンバ31内部に延びる複数の第2支持棒43が吊下され、それら第2支持棒43の下端には上基板保持部44が取着されている。つまり、上基板保持部44は、第2ガイド部材41,第2支持部材42,第2支持棒43によりチャンバ31内に配設され、第2支持部材42によって上下動する。上側容器32と第2支持部材42との間には、円筒状に形成されるとともに第2支持棒43が内挿され、チャンバ31の気密を保つ弾性体としてベローズ45が配設されている。ベローズ45の上端は第2支持部材42の下面と密着され、ベローズ45の下端は上側容器32の上面と密着されている。
【0025】
上基板保持部44は四角形板状に形成され、内部に基板W2を吸着するための管路46が形成され、該管路46は図示しない真空ポンプと接続されている。真空ポンプと管路46との間には図示しないバルブが設けられ、該バルブは制御装置15により制御される。制御装置15は、バルブを開路して管路46内部を基板W2の下面側の気圧よりも負圧にすることで、外周端が基板受取部材38により支持された基板W2を上基板保持部44に吸着する。
【0026】
下側容器33は枠状に形成された基部51を備え、該基部51の外周部上面には枠状の壁部52が密着されている。基部51の内周部上面には該基部51の開口部を閉塞する下基板保持部53が密着され、基部51の内周部下面には該基部51の開口部を閉塞するガラス板54が密着されている。ガラス板54の下方には紫外線ランプ55が配設されている。
【0027】
下基板保持部53は、上記基部51の開口部を閉塞するベース56と、該ベース56の上面に密着された保持部57とから構成されている。保持部57は上記した上下動する基板受取部材38と干渉しないように形成され、本実施形態では第1基板W1よりも小さい平面形状を有する四角形板状に形成されている。下基板保持部53の内部には管路58が形成され、該管路58は図示しない真空ポンプと接続されている。真空ポンプと管路58との間には図示しないバルブが設けられ、該バルブは制御装置15により制御される。
【0028】
外周端が基板受取部材38に支持された基板W1は、該基板受取部材38が下降することで保持部57上に載置される。制御装置15は、バルブを開路して管路58内部を基板W1の上面側の気圧よりも負圧にすることで、基板W1を吸着し、該基板W1の水平方向の移動を規制する。
【0029】
図2に示すように、下基板保持部53には、上下方向に沿って貫通する透孔59が複数形成されている。複数の透孔59は、図3に示すように、基板W1に塗布されたシール材3aに対応した位置に形成されている。シール材3aは、パネルPを構成するシール材3と同様に、スペーサを含まない光硬化樹脂(UVレジン:紫外線硬化樹脂)よりなる。基板W1は、それに塗布されたシール材3aが透孔59上となるように配置される。透孔59は、下基板保持部53を上下方向に貫通し、下基板保持部53の下方に配設されたランプ55から照射された紫外線を下基板保持部53上方へと導く。この透孔59上にはシール材3aが配置されているため、透孔59を通過した紫外線はシール材3aに照射される。このシール材3aは、紫外線硬化樹脂であるため、紫外線が照射された部分が硬化する。これにより、基板貼合せ装置13は、枠状に形成されたシール材3aを部分的に硬化する。
【0030】
下基板保持部53のベース56上には、保持部57の周囲にギャップ形成ブロック61が固定されている。図3に示すように、ギャップ形成ブロック61は複数のブロックから構成され、保持部57を略枠状に形成されている。略枠状に形成されたギャップ形成ブロック61は、内側の間隔が、保持部57に保持された基板W1よりも大きく且つ上基板保持部44に吸着される基板W2よりも小さく形成されている。更に、ギャップ形成ブロック61は、図2に示すように、内側部の高さが保持部57に保持された基板W1の上面よりも高く、詳しくは図4に示す基板1,2間の間隔(基板ギャップ)分だけ基板W1の上面よりも高く形成されている。
【0031】
従って、図2に示すように、基板W1はギャップ形成ブロック61の内側に配置される。そして、ギャップ形成ブロック61は、基板W2の端部と係合することで、該基板W2を基板W1の上方に保持する。そして、両基板W1,W2の間隔は、ギャップ形成ブロック61の高さにより決定される。詳述すると、下基板保持部53に吸着される基板W1と、上基板保持部44に吸着される基板W2は、それぞれの面積が異なり、基板W1よりも基板W2の方が大きい。これらの基板W1,W2は、少なくとも1つのパネルPを構成する基板1,2の面積よりも大きく形成され、貼合せ後にパネルPの大きさに従ってカットされる。例えば、図3に示す基板W1,W2は、6個のパネルPを形成するような大きさに形成され、各パネルPのシール材3が塗布されているとともに、全てのシール材3を囲む枠状に形成された第2のシール材3aが塗布されている。基板W1,W2から製品としてのパネルPが切り出され、このシール材3aが塗布された基板部分は廃材として回収される。
【0032】
ギャップ形成ブロック61には、外周部を内周部よりも高くして段差部62が形成されている。段差部62の内寸法は基板W2よりも大きく形成されており、その基板W2の面積と段差部62の内側に形成される空間の平面積は、形成されるパネルPの仕上がり精度により設定されている。矩形状の有機EL層4が内蔵されバックライトとして利用されるパネルPは、面発光すればよく、有機EL層4がシール材3に囲まれた範囲内に設けられていれば良い。乾燥剤5もシール材3により囲まれた範囲内にあればよく、有機EL層4,乾燥剤5とシール材3の位置寸法精度はラフでよい。このため、両基板W1,W2は、シール材3と有機EL層4及び乾燥剤5が接触しない程度に位置合せされればよく、精度の高い位置合せは不要である。従って、基板W1,W2の外形により位置合せするように、ギャップ形成ブロック61が形成されている。つまり、チャンバ31内に基板W1,W2を搬入する搬送装置に不具合が発生しても、基板W1がギャップ形成ブロック61内に収容され、基板W2が段差部62内に収容されれば、基板W1と基板W2がそれぞれ位置合せされ、両基板W1,W2の貼合せが可能となる。尚、基板W1の面積と、ギャップ形成ブロック61の内側に形成される空間の平面積も、同様に設定されている。
【0033】
図2に示すように、下側容器33には、アライメント機構65が設けられている。アライメント機構65は、図3に示すように、離間されたギャップ形成ブロック61の間から治具66を基板W1,W2に押し当てることで、基板W1,W2をそれぞれ位置合せする。
【0034】
上記のように構成された基板貼合せ装置13の作用を説明する。
基板貼合せ装置13のチャンバ31には、先ず上側の基板W2が搬入される。基板W2は基板受取部材38により受け取られ、アライメント機構65により位置合せされた後、上基板保持部44に吸着される。次に、チャンバ31には下側の基板W1が搬入される。基板W2は基板受取部材38により受け取られ、保持部57上に載置される。更に、基板W2は、アライメント機構65により位置合せされた後、保持部57に吸着される。基板W1の上面にはシール材3,3aが塗布されている。
【0035】
次に、上側容器32が下降されてチャンバ31が形成され、そのチャンバ31内の空気が不活性ガスに置換される。そして、上基板保持部44が下降される。この時、上基板保持部44に保持された基板W2の周辺部は、ギャップ形成ブロック61の上面に当接し、上基板保持部44はそれ以上下降しない。そして、基板W2は、ギャップ形成ブロック61により保持部57に保持された基板W1の上方であって、該基板W1の上面から所定間隔に保持されている。
【0036】
次に、ランプ55から紫外線が透孔59を介して両基板W1,W2間のシール材3aに対して部分的に照射され、該照射された部分が硬化する。そして、上側容器32と上基板保持部44が上昇する。この時、両基板W1,W2のギャップは、部分的に硬化されたシール材3aにより所定値に保持される。貼り合わせられた基板W1,W2は、基板受取部材38により保持部57から持ち上げられ、図示しない搬送装置によって基板貼合せ装置13から硬化装置14へ搬送される。その硬化装置14においてシール材3,3aが硬化され、パネルP1が形成される。そして、パネルP1をカットして図4に示すパネルPが形成される。
【0037】
上記のように製造されるパネルPは、周辺に形成されたシール材3のみにより基板1,2が所定の基板ギャップにて保持されている。従って、基板1,2の対向面に沿ったシール材3の間隔、即ち基板1,2が大きすぎると、基板1,2が撓んで基板ギャップが狭くなったり広くなったりする。このため、上記の基板貼合せ装置13は、基板1,2の対角距離が1〜2インチ程度の小さなパネルPの製造に好適である。
【0038】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
・ギャップ形成ブロック61の上面には上基板保持部44に吸着された基板W2が当接され、上基板保持部44の下降が規制されるようにした。この状態において、ギャップ形成ブロック61の内側に収容され下基板保持部53に吸着された基板W1と、ギャップ形成ブロック61に当接された基板W2とが、所定の間隔にて保持される。即ち、両基板W1,W2の間に所定の基板ギャップが形成される。従って、スペーサを用いることなく両基板W1,W2間の基板ギャップを形成することができる。そして、スペーサを用いる必要がないため、スペーサが混入されていないシール材3を基板W1に塗布するシールパターニング装置12における目詰まりが発生しにくくなり、清掃などの手間が省かれるとともにその清掃などのためにパネル製造装置11を停止する必要がなくなり、パネルPを製造するスループットを向上させることができる。
【0039】
・上基板保持部44に保持された第2の基板W2は、下基板保持部53に保持された第1の基板W1よりも大きく形成され、ギャップ形成ブロック61は、下基板保持部53の周囲に配設されるとともにその上面に第2の基板W2が当接され、第1の基板W1はギャップ形成ブロック61の内側に収容されるようにした。従って、ギャップ形成ブロック61により第1の基板W1を簡略的に位置決めすることができる。
【0040】
・ギャップ形成ブロック61に第2の基板W2が当接されることにより、ブロック61内に収容された第1の基板W1と第2の基板W2と間の基板ギャップを容易に形成することができる。
【0041】
・ギャップ形成ブロック61の外周部上面には段差部62が形成され、第2の基板W2は段差部62の内側に収容されるようにした。従って、段差部62によって第2の基板W2を簡略的に位置決めすることができる。
【0042】
・シール材3aは光硬化性樹脂であり、下基板保持部53には、下方に配設されたランプ55の光を該下基板保持部53の上方へ導く透孔59が形成され、該透孔59を介してシール材3aに対して部分的にランプから紫外線が照射されるようにした。従って、チャンバ31内においてシール材3aを部分的に硬化することで、両基板W1,W2間の基板ギャップが変化しないようにすることができる。
【0043】
・保持部57の周辺に沿って配設されたギャップ形成ブロック61により上基板保持部44に保持された基板W2を所定の高さに保持することで両基板W1,W2間の基板がヤップを形成するようにしたため、高さが異なるギャップ形成ブロック61に交換することで、基板W1,W2(1,2)間の基板ギャップを容易に変更することができる。
【0044】
尚、上記実施の形態は、以下に記載する変形例の態様で実施してもよい。
・ギャップ形成ブロック61には基板W2が当接されて該基板W2の下方向への移動を規制することで両基板W1,W2を所定の基板ギャップに離間させるようにしたが、上基板保持部44と係合して該上基板保持部44の下降を制限することで、両基板W1,W2を所定の基板ギャップにて離間させ保持するようにしてもよい。
【0045】
・下基板保持部53(保持部57)に第1の基板W1を保持し、上基板保持部44に第2の基板W2を保持することに限定されない。下基板保持部53(保持部57)に第2の基板W2を保持し、上基板保持部44に第1の基板W1を保持するようにしてもよい。
【0046】
・シール材3として光硬化樹脂若しくは光+熱硬化樹脂を用いて基板1,2(W1,W2)を貼り合わせるようにしてもよい。
・アクティブマトリクス型等の液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、等の他のパネルを製造するパネル製造装置に具体化してもよい。
【0047】
・上下に分割されたチャンバ31に具体化したが、ゲートを備えたチャンバにギャップ形成ブロック61を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】パネル製造装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】貼合せ装置の概略構成図。
【図3】貼合せ装置の概略平面図。
【図4】パネルの断面図。
【符号の説明】
【0049】
1,2…基板、3,3a…シール材、31…チャンバ、44…上基板保持部、53…下基板保持部、55…ランプ、59…透孔、61…ギャップ形成ブロック、62…段差部、P1…パネル、W1…第1の基板、W2…第2の基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に上下方向に相対的に接離可能に支持された下基板保持部と上基板保持部に第1の基板と第2の基板をそれぞれ保持するとともに、下基板保持部と上基板保持部とを接近させて基板に塗布されたシール材により前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせたパネルを製造するパネル製造装置であって、
前記上基板保持部と前記下基板保持部の相対的な接近を規制するギャップ形成ブロックを備えた
ことを特徴とするパネル製造装置。
【請求項2】
前記上基板保持部に保持された第2の基板は、前記下基板保持部に保持された第1の基板よりも大きく形成され、
前記ギャップ形成ブロックは、前記下基板保持部の周囲に配設されるとともにその上面に前記第2の基板が当接され、
前記第1の基板は前記ギャップ形成ブロックの内側に収容される、
ことを特徴とする請求項1記載のパネル製造装置。
【請求項3】
前記ギャップ形成ブロックの外周部上面には段差部が形成され、前記第2の基板は前記段差部の内側に収容される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパネル製造装置。
【請求項4】
前記シール材は光硬化性樹脂であり、
前記下基板保持部には、下方に配設されたランプの光を該下基板保持部の上方へ導く透孔が形成され、該透孔を介して前記シール材に対して部分的に前記ランプの光が照射される、
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のパネル製造装置。
【請求項5】
処理室内に上下方向に相対的に接離可能に支持された下基板保持部と上基板保持部に第1の基板と第2の基板をそれぞれ保持するとともに、下基板保持部と上基板保持部とを接近させて基板に塗布されたシール材により前記第1の基板と前記第2の基板を貼り合わせたパネルを製造するパネル製造方法であって、
前記上基板保持部と前記下基板保持部の相対的な接近をギャップ形成ブロックにより規制するようにしたことを特徴とするパネル製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−148063(P2007−148063A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343349(P2005−343349)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】