説明

パリソンからプラスチック中空体を製造するための方法およびパリソン押出し用ダイ

プラスチック中空体を製造するための方法であって、a)押出し機において、ダイを通して溶融プラスチックパリソンが押出されるステップと、b)パリソンの長さ方向に少なくとも1つの切れ目が形成されるステップと、c)パリソンが2つのキャビティを含む金型に導入されるステップと、d)パリソンを金型キャビティに適合させることにより中空体が成形されるステップとを含み、前記ダイが、排出時に実質的に平らになるようパリソンの形状が徐々に変形される溶融プラスチック用の流路を備えている、プラスチック中空体を製造するための方法が提供される。この方法の実施に好適なダイが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に燃料タンクといったプラスチック中空体、および分割されたまたは2つのパーツのパリソンからの中空体を製造するための方法に関する。本発明はまた、前記方法に好適なパリソン押出し用ダイに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプの車載燃料システムは、一般に、タンク中に含有される炭化水素を通気するための装置を含む。これらは、エンジンに燃料を供給するための装置をも含み得る。このような装置は、タンク中に含まれる要素(バルブ、燃料ポンプ等)と、タンク外に位置された要素(キャニスタ、給油管等)との間にリンクを形成する。タンクの壁を介する浸透は、現在の環境基準(例えばLEV IIおよびPZEV)により規定されるシーリング規定を考慮しなければならない。この目的のために、タンクの壁における開口の数およびサイズの低減が、蒸発損失の低減における好ましい要因になる。しかしながら、これにより、タンク中への構成部品の挿入およびこれらの配置がより困難となる。
【0003】
本出願人名義による特許文献1は、成形と同時にタンク内に付属品を挿入することが可能であるよう、複数のパーツに分かれたパリソンを用いて燃料タンクを成形する方法を開示する。この目的のために、チューブ状のパリソンが押出され、次いで、ダイから吐出されるときに、2本の長軸方向の切れ目が2本の対向する母線に沿って入れられる。この文献は、このように得られた2つのパリソン部品をガイドし、分離させるための装置の使用を推奨しており、これは、成形と同時にタンク内への付属品の挿入を可能とすることを目的とする。
【0004】
理想的には、この装置はまた、金型キャビティの間に正確に適用することが可能であるよう、2つのパリソン部品を実質的に平らにし、屈曲しないよう保持することを可能とすべきである。これは、分離が任意に設定されるまっすぐな円筒状のローラまたはロールを用いて実施され得る。しかしながら、この単純な(および理論的には十分な)技術は、ロールから排出されて得られるシートは結局湾曲したままであり、分離を十分に制御することはできないという欠点を有する。これは、プラスチックはダイから排出された直後に硬化し始め、ダイが与える形状のままに残る傾向にあるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1110697号明細書
【特許文献2】米国特許第5,057,267号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/008308号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/032672号パンフレット
【特許文献5】仏国特許第04 13407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、この問題を解決することができる方法を提供することを目的とし、これは、切断することにより得られるシートが湾曲し、および屈曲を形成する傾向が少ないよう、前記パリソンを排出前に実質的に平らにさせるダイの使用による。特に、一変形例においては、本発明による方法のダイはまた、パリソンのその中での切断を可能とし、これが、連続製造の開始時での度々困難であるシートの切断およびガイドの開始、ならびにシートの下流での切断の影響による屈曲の形成をも回避させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明はプラスチック中空体を製造するための方法に関し、この方法は、
a)押出し機において、ダイを通して溶融プラスチックパリソンが押出されるステップと、
b)パリソンの長さ方向に少なくとも1つの切れ目が形成されるステップと、
c)パリソンが2つのキャビティを含む金型に導入されるステップと、
d)パリソンを金型キャビティに適合させることにより中空体が成形されるステップと、を含み、
前記ダイが、排出時に実質的に平らになるようパリソンの形状が徐々に変形される溶融プラスチック用の流路を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるダイにおける縦断面(図中に点線として示されるその軸を含む面において)の左側半分を示した図である。
【図2】分流器(4)のみを通る軸に沿った(既述の断面の面に直角な面を通る)断面を示した図である。
【図3】図1のダイの底面図を示した図である。
【図4】ダイの分流器を示した図である。
【図5】ダイの分流器を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明による方法は、いずれかの中空体、特に、その内部に少なくとも1つの付属品の導入が所望されるいずれかの中空体に好適である。これは、燃料タンクの製造に有利に適用される。「燃料タンク」という表現は、多様、かつ、異なった用法および環境条件下で燃料を保管することができる耐漏性のタンクを意味すると理解される。このタンクの例は、自動車に取り付けられるものである。
【0010】
本発明による方法により得られる中空体は、一般にその凹部に内面を、およびその凸部に外面を含むプラスチック製の壁からなる。
【0011】
「プラスチック」という用語は、少なくとも1種の合成ポリマー樹脂を含むいずれかの材料を意味すると理解される。
【0012】
いずれのタイプのプラスチックも好適であり得る。特に好適なプラスチックは熱可塑性カテゴリーに属する。
【0013】
「熱可塑性」という用語は、熱可塑性エラストマー、およびその混合物も含んだいずれかの熱可塑性ポリマーを意味すると理解される。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマー(特に二成分系または三成分系コポリマー)の両方を意味すると理解される。このようなコポリマーの例は、特に限定されないが、ランダムコポリマー、直鎖ブロックコポリマー、他のブロックコポリマーおよびグラフトコポリマーである。
【0014】
その融点が分解温度未満である、いずれかのタイプの熱可塑性ポリマーまたはコポリマーが好適である。少なくとも摂氏10度にわたる溶融範囲を有する合成熱可塑性樹脂が特に好適である。このような材料の例としては、それらの分子量において多分散性を示すものが挙げられる。
【0015】
特に、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミドおよびこれらのコポリマーを用いることが可能である。ポリマーまたはコポリマーのブレンドもまた用い得、同様に、高分子材料と、例えば、特に限定されないが、炭素、塩および他の無機誘導体、天然または高分子繊維などの無機、有機および/また天然充填材との混合物もまた用いることが可能である。上述のポリマーまたはコポリマーの少なくとも1種を含む積層および結合層から構成される多層構造を用いることも可能である。
【0016】
燃料タンク用に度々用いられる1種のポリマーはポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)で優れた結果が得られる。
【0017】
好ましくは、本発明による方法が意図する中空体は、熱可塑性プラスチックの少なくとも1つの層と、有利に、液体および/または気体に対して障壁となる材料から構成され得る少なくとも1つの追加の層とを含む多層構造を有する。
【0018】
好ましくは、障壁層の性質および厚さは、中空体の壁に接触する液体および気体の浸透性が最低となるよう選択される。好ましくは、燃料タンクの場合には、この層は、障壁材料、すなわち、例えば、EVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートコポリマー)などの燃料−不浸透性樹脂に基づいている。あるいは、タンクは、燃料に対して不浸透性とする目的のために、表面処理(フッ素化またはスルホン化)に供され得る。
【0019】
「パリソン」という用語は、全体がほぼ円筒状またはチューブ状(これは、本発明によれば、押出し機のヘッドに設けられたダイにおいて平らにされる)である、押出されたいずれかの形状の予備成形物であって、成形の後、すなわち、溶融状態にあるパリソンを、単一のパーツからタンクを得るために金型を用いて必要な形状および寸法に成形するステップを含む操作の後に、タンクの壁を形成することが意図されるものを意味すると理解される。
【0020】
本発明によれば、このパリソンは、押出し機において押出され、すなわち、プラスチックの溶融および/または可塑化からもたらされ、次いで、このプラスチックの押出ヘッドを介する排出から、全体に円筒状の形状が付与される。「押出ヘッド」という表記は、金属ブロックと、押出し機から出る溶融プラスチックの少なくとも1つの流れのための流路を含むコアとのアセンブリを意味すると理解される。このようなアセンブリは、一般に、材料を環状の流れの形態で分配する少なくとも1つのブロック(またはディストリビュータ)を含み、共押出ヘッドの場合には、これは、一般に、材料の層当たり少なくとも1つのディストリビュータを含む。
【0021】
1つまたは複数のディストリビュータは、必要に応じて、出口側が全体的にほぼ環状であると共に、コアと共に溶融プラスチックの環状出口流面積を決定する貫通するオリフィスを有する。押出し機によって押出ヘッドに供給される溶融プラスチックの流れは、一般に、加圧されたプラスチックの固体の円筒状の流れである。共押出ヘッド(多層構造の押出を意図する)の場合には、一般に、材料の円筒状の流れと同数の供給オリフィスがある。
【0022】
本発明によれば、押出ヘッドを出るパリソンは、ダイを通して押出されて、徐々に(全体的に円筒状である)形状を平坦な矩形の形状に変形される。その後のこのパリソンの切断により2枚の「シート」が得られ、それらのシートは従来技術の方法において得られる円筒状の半−パリソンより湾曲する傾向が減少し、従って、取り扱いが容易となる。
【0023】
好ましくは、このパリソンは、制御可能な厚さ(すなわち、長さ方向(母線に沿って)および/または横方向に(同一の断面にわたって)制御された様式で変化されることが可能であるもの)を有し、これは、ダイに組み込まれたWDS(垂直可変位性コア)、PWDS(可変形性リング)、SFDR(種々のプロファイルの加工コアまたは種々の形状のピン)または「ダイスライド」(ダイに局所的に挿入された部品:本出願人名義による特許文献2を参照のこと)などの少なくとも1つの公知の装置を用いる。その厚さが一定であるパリソンの成形に関して、この方法の処置は、金型における材料の一定ではない変形率による、パリソンの一定の箇所での、成形(および特に、ブロー成形)の最中に生じる厚さの低減を考慮することを可能とする。
【0024】
好ましい一変形例によれば、パリソンの長さ方向の切断は押出ダイ中において行われ、これは、本方法を可能な限り自動化し、および連続製造の停止/開始を容易にするためである。この変形例においては、好ましくは、このパリソンは、先ず、ダイに組み込まれた分流器を用いて切断され、次いで、パリソンの2つの切断されたパートがパリソン流のプラスチックの流れがその中を流れるダイの内部流路の漸次的な変化により徐々に平らにされる。
【0025】
この変形例においては、分流器がダイ出口まで延びており、切断されたパリソン部品を分離させたままにするために好適な形状、またはさらには次第に分離(例えば:これらを下位の金型のキャビティと同一の離間距離で離間)させるために好適な形状を有することが有利である。特に有利な一変形例によれば、本発明による方法によれば、分流器は、ダイを通る流路の形状と共に、2つの半円筒体の実質的に平坦なシートへの変形に寄与するために好適な形状および位置を有する。本明細書において、以降、「シート」という用語は、一般に、実質的に平らにされたパリソン片について用いることとする。
【0026】
最も好ましくは、本発明(および特に前述の変形例)による方法のダイはまた、次いで成形され得る、パリソン(またはシート)を横方向に切断してパリソンの小片(または非連続的なシート)を得ることができる装置を備えている。この切断作業は、材料の流れを瞬間的に中断し、従ってパリソンが切断されるよう、コアとダイのマントルとの相対的な動きにより行われ得る。あるいは、この切断作業を実施するフックまたはブレードをダイの下部に設ける(または任意にその下面に組み込む)ことが可能である。
【0027】
既に切断されると共に部分的に平らにされたシートがダイ出口で得られる場合、これらの取り扱いおよび金型への移動は従来技術の方法より著しく容易である。従って、ダイ出口とキャビティとの間に必要とされる高さを低減することが可能である。これは、周囲空気中における押出された材料の加圧保持時間を短縮することとなり、それ故、シートの温度が上昇し、これは、特に、中空体を最終的に成形する前に、パリソン内部のその内面上に構成部品(一つまたは複数の付属品)を取り付けるステップを含む場合に、その後の成形方法を容易とすることとなる。本発明の範囲内において有利であるこのような構成部品の取り付けは、例えばその内容が参照によりこの目的について本出願に援用される、本出願人名義による特許文献3、および国際特許出願第PCT/EP2006/063590号明細書に記載されている。
【0028】
シートの金型への移動は、いずれかの公知の様式で実施され得る。しかしながら、好ましい一変形例によれば、金型キャビティがダイの下方に位置され、パリソン(シート)が金型のキャビティの間から連続的に押出され、これが、次いで、横方向に切断され、および成形される直前に前記シートにわたって閉鎖される。
【0029】
しかしながら、この変形例において、シートの自由端(金型キャビティの間に重力によりぶら下がる)は、特にシートが以下に推奨されているとおり種々の厚さを有する場合には、巻き癖を有する。従って、特に最も好ましい一変形例によれば、この端部(またはむしろこの一対のシート端)は、これらを平らにすると共に屈曲の形成の防止を可能とする顎部またはフック(好ましくは冷却されたまたは例えばPTFEでコートされた金属製の)によりガイドされる。
【0030】
本発明による方法において、タンクは、単一のパーツとして、分割されたパリソンから、または少なくとも2つのパーツのパリソンから成形される(その後、個別のシェルを組み立てる追加のステップによらずに一体型タンクが得られる単一のステップで)ことが好ましく、これは、一般に、金型が閉鎖されたときの、スリットまたは2つのパーツのパリソンの溶着による。特に、このタンクは以下により有利に成形される:
・ブロー成形(すなわち、切断されたパリソンを膨張させ、加圧流体を用いて金型キャビティに対して押圧することによる)(その内容が参照によりこの目的について本出願に援用される特許文献1に記載されているとおり);
・パリソンの熱成形(すなわち、例えば、前記キャビティの後ろで吸引を(減圧を形成)を提供することによりパリソンを金型キャビティに対して押圧する)。
【0031】
好ましくは、タンクはブロー成形により成形される。これは、熱成形は、一般に、大きい変形(例えばパリソンが大きく延伸されるタンクの角部)を達成することが可能であるよう、金型の60℃への加熱を含むからである。これは、この制約が伴わないブロー成形より長い成形時間をもたらす。
【0032】
本発明による方法の最中、パリソンのパーツのスリットまたは縁部の、金型の最初の閉鎖(付属品をパリソンに取り付けるためにパリソンがキャビティに対して押圧されるとき)の最中の溶着を防止する装置があることが好ましい。この装置は、有利には、溶着されるパリソンのパーツ(2つのパーツのスリットまたは縁部のリップ)間に部分的に(一般に、その周縁の少なくとも一部にわたって)挿入されることが可能であるよう、好適な形状およびサイズを有するインサートに組み込まれる。溶着を促進するために、金型キャビティには、必要に応じて、第1の金型閉鎖(1つ以上の構成部品をこれに取り付けるための)に関連するステップの最中に溶着ゾーンの加熱を可能とさせる熱制御装置を備えていることが有利である。
【0033】
このインサートにはまた、特に、前述の溶着ゾーンといったパリソンとのその接触ゾーンにこのような(熱制御)装置が組み込まれていてもよい。この変形例は、タンクの溶着の品質をさらに向上させることが可能である(内側ビードを低減させ、従って、タンクの耐衝撃性を向上させることにより)。このような装置は、例えば、その内容が参照によりこの目的について本出願に援用される、本出願人名義による特許文献5に記載されている。
【0034】
本発明はまた、上述の方法を実施するための器具に関する。より具体的には、本発明はまた、円筒状の材料流を送出する押出し機のヘッドに装着されることが意図されるダイに関し、前記ダイは、この目的のために、入口(すなわち、押出ヘッドを出る円筒状の流れがダイに進入する側)では断面が環状であると共に、出口(すなわち、溶融プラスチックの流れがダイを出る側)では平坦である、前記流れのための流路を有する。この流路は、2つの個別の部分:一方では、パリソンの内表面に直接接触する中央部分またはコア(一般に、コアガイドにより押出ヘッドに取り付けられている)により、および、他方では、パリソンの外表面と直接接触する外側部分、またはマントルにより、区切られていることが好ましい。
【0035】
このようなダイは、従来の押出ヘッドに容易に装着(および離脱)可能であるという利点を有する。
【0036】
好ましい一変形例によれば、このダイは、溶融材料についての流路を所与の瞬間中断する少なくとも1つの分流器を含み、これは、ダイの出口までであることが好ましい。この分流器は、従って、分割されたパリソンが得られるよう円筒状の流れを分割することができる。最も特に好ましくは、本発明のこの態様によるダイは、径方向に対向する様式で流路に、パリソンを2本の対向した母線に沿って2つのパーツに分離するよう配置された2つの分流器を含む。従って、以下の説明の容易さのために、2つの分流器について記載するが、本発明はこの特定の事例に限定されないことが理解される。
【0037】
平らになるために環状流路が形状を変化させる箇所の直前に分流器が位置されていることが特に有利である。ならびに、上述のとおり、しかも、これらの分流器がダイの出口まで延びると共に、切断されたパリソン部品を分離させたままにするか、またはさらに次第に離間させるのに好適な形状を有することが特に有利である。特に有利な一変形例によれば、本発明によるダイにおいて、分流器は、ダイを通る流路の形状と共に、2つの半円筒体の実質的に平坦なシートへの変形に寄与するために好適な形状および位置を有する。最も好ましくは、金型キャビティへ直接挿入するために必要な距離で前記シートを離間させることも可能である。
【0038】
本発明によるダイの分流器はいずれの形状を有していてもよい。一般に、これらは、切断されたパリソン部品が十分に分離されたままでいるよう、ダイ入口に向かって指向されると共にダイ出口に向かって開口した鋭い縁部を有する。これらは、いずれかの公知の様式で前記ダイに取り付けられている。好ましくは、これらは、ダイにおける固定部分(一般に、マントル)に強固に取り付けられており、この固定部分が一緒に種々の厚さの流路を決定する可動部(一般に、コアまたはこれに強固に取り付けられた部品)に、分流器の「有効ではない」部品(パリソンの切断には関与しない)が耐漏れ性の様式でその中に挿入され得るスリットが設けられている。この挿入のシーリングは、いずれかの公知の様式で、好ましくは、種々の部品の対応する機械的耐性を10分の1ミクロン以内に適合させることにより確実とされる。
【0039】
最も好ましくは、既述のとおり、本発明によるダイは、パリソンの厚さを制御する装置および/または横方向にパリソンを切断する装置を含むことが好ましい。
【0040】
パリソンの厚さを制御する装置に関して、これは、その内容が参照によりこの目的について本出願に援用される、本出願人名義による特許文献2に記載されているとおり、「ダイスライド」(ダイに局所的に挿入された部品)であることが好ましい。これは円筒状のパリソンの厚さを変更するために特定的であるが、このパリソンがダイ自体中において2枚の平坦なシートに分離される本発明の変形例において、この変更が平坦な出口サブダイで実施されることが有利である。従って、本発明の本変形例によるダイの出口スリットのレベル(本明細書に添付の図5によって例示されている)には、厚さを局所的に変更することを可能とする可動性のブロックが組み込まれていることが好ましい。
【0041】
図1〜5の目的は、本発明の一定の具体的な態様を例示することであり、望ましくはその範囲を決して限定しない。図1〜3は、本発明の主題とは反対にパリソンの形状を変更しないが、他方で切断させるダイを示す。図4および5は、それぞれ、円筒状のまたは矩形のパリソンの形成、およびその切断および2枚の個別の平坦なシートへのその変換を可能とするダイを示す。
【0042】
これらの図において、同等の符号は同等の構成部品を示し、すなわち以下のとおりである:
1.ダイのマントル;
2.そのコア;
3.コアガイド;および
4.分流器。
【0043】
図1は、本発明によるダイにおける縦断面(図中に点線として示されるその軸を含む面において)の左側半分を示す。このダイは対称的である。図2は、分流器(4)のみを通る軸に沿った(既述の断面の面に直角な面を通る)断面を示し、および図3は図1のダイの底面図を示す。図4および5(これらは本発明の2つの異なる変形例による2種のダイを例示する)においては、これらの種々の断面が組み合わされている。ここに示されている装置は、パリソンの厚さを変更すると共に、これを切断することができる装置を備えている。右側面図は、左側面図に関して装置を90°回転させることにより得られる。しかも、左側面図は、横方向に切断された方法におけるシステム(特に、底部では材料のための流路はもう存在しない)を示し、および右側図は、本発明によるパリソンの押出しおよび平坦化の最中の装置を示す。
【0044】
図1から、コア(2)が、ダイの底部で点線により示されていると共に、分流器(4)が滑入し得るスリットが形成された三角形の突起を含んでいることが分かる。図2は、分流器の縁部およびその拡がるプロファイルを示す。そして、図3において、マントル(1)に組み込まれた分流器が、どのようにコア(2)に形成されたスリット中に滑入し得るかが示されている。これらの図において、円筒状のパリソンは2つのパーツに切断され、これが、次いで、成型されるために金型(図示せず)に導入される前に平たくされなければならない。その拡がっている幾何学的形状(図2および図4における切れ目の続きを参照のこと)により、分流器は、流れ(パリソン部品)を効果的に分離する。
【0045】
この拡がっている幾何学的形状はまた、図4および5に示されているダイの分流器にも存在している(ここで、これらの図において異なるレベルで形成された3つの横方向の切れ目が示されている)。ここに、図4のダイにおいて、溶融材料のための流路の形状の変化は徐々に矩形になる断面を有することを見ることができ、図5のダイにおいては、2つの平行なスリットで徐々に低減される断面、長さ方向で変化してシートの縁部を「プッシュバック」すると共に、これらをまっすぐにする形状を有する分流器の断面を見ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ・・・ダイのマントル;
2 ・・・コア;
3 ・・・コアガイド;および
4 ・・・分流器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)押出し機において、ダイを通して溶融プラスチックパリソンが押出されるステップと、
b)パリソンの長さ方向に少なくとも1つの切れ目が形成されるステップと、
c)前記パリソンが2つのキャビティを含む金型に導入されるステップと、
d)前記パリソンを金型キャビティに適合させることにより中空体が成形されるステップと
を含み、
前記ダイが、排出時に実質的に平らになるよう前記パリソンの形状が徐々に変形される溶融プラスチック用の流路を備えていることを特徴とするプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項2】
前記パリソンの厚さがダイに組み込まれた装置を用いて制御されることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項3】
前記パリソンの長さ方向の切断がダイにおいて実施されることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項4】
前記長さ方向の切断が分流器を用いて実施され、該分流器は前記ダイ出口まで延在し且つ好適な形状および位置を備えて、前記ダイを通る流路の形状と共に前記パリソンの2枚の実質的に平坦なシートへの変換に寄与していることを特徴とする請求項3に記載プラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項5】
前記中空体を成形する前に、少なくとも1つの付属品が前記パリソン内の内面上に取り付けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項6】
前記金型キャビティがダイの下方に配置され;前記パリソンが前記金型のキャビティの間で連続的に押出され、次いで、前記パリソンが横方向に切断され、成形される直前に閉鎖されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項7】
(前記金型キャビティの間で重力によりぶら下がっている)前記パリソンの下端が好適な装置によりガイドされると共に、平らにされることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック中空体を製造するための方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラスチック中空体を製造するための方法を実施するためのものであると共に、円筒状の材料流(またはパリソン)を送出する押出し機のヘッドに装着されることが意図されるダイであって、
該ダイはマントルおよびコアにより区切られている前記流れのための流路を有し、該流路は入口(すなわち円筒状の流れがダイに進入する側)では環状の断面を有すると共に出口(すなわち溶融プラスチックの流れがダイを出る側)で平坦な断面を有するダイにおいて、
径方向に対向した様式で、流路に、パリソンを2本の対向した母線に沿って2つのパーツに分離するよう配置された2つの分流器を有することを特徴とするダイ。
【請求項9】
前記パリソンの厚さを制御する装置および/または前記パリソンを横方向に切断する装置を含んでいることを特徴とする請求項8に記載のダイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−505649(P2010−505649A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530880(P2009−530880)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060513
【国際公開番号】WO2008/040766
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(507383057)イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム) (65)
【Fターム(参考)】