説明

ヒストンデアセチラーゼ阻害剤と細胞死受容体リガンドの組み合わせ

本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける癌のような増殖性疾患を:(a)HDAI;および(b)細胞死受容体リガンドを含む医薬の組み合わせにより予防または処置する方法に関する。本発明はさらに:(a)HDAI;(b)細胞死受容体リガンド;および(c)薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。本発明はまた:(a)HDAIの医薬製剤;および(b)同時の、一緒の、別々または連続使用のための、細胞死受容体リガンドの医薬製剤を含む、商品パッケージまたは製品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける癌のような増殖性疾患を:
(a)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI);および
(b)細胞死受容体リガンド(Death receptor ligand)
を含む医薬の組み合わせで予防または処置する方法に関する。
【0002】
本発明はさらに:
(a)HDAI;
(b)細胞死受容体リガンド;および
(c)薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物に関する。
【0003】
本発明は、さらに:
(a)HDAIの医薬製剤;および
(b)同時の、一緒の、別々または連続使用のための、細胞死受容体リガンドの医薬製剤
を含む、商品パッケージまたは製品に関する。
【0004】
発明の背景
ヒストンの可逆性アセチル化は、転写因子のDNAへの接近性を代えることにより作用する、遺伝子発現の主要なレギュレーターである。正常細胞において、ヒストンデアセチラーゼ(HDA)およびヒストンアセチルトランスフェラーゼは、バランスを維持するためにヒストンのアセチル化のレベルを一体となって制御する。HDAの阻害は、過アセチル化されたヒストンの蓄積をもたらし、それは様々な細胞応答をもたらす。HDAの阻害剤(HDAI)は、癌細胞におけるそれらの治療効果について試験されている。HDAI研究の分野での最近の発達は、非常に有効で安定であり、腫瘍の処置に適した活性化合物を提供している。
【0005】
腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL、Apo−2Lとしても既知)は、サイトカインのTNFファミリーのメンバーであり、そのアゴニスト細胞膜細胞死受容体TRAIL−R1(DR4)およびTRAIL−R2(DR5)と結合し、そのオリゴマー化を誘導できる。Apo−2L/TRAIL、またはアゴニスト抗体の結合および架橋により、細胞死受容体DR4およびDR5は、細胞膜結合多タンパク質死誘発シグナル伝達複合体(DISC)の集合を介して、カスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くことができる。
【0006】
発明の概要
本発明により、HDAIでの処置が、上昇したApo−2L/TRAIL誘発DISC活性と関連する、DR4およびDR5を誘導するが、cFLIPレベルを抑制しないことが示された。HDAIとの併用処置は、ヒト急性白血病細胞のApo−2L/TRAIL誘発死誘発シグナル伝達複合体活性およびアポトーシスを増強する。この証拠は、TRAILが、HDAIと併用したとき、よりさらに有効であることを示唆する。効果および安全性の両方に、相乗的、かつ相加的利点の両方がある。HDAIとTRAILの組み合わせの治療効果は、組み合わせの各成分のより低い安全投与量範囲をもたらし得る。
【0007】
本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける癌のような増殖性疾患を予防または処置するための:
(a)HDAI;および
(b)細胞死受容体リガンド
を含む組み合わせに関する。
【0008】
本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける癌のような増殖性疾患を:
(a)HDAI;および
(b)細胞死受容体リガンド
を含む医薬の組み合わせで予防または処置する方法に関する。
【0009】
本発明はさらに:
(a)HDAI;
(b)細胞死受容体リガンド;および
(c)薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物に関する。
【0010】
本発明はさらに:
(a)HDAIの医薬製剤;および
(b)同時の、一緒の、別々または連続使用のための、細胞死受容体リガンドの医薬製剤
を含む、商品パッケージまたは製品に関する。
【0011】
発明の詳細な説明
処置すべき疾患
本発明の組み合わせは、増殖性疾患の処置に有用である。増殖性疾患は、主に腫瘍疾患(または癌)(および/または全ての転移巣)である。本発明の組成物は、特に乳癌、尿生殖器癌、肺癌、消化器癌、類表皮癌、黒色腫、神経膠腫、卵巣癌、膵臓癌、神経芽腫、頭頚部癌または膀胱癌、または広い意味では腎臓、脳または胃癌;特に:
(i)乳房腫瘍;類表皮腫瘍、例えば類表皮頭頚部腫瘍または口腔腫瘍;肺腫瘍、例えば、小細胞または非小細胞肺腫瘍;消化器腫瘍、例えば、結腸直腸腫瘍;または尿生殖器腫瘍、例えば、前立腺腫瘍、とりわけホルモン難治性前立腺腫瘍;
(ii)他の化学療法剤での処置に難治性の増殖性疾患;または
(iii)多剤耐性のために他の化学療法剤での処置に難治性の腫瘍
である腫瘍の処置に有用である。
【0012】
本発明の広い意味において、増殖性疾患は、さらに、例えば白血病(とりわけ急性骨髄性白血病またはAML)、過形成、線維症(とりわけ肺であるが、他のタイプの線維症、例えば腎線維症も)、血管形成、感染、アテローム性動脈硬化症および血管における平滑筋増殖、例えば狭窄または血管形成術後の再狭窄のような過増殖性状態であり得る。
【0013】
本発明により処置し得る他の悪性腫瘍は、TRAIL化合物での処置に感受性の悪性腫瘍を含む。
【0014】
腫瘍、腫瘍疾患、癌腫または癌を記載しているとき、また、原発臓器または組織および/または全ての他の位置における転移も、腫瘍および/または転移の位置がどこであれ、それに代えてまたはそれに加えて包含される。
【0015】
組み合わせは、正常細胞よりも急速に増殖している細胞、特にヒト癌細胞、例えば、癌様腫瘍に対して選択的に毒性であるかより毒性であり、本化合物は、著しい抗増殖効果を有し、分化、例えば、細胞サイクル停止およびアポトーシスを促進する。本組み合わせは、アポトーシス細胞死および壊死を誘発できる。
【0016】
細胞死受容体リガンド
本明細書で使用する“細胞死受容体リガンド”は、TRAIL、TRAIL/Apo−2L、TRAIL模倣体、アゴニスト抗体および細胞膜結合多タンパク質死誘発シグナル伝達複合体(DISC)の集合を介してカスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くDR4およびDR5に結合できる他の因子を意味する。
【0017】
TRAILは、多くの様々なタイプの癌細胞、ならびにウイルス感染した細胞を含む、ある種の形質転換細胞におけるアポトーシスを誘導する能力が証明されている。TRAILは、その全体を引用により本明細書に包含する米国特許5,763,223に記載されている。Wiley et al., “Identification and Characterization of New Member of the TNF Family that Induces Apoptosis”, Immunity, Vol. 3, pp. 673-682(1995);およびPitti et al., “Induction of Apoptosis by Apo-2 Ligand, New Member of the Tumor Necrosis Factor Cytokine Family”, J Biol Chem, Vol. 271, No. 22, pp. 12687-12690(1996)参照。
【0018】
本明細書に記載の組み合わせは、TRAIL、TRAIL/Apo−2L、TRAIL模倣体、アゴニスト(agnostic)抗体、ならびに、細胞膜結合多タンパク質DISCを介したカスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くDR4およびDR5に結合できる他の因子を含む。
【0019】
HDAI化合物
本発明の組み合わせで使用するための特に興味深いHDAI化合物は、式(I):
【化1】

〔式中、
はH;ハロ;または直鎖C−Cアルキル、とりわけメチル、エチルまたはn−プロピル(該メチル、エチルおよびn−プロピル置換基は、非置換であるか、またはアルキル置換基に関して下記の1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH;C−C10アルキル、好ましくはC−Cアルキル、例えば、メチル、エチルまたは−CHCH−OH;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;−(CH)C(O)R;−(CH)OC(O)R;アミノアシル;HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−;および−(CH)から選択され;
およびRは、同一または異なり、かつ独立して、H;C−Cアルキル;アシル;またはアシルアミノであるか;または
およびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであるか;または
は、それが結合している窒素と一体となって、およびRは、それが結合している炭素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アシル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は、所望によりかつ独立してRおよび/またはRで置換されていてよく;
XおよびYは、同一または異なり、かつ独立してH;ハロ;CHおよびCFのようなC−Cアルキル;NO;C(O)R;OR;SR;CN;およびNR1011から選択され;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジルおよび2−フェニルエテニル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;OR12;およびNR1314から選択され;
はOR15;SR15;S(O)R16;SO17;NR1314;およびNR12SOから選択され;
はH;OR15;NR1314;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
はC−Cアルキル、例えば、CHおよびCF;C(O)−アルキル、例えば、C(O)CH;およびC(O)CFから選択され;
10およびR11は、同一または異なり、かつ独立してH;C−Cアルキル;および−C(O)−アルキルから選択され;
12はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;アリール;アリールおよび非アリール混合多環;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
13およびR14は、同一または異なり、かつ独立してH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アミノアシルから選択されるか;または
13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環であり;
15はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;芳香族性多環;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;ポリヘテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは0−6から選択される整数であり;そして
ZはO;NR13;S;およびS(O)から選択される。〕
により記載されるヒドロキサメート化合物または薬学的に許容されるその塩である。
【0020】
必要に応じて、“非置換”は置換基が存在しないか、または唯一の置換基が水素であることを意味する。
【0021】
ハロ置換基は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、好ましくはフルオロまたはクロロから選択される。
【0022】
アルキル置換基は、特記されない限り、直鎖および分枝鎖C−Cアルキルを含む。適当な直鎖および分枝鎖C−Cアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどを含む。特記されない限り、アルキル置換基は非置換アルキル基ならびに、1個またはそれ以上の適当な、不飽和を含む置換基で置換されている、すなわち、1個またはそれ以上の二重または3重C−C結合;アシル;シクロアルキル;ハロ;オキシアルキル;アルキルアミノ;アミノアルキル;アシルアミノ;およびOR15、例えば、アルコキシが存在するアルキル基の両方を含む。アルキル基の好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0023】
シクロアルキル置換基は、特記されない限り、C−Cシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。特記されない限り、シクロアルキル置換基は、非置換シクロアルキル基ならびに、C−Cアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノアルキル、オキシアルキル、アルキルアミノおよびOR15、例えばアルコキシを含む、1個またはそれ以上の適当な置換基により置換されたシクロアルキル基の両方を含む。シクロアルキル基の好ましい置換基は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキシアルキル、アルキルアミノおよびアミノアルキルを含む。
【0024】
アルキルおよびシクロアルキル置換基に関する記載は、他の置換基、例えば、限定しないが、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルケトン、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルキルスルホニルおよびアルキルエステル置換基などのアルキル部分にも当てはまる。
【0025】
ヘテロシクロアルキル置換基は、窒素、硫黄、酸素から選択される1−3個のヘテロ原子を含む、3−から9−員脂肪族環、例えば4−から7−員脂肪族環を含む。適当なヘテロシクロアルキル置換基の例は、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフラニル、ピペリジル、ピペラジル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアザパン、1,4−ジアザパン、1,4−オキサゼパンおよび1,4−オキサチアパンを含む。特記されない限り、環は、非置換であるか、または炭素原子上を、C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;ハロ;アミノ;アルキルアミノおよびOR15、例えば、アルコキシを含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。特記されない限り、窒素ヘテロ原子は、非置換であるか、またはH、C−Cアルキル;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル;アミノアシル;アルキルスルホニル;およびアリールスルホニルで置換されている。
【0026】
シクロアルキルアルキル置換基は、式−(CH)n5−シクロアルキル(式中、n5は1−6の数字である)の化合物を含む。適当なアルキルシクロアルキル置換基は、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチルなどを含む。このような置換基は、非置換であるか、またはアルキル部分もしくはシクロアルキル部分を、アルキルおよびシクロアルキルについて上記に挙げたものを含む、適当な置換基で置換されている。
【0027】
アリール置換基は非置換フェニルならびに、C−Cアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;O(CO)アルキル;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アミノスルホニル;アリールスルホニルおよびOR15、例えばアルコキシを含む1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたフェニルを含む。好ましい置換基は、C−Cアルキル;シクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アルコキシ;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アリールスルホニルおよびアミノスルホニルを含む。適当なアリール基の例は、C−Cアルキルフェニル、C−Cアルコキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、メトキシフェニル、ヒドロキシエチルフェニル、ジメチルアミノフェニル、アミノプロピルフェニル、カルボエトキシフェニル、メタンスルホニルフェニルおよびトリルスルホニルフェニルを含む。
【0028】
芳香族性多環は、ナフチル、ならびに、C−Cアルキル;アルキルシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;オキシアルキル;ハロ;ニトロ;アミノ;アルキルアミノ;アミノアルキル;アルキルケトン;ニトリル;カルボキシアルキル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アミノスルホニルおよびOR15、例えばアルコキシを含む1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されたナフチルを含む。
【0029】
ヘテロアリール置換基は、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子、例えば、1−4個のヘテロ原子を含む、5−から7−員芳香環を有する化合物を含む。典型的ヘテロアリール置換基は、フリル、チエニル、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソオキサゾリル、ピラジンなどを含む。特記されない限り、ヘテロアリール置換基は、非置換であるか、または炭素原子上を、アルキル、上記で定義のアルキル置換基、および他のヘテロアリール置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、または、例えば、R13で置換されている;とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0030】
アリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−アリール、−(CH)n5−1−(CH−アリール)−(CH)n5−アリールまたは−(CH)n5−1CH(アリール)(アリール)(式中、アリールおよびn5は上記で定義の通り)の基を含む。このようなアリールアルキル置換基は、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、トリル−3−プロピル、2−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、2−ジフェニルエチル、5,5−ジメチル−3−フェニルペンチルなどを含む。アリールアルキル置換基は、非置換であるか、またはアルキル部分もしくはアリール部分もしくは両方を、アルキルおよびアリール置換基について上記の通り置換されている。
【0031】
ヘテロアリールアルキル置換基は、式−(CH)n5−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールおよびn5は上記で定義の通りであり、架橋記はヘテロアリール部分の炭素または窒素に連結している)の基、例えば2−、3−または4−ピリジルメチル、イミダゾリルメチル、キノリルエチルおよびピロリルブチルを含む。ヘテロアリール置換基は、非置換であるか、またはヘテロアリールおよびアルキル置換基について上記の通り置換されている。
【0032】
アミノアシル置換基は、式−C(O)−(CH)−C(H)(NR1314)−(CH)−R(式中、n、R13、R14およびRは上記の通り)の基を含む。適当なアミノアシル置換基は、天然および非天然アミノ酸、例えばグリシニル、D−トリプトファニル、L−リシニル、D−またはL−ホモセリニル、4−アミノブチリックアシルおよび±−3−アミン−4−ヘキセノイルを含む。
【0033】
非芳香族性多環置換基は、各環が4−から9−員であり得て、かつ各環が0個、1個またはそれ以上の二重および/または三重結合を含み得るものである、二環式および三環式縮合環系を含む。適当な非芳香族性多環の例は、デカリン、オクタヒドロインデン、ペルヒドロベンゾシクロヘプテンおよびペルヒドロベンゾ−[f]−アズレンを含む。このような置換基は非置換であるか、または上記でシクロアルキル基について記載の通り置換されている。
【0034】
アリールおよび非アリール混合多環置換基は、各環が4−から9−員であり得て、かつ少なくとも1個の環が芳香族性であるものである、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールおよび非アリール混合多環の適当な例は、メチレンジオキシフェニル、ビス−メチレンジオキシフェニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、ジベンゾスベラン、ジヒドロアントラセンおよび9H−フルオレンを含む。このような置換基は非置換であるか、またはニトロでもしくはシクロアルキル基について上記の通りに置換されている。
【0035】
ポリヘテロアリール置換基は、各環が独立して5または6員であり得て、かつO、NまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を、縮合環系が芳香族性であるように含むものである、二環式および三環式縮合環系を含む。ポリヘテロアリール環系の適当な例は、キノリン、イソキノリン、ピリドピラジン、ピロロピリジン、フロピリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフラン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ピロロキノリンなどを含む。特記されない限り、ポリヘテロアリール置換基は非置換であるか、または炭素原子上を、アルキル、上記で定義のアルキル置換基式−O−(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hの置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は非置換であるか、または、例えば、R13で置換されており、とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0036】
非芳香族性ポリヘテロ環式置換基は、各環がO、NまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子、例えば、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含んで4−から9−員であり得て、かつ0個または1個またはそれ以上のC−C二重または三重結合を含むものである、二環式および三環式縮合環系を含む。非芳香族性ポリヘテロ環の適当な例は、ヘキシトール、cis−ペルヒドロ−シクロヘプタ[b]ピリジニル、デカヒドロ−ベンゾ[f][1,4]オキサゼピニル、2,8−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、ヘキサヒドロ−チエノ[3,2−b]チオフェン、ペルヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、ペルヒドロナフチリジン、ペルヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,e]ピランを含む。特記されない限り、非芳香族性ポリヘテロ環式置換基は、非置換であるか、または、炭素原子上を、アルキルおよび上記で定義のアルキル置換基を含む、1個またはそれ以上の置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換されており、とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0037】
アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環置換基は、各環がO、NまたはSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む4−から9−員であり得て、かつ環の少なくとも1個が芳香族性であるべきである、二環式および三環式縮合環系を含む。アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環の適当な例は、2,3−ジヒドロインドール、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、5,11−ジヒドロ−10H−ジベンズ[b,e][1,4]ジアゼピン、5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン、1,2−ジヒドロピロロ[3,4−b][1,5]ベンゾジアゼピン、1,5−ジヒドロ−ピリド[2,3−b][1,4]ジアゼピン−4−オン、1,2,3,4,6,11−ヘキサヒドロ−ベンゾ[b]ピリド[2,3−e][1,4]ジアゼピン−5−オンを含む。特記されない限り、アリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環式置換基は、非置換であるか、または、炭素原子上を、−N−OH、=N−OH、アルキルおよび上記で定義のアルキル置換基を含む、1個またはそれ以上の適当な置換基で置換されている。窒素原子は、非置換であるか、または、例えば、R13で置換されている;とりわけ有用なN置換基はH、C−Cアルキル、アシル、アミノアシルおよびスルホニルを含む。
【0038】
アミノ置換基は、1級、2級および2級アミンおよび塩形では、4級アミンを含む。アミノ置換基の例は、モノ−およびジ−アルキルアミノ、モノ−およびジ−アリールアミノ、モノ−およびジ−アリールアルキルアミノ、アリール−アリールアルキルアミノ、アルキル−アリールアミノ、アルキル−アリールアルキルアミノなどを含む。
【0039】
スルホニル置換基は、アルキルスルホニルおよびアリールスルホニル、例えば、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トシルなどを含む。
【0040】
アシル置換基は、式−C(O)−W、−OC(O)−W、−C(O)−O−WまたはC(O)NR1314(式中、WはR16、Hまたはシクロアルキルアルキルである)の基を含む。
【0041】
アシルアミノ置換基は、式−N(R12)C(O)−W、−N(R12)C(O)−O−Wおよび−N(R12)C(O)−NHOH(式中、R12およびWは上記で定義の通りである)の置換基を含む。
【0042】
置換基HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−は、式
【化2】

の基である。
【0043】
好ましい各置換基は、下記を含む:
がH、ハロまたは直鎖C−Cアルキルであり;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
およびRが、同一または異なり、かつ独立してHおよびC−Cアルキルから選択されるか;または
およびRが、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRであり;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、芳香族性ポリサイクル、非芳香族性ポリサイクル、アリールおよび非アリール混合多環、ポリヘテロアリール、非芳香族性ポリヘテロ環、およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnが、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、ここで、nが1−6であるとき、各炭素原子は非置換であるか、または独立してRおよび/またはRで置換されており;
XおよびYは、同一または異なり、かつ独立してH、ハロ、C−Cアルキル、CF、NO、C(O)R、OR、SR、CNおよびNR1011から選択され;
がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR12およびNR1314から選択され;
がOR15、SR15、S(O)R16、SO17、NR1314およびNR12SOから選択され;
がH、OR15、NR1314、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
がC−CアルキルおよびC(O)−アルキルから選択され;
10およびR11は、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキルおよび−C(O)−アルキルから選択され;
12がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから選択され;
13およびR14が、同一または異なり、かつ独立してH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびアミノアシルから選択され;
15がH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
16がC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび(CH)ZR12から選択され;
17がC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびNR1314から選択され;
mが0−6から選択される整数であり;そして
ZがO、NR13、SおよびS(O)から選択される;
または薬学的に許容されるその塩。
【0044】
有用な式(I)の化合物は、nおよびnの一方が0であり、そして他方が1であるものを含む、R、X、Y、RおよびRの各々がHであるもの、とりわけRがHまたは−CH−CH−OHであるものを含む。
【0045】
ヒドロキサメート化合物の一つの適当な群は、式(Ia)
【化3】

〔式中、
は0−3であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;そして
’はヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリヘテロアリールまたは混合アリール;および非アリールポリヘテロ環である。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩である。
【0046】
ヒドロキサメート化合物の他の適当な群は、式(Ia)
【化4】

〔式中、
は0−3であり;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
’はアリール;アリールアルキル;芳香族性多環;非芳香族性多環および混合アリール;および非アリール多環、とりわけアリール、例えばp−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−O−C−Cアルキルフェニル、例えばp−メトキシフェニル、およびp−C−Cアルキルフェニル;およびアリールアルキル、例えばベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−フルオロベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−クロロベンジル、オルト−、メタ−またはパラ−モノ−、ジ−またはトリ−O−C−Cアルキルベンジル、例えばオルト−、メタ−またはパラ−メトキシベンジル、m,p−ジエトキシベンジル、o,m,p−トリメトキシベンジルおよびオルト−、メタ−またはパラ−モノ−、ジ−またはトリ−C−Cアルキルフェニル、例えばp−メチル、m,m−ジエチルフェニルである。〕
の化合物、薬学的に許容されるその塩である。
【0047】
他の興味深い群は、式(Ib)
【化5】

〔式中、
R’はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;(CH)2−4OR21(ここで、R21はH、メチル、エチル、プロピルおよびi−プロピルである)から選択され;そして
”は非置換1H−インドル−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イル、または置換1H−インドル−3−イル、例えば5−フルオロ−1H−インドル−3−イルまたは5−メトキシ−1H−インドル−3−イル、ベンゾフラン−3−イルまたはキノリン−3−イルである。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩である。
【0048】
ヒドロキサメート化合物の他の好ましい群は、式(Ic)
【化6】

〔式中、
含有環は芳香族性または非芳香族性であり、該非芳香環は飽和または不飽和であり、
はO、SまたはN−R20であり;
18はH;ハロ;C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル);C−Cシクロアルキル;アリール、例えば、非置換フェニルまたは4−OCHもしくは4−CFで置換されているフェニル;またはヘテロアリール、例えば2−フラニル、2−チオフェニルまたは2−、3−または4−ピリジルであり;
20はH;C−Cアルキル;C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル、例えば、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル;またはスルホニル、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニルおよびトルエンスルホニルであり;
は各々独立してH;C−Cアルキル;−OR19;ハロ;アルキルアミノ;アミノアルキル;ハロ;またはヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルである、1個、2個または3個の置換基であり;
19はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルおよび(CHCH=CH(CH)(CH))1−3Hから選択され;
はH、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、−(CH)C(O)R、アミノアシルおよび−(CH)から選択され;
vは0、1または2であり;
pは0−3であり;そして
qは1−5であり、かつrは0であるか;または
qは0であり、かつrは1−5である。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩である。他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0049】
とりわけ有用な式(Ic)の化合物は、RがHまたは(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えばRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるもの、とりわけZがN−R20であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、そしてqとrの合計が好ましくは1である。
【0050】
ヒドロキサメート化合物の他の好ましい群は、式(Id)
【化7】

〔式中、
はO、SまたはN−R20であり;
18はH;ハロ;C−Cアルキル(メチル、エチル、t−ブチル);C−Cシクロアルキル;アリール、例えば、非置換フェニルまたは4−OCHもしくは4−CFで置換されているフェニル;またはヘテロアリールであり;
20はH;C−Cアルキル、C−Cアルキル−C−Cシクロアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アシル、例えば、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル;またはスルホニル、例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニルであり;
は、独立してH、C−Cアルキル、−OR19またはハロである1個、2個または3個の置換基であり;
19はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
pは0−3であり;そして
qは1−5であり、かつrは0であるか;または
qは0であり、かつrは1−5である。〕
の化合物または薬学的に許容されるその塩である。他の可変置換基は上記で定義の通りである。
【0051】
とりわけ有用な式(Id)の化合物は、RがHまたは(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、そしてqとrの合計が好ましくは1である。
【0052】
本発明は、さらに式(Ie)
【化8】

の化合物または薬学的に許容されるその塩に関する。可変置換基は上記で定義の通りである。
【0053】
とりわけ有用な式(Ie)の化合物は、R18がH、フルオロ、クロロ、ブロモ、C−Cアルキル基、置換C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、非置換フェニル、パラ位を置換されているフェニル、またはヘテロアリール、例えば、ピリジル環であるものである。
【0054】
有用な式(Ie)の化合物の他の群は、RがHまたは(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えば、RがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、そしてqとrの合計が好ましくは1である。これらの化合物の中で、pは好ましくは1であり、そしてRおよびRは好ましくはHである。
【0055】
有用な式(Ie)の化合物の他の群は、R18がH、メチル、エチル、t−ブチル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、フェニル、4−メトキシフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、2−フラニル、2−チオフェニル、または2−、3−または4−ピリジル(ここで、該2−フラニル、2−チオフェニルおよび2−、3−または4−ピリジル置換基は、非置換であるか、またはヘテロアリール環に関して上記の通り置換されている)であり;RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの;とりわけRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものである。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、そしてqとrの合計が好ましくは1である。
【0056】
20がHまたはC−Cアルキル、とりわけHである式(Ie)の化合物は、上記の式(Ie)の化合物の各下位群の重要なメンバーである。
【0057】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩が、重要な式(Ie)の化合物である。
【0058】
本発明は、さらに式(If)
【化9】

の化合物または薬学的に許容されるその塩に関する。可変置換基は上記で定義の通りである。
【0059】
有用な式(If)の化合物は、RがHまたは−(CH)CHOH(ここで、pは1−3である)であるもの、とりわけRがHであるもの;例えばRがHであり、そしてXおよびYが各々Hであり、そしてqが1−3であり、かつrが0であるか、またはqが0であり、かつrが1−3であるものを含む。これらの化合物の中で、Rは好ましくはHまたは−CH−CH−OHであり、そしてqとrの合計が好ましくは1である。
【0060】
N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(ベンゾフル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたは薬学的に許容されるその塩が重要な式(If)の化合物である。
【0061】
上記の化合物は、しばしば薬学的に許容される塩の形で使用される。薬学的に許容される塩は、適当であれば、薬学的に許容される塩基付加塩および酸付加塩、例えば、金属塩、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩およびアミノ酸付加塩およびスルホン酸塩を含む。酸付加塩は、無機酸付加塩、例えば塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩;および有機酸付加塩、例えばアルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩および乳酸塩を含む。金属塩の例は、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩、アルミニウム塩および亜鉛塩を含む。アンモニウム塩の例は、アンモニウム塩およびテトラメチルアンモニウム塩である。有機アミン付加塩の例は、モルホリンおよびピペリジンとの塩である。アミノ酸付加塩の例は、グリシン、フェニルアラニン、グルタミン酸およびリシンとの塩である。スルホン酸塩は、メシレート、トシレートおよびベンゼンスルホン酸塩を含む。
【0062】
式(I)の範囲内のさらなるHDAI化合物およびそれらの合成は、その全体を引用して本明細書に包含する2002年3月21日公開のWO02/22577に記載されている。
【0063】
組み合わせ
故に、第一の局面において、本発明は、薬学的に有効量の:
(a)式(I)のHDAI;および
(b)細胞死受容体リガンド
の組み合わせを含む、組み合わせに関する。
【0064】
他の局面において、本発明は、患者を薬学的に有効量の:
(a)式(I)のHDAI;および
(b)細胞死受容体リガンド
の組み合わせで同時にまたは連続的に処置することを含む、哺乳動物、好ましくはヒト患者における癌のような増殖性疾患を予防または処置する方法に関する。
【0065】
具体的態様において、本発明の方法は、白血病を予防または処置する方法である。他の態様において、本発明の方法はAMLを予防または処置する方法である。
【0066】
本発明によって、患者を、個々の試薬に適した投与レジメンに従って、癌のような増殖性疾患を予防または処置するために、治療的有効量のHDAIおよび細胞死受容体リガンドで同時にまたは連続して処置する。例えば、HDAIを1日1回またはそれ以上投与でき、細胞死受容体リガンドを、1日1回または隔日またはHDAI無しで使用するとき細胞死受容体リガンドについて適当であるいくつかの他のスケジュールで、投与できる。当業者は、組み合わせ成分の適当な薬学的有効量を決定する能力を有する。HDAIを1日あたり100−1500mg、例えば、200−1000mg/日、例えば200、400、500、600、800、900または1000mg/日の範囲の適当な投与量を、1日1回または2回投与する。細胞死受容体リガンドの適当な投与量および頻度は、処置している適応症の性質および重症度、所望の応答、患者の状態などのような因子に依存するであろう。
【0067】
本化合物または薬学的に許容されるその塩は、局所的に、静脈内注射、連続輸液、インプラントからの持続的放出、非経腸注射または他の適当な技術により投与する。それらはまた錠剤、カプセルまたはシロップの形の経口医薬製剤として投与し得る。
【0068】
本発明は、さらに“組み合わせ製剤”に関し、これは、本明細書で使用するとき、とりわけ、上記で定義の組み合わせパートナー(a)および(b)が、独立して投与でき、または、組み合わせパートナー(a)および(b)の区別できる量の異なる固定された組み合わせの使用により、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与できる点で、“複数部分のキット”を規定する。次いで、複数部分のキットの各パーツを、例えば、同時に、または、時間をずらして、すなわち、異なる時点で、複数部分のキットの任意のパーツと同じまたは異なる間隔で投与できる。2つの薬剤は同じ経路で投与でき、または異なる経路を使用できる。組み合わせ製剤において投与すべき組み合わせパートナー(a)の組み合わせパートナー(b)に対する比率は、例えば、処置すべき患者の下位集団の必要性に合うように、または、患者が経験する何らかの副作用の重症度に基づいて、単独の患者の必要性に合うように変化できる。
【0069】
組み合わせパートナー(a)または(b)の化合物または薬学的に許容されるその塩はまた水和物または他の溶媒和物の形で使用できる。
【0070】
前癌病巣ならびに、前癌結腸病巣または結腸癌もしくは他の悪性巣(malignancies)のような、固形および未分化悪性巣を含む増殖性疾患に対して治療的に有効である量の本発明の組み合わせを含む、医薬組成物を提供することが本発明の一つの目的である。本組成物において、組み合わせパートナー(a)および(b)は共に、交互にまたは別々に、一つの組み合わせ単位投与形として、または2つの別々の単位投与形として投与できる。単位投与形はまた固定された組み合わせであってもよい。
【0071】
下記実施例は上記の本発明を説明する;しかしながら、それは本発明をいかなる方法でも限定することを意図しない。本発明の組み合わせの利点はまた当分野の当業者に既知の他の試験モデルにより測定できる。
【0072】
実施例
方法
試薬
LAQ824をNovartis Pharmaceuticals Inc. (East Hanover, NJ)から得る。Apo−2L/TRAILの組み換えヒト三量体形はGenentech, Inc. (South San Francisco, CA)からであり、それは大腸菌で産生される。抗Bidおよび抗Smac/DIABLO抗体はUniversity of Texas, Southwestern School of Medicine(Dallas, TX)のDr. Xiaodong Wangから得る。モノクローナル抗XIAP抗体はBoehringer Mannheim(Indianapolis, IN)から購入する。ポリクローナル抗PARPおよびモノクローナル抗cIAP−1、カスパーゼ−9およびカスパーゼ−3抗体はPharmingen Inc. (San Diego, CA)から購入する。ポリクローナル抗カスパーゼ−8抗体はUpstate Biotechnology(Lake Placid, NY)から購入し、一方モノクローナル抗survivinはAlpha Diagnostic(San Antonio, TX)から購入する。DR4抗体はAlexis Corp. (San Diego, CA)から購入する。ポリクローナル抗DR5はCayman Chemicals Co. (Ann Arbor, MI)から得る。p21およびp27のレベルを検出するための免疫ブロット分析用の抗体は、前記の通りに得る。モノクローナル抗チトクロームオキシダーゼ−2抗体はMolecular Probe(Eugene, OR)から購入する。z−VAD−FMKおよびLLnLはCalbiochem(San Diego, CA)から購入する。
【0073】
細胞
ジャーカットT細胞白血病およびSKW6.4Bリンパ芽球細胞はAmerican Tissue Culture Collection(Manassas, VA)から得る。Bcl−2の異所性過剰発現を伴うHL−60/Bcl−2細胞およびコントロールHL−60/Neo細胞は、前記の通り創成し、培養して維持する。再発したAMLの6名の患者からの初代白血病芽球を、現地の内部倫理委員会により認可された試験プロトコールの一部として、インフォームドコンセント後、末梢血または骨髄から回収する。LAQ824および/またはApo−2L/TRAILで培養する前のサンプル中の白血病芽球の純度は、Wright染色後形態学的評価で測定して、少なくとも80%以上であった。
【0074】
細胞サイクル状態のフローサイトメトリー分析
細胞サイクル状態のフローサイトメトリー評価を、先に記載の方法に従い行う。G1、S相、およびG2/M相の細胞の割合をMulticycle software(Phoenix Flow Systems, San Diego, CA)を使用して計算する。
【0075】
アネキシン−V染色によるアポトーシス評価
薬剤処置の後、細胞をHEPES緩衝液中にアネキシン−Vフルオレッセインおよびヨウ化プロピジウムを含む100μLの染色溶液(アネキシン−V−FLUOS染色キット、Boehringer-Mannheim, and Indianapolis, IN)に再懸濁する。室温で15分インキュベーションした後、アネキシンV陽性細胞を、先に記載の通りフローサイトメトリーで概算する。
【0076】
アポトーシスの形態学的評価
薬剤処置後、50×10細胞を洗浄し、PBS(pH7.3)に再懸濁する。細胞懸濁液のCytospun調製物を固定し、Wright染色で染色する。細胞形態学を光学顕微鏡で測定した。全体として、少なくとも500細胞を計数するために、5個の異なる視野を無作為に選択する。アポトーシス細胞の割合を、各実験について、先に記載の通り計算した。
【0077】
S−100の調製およびサイトソルチトクロームc(cyt c)、SmacおよびOmiのウェスタン分析
薬剤非処置および処置細胞を1,000×g、10分、4℃の遠心分離により回収する。細胞ペレットを1回氷冷PBSで洗浄し、5容量の250mMスクロース含有緩衝液(20mM HEPES−KOH、pH7.5、10mM KCl、1.5mM MgCl、1mM ナトリウムEDTA、1mM ナトリウムEGTA、1mM ジチオスレイトールおよび0.1mM PMSF)に再懸濁する。細胞を22ゲージ針で均質化し、ホモジネートを10,000×g、10分、4℃で遠心分離する。上清を、さらに100,000×gで30分遠心分離する。得られた上清(S−100)を回収し、タンパク質濃度をPierce Biotechnology Inc. (Rockford, IL)からのBCAタンパク質アッセイ試薬を使用して測定する。合計75μgのS−100フラクションをcyt c、SmacおよびOmi/HtrA2のウェスタンブロット分析に使用した。
【0078】
タンパク質のウェスタン分析
DR4、DR5、Apo−2L、FADD、カスパーゼ−8、c−FLIPL&S、BID、カスパーゼ−9、カスパーゼ−3、PARP、XIAP、cIAP1、survivinおよびβ−アクチンのウェスタン分析を、先に報告されたプロトコールに従い、特異的抗血清またはモノクローナル抗体を使用して行う。水平走査デンシトメトリーを、Adobe Photo Shop(Apple, Inc., Cupertino, CA)への獲得およびNIH Image Program(U.S. National Institutes of Health, Bethesda, MD)による分析を使用して、ウェスタンブロット上で行った。β−アクチンの発現をコントロールとして使用した。
【0079】
Apo−2L/TRAIL誘発DISC分析
非処置またはLAQ824処置SKW6.4またはジャーカット細胞を10細胞/mLの最終濃度で予め温めた完全RPMI培地に懸濁させる。細胞を100ng/mL Apo−2L/TRAILで2時間、37℃で処置し、続いて1mLの氷冷PBSで洗浄する。細胞を500μL融解緩衝液(25mM Tris−HCl、pH7.2、150mM NaCl、25mM NaF、1mM ベンズアミジン、1.0%Triton X-100、2μg/mL アプロチニン、2μg/mL ロイペプチン、1μg/mL ペプスチン−Aおよび0.1μg/mL PMSF)で30分、氷上で融解する。非処置コントロールにおいて、100ng/mL Apo−2L/TRAILを細胞融解後添加し、非刺激Apo−2L/TRAIL受容体を免疫沈降させた。百マイクログラム(100μg)の融解物を4℃で2時間、Immunex Corp., Seattle WAから提供された各1μgの抗Apo−2L/TRAIL受容体1&2(DR4およびDR5)抗体とインキュベートした。免疫複合体を、一晩、4℃で20μLのタンパク質A−アガロースビーズ(Roche, Indianapolis, IN)とインキュベートする。ビーズを遠心分離により回収し、2回融解緩衝液で洗浄する。ペレットをサンプル緩衝液に再懸濁させ、SDS−PAGEおよびカスパーゼ−8、DR5、DR4およびFADDに対する抗体を使用した免疫ブロット分析により分析した。
【0080】
ドミナント・ネガティブFADD cDNAのトランスフェクション
生存可能ジャーカット細胞を、pcDNA3.1プラスミド(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)にクローン化された、80−208アミノ酸死エフェクタードメイン含有N末端欠失フラグメント(NFD−4)をコード化するドミナント・ネガティブFADDのcDNAまたはコントロールベクター(pcDNA3.1Zeo)で、LipofectAMINEPLUS試薬(Invitrogen Corp.)を使用してトランスフェクトする。トランスフェクタントをApo−2L/TRAILおよび/またはLAQ824で処置し、続いてアポトーシス細胞の割合を概算する。
【0081】
クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイ
ChIP分析を、先に記載の方法をわずかに改変して行った。細胞を一晩、0.25×10細胞/mlの密度で、37℃で5%COでインキュベートする。翌日、細胞を0、50、100または250nMのLAQ824と24時間培養する。ホルムアルデヒドを、次いで細胞に1%の最終濃度で添加し、細胞を室温で10分穏やかに振盪する。この後、細胞をペレット化し、プロテアーゼ阻害剤(Complete, Boehringer Mannheim)を含む1mLの氷冷PBSに懸濁する。細胞を再びペレット化し、0.5mLのSDS融解緩衝液(1%SDS/1.0mM EDTA/50mM Tris・HCl、pH8.1)に懸濁させ、氷上で20分インキュベートする。融解物を15秒バーストで超音波処理する。残骸を20分、15,000×g、4℃の遠心分離によりサンプルから除去した。クロマチン調製物のアリコート(100μL)を取り、インプット・フラクションと名付けた。上清を免疫沈降緩衝液(0.01%SDS/1.0%Triton X-100/1.2mM EDTA/16.7mM Tris・HCl、pH8.1/150mM NaCl)で3倍希釈し、TE緩衝液(10mM Tris・HCl、pH8.0/ 1mM EDTA)中に20μg超音波処理サケ精子DNAおよび1mg/mL BSAを含む80μLの50%タンパク質Aセファローススラリーを添加し、揺すりながら2時間、4℃でインキュベートした。ビーズを遠心によりペレット化し、上清を5μgの抗アセチル化ヒストンH3抗体、抗アセチル化ヒストンH4抗体、または正常血清を含む新しい試験管に入れ、一晩、4℃でインキュベートする。タンパク質Aセファローススラリー(60μL)を添加し、サンプルを1時間、4℃で揺する。タンパク質A複合体を遠心分離し、3回、各5分免疫沈降緩衝液で2回、各5分500mM NaCl含有免疫沈降緩衝液で洗浄する。免疫複合体を250μLの溶出緩衝液(1%SDS/0.1M NaHCO3)で、15分、室温で2回溶出する。二十マイクロリットル(20mL)の5M NaClを合わせた溶出液に添加し、サンプルを65℃で24時間インキュベートする。EDTA、Tris・HCl、pH6.5およびプロテイナーゼKを次いでサンプルに各々10mM、40mMおよび0.04μg/μLの最終濃度で添加する。サンプルを37℃で30分インキュベートする。
【0082】
免疫沈降したDNA(免疫沈降サンプルおよびインプットの両方)をフェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により回収し、PCRで分析した。DR5およびp21WAF1特異的プライマーを使用し、ChIP実験およびインプットサンプルから単離したDNAのPCRを行う。PCRの最適反応条件を、各プライマー対について測定する。DR5プロモーターPCR:前向きプライマーは5'−GGA GGA AAG AGA AAG AGA GAA AGG AAG G−3'および後向きプライマーは5'−TTG GGG GAA ATG AGT TGA GGG AGG−3'であった。PCR反応物は、0.2mM濃度のdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、200nMの各DR5プロモータープライマー、1.5mMのMgCl、およびTris−HCL(pH8.0)500mM KCL、および1UのTagポリメラーゼ(Invitrogen Carlsbad, CA)含有10×PCR緩衝液を含んだ。p21WAF1分析に使用するプライマー対は:5'−GGT GTC TAG GTG CTC CAG GT−3'(dp1)、5' TGTCTAGGTGCTCCAG−3'(up1)である。反応を95℃で5分行い、その後35サイクルの95℃で1分の変性、56℃で1分のアニーリングおよび72℃で1分の伸張が続く。PCR産物を2%アガロース/臭化エチジウムゲルで分離する。増幅産物のサイズは253塩基対であった。免疫沈降したDNAとインプットDNAの比率を各処置とプライマーセットについて計算した。LAQ824で処置した後の増加倍率を示された比率から計算した。
【0083】
RNase保護アッセイ
RiboQuant Multi-Probe RNase Protection Assay Systeを、製造業者(BD/PharMingen, San Diego, CA)の指示に従って使用した。プローブセット、hAPO−3d(FLICE、FAS、DR5、DR4およびTRAIL)を[α−32P]UTP−標識アンチセンスRNAプローブのT7 RNA−ポリメラーゼ指示合成に使用した。プローブセットは、内部対照として使用したグリセルアルデヒド−3−リン酸塩デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を含む、DNA鋳型を含む。プローブ(1×10cpm/反応)をSKW6.4およびジャーカット白血病細胞から単離した、20μgのRNAとハイブリダイズし、続いてRNeasy Mini kit(Qiagen, Valencia, CA)を使用して、異なる時点で100nM LAQ824で処理する。一晩のハイブリダイゼーション後、サンプルをRNaseで消化し、一本鎖(ハイブリダイズしていない)RNAを除去する。残ったプローブを5%変性ポリアクリルアミドゲル上で分離し、オートラジオグラフィーにより分析する。
【0084】
c−FLIP mRNAレベルのRT−PCRアッセイ
TRIZOL LS試薬(Invitrogen Carlsbad, CA)を使用して、細胞から全RNAを単離した。RT−PCR分析を、先に記載の通り行った。RNA(1.0μg)を、SuperScript IIRT(Invitrogen Carlsbad, CA)を製造業者のプロトコールに従い使用して、cDNAに逆転写した。c−FLIP PCRについて、プライマー配列は下記の通りである、前向きプライマー:5'−GCC CGA GCA CCG AGA CTA CG−3';および後向きプライマー:5'−AGG GAC GGD GAG CTG TGA GAC TG−3'。β−アクチン前向きプライマー:5'−CTA CAA TGA GCT GCG TGT GG−3';および後ろ向きプライマー:AAG GAA GGC TGG AAG AGT GC。PCR反応物は、0.2mM濃度のdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよび200nM濃度の各c−FLIPプライマーおよび50nMの各β−アクチンプライマー、1.5mMのMgCl、およびTris−HCL(pH8.0)、500mM KCLおよび1UのTagポリメラーゼ(Invitrogen Carlsbad, CA)含有10×PCR緩衝液を含む。反応を95℃で5分行い、その後30サイクルの95℃で45秒の変性、52℃で45秒のアニーリングおよび72℃で1分の伸張が続く。PCR産物を2%アガロース/臭化エチジウムゲルで分離する。増幅産物のサイズは各々、c−FLIPについて395塩基対およびβ−アクチン産物について527塩基対であった。
【0085】
統計分析
データを平均±SEMで示す。比較は、必要に応じて、スチューデントのt検定またはANOVAを使用した。<0.05のP値を有意と見なす。
【0086】
結果
LAQ824処置はジャーカットおよびSKW6.4細胞のp21およびp27を誘発し、そして、細胞サイクルG1相蓄積およびアポトーシスをもたらす
LAQ824(5−250nM)の処置が、HeLa細胞核抽出物において、インビトロHDAC活性を用量依存的方法で阻害することは以前報告されている。従って、LAQ824の、ヒト急性白血病ジャーカットおよびSKW6.4細胞における、ヒストンアセチル化、p21およびp27レベルならびに増殖停止およびアポトーシスに対する効果を測定する。50nMまたは200nM LAQ824で24時間の処置は、ジャーカットおよびSKW6.4細胞におけるヒストンH3およびヒストンH4のアセチル化を増加させる。LAQ824介在ヒストン過アセチル化は、SKW6.4細胞ではp21のレベルと用量依存的に相関するが、ジャーカット細胞ではしない。対照的に、50nM LAQ824への暴露がSKW6.4およびジャーカット細胞の両方のp27の細胞内レベルを増加させるが、200nMのLAQ284は、両方の細胞系でp27レベルを減弱させる。これらの結果は、LAQ824が、p21遺伝子プロモーターと関係するが、p27遺伝子プロモーターと関係しないヌクレオソームヒストンの過アセチル化を誘発し、それにより、p21を転写的に上方制御するが、別の非転写機構によりp27レベルを上昇させるという、先の報告と一致する。LAQ824の、SKW6.4およびジャーカット細胞における細胞サイクル状態に対する効果は、LAQ824への24時間の暴露がG1相にある細胞の割合を著しく増加させ、細胞サイクルのS相を減少させることを示す。重要なことに、10−200nMのLAQ824への24時間の暴露は、アネキシンVの陽性染色で検出される通り、SKW6.4細胞よりもジャーカット細胞において、アポトーシスを、用量依存的方法でより誘発する。
【0087】
LAQ824はDR4、DR5およびApo−2L/TRAILを誘発するが、タンパク質のFLIP、Bcl−2およびIAPファミリーのレベルを減弱させる
アポトーシスを誘発するその能力に基づき、LAQ824の、SKW6.4およびジャーカット細胞におけるアポトーシスの外因性および内因性経路の分子決定基の細胞内レベルに対する効果を測定する。LAQ824への24時間の暴露は、Apo−2L/TRAIL、DR4およびDR5レベルを誘発する。LAQ824での処置は、SKW6.4およびジャーカット細胞の両方でFLIPLおよびFLIPSのレベルを減弱させる。これは、カスパーゼ−9および−3のプロセッシングと関連し、LAQ824での処置が内因性経路を誘発するだけでなく、細胞をApo−2L/TRAILにより誘発される外因性経路に導くことを示唆する。加えて、LAQ824での処置はまたBcl−x、Bcl−2、XIAP、c−IAPおよびsurvivinのレベルを減弱させ、これは一体となってさらにApo−2L/TRAILによるアポトーシスの閾値を低下させ得る。ジャーカット細胞において、これらの効果は、16時間またはそれより短い間隔でのLAQ824への暴露により明白である。先の報告は、アポトーシス中、Bcl−2およびIAPファミリーに属するアポトーシス決定基のいくつかが、カスパーゼにより処理されおよび/またはプロテアソームにより分解され得ることを示唆している。カスパーゼ−3およびPARPのプロセッシングを阻害するz−VAD−fmkで共処置したジャーカット細胞において、LAQ824のXIAP、Bcl−2、Bcl−xおよびc−FLIPLに対する減弱効果を回復させることは不可能である。加えて、プロテオソーム阻害剤ALLnLとの共処置は、LAQ824により減弱されたXIAP、Bcl−2、c−FLIPLおよびc−FLIPSのレベルを回復させない。LAQ824処置がDR5、DR4およびApo−2L/TRAILの細胞表面発現を増加させるか否かを測定する。ジャーカット細胞のLAQ824での処置は、フローサイトメトリーで測定して、DR5の細胞膜発現を誘発する。
【0088】
LAQ824は、DR4およびDR5のmRNAレベルを増加させるが、c−FLIPLのmRNAを枯渇させる
LAQ824の、c−FLIPL、DR5、DR4およびApo−2L/TRAIのmRNAレベルに対する効果を、マルチプローブRNAse保護アッセイを使用し、ローディングコントロールとしてのGAPDH mRNAと共にデンシトメトリーで概算して、測定する。LAQ824で8時間または16時間の処置は、DR5(2.4倍)およびFAS(1.5倍)のmRNA発現を増加させる。DR4レベルは、SKW6.4細胞においてのみ2.2倍増加する。LAQ824への暴露は、Apo−2L/TRAILおよびカスパーゼ−8(FLICE)のmRNAレベルにほとんど影響しない。なぜLAQ824が、ヒストン過アセチル化をもたらすことによりDR5 mRNAレベルを転写的に上方制御するかの説明をするであろう、DR5のプロモーターがアセチル化ヒストンと関係するか否かを測定する。非処置またはLAQ824処置ジャーカット細胞の融解物で行ったChIP分析の結果は、100nMおよび200nM LAQ824での8時間の処置が、アセチル化ヒストンH3およびH4と関連するDR5プロモーターのレベルを各々3.3倍および5.7倍増加させることを示す。先に報告されているように、LAQ824はまたジャーカットおよびSKW6.4細胞における、p21WAF1プロモーターDNAとアセチル化ヒストンの結合を増加させる。DR5およびDR4 mRNAレベルの上昇と対照的に、LAQ824への8時間の暴露は、RT−PCRアッセイで測定して、c−FLIPのmRNAレベルを75%まで阻害する。これは、LAQ824とシクロヘキシミド(CHX)での共処置により回復する。これらの結果は、c−FLIPメッセージのLAQ824介在抑制が、新規タンパク質合成を必要とすることを示唆する。これらの結果はまたLAQ824が、CHXとの共処置により中和される結果である、c−FLIPの転写リプレッサーのレベルおよび活性を増加させるとの解釈も指示する。
【0089】
LAQ824はApo−2L/TRAIL誘発DISC集合および活性ならびにアポトーシスを促進する
c−FLIPレベルおよび上昇したDR5およびDR4レベルが、白血病および上皮性癌細胞のApo−2L/TRAIL誘発DISC活性およびアポトーシスを増加することが先に示されていたため、LAQ824のApo−2L/TRAIL誘発DISCおよびアポトーシスに対する効果を測定する。LAQ824とApo−2L/TRAILの共処置は、ジャーカットおよびSKW6.4細胞において、いずれかの薬剤単独での処置と比較して、有意に高いアポトーシスを誘発する(p0.05)。同時に、LAQ824またはApo−2L/TRAILで単独の処置と比較して、LAQ824(20nM)とApo−2L/TRAIL(10ng/mL)の24時間の併用処置は、カスパーゼ−8およびBIDのより大きなプロセッシングを誘発し、ならびにカスパーゼ−3のプロセッシングおよびPARP開裂活性を増加させる。これは、LAQ824またはApo−2L/TRAIL単独と比較して、LAQ824とApo−2L/TRAILの共処置が、前死分子チトクロームc、SmacおよびOmiのサイトソルへの蓄積をよりもたらすため、ミトコンドリア透過性遷移の増加に関与する。LAQ824のApo−2L/TRAIL誘発DISCに対する効果を測定するために、DR5およびDR4の免疫沈降物へのカスパーゼ−8、FADDおよびc−FLIPLの集合を、Apo−2L/TRAIL(100nMで2時間)での処置後と、LAQ824(100nMで24時間)、続いてApo−2L/TRAILでの処置後を比較する。LAQ824での前処置は、DR4およびDR5の免疫沈降物へのFADDおよびカスパーゼ−8の集合を誘導するが、c−FLIPLは誘導せず、カスパーゼ−8のより多くのプロセッシングをもたらすが、c−FLIPLではあまりない。DR4およびDR5の上方制御とc−FLIPLおよびc−FLIPSの下方制御によるDISCの増加した集合および活性が、Apo−2L/TRAIL誘発アポトーシスの増加に関与するかを決定するため、Apo−2L/TRAILにより、またはLAQ824とApo−2L/TRAILでの共処置により誘発されたジャーカット細胞のアポトーシスにおけるDN−FADDのDED枯渇cDNAの一過性トランスフェクションの効果を測定する。コントロールベクター単独でトランスフェクトしたジャーカット細胞(ジャーカット−Zeo細胞)と比較して、Apo−2L/TRAILでの処置またはLAQ824とApo−2L/TRAILの共処置により誘導されるアポトーシスは、DN−FADDでトランスフェクトしたジャーカット細胞で阻害される。重要なことに、LAQ824のApo−2L/TRAIL誘発アポトーシスに対する増感効果は、ジャーカット−Zeo細胞に対して、ジャーカット−DN FADDで減少する。これらの発見は、Apo−2L/TRAIL誘発DISCの成分および活性のLAQ824誘発調節が、LAQ824のApo−2L/TRAIL誘発アポトーシスに対する全体的効果に関与していることを示唆する。
【0090】
LAQ824とApo−2L/TRAILの共処置は、Bcl−2過剰発現によるアポトーシスの阻害に打ち勝つ
LAQ824および/またはApo−2L/TRAILの効果を、Bcl−2の遺書性過剰発現をする(5倍)HL−60/Bcl−2細胞と、コントロールHL−60/Neo細胞で非アックする。LAQ824は、p21、p27、DR4&5レベルの増加を仲介し、そしてFLIPLおよびFLIPSレベルの減少は、非処置HL−60/Bcl−2とHL−60/Neo細胞で比較してほぼ同じである。先に報告されているように、Apo 2L/TRAIL誘発アポトーシスは、HL−60/Neo細胞と比較して、HL−60/Bcl−2で阻害された。50nM LAQ824での処置後、カスパーゼ−3のPARP開裂活性およびのカスパーゼ−8のプロセッシングはまたHL−60/Bcl−2細胞で阻害されたが、より高濃度のLAQ824(100nM)への暴露は、HL−60/Bcl−2およびHL−60/Neo細胞でのPARPおよびカスパーゼ−8の類似のプロセッシングをもたらした。さらに、50ng/mLのApo−2L/TRAILとLAQ824(50nMまたは100nM)の併用処置は、HL−60/Bcl−2細胞においていずれかの薬剤単独と比較してよりアポトーシスを誘発し、それは一貫して50%を超えた。これはまた、より高レベルのtBIDの産生を伴う、カスパーゼ−8およびBIDのより多くのプロセッシングと関係する。それはまたカスパーゼ−3のPARP開裂活性の増加およびXIAPの下方制御と関連する。これらの発見は、Apo−2L/TRAILおよび低レベルのLAQ824によるBcl−2によるアポトーシスの抑制が、高レベルのLAQ824またはApo−2L/TRAILとLAQ824の共処置により阻止されることを示唆する。
【0091】
LAQ824との共処置は、再発したAMLの患者からの白血病芽球のApo−2L/TRAIL誘発アポトーシスに対する耐性に打ち勝つ
再発AMLの患者から得た新鮮なAML細胞の、Apo−L/TRAILおよび/またはLAQ824誘発アポトーシスに対する感受性を測定する。表1は、全6サンプルのAML芽球が、Apo−2L/TRAIL(100ng/mL)により誘発されるアポトーシスに耐性であることを示す。対照的に、LAQ824(100nM)への暴露は、初代AML細胞のアポトーシスをより誘発する。LAQ824とApo−2L/TRAILの共処置は、いずれかの薬剤単独よりもアポトーシスを誘発する。これらのデータは、Apo−2L/TRAIL誘発アポトーシスに対する初代AML細胞の耐性に、LAQ824とApo−2L/TRAILの共処置により打ち勝つ点で、HL−60/Bcl−2細胞のものと類似である。Apo−2L/TRAIL誘発DISC決定基に対するLAQ824の効果を測定する。初代AML芽球の代表的サンプル、および培養急性白血病細胞に類似のものにおいて、100nMまたは250nM LAQ824で24時間の処置は、ヒストンH3およびH4のアセチル化を誘発する。LAQ824処置はまたDR4およびDR5レベルを増加させ、そして、FLIPLおよびc−FLIPSのレベルを下方制御する。ウェスタン分析で決定したDR5の細胞内レベルの上昇と対応して、初代AMLサンプルの100nMおよび250nM LAQ824での処置はまた、フローサイトメトリーで測定して、細胞膜上でのDR5の発現を各々細胞の17.5%の基底値から33.2および62.4%に上昇させる。
【0092】
【表1】

説明:LAQ824の共処置は、Apo−2L/TRAIL誘発アポトーシスを増加させる。6名の患者からの初代AML細胞をLAQ824(100nM)および/またはApo−2/L TRAIL(100ng/mL)で24時間処置した。この後、アポトーシス細胞のパーセントを、アネキシンV染色およびフローサイトメトリーで測定した。値はデュプリケートで行った2回の実験の平均を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)細胞死受容体リガンド、および
(b)式(I)
【化1】

〔式中、
はH;ハロ;または直鎖C−Cアルキル、とりわけメチル、エチルまたはn−プロピル(該メチル、エチルおよびn−プロピル置換基は、非置換であるか、またはアルキル置換基に関して下記の1個またはそれ以上の置換基で置換されている)であり;
はH;C−C10アルキル、好ましくはC−Cアルキル、例えば、メチル、エチルまたは−CHCH−OH;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;−(CH)C(O)R;−(CH)OC(O)R;アミノアシル;HON−C(O)−CH=C(R)−アリール−アルキル−;および−(CH)から選択され;
およびRは、同一または異なり、かつ独立して、H;C−Cアルキル;アシル;またはアシルアミノであるか;または
およびRは、それらが結合している炭素と一体となって、C=O、C=SまたはC=NRを意味するか;または
は、それが結合している窒素と一体となって、そしてRは、それが結合している炭素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環を形成でき;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アシル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;芳香族性多環;非芳香族性多環;アリールおよび非アリール混合多環;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;およびアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環から選択され;
n、n、nおよびnは、同一または異なり、かつ独立して0−6から選択され、nが1−6であるとき、各炭素原子は、所望によりかつ独立してRおよび/またはRで置換されていてよく;
XおよびYは、同一または異なり、かつ独立してH;ハロ;CHおよびCFのようなC−Cアルキル;NO;C(O)R;OR;SR;CN;およびNR1011から選択され;
はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;シクロアルキルアルキル、例えば、シクロプロピルメチル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジルおよび2−フェニルエテニル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;OR12;およびNR1314から選択され;
はOR15;SR15;S(O)R16;SO17;NR1314;およびNR12SOから選択され;
はH;OR15;NR1314;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
はC−Cアルキル、例えば、CHおよびCF;C(O)−アルキル、例えば、C(O)CH;およびC(O)CFから選択され;
10およびR11は、同一または異なり、かつ独立してH;C−Cアルキル;および−C(O)−アルキルから選択され;
12はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキルアルキル;アリール;アリールおよび非アリール混合多環;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;およびヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチルから選択され;
13およびR14は、同一または異なり、かつ独立してH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル、例えば、ベンジル;ヘテロアリールアルキル、例えば、ピリジルメチル;アミノアシルから選択されるか;または
13およびR14は、それらが結合している窒素と一体となって、C−Cヘテロシクロアルキル;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;非芳香族性ポリヘテロ環;またはアリールおよび非アリール混合ポリヘテロ環であり;
15はH;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
16はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ポリヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;および(CH)ZR12から選択され;
17はC−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;C−Cヘテロシクロアルキル;アリール;芳香族性多環;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;ポリヘテロアリールおよびNR1314から選択され;
mは0−6から選択される整数であり;そして
ZはO;NR13;S;およびS(O)から選択される。〕
のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAI)または薬学的に許容されるその塩
を含む、組み合わせ。
【請求項2】
哺乳動物を薬学的に有効量の:
(a)細胞死受容体リガンド、および
(b)請求項1記載の式(I)のヒストンデアセチラーゼ阻害剤
の組み合わせで処置することを含む、哺乳動物における増殖性疾患を予防または処置する方法。
【請求項3】
細胞死受容体リガンドがTRAIL、TRAIL/Apo−2L、TRAIL模倣体、アゴニスト抗体、または細胞膜結合多タンパク質死誘発シグナル伝達複合体(DISC)の集合を介してカスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くDR4およびDR5に結合できる他の因子である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項4】
HDAIが、N−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項5】
白血病の予防または処置のための、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項6】
哺乳動物がヒトである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
急性骨髄性白血病(AML)の予防または処置のための、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項8】
(a)1個またはそれ以上の単位投与形の細胞死受容体リガンド;および
(b)1個またはそれ以上の単位投与形の請求項1記載の式(I)のHDAI
を含む、組み合わせ製剤。
【請求項9】
細胞死受容体リガンドがTRAIL、TRAIL/Apo−2L、TRAIL模倣体、アゴニスト抗体、または細胞膜結合多タンパク質死誘発シグナル伝達複合体(DISC)の集合を介してカスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くDR4およびDR5に結合できる他の因子である、請求項8記載の組み合わせ製剤。
【請求項10】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤がN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、または薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される、請求項9記載の組み合わせ製剤。
【請求項11】
哺乳動物を:
(a)薬学的に有効量の細胞死受容体リガンド;および
(b)薬学的に有効量のN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド、N−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(1H−インドル−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドまたはN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドル−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミド;または薬学的に有効なそれらの塩
の組み合わせで処置することを含む、哺乳動物における前癌増殖性疾患を処置または予防する方法。
【請求項12】
細胞死受容体リガンドがTRAIL、TRAIL/Apo−2L、TRAIL模倣体、アゴニスト抗体、または細胞膜結合多タンパク質死誘発シグナル伝達複合体(DISC)の集合を介してカスパーゼ−8の活性およびアポトーシスの引き金を引くDR4およびDR5に結合できる他の因子である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
哺乳動物を:
(a)薬学的に有効量の細胞死受容体リガンド;および
(b)薬学的に有効量のHDAI
の組み合わせで処置することを含む、哺乳動物における増殖性疾患を処置または予防する方法。
【請求項14】
(a)1個またはそれ以上の単位投与形の細胞死受容体リガンド;および
(b)1個またはそれ以上の単位投与形のHDAI
を含む、組み合わせ製剤。


【公表番号】特表2007−505860(P2007−505860A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526597(P2006−526597)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010468
【国際公開番号】WO2005/025619
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【出願人】(506092514)ユニバーシティ・オブ・サウス・フロリダ・ボード・オブ・トラスティーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】University of South Florida Board of Trustees
【Fターム(参考)】