説明

パーソナルケア用クレンジング及びシェービングフィルム

【課題】従来のクレンジングフィルムは、界面活性剤の低配合を有する傾向にあり、それ故伝統的なクレンザーと同様には機能しない。
【解決手段】クレンジング又はシェービングに有用な乾燥フィルム形態のパーソナルケア組成物である。そのフィルムは、乾燥フィルムの全重量基準で約45〜約82重量%の量の少なくとも1種の水溶性ポリマーを含み、そしてクレンジングに使用されたときに乾燥フィルムの全重量基準で約18〜約55重量%の量の少なくとも1種の界面活性剤を含む。その少なくとも1種の水溶性ポリマーはポリマーのブレンドを含み得る。フィルムに使用される他の追加成分は可塑剤及び/又は中和剤を含む。パーソナルクレンジングの溶解可能なフィルムは改良された美観、泡立ち性、クレンジング、保湿性及び潤滑性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア用の溶解可能なフィルム組成物、並びにパーソナルケア用途におけるそれらの溶解可能なフィルム組成物の使用方法に関する。更に詳細には、本発明は、プルラン、澱粉又はそれらの混合物を含有する溶解可能なフィルム組成物、並びにそれらのクレンジング及びシェービング用途における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルクレンジング及びシェービングは、数多くの種々の製品形態及び応用を有する世界的に巨大な市場である。製品形態には、特にバー(bar)、液体、ゲル、フォーム(foam)及び粉末が含まれる。応用のタイプには、特にシャンプー、ボディウォッシュ、フェイシャルクレンザー、ハンドクリーナー、シェーブフォーム及びメークアップリムーバーが含まれる。
【0003】
従来のそれらの製品形態には欠点がある。例えば、バーソープは1回の使用後にべとつき、それを携えて旅行するのが困難になり、エアーゾールは飛行機において制限され、そして液体ソープの容器は嵩高で漏れを生じ得る。これらの製品形態からの正しい使用量の決定もまた、繰り返し使用及び経験が無ければ困難である。消費者はしばしば製品を過剰に使用して無駄にするかもしれない。最終的には、製品の形態(例えば固形バー又は液体)が、その形態における成分の不相溶性のために、配合物中での成分の併用を制限し得る。
【0004】
溶解可能なフィルムの使用はパーソナルケア用途において知られている。例えば、皮膚治療用に活性成分を送達するために、溶解可能なフィルムが使用されてきている。更に、ボディクレンザーとしての溶解可能なフィルムの使用が、当分野において言及されてきている。しかしながら、それらのクレンジングフィルムは、界面活性剤の低配合を有する傾向にあり、それ故伝統的なクレンザーと同様には機能しない。溶解可能なフィルムは、それらが伝統的な適用形態と同様には機能するならば、美観の改良、小型の提供、適正な投与の確保、これまで不相溶であった成分の組み合わせの実現、及び乱雑さの低減を含めて、それらの形態に伴ういくつかの欠点を補修し得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
プルラン、澱粉又はそれらのブレンドを含有する溶解可能なフィルムがパーソナルクレンジング及びシェービング用途に使用され得ることがこの度見出された。これらのフィルムは、従来のクレンジング製品形態及び以前の溶解可能なフィルム組成物に対していくつかの利点を提供する。
【0006】
本発明は、極性溶剤に溶解されて、皮膚又は髪に適用された場合に、クレンザー又はシェービング潤滑剤として機能するパーソナルクレンジングフィルム組成物に関する。本発明は更に、それらのフィルム組成物を使用することによる、髭剃り方法に加えて、皮膚及び髪のクレンジング方法にも関係する。そのフィルムは、水溶性ポリマー(例えばプルラン、澱粉又はそれらのブレンド)を含有する。クレンジング用に使用される場合、そのフィルムは1種以上の界面活性剤をも含有し得る。シェービングフィルムとしては、界面活性剤成分は任意である。一つの側面において、本発明は、改良された美観、泡立ち性、浄化性、湿潤化及び潤滑性を有するパーソナルクレンジングの溶解可能なフィルムの使用に関する。
【0007】
本発明の記載を補助するために、以下の定義が提供される。
【0008】
「パーソナルクレンジングフィルム」(personal cleansing film)は、ここでの使用において、支持されていない、又はバッキング上に支持されたものであり、室温で極性溶剤に溶解し、消費者によって皮膚及び/又は髪に適用されて分散され、そしてそこから汚れ及び/又は油を除去し、或いは髭剃りの際に潤滑性及び/又は毛の軟らかさを提供するフィルムを意味する。そのパーソナルクレンジングフィルムは、単一層又は多層のもの、エンボス加工されたもの、通気されたもの、表面模様付きのもの、均質な又は不均質なもの、及び/又は非限定的にノートの紙から色紙の大きさのような種々の形及び大きさに形成された、又はわずか2〜3mmの長さの小さなフレークに細かくされたものであっても良い。
【0009】
「極性溶剤中への溶解」(dissolves in polar solvent)は、ここでの使用において、その組成物が皮膚及び/又は髪上に広がるように、そのフィルムが、極性溶剤に添加され、又は極性溶剤がフィルムに添加されたときに、ばらばらに砕け、又はその極性溶剤と結合して溶液又は分散液を形成することを意味する。その湿潤性又は溶解性の程度は、特定の送達プロフィルを目標に、当業者によって変更され得る。
【0010】
「可塑剤」(plasticizer)は、ここでの使用において、フィルム組成物をあまりもろくなくする、又はより柔軟にするのに寄与するいかなる材料をも意味する。
「乾燥」(dry)は、ここでの使用において、実質的に水及び他の溶剤が含まれないことを意味するが、水又は溶剤の不存在を意味するものではない。
「プルラン」(pullulan)は、ここでの使用において、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)によって澱粉から製造されたα‐1,6‐結合マルトトリオース残基でできたグルコースの細胞外バクテリア線状多糖を意味する。
「天然の」(natural)は、ここでの使用において、植物、動物又はバクテリアから誘導され、又は部分的に誘導されたことを意味する。
【0011】
「界面活性剤」(surfactant)は、ここでの使用において、化粧品配合物中に使用されて、不混和性の二つの物質間で界面張力を減少させる能力を呈し、皮膚及び髪表面を濡らし、油を乳化し又は可溶化し、及び/又は汚れを浮かせる成分を意味し、そして両性の、アニオン性の、カチオン性の、及び非イオン性の界面活性剤を含むように意図されている。
【0012】
「極性溶剤」(polar solvent)は、ここでの使用において、双極子モーメントを有する溶剤を意味し、水及び/又はエタノールを非限定的に含むように意図されている。
「水性溶剤」(aqueous solvent)は、ここでの使用において、溶剤の全重量基準で少なくとも2%の水を含有する溶剤を意味する。
「非水溶剤」(non-aqueous solvent)は、ここでの使用において、溶剤の全重量に基づいて2%未満の水を含有する溶剤を意味する。
「溶剤」(solvent)は、ここでの使用において、もう一つの液体又は固体を少なくとも部分的に溶解する、25℃でのいかなる液体をも意味する。
【0013】
「化粧品」(cosmetic)は、ここでの使用において、皮膚、つめ及び/又は髪への使用を目的としたいかなる製品をも意味する。
「化粧品成分」(cosmetic ingredient)は、ここでの使用において、化粧品及び/又はパーソナルケア配合物に使用され得るいかなる成分をも意味する。
「顔料」(pigment)は、ここでの使用において、化粧品配合物の色を変化させるいかなる成分をも意味する。
「芳香」(fragrance)は、ここでの使用において、においを添加する、カバーする又は除去することを目的として配合物に添加されるいかなる化粧品成分をも意味する。
【0014】
「ムース」(mousse)は、ここでの使用において、容器から分配された場合に、多分バルブの発動前に容器中の製品を振ってバルブの発動で内容物を分配すること以外には、使用者からのいかなる機械的な動作も無しに、その成分が泡立つパーソナルケア製品を意味する。
【0015】
「シャンプー」(shampoo)は、ここでの使用において、濡れた髪中にマッサージされ、通常それによってフォームを生成し、次いで水で髪からリンスされ、髪から少なくともいくらかの汚れ及び/又は油を除去する、界面活性剤を含有するクレンジング製品を意味する。
【0016】
「ボディウォッシュ」(bodywash)は、ここでの使用において、皮膚上に分散されて、通常それによってフォームを生成し、次いで水で身体からリンスされ、身体から少なくともいくらかの汚れ及び/又は油を除去する、クレンジング製品を意味する。
「残渣」(residue)は、ここでの使用において、フィルムが粘着性になり接着するようになる乾燥によってフィルムからしみ出る物質を意味する。
「ブロック」(block)又は「ブロッキング」(blocking)は、ここでの使用において、フィルムが粘着性になり接着するようになった、又は互いに固着される状態を意味する。
【0017】
従って、本発明は、約45〜約82重量%の量の少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び約18〜約55重量%の量の少なくとも1種の界面活性剤を含むパーソナルケア組成物であって、そこではその組成物が乾燥フィルムであり、重量%がその乾燥フィルムの全重量に基づくものである、パーソナルケア組成物を提供する。
【0018】
その少なくとも1種の水溶性ポリマーは、合成ポリマー、天然ポリマーまたはそれらの組み合わせを含む。その少なくとも1種の水溶性ポリマーが1種以上の天然ポリマーである場合、それらのポリマーはプルラン、澱粉、又はそれらの組み合わせを含む。澱粉に対するプルランは、プルランの澱粉に対する比で約100:0〜75:25の量でフィルム中に存在し得る。
【0019】
パーソナルケアフィルム組成物は、少なくとも1種の可塑剤を含み得る。少なくとも澱粉が水溶性ポリマーとして使用された場合には、その可塑剤がその組成物中の澱粉の重量基準で15%よりも多い量で存在し得る。もう一つの側面において、可塑剤はその組成物中の澱粉の重量基準で18%よりも多い量で存在し得る。
【0020】
そのパーソナルケアフィルム組成物中での使用に適した界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ソジウムラウレススルフェート、アンモニウムラウレススルフェート、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ジソジウムココアムホジアセテート(sodium cocoamphodiacetate)、ラウロイルサルコシンナトリウム、TEA‐ココイルグルタメート、デシルグルコシド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0021】
そのパーソナルケア組成物は、水溶性ポリマーの遊離酸基を中和するのに充分な量で存在する少なくとも1種の中和剤を含み得る。
そのパーソナルケアフィルム組成物は、クレンジングフィルム又はシェービングフィルムであり得る。
【0022】
本発明は、皮膚及び/又は髪のクレンジング方法であって、泡を生成するのに充分な量の水でそのパーソナルケア組成物から形成されたフィルムを濡らすこと、及びその泡を皮膚及び/又は髪に適用することを含む方法にも向けられている。本発明は、基体のシェービング方法であって、泡を生成するのに充分な量の水でそのパーソナルケア組成物から形成されたフィルムを濡らすこと、及びシェービングを施すべきその基体にその泡を適用することを含む方法にも向けられている。
【0023】
もう一つの側面において、本発明は溶解可能なフィルムのブロッキングを防止する方法に向けられている。このプロセスは、非変性澱粉及び変性澱粉から成る群より選択される澱粉でそのパーソナルケア組成物から形成されたフィルムをコートすること含む。そのような澱粉は、疎水性的に変性されたものであり得る。
【0024】
本発明は、少なくとも1種の界面活性剤と1種の水溶性ポリマーを含むパーソナルクレンジングフィルム組成物に関するものであり、そこではそのようなフィルムは、極性溶剤に溶解され髪及び/又は皮膚上に分散された場合に、髪及び/又は皮膚のクレンジング、及び/又は髭剃りのための潤滑性の提供において機能するものである。本発明のもう一つの側面は、皮膚及び/又は髪にそのパーソナルクレンジングフィルムを適用することによる、皮膚及び/又は髪のクレンジング方法である。本発明のもう一つの側面は、髭剃りがなされるべき皮膚にかみそりを接触させる前に、毛及び/又は髭剃りがなされるべき皮膚を濡らして、それにそのパーソナルクレンジングフィルムを適用することを含むシェービング方法である。本発明の可能な利点には、他の適用においては不相溶性の成分を併用することができること、コンパクトであること、単一の適用、使用の利便性、及び小さい包装が含まれ得る。
【0025】
本発明の更なるもう一つの側面において、本発明のパーソナルクレンジングフィルムの水溶性ポリマーは、少なくともプルランである。プルラン含有フィルムは、より高い界面活性剤の添加量で、柔軟性(即ち、最初にキャストされるときにフィルムが形成しないほど脆くはなく、また取り扱い時に非常に簡単に砕ける)を保持する利点を提供する。一般に、フィルム中の界面活性剤の濃度が増すにつれて、クレンザーとしてのパーソナルクレンジングフィルムの有効性が増すので、より高い界面活性剤の添加量が望ましい。
【0026】
本発明の更なるもう一つの側面において、本発明の水溶性ポリマーのパーソナルクレンジングフィルムは、少なくともプルラン、1種以上の界面活性剤、及び1種以上の可塑剤を含む。これらのプルラン/界面活性剤/可塑剤を含有するフィルムは、より高い界面活性剤の添加量を提供しながら、柔軟性を保持する利点を提供する。
【0027】
本発明の更なるもう一つの側面において、本発明のパーソナルクレンジングフィルムの水溶性ポリマーは、少なくともプルランと澱粉である。これらのプルラン/澱粉を含有するフィルムは、使用中のクレンジングフィルムのクリーム質の感触及び/又は泡密度の増加のような美的改良を提供する。
【0028】
本発明の更なるもう一つの側面において、本発明のパーソナルクレンジングフィルムの水溶性ポリマーは少なくとも澱粉であり、それと共に乾燥フィルムの10重量%より高い量の1種以上の界面活性剤が存在する。そのような澱粉に基づくパーソナルクレンジングフィルムは、乾燥したパーソナルクレンジングフィルム中の澱粉の重量基準で15%より多い量で1種以上の可塑剤を含み得る。これらの澱粉/可塑剤のパーソナルクレンジングフィルムは、より高い界面活性剤の添加量と共に柔軟性を保持する利点を提供する。界面活性剤の濃度が増すにつれて、パーソナルクレンジングフィルムのクレンジング効率が増すので、より高い界面活性剤の添加量が望ましい。
【0029】
本発明のフィルムの更なる利点には、他の適用においては互いに不相溶性の成分を併用することができること、コンパクトであること、単一の適用、使用の利便性、及び小さい包装が含まれ得る。
【0030】
そのフィルム組成物は、合成ポリマー、天然ポリマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む。
【0031】
その水溶性ポリマーは、簡単に砕けることなく取り扱い得るフィルムの形成に有効であるのに充分な量で存在しなければならない。一つの態様において、水溶性ポリマーは乾燥したパーソナルクレンジングフィルムの重量基準で約30%〜約44%の量で存在する。もう一つの態様において、水溶性ポリマーは乾燥したパーソナルクレンジングフィルムの重量基準で約36%〜約44%の量で存在する。もう一つの態様において、水溶性ポリマーは乾燥したパーソナルクレンジングフィルムの重量基準で約36%〜約40%の量で存在する。もう一つの態様において、水溶性ポリマーは乾燥したパーソナルクレンジングフィルムの重量基準で約44%〜約95%の量で存在する。更なるもう一つの態様において、水溶性ポリマーは乾燥したパーソナルクレンジングフィルムの重量基準で約30%〜約95%の量で存在する。
【0032】
以下のものは、本発明における使用に適した合成の水溶性ポリマーの例であるが、それらは限定することを意図したものではない。
【0033】
米国ニュージャージー州BridgewaterのNational Starch and Chemical CompanyからのAMPHOMER及びAMPHOMER LV−71ポリマー(オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、AMPHOMER HCポリマー(アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、BALANCE 0/55及びBALANCE CRポリマー(アクリレートコポリマー)、BALANCE 47ポリマー(オクチルアクリルアミド/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、RESYN 28−2930ポリマー(ビニルアクリレート(VA)/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー)、RESYN 28−1310ポリマー(VA/クロトネートコポリマー)、FLEXANポリマー(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、DynamXポリマー(ポリウレタン‐14及びAMP‐アクリレートコポリマー)、RESYN XPポリマー(アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー)、STRUCTURE 2001(アクリレート/steareth-20イタコネートコポリマー)及びSTRUCTURE 3001(アクリレート/cereth-20イタコネートコポリマー)がある。
【0034】
米国ニュージャージー州WayneのInternational Specialty ProductsからのOMNIREZ−2000(PVM/MA半エチルエステルコポリマー)、GANEX P−904(ブチル化PVP)、GANEX V−216(PVP/ヘクサデセンコポリマー)、GANEX V−220(PVP/エイコセンコポリマー)、GANEX WP−660(トリコンタニルPVP)、GANTREZ A−425(PVM/MAコポリマーのブチルエステル)、GANTREZ AN−119(PVM/MAコポリマー)、GANTREZ ES−225(PVM/MAコポリマーのエチルエステル)、GANTREZ ES−425(PVM/MAコポリマーのブチルエステル)、GAFFIX VC−713(ビニルカプロラクタム/PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、GAFQUAT 755(ポリクオータニウム‐11)、GAFQUAT HS−100(ポリクオータニウム‐28)、AQUAFLEX XL−30(ポリイミド‐1)、AQUAFLEX SF−40(PVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー)、AQUAFLEX FX−64(イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー)、ALLIANZ LT−120(アクリレート/C1‐2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー)、STYLEZE CC−10(PVP/DMAPAアクリレートコポリマー)、STYLEZE 2000(VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー)、STYLEZE W−20(ポリクオータニウム‐55)、コポリマーシリーズ(PVP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、ADVANTAGE S及びADVANTAGE LCA(ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー)、ADVANTAGE PLUS(VA/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレートコポリマー)、並びにBASFからのULTRAHOLD STRONG(アクリル酸/エチルアクリレート/t‐ブチルアクリルアミド)、LUVIMER 100P(t‐ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸)、LUVIMER 36D(エチルアクリレート/t‐ブチルアクリレート/メタクリル酸)、LUVIQUAT HM−552(ポリクオータニウム‐16)、LUVIQUAT HOLD(ポリクオータニウム‐16)、LUVISKOL K30(PVP)、LUVISKOL K90(PVP)、LUVISKOL VA64(PVP/VAコポリマー)、LUVISKOL VA73W(PVP/VAコポリマー)、LUVISKOL VA、LUVISET PUR(ポリウレタン‐1)、LUVISET Clear(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマー)、LUVIFLEX SOFT(アクリレートコポリマー)、ULTRAHOLD 8(アクリレート/アクリルアミドコポリマー)、LUVISKOL Plus(ポリビニルカプロラクタム)、LUVIFLEX Silk(PEG/PPG‐25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー)がある。
【0035】
米国ミシガン州MidlandのDow Chemical Companyの子会社であるAmercholからのAMERHOLD DR−25(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレート/メタクリレート)がある。
米国ペンシルバニア州PhiladelphiaのRohm and HaasからのACUDYNE 258(アクリル酸/メタクリル酸/アクリレート/メタクリレート/ヒドロキシエステルアクリレート)がある。
【0036】
三菱からのもので、スイスMuttenzのClariantによって供給されるDIAFORMER Z−301、DIAFORMER Z−SM及びDIAFORMER Z−400(メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー)、ACUDYNE 180(アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー)、ACUDYNE SCP(エチレンカルボキシアミド/AMPSA/メタクリレートコポリマー)及びACULYNレオロジー変性剤がある。
米国イリノイ州NapervilleのNalcoからのFIXOMER A−30及びFIXOMER N−28(INCI名称:メタクリル酸/ソジウムアクリルアミドメチルプロパンスルホネートコポリマー)がある。
【0037】
米国オハイオ州WickliffeのLubrizol Corporationの子会社であるオハイオ州ClevelandのNoveonからのFIXAT EG−100(AMP‐アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー)、FIXATE PLUS(ポリアクリレート‐X)、CARBOPOL Ultrez 10(カルボマー)、CARBOPOL Ultrez 20(アクリレート/C10−30アルキルアクリレートコポリマー)、AVALURE ACシリーズ(アクリレートコポリマー)、AVALURE URシリーズ(ポリウレタン‐2、ポリウレタン‐4、PPG‐17/IPDI/DMPAコポリマー);ポリエチレングリコール;水溶性アクリル;水溶性ポリエステル;ポリアクリルアミド;ポリアミン;ポリ第四級アミン;スチレン無水マレイン酸(SMA)樹脂;ポリエチレンアミン;及び極性溶剤可溶性の又は適当な塩基での中和によって可溶性にされ得る他の通常のポリマー類がある。
【0038】
本発明における水溶性ポリマーとしての使用に適する天然ポリマーは、天然の供給源由来のいかなる単一の澱粉又は澱粉類の組み合わせをも含む。ここでの使用において、天然の澱粉は、自然に見出されるようなものである。交雑種(crossbreeding)、転流(translocation)、逆位(inversion)、形質転換(transformation)、或いはそれらの変形を含めた、遺伝子工学又は染色体工学の他の方法を含む、標準的な育種(breeding)技術によって得られる植物に由来する澱粉も適している。加えて、突然変異育種の既知の標準的方法によって形成されても良い、人工的な突然変異から生長した植物に由来する澱粉、及び上記の一般的な澱粉の変種も、ここでは適している。
【0039】
その澱粉の典型的な供給源は、穀物(cereals)、塊茎(tubers)、根(roots)、豆果(legumes)及び果実(fruits)である。天然のままの原料は、コーン、えんどう(pea)、ポテト、さつまいも(sweet potato)、バナナ、大麦(barley)、小麦(wheat)、米、サゴ(sago)、アマランス(amaranth)、タピオカ(tapioca)、葛うこん(arrowroot)、カンナ(canna)、モロコシ(sorghum)、及びそれらのワキシー又は高アミロース変種であり得る。ここでの使用において、「ワキシー」(waxy)の語句は、少なくとも約95重量%のアミロペクチンを含有する澱粉を含み、「高アミロース」(high amylose)の語句は、少なくとも約40重量%、更には少なくとも約70重量%のアミロースを含有する澱粉を含む。
【0040】
本発明に適した天然の澱粉は、所望のフィルム特性を得るための物理的、化学的及び/又は酵素的な変性を含めた、当分野において既知のいかなる変性方法を使用して変性されても良い。
【0041】
米国特許第5,593,503号に代表される特許群に記載される抵抗性澱粉(resistant starches)と同様に、国際公開第95/04082号に代表される特許群に記載されるせん断された澱粉(sheared starchs)又は熱抑制された澱粉(thermally−inhibited starches)のような物理的に変性された澱粉が、ここでの使用に適し得る。
【0042】
化学的に変性された生成物も基本の物質として含まれるように意図されており、それには、架橋されたもの、アセチル化されたもの、並びに有機的にエステル化されたもの、ヒドロキシエチル化され及びヒドロキシプロピル化されたもの、燐酸化されたもの、並びに無機的にエステル化されたもの、カチオン性のもの、アニオン性のもの、非イオン性のもの、両性のもの、及び双性イオン性のもの、並びにスクシネート及びその置換されたスクシネート誘導体が非限定的に含まれる。そのような変性は、例えば「変性された澱粉:特性と用途」Ed. Wurzburg, CRC Press. Inc., Florida (1986)で、当分野において既知である。
【0043】
酸化、酵素転化、酸加水分解、熱及び/又は酸でのデキストリン化によって調製された流動性の又は薄膜沸騰性(thin-boiling)の澱粉、熱的及び/又はせん断化工された生成物を含めた、いかなる澱粉に由来した転化生成物も、ここでは有用である。
【0044】
更に、例えば米国特許第4,465,702号明細書、第5,037,929号明細書、第5,131,953号明細書、及び第5,149,799号明細書に開示されて、当分野において知られている予備糊化(pregelatinized)澱粉も好適である。澱粉を予備糊化ための通常の方法が、例えば「澱粉:化学と技術、第3巻、Industrial Aspects、R.L.Whistler及びE.F.Paschall監修、Academic Press、ニュウヨーク、1967年」の第22章‐「予備糊化澱粉の製造及び使用」に開示されて、当分野においても知られている。
【0045】
ここでの使用に適した特性を有するいかなる澱粉又は澱粉類のブレンドも、多糖に元からある又は加工中に生じた色を除去するために、当分野において既知の方法によって精製されても良い。澱粉を処理するための好適な精製プロセスは、欧州特許第0554818号明細書によって代表される特許群に開示されている。粒状の又は予備糊化された形態のいずれかの使用を意図された澱粉のアルカリ洗浄技術もまた有用であって、それは米国特許第4,477,480号明細書及び第5,187,272号明細書によって代表される特許群に開示されている。
【0046】
更なる好適な澱粉は、追加の封入剤又は乳化剤を必要としないように、活性成分を乳化又は封入することのできるものである。そのような澱粉類には、ヒドロキシプロピル化澱粉又はヒドロキシエチル化澱粉のようなヒドロキシアルキル化澱粉、並びにオクチルスクシニル化澱粉又はドデシルスクシニル化澱粉のようなスクシニル化澱粉が非限定的に含まれる。一つの態様において、フィルム材料(澱粉成分、活性剤及び任意な添加剤)の溶液又は分散液が後の化工のために保存され得るように、乳化性又は封入性の澱粉が使用される。ヒドロキシアルキル化澱粉は、可塑剤をあまり必要とせず、又は必要としないようにより軟らかいフィルムを形成すると言う更なる利点を有する。
【0047】
フィルムの化工を促進するために、粘度を低減させて、30%固形分の澱粉分散液/溶液のような、高い固形分の澱粉分散液/溶液の生成を可能にするように、澱粉が部分的に転化され得る。好適な澱粉類には、10%の固形分で少なくとも約1000cpsの粘度及び30%の固形分で約100,000cps以下の粘度を有するものが含まれる。
【0048】
澱粉の分子量も、フィルムの機能性、特にフィルム強度について重要である。例えば、もう一つの水溶性ポリマーとのブレンドでなければ、デキストリンは本発明の適用に適さない。
【0049】
澱粉成分は、単一の変性又は天然の澱粉、変性澱粉類のブレンド、又は変性澱粉と天然澱粉とのブレンドであり得る。ブレンド体は、フィルムのコストを低下させるのに、又は種々の所望の特性及び機能をより容易に達成するのに供し得る。
【0050】
本発明において使用可能な、INCIの名称を有する市販の澱粉の例には以下のようなものがある。
【0051】
米国ニュージャージー州BridgewaterのNational Starch and Chemical CompanyからのULTRASPERSE A(ワキシーマイズスターチ)ポリマー、N−LITE LPポリマー(ヒドロキシルプロピルスターチ)、AMAZE(登録商標)ポリマー(変性されたコーンスターチ)、CELQUAT(登録商標)LS−50樹脂(ポリクオータニウム‐4/ヒドロキシプロピルスターチコポリマー)、STRUCTURE(登録商標)XLポリマー(ヒドロキシプロピルスターチホスフェート)、DRY FLO(登録商標)PC潤滑剤(アルミニウムスターチオクテニルスクシネート)、DRY FLO(登録商標)AF潤滑剤(変性されたコーンスターチ)、DRY FLO(登録商標)ELITE LL潤滑剤(アルミニウムスターチオクチルスクシネート及びラウリルリシン)、DRY FLO(登録商標)ELITE BN潤滑剤(INCI名称:アルミニウムスターチオクチルスクシネート及び窒化硼素)、PURITY(登録商標)21Cスターチ(トウモロコシ(zea mays)(コーン)スターチ)、TAPIOCA PURE(タピオカスターチ)、NOVATIONの商品名で販売されている熱抑制されたコーン、ポテト、タピオカ、高アミラーゼ及びワキシーマイズスターチ、並びにHI−MAIZEの商品名で販売されている抵抗性澱粉がある。
【0052】
イングランドのヨークシャー州Cowick HallのCrodaからのCROSTYLE MFP(トリメチル四級化マイズスターチ)がある。
米国イリノイ州NapervilleのNalcoからのSENSOMER C1−50(スターチヒドロキシプロピルトリモ二ウムクロリド)がある。
【0053】
天然ポリマーには、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微晶質のセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリクオータニウム‐4(米国ニュージャージー州BridgewaterのNational Starch and Chemical CompanyからのCELQUAT L−200及びCELQUAT H−100ポリマー)及びポリクオータニウム‐10(National Starch and Chemical CompanyからのCELQUAT SC−240C及びCELQUAT 230Mポリマー)のようなカチオン性セルロース誘導体、又はガム、キサンタン(例えばNational Starch and Chemical CompanyからのAMAZE(登録商標)XTポリマー)、プルラン、ヒドロコロイド、カラギーナン、アルギネート、カゼイン、ゼラチン及び可溶化蛋白質が非限定的に含まれる。
【0054】
合成の水溶性ポリマーと天然の水溶性ポリマーの両方を含むフィルムにおいては、全水溶性ポリマーの重量基準で合成の水溶性ポリマーの天然の水溶性ポリマーに対する比が、約5:95〜約95:5であって、もう一つの態様では約20:80〜約75:25であって、もう一つの態様では約25:75〜約60:40であって、もう一つの態様では約30:70〜約55:45であって、もう一つの態様では約35:65〜約42:58であって、もう一つの態様では約29:71〜約33:67である。
【0055】
プルランと澱粉ポリマーの両方を含むフィルムにおいては、全水溶性ポリマーの重量基準でプルランの澱粉ポリマーに対する比が、約5:95〜約95:5であって、もう一つの態様では約20:80〜約75:25であって、もう一つの態様では約25:75〜約60:40であって、もう一つの態様では約30:70〜約55:45であって、もう一つの態様では約35:65〜約42:58であって、もう一つの態様では約29:71〜約33:67であって、もう一つの態様では約75:25〜約99:1であって、もう一つの態様では約75:25〜約85:15である。
【0056】
本発明によるパーソナルクレンジングフィルムは、少なくとも1種の水溶性ポリマー又は異なる水溶性ポリマー類のブレンドを含有する。当業者は、そのフィルムの性能又は物理的特性を変えるために、追加の物質がパーソナルクレンジングフィルム組成物に添加され得ることを理解するであろう。例えば、多くの合成ポリマーは、そのフィルムを可溶性で、あまり脆くなくするために、及び/又は美観又は性能を最適にするために、塩基及び/又は可塑剤の添加を要することが知られている。可塑剤は、天然の又は合成のポリマーを含有するフィルムの柔軟性を改良するためにも使用される。そのフィルムは、強いが柔軟性でなければならず、過度に脆くてはいけない。フィルムは好ましくはそれ自身には接着しないようなブロッキング抵抗性で耐湿性であって、手の中で濡らされた場合のように、水又は他の極性溶剤に曝されたときに迅速に溶解又は分解し得るものである。
【0057】
可塑剤は当分野において既知なものであって、ジメチコンコポリオール、ポリオール、ポリカルボン酸及びポリエステルを非限定的に含む。有用なジメチコンコポリオールの例には、PEG−12ジメチコン、PEG/PPG−18/18ジメチコン及びPPG−12ジメチコンが非限定的に含まれる。有用なポリオールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトールのような糖アルコール;フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース及び高フルクトースコーンシロップ固体のようなモノ‐、ジ‐及びオリゴ糖、並びにアスコルビン酸が非限定的に含まれる。ポリカルボン酸の例には、クエン酸、マレイン酸、琥珀酸、ポリアクリル酸及びポリマレイン酸が非限定的に含まれる。ポリエステルの例には、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが非限定的に含まれる。
【0058】
可塑剤の他の例には、鉱油、植物油、トリグリセリド、ラノリン及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体、シリコーン及びある緩和剤;グリセロール、ソルビトール、乳酸塩(例えばナトリウム塩、アンモニウム塩及びカリウム塩)、ポリオール(例えばプロピレングリコール)、ポリエチレングリコール(200〜600)及びSorbeth−30のような保湿剤;尿素、乳酸及びソジウムピロリドンカルボン酸(PCA)のような天然保湿因子(NMF);グリセロール、セリン、キトサンPCA、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、マイクロスポンジ、溶解性コラーゲン、変性蛋白質、L‐グルタミン酸モノナトリウム、レシチン及びリン脂質並びにそれらの誘導体のようなリポソーム、天然植物保湿剤;グリコール酸、乳酸、マレイン酸及びサリチル酸のようなアルファー及びベータ‐ヒドロキシ酸;多糖類及びそれらの誘導体、ポリアクリレート及びポリクオータニウムのようなポリマー性可塑剤;並びにグルタミン酸、アスパラギン酸及びリシンのような蛋白質及びアミノ酸が含まれる。
【0059】
可塑剤は、好ましくは可塑化に有効な量で存在する。一つの態様において、可塑剤は、乾燥フィルム組成物の重量基準で約0〜約30%の量でパーソナルクレンジングフィルム中に存在する。更にもう一つの態様では、可塑剤が乾燥フィルム組成物の重量基準で約5〜約15%の量で存在する。可塑剤は、更なるもう一つの態様において乾燥フィルムの重量基準で約41〜約70%の量で;もう一つの態様において乾燥フィルムの重量基準で約41〜約60%の量で;もう一つの態様において乾燥フィルムの重量基準で約41〜約55%の量で;もう一つの態様において乾燥フィルムの重量基準で約45〜約52%の量で存在する。
【0060】
澱粉がその組成物の全重量基準で少なくとも60%(重量/重量)の澱粉含有パーソナルクレンジングフィルムにおいて、可塑剤が、澱粉の重量基準で15%より多い量で、但し乾燥フィルムの重量基準で約30%以下の量で存在する。もう一つの態様において、可塑剤は澱粉の全重量基準で17%よりも多い重量で、且つ乾燥フィルム組成物全体の重量基準で約30%未満の量で存在する。更にもう一つの態様において、可塑剤は澱粉の全重量基準で20%よりも多い重量で、且つ乾燥フィルム組成物全体の重量基準で約30%未満の量で存在する。
【0061】
いくつかの可塑剤が乾燥の前に溶液中に添加され得る。次いで可塑剤の一部(過剰部分)がフィルム形成中に熱で除去されて、より高い最終適用量を有する最終生成物をもたらし得る。当業者は、フィルム特性をバランスさせるためにどのように可塑剤を調整すべきかが分かるであろう。
【0062】
当分野において知られているように、水に不溶性の酸性基を含有する水溶性ポリマーは、通常それらを水溶性または水分散性にするために中和された形態で使用される。2層フィルムでは、中和されていない形態の酸性基含有ポリマーを一つの層に含めて、使用中にそのポリマーが中和されるようにもう一つの層中に中和剤を含めることが可能である。
【0063】
好適な中和剤が、本発明による組成物中に単独で又は組み合わせて含めることができる。それらの中和剤には、約2〜22の炭素原子を含有するアルキルモノアミン(例えばトリエチルアミン、ステアリルアミン及びラウリルアミン)、トリエタノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチル‐1,3‐プロパンジオール及び2‐アミノ‐2‐メチル‐1‐プロパノールのようなアミノアルコール、並びに水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのような無機中和剤が含まれ得る。有用な中和剤の他の組み合わせは、米国特許第4,874,604号明細書中に記載されている。
【0064】
中和を必要とするそれらのポリマー類のために、中和剤は、そのポリマーの遊離酸基のあるパーセントのものを中和して、ポリマーを水溶性又は水分散性にするのに有効な量で存在し得る。一つの態様において、中和剤は、水溶性ポリマーの遊離酸基を中和するのに、例えば約8%〜100%中和のために充分な量で存在する。もう一つの態様において、水溶性ポリマーの遊離酸基は、水溶性ポリマーの遊離酸基が約25%〜100%中和されても良い。もう一つの態様において、水溶性ポリマーの遊離酸基は、水溶性ポリマーの遊離酸基が約50%〜100%中和されても良い。もう一つの態様において、水溶性ポリマーの遊離酸基は、水溶性ポリマーの遊離酸基が約70%〜100%中和されても良い。更にもう一つの態様において、水溶性ポリマーの遊離酸基は、水溶性ポリマーの遊離酸基が約80%〜100%中和されても良い。
【0065】
中和剤は、溶液のpHを高めるために、又はそのポリマー酸基の中和に加えて樹脂を可塑化するために100%中和を超えて使用されても良い。
【0066】
パーソナルクレンジングフィルム組成物は、当分野において知られた少なくとも1種の界面活性剤をも含有し得る。本発明に好適な界面活性剤には、パーソナルケア組成物における使用のために当分野において知られたものが含まれ、非イオン性の、アニオン性の、カチオン性の及び両性の界面活性剤が含まれる。本発明のパーソナルクレンジングフィルム組成物に有用な界面活性剤の群には、以下のような、アルコール、アルカノールアミド、アルキルアリールスルホネート、アルキルアリールスルホン酸、アルキルベンゼン、アミンアセテート、アミンオキシド、アミン、スルホンカアミン及びアミド、ベタイン、ブロックコポリマー、カルボキシル化アルコール又はアルキルフェノールエトキシレート、ジフェニルスルホネート誘導体、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アミン及び/又はアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸エステル及び油、脂肪酸(それ以外のグリコール、グリセロール等)、フルオロカーボン系界面活性剤、グリセロールエステル、グリコールエステル、ヘテロ環状物、イミダゾリン及びイミダゾリン誘導体、イセチオネート、ラノリン系誘導体、レシチン及びレシチン誘導体、リグニン及びリグニン誘導体、メチルエステル、モノグリセリド及び誘導体、オレフィンスルホネート、ホスフェートエステル、ホスホラス有機誘導体、ポリメリック(多糖類、アクリル酸、アクリルアミド)、プロポキシル化及びエトキシル化脂肪酸、プロポキシル化及びエトキシル化脂肪アルコール、プロポキシル化及びエトキシル化アルキルフェノール、蛋白質系界面活性剤、第四級界面活性剤、サルコシン(sarcosine)誘導体、シリコーン系界面活性剤、ソープ、ソルビタン誘導体、スクロース及びグルコースエステル並びに誘導体、油と脂肪酸のスルフェート及びスルホネート、スルフェート及びスルホネートエトキシル化アルキルフェノール、アルコールのスルフェート、エトキシル化アルコールのスルフェート、脂肪酸エステルのスルフェート、ベンゼンのスルホネート、クメン、トルエン及びキシレン、縮合ナフタレンのスルホネート、ドデシル及びトリデシルベンゼンのスルホネート、ナフタレン及びアルキルナフタレンのスルホネート、石油のスルホネート、スルホスクシナメート、スルホスクシネート及び誘導体が含まれる。
【0067】
パーソナルクレンジングフィルム組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルスルフェートである。それらの物質は、各々の式
ROSO3M及びRO(C24O)xSO3
(ここでは、Rが約8〜約18の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xが1〜10の値の整数であり、そしてMがアンモニウム、トリエタノールアミンのようなアルカノールアミン、ナトリウム又はカリウムのような1価の金属のようなカチオン、及びマグネシウム又はカルシウムのような多価の金属カチオンである)を有する。カチオンMは、アニオン性界面活性剤成分が水溶性であるように選択されねばならない。界面活性剤の溶解性は特定のアニオン界面活性剤及び選ばれたカチオンに依存している。
【0068】
一つの態様において、Rがアルキル及びアルキルエーテルスルフェートの両方において約8〜約18の炭素原子を有する。もう一つの態様において、Rが約10〜約16の炭素原子を有する。更にもう一つの態様において、Rが約12〜約14の炭素原子を有する。アルキルエーテルスルフェートは、典型的には、エチレンオキシドと約8〜約24の炭素原子を有する一価のアルコールの縮合生成物として製造される。そのアルコールは、合成され得て、又は脂肪(例えばココナッツ油、パームカーネル油、牛脂)から誘導され得る。一つの態様において、ラウリルアルコール、及びココナッツ油又はパームカーネル油由来の直鎖アルコールが好ましい。そのようなアルコールは、エチレンオキシドの約0〜約10、好ましくは約2〜約5、より好ましくは約3のモル比率で反応されて、その結果得られる例えばアルコールのモル当り平均3モルのエチレンオキシドを有する分子の混合物が硫酸化され、そして中和される。
【0069】
本発明のパーソナルクレンジングフィルム組成物において使用可能なアルキルエーテルスルフェートの非限定的な特定の例には、ココナッツアルキルトリエチレングリコールエーテルスルフェート、牛脂アルキルトリエチレングリコールエーテルスルフェート、及び牛脂アルキルヘキサオキシエチレンスルフェートのナトリウム及びアンモニウム塩が含まれる。一つの態様において、アルキルエーテルスルフェートは、ここの化合物の混合物を含むものであり、その混合物中の化合物は約10〜約16の炭素原子の平均アルキル鎖長と、エチレンオキシドの約1〜約4モルの平均エトキシル化度を有する。
【0070】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、式
[R1−−SO3−−M]
(ここでは、R1が約8〜約24の、好ましくは約10〜約18の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の、飽和の脂肪族炭化水素であり、そしてMが上記の如きカチオンである)による有機/硫酸反応生成物の水溶性塩である。そのような界面活性剤の非限定的な例は、約8〜約24の、好ましくは約10〜約18の炭素原子を有するiso‐、neo‐及びn‐のパラフィンを含めた、メタンシリーズの炭化水素、及び漂白及び加水分解のような既知のスルホン化方法よって得られたスルホン化剤(例えばSO3、H2SO4)との有機硫酸反応生成物の塩である。
【0071】
更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、例えばココナッツ油又はパームカーネル油由来のものである脂肪酸であって、イセチオン酸でエステル化され水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸;例えばココナッツ油又はパームカーネル油由来のものである脂肪酸中のメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩の反応性生物である。他の同様なアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号明細書、第2,486,922号明細書及び第2,396,278号明細書に記載されている。
【0072】
スクシネートは、本発明のパーソナルクレンジングフィルム組成物における使用に適したアニオン性界面活性剤の別のタイプのものである。その例には、ジソジウムN‐オクタデシルスルホスクシネート;ジソジウムラウリルスルホスクシネート;ジアンモニウムラウリルスルホスクシネート;テトラソジウムN‐(1,2‐カルボキシエチル)‐N‐オクタデシルスルホスクシネート;スルホ琥珀酸ナトリウムのジアリルエステル;スルホ琥珀酸ナトリウムのジヘキシルエステル;及びスルホ琥珀酸ナトリウムのジオクチルエステルが含まれる。
【0073】
他の好適なアニオン性界面活性剤には、約10〜約24の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが含まれる。この文脈において、「オレフィンスルホネート」(olefin sulfonates)は、錯体を形成しない三酸化硫黄をもちいてα‐オレフィンのスルホン化、次いでその反応で形成されたいかなるスルホン類も加水分解されて対応するヒドロキシアルカンスルホネートを与えるような条件でその酸反応混合物の中和によって生成される化合物を言う。その三酸化硫黄は液体又は気体であり得て、通常は、但し必ずしもそうではないが、液体状で使用される場合には不活性の希釈剤(例えば液状のSO2、塩化炭化水素等)によって希釈され、気体状で使用される場合には空気、窒素、ガス状SO2等によって希釈される。オレフィンスルホネートが誘導されるそれらのα‐オレフィンは、約10〜約24の炭素原子、好ましくは約12〜約16の炭素原子を有するモノ‐オレフィンである。好ましくは、それらは直鎖のオレフィンである。本来のアルケンスルホネート及びある部分のヒドロキシアルカンスルホネートに加えて、オレフィンスルホネートは、反応条件、反応物の比率、原料オレフィンの性質、及びオレフィン貯蔵における不純物、並びにスルホン化プロセス中での副反応によって、アルケンジスルホネートのような他の物質を少量含有し得る。そのようなα‐オレフィンスルホネート混合物の非限定的な例が米国特許第3,332,880号明細書に記載されている。
【0074】
パーソナルクレンジングフィルム組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤の別の群は、β‐アルキルオキシアルカンスルホネートである。そのパーソナルクレンジングフィルム組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤の例には、ラウリル硫酸アンモニウム、アンモニウムラウレススルフェート、ラウリル硫酸トリメチルアミン、トリメチルアミンラウレススルフェート、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、トリエタノールアミンラウレススルフェート、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、モノエタノールアミンラウレススルフェート、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ジエタノールアミンラウレススルフェート、ラウリックモノグリセリドソジウムスルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソジウムラウレススルフェート、ラウリル硫酸カリウム、ポタシウムラウレススルフェート、ラウリルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ソジウムトリデシルベンゼンスルホネート、ソジウムドデシルベンゼンスルホネート及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0075】
ここでのパーソナルクレンジングフィルム組成物における使用に適した両性又は双性イオン性の界面活性剤には、ヘアケア又は他のパーソナルケアのクレンジング組成物における使用で知られているもの、並びにパーソナルクレンジングフィルム組成物のpHでアニオン性である基を含有するものが含まれる。好適な両性又は双性イオン性の界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第5,104,646号明細書及び第5,106,609号明細書に記載されている。
【0076】
パーソナルクレンジングフィルム組成物の使用に適した両性の界面活性剤は当分野において知られたものであって、脂肪族の第二級アミン及び第三級アミンの誘導体として広く開示された界面活性剤を含む。その脂肪族のラジカルは直鎖又は分岐鎖であり得て、そこでは少なくとも1個の脂肪族置換基が約8〜約18の炭素原子を含み、そして少なくとも一つがカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性の水溶性化基を含有する。
【0077】
パーソナルクレンジングフィルム組成物の使用に適した双性イオン性の界面活性剤は当分野において知られたものであって、脂肪族の第四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体として広く開示された界面活性剤を含む。その脂肪族のラジカルは直鎖又は分岐鎖であり得て、そこでは少なくとも1個の脂肪族置換基が約8〜約18の炭素原子を含み、そして少なくとも一つがカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性の水溶性化基を含有する。ベタインのような双性イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0078】
パーソナルクレンジングフィルム組成物の使用に適した非イオン性、アニオン性、双性イオン性又は両性の界面活性剤の非限定的な例は、米国特許第3,929,678号明細書、第2,658,072号明細書、第2,438,091号明細書及び第2,528,378号明細書に加えて、「McCutcheon's Emulsifiers and Detergents 1989 Annual」Mc Publishing, Glen Rock, New Jerseyに記載されている。
【0079】
本発明における界面活性剤は単独で又は組み合わせて使用されても良い。パーソナルクレンジングフィルム組成物における界面活性剤の濃度は、当分野においてよく知られた他の因子に加えて、望まれるクレンジング又は泡性能、選択された界面活性剤、望ましい製品濃度、組成物中の他の成分の存在によって変化し得る。一つの態様において、パーソナルクレンジングフィルムにおける界面活性剤の濃度は、そのフィルムの乾燥重量基準で約10%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約20%〜約60%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約30%〜約55%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約10%〜約20%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約10%〜約30%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約10%〜約55%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約20%〜約30%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約20%〜約55%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約20%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約30%〜約60%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約30%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約55%〜約60%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約55%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約60%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約41%〜約70%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約41%〜約60%であり;もう一つの態様ではフィルムの乾燥重量基準で約41%〜約55%である。
【0080】
パーソナルクレンジングフィルム組成物は、当分野において知られた他の任意のフィルム形成性で水溶性の成分も含み得る。それらの成分には、増粘剤、乳化剤、美的変性剤、UVフィルター、保湿剤(例えばHYDROVANCEの商品名でNational Starch and Chemical Companyから入手可能なヒドロキシエチルウレア)、潤滑剤、スキンホワイトニング成分、シリコーン、粉末、粘度低下剤、加湿剤、緩和剤、溶剤、キレート剤、ビタミン、抗酸化剤、植物抽出物、pH調整剤、防腐剤、芳香剤、防水剤、活性成分(抗老化剤、ファーミング(firming)又は調色剤等)、染料、顔料、着色剤、ポリマー、コンディショニング剤、レオロジー変性剤、界面活性剤、不透明化剤、発泡剤、発熱剤及び/又は泡立て剤、光輝顔料及び装飾ビーズ及び付形物が非限定的に含まれる。
【0081】
泡立て剤は、水と接触して置かれたときに泡立つ1種以上の物質であり得る。一つの態様において、フィルムの泡立て部材は2成分から成る。好適な第1の成分は、C2〜C20の有機モノ‐及びポリ‐カルボン酸のような乾燥した固体形態で存在するいかなる酸をも含む。もう一つの態様において、その第1の成分には、α‐及びβ‐ヒドロキシカルボン酸;トルエンスルホン酸のようなC2〜C20の有機スルホン酸;及び過酸化水素のような過酸化物であり得る。一つの態様において、ヒドロキシカルボン酸には、アジピン酸、グルタル酸、琥珀酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸及び/又はサリチル酸、加えてグルコノラクトン及びグルカロラクトンのようなラクトンを形成する酸が含まれる。もう一つの態様において、その酸がクエン酸である。ポリアクリレート(例えば封入性ポリアクリル酸)、セルロースガム、ポリウレタン及びポリオキシアルキレンポリマーのような水溶性の合成又は天然のポリマーもその酸材料として好適である。「酸」(acid)の語句は、脱イオン水中に1%の濃度で溶解されたときに、7未満のpHを有する;もう一つの態様では6.5未満のpHを有する;もう一つの態様では5未満のpHを有する、いかなる物質をもむ。その酸は、一つの態様では、25℃で固体状(即ち、25℃以上で融点を有する)である。酸の濃度は、水溶性フィルムの最終重量基準で、約0.5〜約80%;もう一つの態様では約10〜約65%;もう一つの態様では約20〜約40%の範囲であり得る。
【0082】
泡立て部材の好適な第2成分はアルカリ物質を含む。アルカリ物質は、水及び第1成分の酸性物質と接触したときに二酸化炭素、窒素又は酸素のようなガスを生成(即ち泡立て)し得る物質である。好適なアルカリ物質には、炭酸塩及び重炭酸塩の無水塩並びにアルカリ過酸化物が含まれる。一つの態様において、アルカリ物質が重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムである。アルカリ物質の量は、水溶性フィルムの重量基準で、約1〜約40%;もう一つの態様では約5〜約35%;もう一つの態様では約15〜約30%;もう一つの態様では約25〜約35%の範囲であり得る。
【0083】
泡立て部材の酸とアルカリ成分は、水との接触までは物理的に分離されていても良い。分離の方法には2層フィルムを形成することが含まれ、その一方の層が酸成分を含み、他方の層がアルカリ成分を含む。物理的な分離の方法のもう一つの例は、少なくとも一方の成分を第3物質中に封入することである。そのような2層フィルム又は酸又は塩基物質の封入を形成する方法は、当分野において知られたものである。
【0084】
フィルムの発熱成分は、水と接触して置かれたときに熱を生成する一つの物質又は二つ以上の物質の併用であっても良い。発熱物質の併用の例には、酸と塩基の併用が含まれる。一つの態様において、発熱物質の併用が、酸化試薬と還元剤の併用である。そのような酸化剤及び還元剤には、この性質の入手可能な種々の化合物から広く選択され得る。酸化剤の例には、塩素酸塩、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過硫酸塩、過酸化物、硝酸塩、酸化銅、酸化鉛及び酸化鉄のような金属酸化物、並びに過硼酸塩が含まれる。一つの態様において、その酸化剤には過酸化水素、過酸化尿素、過酸化ナトリウム、過硼酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム又はそれらの混合物が含まれる。還元剤には、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム及び鉄;スルフィット、チオスルフェート、チオウレア、イミダゾリンチオン、チオトラゾール(thiotrazoles)、チオピリジン、チオ‐ピリミジン、チオール、チオ‐酸、スルフォキシド、キサントゲン酸塩、オルト‐及びパラ‐ポリヒドロキシベンゼン、アルデヒド及びグリコールが含まれる。
【0085】
酸化剤及び還元剤は、水と組み合わされるまでは物理的に分離されていても良い。その分離の方法には2層フィルムを形成することが含まれ、その一方の層が酸化成分を含み、他方の層が還元成分を含む。物理的な分離の方法のもう一つの例は、少なくとも一方の成分を第3物質中に封入することである。
【0086】
水と組み合わされたときに熱を生成する単一の成分類は、水中での溶解又は希釈(例えば、水とエチレングリコールの組み合わせ、又は硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硫酸銅、塩化鉄、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのような塩と水との組み合わせ)の測定可能な熱を有するものである。一つの態様において、その単一の発熱成分は、水溶性フィルムの重量基準で約1〜約40%;もう一つの態様では約5〜約35%;もう一つの態様では約15〜約30%;もう一つの態様では約25〜約35%の範囲にあり得る。
【0087】
本発明のパーソナルケアのクレンジング及び/又はシェービングフィルムは、その産業上知られた技術によって成形され得る。例えば、水溶性ポリマー成分は、水又は溶剤中で他のフィルム成分と共に分散され、フィルム形状に乾燥され得る。或いは、水溶性ポリマーと他の乾燥成分が共にブレンドされ、次いで水及び/又は溶剤中で追加のフィルム成分と共に分散されて、フィルム形状に乾燥されても良い。そのような分散液又は溶液から、当分野で知られている技術(例えば湿潤キャスト、凍結乾燥及び押出成形)により、それらを好適な厚さの固形化形態に成形することによって、フィルムが成形され得る。その分散液又は溶液は、もう一つの製品上に直接コート又は噴霧され、乾燥されてフィルムに成形されても良い。
【0088】
一つの態様において、本発明によるフィルムはコーティング配合物を調製することによって化工される。このコーティング配合物は、フィルム成分の溶液又は分散液を作製し、ナイフ、バー又は押出ダイのコーティング方法を使用してその混合物を基材に適用し、そのコートされた基材を乾燥して溶剤の少なくとも一部を乾燥させて、そしてその基材からフィルムを取り外すことによって、製造される。基材の例には、シリコーンエラストマー、金属ホイル及びメタライズされたポリホイル、ポリテトラフルオロエチレン材料又はそれの均等物、ポリエーテルブロックアミドコポリマー、ポリウレタン、ポリビニリデン、ポリエステル、及び剥離性基材として当分野で使用されるような他の材料を含有する複合ホイル又はフィルムが含まれる。パーソナルケアクレンジングフィルムは、標準的な温度及び/又は圧力、或いは標準条件に比してより低い又はより高い温度及び/又は圧力で乾燥され得る。
【0089】
本発明のフィルムは、当分野で知られている種々のタイプの方法に応じて包装され得る。例えば、それらがカートリッジ、小包、ロール状に、又はテープディスペンサーにおけるテープとして包装され得る。それらは、個々に、一回用量に又は複数パックを並べて一緒に包装されても良く、そこではそれらのフィルムが互いに接触し、或いはある種のバリヤーで分離されている。選ばれる包装は目標とする最終用途によるであろう。例えば、フィルムを取り出すときに使用者の手がすでに濡れているような適用においては、分離して個々に密封された小包内にフィルムを包装することが、多数パックよりも有利であって、それによって他のフィルムを水分から守る。使用者が乾燥した手でフィルムを取り出す場合には、フィルムが別々に包装されることなく、一緒に包装されても良い。
【0090】
固体粒子がそのフィルム中に導入されても良い。固体粒子には、例えば剥離性ビーズ、封入された成分又は装飾部材が含まれる。
【0091】
溶解速度は、ビーカーの極性溶剤中で1インチ2のフィルムが崩壊するのに要する時間を測定して決定される。一つの態様において、パーソナルクレンジングフィルムは25℃の水中で約15分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約10分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約5分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約2.5分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約1分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約45秒以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃の水中で約30秒以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃のエタノール中で約5分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃のエタノール中で約2.5分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃のエタノール中で約1分以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃のエタノール中で約45秒以内に崩壊する。もう一つの態様ではパーソナルクレンジングフィルムが25℃のエタノール中で約30秒以内に崩壊する。
【0092】
そのフィルムは完全に乾燥されずに、ある程度の水又は他の溶剤が残っても良い。フィルム中に存在する溶剤の量は、望ましい機能が得られるように制御され得る。例えば、溶剤が多いほど通常はより柔軟なフィルムをもたらし、溶剤が多過ぎると粘着性のフィルムが接着することが生じ得る。使用されるようなパーソナルクレンジングフィルム中には、通常いくらかの溶剤が残っても良い。一つの態様において、パーソナルクレンジングフィルム中に残る溶剤は、そのフィルムの重量基準で、約0〜約25重量%の範囲にあり;もう一つの態様では約1〜約20重量%の溶剤が残り;もう一つの態様では約5〜約16重量%の溶剤が残り;もう一つの態様では約10〜約15重量%の溶剤が残り;もう一つの態様では約0.1〜約4重量%の溶剤が残る。
【0093】
フィルムの厚さは液体のコーティング厚さによって決定される。液体のコーティング厚さは、Braive Laboratory Bar Coater上で、そのフィルムコーター上のGAP設定を調整することによって変更され得る。一つの態様において、フィルムが、25〜80のGAP設定で;もう一つの態様では25〜60の設定で;もう一つの態様では25〜40の設定で;もう一つの態様では40〜50の設定で;もう一つの態様では40〜60の設定で;もう一つの態様では50〜60の設定でキャストされる。他のラボコーターが本発明のフィルムをキャストするのに使用されても良いが、そのコーティング厚さの設定は使用される特定のコーティングのスケール及び望まれるフィルムの所望厚さに依存している。フィルムのキャスティングにおける妥当な液体のコーティング厚さは当業者によって容易に決定され得る。
【0094】
クレンジングフィルムの厚さは約1〜500ミクロンの範囲にあり得る。一つの態様において、フィルムが約25〜約100ミクロンの厚さを有する。もう一つの態様ではフィルムが約25〜約60ミクロンの厚さを有する。更に一つの態様ではフィルムが約25〜約50ミクロンの厚さを有する。
【0095】
その結果得られるフィルムは軽量であって、容易に持ち運べるものである。それらは、容易に分配可能で、取り扱いが容易なように充分に強くて柔軟である。
【0096】
それらのフィルムは耐湿性及びブロッキング抵抗性を呈し、更に水又は極性溶剤に曝されたときに濡れてすぐに溶解及び/又は崩壊する。そのクレンジングフィルムが濡れて溶解する速度は、特定の送達プロフィルを目標にして当業者が変更し得るものである。例えば、カルボキシル化された水溶性ポリマーのより迅速な溶解が、中和及び/又は可塑化を用いることによって達成され得る。水溶性ポリマーのカルボキシル基の中和が、ポリマーの主鎖に沿って荷電された基を生成し、そこでカルボキシル基が中和される。荷電された極性基が、カルボキシル基が中和されない場合よりも、ポリマーのその部分を極性溶剤中でより溶解性にする。
【0097】
本発明のパーソナルクレンジングフィルムは、他の適用形態では併用するのが困難又は不可能なポリマーと界面活性剤の使用を可能にする。パーソナルクレンジングフィルム中でのそれらのポリマーと界面活性剤の配合物は、新規で興味深い適用を与え、他の適用に付随したいくつかの制限を解消する。例えば、あるアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマー及び/又は界面活性剤が併用されて、水溶液中で不溶な沈殿を形成し、もやのかかった状態であり、又は許容できない流動性を有するような比でフィルムに成形され得る。もう一つの例では、高いpHでゲルを形成するポリマーが2層フィルムの一方のフィルム層中に導入されることができて、他の層に活性化ベースが導入される。その2層フィルムが溶解すれば、二つの物質が混ざり合って、濁り、潤滑性を呈する。
【0098】
本発明の特に好適なクレンジングフィルム組成物は、プルランと少なくとも1種の界面活性剤を含む。本発明のもう一つの特に好適なクレンジングフィルム組成物は、プルラン、ヒドロキシプロピル化された高アミラーゼコーンスターチのような少なくとも1種の澱粉、少なくとも1種の界面活性剤、及びグリセリンを含む。本発明のもう一つの特に好適なクレンジングフィルム組成物は、フィルムの30〜66重量%の量のプルラン、及びフィルムの30〜55重量%の量の少なくとも1種の界面活性剤を含む。本発明のもう一つの特に好適なクレンジングフィルム組成物は、30〜66重量%のプルラン、30〜55重量%の界面活性剤、及び10〜37重量%の変性澱粉を含む。本発明のもう一つの特に好適なクレンジングフィルム組成物は、30〜66重量%のプルラン、30〜55重量%の界面活性剤、10〜37重量%の変性澱粉、及び0.1〜5重量%のグリセリンを含む。
【0099】
パーソナルケア組成物の使用者は、多くの異なる方法で髪又は皮膚にそのフィルムを適用し得る。適用の一つの方法は、手を濡らすこと、その手中に組成物を置くこと、手の上にそのフィルムを散布させること、及び次いでその手を髪に通して皮膚に沿って摩擦することによって濡れたフィルムを塗布することを含む。別の態様では、使用者が濡れた髪又は皮膚上に直接フィルムを置いて、所望のように髪又は皮膚にそのフィルムを散布させても良い。もう一つの態様では、フィルムが手に直接置かれて、濡らされ、次いで髪を通して、又は皮膚を横切って散布させられても良い。他の類似のいかなる適用も使用可能である。
【0100】
クレンジングフィルムがシェービングフィルムとして使用され、そして界面活性剤を含有する場合には、そのフィルム組成物はざらざらした界面活性剤を含むべきではない。例えば、シェービングフィルムは、好ましくは非常にざらざらして皮膚に対して乾く界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを含まない。
【0101】
パーソナルケア組成物の使用者は、多くの異なる方法で髪又は皮膚にそのフィルムを適用し得る。適用の一つの方法は、手を濡らすこと、その手の中に組成物を置くこと、手の上にそのフィルムを散布させること、次いでその手を髪に通して皮膚に沿って摩擦することによってそれを適用することを含む。別の態様では、使用者が濡れた髪又は皮膚上に直接フィルムを置いて、所望のように髪に通して又は皮膚上にそのフィルムを分散させても良い。もう一つの態様では、フィルムが手に直接置かれて、濡らされ、次いで髪を通して、又は皮膚を横切って分散されても良い。他の類似のいかなる適用も使用可能である。
【0102】
本発明によるパーソナルクレンジングフィルムの適用のもう一つの方法において、そのパーソナルクレンジングフィルムを溶解又は分散させるために別の製品をパーソナルクレンジングフィルムに添加して、次いで皮膚又は髪に一緒に適用されることによって、パーソナルクレンジングフィルムが髪又は皮膚へ適用されても良い。例えば、一つの態様において、多量のボディウォッシュが、手の中のフィルムに添加され、手中で混合され、次いでその混合物が身体に一緒に塗布されるようにフィルムを溶解又は分散させることができる。もう一つの態様では、シェービングクリームが手の中のフィルムに添加され、手でこすり合わせることによって混合され、次いで髭剃り領域に適用される。
【0103】
本発明によるパーソナルクレンジングフィルムの適用のもう一つの方法において、その適用形態のクレンジング特性又は潤滑特性を添加又は増強するために、パーソナルクレンジングフィルムが別の適用タイプに溶解又は分散されても良い。例えば、一つの態様において、パーソナルクレンジングフィルムが既存のボディウォッシュ又はシャンプーに添加されて、ボディウォッシュの効率を高め、又は美的特性を変えることが可能である。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は、本発明を更に示して説明するために提示されるものであって、いかなる点においても限定するものと取られるべきではない。
【0105】
実施例中に含まれる化合物は、それらのINCI(International Cosmetic Ingredient)名又は商品名を用いてリストに挙げられている。成分のINCI名は、「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」第10版 T.E. Gottschalck and G.N. McEwen, Jr., Ph.D., J.D; The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association: Washington, D.C., (2003)から来ている。参考として、以下の実施例に使用されている商品名は、次の表1においてINCI名のすぐ隣にリストアップされている。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例1‐手順
以下の実施例において、次のような手順が使用されている。
溶液/分散液のバッチ処理
ブレンダー中で溶液/分散液成分を均質になるまで混合することによって、フィルムのキャスティングに使用する溶液/分散液を作製した。
【0108】
フィルムのキャスティング
平坦な表面に付着されたポリエステルシート上に、Braive Laboratory Bar Coater又はBASF Lab Coaterを使用して、その溶液/分散液を引伸ばすことによってフィルムをキャストし、75°F(24℃)及び50%の相対湿度で少なくとも10時間乾燥した。GAP液体コーティング寸法がリストに挙げられている場合にはBraive Laboratory Bar Coaterを使用し、100より上の液体コート厚さが使用される場合にはBASF Coaterを使用した。
【0109】
泡の寿命
37mm×60mmのフィルム切片を濡れた手の間でこすり、次いで皮膚のパッチ上にその泡を置き、そして泡が壊れてもはや泡に似ず又は泡のように見えなくなる時間を測定することによって、泡の寿命を判定した。
【0110】
クレンジングの効用
先ず一方の手を暖かい水道水で濡らし、濡れた手に試験フィルムを適用し、他方の手を暖かい水道水で濡らし、次いで両手を一緒にこすり合わせることによって、ハンドクレンジングの効用を判定した。この動作が、フィルムを活性化して水溶液中へのフィルムの溶解とその液体の手全体への散布をもたらすのに充分である場合に、効用が認められる。
【0111】
実施例2‐クレンジングフィルムを形成するポリマー
【表2】

【0112】
前記の手順に従って、上記の組成物をバッチ処理して、60のGAPのフィルム厚さ設定でフィルムにキャストした。上記の組成物は以下の通りであった。
組成物1は連続的なフィルムを形成しなかった。その代わりに、およそ1mm×1mmのフレークがポリエステルシート上に見られた。
組成物2は連続的なフィルムを形成しなかった。その代わりに、およそ1mm×10mmの長いフレークがポリエステルバッキング上に見られた。
組成物3は、広がらないゲルを形成したために、コート出来なかった。
組成物4は、非常に柔軟で粘着性のフィルムを形成した。
組成物5は、高い清澄性を有する連続的なフィルムを与えた。
【0113】
組成物4及び5から得たフィルムを、およそ37mm×60mmの長方形に切断した。上記の手順に従って、それらのクレンジング効用を実証した。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、両方の組成物からにフィルムによって達成された。この実施例の結果は、全てのフィルム形成性ポリマーがパーソナルクレンジングフィルムの形成に適する訳ではないことを示している。
【0114】
実施例4‐界面活性剤濃度の影響
【表3】

【0115】
ブレンダー中で成分を均質になるまで混合して上記の組成物を調製し、次いで前記の手順に従ってフィルムにキャストした。液体の厚さを60のGAPに設定した。
【0116】
サンプル1〜5が柔軟で連続的なフィルムを形成した。サンプル6は連続的なフィルムを形成しなかった。この実施例は、導入されて機能性フィルムにキャストされ得る界面活性剤の量に上限があることを示している。サンプル1〜3は、均質であることを示す、良好な清澄性を有するフィルムを与えた。サンプル4及び5は、0.5mmのオーダーの大きさで明瞭に白色に見える特徴を有するフィルムを与えた。それは、それらのフィルムがサンプル全体で不均質であることを示すものである。サンプル4及び5から形成されたフィルムをおよそ37mm×60mmの長方形に切断した。
【0117】
前記の実施例1において概略を述べた手順に従って、フィルム1〜5を使用して、ハンドクレンジング効用を実証した。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、フィルム1〜5について達成されたが、フィルム中の界面活性剤のレベルを高めるにつれて、より多くの泡及びよりすべる感覚が注目された。
【0118】
この実施例は、水溶性ポリマーとしてプルランを使用するフィルム中に導入される界面活性剤の量に上限があることを示している。そのデータは、フィルムが不均質であってもクレンジングの利益を提供し得ることを示している。
【0119】
実施例4‐プルランと変性澱粉のブレンド
【表4】

【0120】
前記の実施例1における手順に従って、上記フィルム組成物をバッチ処理し、60のGAPに設定したコーティングでフィルムにキャストした。フィルム1及び2は非常にもろいフィルムであった。フィルム3及び4は柔軟で均質であった。組成物3及び4から形成したフィルムをおよそ37mm×60mmの長方形に切断した。フィルム3及び4でハンドクレンジングが生じ得た。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、両方のフィルムについて達成されている。但し、フィルム3はフィルム4よりもかなりクリーム状で贅沢な手の感覚を有する。この実施例は、フィルム形成性ポリマーのブレンドが採用され得ること、及び存在するポリマー類又はそれらのブレンドに基づいてパーソナルクレンジング知覚が変えられ得ることを示している。
【0121】
実施例5‐プルランベースのフィルムにおいて使用される界面活性剤のブレンド
【表5】

【0122】
【表6】

【0123】
前記の実施例1における手順に従って、上記組成物(重量%で)をバッチ処理し、40のGAPのフィルム厚さ設定でフィルムにキャストした。フィルム1,2,4及び5は非常に多くの残渣を有していたが、フィルム1B,2B,3,6,11及び12Bはそうではなかった。全てのフィルムが柔軟で均質であった。残渣を含まないフィルムのみをおよそ37mm×60mmの長方形に切断した。
【0124】
フィルム1B,2B,3,6,11及び12Bでハンドクレンジングが生じ得た。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、全てのフィルムについて達成されている。但し、フィルム1B,2B及び12Bは、フィルム3,6及び11よりもかなりクリーム状で贅沢な泡の触感を有し、それはより自然な感覚である。この実施例は、フィルム形成性ポリマーのブレンドが採用され得ること、及び存在するポリマー類によってパーソナルクレンジング知覚が変えられ得ることを示している。
【0125】
実施例6‐実施例5の残渣なしのフィルム成形の最適化
【表7】

【0126】
前記の手順に従って、上記組成物を調製し、40のGAPに設定した厚さでフィルムにキャストした。フィルム1,4,6,8及び10は残渣を有していたが、フィルム2,3,5,7,9,11,12及び13はそうではなかった。全てのフィルムが頑丈で、柔軟でそして均質であった。それらのフィルムをおよそ37mm×60mmの長方形に切断した。全てのフィルムでハンドクレンジングが生じ得た。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、全てのフィルムについて達成された。
【0127】
グリセリン含量の低下されたフィルム(例えばフィルム1〜5)は、それらのフィルムを水と共に手に適用するときに、より大きな体積の泡に至った。加えて、グリセリンのレベルが低下された場合には、それらのフィルム自体で残渣の感触が少なかった。プロピレングリコールを含有するフィルム(フィルム11)とグリセリンを含有するフィルム(フィルム9)の比較によって、プロピレングリコールがフィルムの脆さを減少させるのを助けることが示される。
【0128】
PEG‐12ジメチコン(Dow Corning 193界面活性剤)の添加で、脆さのようなフィルムの全体的な特性(フィルム9及び12;フィルム10及び13)が改良される。この実施例は、フィルム形成性ポリマーのブレンドが採用され得ること、及び生成物中に存在するポリマー類及び界面活性剤によってパーソナルクレンジング知覚が変えられ得ることを示している。
【0129】
実施例7‐添加剤を有するプルランフィルム
【表8】

【0130】
フィルムの種々の性質を示すために、上記の組成物(重量%で)を調製し、フィルムにキャストした。表8における液体を40のGAPの厚さにコートした。組成物13を20、25及び30のGAPの厚さでもコートした。
【0131】
残渣:
表8の組成物から作製されたフィルムのどれもが残渣を有さなかった。全てのフィルムが頑丈で、柔軟でそして均質であった。それらのフィルムをおよそ37mm×60mmの長方形に切断して、性能を評価した。典型的な液体ハンドウォッシュと一致した泡及び感覚が、全てのフィルムについて達成された。
【0132】
テクスチャー:
異なるシリコーンを使用することによって、フィルム特性における変化が観察された。Dow Corning 193の代わりに、Dow Corning 2-8114及び/又はDow Corning 1664を添加して、より平滑で、よりすべる感覚を有するフィルムを得た。
【0133】
溶解速度:
40のGAPから20のGAPへのフィルム厚さの変更は、適用プロセス中でのフィルムの溶解時間を低下させるが、快適なハンドウォッシュ感覚のための所望の量の泡及び気泡を提供するある量の界面活性剤を依然として送達する。
【0134】
この実施例は、フィルム形成性ポリマーのブレンドが採用され得ること、及びフィルム中に存在するポリマー類、添加剤及び界面活性剤によってパーソナルクレンジング知覚が変えられ得ることを示している。
【0135】
実施例8‐変性食物澱粉クレンジングフィルム
【表9】

【0136】
上記の表9における溶液A,B,C及びDをバッチ処理し、BASFラボコーター上でフィルムにキャストして、一晩中乾燥させた。全ての溶液が許容可能なパーソナルクレンジングフィルムを形成し、それらは評価時に適当な耐久性、泡及びクレンジング性能を呈した。
【0137】
BASFラボコーターを使用して溶液E,F及びGをコートしたが、500、650及び800のフィルムコーティング設定ではフィルムを形成しなかった。
【0138】
【表10】

【0139】
フィルムH,I,J及びKをバッチ処理したが、BASFラボコーター上に535の厚さ設定でコートしたときに、脆すぎるフィルムを形成した。
【0140】
実施例9‐市販のシャンプーからのクレンジングフィルムの調製
【表11】

【0141】
市販のシャンプーをパーソナルクレンジングフィルム中に導入し得ることを示すために、上記の組成物E,F,G及びHを作製した。各組成物をバッチ処理して、BASFラボコーター上に500の厚さ設定でフィルムにキャストした。組成物Eはいくらかの残渣を有するフィルムを形成した。フィルム上の少量の残渣からのブロッキングを防ぐために、そのフィルムをDRY−FLO PCでコートした。このコーティングがブロッキングを防止した。
【0142】
組成物Eは、前記の実施例1で概略を述べたように評価した際に、適当な耐久性、泡及びクレンジング性能を呈する、許容可能なパーソナルクレンジングフィルムを形成した。組成物F,G及びHは許容可能なフィルムを形成しなかった。乾燥したときに各組成物は脆すぎる(組成物G及びH)か、又は過剰の残渣とブロッキング性(組成物F)を有するかのいずれかであった。
【0143】
実施例10‐シェービングフィルムの調製
【表12】

【0144】
上記の組成物(重量%)を調製して、25のGAPの厚さ設定でフィルムにキャストした。前記のフィルムキャストの手順において使用するポリエステルシート上にコートする前に、それらの液体を遠心分離した。その液体を25のGAP厚さにコートした。
【0145】
それらのサンプルを、フィルム強度、溶解時間及び泡寿命について評価した。既に髭剃りがなされた場所を知るサインとして、ある消費者の使用で髭剃り中に泡の除去を制御するために、泡寿命は望ましい特質である。
【0146】
組成物1と組成物2の比較で、界面活性剤レベルの増加と可塑剤(グリセリン)の除去は泡にあまり影響しないが、フィルム強度に負に作用することが示される。
【0147】
組成物1と組成物3の比較で、界面活性剤の変化は、溶解時間又はフィルム強度を変化させることなく、泡の寿命を劇的に増加させることが示される。
組成物1の組成物4,5及び6との比較で、単一のポリマーの使用と種々のフィルム形成性ポリマーのブレンドの使用は、泡の寿命に影響することが示される。
【0148】
本発明は既に詳細に記載され説明されてきたが、それらは説明及び例示のみのためのものであって、限定するものと取られるべきではないことが理解されるべきである。本発明の精神及びその範囲は請求の範囲の語句によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
45〜82重量%の量の少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び
約18〜55重量%の量の少なくとも1種の界面活性剤
を含むパーソナルケア組成物であって、該組成物が乾燥フィルムであり、該重量%が乾燥フィルムの全重量に基づくものである、パーソナルケア組成物。
【請求項2】
合成ポリマー、天然ポリマーまたはそれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の少なくとも1種の水溶性ポリマー。
【請求項3】
前記の少なくとも1種の水溶性ポリマーが、プルラン、澱粉またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1種の天然ポリマーである、請求項2に記載の少なくとも1種の水溶性ポリマー。
【請求項4】
前記の少なくとも1種の水溶性ポリマーが、100:0〜75:25のプルランの澱粉に対する比を有するものである、請求項3に記載の少なくとも1種の水溶性ポリマー。
【請求項5】
前記パーソナルケア組成物が少なくとも1種の可塑剤を更に含み、そして前記の少なくとも1種の水溶性ポリマーが澱粉とプルランのブレンドを更に含むものである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
前記の少なくとも1種の可塑剤が、前記組成物中の澱粉の重量基準で15%より多い量で存在する、請求項5に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
前記の少なくとも1種の可塑剤が、前記組成物中の澱粉の重量基準で18%より多い量で存在する、請求項6に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
前記パーソナルケア組成物が少なくとも1種の可塑剤を更に含み、そして前記の少なくとも1種の水溶性ポリマーが澱粉を更に含み、該少なくとも1種の可塑剤が該組成物中の該澱粉の重量基準で18%より多い量で存在する、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ソジウムラウレススルフェート、アンモニウムラウレススルフェート、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ジソジウムココアムホジアセテート、ラウロイルサルコシンナトリウム、TEA‐ココイルグルタメート又はデシルグルコシド、或いはそれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の少なくとも1種の界面活性剤。
【請求項10】
前記水溶性ポリマーの遊離酸基を中和するのに充分な量で存在する少なくとも1種の中和剤を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記フィルムがクレンジングフィルム又はシェービングフィルムである、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
皮膚及び/又は髪のクレンジング方法であって、
泡を生成するのに充分な量の水で請求項1に記載のフィルムを濡らすこと、及び
該泡を該皮膚及び/又は髪に適用すること
を含む、方法。
【請求項13】
基体のシェービング方法であって、
泡を生成するのに充分な量の水で請求項1に記載のフィルムを濡らすこと、及び
シェービングを施すべき該基体に該泡を適用すること
を含む、方法。
【請求項14】
非変性澱粉及び変性澱粉から成る群より選択される澱粉で請求項1に記載のフィルムをコートすること含む、溶解可能なフィルムのブロッキングを防止する方法。
【請求項15】
前記澱粉が疎水性的に変性されたものである、請求項11に記載の方法。

【公開番号】特開2006−290888(P2006−290888A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−106452(P2006−106452)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】