説明

パラプレジア予防ステントグラフト

患者の大動脈に留置するためのステントグラフトは、選択された直径の近位部(14)と、近位部より遠位にあり前記選択された直径よりも直径が短い小径部(16)と、近位部と小径部の間に伸びたテーパー部(18)を有する管状体を有する。ロープロファイルサイドアーム(26、28、30、32)は小径部および/又はテーパー部に設けられる。前記サイドアームは、大動脈血管枝に伸びるアームの結合のためにある。パラプレジア予防ベントチューブ(34)は、メインルーメンと流体結合され、前記小径部とテーパー部によって形成される領域において前記管状体の外側に向かって開いている。パラプレジア予防ベントチューブは、大動脈の側枝に結合されないが、ステントグラフトの大動脈への留置後、ステントグラフトの外側に一時的なかん流を提供し、その後に塞がれることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、特に、移植可能な血管内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、大動脈瘤と、動脈瘤、特に下行大動脈における動脈瘤に橋渡しするためのステントグラフト等の移植可能な装置の使用に関し説明するものであるが、本発明は、それに限定されず、人体や動物体の如何なる領域においても、また、如何なるタイプの移植可能な装置においても使用することができる。
【0003】
ステントグラフトは、大動脈瘤に橋渡しするために使用することができるが、大動脈の血管側枝がある領域には、できるだけ多くの動脈側枝に血液を供給するため、ステントグラフトから伸びる側枝を有することが必要である。
【0004】
下行動脈には、4つの主な動脈側枝がある。これらは、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈、及び左腎動脈である。また、他にも多くの小さな動脈側枝があるが、これらは、より小さく、一般的に、カテーテルを入れて側枝グラフトを配置することができない。これらの動脈のセットの1つが肋間動脈である。
【0005】
下行動脈にステントグラフトを配置する血管内手術後、人間や動物の体は、ステントグラフトによって排除されるいくらかの動脈からの血液の供給不足に、やがては適合することができる。例えば、肋間動脈を通じた脊髄への血液の供給は、例えば、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腰動脈、及び内腸骨動脈等の他の動脈を通じて、代替的に達成することができる。
【0006】
しかしながら、手術直後の血液供給の問題、少なくとも、一部には血圧に関連する問題が起こり得る。そこで、本発明の目的は、可能な解決策を提供すること、少なくとも、医師に有用な選択肢を提供することにある。
【0007】
本明細書では、大動脈部、留置装置、あるいは人工器官に関する遠位という用語は、心臓から離れる血液の循環方向において離れたところにある大動脈、留置装置、あるいは人工器官の末端を意味する。近位という用語は、より心臓に近い大動脈、留置装置、あるいは、人工器官の末端部分を意味する。他の血管への適用については尾側や頭側等の類似の用語が理解されるであろう。
【発明の概要】
【0008】
それ故、本発明は移植可能な装置であり、生体適合性グラフト材料の管状体と、管状体にある複数のロープロファイルサイドアームと、パラプレジア予防ベントチューブを有する。管状体は、そこを貫通するメインルーメンを形成する。そして、各ロープロファイルサイドアームは、それぞれ、そこを貫通するサイドアームルーメンを有し、それぞれのサイドアームルーメンはメインルーメンと流体結合するようになされ、当該サイドアームは、それぞれ血管枝に伸びるアームに結合される。パラプレジア予防ベントチューブは、メインルーメンと流体結合しており、管状体の外側に向かって開いている。さらに、パラプレジアベントチューブは、血管側枝に結合せず、移植可能な装置を人体や動物体の血管に留置後、移植可能な装置の外側へのかん流を提供し、後で塞がれる。
【0009】
好適な実施形態では、移植可能な装置は、下行大動脈への留置のためにあり、複数のロープロファイルサイドアームは、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈、及び左腎動脈のためにある4つのロープロファイルサイドアームを有する。パラプレジア予防ベントチューブは、肋間動脈の一時的なかん流のためにある。
【0010】
また、別の形態では、本発明は、患者の大動脈に留置するためのステントグラフトと、そこを貫通するメインルーメンを形成する管状体と、複数のロープロファイルサイドアームと、パラプレジアベントチューブからなる。ステントグラフトは、生体適合性グラフト材料の管状体からなる。管状体は、選択された直径の近位部と、近位部から遠位にあり上記選択された直径部より短い直径とされた小径部と、近位部と小径部の間を伸びるテーパー部を有する。複数のロープロファイルサイドアームは、小径部か、テーパー部にあり、各ロープロファイルサイドアームは、それぞれ、そこを貫通するサイド・アームルーメンを有し、それぞれのサイドアームルーメンはメインルーメンと流体結合するようにされている。サイドアームは、それぞれ、大動脈血管枝に対して伸びるアームの結合のためにある。パラプレジア予防ベントチューブは、メインルーメンと流体結合し、小径部かテーパー部によって形成された領域で管状体の外側に向かって開いている。さらに、パラプレジア予防ベントチューブは、大動脈の側枝と結合せず、ステントグラフトの大動脈への留置後に、ステントグラフトの外側に一時的なかん流を提供し、その後に塞がれる。
【0011】
好ましくは、パラプレジア予妨ベントチューブは、近位方向に開放外部端を有しており、その開放外部端からステントグラフトへ取り付けられ、該ステントグラフトが遠位方向に開いている開放内部端を与え、例えば、後で行われる閉塞のための大腿部のアクセスポイントからの脈管内アクセスを可能にする。
【0012】
パラプレジア予防ベントチューブは、管状体において、複数のロープロファイルサイドアームの近位方向と遠位方向に位置することもできる。
【0013】
好ましくは、パラプレジア予防ベントチューブは、およそ6ミリメートルの直径と10ミリメートルから32ミリメートルの長さを有する。
【0014】
好ましくは、小径部あるいはテーパー部にある複数のロープロファイルサイドアームは、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈及び左腎動脈のための4つのロープロファイルサイドアームを有している。
【0015】
管状体は、直径が、上記選択された直径よりは短く、上記近位部の遠位にあり上記小径部の直径よりは長い遠位部と、該遠位部と小径部の間を伸びる遠位テーパー部を有する。
【0016】
近位部は、およそ34ミリメートルの直径を有し、遠位部は、およそ24ミリメートルの直径を有し、小径部は、およそ20ミリメートルの直径を有する。
【0017】
好ましくは、パラプレジア予防ベントチューブは、放射線撮影法による後の所在を支援するために、近位端と遠位端に放射線不透過性マーカーを有する。例えば、近位端には、複数のマーカーが並び、遠位端には、3つのマーカーが並ぶこともできる。
【0018】
または、本発明は、生体適合性グラフト材料の管状体と、パラプレジア予防ベントチューブを有する移植可能な装置からなる。管状体は、そこを貫通するメインルーメンを形成している。パラプレジア予防ベントチューブは、メインルーメンと流体結合し管状体の外側に向かって開いている。パラプレジア予防ベントチューブは、血管側枝に結合されず、人体または動物体の血管への移植可能な装置の留置後、移植可能な装置の外側への一時的なかん流を提供し、その後、塞がれることになる。
【0019】
以上のようなことで、本発明ではステントグラフト等の移植可能な装置を配置した時に、ステントグラフトの小径部分によって、環状の空間が、ステントグラフトの外側と肋間動脈の領域に形成されることが理解されるだろう。これら肋間動脈は、血液がパラプレジア予防ベントチューブを通じて上記環状の空間に流出するので、血液供給に対して塞がない。特に、パラプレジアベントチューブは、移植可能な装置の配置によって塞がれる下行大動脈のその部分に対する一時的かん流を可能とし、その領域において伸びるどの肋間動脈へも一時的なかん流を可能とする。
【0020】
これは、通常の血管内装置に対する直感に反するものである。なぜなら、動脈瘤の血管内橋渡しの目的の1つは、動脈の排除部分への漏れを避けるためである。
【0021】
血管内ステントグラフトの留置手術直後は、患者の血圧が低くなる可能性があり、側枝ステントグラフトを通じての動脈枝への血液供給が不十分になる可能性がある。肋間動脈の領域におけるステントグラフトの外側にある排除された環状空間の継続的なかん流によって、パラプレジアを予防できる脊柱部への継続的な血液供給が可能となる。続いて、おそらく一週間経って通常、患者の血圧が上がったときに、血管内治療法によって、ベントチューブを血管プラグの配置によって塞ぐことができる。脊柱部への血液の継続的供給は、配置された側枝からの血液供給によって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書は、発明を概説するが、添付図面によって、参照の理解に役立つであろう。
【図1】本発明の一実施形態に係るステントグラフトの概略図である。
【図2A】図1のパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。
【図2B】プラグで塞がれた図1のパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。
【図2C】別の実施形態に係るパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るステントグラフトの概略図である。
【図4A】図3のパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。
【図4B】プラグで塞がれた図3のパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1、図2A及び図2Bを詳細に見ると、本発明の一実施形態のステントグラフト10は、生体適合性を有するグラフト材料の管状体12を有する。管状体は、そこを貫通するメインルーメン11を有する。管状体は、選択された直径の近位部14と、該近位部の選択された直径より短い直径の小径部16と、近位部14と小径部16の間に伸びる近位テーパー部18を有する。管状体12は、また、上記選択された直径よりは短く、小径部16よりは大きい直径を有する遠位部20と、遠位部20と小径部16の間を伸びる遠位テーパー部22を有する。本実施例では、近位部はおよそ34ミリメートルの直径を有し、遠位部はおよそ24ミリメートルの直径を有し、小径部は20ミリメートルの直径を有する。
【0024】
近位部、遠位部、および小径部は、縫合や接着等によりグラフト材料に付着されたステント24によって支持されている。ステントは、管状体の内側あるいは外側にある。各ステントは、ニチノールかステンレス鋼ワイヤから形成された自己拡張型のジアンチゥルコZステント(Gianturco Z-stent)であるのが好ましい。
【0025】
小径部16と近位テーパー部18には開窓から伸びた4つのロープロファイル(low profile)サイドアーム26、28、30及び32がある。各ロープロファイルサイドアームは、それぞれ、そこを貫通するサイドアームルーメンを有し、メインルーメンは、各サイドアームルーメンと流体結合している。4つのロープロファイルサイドアーム26、28、30及び32は、それぞれ、ステント構造物によって支持され、その内側端と外側端に補強リングを有することができる。
【0026】
4つのロープロファイルサイドアーム26、28、30及び32は、使用時に、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈、及び左腎動脈のそれぞれへの挿入のために拡張サイドアームを受容することになっている。
【0027】
「側枝ステントグラフト構造」と題する米国特許公報20070219621号は、様々な形態のロープロファイルサイドアームを開示し、その教示は、そっくりそのまま本明細書に包含されている。
【0028】
管状体12は、また、近位テーパー部18の開窓35から伸び、メインルーメン11と流体結合しているパラプレジア予防ベントチューブ34を有している。パラプレジア予防ベントチューブ34は、小径部とテーパー部によって形成された領域36において管状体の外側に向かって開いている。パラプレジア予防ベントチューブ34は、大動脈の血管側枝に連結されないが、ステントグラフトの大動脈への留置後にステントグラフトの外側に一時的にかん流するために使用され、その後に塞がれることになっている。
【0029】
パラプレジア予防ベントチューブ34は、生体適合性を有するグラフト材料から形成することができ、6ミリメートルの直径と16ミリメートルから32ミリメートルの長さを有することが可能である。
【0030】
図2Aは、パラプレジア予防ベントチューブ34の断面図である。ベントチューブ34は、開窓35において管状体12の壁38に連結している。チューブ34は、その長さに沿ってステントは挿入されておらず、開放近位端36を有する。
【0031】
パラプレジアベントチューブ34は、放射線撮影法により後の所在を支援するため近位端に放射線不透過性マーカーを有する。
【0032】
図2Bは、プラグで塞がれたパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。プラグ38は血管内に留置され、ベントチューブ34内で動けるようになっている。例えば、プラグは、アンプラッツァー血管プラグ(Amplatzer Vascular Plug)(アメリカ合衆国、ミネソタ州、AGAメディカル・コーポレーション)でもよい。本プラグは、確実にベントチューブ内で閉塞するのに適した大きさを有する。
【0033】
図2Cは、パラプレジア予防ベントチューブの他の実施形態の断面図である。本実施形態においては、ベントチューブ40は、開窓35の管状体12の壁38の外側の部分42aと壁38の内側の部分42bを有するロープロファイルサイドアーム42を含む。開放近位端46を有する管状部44は、ロープロファイルサイドアーム42に連結している。管状部44は、長さに沿ってステントが挿入されていてもいなくてもよい。
【0034】
さて、図3、図4A及び図4Bを見ると、図1と対応する部分には対応する参照番号が用いられている。本発明のこの別の実施形態に係るステントグラフト50は、生体適合性グラフト材料の管状体12を有する。管状体は、そこを貫通するメインルーメン11を有する。管状体は、選択された直径の近位部14と、該近位部から遠位にある小径部16と、近位部14と小径部16の間を伸びる近位テーパー部18を有する。管状体12は、また、上記選択された直径よりは短く、小径部16の直径よりは大きい直径を有する遠位部20と、遠位部20と小径部16の間を伸びる遠位テーパー部22を有する。本実施形態においては、近位部は、およそ34ミリメートルの直径を有し、遠位部はおよそ24ミリメートルの直径を有し、小径部はおよそ20ミリメートルの直径を有する。
【0035】
近位部、遠位部及び小径部は各々、縫合、接着その他の付着方法によってグラフト材料に付着されたステントによって支持されている。ステントは、管状体の内側あるいは外側にあってもよい。ステントは各々、ニチノール又はステンレス鋼ワイヤから形成された自己拡張型のジアンチゥルコZ-ステント(Gianturco Z-stent)であるのが好ましい。
【0036】
小径部16あるいは近位テーパー部18における開窓から伸びる4つのロープロファイルサイドアーム26、28、30及び32がある。各ロープロファイルサイドアームは、それぞれ、そこを貫通するサイドアームルーメンを有し、メインルーメンは、各サイドアームルーメンと流体結合する。4つのロープロファイルサイドアーム26、28、30及び32は各々、ステント構造物によって支持されており、その内側端と外側端に増強リングを有する。
【0037】
4つのロープロファイルサイドアーム26、28、30及び32は、使用時に、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈及び左腎動脈のそれぞれに挿入するための拡張サイドアームを受け取る。
【0038】
管状体12は、また、小径部16における開窓54から伸び、メインルーメン11と流体結合するパラプレジア予防ベントチューブをも有している。パラプレジア予防ベントチューブ52は、小径部とテーパー部によって形成される領域56において管状体の外側に向かって開いている。パラプレジア予防ベントチューブ52は、大動脈の血管側枝に連結されないが、大動脈へのステントグラフトの留置後にステントグラフトの外側に一時的にかん流するために使用され、その後塞がれることになる。
【0039】
パラプレジア予防ベントチューブ52は、生体適合性グラフト材料から形成することができ、6ミリメートルの直径と16ミリメートルから32ミリメートルの長さを有することが可能である。パラプレジア予防ベントチューブ52は、支持ステント58と、内側端と外側端にはそれぞれ、増強リング60aと60bを有することができる。
【0040】
パラプレジア予防ベントチューブは、放射線撮影法によって、後の配置を支援するために近位端と遠位端に放射線不透過性マーカーを有する。本実施例では、近位端では2つのマーカー64が並んでおり、パラプレジア予防ベントチューブの遠位端では、管状体の外側に3つのマーカー66が並んでいる。
【0041】
本発明の好ましい1つの実施形態では、ステントグラフトは、以下のような大きさを有することができる。
全長 236ミリメートル
近位部の長さ 48ミリメートル
テーパー部の長さ 43ミリメートル
小径部の長さ 71ミリメートル
遠位部の長さ 68ミリメートル
近位部の直径 34ミリメートル
遠位部の直径 24ミリメートル
小径部の直径 20ミリメートル
【0042】
ステントグラフトの周囲について、手前側を12時とする時計の文字盤に見立てた場合の本発明の好ましい実施形態に係るステントグラフトでは、サイドアームとパラプレジア予防ベントチューブは、以下のように配置することができる。
腹腔動脈:近位端からの距離は89ミリメートル、直径8ミリメートル、長さ18ミリメートル、位置は時計の1時の位置
上腸間膜動脈:近位端からの距離は110ミリメートル、直径8ミリメートル、長さ21ミリメートル、位置は時計の12時の位置
右腎動脈:近位端からの距離は128ミリメートル、直径6ミリメートル、長さ18ミリメートル、位置は時計の10時45分の位置
左腎動脈:近位端からの距離は128ミリメートル、直径6ミリメートル、長さ18ミリメートル、位置は時計の2時45分の位置
パラプレジア予防ベントチューブ:近位端からの距離は130ミリメートル、直径6ミリメートル、長さ32ミリメートル、位置は時計の1時30分の位置
【0043】
図4Aは、パラプレジア予防ベントチューブ52の断面図である。ベントチューブ52は、管状体12の壁への縫合62によって連結している。
【0044】
図4Bは、プラグ38で塞がれたパラプレジア予防ベントチューブの断面図である。プラグ38は血管内に留置され、ベントチューブ52へと解放されている。例えば、プラグ38は、アムプラッツァー血管プラグ(Amplatzer Vascular Plug)(アメリカ合衆国ミネソタ州、AGAメディカル・コーポレーション)でもよい。プラグは、確実にベントチューブ内で塞げる大きさであれば適している。
【0045】
本明細書を通じて、多様な示唆が本発明の範囲に関しなされているが、本発明はそれらのいずれにも限定するものでなく、共に組み合わされたこれらのうち、2つ以上に及ぶ。実施例は、単なる例示のためであり、限定するためのものではない。
【0046】
本明細書とこれに続く特許請求の範囲の全体を通じて、文脈上別の方法で必要としない限り、「有する(comprise)」、「含む(include)」、その他「有した(comprising)」及び「含んだ(including)」等の変形は、ある提示された完全な実体を含むこと、又は、完全な実体の群を含むことを指し示すのであって、他のいかなる完全な実体、又は、完全な実体の群を除外することを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の大動脈に留置するためのステントグラフトであって、
前記ステントグラフトは、
生体適合性グラフト材料の管状体と、
複数のロープロファイルサイドアームと、
パラプレジア予防ベントチューブと、を有し、
前記管状体は、その中を貫通するメインルーメンを有し、前記管状体は選択された直径の近位部と、前記近位部の遠位にある前記選択された直径より短い直径の小径部と、前記近位部と前記小径部の間に伸びるテーパー部を有し、
前記複数のロープロファイルサイドアームは、前記小径部あるいは前記テーパー部にあり、各ロープロファイルサイドアームは、その中を貫通するそれぞれのサイドアームルーメンを有し、各サイドアームルーメンは前記メインルーメンと流体連結され、また、前記サイドアームは、大動脈の血管枝に伸びるアームと各々連結されるようになされており、
前記パラプレジア予防ベントチューブは、前記メインルーメンと流体結合し、前記小径部と前記テーパー部によって形成された領域において前記管状体の外側に開いており、
さらに、前記パラプレジア予防ベントチューブは、前記大動脈の血管側枝に連結されず、前記大動脈への前記ステントグラフトの留置後に前記ステントグラフトの外側に一時的なかん流を提供し、その後に塞がれるようになされているステントグラフト。
【請求項2】
前記パラプレジア予防ベントチューブが近位方向に外側へ開いている、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、前記管状体において前記複数のロープロファイルサイドアームの近位に位置している、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、前記管状体において前記複数のロープロファイルサイドアームの遠位に位置している、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項5】
前記パラプレジア予防ベントチューブがおよそ6ミリメートルの直径と、10ミリメートルから32ミリメートルの長さを有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記小径部あるいは前記テーパー部にある前記複数のロープロファイルサイドアームが、腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈と左腎動脈のためにある4つのロープロファイルサイドアームを有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記パラプレジア予防ベントチューブにはステントが設けられていない、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記管状体が、直径が前記選択された直径よりは短く、前記小径部よりは長い遠位部と、前記遠位部と前記小径部の間に伸びる遠位テーパー部とを有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記近位部が、およそ34ミリメートルの直径を有し、前記遠位部がおよそ24ミリメートルの直径を有し、前記小径部が20ミリメートルの直径を有する、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項10】
生体適合性グラフト材料の管状体と、
前記管状体にある複数のロープロファイルサイドアームと、
パラプレジア予防ベントチューブと
を有する移植可能な装置であって、
前記管状体は、その中を貫通するメインルーメンを形成し、
前記各ロープロファイルサイドアームはそれぞれ、その中を貫通するサイドアームルーメンを有し、前記各サイドアームルーメンは前記メインルーメンに流体連結しており、当該サイドアームは、血管枝に伸びるアームと各々連結されるようになされており、
前記パラプレジア予防ベントチューブは、前記メインルーメンと流体結合し、前記管状体の外側に開いており、
さらに、前記パラプレジア予防ベントチューブは、血管側枝に連結せず、人体あるいは動物体の血管への前記移植可能な装置の留置後に、前記移植可能な装置の外側に一時的なかん流を提供し、その後に塞がれるようになされている、移植可能な装置。
【請求項11】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、近位方向では外側へ開き、遠位方向では内側に開いている、請求項10に記載の移植可能な装置。
【請求項12】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、前記管状体において前記複数のロープロファイルサイドアームの近位に位置している請求項10に記載の移植可能な装置。
【請求項13】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、前記管状体において前記複数のローププロファイルサイドアームの遠位にある位置している、請求項10に記載の移植可能な装置。
【請求項14】
前記パラプレジア予防ベントチューブが、およそ6ミリメートルの直径と10ミリメートルから32ミリメートルの長さを有する、請求項10に記載の移植可能な装置。
【請求項15】
前記複数のロープロファイルサイドアームが腹腔動脈、上腸間膜動脈、右腎動脈と左腎動脈のためにある4つのロープロファイルサイドアームを有し、前記パラグレジア予防ベントチューブが肋間動脈の一時的なかん流のためにある、請求項10に記載の移植可能な装置。
【請求項16】
生体適合性グラフト材料の管状体と、
パラプレジア予防ベントチューブと、
を有する移植可能な装置であって、
前記管状体は、その中を貫通するメインルーメンを形成し、前記パラプレジア予防ベントチューブは、前記メインルーメンと流体結合し、前記管状体の外側に開いており、前記パラプレジア予防ベントチューブにはステントが設けられておらず、
さらに、前記パラプレジア予防ベントチューブは、血管側枝に連結されないが、人体あるいは動物体の血管へ前記移植可能な装置の留置後に、前記移植可能な装置の外側に一時的なかん流を提供し、その後に塞がれるようにされている、移植可能な装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2013−507231(P2013−507231A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534311(P2012−534311)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052446
【国際公開番号】WO2011/047004
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】