説明

パーキング機構の切換え装置

【課題】駆動装置の小型化とレスポンスとの両立を可能とするものでありながら、停車中の車輌が所定勾配以上であったとしても、パーキング解除を確実に行うことが可能なパーキング機構の切換え装置を提供する。
【解決手段】パーキング機構の切換え装置は、停車中の車輌が所定勾配以上の状態でシフトレバーによりP抜き指令された際、駆動装置によりパーキングロッド34及びストッパ33を、パーキング位置よりも軸方向X1方向側に移動駆動した助走位置からパーキング位置を通過させて非パーキング位置に駆動し、助走されたストッパ33をウェッジ35に衝突させて、該ウェッジ35を抜脱させる助走パーキング解除制御を実行する。比較的小さな駆動トルクでパーキング解除が可能となり、駆動装置の小型化が図れる。また、停車中の車輌が所定勾配未満の際は、助走パーキング解除制御の実行が不要であり、不必要なレスポンスの低下も避けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌の駆動装置等に搭載されるシフトバイワイヤシステムのパーキング機構の切換え装置に係り、詳しくは、車輌が所定勾配以上の路面に停車している状態で、ウェッジをパーキングポールとサポート部材との間から抜脱させるパーキング解除の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者によって操作されたシフトレンジの変更指令を、機械的なワイヤやロッドを介して行うのではなく、電気信号を介して駆動装置を駆動することで行う、いわゆるシフトバイワイヤ(SBW)システムが種々開発されている。このようなシフトバイワイヤシステムは、例えば自動変速機やハイブリッド駆動装置を搭載した車輌や、電気自動車等に取付けられて用いられるが、何れのものにあっても、パーキング機構を駆動して、パーキングギヤの噛合・解除を行うものが主流である。
【0003】
ところで、上記シフトバイワイヤシステムにおいては、運転者によるシフトレンジの変更指令を迅速に反映してパーキングギヤの噛合・解除を行うレスポンス性の向上が求められる一方で、特に車輌が例えば登坂路や降坂路にあって車重がパーキングギヤにかかる状態などでは、上記車重がパーキング機構のウェッジの挟持圧として反映されるため、パーキング解除のためにパーキングロッドを駆動する駆動トルクとして大きなトルクが要求される。このため、パーキングロッドを駆動する駆動装置(モータやアクチュエータなど)の小型化が難しいという問題がある。
【0004】
そこで、パーキングポジションから非パーキングポジションに駆動する際と、反対に非パーキングポジションからパーキングポジションに駆動する際とで、アクチュエータから伝達するギヤ比を切換えることで、アクチュエータの小型化を図りながら、レスポンス性とトルクの確保との両立を図ろうとしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−117561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のものは、アクチュエータの小型化は図れるとしても、アクチュエータによりパーキングロッドを駆動する駆動装置内にあって、ワンウェイクラッチ等を各所に配置した複雑なギヤ機構を必要としており、該駆動装置が大型化してしまい、シフトバイワイヤシステム全体としての小型化が図れないという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献1のものは、例えば車輌が平坦路等にあって車重がパーキングギヤにかからない状態であっても、ギヤ比を大きくして(つまり減速して)パーキングポジションから非パーキングポジションに駆動するので、不必要にレスポンスを低下させてしまうという問題もある。
【0008】
そこで本発明は、駆動装置の小型化とレスポンスとの両立を可能とするものでありながら、停車中の車輌が所定勾配以上であったとしても、パーキング解除を確実に行うことが可能なパーキング機構の切換え装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は(例えば図1乃至図8参照)、軸状のパーキングロッド(34)と、前記パーキングロッド(34)の軸方向(X1−X2)に対して摺動自在に配置されるウェッジ(35)と、前記ウェッジ(35)を軸方向一方(X1方向)に付勢するスプリング(37)と、前記パーキングロッド(34)に固着され、前記ウェッジ(35)を前記パーキングロッド(34)に対して軸方向他方(X2方向)から抜け止めするストッパ(33)と、車輪に駆動連結された出力軸に回転不能に配設されたパーキングギヤ(42)と、前記パーキングギヤ(42)に噛合し得るように回動自在なパーキングポール(40)と、前記パーキングポール(40)の回動方向(例えばY1方向)に対向して配置されたサポート部材(38)と、を有し、前記ウェッジ(35)が前記パーキングポール(40)と前記サポート部材(38)との間に嵌合された際に該パーキングポール(40)が前記パーキングギヤ(42)に噛合可能なパーキング機構(8)、に対して用いられ、
パーキング状態(P)又は非パーキング状態(not P)を指令する操作部(2)と、前記パーキングロッド(34)を軸方向に駆動自在な駆動装置(10)と、を備え、前記操作部(2)の操作入力に基づき前記パーキングロッド(34)を駆動して、前記ウェッジ(35)を前記パーキングポール(40)と前記サポート部材(38)との間に嵌合するパーキング位置(P位置)と、前記ウェッジ(35)を前記ストッパ(33)により軸方向他方側(X2方向側)から押圧して前記パーキングポール(40)と前記サポート部材(38)との間から抜脱した非パーキング位置(not P位置)と、に切換え駆動するパーキング機構(8)の切換え装置(1)において、
停車中の車輌が所定勾配以上であることが判定された状態で、前記操作部(2)により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令された際、前記駆動装置(10)により前記パーキングロッド(34)及び前記ストッパ(33)を、前記パーキング位置よりも軸方向一方側(X1方向側)に移動駆動した助走位置から前記パーキング位置を通過させて前記非パーキング位置に駆動し、助走された前記ストッパ(33)を前記ウェッジ(35)に衝突させて、該ウェッジ(35)を前記パーキングポール(40)と前記サポート部材(38)との間から抜脱させる助走パーキング解除制御(S14、S31)を実行する制御部(3)を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は(例えば図8参照)、前記制御部(3)は、前記助走パーキング解除制御の実行前にあって、イグニッションのオン(IG ON)を検出した際に、前記駆動装置(10)により前記パーキングロッド(34)を前記パーキング位置から前記助走位置に駆動し、前記操作部(2)により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令されるまで待機する待機制御(S23〜S30)を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は(例えば図7参照)、前記制御部(3)は、前記操作部(2)により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令された際に、前記駆動装置(10)により前記パーキングロッド(34)を前記パーキング位置から前記助走位置に駆動する助走準備制御(S13)を実行した後、前記助走パーキング解除制御(S14)を実行することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は(例えば図1乃至図6参照)、前記パーキング機構(8)は、一端が固定部材(9)に固定され、他端に係合部(27c)を有するディテントスプリング(27)と、前記駆動装置(10)により回動駆動されると共に、前記パーキングロッド(34)の端部(34b)が駆動連結され、かつ前記パーキングロッド(34)が前記パーキング位置で前記ディテントスプリング(27)の係合部(27c)に係合する第1谷部(26a)、及び前記パーキングロッド(34)が前記非パーキング位置で前記ディテントスプリング(27)の係合部(27c)に係合する第2谷部(26b)が形成されたディテントレバー(26)と、を備えたディテント機構(7)を有し、
前記ディテントレバー(26)は、前記パーキングロッド(34)が前記助走位置にある際に、前記第1谷部(26a)に向かって前記ディテントスプリング(27)の係合部(27c)を付勢する傾斜部(26c)が形成されてなることを特徴とする。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によると、停車中の車輌が所定勾配以上であることが判定された状態で、操作部によりパーキング状態から非パーキング状態に指令された際、駆動装置によりパーキングロッド及びストッパを、パーキング位置よりも軸方向一方側に移動駆動した助走位置からパーキング位置を通過させて非パーキング位置に駆動し、助走されたストッパをウェッジに衝突させて、該ウェッジをパーキングポールとサポート部材との間から抜脱させる助走パーキング解除制御を実行するので、例えば車輌が登坂路や降坂路にあって車重がパーキングギヤにかかる状態であったとしても、比較的小さな駆動トルクでパーキング解除を可能とすることができ、アクチュエータの小型化や変速装置の簡素化が図れ、駆動装置の小型化を図ることができる。また、停車中の車輌が所定勾配未満(即ち平坦路)の際は、助走パーキング解除制御の実行が不要であり、不必要なレスポンスの低下も避けることができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、助走パーキング解除制御の実行前にあって、イグニッションのオンを検出した際に、駆動装置によりパーキングロッドをパーキング位置から助走位置に駆動し、操作部によりパーキング状態から非パーキング状態に指令されるまで待機する待機制御を実行するので、実際に操作部によりパーキング解除が指令される前に助走位置に待機させることができ、操作部の指令があってから助走位置に駆動する場合に比して、レスポンスの向上を図ることができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、操作部によりパーキング状態から非パーキング状態に指令された際に、駆動装置によりパーキングロッドをパーキング位置から助走位置に駆動する助走準備制御を実行した後、助走パーキング解除制御を実行するので、操作部の操作が行われる前に制御を行う必要がなく、簡易な制御とすることができる。また、例えば操作部によりパーキング解除が指令される前に助走位置に待機させる場合に比して、待機中の電力消費やアクチュエータの負荷を低減することができるので、車輌の燃費向上や耐久性の向上などに寄与することができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、ディテントレバーには、パーキングロッドが助走位置にある際に、第1谷部に向かってディテントスプリングの係合部を付勢する傾斜部が形成されているので、パーキング解除の際に、該傾斜部の傾斜に基づきディテントスプリングの付勢力が加勢されるため、第1谷部を通過して第2谷部までの山部を乗り越えさせることを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るパーキング機構の切換え装置及びパーキング機構を模式的に示す図。
【図2】非パーキングレンジ位置にあるパーキング機構を示す説明図。
【図3】パーキングレンジ位置にあるパーキング機構を示す説明図。
【図4】助走位置にあるパーキング機構を示す説明図。
【図5】パーキング解除時のパーキング機構を示す説明図。
【図6】ディテント機構を示す拡大側面図。
【図7】第1の実施の形態に係る助走パーキング解除制御を示すフローチャート。
【図8】第2の実施の形態に係る助走パーキング解除制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図7に沿って説明する。まず、本発明を適用し得るパーキング機構の切換え装置の概略構成について図1に沿って説明する。
【0020】
本パーキング機構の切換え装置1は、例えば車輌に搭載されるハイブリッド駆動装置等のパーキング機構8に取付け可能に構成されている。図1に示すように、該パーキング機構の切換え装置1には、運転者によってシフトレンジ(パーキングレンジ、非パーキングレンジ(ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、リバースレンジ等))を選択操作し得るシフトレバー(操作部)2と、該シフトレバー2からのシフト信号(電気信号)S1に基づいて制御信号S2を発生させる制御部3と、該制御部3からの制御信号S2に基づいて制御されるアクチュエータ(例えばモータ等)(不図示)、及び該アクチュエータの回転運動をマニュアルシャフト18の回動運動に変換する変速装置を有して、後述するパーキングロッド34を軸方向に駆動自在な駆動装置10と、を備えて構成されている。該駆動装置10には、マニュアルシャフト18の一端を連結する連結孔10dが配設されており、駆動装置10の変速機構は、マニュアルシャフト18に取付けられることで駆動連結されると共に、該駆動装置10は、マニュアルシャフト18を介して後述のパーキング機構8に取付けられることになる。
【0021】
シフトレバー(操作部)2には、例えばパーキングレンジ(パーキング状態)(Pレンジ)、非パーキングレンジ(非パーキング状態)(not Pレンジ)としてのリバースレンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、ドライブレンジ(Dレンジ)、の各シフトレンジが表示されている(不図示)。該シフトレバー2は、運転者によって直接に操作されて上述のシフトレンジのうちから1つのレンジを選択するように構成されている。そして、操作入力(選択)されたレンジに対応するシフト信号S1が発生される。なお、操作部としては、運転者の意思を反映することができるもの、即ち運転者によって選択されたシフトレンジに対応するシフト信号S1を発生し得るものであれば、シフトレバー2以外のものであってもよく、例えば、シフトボタン、シフトスイッチ、音声入力装置等を採用することもできる。
【0022】
制御部3は、基本的には上述のシフトレバー2で発生されたシフト信号S1(即ち操作入力)に基づいて制御信号S2を発生させ、該制御信号S2によって駆動装置10内のアクチュエータの回転を制御する。さらに、該制御部3には、停車時における車輌勾配を判定する車輌勾配判定手段4と、詳しくは後述する助走パーキング解除制御を実行させる助走パーキング解除制御手段5と、を有して構成されている。
【0023】
なお、制御部3は、マニュアルシャフト18の角度検出信号に基づき、駆動装置10内のアクチュエータの回転方向や回転開始・停止のタイミングを制御する。このように制御部3は、シフトレバー2からのシフト信号S1に基づいて駆動装置10内のアクチュエータによりパーキング機構8を切換える、いわゆるシフトバイワイヤシステム(SBW)をコントロールするためのコントロールユニットである。また、制御部3は、図1において、駆動装置10の外部に配置されているように示しているが、該駆動装置10の内部に配置するようにしても良い。
【0024】
一方、パーキング機構8の一部を構成するディテント機構7は、図1及び図6に示すように、ディテントレバー26と、ディテントスプリング27とを有している。該ディテントレバー26は、略扇状の板状部材であり、マニュアルシャフト18が軸受孔30に嵌合されている。該ディテントレバー26は、該マニュアルシャフト18を介してハイブリッド駆動装置(不図示)のケーシングに対して、Z1−Z2方向に回動自在に支持されている。また、ディテントレバー26の中央付近には、係合孔25が穿設されており、該係合孔25には、詳しくは後述するパーキングロッド34の端部34bが挿入されて係合される。
【0025】
ディテントレバー26の軸受孔30とは反対側の端面(図6中の下方側)には、同図中の左から順に非パーキングレンジ谷部(第2谷部)26b、パーキングレンジ谷部(第1谷部)26aが形成され、該パーキングレンジ谷部26aを谷底として該パーキングレンジ谷部26aに向かって徐々に傾斜する傾斜部26cが形成されている。また、パーキングレンジ谷部26aと非パーキングレンジ谷部26bとの間は、凸部状に形成されている。
【0026】
一方のディテントスプリング27は、略々長板状の部材によって構成されており、図1及び図6に示すように、基端部(一端)27aがハイブリッド駆動装置のケース(固定部材)9にボルト28で固定され、その先端(他端)には二股部27bが形成されている。該二股部27bの各先端の間には、ローラ(係合部)27cが回転自在に支持されている。ディテントスプリング27は、全体が板ばねとして作用し、その先端に回転自在に支持されているローラ27cを、ディテントレバー26のパーキングレンジ谷部26a又は非パーキングレンジ谷部26bに向けて押圧して、ディテントレバー26の回動角度を精度よく位置決め保持するようになっている。
【0027】
パーキング機構8は、図1及び図2に示すように、軸状のパーキングロッド34を有しており、該パーキングロッド34の軸方向X2方向側(軸方向他方側)は屈曲形成されていると共に、その先端の端部34bが上記ディテントレバー26の係合孔25に係合され、かつディテントレバー26の表裏面の両側でカシメ34c,34cでカシメられて、該パーキングロッド34とディテントレバー26(つまりマニュアルシャフト18)とが駆動連結されている。なお、図2乃至図5では、図示の便宜上、パーキングロッド34とディテントレバー26とを分解して示しているが、実際には係合孔25に端部34bが係合されている。
【0028】
該パーキングロッド34の直線部34aの軸方向X1方向側(軸方向一方側)には、軸方向に対して摺動自在に円錐状のウェッジ35が配置されており、その軸方向X2方向側には、カシメ36により一端側が規制されて軸方向X1方向側(軸方向一方側)に該ウェッジ35を付勢するスプリング37が該パーキングロッド34の直線部34aに対して摺動自在に配置されている。また、ウェッジ35よりも軸方向X1方向側(軸方向一方側)には、該ウェッジ35を該パーキングロッド34の直線部34aに対して軸方向X2方向側(軸方向他方側)から抜け止めするストッパ33が該パーキングロッド34に固着されている。
【0029】
一方、ハイブリッド駆動装置内には、車輪に駆動連結された出力軸(不図示)に回転不能となるようにパーキングギヤ42が配設されており、該パーキングギヤ42の外周側には、支点41を中心にY1−Y2方向に回動自在に配設され、該パーキングギヤ42に爪部43が噛合し得るパーキングポール40が対向配置されている。該パーキングポール40は、トーションスプリング45によって常時パーキングギヤ42から爪部43が離反するように付勢されている。そして、該パーキングポール40の回動方向(Y1方向)に対向して、サポート部材38が配置されている。
【0030】
ついで、本パーキング機構の切換え装置1による非パーキング状態からパーキング状態への切換え動作について説明する。例えばシフトレバー2の操作位置が非パーキングレンジ(ドライブレンジ、ニュートラルレンジ、リバースレンジ)である場合には、図2に示すように、ディテント機構7において、ディテントスプリング27のローラ27cが非パーキングレンジ谷部26bに係合し、パーキングロッド34が軸方向X2方向の非パーキング位置にあって、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱した状態にある。
【0031】
この状態から例えば運転者がシフトレバーを操作し、非パーキングレンジからパーキングレンジに指令すると、制御部3にシフト信号S1が出力され、それを受けて制御部3は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、不図示のアクチュエータを回転駆動する。すると、マニュアルシャフト18が回動駆動されて、図2に示す状態から、図3に示すようにディテントレバー26がZ2方向に回動され、パーキングロッド34がX1方向に移動駆動されて、ディテントスプリング27のローラ27cがパーキングレンジ谷部26aに係合すると共に、ウェッジ35がスプリング37によってパーキングポール40とサポート部材38との間に対して嵌合する方向に付勢される。この際、パーキングポール40の爪部43の位置がパーキングギヤ42の谷部分の位置に合致すると、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間に嵌合され、ウェッジ35がトーションスプリング45の付勢に抗してパーキングポール40をY2方向に回動させ、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42に噛合し、パーキングギヤ42を介して車輪が回り止めされて、パーキング状態(P位置)となる。
【0032】
続いて、本発明の要部となる、本パーキング機構の切換え装置1によるパーキング状態から非パーキング状態への切換え動作(P抜きシフト)について、図1乃至図5を参照しつつ、図7のフローチャートに沿って説明する。図3に示すようなパーキング状態から、例えば運転者がシフトレバー2を操作し、パーキングレンジから非パーキングレンジに指令すると、制御部3にシフト信号S1が出力される(S11)。
【0033】
それを受けた制御部3の車輌勾配判定手段4は、停車中(パーキング中)の車輌の勾配が所定勾配以上であるか否かを判定する(S12)。なお、車輌勾配判定手段4は、通常、車輌走行中に随時走行抵抗の大きさを監視し、車輌の停車直前の走行抵抗の大きさから停車中の車輌の勾配を判定するものが主流であるが、これに限らず、単に車輌に傾斜センサを配設して、その傾斜センサの検出結果を車輌の勾配として取得してもよい。
【0034】
上記ステップS12において、車輌の勾配が所定勾配未満であった場合は(S12のNo)、つまり車輌が略々平坦路上にあって、パーキングギヤ42がパーキングポール40を押圧することによってウェッジ35をサポート部材38との間で挟持する挟持圧は、殆んど作用していない状態である。
【0035】
そこでステップS15に進み、制御部3は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、駆動装置10の不図示のアクチュエータを回転駆動(作動)し(図1参照)、図3に示す状態からマニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をZ1方向に回動駆動し、図2に示すようにディテントレバー26がZ1方向に回動され、パーキングロッド34がX2方向に移動駆動されて、ディテントスプリング27のローラ27cが非パーキングレンジ谷部26bに係合すると共に、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱される。これにより、パーキングポール40がトーションスプリング45の付勢によってY1方向に回動され、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42から解除されて、パーキングギヤ42及び車輪が回転可能な状態となって非パーキング状態(not P位置)となり、P抜きシフトを完了する(S16)。
【0036】
一方、上記ステップS12において、車輌の勾配が所定勾配以上であった場合は(S12のYes)、つまり車輌が登坂路又は降坂路上にあって、パーキングギヤ42が回転しようとするトルクがパーキングポール40を押圧することによって、ウェッジ35をサポート部材38との間で挟持する挟持圧が大きく作用する状態である。
【0037】
そこでステップS13の助走準備制御に進み、制御部3の助走パーキング解除制御手段5は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、駆動装置10の不図示のアクチュエータを逆回転方向に回転駆動(作動)し(図1参照)、図3に示す状態からマニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をさらにZ2方向に回動駆動し、図3に示す状態から図4に示すようにディテントレバー26がZ2方向に回動され、パーキングロッド34がさらにX1方向に移動駆動されて、ディテントスプリング27のローラ27cが傾斜部26cに乗り上げる形となると共に、パーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35からX1方向に離反させ、つまりパーキングロッド34及びストッパ33を助走位置にする。
【0038】
続いてステップS14の助走パーキング解除制御に進み、制御部3の助走パーキング解除制御手段5は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、駆動装置10の不図示のアクチュエータを反転させて回転駆動(作動)し、図4に示す助走位置の状態からマニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をZ1方向に回動駆動し、図4に示す状態から図5に示すようにディテントレバー26がZ1方向に回動され、パーキングロッド34がX2方向に移動駆動されると共に、ディテントスプリング27のローラ27cが傾斜部26cの傾斜によって付勢されつつパーキングレンジ谷部26aに加速されて向かい、パーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35に対してX2方向に衝突させ、衝撃力Aを生じさせる。
【0039】
これにより、アクチュエータによる駆動トルクに衝撃力Aが加わると共に、ディテントスプリング27の傾斜部26cの傾斜による付勢力の加速が加わって、図2に示す状態のように、ディテントスプリング27のローラ27cがパーキングレンジ谷部26aから山部を乗り越えて非パーキングレンジ谷部26bに係合されると共に、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱される。それにより、パーキングポール40がトーションスプリング45の付勢によってY1方向に回動され、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42から解除されて、パーキングギヤ42及び車輪が回転可能な状態となって非パーキング状態(not P位置)となり、P抜きシフトを完了する(S16)。
【0040】
以上説明したように、本パーキング機構の切換え装置1によると、停車中の車輌が所定勾配以上であることが判定された状態で、シフトレバー2によりパーキング状態から非パーキング状態に指令された際、駆動装置10によりパーキングロッド34及びストッパ33を、パーキング位置よりも軸方向X1側に移動駆動した図4に示す助走位置から図5に示すパーキング位置を通過させて図2に示す非パーキング位置に駆動し、助走されたストッパ33をウェッジ35に衝突させて、該ウェッジ35をパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱させる助走パーキング解除制御(S14)を実行するので、例えば車輌が登坂路や降坂路にあって車重がパーキングギヤ42にかかる状態であったとしても、比較的小さな駆動トルクでパーキング解除を可能とすることができ、アクチュエータの小型化や変速装置の簡素化が図れ、駆動装置10の小型化を図ることができる。また、停車中の車輌が所定勾配未満(即ち平坦路)の際は、助走パーキング解除制御(S14)の実行が不要であり、特にギヤ比等も変更せずに通常速度で切換えるので、不必要なレスポンスの低下も避けることができる。
【0041】
また、シフトレバー2によりパーキング状態から非パーキング状態に指令された際に、駆動装置10によりパーキングロッド34を図3に示すパーキング位置から図4に示す助走位置に駆動する助走準備制御(S13)を実行した後、助走パーキング解除制御(S14)を実行するので、シフトレバー2の操作が行われる前に何らかの制御を行う必要がなく、簡易な制御とすることができる。また、例えばシフトレバー2によりパーキング解除が指令される前に図4に示す助走位置に待機させる場合に比して、待機中の電力消費やアクチュエータの負荷を低減することができるので、車輌の燃費向上や耐久性の向上などに寄与することができる。
【0042】
さらに、ディテントレバー26には、パーキングロッド34が図4に示す助走位置にある際に、パーキングレンジ谷部26aに向かってディテントスプリング27のローラ27cを付勢する傾斜部26cが形成されているので、パーキング解除の際に、該傾斜部26cの傾斜に基づきディテントスプリング27付勢力が加勢されるため、パーキングレンジ谷部26aを通過して非パーキングレンジ谷部26bまでの山部を乗り越えさせることを可能とすることができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
つづいて、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について図1乃至図5を参照しつつ、図8に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態と同様な部分に同符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
本第2の実施の形態に係るパーキング機構の切換え装置1は、第1の実施の形態に比して、例えば登坂路又は降坂路にあってシフトレバー2によるパーキングレンジから非パーキングレンジへの指令がある前に、助走位置に待機させる待機制御を実行し、レスポンス良く助走パーキング解除制御を実行させるものである。
【0045】
詳細には、非パーキング状態から例えば運転者がシフトレバー2を操作し、非パーキングレンジからパーキングレンジに指令(Pシフト指令)すると、制御部3にシフト信号S1が出力される(S21)。それを受けた制御部3の車輌勾配判定手段4は、停車中(パーキング中)の車輌の勾配が所定勾配以上であるか否かを判定する(S22)。
【0046】
上記ステップS22において、車輌の勾配が所定勾配未満であった場合は(S22のNo)、つまり車輌が略々平坦路上にあるので、ステップS32に進み、駆動装置10に制御信号S2を出力して、不図示のアクチュエータを回転駆動(作動)し、マニュアルシャフト18を回動駆動して、図2に示す状態から、図3に示すようにディテントレバー26がZ2方向に回動し、パーキングロッド34が非パーキング位置(not P位置)からX1方向のパーキング位置(P位置)に移動駆動されて、ディテントスプリング27のローラ27cがパーキングレンジ谷部26aに係合すると共に、ウェッジ35がスプリング37によってパーキングポール40とサポート部材38との間に対して嵌合する方向に付勢される。この際、パーキングポール40の爪部43の位置がパーキングギヤ42の谷部分の位置に合致すると、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間に嵌合され、ウェッジ35がトーションスプリング45の付勢に抗してパーキングポール40をY2方向に回動させ、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42に噛合し、パーキングギヤ42を介して車輪が回り止めされて、パーキング状態(P位置)となる(Pシフト完了)。
【0047】
続いて、ステップS33に進み、例えば運転者のシフトレバー2の操作によるパーキングレンジから非パーキングレンジへの指令(P抜きシフト指令)があるまで待機する(S33のNo)。なお、この間に、例えばイグニッションスイッチ(IG)がOFFされ、再度イグニッションスイッチがONされた場合には、当該ステップS33から本制御を再スタートさせる。
【0048】
その後、例えば運転者がシフトレバー2を操作し、パーキングレンジから非パーキングレンジに指令(P抜き指令)すると(S33のYes)、制御部3にシフト信号S1が出力され、制御部3は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、駆動装置10の不図示のアクチュエータを回転駆動(作動)し、図3に示す状態からマニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をZ1方向に回動駆動し、図2に示すようにディテントレバー26がZ1方向に回動され、パーキングロッド34がパーキング位置(P位置)からX2方向の非パーキング位置(not P位置)に移動駆動されて、ディテントスプリング27のローラ27cが非パーキングレンジ谷部26bに係合すると共に、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱される。これにより、パーキングポール40がトーションスプリング45の付勢によってY1方向に回動され、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42から解除されて、パーキングギヤ42及び車輪が回転可能な状態となって非パーキング状態となり、P抜きシフトを完了する(S35)。
【0049】
一方、上記ステップS22において、停車中の車輌の勾配が所定勾配以上であった場合は(S22のYes)、つまり車輌が登坂路又は降坂路上にあって、パーキングギヤ42が回転しようとするトルクがパーキングポール40を押圧することによって、ウェッジ35をサポート部材38との間で挟持する挟持圧が大きく作用する状態である。
【0050】
この場合は、ステップS23に進み、制御部3の助走パーキング解除制御手段5は、待機制御を開始する。即ち、助走パーキング解除制御手段5は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、不図示のアクチュエータを回転駆動(作動)し、マニュアルシャフト18を介してディテントレバー26を回動し、パーキングロッド34を図2に示す非パーキング位置(not P位置)からX1方向の図3に示すパーキング位置(P位置)を通過して、さらに図4に示す助走位置に移動駆動して、ディテントスプリング27のローラ27cを傾斜部26cに乗り上げる形に位置させると共に、ウェッジ35がスプリング37によってパーキングポール40とサポート部材38との間に対して嵌合されて該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42に噛合するパーキング状態にし(Pシフト完了)、かつパーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35からX1方向に離反させ、つまりパーキングロッド34及びストッパ33を助走位置にする。
【0051】
続いて、ステップS24に進み、図4に示すように、ディテントスプリング27のローラ27cが傾斜部26cに乗り上げた位置で保持すると共に、パーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35からX1方向に離反させた助走位置にて保持する。
【0052】
ついで、制御部3は、イグニッションスイッチ(IG)がOFFされたか否かを検出し(S25)、イグニッションスイッチがOFFされていない場合は(S25のNo)、そのままステップS29に進み、上述したようにパーキングロッド34及びストッパ33を助走位置にしたまま保持する。
【0053】
一方、パーキングロッド34及びストッパ33を、一旦、助走位置にした状態で、イグニッションスイッチ(IG)がOFFされた場合は(S25のYes)、駆動装置10の不図示のアクチュエータに対する電源がOFFされることに伴って、アクチュエータの駆動トルクが無くなり、ディテントスプリング27の傾斜部26cによる付勢力やスプリング37のウェッジ35に対する付勢力によって、パーキングロッド34及びストッパ33は図4に示す助走位置から図3に示すパーキング位置(P位置)まで自然に戻る(S26)。
【0054】
その後、例えば運転者によりイグニッションスイッチ(IG)がONされるまで待機し(S27のNo)、イグニッションスイッチがONされると(S27のYes)、ステップS28に進み、再度、不図示のアクチュエータを回転駆動(作動)し、マニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をZ2方向に回動し、パーキングロッド34を図3に示すパーキング位置(P位置)からX1方向の図4に示す助走位置に移動駆動して、ディテントスプリング27のローラ27cを傾斜部26cに乗り上げる形に位置させると共に、パーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35からX1方向に離反させ、つまりパーキングロッド34及びストッパ33を助走位置させ、この助走位置の状態を保持する(S29)。
【0055】
続いて、ステップS30に進み、例えば運転者のシフトレバー2の操作によるパーキングレンジから非パーキングレンジへの指令(P抜きシフト指令)があるまで待機し(S30のNo)、その後、例えば運転者がシフトレバー2を操作し、パーキングレンジから非パーキングレンジに指令(P抜き指令)すると(S30のYes)、ステップS31の助走パーキング解除制御を開始する。
【0056】
そして、ステップS31の助走パーキング解除制御に進むと、上述した第1の実施の形態のステップS14と同様に、制御部3の助走パーキング解除制御手段5は、駆動装置10に制御信号S2を出力して、駆動装置10の不図示のアクチュエータを反転させて回転駆動(作動)し、図4に示す助走位置の状態からマニュアルシャフト18を介してディテントレバー26をZ1方向に回動駆動し、図4に示す状態から図5に示すようにディテントレバー26がZ1方向に回動され、パーキングロッド34がX2方向に移動駆動されると共に、ディテントスプリング27のローラ27cが傾斜部26cの傾斜によって付勢されつつパーキングレンジ谷部26aに加速されて向かい、パーキングロッド34に固着されたストッパ33をウェッジ35に対してX2方向に衝突させ、衝撃力Aを生じさせる。
【0057】
これにより、アクチュエータによる駆動トルクに衝撃力Aが加わると共に、ディテントスプリング27の傾斜部26cの傾斜による付勢力の加速が加わって、図2に示す状態のように、ディテントスプリング27のローラ27cがパーキングレンジ谷部26aから山部を乗り越えて非パーキングレンジ谷部26bに係合されると共に、ウェッジ35がパーキングポール40とサポート部材38との間から抜脱される。それにより、パーキングポール40がトーションスプリング45の付勢によってY1方向に回動され、該パーキングポール40の爪部43がパーキングギヤ42から解除されて、パーキングギヤ42及び車輪が回転可能な状態となって非パーキング状態(not P位置)となり、P抜きシフトを完了する(S35)。
【0058】
以上説明した第2の実施の形態に係るパーキング機構の切換え装置1によると、助走パーキング解除制御(S31)の実行前にあって、イグニッション(IG)のオン(ON)を検出した際に、駆動装置10によりパーキングロッド34を図3に示すパーキング位置(P位置)から図4に示す助走位置に駆動し、シフトレバー2によりパーキング状態から非パーキング状態に指令されるまで待機する待機制御(S23〜S30)を実行するので、実際にシフトレバー2によりパーキング解除が指令される前にパーキングロッド34及びストッパ33を助走位置に待機させることができ、シフトレバー2の指令があってから助走位置に駆動する場合に比して、レスポンスの向上を図ることができる。
【0059】
なお、これ以外の作用及び効果は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0060】
なお、以上説明した本第1及び第2実施の形態においては、本パーキング機構の切換え装置1をハイブリッド駆動装置に適用したものを説明したが、一般的な自動変速機のパーキング機構を切換えるものとして適用してもよく、さらに電気自動車等のパーキング機構を切換えるものとして適用してもよい。
【0061】
また、本第1及び第2実施の形態においては、駆動装置10にアクチュエータ(電気モータ)を備え、マニュアルシャフト18及びディテント機構7を介してパーキング機構8を駆動するものを説明したが、例えばパーキングロッド34を直接的に油圧シリンダに接続し、油圧によって駆動するような構成でも本発明を適用し得る。この場合は、油圧シリンダの小型化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 パーキング機構の切換え装置
2 操作部(シフトレバー)
3 制御部
7 ディテント機構
8 パーキング機構
9 固定部材(ケース)
10 駆動装置
26 ディテントレバー
26a 第1谷部(パーキングレンジ谷部)
26b 第2谷部(非パーキングレンジ谷部)
26c 傾斜部
27 ディテントスプリング
27c 係合部(ローラ)
33 ストッパ
34 パーキングロッド
34b 端部
35 ウェッジ
37 スプリング
38 サポート部材
40 パーキングポール
42 パーキングギヤ
S13 助走準備制御
S14 助走パーキング解除制御
S23〜S30 待機制御
S31 助走パーキング解除制御

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状のパーキングロッドと、前記パーキングロッドの軸方向に対して摺動自在に配置されるウェッジと、前記ウェッジを軸方向一方に付勢するスプリングと、前記パーキングロッドに固着され、前記ウェッジを前記パーキングロッドに対して軸方向他方から抜け止めするストッパと、車輪に駆動連結された出力軸に回転不能に配設されたパーキングギヤと、前記パーキングギヤに噛合し得るように回動自在なパーキングポールと、前記パーキングポールの回動方向に対向して配置されたサポート部材と、を有し、前記ウェッジが前記パーキングポールと前記サポート部材との間に嵌合された際に該パーキングポールが前記パーキングギヤに噛合可能なパーキング機構、に対して用いられ、
パーキング状態又は非パーキング状態を指令する操作部と、前記パーキングロッドを軸方向に駆動自在な駆動装置と、を備え、前記操作部の操作入力に基づき前記パーキングロッドを駆動して、前記ウェッジを前記パーキングポールと前記サポート部材との間に嵌合するパーキング位置と、前記ウェッジを前記ストッパにより軸方向他方側から押圧して前記パーキングポールと前記サポート部材との間から抜脱した非パーキング位置と、に切換え駆動するパーキング機構の切換え装置において、
停車中の車輌が所定勾配以上であることが判定された状態で、前記操作部により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令された際、前記駆動装置により前記パーキングロッド及び前記ストッパを、前記パーキング位置よりも軸方向一方側に移動駆動した助走位置から前記パーキング位置を通過させて前記非パーキング位置に駆動し、助走された前記ストッパを前記ウェッジに衝突させて、該ウェッジを前記パーキングポールと前記サポート部材との間から抜脱させる助走パーキング解除制御を実行する制御部を備えた、
ことを特徴とするパーキング機構の切換え装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記助走パーキング解除制御の実行前にあって、イグニッションのオンを検出した際に、前記駆動装置により前記パーキングロッドを前記パーキング位置から前記助走位置に駆動し、前記操作部により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令されるまで待機する待機制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のパーキング機構の切換え装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部により前記パーキング状態から前記非パーキング状態に指令された際に、前記駆動装置により前記パーキングロッドを前記パーキング位置から前記助走位置に駆動する助走準備制御を実行した後、前記助走パーキング解除制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載のパーキング機構の切換え装置。
【請求項4】
前記パーキング機構は、一端が固定部材に固定され、他端に係合部を有するディテントスプリングと、前記駆動装置により回動駆動されると共に、前記パーキングロッドの端部が駆動連結され、かつ前記パーキングロッドが前記パーキング位置で前記ディテントスプリングの係合部に係合する第1谷部、及び前記パーキングロッドが前記非パーキング位置で前記ディテントスプリングの係合部に係合する第2谷部が形成されたディテントレバーと、を備えたディテント機構を有し、
前記ディテントレバーは、前記パーキングロッドが前記助走位置にある際に、前記第1谷部に向かって前記ディテントスプリングの係合部を付勢する傾斜部が形成されてなる、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載のパーキング機構の切換え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−50163(P2013−50163A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188367(P2011−188367)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】