パーテイションウエザーストリップ
【課題】サッシュカバーの室外側の端部とパーテイションウエザーストリップとの間での無用な隙間の発生を防ぎ、パーテイションガラス周りでの見栄えの向上を図る。
【解決手段】ドアサッシュ4に装着されたパーテイションウエザーストリップ6のうちリアピラー相当部での構造である。インナサッシュカバー14のルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片22を曲折形成し、パーテイションウエザーストリップ6の同等部位には爪片22を受容可能な係合溝23を形成する。インナサッシュカバー14側の爪片22を上記係合溝23に係合させて、インナサッシュカバー14の室外側の端部とパーテイションウエザーストリップ6との間での隙間の発生を防いでいる。
【解決手段】ドアサッシュ4に装着されたパーテイションウエザーストリップ6のうちリアピラー相当部での構造である。インナサッシュカバー14のルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片22を曲折形成し、パーテイションウエザーストリップ6の同等部位には爪片22を受容可能な係合溝23を形成する。インナサッシュカバー14側の爪片22を上記係合溝23に係合させて、インナサッシュカバー14の室外側の端部とパーテイションウエザーストリップ6との間での隙間の発生を防いでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテイションウエザーストリップの構造に関し、特に自動車のリアドアのように昇降式のドアガラスの後部側に隣接して配置される固定式のパーテイションガラスに適用されるパーテイションウエザーストリップの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のリアドアにおけるパーテイションガラスは固定式(いわゆる嵌め殺しタイプ)のものであるために、そのパーテイションガラスの周囲にパーテイションウエザーストリップを予め閉ループ状に装着した後に、当該パーテイションウエザーストリップを介してサッシュ付きドアに組み付けられる。そして、パーテイションガラスはパーテイションサッシュを介してそれに隣接する昇降式のドアガラスと隔離される。
【0003】
その一方、特許文献1(特に図1,2を参照のこと。)に記載されているように、昇降式のドアガラスやパーテイションガラスが嵌め込まれる金属製のドアサッシュが直接露出しないように、そのドアサッシュの室内側の部分にいわゆる「かぶせ方式」のサッシュカバー(インナサッシュカバー)を装着することがある。なお、このサッシュカバーはドアサッシュとほぼ同形状をなす枠状またはアーチ状のもので、例えば室外側の端縁に形成した爪部をドアサッシュ側のフランジ端縁に係合させることで位置決めされる。
【0004】
そして、ドアサッシュのルーフ相当部あるいはリアピラー相当部では、ドアグラスランやパーテイションウエザーストリップの一部にカバーリップを付設しておき、昇降式のドアガラスやパーテイションガラス側に臨むことになるサッシュカバーの室外側の端部をカバーリップにて被覆・隠蔽するようにしている。これによって、特にサッシュカバーの室外側の端部とパーテイションウエザーストリップとの間の隙間がパーテイションガラスを通して室外側から見えるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−63255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば自動車のリアドアのうちパーテイションサッシュよりも後部側のパーテイションガラス周りの造形に着目した場合、ドアサッシュのルーフ相当部よりもリアピラー相当部でのサッシュ幅を大きく設定したり、あるいはルーフ相当部からリアピラー相当部にわたってサッシュ幅を徐変させたりすることが行われる。このような場合、必然的にパーテイションガラス周りのルーフ相当部とリアピラー相当部では、ドアサッシュそのものの断面形状とともにパーテイションウエザーストリップの断面形状やサッシュカバーの断面形状も異なってくることになる。
【0007】
そのため、パーテイションガラス周りのルーフ相当部からリアピラー相当部を通して特許文献1に記載されたような均一断面のカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用することができず、見栄えや外観品質の向上の上でなおも改善の余地を残している。
【0008】
すなわち、パーテイションガラス周りのルーフ相当部とリアピラー相当部では、ドアサッシュそのものの断面形状とともにパーテイションウエザーストリップの断面形状やサッシュカバーの断面形状も相互に異なる故に、特許文献1に記載されたようなカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用することができず、当該構造に代わる何らかの工夫を施さないと見栄えや外観品質の改善が図れないことになる。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、上記のようなカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用できない場合であっても、サッシュカバーの室外側の端部とパーテイションウエザーストリップとの間での無用な隙間の発生を防ぎ、もってパーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質の向上を図った構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パーテイションガラスの周囲に予め装着された状態で、ドアウエスト部のほかドアサッシュのルーフ相当部とピラー相当部およびパーテイションサッシュのそれぞれに嵌合保持されることで、パーテイションガラスを固定支持しているパーテイションウエザーストリップの構造である。そして、上記ドアサッシュの少なくともルーフ相当部とピラー相当部では、その室内側にサッシュカバーが装着されて当該ルーフ相当部とピラー相当部とを隠蔽しているとともに、上記サッシュカバーのルーフ相当部では、当該サッシュカバーの下端で且つ室外側の端部をパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップにて隠蔽している。さらに、上記サッシュカバーのピラー相当部では、サッシュカバーの室外側の端部がパーテイションウエザーストリップの底壁部に乗り上げるようになっている。その上で、上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片が曲折形成されているとともに、上記パーテイションウエザーストリップの同等部位には上記爪片を受容可能な溝部が形成されていて、上記サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とする。
【0011】
また、上記爪片および溝部は、その機能よりして、請求項2に記載のように、パーテイションガラスとほぼ平行なものとして形成してあることが望ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の記載を前提に、上記パーテイションウエザーストリップのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に形成された溝部に近接して肉盛り部を形成するとともに、この肉盛り部とパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップとを連続させ、上記肉盛り部にてサッシュカバーの室外側の端部を隠蔽しつつ、当該サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係止させてあることを特徴とする。
【0013】
この場合において、上記肉盛り部は、その機能よりして、請求項4に記載のように、溝部の室外側に近接して形成されていることが望ましい。。
【0014】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に曲折形成した爪片を、パーテイションウエザーストリップの同等部位に形成した溝部に係合させてあるため、両者の間での隙間の発生を未然に防止できることになる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,2に記載の発明によれば、上記爪片と溝部との係合部での隙間の発生を防止できるため、従来のように同等部位にできる隙間がパーテイションガラスを通してそのまま外部に露出してしまうことがなくなり、パーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質の向上が図れる。
【0016】
請求項3,4に記載の発明によれば、上記爪片と溝部との係合部での隙間の発生を防止できることはもちろんのこと、肉盛り部をもって爪片の室外側の端部を隠蔽できるため、パーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質が一段と向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】4ドアタイプの自動車の斜視図。
【図2】本発明に係るパーテイションウエザーストリップの第1の形態を示す図で、図1に示した自動車のQ部の拡大図。
【図3】図2G−G線に沿う拡大断面図。
【図4】図2に示したインナサッシュカバーの要部拡大斜視図。
【図5】図2のSD−SD線に沿う拡大断面図。
【図6】図2のSE−SE線に沿う拡大断面図。
【図7】図2のSH−SH線に沿う拡大断面図。
【図8】図2のSF−SF線に沿う拡大断面図
【図9】図2のM部の拡大斜視図。
【図10】図9のP方向矢視図。
【図11】図6と同等部位での不具合発生時の拡大断面図。
【図12】本発明に係るパーテイションウエザーストリップの第2の形態を示す図で、図6と同等部位の拡大断面図。
【図13】同じく図9と同等部位の拡大斜視図。
【図14】同じく図13のP方向矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜10は本発明を実施するためのより具体的な第1の形態を示していて、特に図1は4ドアタイプの自動車の斜視図を、図2は図1におけるリアドア1のQ部、すなわちパーテイションガラス3周りの拡大図をそれぞれ示している。さらに、図3〜10は図2の各部の詳細を示している。
【0019】
図1に示すように、自動車のリアドア1にあっては、ドアガラス(リアサイドウインドガラス)2に隣接してその後方側にパーテイションガラス3が配置されることがある。これらのドアガラス2およびパーテイションガラス3は窓枠部材である共通のドアサッシュ4に収められてはいても、双方のガラス2,3はパーテイションサッシュ5を介して相互に独立していて、ドアガラス2が昇降式のものとされているのに対して、パーテイションガラス3は非昇降タイプの固定式のもの(いわゆる嵌め殺しタイプのもの)とされている。
【0020】
より詳しくは、ドアガラス2はドアサッシュ4のセンターピラー相当部(前縦辺部)4c、ルーフ相当部(上辺部)4bおよびパーテイションサッシュ5の三辺にまがたって配設された図示外のドアグラスランを介してドアサッシュ4に昇降可能に案内支持されているのに対して、パーテイションガラス3はその四周全周に予め後述するパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前にドアサッシュ4の後部側にパーテイションサッシュ5とともに嵌め込み固定される。
【0021】
この場合、図2から明らかなように、リアドア1全体あるいは車体全体の造形上の観点から、ドアサッシュ4のうちパーテイションガラス3の後方側に位置するリアピラー相当部(後辺部)4aの造形について、当該部位の上方側よりも下方側が車両前方側に位置する特異形状とされることがあり、結果としてドアサッシュ4のルーフ相当部4bとリアピラー相当部4aとが車体側面視において例えば60°程度の鋭角をなしていて、必然的にパーテイションガラス3およびパーテイションウエザーストリップ6のそれぞれの同等部位についても同じ形状とされている。同時に、ドアサッシュ4のうちパーテイションサッシュ5よりも後方側のルーフ相当部4bでは、そのサッシュ幅が後方側に向かって徐々に大きくなるように徐変しているとともに、リアピラー相当部4aについても上方側から下方側に向かってサッシュ幅が徐々に大きくなるように徐変している。
【0022】
そして、パーテイションガラス3はその四周全周に予めパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前に、ドアサッシュ4の後部側に嵌め込み固定されることは先に述べたとおりである。なお、図2に示すように、パーテイションウエザーストリップ6は予めそれ単独で枠状または閉ループ状に金型成形されたもので、リアピラー相当部6a、ルーフ相当部6b、パーテイションサッシュ相当部6cおよびドアウエスト相当部6dを備えているとともに、後付けにてパーテイションガラス3の周囲に嵌合保持させてある。
【0023】
ここで、図2の7はリアドア1のドアサッシュ4におけるルーフ相当部4bに付設されるフロント側のサッシュモールを示し、同図の8は上記サッシュモール7と同様にドアサッシュ4のルーフ相当部4bから比較的幅広のリアピラー相当部4aにまたがって付設されるリア側のサッシュモールを示している。さらに、同図の9はドアウエスト部DWに配設されるドアウエストモールを示している。なお、双方のサッシュモール7,8はドアサッシュ4側のルーフ相当部4bおよびリアピラー相当部4aと同様にその幅寸法がサッシュ幅とともに徐変しているとともに、サッシュモール7,8同士は突き合わせ部Aにて突き合わされてその連続性が確保されている。
【0024】
図3は図2のG−G線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも前方側のドアサッシュ4のルーフ相当部4bでの断面図を示していて、閉断面構造のルーフ相当部4bの内周側にはドアガラス2を昇降可能に案内支持するためのドアグラスラン10が嵌合保持されている。また、ルーフ相当部4bの外周側には、ドア閉時に車体パネル11に弾接して当該部位をシールするためのドアウエザーストリップ12が装着されている。なお、ルーフ相当部4bに付帯しているフロント側のサッシュモール7はドアグラスラン10やドアウエザーストリップ12を定位置に保持するためのリテーナを兼ねている。
【0025】
さらに、ドアサッシュ4のルーフ相当部4bのうち室内側の膨出部13にはドアサッシュ4そのものの塗色が外部に露出するのを防止するために断面形状が膨出部13とほぼ相似形(変形略U字状)の樹脂製のインナサッシュカバー14が装着されている。このインナサッシュカバー14はドアサッシュ4とほぼ同形状をなす枠状またはアーチ状のもので、ルーフ相当部4bではその上端部がドアウエザーストリップ12の中空シールリップ12aの下側に挿入されるとともに、下端部の爪片15をルーフ相当部4bの下側のフランジ端縁に係合または係止させることで位置決めしてある。そして、上記爪片15を含むインナサッシュカバー14の室外側の端縁16は、ドアグラスラン10の室内側壁部17に付設したカバーリップ18にて被覆・隠蔽されている。
【0026】
なお、図4に示すように、インナサッシュカバー14の爪片15は成形法上の制約から長手方向に連続したものではなく、所定ピッチで間歇的に形成されている。また、図3のインナサッシュカバー14はドア閉時に車体パネル11側のボディサイドウエザーストリップ19における中空シールリップ19aに弾接することになる。
【0027】
図5は図2のSD−SD線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも後方側のドアサッシュ4のルーフ相当部4bでの断面図を示していて、当該ドアサッシュ4のルーフ相当部4bそれ自体、ドアウエザーストリップ12およびインナサッシュカバー14のそれぞれは、パーテイションサッシュ5の前後で連続したものであるために、それらの断面形状は図3と同一ではあるものの、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bではパーテイションガラス3自体が固定式のものであるために、その断面形状が図3のドアグラスラン10とは異なっていて、特に車幅方向での寸法が図3のドアグラスラン10よりも小さいものとされている。より詳しくは、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bではその断面形状が略変形コ字状をなしているとともに、その室内側壁部20にカバーリップ21が付設されていて、図3と同様に当該カバーリップ21をもってインナサッシュカバー14の爪片15が被覆・隠蔽されている。
【0028】
図6は図2のSE−SE線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも後方側のドアサッシュ4のリアピラー相当部4aでの断面図を示していて、図1,2からも明らかなように、ドアサッシュ4のリアピラー相当部4aがルーフ相当部4bに比べて幅広のものとなっているため、それに応じて図6ではドアサッシュ4のリアピラー相当部4aそれ自体、サッシュモール8およびインナサッシュカバー14のそれぞれの断面形状は図5のものと比べて大きく異なっている。また、パーテイションウエザーストリップ6のリアピラー相当部6aではその断面形状が図5のものと異なっていて、パーテイションガラス3のガラス面に沿った方向での寸法が図5のものより小さいものとなっている。より詳しくは、パーテイションウエザーストリップ6のピラー相当部6aではその断面形状が略変形コ字状をなしているとともに、その室内側側壁部26には底壁部25を介してカバーリップ24が付設されている。そして、サッシュカバー14の室外側の端縁16は、底壁部25に乗り上げた状態となっている。なお、図6は図2のSE−SE線断面の拡大図であると同時に、後述する図10のSE−SE線断面にも対応している。
【0029】
ここで、図7は図2のSH−SH線断面の拡大図を、同様に図8は図2のSF−SF線断面の拡大図をそれぞれ示している。また、図9は図2のM部を拡大した斜視図を示していて、さらに図10は図9のP方向矢視図を示している。
【0030】
そして、図9,10に示すように、ドアサッシュ4のルーフ相当部4bからリアピラー相当部4aに至るいわゆるコーナー部分では、図5の断面形状から図6の断面形状へと徐変しながら連続しているとともに、パーテイションウエザーストリップ6およびインナサッシュカバー14についても図5のルーフ相当部の断面形状から図6のリアピラー相当部の断面形状へと徐変しながら連続していることになる。そして、パーテイションウエザーストリップ6は、上記ドアサッシュ4側のコーナー部分に相当する位置でコーナー部eを形成している。
【0031】
このパーテイションウエザーストリップ6の断面形状の徐変のために、上記リアピラー相当部6aでは図5のカバーリップ21が上記徐変過程で消失しているとともに、上記リアピラー相当部6aとの境界Nの部分では、図6の底壁部25が短くなり、カバーリップ24が消失している。
【0032】
また、インナサッシュカバー14については、図9に示したコーナー部分でその断面形状が徐変しながらも、当該コーナー部分からリアピラー相当部において、最も室外側となる端縁に所定のピッチで間歇的に複数の爪片22が鉤状に曲折形成されている(図6参照のこと。)。これらの爪片22は図4のものとは曲折角度が微妙に異なっていて、図6に示すようにインナサッシュカバー14の端縁16にほぼ直角に形成されている。ただし、図10は先に述べたように図9のP方向矢視図ではあるが、同図ではリアピラー相当部6aとコーナー部6eとの境界N近傍の爪片22のみに着目して単一の爪片22のみ図示している。
【0033】
その一方、同じく図9,10において、先に述べたパーテイションウエザーストリップ6におけるリアピラー相当部6aのコーナー部6eとの境界N側の部分においては、インナサッシュカバー14側の爪片22を受容する溝部として矩形状の係合溝23が形成されている。詳しくは、図9,10に示すように、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bとリアピラー相当部6aとは、その断面形状が徐変しながら且つルーフ相当部6b側のカバーリップ21が消失しながら連続していて、先にも述べたように上記リアピラー相当部6aとの境界Nの部分では、図6の底壁部25が短くなり、カバーリップ24が消失している。さらに、リアーピラー相当部6aにおけるコーナー部6eとの境界N側の部分ではそのカバーリップ24の根元部近傍または底壁部25に係合溝23が形成されている。
【0034】
そして、図6のほか図9,10に示すように、それそれの係合溝23にインナサッシュカバー14側の爪片22が差し込まれて係合している。これによって、インナサッシュカバー14のルーフ相当部に近い部分では爪片22を含むその室外側の端縁16がカバーリップ21で被覆・隠蔽されてはいても、そのカバーリップ21が徐々に消失しているので、インナサッシュカバー14のリアピラー相当部に近い部分ではその室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6におけるリアピラー相当部6aの底壁部25上に乗り上げるかたちとなり、上記係合溝23と爪片22との係合によってインナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6と密着・整合するとともに、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16が位置決めされ、もって当該部位において両者の間に隙間が発生しないようにしてある。
【0035】
したがって、かかるパーテイションウエザーストリップ6の構造によれば、図6および図9,10から明らかなように、パーテイションウエザーストリップ6のコーナー部6eおよびリアピラー相当部6aでは、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6の底壁部25の上に乗り上げるかたちとなるので、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションガラス3越しに見えることはあっても、当該部位に隙間は発生していないので、観者に違和感を与えることがなく、特にパーテイションガラス3周りでの見栄えあるいは外観品質が向上することになる。
【0036】
すなわち、図6のような爪片22を形成していない場合には、図11に示すように、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6の底壁部25の上に乗り上げただけとなるので、インナサッシュカバー14の成形誤差や組付誤差の影響で当該インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6から浮き上がって隙間Gが発生することになるが、本形態ではこのような不具合を解消することができる。
【0037】
図12〜14は本発明に係るパーテイションウエザーストリップを実施するための第2の形態を示していて、図6および図9,10と共通する部分には同一符号を付してある。
【0038】
この第2の形態では、先に述べたようにパーテイションウエザーストリップ6のリアピラー相当部6aにおいて、その底壁部25上にインナサッシュカバー14の室外側の端縁16が乗り上げざるを得ない点を考慮し、係合溝23に隣接して当該係合溝23の室外側に肉盛り部27を形成したものである。この肉盛り部27の高さは、係合溝23に爪片22を係合させたとしてもなおも反係合溝23側に突出するインナサッシュカバー14の端縁16の高さと同等程度に設定してある。そして、図13,14に示すように、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bとリアピラー相当部6aとのなすコーナー部6eにおいては、長手方向において当該肉盛り部27とカバーリップ21とを滑らかに連続させてある。つまり、図13に示すコーナー部6eにおいて、実質的にカバーリップ21が消失する当該カバーリップ21の終端部が肉盛り部27が隆起し始める当該肉盛り部27の始端部となっている。
【0039】
したがって、この第2の形態では、パーテイションウエザーストリップ6のコーナー部6eからリアピラー相当部6aにおいてその底壁部25に乗り上げたインナサッシュカバー14の端縁16が上記肉盛り部27によって隠蔽されることになるので、先の第1の形態に比べてパーテイションガラス3周りでの見栄えあるいは外観品質が一段と向上することになる。
【0040】
なお、以上の実施の形態では、リアピラー相当部6aのコーナー部6eとの境界N側の部分に係合溝23を設けたが、これに限らず、コーナー部6eのリアピラー相当部6aとの境界N側の部分に係合溝23を設けても良い。
【符号の説明】
【0041】
3…パーテイションガラス
4…ドアサッシュ
4a…リアピラー相当部
4b…ルーフ相当部
5…パーテイションサッシュ
6…パーテイションウエザーストリップ
6a…リアピラー相当部
6b…ルーフ相当部
14…インナサッシュカバー
15…爪片
16…端縁
18…カバーリップ
22…爪片
23…係合溝(溝部)
27…肉盛り部
DW…ドアウエスト部
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテイションウエザーストリップの構造に関し、特に自動車のリアドアのように昇降式のドアガラスの後部側に隣接して配置される固定式のパーテイションガラスに適用されるパーテイションウエザーストリップの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のリアドアにおけるパーテイションガラスは固定式(いわゆる嵌め殺しタイプ)のものであるために、そのパーテイションガラスの周囲にパーテイションウエザーストリップを予め閉ループ状に装着した後に、当該パーテイションウエザーストリップを介してサッシュ付きドアに組み付けられる。そして、パーテイションガラスはパーテイションサッシュを介してそれに隣接する昇降式のドアガラスと隔離される。
【0003】
その一方、特許文献1(特に図1,2を参照のこと。)に記載されているように、昇降式のドアガラスやパーテイションガラスが嵌め込まれる金属製のドアサッシュが直接露出しないように、そのドアサッシュの室内側の部分にいわゆる「かぶせ方式」のサッシュカバー(インナサッシュカバー)を装着することがある。なお、このサッシュカバーはドアサッシュとほぼ同形状をなす枠状またはアーチ状のもので、例えば室外側の端縁に形成した爪部をドアサッシュ側のフランジ端縁に係合させることで位置決めされる。
【0004】
そして、ドアサッシュのルーフ相当部あるいはリアピラー相当部では、ドアグラスランやパーテイションウエザーストリップの一部にカバーリップを付設しておき、昇降式のドアガラスやパーテイションガラス側に臨むことになるサッシュカバーの室外側の端部をカバーリップにて被覆・隠蔽するようにしている。これによって、特にサッシュカバーの室外側の端部とパーテイションウエザーストリップとの間の隙間がパーテイションガラスを通して室外側から見えるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−63255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば自動車のリアドアのうちパーテイションサッシュよりも後部側のパーテイションガラス周りの造形に着目した場合、ドアサッシュのルーフ相当部よりもリアピラー相当部でのサッシュ幅を大きく設定したり、あるいはルーフ相当部からリアピラー相当部にわたってサッシュ幅を徐変させたりすることが行われる。このような場合、必然的にパーテイションガラス周りのルーフ相当部とリアピラー相当部では、ドアサッシュそのものの断面形状とともにパーテイションウエザーストリップの断面形状やサッシュカバーの断面形状も異なってくることになる。
【0007】
そのため、パーテイションガラス周りのルーフ相当部からリアピラー相当部を通して特許文献1に記載されたような均一断面のカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用することができず、見栄えや外観品質の向上の上でなおも改善の余地を残している。
【0008】
すなわち、パーテイションガラス周りのルーフ相当部とリアピラー相当部では、ドアサッシュそのものの断面形状とともにパーテイションウエザーストリップの断面形状やサッシュカバーの断面形状も相互に異なる故に、特許文献1に記載されたようなカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用することができず、当該構造に代わる何らかの工夫を施さないと見栄えや外観品質の改善が図れないことになる。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、上記のようなカバーリップによる被覆・隠蔽構造を採用できない場合であっても、サッシュカバーの室外側の端部とパーテイションウエザーストリップとの間での無用な隙間の発生を防ぎ、もってパーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質の向上を図った構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、パーテイションガラスの周囲に予め装着された状態で、ドアウエスト部のほかドアサッシュのルーフ相当部とピラー相当部およびパーテイションサッシュのそれぞれに嵌合保持されることで、パーテイションガラスを固定支持しているパーテイションウエザーストリップの構造である。そして、上記ドアサッシュの少なくともルーフ相当部とピラー相当部では、その室内側にサッシュカバーが装着されて当該ルーフ相当部とピラー相当部とを隠蔽しているとともに、上記サッシュカバーのルーフ相当部では、当該サッシュカバーの下端で且つ室外側の端部をパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップにて隠蔽している。さらに、上記サッシュカバーのピラー相当部では、サッシュカバーの室外側の端部がパーテイションウエザーストリップの底壁部に乗り上げるようになっている。その上で、上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片が曲折形成されているとともに、上記パーテイションウエザーストリップの同等部位には上記爪片を受容可能な溝部が形成されていて、上記サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とする。
【0011】
また、上記爪片および溝部は、その機能よりして、請求項2に記載のように、パーテイションガラスとほぼ平行なものとして形成してあることが望ましい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の記載を前提に、上記パーテイションウエザーストリップのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に形成された溝部に近接して肉盛り部を形成するとともに、この肉盛り部とパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップとを連続させ、上記肉盛り部にてサッシュカバーの室外側の端部を隠蔽しつつ、当該サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係止させてあることを特徴とする。
【0013】
この場合において、上記肉盛り部は、その機能よりして、請求項4に記載のように、溝部の室外側に近接して形成されていることが望ましい。。
【0014】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に曲折形成した爪片を、パーテイションウエザーストリップの同等部位に形成した溝部に係合させてあるため、両者の間での隙間の発生を未然に防止できることになる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,2に記載の発明によれば、上記爪片と溝部との係合部での隙間の発生を防止できるため、従来のように同等部位にできる隙間がパーテイションガラスを通してそのまま外部に露出してしまうことがなくなり、パーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質の向上が図れる。
【0016】
請求項3,4に記載の発明によれば、上記爪片と溝部との係合部での隙間の発生を防止できることはもちろんのこと、肉盛り部をもって爪片の室外側の端部を隠蔽できるため、パーテイションガラス周りでの見栄えあるいは外観品質が一段と向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】4ドアタイプの自動車の斜視図。
【図2】本発明に係るパーテイションウエザーストリップの第1の形態を示す図で、図1に示した自動車のQ部の拡大図。
【図3】図2G−G線に沿う拡大断面図。
【図4】図2に示したインナサッシュカバーの要部拡大斜視図。
【図5】図2のSD−SD線に沿う拡大断面図。
【図6】図2のSE−SE線に沿う拡大断面図。
【図7】図2のSH−SH線に沿う拡大断面図。
【図8】図2のSF−SF線に沿う拡大断面図
【図9】図2のM部の拡大斜視図。
【図10】図9のP方向矢視図。
【図11】図6と同等部位での不具合発生時の拡大断面図。
【図12】本発明に係るパーテイションウエザーストリップの第2の形態を示す図で、図6と同等部位の拡大断面図。
【図13】同じく図9と同等部位の拡大斜視図。
【図14】同じく図13のP方向矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜10は本発明を実施するためのより具体的な第1の形態を示していて、特に図1は4ドアタイプの自動車の斜視図を、図2は図1におけるリアドア1のQ部、すなわちパーテイションガラス3周りの拡大図をそれぞれ示している。さらに、図3〜10は図2の各部の詳細を示している。
【0019】
図1に示すように、自動車のリアドア1にあっては、ドアガラス(リアサイドウインドガラス)2に隣接してその後方側にパーテイションガラス3が配置されることがある。これらのドアガラス2およびパーテイションガラス3は窓枠部材である共通のドアサッシュ4に収められてはいても、双方のガラス2,3はパーテイションサッシュ5を介して相互に独立していて、ドアガラス2が昇降式のものとされているのに対して、パーテイションガラス3は非昇降タイプの固定式のもの(いわゆる嵌め殺しタイプのもの)とされている。
【0020】
より詳しくは、ドアガラス2はドアサッシュ4のセンターピラー相当部(前縦辺部)4c、ルーフ相当部(上辺部)4bおよびパーテイションサッシュ5の三辺にまがたって配設された図示外のドアグラスランを介してドアサッシュ4に昇降可能に案内支持されているのに対して、パーテイションガラス3はその四周全周に予め後述するパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前にドアサッシュ4の後部側にパーテイションサッシュ5とともに嵌め込み固定される。
【0021】
この場合、図2から明らかなように、リアドア1全体あるいは車体全体の造形上の観点から、ドアサッシュ4のうちパーテイションガラス3の後方側に位置するリアピラー相当部(後辺部)4aの造形について、当該部位の上方側よりも下方側が車両前方側に位置する特異形状とされることがあり、結果としてドアサッシュ4のルーフ相当部4bとリアピラー相当部4aとが車体側面視において例えば60°程度の鋭角をなしていて、必然的にパーテイションガラス3およびパーテイションウエザーストリップ6のそれぞれの同等部位についても同じ形状とされている。同時に、ドアサッシュ4のうちパーテイションサッシュ5よりも後方側のルーフ相当部4bでは、そのサッシュ幅が後方側に向かって徐々に大きくなるように徐変しているとともに、リアピラー相当部4aについても上方側から下方側に向かってサッシュ幅が徐々に大きくなるように徐変している。
【0022】
そして、パーテイションガラス3はその四周全周に予めパーテイションウエザーストリップ6が装着されていて、ドアガラス2がドアサッシュ4に収められる前に、ドアサッシュ4の後部側に嵌め込み固定されることは先に述べたとおりである。なお、図2に示すように、パーテイションウエザーストリップ6は予めそれ単独で枠状または閉ループ状に金型成形されたもので、リアピラー相当部6a、ルーフ相当部6b、パーテイションサッシュ相当部6cおよびドアウエスト相当部6dを備えているとともに、後付けにてパーテイションガラス3の周囲に嵌合保持させてある。
【0023】
ここで、図2の7はリアドア1のドアサッシュ4におけるルーフ相当部4bに付設されるフロント側のサッシュモールを示し、同図の8は上記サッシュモール7と同様にドアサッシュ4のルーフ相当部4bから比較的幅広のリアピラー相当部4aにまたがって付設されるリア側のサッシュモールを示している。さらに、同図の9はドアウエスト部DWに配設されるドアウエストモールを示している。なお、双方のサッシュモール7,8はドアサッシュ4側のルーフ相当部4bおよびリアピラー相当部4aと同様にその幅寸法がサッシュ幅とともに徐変しているとともに、サッシュモール7,8同士は突き合わせ部Aにて突き合わされてその連続性が確保されている。
【0024】
図3は図2のG−G線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも前方側のドアサッシュ4のルーフ相当部4bでの断面図を示していて、閉断面構造のルーフ相当部4bの内周側にはドアガラス2を昇降可能に案内支持するためのドアグラスラン10が嵌合保持されている。また、ルーフ相当部4bの外周側には、ドア閉時に車体パネル11に弾接して当該部位をシールするためのドアウエザーストリップ12が装着されている。なお、ルーフ相当部4bに付帯しているフロント側のサッシュモール7はドアグラスラン10やドアウエザーストリップ12を定位置に保持するためのリテーナを兼ねている。
【0025】
さらに、ドアサッシュ4のルーフ相当部4bのうち室内側の膨出部13にはドアサッシュ4そのものの塗色が外部に露出するのを防止するために断面形状が膨出部13とほぼ相似形(変形略U字状)の樹脂製のインナサッシュカバー14が装着されている。このインナサッシュカバー14はドアサッシュ4とほぼ同形状をなす枠状またはアーチ状のもので、ルーフ相当部4bではその上端部がドアウエザーストリップ12の中空シールリップ12aの下側に挿入されるとともに、下端部の爪片15をルーフ相当部4bの下側のフランジ端縁に係合または係止させることで位置決めしてある。そして、上記爪片15を含むインナサッシュカバー14の室外側の端縁16は、ドアグラスラン10の室内側壁部17に付設したカバーリップ18にて被覆・隠蔽されている。
【0026】
なお、図4に示すように、インナサッシュカバー14の爪片15は成形法上の制約から長手方向に連続したものではなく、所定ピッチで間歇的に形成されている。また、図3のインナサッシュカバー14はドア閉時に車体パネル11側のボディサイドウエザーストリップ19における中空シールリップ19aに弾接することになる。
【0027】
図5は図2のSD−SD線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも後方側のドアサッシュ4のルーフ相当部4bでの断面図を示していて、当該ドアサッシュ4のルーフ相当部4bそれ自体、ドアウエザーストリップ12およびインナサッシュカバー14のそれぞれは、パーテイションサッシュ5の前後で連続したものであるために、それらの断面形状は図3と同一ではあるものの、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bではパーテイションガラス3自体が固定式のものであるために、その断面形状が図3のドアグラスラン10とは異なっていて、特に車幅方向での寸法が図3のドアグラスラン10よりも小さいものとされている。より詳しくは、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bではその断面形状が略変形コ字状をなしているとともに、その室内側壁部20にカバーリップ21が付設されていて、図3と同様に当該カバーリップ21をもってインナサッシュカバー14の爪片15が被覆・隠蔽されている。
【0028】
図6は図2のSE−SE線断面の拡大図、すなわちパーテイションサッシュ5よりも後方側のドアサッシュ4のリアピラー相当部4aでの断面図を示していて、図1,2からも明らかなように、ドアサッシュ4のリアピラー相当部4aがルーフ相当部4bに比べて幅広のものとなっているため、それに応じて図6ではドアサッシュ4のリアピラー相当部4aそれ自体、サッシュモール8およびインナサッシュカバー14のそれぞれの断面形状は図5のものと比べて大きく異なっている。また、パーテイションウエザーストリップ6のリアピラー相当部6aではその断面形状が図5のものと異なっていて、パーテイションガラス3のガラス面に沿った方向での寸法が図5のものより小さいものとなっている。より詳しくは、パーテイションウエザーストリップ6のピラー相当部6aではその断面形状が略変形コ字状をなしているとともに、その室内側側壁部26には底壁部25を介してカバーリップ24が付設されている。そして、サッシュカバー14の室外側の端縁16は、底壁部25に乗り上げた状態となっている。なお、図6は図2のSE−SE線断面の拡大図であると同時に、後述する図10のSE−SE線断面にも対応している。
【0029】
ここで、図7は図2のSH−SH線断面の拡大図を、同様に図8は図2のSF−SF線断面の拡大図をそれぞれ示している。また、図9は図2のM部を拡大した斜視図を示していて、さらに図10は図9のP方向矢視図を示している。
【0030】
そして、図9,10に示すように、ドアサッシュ4のルーフ相当部4bからリアピラー相当部4aに至るいわゆるコーナー部分では、図5の断面形状から図6の断面形状へと徐変しながら連続しているとともに、パーテイションウエザーストリップ6およびインナサッシュカバー14についても図5のルーフ相当部の断面形状から図6のリアピラー相当部の断面形状へと徐変しながら連続していることになる。そして、パーテイションウエザーストリップ6は、上記ドアサッシュ4側のコーナー部分に相当する位置でコーナー部eを形成している。
【0031】
このパーテイションウエザーストリップ6の断面形状の徐変のために、上記リアピラー相当部6aでは図5のカバーリップ21が上記徐変過程で消失しているとともに、上記リアピラー相当部6aとの境界Nの部分では、図6の底壁部25が短くなり、カバーリップ24が消失している。
【0032】
また、インナサッシュカバー14については、図9に示したコーナー部分でその断面形状が徐変しながらも、当該コーナー部分からリアピラー相当部において、最も室外側となる端縁に所定のピッチで間歇的に複数の爪片22が鉤状に曲折形成されている(図6参照のこと。)。これらの爪片22は図4のものとは曲折角度が微妙に異なっていて、図6に示すようにインナサッシュカバー14の端縁16にほぼ直角に形成されている。ただし、図10は先に述べたように図9のP方向矢視図ではあるが、同図ではリアピラー相当部6aとコーナー部6eとの境界N近傍の爪片22のみに着目して単一の爪片22のみ図示している。
【0033】
その一方、同じく図9,10において、先に述べたパーテイションウエザーストリップ6におけるリアピラー相当部6aのコーナー部6eとの境界N側の部分においては、インナサッシュカバー14側の爪片22を受容する溝部として矩形状の係合溝23が形成されている。詳しくは、図9,10に示すように、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bとリアピラー相当部6aとは、その断面形状が徐変しながら且つルーフ相当部6b側のカバーリップ21が消失しながら連続していて、先にも述べたように上記リアピラー相当部6aとの境界Nの部分では、図6の底壁部25が短くなり、カバーリップ24が消失している。さらに、リアーピラー相当部6aにおけるコーナー部6eとの境界N側の部分ではそのカバーリップ24の根元部近傍または底壁部25に係合溝23が形成されている。
【0034】
そして、図6のほか図9,10に示すように、それそれの係合溝23にインナサッシュカバー14側の爪片22が差し込まれて係合している。これによって、インナサッシュカバー14のルーフ相当部に近い部分では爪片22を含むその室外側の端縁16がカバーリップ21で被覆・隠蔽されてはいても、そのカバーリップ21が徐々に消失しているので、インナサッシュカバー14のリアピラー相当部に近い部分ではその室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6におけるリアピラー相当部6aの底壁部25上に乗り上げるかたちとなり、上記係合溝23と爪片22との係合によってインナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6と密着・整合するとともに、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16が位置決めされ、もって当該部位において両者の間に隙間が発生しないようにしてある。
【0035】
したがって、かかるパーテイションウエザーストリップ6の構造によれば、図6および図9,10から明らかなように、パーテイションウエザーストリップ6のコーナー部6eおよびリアピラー相当部6aでは、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6の底壁部25の上に乗り上げるかたちとなるので、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションガラス3越しに見えることはあっても、当該部位に隙間は発生していないので、観者に違和感を与えることがなく、特にパーテイションガラス3周りでの見栄えあるいは外観品質が向上することになる。
【0036】
すなわち、図6のような爪片22を形成していない場合には、図11に示すように、インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6の底壁部25の上に乗り上げただけとなるので、インナサッシュカバー14の成形誤差や組付誤差の影響で当該インナサッシュカバー14の室外側の端縁16がパーテイションウエザーストリップ6から浮き上がって隙間Gが発生することになるが、本形態ではこのような不具合を解消することができる。
【0037】
図12〜14は本発明に係るパーテイションウエザーストリップを実施するための第2の形態を示していて、図6および図9,10と共通する部分には同一符号を付してある。
【0038】
この第2の形態では、先に述べたようにパーテイションウエザーストリップ6のリアピラー相当部6aにおいて、その底壁部25上にインナサッシュカバー14の室外側の端縁16が乗り上げざるを得ない点を考慮し、係合溝23に隣接して当該係合溝23の室外側に肉盛り部27を形成したものである。この肉盛り部27の高さは、係合溝23に爪片22を係合させたとしてもなおも反係合溝23側に突出するインナサッシュカバー14の端縁16の高さと同等程度に設定してある。そして、図13,14に示すように、パーテイションウエザーストリップ6のルーフ相当部6bとリアピラー相当部6aとのなすコーナー部6eにおいては、長手方向において当該肉盛り部27とカバーリップ21とを滑らかに連続させてある。つまり、図13に示すコーナー部6eにおいて、実質的にカバーリップ21が消失する当該カバーリップ21の終端部が肉盛り部27が隆起し始める当該肉盛り部27の始端部となっている。
【0039】
したがって、この第2の形態では、パーテイションウエザーストリップ6のコーナー部6eからリアピラー相当部6aにおいてその底壁部25に乗り上げたインナサッシュカバー14の端縁16が上記肉盛り部27によって隠蔽されることになるので、先の第1の形態に比べてパーテイションガラス3周りでの見栄えあるいは外観品質が一段と向上することになる。
【0040】
なお、以上の実施の形態では、リアピラー相当部6aのコーナー部6eとの境界N側の部分に係合溝23を設けたが、これに限らず、コーナー部6eのリアピラー相当部6aとの境界N側の部分に係合溝23を設けても良い。
【符号の説明】
【0041】
3…パーテイションガラス
4…ドアサッシュ
4a…リアピラー相当部
4b…ルーフ相当部
5…パーテイションサッシュ
6…パーテイションウエザーストリップ
6a…リアピラー相当部
6b…ルーフ相当部
14…インナサッシュカバー
15…爪片
16…端縁
18…カバーリップ
22…爪片
23…係合溝(溝部)
27…肉盛り部
DW…ドアウエスト部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーテイションガラスの周囲に予め装着された状態で、ドアウエスト部のほかドアサッシュのルーフ相当部とピラー相当部およびパーテイションサッシュのそれぞれに嵌合保持されることで、パーテイションガラスを固定支持しているパーテイションウエザーストリップの構造であって、
上記ドアサッシュの少なくともルーフ相当部とピラー相当部では、その室内側にサッシュカバーが装着されて当該ルーフ相当部とピラー相当部とを隠蔽しているとともに、
上記サッシュカバーのルーフ相当部では、当該サッシュカバーの下端で且つ室外側の端部をパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップにて隠蔽していて、
さらに、上記サッシュカバーのピラー相当部では、サッシュカバーの室外側の端部がパーテイションウエザーストリップの底壁部に乗り上げるようになっていて、
上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片が曲折形成されているとともに、
上記パーテイションウエザーストリップの同等部位には上記爪片を受容可能な溝部が形成されていて、
上記サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とするパーテイションウエザーストリップ。
【請求項2】
上記爪片および溝部ともにパーテイションガラスとほぼ平行なものとして形成してあることを特徴とする請求項1に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【請求項3】
上記パーテイションウエザーストリップのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に形成された溝部に近接して肉盛り部を形成するとともに、
この肉盛り部とパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップとを連続させ、
上記肉盛り部にてサッシュカバーの室外側の端部を隠蔽しつつ、当該サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とする請求項1または2に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【請求項4】
上記肉盛り部は溝部の室外側に近接して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【請求項1】
パーテイションガラスの周囲に予め装着された状態で、ドアウエスト部のほかドアサッシュのルーフ相当部とピラー相当部およびパーテイションサッシュのそれぞれに嵌合保持されることで、パーテイションガラスを固定支持しているパーテイションウエザーストリップの構造であって、
上記ドアサッシュの少なくともルーフ相当部とピラー相当部では、その室内側にサッシュカバーが装着されて当該ルーフ相当部とピラー相当部とを隠蔽しているとともに、
上記サッシュカバーのルーフ相当部では、当該サッシュカバーの下端で且つ室外側の端部をパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップにて隠蔽していて、
さらに、上記サッシュカバーのピラー相当部では、サッシュカバーの室外側の端部がパーテイションウエザーストリップの底壁部に乗り上げるようになっていて、
上記サッシュカバーのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部または上記ピラー相当部の両者の境界近傍ではその室外側の端部に爪片が曲折形成されているとともに、
上記パーテイションウエザーストリップの同等部位には上記爪片を受容可能な溝部が形成されていて、
上記サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とするパーテイションウエザーストリップ。
【請求項2】
上記爪片および溝部ともにパーテイションガラスとほぼ平行なものとして形成してあることを特徴とする請求項1に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【請求項3】
上記パーテイションウエザーストリップのルーフ相当部とピラー相当部とのなすコーナー部および上記ピラー相当部に形成された溝部に近接して肉盛り部を形成するとともに、
この肉盛り部とパーテイションウエザーストリップのルーフ相当部に突設されたカバーリップとを連続させ、
上記肉盛り部にてサッシュカバーの室外側の端部を隠蔽しつつ、当該サッシュカバー側の爪片をパーテイションウエザーストリップ側の溝部に係合させてあることを特徴とする請求項1または2に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【請求項4】
上記肉盛り部は溝部の室外側に近接して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のパーテイションウエザーストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−95186(P2013−95186A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237368(P2011−237368)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
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