説明

パワー決定装置およびパワー決定方法

【課題】 フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを正確に決定するパワー決定装置を提供する。
【解決手段】 フィードバック制御が可能な周波数領域において既知のパワーPW2,PW3を有するパルス光を出射したときの駆動電圧VD2,VD3が検出される。また、フィードバック制御が不可能な周波数fhを有するパルス光を出射したときの駆動電圧VD1が検出される。そして、駆動電圧VD2,VD3と既知のパワーPW2,PW3との相関関係k1が検出され、その検出された相関関係k1に基づいて駆動電圧VD1に対応するパワーPW1が求められる。そうすると、このパワーPW1が周波数fhを有するパルス光のパワーと決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザから出射されたパルス光のパワーを決定するパワー決定装置およびパワー決定方法に関し、特に、フィードバック制御が不可能な周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定装置およびパワー決定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスクに信号を記録する光ピックアップは、所定の波長を有するレーザ光を出射する半導体レーザを備える。そして、光ピックアップは、半導体レーザをパルス駆動してパルス光によって信号を光ディスクに記録する。
【0003】
このようなレーザ光を用いて信号を光ディスクに記録する場合、レーザ光のパワーを所定のパワーに制御することが重要であり、各種の光ディスクに対して安定、かつ、高精度で電流−パワー補正を行なうレーザパワー制御方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
このレーザパワー制御方法は、マルチパルスを使用して情報を記録する光ディスクに対しては、マルチパルスをモノパルス化して半導体レーザからのレーザ光のパワーをモニタし、駆動電流に対するレーザ発光量を補正するというものである。
【特許文献1】特開2004−273011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のレーザパワー制御方法では、フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを検出することが困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを正確に決定するパワー決定装置を提供することである。
【0007】
また、この発明の別の目的は、フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを正確に決定するパワー決定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によれば、パワー決定装置は、パルス光のパワーがフィードバック制御可能であるときのパルス光の周波数の限界値である基準周波数よりも高い第1の周波数を有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録する光ピックアップにおける第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定装置であって、検出手段と、パワー決定手段とを備える。検出手段は、基準周波数以下の第2の周波数からなる周波数領域においてパルス光の複数の既知のパワーが得られるようにフィードバック制御されたときの複数の第1のレーザ駆動電圧を検出するとともに、第1の周波数を有するパルス光が出射されたときの第2のレーザ駆動電圧を検出する。パワー決定手段は、複数の既知のパワーと複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係に基づいて、第2のレーザ駆動電圧によって出射されたパルス光のパワーを類推して第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定する。
【0009】
好ましくは、検出手段は、第1の周波数を有するパルス光によって信号を光ディスクに記録した後に複数の第1のレーザ駆動電圧を検出する。
【0010】
好ましくは、検出手段は、第1の周波数を有するパルス光によって信号を光ディスクに記録するときに第2のレーザ駆動電圧を検出する。
【0011】
好ましくは、パワー決定手段は、相関関係を第2のレーザ駆動電圧の領域まで延長するとともに、延長した相関関係を用いて第2のレーザ駆動電圧に対応するパワーを検出し、その検出したパワーを第1の周波数を有するパルス光のパワーと決定する。
【0012】
また、この発明によれば、パワー決定方法は、パルス光のパワーがフィードバック制御可能であるときのパルス光の周波数の限界値である基準周波数よりも高い第1の周波数を有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録する光ピックアップにおける第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定方法であって、基準周波数以下の第2の周波数からなる周波数領域においてパルス光の複数の既知のパワーを決定し、その決定した複数の既知のパワーが得られるようにフィードバック制御されたときの複数の第1のレーザ駆動電圧を検出する第1のステップと、第1の周波数を有するパルス光が出射されたときの第2のレーザ駆動電圧を検出する第2のステップと、複数の既知のパワーと複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係に基づいて、第2のレーザ駆動電圧によって出射されたパルス光のパワーを類推して第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定する第3のステップとを備える。
【0013】
好ましくは、第1のステップは、第1の周波数を有するパルス光によって信号を光ディスクに記録した後に実行される。
【0014】
好ましくは、第2のステップは、第1の周波数を有するパルス光によって信号を光ディスクに記録するときに実行される。
【0015】
好ましくは、第3のステップは、複数の既知のパワーと複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係を検出するステップと、検出された相関関係を第2のレーザ駆動電圧の領域まで延長するとともに、延長した相関関係を用いて第2のレーザ駆動電圧に対応するパワーを検出し、その検出したパワーを第1の周波数を有するパルス光のパワーと決定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0016】
この発明によるパワー決定装置においては、フィードバック制御が可能なパルス光の周波数領域において複数の既知のパワーが得られるときの複数の第1のレーザ駆動電圧が検出されるとともに、フィードバック制御が不可能な周波数を有するパルス光を出射するときの第2のレーザ駆動電圧が検出される。そして、複数の既知のパワーと複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係を用いて第2のレーザ駆動電圧によって出射されたパルス光のパワーが類推されて第1の周波数を有するパルス光のパワーが決定される。即ち、フィードバック制御が可能な周波数領域において検出されたレーザ駆動電圧を用いてフィードバック制御が不可能な周波数領域におけるパルス光のパワーが決定される。
【0017】
したがって、この発明によれば、フィードバック制御が不可能な周波数領域においてパルス光のパワーを正確に決定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態によるパワー決定装置の概略ブロック図である。図1を参照して、この発明の実施の形態によるパワー決定装置10は、レーザドライバ1と、ダイオード2と、I−Vアンプ3と、フィードバック制御回路4と、電圧検出器5と、ドライブ回路6とを備える。
【0020】
半導体レーザLAは、光ディスクに信号を記録する光ピックアップに含まれる光源としての半導体レーザである。そして、半導体レーザLAは、パルス光を出射する。パワー決定装置10は、半導体レーザLAによって出射されたパルス光のパワーがフィードバック制御可能であるときのパルス光の周波数の限界値である基準周波数fstdよりも高い周波数fhを有するパルス光が半導体レーザLAから出射されたときの周波数fhを有するパルス光のパワーを後述する方法によって決定する。
【0021】
そして、基準周波数fstdは、たとえば、50MHz(10nsパルス幅)であり、周波数fhは、たとえば、200MHz(1倍速DVD、1Tパルス幅を40nsとして16倍速で2.5ns幅、5ns周期として)である。
【0022】
半導体レーザLAは、接地ノードGNDとレーザドライバ1との間に接続される。レーザドライバ1は、半導体レーザLAとフィードバック制御回路4との間に接続される。フィードバック制御回路4は、レーザドライバ1と、I−Vアンプ3との間に接続される。I−Vアンプ3は、電源ノードVCCとフィードバック制御回路4との間に接続される。
【0023】
その結果、半導体レーザLA、レーザドライバ1、フィードバック制御回路4およびI−Vアンプ3は、接地ノードGNDと電源ノードVCCとの間に直列に接続される。
【0024】
ダイオード2は、電源ノードVCCとI−Vアンプ3との間に接続される。
【0025】
レーザドライバ1は、ドライブ回路6からパルス信号PLSを受ける。パルス信号PLSは、基準周波数fstd以下の周波数flを有するパルス光または周波数fhを有するパルス光を発生させるためのパルス信号である。
【0026】
そして、レーザドライバ1は、フィードバック制御回路4から出力された駆動電圧VDに基づいて、パルス信号PLSによって指定された周波数fl,fhを有するパルス光を出射するように半導体レーザLAを駆動する。
【0027】
ダイオード2は、半導体レーザLAから出射されたパルス光を受け、その受けたパルス光の強度に応じた電流IをI−Vアンプ3へ出力する。
【0028】
I−Vアンプ3は、ダイオード2からの電流Iを電圧Vに変換し、その変換した電圧をフィードバック制御回路4へ出力する。
【0029】
フィードバック制御回路4は、サンプルホールド(S/H:Sample Hold)回路41と、スイッチ42と、抵抗43と、DAC端子44と、差動増幅器45とを含む。
【0030】
S/H回路41、スイッチ42および抵抗43は、I−Vアンプ3と差動増幅器45の反転入力端子との間に直列に接続される。DAC端子44は、差動増幅器45の非反転入力端子に接続される。差動増幅器45は、抵抗43およびDAC端子44とレーザドライバ1との間に接続される。
【0031】
S/H回路41は、I−Vアンプ3から出力された電圧Vを受け、APC端子46からサンプリングパルスPLSSを受ける。そして、S/H回路41は、サンプリングパルスPLSSに同期して電圧Vをサンプリングするとともに、そのサンプリングした電圧Vをホールドし、そのホールドした電圧Vをスイッチ42および抵抗43を介して差動増幅器45の反転入力端子へ出力する。
【0032】
スイッチ42は、ドライブ回路6からの信号SWによってオン/オフされる。より具体的には、スイッチ42は、H(論理ハイ)レベルの信号SWによってオンされ、L(論理ロー)レベルの信号によりオフされる。
【0033】
DAC端子44は、半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーを所望のパワーPWに設定するための基準電圧Vstdをドライブ回路6から受け、その受けた基準電圧Vstdを差動増幅器45の非反転入力端子に供給する。
【0034】
差動増幅器45は、反転入力端子に入力された電圧Vを非反転入力端子に入力された基準電圧Vstdと比較し、その比較結果に応じた電圧を駆動電圧VDとして出力する。より具体的には、差動増幅器45は、電圧Vが基準電圧Vstdよりも高いとき、基準電圧Vstdよりも低い電圧を駆動電圧VDとして出力し、電圧Vが基準電圧Vstdよりも低いとき、基準電圧Vstdよりも高い電圧を駆動電圧VDとして出力する。そして、差増増幅器45が上記の動作を繰り返すことにより、電圧Vは、基準電圧Vstdに設定される。
【0035】
フィードバック制御回路4における動作が開始されると、S/H回路41は、I−Vアンプ3からの電圧Vを受け、その受けた電圧VをサンプリングパルスPLSSに同期してサンプリングするとともに、そのサンプリング後の電圧Vをホールドして差動増幅器45の反転入力端子へ供給する。
【0036】
また、DAC端子44は、基準電圧Vstdをドライブ回路6から受け、その受けた基準電圧Vstdを差動増幅器45の非反転入力端子へ供給する。
【0037】
そうすると、差動増幅器45は、反転入力端子に入力された電圧Vを非反転入力端子に入力された基準電圧Vstdと比較し、電圧Vが基準電圧Vstdに一致するように駆動電圧VDを出力する。
【0038】
したがって、フィードバック制御回路4は、I−Vアンプ3からの電圧Vとドライブ回路6からの基準電圧Vstdとに基づいて、電圧Vが基準電圧Vstdに一致するようにフィードバック制御し、そのフィードバック制御後の電圧を駆動電圧VDとしてレーザドライバ1へ出力する。
【0039】
なお、半導体レーザLAを駆動するモードとしてAPC(Auto Power Control)モードおよびACC(Auto Current Control)モードが存在する。
【0040】
そして、半導体レーザLAがAPCモードで駆動されるとき、フィードバック制御回路4のスイッチ42は、オンされ、半導体レーザLAがACCモードで駆動されるとき、フィードバック制御回路4のスイッチ42は、オフされる。
【0041】
ACCモードは、I−Vアンプ3からの電圧Vを用いて半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーが所望のパワーに設定されるようにフィードバック制御することが困難であるため、スイッチ42をオフすることにしたものである。
【0042】
したがって、ACCモードにおいては、DAC端子44から入力された基準電圧Vstdは、差動増幅器45を介してそのままレーザドライバ1へ出力されることになる。
【0043】
電圧検出器5は、レーザドライバ1とフィードバック制御回路4との間のノードN1上の駆動電圧VDを検出し、その検出した駆動電圧VDをドライブ回路6へ出力する。
【0044】
ドライブ回路6は、パルス信号PLSを発生し、その発生したパルス信号PLSをレーザドライバ1へ出力する。
【0045】
また、ドライブ回路6は、サンプリングパルスPLSSを発生し、その発生したサンプリングパルスPLSSをS/H回路41のAPC端子46へ出力する。
【0046】
さらに、ドライブ回路6は、半導体レーザLAが所望のパワーPWのパルス光を放射するときの基準電圧Vstdを発生し、その発生した基準電圧VstdをDAC端子44へ出力する。
【0047】
さらに、ドライブ回路6は、半導体レーザLAをAPCモードで駆動するとき、Hレベルの信号SEを生成してスイッチ42へ出力し、半導体レーザLAをACCモードで駆動するとき、Lレベルの信号SWを生成してスイッチ42へ出力する。
【0048】
さらに、ドライブ回路6は、電圧検出器5から受けた駆動電圧VDに基づいて、後述する方法によって周波数fhを有するパルス光のパワーを決定する。
【0049】
周波数fhを有するパルス光のパワーを決定する方法について説明する。図2は、レーザパワーと駆動電圧との関係を示す図である。図2において、縦軸は、レーザパワーを表し、横軸は、駆動電圧を表す。
【0050】
ACCモードにおいて半導体レーザLAを駆動し、周波数fhを有するパルス光が半導体レーザLAから出射されているときの駆動電圧V1を検出する。
【0051】
その後、APCモードにおいて半導体レーザLAを駆動し、周波数flを有するパルス光のパワーを複数のパワーPW2,PW3に設定したときの駆動電圧VD2,VD3を検出する。この場合、複数のパワーPW2,PW3は、既知のパワーである。したがって、半導体レーザLAが出射されるパルス光のパワーが既知のパワーPW2,PW3に設定されたときの複数の駆動電圧VD2,VD3が検出される。
【0052】
そうすると、駆動電圧VD2,VD3と既知のパワーPW2,PW3との間の相関関係を検出する。
【0053】
この場合、図2に示すように、駆動電圧VD2,VD3と既知のパワーPW2,PW3との間に直線k1によって表される相関関係が存在するものとする。
【0054】
相関関係を検出すると、その検出した相関関係に基づいて、駆動電圧VD1に対応するパルス光のパワーPW1を決定する。より具体的には、相関関係である直線k1を駆動電圧VD1の領域まで延長し、その延長した直線k1を用いて駆動電圧VD1に対応するパワーPW1を検出する。そして、その検出したパワーPW1を周波数fhを有するパルス光のパワーと決定する。
【0055】
このように、この発明においては、パルス光のパワーをフィードバック制御可能なAPCモードにおいて検出された複数の駆動電圧VD2,VD3を用いて、既知のパワーPW2,PW3と複数の駆動電圧VD2,VD3との相関関係を検出し、その検出した相関関係を用いて、フィードバック制御が不可能な周波数fhを有するパルス光のパワーを決定する。
【0056】
図3は、図1に示すパワー決定装置10における動作を説明するためのフローチャートである。図3を参照して、一連の動作が開始されると、ドライブ回路6は、Lレベルの信号SWを生成してスイッチ42へ出力するとともに、周波数fhを有するパルス信号PLSを生成してレーザドライバ1へ出力する。また、ドライブ回路6は、半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーを所望のパワーPW0に設定するための基準電圧Vstd1を発生してDAC端子44へ出力する。
【0057】
スイッチ42は、ドライブ回路6からのLレベルの信号SWに応じてオフされる。そして、DAC端子44は、ドライブ回路6からの基準電圧Vstd1を差動増幅回路45の非反転入力端子へ出力する。差動増幅器45は、非反転入力端子に入力された基準電圧Vstd1をそのままレーザドライバ1へ出力する。
【0058】
そうすると、レーザドライバ1は、差動増幅器45から入力された基準電圧Vstd1に基づいて、パルス信号PLSによって指定された周波数fhを有するパルス光を出射するように半導体レーザLAに電流を供給し、半導体レーザLAを駆動する。
【0059】
そして、電圧検出器5は、ノードN1上の駆動電圧VD1(=基準電圧Vstd1)を検出し、その検出した駆動電圧VD1をドライブ回路6へ出力する(ステップS1)。
【0060】
ドライブ回路6は、電圧検出器5から駆動電圧VD1を受けると、Hレベルの信号SEを生成してフィードバック制御回路4のスイッチ42へ出力する。
【0061】
また、ドライブ回路6は、周波数flを有するパルス信号PLSを生成してレーザドライバ1へ出力する。
【0062】
さらに、ドライブ回路6は、サンプリングパルスPLSSを発生してAPC端子46へ出力するとともに、半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーを既知のパワーPW2に設定するための基準電圧Vstd2を発生してDAC端子44へ出力する。
【0063】
そうすると、スイッチ42は、Hレベルの信号SWに応じてオンされ、DAC端子44は、基準電圧Vstd2を差動増幅器45の非反転入力端子へ出力する。これにより、半導体レーザLAは、APCモードによって駆動される。
【0064】
差動増幅器45は、I−Vアンプ3からの電圧Vを基準電圧Vstd2と比較し、その比較結果に応じた電圧を駆動電圧VDとしてレーザドライバ1へ出力する。そして、レーザドライバ1は、差動増幅器45から出力された駆動電圧VDに基づいて、パルス信号PLSによって指定された周波数flを有するパルス光を放射するように半導体レーザLAを駆動する。
【0065】
そして、電圧検出器5は、半導体レーザLAから放射されたパルス光のパワーが既知のパワーPW2に設定されたときの駆動電圧VD2を検出し、その検出した駆動電圧VD2をドライブ回路6へ出力する。
【0066】
ドライブ回路6は、電圧検出器5から駆動電圧VD2を受けると、半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーを既知のパワーPW3に設定するための基準電圧Vstd3を発生してDAC端子44へ出力する。
【0067】
そうすると、DAC端子44は、基準電圧Vstd2を差動増幅器45の非反転入力端子へ出力し、フィードバック制御回路4は、半導体レーザLAから出射されるパルス光のパワーが既知のパワーPW3に設定されるように制御する。
【0068】
そして、電圧検出器5は、半導体レーザLAから放射されたパルス光のパワーが既知のパワーPW3に設定されたときの駆動電圧VD3を検出し、その検出した駆動電圧VD3をドライブ回路6へ出力する(ステップS2)。
【0069】
ドライブ回路6は、電圧検出器5から駆動電圧VD2,VD3を受けると、既知のパワーPW2,PW3と駆動電圧VD2,VD3との間の相関関係(=直線k1)を検出し(ステップS3)、その検出した相関関係(=直線k1)に基づいて、上述した方法によって、駆動電圧VD1によって出射されたパルス光のパワーを類推し、その類推したパワーを基準周波数fstdよりも高い周波数fhを有するパルス光のパワーPW1と決定する(ステップS4)。
【0070】
これによって、一連の動作が終了する。
【0071】
上述したステップS1は、好ましくは、周波数fhを有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録するときに実行される。実際に信号を記録するときに駆動電圧VD1を検出し、その検出した駆動電圧VD1に対応するパワーを決定する方が記録時のパワーをより正確に決定できるからである。
【0072】
また、上述したステップS2は、好ましくは、周波数fhを有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録した後に実行される。
【0073】
このように、フィードバック制御が可能な周波数領域において、半導体レーザLAが既知のパワーPW2,PW3を有するパルス光を出射するときの駆動電圧VD2,VD3を検出し、既知のパワーPW2,PW3と駆動電圧VD2,VD3との間の相関関係に基づいて、基準周波数fstdよりも高い周波数fhを有するパルス光のパワーPW1を類推することにより、フィードバック制御が不可能な周波数領域において半導体レーザLAから出射されたパルス光のパワーを正確に決定できる。
【0074】
なお、上記においては、フィードバック制御が可能な周波数領域における既知のパワーおよびその既知のパワーに対する駆動電圧の個数は、2個であると説明したが、この発明においては、これに限らず、既知のパワーおよびその既知のパワーに対する駆動電圧の個数は、3個以上であってもよい。
【0075】
そして、既知のパワーおよびその既知のパワーに対する駆動電圧の個数が多い方が周波数fhを有するパルス光のパワーの類推がより正確になる。
【0076】
また、複数のパワーPW2,PW3と複数の駆動電圧VD2,VD3との相関関係は、直線関係に限らず、曲線であってもよい。
【0077】
この発明においては、電圧検出器5は、「検出手段」を構成し、ドライブ回路6は、「パワー決定手段」を構成する。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明は、フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを正確に決定するパワー決定装置に適用される。また、この発明は、フィードバック制御が不可能な高周波数を有するパルス光のパワーを正確に決定するパワー決定方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施の形態によるパワー決定装置の概略ブロック図である。
【図2】レーザパワーと駆動電圧との関係を示す図である。
【図3】図1に示すパワー決定装置における動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 レーザドライバ、2 ダイオード、3 I−Vアンプ、4 フィードバック制御回路、5 電圧検出器、6 ドライブ回路、10 パワー決定装置、41 S/H回路、42 スイッチ、43 抵抗、44 DAC端子、45 差動増幅器、46 APC端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光のパワーがフィードバック制御可能であるときの前記パルス光の周波数の限界値である基準周波数よりも高い第1の周波数を有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録する光ピックアップにおける前記第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定装置であって、
前記基準周波数以下の第2の周波数からなる周波数領域において前記パルス光の複数の既知のパワーが得られるようにフィードバック制御されたときの複数の第1のレーザ駆動電圧を検出するとともに、前記第1の周波数を有するパルス光が出射されたときの第2のレーザ駆動電圧を検出する検出手段と、
前記複数の既知のパワーと前記複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係に基づいて、前記第2のレーザ駆動電圧によって出射されたパルス光のパワーを類推して前記第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定手段とを備えるパワー決定装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第1の周波数を有するパルス光によって前記信号を前記光ディスクに記録した後に前記複数の第1のレーザ駆動電圧を検出する、請求項1に記載のパワー決定装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記第1の周波数を有するパルス光によって前記信号を前記光ディスクに記録するときに前記第2のレーザ駆動電圧を検出する、請求項1または請求項2に記載のパワー決定装置。
【請求項4】
前記パワー決定手段は、前記相関関係を前記第2のレーザ駆動電圧の領域まで延長するとともに、前記延長した相関関係を用いて前記第2のレーザ駆動電圧に対応するパワーを検出し、その検出したパワーを前記第1の周波数を有するパルス光のパワーと決定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパワー決定装置。
【請求項5】
パルス光のパワーがフィードバック制御可能であるときの前記パルス光の周波数の限界値である基準周波数よりも高い第1の周波数を有するパルス光を用いて信号を光ディスクに記録する光ピックアップにおける前記第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定するパワー決定方法であって、
前記基準周波数以下の第2の周波数からなる周波数領域において前記パルス光の複数の既知のパワーを決定し、その決定した複数の既知のパワーが得られるようにフィードバック制御されたときの複数の第1のレーザ駆動電圧を検出する第1のステップと、
前記第1の周波数を有するパルス光が出射されたときの第2のレーザ駆動電圧を検出する第2のステップと、
前記複数の既知のパワーと前記複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係に基づいて、前記第2のレーザ駆動電圧によって出射されたパルス光のパワーを類推して前記第1の周波数を有するパルス光のパワーを決定する第3のステップとを備えるパワー決定方法。
【請求項6】
前記第1のステップは、前記第1の周波数を有するパルス光によって前記信号を前記光ディスクに記録した後に実行される、請求項5に記載のパワー決定方法。
【請求項7】
前記第2のステップは、前記第1の周波数を有するパルス光によって前記信号を前記光ディスクに記録するときに実行される、請求項5または請求項6に記載のパワー決定方法。
【請求項8】
前記第3のステップは、
前記複数の既知のパワーと前記複数の第1のレーザ駆動電圧との相関関係を検出するステップと、
前記検出された相関関係を前記第2のレーザ駆動電圧の領域まで延長するとともに、前記延長した相関関係を用いて前記第2のレーザ駆動電圧に対応するパワーを検出し、その検出したパワーを前記第1の周波数を有するパルス光のパワーと決定するステップとを含む、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のパワー決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−277858(P2006−277858A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97123(P2005−97123)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】