説明

パーマネントウェーブ処理剤、及び、パーマネントウェーブ処理方法

【課題】ロッドに忠実なウェーブであっても所望のウェーブが形成され、そのウェーブは毛髪が乾燥しても緩くならず、かつ、初期のウェーブ状態を長い期間持続することができ、さらに、欠点の多い通電加熱式のロッドの使用が不要であると共に施術者が新たに取得するべき技術が少なく、簡単で安全確実にパーマネント処理ができるパーマネントウェーブ処理剤及びパーマネントウェーブ処理方法を提供する。
【解決手段】パーマネントウェーブ第1剤とパーマネントウェーブ第2剤との2剤からなるパーマネントウェーブ処理剤であって、前記第1剤がメルカプタン1重量%以上9重量%以下、及び、沸点が200℃以上の多価アルコールを含むパーマネントウェーブ処理剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドに忠実な、強いウェーブが形成可能であり、乾燥してもウェーブが緩くならず、初期のウェーブ状態を長い期間持続することができ、かつ、実施に先立ち、施術者が新たに取得するべき技術が少なく、簡単で安全確実にパーマネント処理ができるパーマネントウェーブ処理剤及びパーマネントウェーブ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なパーマネントウェーブ処理では、処理された毛髪は、充分に濡れている状態でこそウェーブが保たれているが、乾燥するとウェーブが緩くなり(だれる)、かつ、ウェーブが持続する期問も短いといった欠点があった。
【0003】
このようなこの欠点を解消する処理方法として特開2004−262798公報(特許文献1)あるいは特開平7−258047号公報(特許文献2)によって提案された技術が知られている。
【0004】
前者では、毛髪をロッドに巻付ける前に毛髪に直接、パーマネント第1剤を塗布し、その後、5〜20分間放置して毛髪を軟化させ、次いで水洗いして還元成分を洗い流した後に水分を拭き取り、さらにその後、通電加熱可能なロッドに毛髪を巻付け、このロッドに通電して80〜140℃で巻き付けられた毛髪を1〜30分間加熱する。加熱後、毛髪をロッドから外して酸化剤を含むパーマネント第2剤を塗布し、さらに1〜15分間放置した後に水洗いし、次いで、乾燥させるという処理方法である。
【0005】
一方、後者では毛髪をロッドに巻きつける前、中または後に、チオグリコール酸など還元割を含有する組成物を塗布し、放置後水洗し、この状態で毛髪を休ませること(休み段階)により、酸化剤を含む組成物(パーマネントウェーブ剤第2剤に相当)を必要としない毛髪のパーマネントウェーブ処理方法が提案され、この中で、上記休み段階をケラチン物質が完全に乾くまでに行うことが示されている。
【0006】
しかしながら、前者では、ロッドに巻かれていないストレートな毛髪に対してパーマネント第1剤を塗布するために、毛髪の軟化状態を判断しにくく、パーマネント第1剤の作用時間の判断を誤ることが多い。ここで、パーマネント第1剤作用時間が短いと所望するウェーブが得られないといった間題があり、逆に過度の作用時間では毛髪損傷を生じるという欠点がある。さらに、従来の一般的なパーマネントウェーブ処理方法とは手順が異なり、また、第1剤処理中では毛髪はストレート状態であるにもかかわらず、最終的なウェーブ状態を想定して毛髪の軟化度合いを見極めなければならず、所望するウェーブに対する薬剤の選定及び用いる通電加熱ロッドの太さの選定、加熱時間の管理等々に経験・習熟が必要であり、また、通電加熱ロッドの取り扱い(水を避けるため第2剤と塗る前にロッドアウトする必要がある)や第2剤塗布前にピン止めを行う必要があるが、そのピン止め方法等設術者が新たに習得すべき技術が多く、極めて繁雑である。
【0007】
さらに、前者では毛髪をストレートの状態で軟化させるため、軟化状態が適切であっても、その後のロッド(通電加熱可能なロッド)に巻いたときの巻き形状に従った状態での、構成ケラチン分子の再配列化が起こりにくいので、ロッド巻き状態での加熱処理を20〜30分と長くする必要があり、かつ、この場合でも形成されるウェーブが従来のパーマネントウェーブ処理方法と比べて弱くなるという欠点があり、工程時間も、結果的に長くなる。
【0008】
これらに加え、第1剤を洗い流した後の毛髪から水分を拭き取ってロッドに巻付ける際に、拭き取った水分の残留程度や、多数のロッドに巻付ける際に生じる巻き始めと巻き終わりとの時間差による水分の差によって形成されるウェーブにバラツキが生じてしまい、安定したウェーブが形成できないといった問題もある。また、通電加熱可能なロッドに毛髪を巻き付けた状態で、それらのロッドに通電して80〜140℃に加熱するために、毛髪の損傷が大きくなるとともに、被施術者の頭部が熱くなって不快感を与え、その上、火傷をする可能性も否定できない。また、このように加熱するロッドを用いるので、やけどの発生を防止するために毛髪の根元まではロッドに巻付けることができないために、ウェーブで表現するデザインが限定されるという欠点があった。
【0009】
これに対して、後者では、酸化剤を含む組成物(パーマネントウェーブ剤第2剤に相当)を必要としない毛髪のパーマネントウェーブ処理方法が提案されているが、従来の一般的なパーマネントウェーブ処理方法の欠点であった、充分に濡れている状態ではウェーブが保たれているが乾燥するとウェーブが緩くなり(だれる)、かつ、ウェーブが持続する期間も短いといった点が解消されていないばかりでなく、形成されるウェーブが弱いという欠点も有している。
【特許文献1】特開2004−262798公報
【特許文献2】特開平7−258047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、ロッドに忠実なウェーブ、すなわち、大きいウェーブであっても所望のウェーブが形成され、そのウェーブは毛髪が乾燥しても緩くならず、かつ、初期のウェーブ状態を長い期間持続することができ、さらに、欠点の多い通電加熱式のロッドの使用が不要であると共に施術者が新たに取得するべき技術が少なく、簡単で安全確実にパーマネント処理ができるパーマネントウェーブ処理剤及びパーマネントウェーブ処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、パーマネントウェーブ第1剤とパーマネントウェーブ第2剤との2剤からなるパーマネントウェーブ処理剤であって、前記第1剤がメルカプタン1重量%以上9重量%以下、及び、沸点が200℃以上の多価アルコールを含むことを特徴とするパーマネントウェーブ処理剤である。
【0012】
また、本発明のパーマネントウェーブ処理剤は請求項2に記載の通り、請求項1に記載のパーマネントウェーブ処理剤において、前記パーマネントウェーブ第1剤に水素結合開鎖促進成分が配合されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のパーマネントウェーブ処理剤は請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載のパーマネントウェーブ処理剤において、前記パーマネントウェーブ第2剤に2価アルコールが配合されていることを特徴とする。
【0014】
本発明のパーマネントウェーブ処理方法は請求項4に記載の通り、前記請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパーマネントウェーブ処理剤を用いるパーマネントウェーブ処理方法であって、次の(1)〜(3)の工程をこの順で有することを特徴とする。
(1)ロッドに巻きつける前および/または後の毛髪に、前記パーマネントウェーブ第1剤を塗布し、その後放置して毛髪を軟化させる毛髪軟化工程、
(2)毛髪軟化工程後の前記毛髪を水洗し、風乾により毛髪を乾燥させる水洗・乾燥工程、
(3)水洗・乾燥後の前記毛髪に前記パーマネントウェーブ第2剤を塗布し、その後放置した後にロッドアウトし、次いで水洗する第2剤処理・水洗工程。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパーマネントウェーブ処理剤を用いたパーマネントウェーブ処理方法によれば、ロッドに忠実なウェーブ、すなわち、大きいウェーブであっても所望のウェーブが形成され、そのウェーブは毛髪が乾燥しても緩くならず、かつ、初期のウェーブ状態を長い期間持続することができ、さらに、施術者が新たに取得するべき技術が少なく、簡単で安全確実にパーマネント処理ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明で用いるパーマネントウェーブ処理剤としては、第1剤と第2剤との2剤からなるパーマネントウェーブ処理剤であって、前記第1剤がメルカプタン1重量%以上9重量%以下、及び、沸点が200℃以上の多価アルコールを含むものであることが必要である。
【0017】
ここで、多価アルコールは水素結合を作りやすく、毛髪軟化工程でこのような多価アルコールを含む第1剤を毛髪に接触させる毛髪の内部へ浸透し、毛髪内部の水分子と置き換わると考えられる。
【0018】
そのため、次の工程である風乾工程では、水洗・乾燥工程の水洗工程等で毛髪内部に浸透した水は失われていくが、毛髪軟化工程で毛髪に入り込んだ沸点が200℃以上の多価アルコールでは風乾では蒸発せずに毛髪内に留まるため、これら多価アルコールによる毛髪内の水素結合は維持される。
【0019】
この状態で第2剤による処理を行うと、乾燥した状態(水で濡れていない状態)でもウェーブを記憶させることができ、かつ、持続性のある水素結合の組替えが行われるため、従来の処理方法では達成できなかった、乾燥状態でのしっかりとしたウェーブ形成が可能となる。
【0020】
さらに、第1剤に水素結合開鎖促進成分を配合することにより、第1剤処理での還元剤(メルカプタン)による毛髪の軟化効果に加え、より多くの水素結合を開鎖することが可能となり、その結果、毛髪内部の構成ケラチンをより効率的に移動させるので、ウェーブ形成力が一段と向上する。
【0021】
加えて、第2剤に2価アルコールを配合することにより、第1剤の効果に加え、毛束のまとまり感とつやが向上、さらにきれいなウェーブ形成が可能となる。
【0022】
第1剤に含まれているメルカプタンとしては、パーマネントウェーブ用に用いられている一般的なものをそのまま使うことができ、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、システイン、システインの塩類、アセチルシステイン、システアミン及びチオグリセリンより選ばれた1種または2種以上を選択する。
【0023】
チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミンなどがある。
【0024】
これらメルカプタンの配合量は、1〜9重量%である。1重量%未満では、ウェーブ形成力が充分でなく、9重量%を超えると毛髪の損傷が大きい。
【0025】
沸点が200℃以上の多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコールなどの水溶性を有するものより選ばれた1種または2種以上からなるものである。沸点が200℃以上の多価アルコールの配合量は、2.5〜20重量%であり、2.5重量%未満ではウェーブ形成の向上が不充分であり、20重量%を超えても効果の向上がない。
【0026】
水素結合開鎖促進成分としては、尿素、炭酸グアニジンなどより選ばれた1種または2種以上からなるものである。水素結合開鎖促進成分の配合量は、0.1〜3.0重量%となるように添加することが好ましく、このとき、0.1重量%未満では毛束のまとまり感とつやの向上が不充分となりやすく、3重量%を超えても効果の向上がない。
【0027】
パーマネントウェーブ第1剤のpHは、その機能が発揮される範囲が一般に6〜10であり、好ましくは8.5〜9.5の範囲である。
【0028】
pH調整に用いるアルカリ剤としては、アンモニア、重炭酸アンモニウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール及びアルギニンなどの塩基性アミノ酸などより選ばれた1種または2種以上からなるものである。ここで、風乾により揮発し毛髪に残存することのないアンモニアや毛髪補修成分としても働くアルギニンなどの塩基性アミノ酸が好ましい。
【0029】
このような成分を含むパーマネントウェーブ第1剤は通常のパーマネントウェーブ第1剤と同様に毛髪に塗布し、その後、通常5分間以上25分間以下放置して毛髪を軟化させる(毛髪軟化工程)。
【0030】
パーマネントウェーブ第1剤の塗布は、毛髪をロッドに巻きつける前でも、または、毛髪をロッドに巻き付けた後にでも行うことができるが、あるいは、毛髪をロッドに巻き付ける前後の2回、塗布することもできる。このような2回の塗布によれば、より効果的に毛髪を軟化させることができ、所望するウェーブを形成することができる。
【0031】
パーマネントウェーブ第1剤の塗布後の放置時間は、対照とする毛髪のダメージ具合、髪質、また、用いる薬剤の作用の強弱等により従来のパーマネントウェーブ第1剤処理の放置時間と同様に適宜調整して実施し、室温でまたは加温して放置することにより毛髪に付着したパーマネントウェーブ第1剤が毛髪に作用して毛髪を軟化させる。放置時間としては、通常、5分以上25分間以下であるが、上記のように適宜調整する。
【0032】
毛髪軟化工程に次いで、第1処理後の毛髪を水洗し、風乾により毛髪を乾燥させる(水洗・乾燥工程)。
水洗は、従来と同様に一般的な水洗と同様に行うことができる。
【0033】
水洗後に行う風乾方法としては、具体的には毛髪を巻きつけたロッドの内側から吸気を行い、ロッド及びそれに巻かれた毛髪に対して外気を通過させて乾燥させる方法、毛髪を巻きつけたロッドの外周から風を供給して乾燥させる方法、毛髪を巻きつけたロッドの内部から外部に向かって風を拡散させて乾燥させる方法等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて行っても良い。なお風乾での毛髪に供給する風の温度は、60℃以下が好ましい。ここで、第1液処理後の毛髪は特にダメージを受けやすいので60℃超であると毛髪にダメージを与えやすい。より好ましくは45℃前後である。
【0034】
中間水洗後のこの風乾により、毛髪内では水素結合が開鎖している状態になる。この状態となった後にパーマネントウェーブ第2剤によって処理を行うと、風乾によって乾燥されたときの、ロッドに巻かれたウェーブ状態が毛髪に記憶されることになるので、パーマネントウェーブ処理後での、従来のパーマネントウェーブ処理ではなし得なかった乾燥状態でのしっかりとしたウェーブ形成が可能となる。
【0035】
風乾完了の目安としては、ロッド中、他のロッドに比べ、巻き付けられた毛髪量が比較的多いものから毛髪を外して、その毛髪を施術者が触覚で判断して乾燥した状態となっていれば、充分に風乾されたと判断する。
【0036】
水洗・乾燥後の毛髪に対して、水洗・乾燥後の前記毛髪に、酸化剤を含むパーマネントウェーブ第2剤を塗布し、その後、放置した後にロッドアウトし、次いで水洗する(第2剤処理・水洗工程)。
【0037】
このようなパーマネントウェーブ第2剤に用いられる酸化剤としては、過酸化水素、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなどが挙げられる。酸化剤の配合量としては、過酸化水素では0.5〜3.0重量%、臭素酸ナトリウムでは2〜10重量%である。また、放置時間は、過酸化水素を配合した場合では3〜8分、臭素酸ナトリウムでは8〜15分とする。放置時間が短いと酸化処理が不充分で、その結果、ウェーブ形成が不充分となりやすく、また、放置時間が長すぎると効果のさらなる向上がないばかりでなく毛髪が損傷する場合がある。
【0038】
上述のように、本発明のパーマネントウェーブ第2剤には2価アルコールを配合することが好ましい。ここで、2価アルコールはとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどの水溶性を有するものが挙げられ、これらより選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0039】
第2剤への2価アルコールの配合量は、2.5〜30重量%であり、2.5重量%未満では添加による毛束のまとまり感とつやの向上が不充分であり、30重量%を超えても効果の向上がない。
【0040】
パーマネントウェーブ第2剤処理を終えた後に、ロッドアウト(ロッドから毛髪を外すこと)し、水洗を行い、残留するパーマネントウェーブ第2剤処理を充分に除去する。このとき、トリートメント剤を併用しても良い。
【0041】
水洗後には通常、乾燥、整髪料などによる毛髪のセットなどの、パーマネントウェーブ処理に伴う一般的な処理を行う。
【0042】
なお、上記第1剤、第2剤には、それぞれ安全であり、かつ、本発明の効果を妨げない限りにおいて、水、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール誘導体、リン脂質等)、植物油(例えば、オリーブ油、大豆油、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ油、カルナバロウ、セラック、ミツロウ等)、炭化水素(例えば流動パラフィン、軽質流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等)、アルコール類(例えばセタノール、イソステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロール等)、エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、乳酸セチル等)、シリコーン類(例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)、アミノ酸類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸及びグリシン、セリン、メチオニンなどの中性アミノ酸等)、PPT類(加水分解シルク、加水分解小麦、加水分解大豆、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解小麦、シリル化加水分解大豆、シリル化加水分解コラーゲン、シリル化加水分解ケラチン等)、糖類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マルトース、トレハロース等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸、コンニャクマンナン、アラビアガム、キトサン、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子)、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルグルタミン酸、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等)、カチオン界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス等)、ビタミン類(例えば、L−アスコルビン酸、DL−α−トコフェロール、D−パンテノール等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル等)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、金属イオン封鎖剤、(例えばエデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、pH調整剤(例えばクエン酸、乳酸、リン酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、アミノメチルプロパノール等)、溶剤(例えばエタノールイソプロパノール、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えばLPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)、窒素ガス等)、香料等の公知の化粧品成分を配合することができる。
【0043】
本発明のパーマネントウェーブ用組成物は、第1剤、第2剤ともに通常の方法に従って、液状、ミルク状、クリーム状、ムース状等の剤形とすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
【実施例】
【0044】
以下に本発明のパーマネントウェーブ処理剤の実施例について具体的に説明する。
【0045】
<試験試料>
・毛束α:25cm(1g)。
市販のヘアカラーによる2回の染色処理後、40℃のポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5%)に浸漬後、水洗したもの(現在の一般的な女性の毛髪の典型として想定)。
・毛束β:25cm(1g)。
市販のヘアカラーによる2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、1回のパーマネントウェーブ処理後、40℃のポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5重量%)に浸漬後、水洗したもの(現在の一般的な女性の損傷毛髪の典型として想定した)。
【0046】
用いた第1剤及び第2剤の配合を表1及び表2にそれぞれ示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
<本発明に係るパーマネント処理方法の例>
使用ロッドとしては外径20mmで側面には中空部に貫通する多数の通気孔を有するものを用い、まず、上記毛髪を水で濡らし、これらロッドに巻いた。次いで第1剤を塗布し、15分間自然放置した(毛髪軟化工程)。
【0050】
次いで水洗(中間水洗)した後、風乾処理として、20分間、ロッドに巻かれている毛髪に40℃温風を吹き付けると共に、毛髪を巻きつけたロッドを通して外気を吸引した。
【0051】
(水洗・乾燥工程)
その後、第2剤を塗布し、10分間自然放置した後、ロッドから外し(ロッドアウト)、水洗した(第2剤処理・水洗工程)。
【0052】
<ウェーブ評価方法>
上記パーマネントウェーブ処理により毛髪に形成されたウェーブについて、上記パーマネントウェーブ処理直後の濡れた状態(直後のウェット時)、室温で恒量となるまで乾燥させた処理直後の乾燥状態(直後のドライ時)、その後、これらパーマネントウェーブ処理した毛髪を60℃の温水に20分間浸漬した温水浸漬処理を、通常条件ではパーマネントウェーブ処理から2週間程度経過した場合と同程度の状態を引き起こすものとして行った時間経過処理後に、濡れた状態(経過後のウェット時)、及び、室温で恒量となるまで乾燥させた処理直後の乾燥状態(経過後のドライ時)で、それぞれ評価した。
【0053】
また、毛先の状態を、ドライ時の毛髪の評価時に併せて評価した。
すなわち、毛髪をその毛先が下方になるようにつるしたときに、毛先が水平より上に向いているときには、毛髪の状態が非常に良好であるとして「◎」、毛先が水平ないしほぼ水平に向いているときには毛先の状態は良好で充分であるとして「○」、毛先が水平より若干下(水平方向を0°、下方向を90°としたときに約60°以下)を向いているときには毛先の状態がやや悪く不充分であるとして「△」、毛先がさらに下を向いているときには毛先の状態が悪く不充分であるとして「×」として、それぞれ評価した。ここで、毛先が水平より上か、あるいは、水平(ほぼ水平)を向いている場合、パーマスタイルの表現範囲が充分に広く、かつ、そのときのパーマネントウェーブ剤のパフォーマンスは高いと考えられる。
【0054】
また、毛髪のまとまり感は毛髪の手入れのしやすさの目安であり、毛束のまとまりがあると無駄な広がりが生じないで、かつ、きれいなウェーブ表現とまとまり感がスタイリング剤を使用しなくても得られるので、重要な評価項目である。毛髪のまとまり感は次のように評価した。
【0055】
すなわち、一旦濡らした毛束を毛先を下にして毛束をつり下げ、自然乾燥させたときに、目視により、毛束がしっかりまとまっていると判断されたときに充分として「◎」、毛束がかなりまとまっていると判断されたときに充分として「○」、ドライ時に毛束がかなりばらけていると判断されたときに不充分として「△」、毛束がばらけていると判断されたときには不充分として「×」として、それぞれ評価した。
【0056】
<毛髪αでの結果:その1>
現在の一般的な女性の毛髪の典型として想定される毛髪αで第1剤としてb、第2剤としてAを用いて本発明に係るパーマネントウェーブ処理を行った。このときの処理後の毛髪の評価結果を表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
ここで、比較のために、同じ処理剤と毛髪αを用いながら、特開2004−262798公報で開示された、毛髪をロッドに巻付ける前に毛髪に直接、パーマネント第1剤を塗布し、その後、15分間放置して毛髪を軟化させ、次いで水洗いして還元成分を洗い流した後に水分を拭き取り、さらにその後、通電加熱可能なロッドに毛髪を巻付け、このロッドに通電して、90℃で巻き付けられた毛髪を25分間加熱した後、毛髪をロッドから外して酸化剤を含むパーマネント第2剤を塗布し、さらに10分間放置した後に水洗いし、次いで、乾燥させるという処理によってパーマネントウェーブ処理(「通電加熱ロッド法」と云う)を行った毛髪と、従来の一般的なパーマネント処理で、すなわち、毛髪αを水で濡らし、ロッドに巻き、第1剤を塗布し15分間放置した後、水洗(中間水洗)し、次いで第2剤を塗布して10分間自然放置した後、ロッドから外し(ロッドアウト)、水洗すると云う方法によってパーマネントウェーブ処理(「従来法」と云う)を行った毛髪についても評価を行った。このときの処理後の毛髪の評価結果を表3に併せて示す。
【0059】
表3より、本発明に係るパーマネント処理方法によれば、強いウェーブが形成され、乾燥後もウェーブが緩くならず、かつ、持続性に優れていることが判る。
【0060】
<毛髪βでの結果>
次に毛髪αに比べて化学的損傷の多い毛髪である毛髪βを用い、チオグリコール酸アンモニウム以外のメルカプタンを配したパーマネントウェーブ処理剤を用いた表1における第1剤h、iあるいはjと、第2剤として表2における第2剤Aとを用いて、本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法により、パーマネントウェーブ処理を行い、その処理後の毛髪について、上記同様に評価を行った。結果を、同じ第1剤を用いて従来法に従って行った毛髪βでの結果と共に表4に示した。
【0061】
【表4】

【0062】
表4から、本発明の構成によれば、チオグリコール酸アンモニウムを用いた場合と同様に、システイン、システアミン、チオグリセリンと云った他の還元剤を用いた場合であっても、優れた強いウェーブが形成され、乾燥後もウェーブが緩くならず、かつ、持続性に優れていると云う優れた効果が得られることが判る。
【0063】
<毛髪αでの結果:その2:第1剤中の多価アルコールの影響>
次に第1剤における多価アルコールの種類、及び、配合量の影響について毛髪αを用いて調べた。
【0064】
第1剤としてa〜dをそれぞれ用いた本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法により、パーマネントウェーブ処理を行い、その処理後の毛髪について、上記同様に評価を行った。結果を、第1剤として第1剤kを用いた以外は全く同じようにパーマネントウェーブ処理を行った毛髪での評価結果と共に表5に示した。
【0065】
【表5】

【0066】
表5によれば、第1剤における多価アルコールの効果、すなわち、強いウェーブが形成され、乾燥してもウェーブが緩くならず、かつ持続性に優れていると云う効果が得られてることが判る。
【0067】
<毛髪αでの結果:その3:第1剤中の水素結合開鎖促進成分の影響>
次に第1剤における水素結合開鎖促進成分の添加の有無、及び、添加量の影響について毛髪αを用いて調べた。
【0068】
第1剤としてb、e〜gをそれぞれ用いた本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法により、パーマネントウェーブ処理を行い、その処理後の毛髪について、上記同様に評価を行った。結果を表6に示した。
【0069】
【表6】

【0070】
表6によれば、第1剤に水素結合開鎖促進成分を配した系のすべてでウェーブ形時間経過処理後の毛髪のウェット時・ドライ時のウェーブ形成状態の改善が見られ、水素結合開鎖促進成分による時間経過後におけるウェーブ持続性の向上効果が確認された。
【0071】
<毛髪αでの結果:その4:第2剤中の2価アルコールの影響>
次に第2剤における2価アルコールの添加量の影響について毛髪αを用いて調べた。
【0072】
第1剤としてはbを用い、第2剤としてそれぞれA〜Cのいずれかを用いた本発明に係るパーマネントウェーブ処理方法により、パーマネントウェーブ処理を行い、その処理後の毛髪について、上記同様に評価を行った。結果を表7に示した。
【0073】
【表7】

【0074】
表7によれば、強いウェーブが形成され、乾燥してもウェーブが緩くならず、かつ持続性に優れる効果に加え、毛束のまとまり感とつやが得られ、手入れがしやすくなると云う効果も加わることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によればロッドに忠実なウェーブ、すなわち、大きいウェーブであっても所望のウェーブが形成され、そのウェーブは毛髪が乾燥しても緩くならず、かつ、初期のウェーブ状態を長い期間持続することができ、さらに、欠点の多い通電加熱式のロッドの使用が不要であると共に施術者が新たに取得するべき技術が少なく、簡単で安全確実にパーマネント処理ができるパーマネントウェーブ処理剤及びパーマネントウェーブ処理方法が可能となるため、従来のパーマネントウェーブ処理方法、処理剤に置き換えて広く用いることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーマネントウェーブ第1剤とパーマネントウェーブ第2剤との2剤からなるパーマネントウェーブ処理剤であって、
前記第1剤がメルカプタン1重量%以上9重量%以下、及び、沸点が200℃以上の多価アルコールを含むことを特徴とするパーマネントウェーブ処理剤。
【請求項2】
前記パーマネントウェーブ第1剤に水素結合開鎖促進成分が配合されていることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントウェーブ処理剤。
【請求項3】
前記パーマネントウェーブ第2剤に2価アルコールが配合されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパーマネントウェーブ処理剤。
【請求項4】
前記請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパーマネントウェーブ処理剤を用いるパーマネントウェーブ処理方法であって、次の(1)〜(3)の工程をこの順で有することを特徴とするパーマネントウェーブ処理方法。
(1)ロッドに巻きつける前および/または後の毛髪に、前記パーマネントウェーブ第1剤を塗布し、その後放置して毛髪を軟化させる毛髪軟化工程、
(2)毛髪軟化工程後の前記毛髪を水洗し、風乾により毛髪を乾燥させる水洗・乾燥工程、
(3)水洗・乾燥後の前記毛髪に前記パーマネントウェーブ第2剤を塗布し、その後放置した後にロッドアウトし、次いで水洗する第2剤処理・水洗工程。

【公開番号】特開2008−88138(P2008−88138A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273847(P2006−273847)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】