説明

パワーオンリセット回路

【課題】面積の小さいパワーオンリセット回路を提供する。
【解決手段】電源端子と接地端子との間に設けられる容量及び電流源と、容量と電流源の接続点を入力端子に接続するインバータと、を備えたパワーオンリセット回路に、電源電圧の立ち上がりを検出すると、容量をディスチャージするディスチャージ回路を設けた。ディスチャージ回路は、容量と電流源を備えているが、この容量の容量値は小さくて良いので、パワーオンリセット回路の面積が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーオンリセット回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーオンリセット回路について説明する。図4は、従来のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
【0003】
電源電圧VDDが立ち上がると、インバータ52により、電圧V1が接地電圧VSSになる。すると、NMOSトランジスタ53はオフし、電流源54による容量55のチャージが始まり、電圧V2が高くなり始める。電圧V2がインバータ56の反転閾値電圧よりも低い場合、出力電圧Voutが電源電圧VDDになる。電圧V2がインバータ56の反転閾値電圧よりも高くなると、出力電圧Voutが接地電圧VSSになる。電源電圧VDDになっている出力電圧Voutは、パワーオンリセット回路の出力端子に接続される回路(図示せず)に対し、パワーオンリセット信号として使用される。この出力電圧Voutが電源電圧VDDになっている期間は、パワーオンリセット信号の出力期間である。
【0004】
また、電源電圧VDDが立ち上がると、電圧V3が高くなり、容量51がチャージされる。
【0005】
電源電圧VDDが立ち下がると、容量51によって駆動されるインバータ52により、電圧V1は電圧V3になる。すると、NMOSトランジスタ53はオンし、容量55はディスチャージされる。つまり、この容量51は、容量55の残電荷をディスチャージするために設けられている。
【0006】
このようにすると、電流源54による容量55のチャージは、ディスチャージ後の残電荷のない容量55に対して行なわれる。よって、容量55の残電荷により、パワーオンリセット信号の出力期間が不安定にならない(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−110414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来の技術では、電源が立ち上がっている時に容量51がチャージされることにより、電源が立ち下がった後でも、インバータ52が動作できている。よって、この容量51の容量値は比較的大きくする必要があるので、パワーオンリセット回路の面積が大きくなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、回路の面積の小さいパワーオンリセット回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、電源端子と接地端子との間に設けられる第一容量及び第一電流源と、前記電源端子と前記接地端子との間に設けられる第二容量及び第二電流源と、前記第一容量の容量カップリングにより、電源電圧の立ち上がりを検出すると、前記第二容量をディスチャージするディスチャージ回路と、を備えることを特徴とするパワーオンリセット回路を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパワーオンリセット回路によれば、電源が立ち上がったときに第二容量の残電荷をディスチャージするため、第一容量は容量値が小さくてよいので、従来のパワーオンリセット回路に比較して回路の面積を小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
【図2】本実施形態のパワーオンリセット回路の各ノードの電圧を示すタイムチャートである。
【図3】本実施形態のパワーオンリセット回路の他の例を示す回路図である。
【図4】従来のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
まず、パワーオンリセット回路の構成について説明する。図1は、本実施形態のパワーオンリセット回路を示す回路図である。
【0014】
パワーオンリセット回路は、容量10、電流源11、インバータ12、PMOSトランジスタ13、容量14、電流源15、インバータ16、及び、バッファ17を備える。インバータ12及びPMOSトランジスタ13は、ディスチャージ回路を構成する。
【0015】
容量10は、電源端子とノードaとの間に設けられる。電流源11は、ノードaと接地端子との間に設けられる。インバータ12の入力端子は、ノードaに接続され、出力端子は、ノードbに接続される。PMOSトランジスタ13のゲートは、ノードbに接続され、ソースは、電源端子に接続され、ドレインは、ノードcに接続される。容量14は、電源端子とノードcとの間に設けられる。電流源15は、ノードcと接地端子との間に設けられる。インバータ16の入力端子は、ノードcに接続され、出力端子は、ノードdに接続される。インバータ17の入力端子は、ノードdに接続され、出力端子は、パワーオンリセット回路の出力端子に接続される。
【0016】
次に、パワーオンリセット回路の動作について説明する。図2は、本実施形態のパワーオンリセット回路の各ノードの電圧を示すタイムチャートである。
【0017】
時間T=t1の電源起動時に電源電圧VDDが立ち上がって高くなると、容量10の容量カップリングにより、ノードaの電圧Vaも高くなる。電圧Vaがインバータ12の反転閾値電圧よりも高くなるので、ノードbの電圧Vbは接地電圧VSSになる。すると、PMOSトランジスタ13はオンするので、ノードcの電圧Vcは電源電圧VDDになる。よって、容量14の両端の電圧はそれぞれ電源電圧VDDになるので、容量14はディスチャージされる。つまり、ディスチャージ回路(インバータ12及びPMOSトランジスタ13)は、容量10の容量カップリングにより、電源電圧VDDの立ち上がりを検出すると、容量14をディスチャージする。また、電圧Vcが電源電圧VDDであるので、インバータ16及びバッファ17により、電圧Vd及び出力電圧Voutは接地電圧VSSになる。
【0018】
電流源11の定電流により、容量10がチャージされているので、電圧Vaが徐々に低くなっている。時間T=t2において、電圧Vaがインバータ12の反転閾値電圧よりも低くなると、電圧Vbは電源電圧VDDになる。すると、PMOSトランジスタ13はオフする。従って、電流源15の定電流により、容量14がチャージされるので、電圧Vcが徐々に低くなる。
【0019】
時間T=t3において、電圧Vcがインバータ16の反転閾値電圧よりも低くなると、ノードdの電圧Vd及び出力電圧Voutは電源電圧VDDになる。つまり、時間t1で電源電圧VDDが立ち上がり、時間t1から時間t3までの遅延時間が経過すると、時間t3で出力電圧Voutは電源電圧VDDになる。時間t1から時間t3までの接地電圧VSSになっている出力電圧Voutは、パワーオンリセット回路の出力端子に接続される回路(図示せず)に対し、パワーオンリセット信号として使用される。この出力電圧Voutが接地電圧VSSになっている期間は、パワーオンリセット信号の出力期間である。
【0020】
ここで容量10は、容量14の残電荷をディスチャージするために設けられているが、電源端子とノードaとの間の容量カップリングとして機能するだけなので、容量値は小さくて良い。従って、電源が立ち下がった後に、容量51の電荷でディスチャージする従来のパワーオンリセット回路に比べて、回路の面積を小さくすることが出来る。
【0021】
また、図3に本実施形態のパワーオンリセット回路の他の回路例を示す。パワーオンリセット回路は、図3に示すように、容量18及びNMOSトランジスタ19が追加されても良い。
【0022】
容量18は、ノードdと接地端子との間に設けられる。NMOSトランジスタ19のゲートは、ノードdに接続され、ソースは、接地端子に接続され、ドレインは、ノードcに接続される。容量18及びNMOSトランジスタ19は、加速用のチャージ回路を構成する。
【0023】
電圧Vcがインバータ16の反転閾値電圧よりも低くなると、電圧Vdが電源電圧VDDになる。すると、比較的小さい容量値の容量18がチャージされ、NMOSトランジスタ19がオンして容量14をチャージする。すると、電圧Vcが直ちに接地電圧VSSになるので、電圧Vcの電圧変動が加速されるので、電圧Vcと電圧Vd及び出力電圧Voutの電圧が安定する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、容量14が電源端子に接続され、電流源15が接地端子に接続された構成としたが、逆に設けられても良い。この場合は、インバータ12はバッファに変更するか、削除すればよい。また、PMOSトランジスタ13は、ソースを接地端子に接続されたNMOSトランジスタに変更する。
また、容量10と電流源11についても、同様に逆に設けられても良い。
【符号の説明】
【0025】
10、14、18 容量
11、15 電流源
12、16 インバータ
17 バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子と接地端子との間に設けられる第一容量及び第一電流源と、
前記電源端子と前記接地端子との間に設けられる第二容量及び第二電流源と、
前記第一容量の容量カップリングにより、電源電圧の立ち上がりを検出すると、前記第二容量をディスチャージするディスチャージ回路と、
を備えることを特徴とするパワーオンリセット回路。
【請求項2】
前記ディスチャージ回路は、前記第二容量の両端にソースとドレインが接続され、前記電源電圧の立ち上がりを検出するとオンする第一MOSトランジスタ、を備える
ことを特徴とする請求項1記載のパワーオンリセット回路。
【請求項3】
前記第二容量と前記第二電流源の接続点を入力端子に接続するインバータと、
前記第二容量と前記第二電流源の接続点と前記インバータの出力端子の間に設けられ、前記第二容量のチャージを加速するチャージ回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載のパワーオンリセット回路。
【請求項4】
前記チャージ回路は、ゲートが前記インバータの出力端子に接続され、ドレインが前記第二容量と前記第二電流源の接続点に接続された第二MOSトランジスタ、を備える
ことを特徴とする請求項3記載のパワーオンリセット回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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