説明

ヒダントイン化合物

本発明は、自己免疫疾患の治療または予防に有用なヒダントイン化合物の使用に関する。また、本発明は組成物およびその使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、2005年5月27日出願の米国特許仮出願番号第60/685,594号に優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
抗原に遭遇すると、ナイーブCD4+Tヘルパー前駆体(Thp)細胞は、2つの異なるサブセット、1型Tヘルパー(Th1)および2型Tヘルパー(Th2)へと分化する。これらの分化したTh細胞は、それらの相異なる機能的能力と特有のサイトカインプロフィールの双方により定義される。具体的には、Th1細胞は、インターフェロン−γ、インターロイキン(IL)−2、および腫瘍壊死因子(TNF)−βを産生し、それらはマクロファージを活性化させ、細胞性免疫および食細胞依存性の防御反応を担う。その一方、Th2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10およびIL−13を産生することが公知であり、それらは強力な抗体産生、好酸球活性化、およびいくつかのマクロファージ機能の阻害を担い、従って食細胞非依存性の防御反応をもたらす。したがって、Th1およびTh2細胞は異なる免疫病理学的応答に関連する。
【0003】
その上、各々の種類のTh細胞の発達は異なるサイトカイン経路に媒介される。具体的には、IL−4はTh2の分化を促進すると同時にTh1の発達を阻害することが示されている。その一方、IL−12、IL−18およびIFN−γはTh1細胞の発達に重要なサイトカインである。したがって、サイトカイン自体が、Thの分極を促進し、Th1とTh2の間のバランスを保つポジティブおよびネガティブフィードバック系を形成する。
【0004】
Th1細胞は、種々の臓器特異的自己免疫疾患、クローン病、ヘリコバクター・ピロリ誘導性消化性潰瘍、急性腎同種移植片拒絶、および解明されていない反復流産の病因に関与している。その一方、アレルゲン特異的Th2応答は、遺伝的に感受性の高い個体のアトピー性疾患の原因である。さらに、Th2は、オーメン症候群、特発性肺繊維症、および進行性全身性硬化症において優勢ないまだ未知の抗原に対して応答する。
【0005】
アンバランスなTh1/Th2細胞の分化に関連する様々な状態を処置する際に有用な、新規な治療的処置を開発する、まだ対処されていない医療的必要性が多く残っている。したがって、Th1/Th2の理論的枠組みは、アレルギー疾患および自己免疫疾患の治療法に対する戦略の開発のための理論的根拠をもたらす。
【発明の開示】
【0006】
本明細書に記載されるように、本発明は、式I:
【化1】

{式中、Qは、メチレンまたはエチレンであり、
1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-8ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、フェニル、インドリル、キノリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンゾトリアゾリル、ヒドロキシエチル、プロペニル、(エトキシカルボニル)プロピル、またはテトラヒドロピラニルオキシブチルであり、
〔R1は、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ヒドロキシエチル、アセトアミド、ピロリル、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基、ならびに、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される0〜1個の置換基を有するか、
または、QおよびR1は一括して水素である〕、
Tは、−C(=O)−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスもしくはトランス)、プロペニレン、−CH=CH−CH2−(シスもしくはトランス)、−CH2−CH=CH−(シスもしくはトランス)、エチニレン、またはビニレンであり、
2は、C2-6アルケニル、C1-12アルキル、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、フリル、イソキノリニル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、アントリル、およびベンゾチエニルから選択され、
〔R2は、0〜3個の置換基で置換されており、0〜3個の間の置換基は、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジメチルアミノ、t−ブチル、およびイソブトキシから選択され、0〜1個の間の置換基は、フェニル、ピリジル、ピラゾリル、フリル、ベンゾイル、ピロリル、ピリジニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、およびシクロプロピルから選択される〕、
Xは、共有結合、メチレン、エチレン、またはプロペニレンであり、かつ
3は、フェニル、ビフェニリル、チオフェニル、ビチオフェニリル、ジフェニルメタニル(diphenylmethanyl)、トリアゾリル、チエニル、ベンゾフリル、フェナントリル、アントリル、フルオレニル、アセナフチル、ピレニル、インダニル、アダマンチル、カルバゾリル、N−メチルカルバゾリル、インドリル、ピロリジニル、キノリル、ピロリル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソシニル(benzodioxocinyl)、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される
〔R3は、0〜5個の置換基で置換されており、0〜5個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、イソプロピル、t−ブチル、プロピルオキシ、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、アリルオキシ、(メチル)(フェニル)アミノ、メタンスルホニル、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ、t−ブトキシカルボニル、ボロン酸部分、およびメチルカルボニルアミノから選択され、0〜2個の間の置換基は、独立して、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、(メチル)(フェニル)アミノ、N−モルホリニル、ピペリジル、ピロリジニル、チエニル、フリル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、ジベンゾフリル、ベンゾフラニル、ビフェニリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される〕}、
の化合物、あるいは、その製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルキルエステルもしくはアミドを提供する。
【0007】
別の実施形態によれば、本発明は、式II:
【化2】

〔式中、
Qは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-6アルキレン鎖であり、
1は、任意で置換されているフェニル環、または、任意で置換されている、1〜2個の窒素を有する6員のヘテロアリール環であり、
Tは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-6アルキレン鎖であり、
2は、任意で置換されているフェニルもしくはナフチル環、または、任意で置換されている、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、
Xは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-4アルキレン鎖であり、かつ
3は、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、チエニル、フリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イソキサゾリル、またはチアゾリルであり、R3は、任意でピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、−N(Me)2、−OMe、−OEt、−Me、t−ブチル、ピリジル、−NHMe、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、−NH2、−OH、−OCH2CH2OH、−OCF3、−CF3、または−SO2フェニルで置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミドを提供する。
【0008】
特定の実施形態では、本発明は、式III:
【化3】

〔式中、
Qは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、−(CH22S−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡CCH2CH2−、−CH2C(=O)CH2−、−(CH24C(=O)OCH2CH2−、−(CH25C(=O)OCH2CH2−、−(CH26C(=O)OCH2CH2−CH2C(=O)N(Et)CH2CH2−、または−CH2CH2N(CH3)CH2−であり、
1は、CN、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、フェニル、イソキサゾリル、ピロリル、ベンズトリアゾリル、シクロヘキシル、シクロプロピル、またはチエニルであり、
Tは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、−(CH22S−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2CH=CHCH2−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡C−または−CH2C≡CCH2CH2−であり、
2は、任意で置換されているフェニル、ナフチル、キノリニル、フタルイミジル、イソキノリニル、インドリル、チエニル、フリル、イソキサゾリル、またはチアゾリルであり、
Xは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2C≡C−、−CH2CH=CH−、−CH2C(CH3)−CH−または−CH2CH(CH3)−であり、かつ
3は、フェニルまたはナフチルであり、R3は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、−N(Me)2、−OMe、−OEt、−Me、t−ブチル、ピリジル、−NHMe、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、−NH2、−OH、−OCH2CH2OH、−OCF3、−CF3、または−SO2フェニルで任意で置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミドを提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、式IV:
【化4】

〔式中、
Qは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、または−(CH22S−であり、
1は、水素であり、
Tは、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2CH=CHCH2−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡C−または−CH2C≡CCH2CH2−であり、
2は、任意で置換されているフェニルまたはナフチルであり、
Xは、−CH2−であり、かつ
3は、フェニルもしくはナフチル環であり、R3は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、−N(Me)2、−OMe、−OEt、−Me、t−ブチル、ピリジル、−NHMe、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、−NH2、−OH、−OCH2CH2OH、−OCF3、−CF3、または−SO2フェニルで任意で置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミドを提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、本明細書に定義される式I、II、III、もしくはIVの化合物、またはそのサブセットおよび実施例を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、医薬組成物は関節リウマチまたは多発性硬化症の治療に有用である。
【0011】
別の態様によれば、本発明は、本明細書に定義される式I、II、III、もしくはIVの化合物、またはそのサブセットおよび実施例を含む医薬組成物を患者に投与する段階を含む、患者において自己免疫疾患を治療するための方法を提供する。特定の実施形態では、自己免疫疾患は関節リウマチまたは多発性硬化症である。
【0012】
本発明はまた、関節リウマチまたは多発性硬化症などの自己免疫疾患を治療する際に有用な薬剤の製造における、本明細書に定義される式I、II、III、もしくはIVの化合物、またはそのサブセットおよび実施例の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
A.定義
本発明の化合物には、一般的に上に記載されるもの、ならびに本明細書に開示される実施形態、従属する実施形態(sub−embodiments)、および種でさらに説明されるものが含まれる。本明細書において、特に断りのない限り以下の定義が適用される。
【0014】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、任意で1以上の置換基(一般的に上に説明されるもの、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種に例示されるものなど)で置換されてよい。一般に、用語「置換された」とは、所与構造における水素ラジカルの指定置換基のラジカルとの交換をさす。特に断りのない限り、置換される基は、該基の各置換可能な位置に1つ置換基を有してよく、任意の所与構造中の1より多い位置が、指定基から選択される1より多い置換基で置換される場合、各位置の該置換基は同じであっても異なっていてもよい。本発明により想定される置換基の組合せは、結果として安定な、または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものが好ましい。
【0015】
本明細書において、用語「安定な」とは、本明細書に開示される1以上の目的のために、化合物の製造、検出、ならびに、好ましくはそれらの回収、精製、および使用を可能にさせる条件に供された場合に実質的に変化しない化合物をさす。一部の実施形態では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分の不在下でまたはその他の化学的反応性の高い条件下で、少なくとも1週間、40℃以下の温度で保持された場合、実質的に変化しない化合物である。
【0016】
本明細書において、用語「アルキル」または「アルキル基」とは、完全に飽和している、直鎖(すなわち、分枝していない)、分枝鎖、または環状の炭化水素鎖を意味する。特定の実施形態では、アルキル基は1〜6個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキル基は2〜5個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキル基は1〜4個、2〜4個、または1〜3個の炭素原子を含有する。特定の実施形態では、用語「アルキル」または「アルキル基」とは、カルボシクリルとしても公知のシクロアルキル基をさす。例示的なC1-6アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルプロピル、ブチル、イソブチル、シクロブチル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0017】
本明細書において、用語「アルケニル」または「アルケニル基」とは、1以上の二重結合を有する、直鎖(すなわち、分枝していない)、分枝鎖、または環式炭化水素鎖をさす。特定の実施形態では、アルケニル基は2〜6個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルケニル基は2〜5個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルケニル基は2〜4個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、用語「アルケニル」または「アルケニル基」とは、シクロアルケニル基をさす。例示的なC2-6アルケニル基としては、−CH=CH2、−CH2CH=CH2(アリルとも呼ばれる)、−CH=CHCH3、−CH2CH2CH=CH2、−CH2CH=CHCH3、−CH=CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH=CH2、−CH=CHCH2CH2CH3、−CH2CH=CHCH2CH3、−CH2CH2CH=CHCH3、−CH2CH2CH2CH2CH=CH2、−CH=CHCH2CH2CH2CH3、−CH2CH=CHCH2CH2CH3、−CH2CH2CH=CHCH2CH3、−CH2CH2CH2CH=CHCH3、−CH2CH=CHCH2CH=CH2、シクロブテニル、シクロブテンメチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロペンテンメチル、シクロヘキセニル、およびシクロヘキサジエニルが挙げられる。
【0018】
本明細書において、用語「アルキニル」または「アルキニル基」とは、1以上の三重結合を有する、直鎖(すなわち、分枝していない)、または分枝鎖炭化水素鎖をさす。特定の実施形態では、アルキニル基は2〜6個の炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキニル基は2〜5個の炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、アルキニル基は2〜4個または2〜3個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、用語「アルキニル」または「アルキニル基」は、シクロアルキニル基をさす。例示的なC2-6アルキニル基としては、−C≡CH、−CH2C≡CH(ビニルとも呼ばれる)、−C≡CCH3、−CH2CH2C≡CH、−CH2C≡CCH3、−C≡CHCH2CH3、−CH2CH2CH2C≡CH、−C≡CCH2CH2CH3、−CH2C≡CCH2CH3、−CH2CH2C≡CCH3、−CH2CH2CH2CH2C≡CH、−C≡CCH2CH2CH2CH3、−CH2C≡CCH2CH2CH3、−CH2CH2C≡CCH2CH3、−CH2CH2CH2C≡CCH3、シクロブチニル、シクロブチンメチル(cyclobutynemethyl)、シクロペンチニル、シクロペンチンメチル(cyclopentynemethyl)、およびシクロヘキシニルが挙げられる。
【0019】
本明細書において、用語「アルコキシ」、または「アルキルチオ」とは、既に定義されたように、酸素原子を介して(「アルコキシ」)または硫黄原子を介して(「アルキルチオ」)炭素主鎖と結合しているアルキル基をさす。
【0020】
本明細書において、用語「アルキレン」とは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和の二価炭化水素鎖をさす。特定の実施形態では、アルキレン基は1〜6個の炭素原子を含有する。他の実施形態では、アルキレン基は、2〜5個、1〜4個、2〜4個、1〜3個、または2〜3個の炭素原子を含有する。例示的なアルキレン基としては、メチレン、エチレン、およびプロピレンが挙げられる。特定の実施形態では、アルキレン基は二重結合を有し、本明細書において「アルケニレン」と呼ばれる。他の実施形態では、アルキレン基は三重結合を有し、本明細書において「アルキニレン」と呼ばれる。
【0021】
本明細書において、メチレンおよびエチレンという用語は、それぞれ、二価部分である−CH2−および−CH2CH2−をさす。プロペニレンという用語は、二価部分である−CH=CHCH2−および−CH2CH=CH−をさし、各プロペニレン基はシス型もしくはトランス型の立体配置にある。特定の実施形態では、プロペニレン基は、トランス型の立体配置をとり得る。
【0022】
本明細書において、用語「C1-6アルキルエステルもしくはアミド」とは、各C1-6アルキル基が上に定義されるとおりである、C1-6アルキルエステルまたはC1-6アルキルアミドをさす。そのようなC1-6アルキルエステル基は、式(C1-6アルキル)OC(=O)−または(C1-6アルキル)C(=O)O−の基である。そのようなC1-6アルキルアミド基は式(C1-6アルキル)NHC(=O)−または(C1-6アルキル)C(=O)NH−の基である。
【0023】
本明細書において、用語「C2-6アルケニルエステルもしくはアミド」とは、各C2-6アルケニル基が上に定義されるとおりである、C2-6アルケニルエステルまたはC2-6アルケニルアミドをさす。そのようなC2-6アルケニルエステル基は、式(C2-6アルケニル)OC(=O)−または(C2-6アルケニル)C(=O)O−の基である。そのようなC2-6アルケニルアミド基は、式(C2-6アルケニル)NHC(=O)−または(C2-6アルケニル)C(=O)NH−の基である。
【0024】
本明細書において、用語「1〜2個の窒素を有する6員のヘテロアリール環」とは、1〜2個の窒素原子を含有する単環式芳香環をさす。そのような環としては、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピリダジン−3−イル、ピラジン−3−イル、およびピラジン−4−イルが挙げられる。
【0025】
本明細書において、用語「独立して、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環」とは、独立して、窒素、酸素、または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する単環式芳香環をさす。そのような環としては、フラン−2−イル、フラン−3−イル、N−イミダゾリル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、イソキサゾール−3−イル、イソキサゾール−4−イル、イソキサゾール−5−イル、オキサジアゾール−2−イル、オキサジアゾール−5−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、ピロール−1−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピリミジン−5−イル、ピリダジン−3−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、テトラゾール−5−イル、トリアゾール−2−イル、トリアゾール−5−イル、チエン−2−イル、およびチエン−3−イルが挙げられる。
【0026】
特に指定のない限り、本明細書において化学基または部分を説明するために用いられる命名法は、慣習に従う。名前を左から右へ読み、残りの分子との結合点は名前をつけた断片の右側におく。例えば、「(エトキシカルボニル)プロピル」という基は、プロピル末端で残りの分子と結合している。さらなる例としては、結合点がエチル末端であるヒドロキシエチル、および結合点がアミド末端であるアセトアミドが挙げられる。
【0027】
特に指定のない限り、本明細書において化学基は、「−」で示される結合部分を含むその化学式で記載され、その化学基が、示される「−」で残りの分子と結合していることは当然理解される。例えば、−SO2フェニルという基は、示される結合を介して左側で残りの分子と結合している。二価の基が、「−」で示される2つの末端結合部分を含む、その化学式で記載される場合、結合が左から右へ読まれることは当然理解される。例として、Qが−CH2O−である場合、Qは左側のメチレンでヒダントイン・コアの窒素と結合し、Qは右側の酸素原子でR1と結合する。同様に、Tが−CH2O−である場合、Tは左側のメチレンでヒダントイン・コアの窒素と結合し、Tは右側の酸素原子でR2と結合する。
【0028】
特に明記しない限り、本明細書において表現される構造はまた、その構造の全ての異性体形態(例えば、エナンチオマー形態、ジアステレオマー形態、および幾何学的形態(または立体配座の形態))、例えば、各不斉中心に対するRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)立体配座異性体を含むことを意味する。特定の実施形態では、式Iの−T−R2基は二重結合を含み、その二重結合はトランス(Z)立体配座をとってよい。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何学的(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。特に明記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性型が本発明の範囲内である。さらに、特に明記しない限り、本明細書において表現される構造も、1以上の同位体濃縮された原子の存在でのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の置換、あるいは13C−または14C−濃縮された炭素による炭素の置換を除いて本構造を有する化合物も本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的検定における分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0029】
本明細書において、用語「治療」、「治療する」および「治療している」とは、本明細書に記載される疾患または障害の発症を逆転させる、軽減する、遅延させる、またはその進行を阻害することをさす。一部の実施形態では、1以上の症状が発現した後で治療が施され得る。他の実施形態では、症状の不在下で治療が施され得る。例えば、感受性の高い個体へ、症状の発症より前に(例えば、症状の履歴を考慮して、かつ/または遺伝的またはその他の感受性因子を考慮して)治療が施され得る。また、症状が消散した後も、例えばその再発の予防または遅延のために治療を継続してよい。
【0030】
B.化合物
一実施形態では、本発明は、式I:
【化5】

{式中、Qは、メチレンまたはエチレンであり、
1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-8ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、フェニル、インドリル、キノリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンゾトリアゾリル、ヒドロキシエチル、プロペニル、(エトキシカルボニル)プロピル、またはテトラヒドロピラニルオキシブチルであり、
〔R1は、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ヒドロキシエチル、アセトアミド、ピロリル、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基、ならびに、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される0〜1個の置換基を有するか、
または、QおよびR1は一括して水素である〕、
Tは、−C(=O)−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスもしくはトランス)、プロペニレン、−CH=CH−CH2−(シスもしくはトランス)、−CH2−CH=CH−(シスもしくはトランス)、エチニレン、またはビニレンであり、
2は、C2-6アルケニル、C1-12アルキル、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、フリル、イソキノリニル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、アントリル、およびベンゾチエニルから選択され、
〔R2は、0〜3個の置換基で置換されており、0〜3個の間の置換基は、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジメチルアミノ、t−ブチル、およびイソブトキシから選択され、0〜1個の間の置換基は、フェニル、ピリジル、ピラゾリル、フリル、ベンゾイル、ピロリル、ピリジニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、およびシクロプロピルから選択される〕、
Xは、共有結合、メチレン、エチレン、またはプロペニレンであり、かつ
3は、フェニル、ビフェニリル、チオフェニル、ビチオフェニリル、ジフェニルメタニル、トリアゾリル、チエニル、ベンゾフリル、フェナントリル、アントリル、フルオレニル、アセナフチル、ピレニル、インダニル、アダマンチル、カルバゾリル、N−メチルカルバゾリル、インドリル、ピロリジニル、キノリル、ピロリル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソシニル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される
〔R3は、0〜5個の置換基で置換されており、0〜5個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、イソプロピル、t−ブチル、プロピルオキシ、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、アリルオキシ、(メチル)(フェニル)アミノ、メタンスルホニル、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ、t−ブトキシカルボニル、ボロン酸部分、およびメチルカルボニルアミノから選択され、0〜2個の間の置換基は、独立して、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、(メチル)(フェニル)アミノ、N−モルホリニル、ピペリジル、ピロリジニル、チエニル、フリル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ビフェニリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される〕}、
の化合物、あるいは、その製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミドを提供する。
【0031】
特定の実施形態では、R1は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、イソプロピル、フェニル、インドリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンキソトリアゾリル(methylbenxotriazolyl)、またはヒドロキシエチルであり、R1は、0〜2個の置換基を有する。他の実施形態では、R1は、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、またはメチルである。
【0032】
他の実施形態では、R1は、水素、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、ヒドロキシエチル、プロペニル、または(エトキシカルボニル)プロピルであり、R1は、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ヒドロキシエチル、アセトアミド、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基を有する。
【0033】
さらに他の実施形態では、R1は、水素、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、インドリル、キノリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンゾトリアゾリル、ヒドロキシエチル、プロペニル、(エトキシカルボニル)プロピル、またはテトラヒドロピラニルオキシブチルであり、R1は、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ヒドロキシエチル、アセトアミド、ピロリル、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基を有し、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される0〜1個の置換基を有する。
【0034】
特定の実施形態では、−Q−R1は、一括して、メチル、メトキシエチル、4−(ピラゾール−1−イル)フェニルメチル、エチル、ヒドロキシエチル、メトキシメチル、3−(ピロール−1−イル)フェニルメチル、N−メチルベンゾトリアゾリルメチル、またはピリジン−4−イルメチルを形成する。
【0035】
一実施形態によれば、本発明は、R2が0〜3個の間の置換基で置換されている式Iの化合物を提供する。別の実施形態によれば、R2は、C2-4アルケニル、フェニル、ナフチル、フリル、イソキノリニル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、R2は、0〜2個の基で置換されており、0〜2個の間の置換基は、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、フルオロ、およびヒドロキシメチルから選択される。別の実施形態によれば、R2は、独立して、メトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロ、およびメチルから選択される0〜3個の間の置換基を含むフェニル基である。
【0036】
式Iの化合物のR2基に示される置換基は、式II、III、およびIVの化合物のR2基にも適した置換基であることが意図されることは当然理解される。
【0037】
他の実施形態では、Xは、メチレンである。さらに他の実施形態では、Xは、メチレン、エチレン、またはプロペニレンである。特定の実施形態では、Xは、トランス配置の−CH2CH=CH−である。
【0038】
特定の実施形態では、Qは、エチレンである。
【0039】
別の態様によれば、Tは、−CH2−、−CH=CH−(シスもしくはトランス)、−CH=CH−CH2−(シスもしくはトランス)、−CH2−CH=CH−(シスもしくはトランス)、エチニレン、またはビニレンである。他の実施形態では、Tは、メチレン、−CH=CH−CH2−(トランス)、または−CH2−CH=CH−(トランス)である。
【0040】
特定の実施形態では、式IのR3基は、上に定義されたように、0〜4個の間の置換基、すなわち、0〜3個、1〜2個、または2〜3個の置換基で置換される。他の実施形態では、R3は、フェニル、ビフェニリル、チオフェニル、ビチオフェニリル、トリアゾリル、チエニル、ベンゾフリル、フェナントリル、インドリル、ピロリジニル、キノリル、ピロリル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソシニル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択され、R3は、0〜3個の間の置換基で置換されており、0〜3個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、イソプロピル、t−ブチル、プロピルオキシ、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、アリルオキシ、(メチル)(フェニル)アミノ、メタンスルホニル、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ、t−ブトキシカルボニル、ボロン酸部分、およびメチルカルボニルアミノから選択され、0〜1個の間の置換基は、独立して、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、(メチル)(フェニル)アミノ、N−モルホリニル、ピペリジル、ピロリジニル、チエニル、フリル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ビフェニリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される。
【0041】
他の実施形態では、R3は、独立して、フルオロ、ブロモメチル、メトキシ、およびヒドロキシメチルから選択される0〜3個の間の置換基を含む、フェニル、ナフチル、アントリル、ビフェニリル、フルオレニル、またはアセナフチルである。
【0042】
特定の実施形態では、R3は、フェニルであり、フェニル基は、次の置換パターンのうちの1つに従って置換される:(a)パラ位が非置換である(すなわち、水素を有する)、(b)フェニルが3位および5位に2個の置換基を含む、および(c)フェニルが、2位、3位、および5位から選択される少なくとも2個の置換基を有する。
【0043】
式Iの化合物のR3基に示される置換基は、式II、III、およびIVの化合物のR3基にも適した置換基であることが意図されることは当然理解される。
【0044】
本発明の別の態様によれば、本発明は、
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、フェニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、またはN−メチルベンゾトリアゾリルであるか、R1が、独立して、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、またはピロリルで置換されているフェニルであり、
Tが、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−(トランス)、エチニレン、またはアリルであり、
2が、フェニル、ナフチル、フリル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、R2は、0〜2個の基で置換されており、0〜2個の間の置換基は独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、およびヒドロキシメチルから選択され、かつ
3が、フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾフリル、インドリル、イソキノリニル、キノリル、ピリジニル、ピロリル、ベンゾチアジアゾリル、およびベンズイミダゾリルから選択され、
3は、0〜2個の間の置換基で置換されており、0〜2個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、ジメチルアミノ、およびメチルアミノから選択される、
式Iの化合物を提供する。
【0045】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、フェニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、C1-8ヒドロキシアルキル、またはN−メチルベンゾトリアゾリルであるか、あるいは、R1が、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ピリジニル、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびピロリルから選択される0〜1個の置換基で置換されており、
Tが、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−(トランス)、エチニレン、またはアリルであり、
2が、フェニル、ナフチル、フリル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、
(R2は、0〜3個の基で置換されており、0〜3個の間の置換基は、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、およびヒドロキシメチルから選択される)、
Xが、メチレンであり、
3が、フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾフリル、インドリル、ピロリジニル、イソキノリル、キノリル、ピロリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾチオフェニルから選択される
(R3は、0〜2個の間の置換基で置換されており、0〜2個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、ジメチルアミノ、およびメチルアミノから選択される)、
である、式Iの化合物を提供する。
【0046】
式Iの例示的な化合物は、下の実施例のセクションおよび表1〜4に説明される。
【0047】
C.使用、製剤、および投与
製薬上許容される組成物
本明細書に記載の化合物および組成物は、一般に、Th1細胞形成の阻害に有用である。特に、これらの化合物およびその組成物は、T−betの機能の阻害剤として有用である。従って、本発明の化合物および組成物は、したがって、Th1細胞および/またはT−betが介在する疾患および病徴の治療にも、特に適している。
【0048】
特定の一実施形態では、本発明の化合物および組成物は、T−betの機能の阻害剤であるため、本化合物および組成物は、T−betに関連する疾患または病徴を治療するため、またはそれらの重篤度を軽減するために特に有用である。
【0049】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物もしくはその製薬上許容される塩、および製薬上許容される担体、補助薬、または賦形剤を含む組成物を提供する。本組成物の量は、生体試料において、または患者において、T−betの機能を検出可能なように阻害および/または軽減するために有効であるような量である。好ましくは、本発明の組成物は、このような組成物を必要とする患者への投与のために製剤される。
【0050】
本明細書において、用語「検出可能なように阻害する」とは、化合物または組成物の不在下で、前記化合物または組成物、およびT−betを含む試料と、T−betを含む等価試料との間のT−betの機能における測定可能な変化を意味する。
【0051】
本明細書において用語「患者」とは、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を含む組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、式II、III、またはIVの化合物を含む組成物を提供する。さらに他の実施形態では、本発明は、実施例1〜301の任意の化合物を含む組成物を提供する。別の態様によれば、本発明は、ER 818561、ER 817135、ER 813508、ER 813509、ER 813493、ER 813510、ER 813511、ER 817118、ER 817137、ER 817119、ER 818573、ER 818567、ER 818550、およびER 813512から選択される化合物を含む組成物を提供する。さらに別の態様によれば、本発明は、ER 813499、ER 813081、ER 813077、ER 818528、ER 818574、ER 813411、ER 813078、ER 813521、ER 817116、ER 813080、ER 813519、ER 813492、ER 813452、ER 813410、およびER 812605から選択される化合物を含む組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、ER 818568、ER 813091、ER 813075、ER 818562、ER 813096、ER 819695、ER 813092、ER 813082、ER 820087、ER 813079、ER 813089、ER 813529、ER 813414、およびER 813516から選択される化合物を含む組成物を提供する。さらに他の実施形態では、本発明は、ER 818558、ER 818559、ER 818560、ER 818554、ER 818535、ER 818564、ER 818524、およびER 817117から選択される化合物を含む組成物を提供する。
【0053】
用語「製薬上許容される担体、補助薬、または賦形剤」とは、一緒に製剤される化合物の薬理活性を破壊しない無毒性担体、補助薬、または賦形剤をさす。本発明の組成物に用いられ得る製薬上許容される担体、補助薬、または賦形剤としては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩、グリシンなど)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が挙げられる。
【0054】
本発明の化合物の製薬上許容される塩には、製薬上許容される無機および有機酸ならびに無機および有機塩基から得られるものが含まれる。適した酸性塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パーム油脂肪酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。他の酸(シュウ酸など)は、それ自体では製薬上許容されないが、本発明の化合物およびそれらの製薬上許容される酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製に使用してよい。
【0055】
適当な塩基から得られる塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、およびN+(C1-4アルキル)4塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書において開示されている化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。そのような四級化により、水もしくは油溶性または水もしくは油分散性生成物を得てよい。
【0056】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻腔から、口内から、膣から、または植え込み型リザーバーを介して投与してよい。本明細書において用語「非経口」とは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下腔内、肝内、病変内、および頭蓋内注射または注入技術を包含する。好ましくは、本組成物は、経口的に、腹膜内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌注射剤型は、水性または油性懸濁液であってよい。これらの懸濁液は、当分野で公知の技術に従い、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤してよい。無菌注射用製剤はまた、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であってもよい。使用してよい許容される賦形剤および溶媒には、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来では、無菌の不揮発性油が溶媒または懸濁化媒質として使用される。
【0057】
このために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含む、任意の無刺激性の不揮発性油を使用してよい。脂肪酸(オレイン酸およびそのグリセリド誘導体など)は、天然の製薬上許容される油(オリーブ油またはヒマシ油など)と同様に、注射可能物質、特に、それらのポリオキシエチル化された型の調製において有用である。これらの油液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(乳剤および懸濁剤を含む製薬上許容される投薬形態の製剤に慣用されるカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤など)を含有してよい。製薬上許容される固体、液体、または他の投薬形態の製造に慣用される、その他のよく用いられる界面活性剤(Tweens、Spansなど)および他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハンサーも製剤目的に用いてよい。
【0058】
本発明の製薬上許容される組成物は、任意の経口的に許容される投薬形態で経口投与してよく、それらの投薬形態としては、限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤が挙げられる。経口用錠剤に用いる場合、慣用される担体としては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた一般に添加される。カプセル剤形態での経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用に水性懸濁剤を必要とする場合には、有効成分は乳化剤および懸濁化剤と配合される。必要に応じて、特定の甘味料、香味料または着色剤も添加してよい。
【0059】
あるいは、本発明の製薬上許容される組成物は、直腸投与用の坐剤として投与してよい。これらは、薬剤を刺激のない、適した補形薬と混合することにより調製することができ、この補形薬は室温では固体であるが直腸温で液体であり、そのため直腸内で溶解して薬物を放出する。そのような材料としては、カカオバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0060】
また、本発明の製薬上許容される組成物は、特に、治療標的が局所適用によって容易に接近可能な領域または器官(目、皮膚、または下部腸管の疾患を含む)を含む場合に局所投与されてよい。適した局所製剤は、これらの各領域または器官用に容易に調製される。
【0061】
下部腸管に対する局所適用は、直腸用坐剤製剤(上記参照)または適した浣腸製剤で達成できる。局所経皮パッチも用いてよい。
【0062】
局所適用の場合、製薬上許容される組成物は、1以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する、適した軟膏に製剤してよい。本発明の化合物の局所投与用の担体としては、限定されるものではないが、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋、および水が挙げられる。あるいは、製薬上許容される組成物は、1以上の製薬上許容される担体中に懸濁または溶解された活性成分を含有する、適したローション剤またはクリームに製剤することができる。適した担体としては、限定されるものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が挙げられる。
【0063】
眼科用途の場合、製薬上許容される組成物は、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含むまたは含まない、pH調整した等張滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁液として、または、好ましくは、pH調整した等張滅菌生理食塩水中の溶液として製剤してよい。あるいは、眼科用途の場合、製薬上許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏に製剤してよい。
【0064】
また、本発明の製薬上許容される組成物は、経鼻エアゾールまたは吸入により投与してよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適した防腐剤、バイオアベイラビリティを高める吸収促進剤、フルオロカーボン、および/またはその他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製してよい。
【0065】
最も好ましくは、本発明の製薬上許容される組成物は、経口投与用に製剤される。
【0066】
単回投薬形態の組成物を作出するために担体材料と配合してよい本発明の化合物の量は、治療を受ける宿主および特定の投与様式に従って異なる。好ましくは、阻害剤の0.01〜100mg/kg体重/日の間の投薬量を、これらの組成物を受ける患者に投与することができるように組成物を製剤すべきである。特定の実施形態では、本発明の組成物は、0.01mg〜50mgの間の投薬量を提供する。他の実施形態では、0.1〜25mg間、または5〜40mg間の投与量を提供する。
【0067】
また、任意の特定の患者に対する具体的な投薬量および治療計画は、様々な因子に従って決まり、それらの因子には、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、健康状態、性別、食生活、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、ならびに治療する医師の判断および治療下の特定の疾患の重篤度が含まれることも当然理解される。組成物中の本発明の化合物の量もまた、組成物中の特定の化合物に従って決まる。
【0068】
化合物および製薬上許容される組成物の使用
T−bet(T細胞で発現されるT−box)は、Th1/Th2バランスの重要なレギュレーターであるTh1特異的転写因子である。S.J.Szabo,et al.,Cell,100:655−669(2000)参照。T−betは、Th1細胞において選択的に誘導され、インターフェロン−γ遺伝子を転写活性化し、インターフェロン−γ産生を誘導し、極性Th2細胞をTh1経路へと移行することができる。T−betはまた、CD8+T細胞だけでなく、先天性免疫系の細胞(例えば、NK細胞および樹状細胞)におけるIFN−γ産生も制御する。従って、T−betの阻害剤は、過活動のTh1反応のバランスをとる際に治療的に有用であるため、Th1介在性疾患、例えば:炎症性腸疾患(クローン病)、関節リウマチ、多発性硬化症、および全身性エリテマトーデス(「SLE」)の治療において価値がある。
【0069】
一実施形態によれば、本発明は、生体試料を本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させる段階を含む、生体試料においてTh1細胞の形成を阻害する方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、生体試料を式I、II、III、およびIVのうちのいずれかの化合物と接触させる段階を含む、生体試料においてTh1細胞の形成を阻害する方法に関する。
【0070】
別の実施形態によれば、本発明は、生体試料を本発明の化合物、または前記化合物を含む組成物と接触させる段階を含む、生体試料においてT−bet活性を阻害する方法に関する。別の実施形態によれば、本発明は、生体試料を式I、II、III、およびIVのうちのいずれかの化合物と接触させる段階を含む、生体試料においてT−bet活性を阻害する方法に関する。
【0071】
本明細書において用語「生体試料」とは、限定されるものではないが、細胞培養物もしくはその抽出物、哺乳類から得られる生検材料もしくはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、または他の体液もしくはその抽出物を包含する。
【0072】
一実施形態によれば、本発明は、患者に本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を投与する段階を含む、患者においてTh1細胞の形成を阻害する方法に関する。他の実施形態では、本発明は、式I、II、III、およびIVのうちのいずれかの化合物を患者に投与する段階を含む、患者においてTh1細胞の形成を阻害する方法に関する。
【0073】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物を患者に投与する段階を含む、患者においてT−bet活性を阻害する方法に関する。別の実施形態によれば、本発明は、式I、II、III、およびIVのうちのいずれかの化合物を患者に投与する段階を含む、患者においてT−bet活性を阻害する方法に関する。
【0074】
別の実施形態によれば、本発明は、患者に本発明の組成物を投与する段階を含む、患者においてT−bet介在性疾患または状態の重篤度を治療または軽減するための方法を提供する。別の実施形態によれば、本発明は、式I、II、III、およびIVのうちのいずれかの化合物を含む組成物を患者に投与する段階を含む、患者においてT−bet介在性疾患または状態の重篤度を治療または軽減するための方法を提供する。
【0075】
本明細書において用語「T−bet介在性疾患」または「状態」とは、T−betが役割を果たしていることが分かっている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、本発明の別の実施形態は、T−betが役割を果たしていることが分かっている1以上の疾患の重篤度の治療または軽減に関する。具体的には、本発明は、それを必要する患者に本発明に従う組成物を投与することを含む、自己免疫疾患の重篤度を治療または軽減する方法に関する。
【0076】
別の実施形態によれば、本発明は、炎症性腸疾患(「IBD」)、より具体的には、クローン病(Neurath,M.F.et al.J.Exp.Med.2002,195,1129、およびMatsuoka,K.et al.Gut 2004,53,1303参照)、関節リウマチ(Chen,J.et al.Inflammation Res.2004,53,670参照)、多発性硬化症(Lovett−Racke,A.E.et al.Immunity 2004,21,719、およびBettelli,E.et al.J.Exp.Med.2004,200,79参照)、全身性エリテマトーデス(Peng,S.L.et al.PNAS 2002,99,5545参照)、1型糖尿病(Sasaki,Y.et al.Human Genetics 2004,115,177、およびJuedes,A.E.et al.J.Exp.Med.2004,199,1153参照)、HTLV−I関連脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺(Nishura,Y.et al.Tohoku J.Exp.Med.2004,204,289参照)、アテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)(Buono,C.et al.PNAS 2005,102,1596参照)、ホジキンリンパ腫(Dorfman,D.M.et al.Human Pathology 2005,36,10参照)、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫(Dorfman,D.M.et al.Am.J.Clin.Pathol.2004,122,292参照)、慢性リンパ性白血病、辺縁帯リンパ腫、および毛様細胞白血病(Dorfman,D.M.et al.Am.J.Clin.Pathol.2004,122,292参照)、ベーチェット病(Li,B.et al.Yanke Yanjiu 2004,22,1参照)、セリアック病(Monteleone,I.et al.Gut 2004,53,1090参照)、T細胞介在性肝炎(Siebler,J.et al.Hepatology 2003,38,1573参照)、視神経炎または視神経の炎症もしくは脱髄(Theodoridou,A.and Settas,L.,J.Neurol.Neurosurg.Psychiatry 77(3)290−5(2006)参照)、乾癬、強皮症、移植片対宿主病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、急性リウマチ熱、混合型本態性クリオグロブリン血症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性悪性貧血、自己免疫性アジソン病、白斑、重症筋無力症、原発性シェーグレン症候群、多発性筋炎、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、自己免疫性萎縮性胃炎、若年性糖尿病、類天疱瘡、交感性眼炎(sympathetic opthalmia)、水晶体起因性ブドウ膜炎、特発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎、皮膚筋炎、または円板状エリテマトーデスから選択される自己免疫疾患の重篤度を治療または軽減する方法に関する。
【0077】
別の実施形態によれば、本発明は、炎症性腸疾患(「IBD」)、より具体的には、クローン病、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、HTLV−I関連脊髄症/熱帯性痙性不全対麻痺、アテローム性動脈硬化症、ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、辺縁帯リンパ腫、および毛様細胞白血病、ベーチェット病、セリアック病、ならびにT細胞介在性肝炎から選択される自己免疫疾患の重篤度を治療または軽減する方法に関する。
【0078】
別の実施形態によれば、本発明は、乾癬、強皮症、移植片対宿主病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、急性リウマチ熱、混合型本態性クリオグロブリン血症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性悪性貧血、自己免疫性アジソン病、白斑、重症筋無力症、原発性シェーグレン症候群、多発性筋炎、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、自己免疫性萎縮性胃炎、若年性糖尿病、類天疱瘡、交感性眼炎、水晶体起因性ブドウ膜炎、特発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎、皮膚筋炎、または円板状LEから選択される自己免疫疾患の重篤度を治療または軽減する方法に関する。
【0079】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、式Iの化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、実施例1〜301の化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。別の態様によれば、本発明は、本明細書に記載されるように、ER 818561、ER 817135、ER 813508、ER 813509、ER 813493、ER 813510、ER 813511、ER 817118、ER 817137、ER 817119、ER 818573、ER 818567、ER 818550、およびER 813512から選択される化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。さらに別の態様によれば、本発明は、本明細書に記載されるように、ER 813499、ER 813081、ER 813077、ER 818528、ER 818574、ER 813411、ER 813078、ER 813521、ER 817116、ER 813080、ER 813519、ER 813492、ER 813452、ER 813410、およびER 812605から選択される化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、ER 818568、ER 813091、ER 813075、ER 818562、ER 813096、ER 819695、ER 813092、ER 813082、ER 820087、ER 813079、ER 813089、ER 813529、ER 813414、およびER 813516から選択される化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。さらに他の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるように、ER 818558、ER 818559、ER 818560、ER 818554、ER 818535、ER 818564、ER 818524、およびER 817117から選択される化合物を投与することによりT−bet介在性疾患を治療するための方法を提供する。
【0080】
本明細書に記載の本発明をさらに十分に理解するために、次の実施例を示す。これらの実施例が単に例示を目的とするものであり、いかなる方法によっても本発明を限定するものと解釈されないことは当然理解される。
【実施例】
【0081】
E.化学実施例
概要:マイクロ波加熱は、Emrys Liberator電子レンジを用いて行った。LC/MSは、Waters自動精製装置および19×100mm XTerra 5ミクロン MS C18カラムまたは20×50mm 5ミクロン PFC8カラムおよびMeOH/0.05% TFA(水溶液)またはアセトン/0.05% TFA(水溶液)移動相を用いて行った。最終化合物を、再びWaters自動精製装置および4.6×100mm XTerra 5ミクロン MS C18カラムおよびMeOH/0.05% TFA(水溶液)移動相を用いてLC/MSにより分析的に解析した。全ての最終化合物が純度>90%であると判定され、適した分光学的特性を示した。蒸発および濃縮はGenevac蒸発装置またはロータリーエバポレーターを用いて行った。
【0082】
本明細書において、「DMF」とは、ジメチルホルムアミドをさし、「DCE」とは、ジクロロエタンをさし、「NMP」とは、N−メチルピロリジンをさし、「DBU」とは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンをさし、「MTBE」とは、メチルt−ブチルエーテルをさし、「DMSO」とは、ジメチルスルホキシドをさす。
【0083】
本発明の化合物を調製するための一般的方法および実験を下に示す。特定の場合では、特定の化合物が例として説明される。しかし、当然のことではあるが、いずれの場合でも一連の本発明の化合物が、下に説明されるスキームおよび実験に従って調製されたことは当然理解される。
スキーム1
【化6】

【0084】
3類似体のためのスピロ−ピペリジンヒダントインスキャフォールドの合成のための例示的手順。上記スキーム1に表されるように、EtOH(250mL)およびH2O(250mL)中のN−Boc−4−ピペリドン(100g、502mmol)、NaCN(37g、755mmol)、および(NH42CO3(243g、253mmol)を、60℃にて一晩加熱した。周囲温度まで冷却するとすぐに、白色の固体を濾過し、温H2Oで洗浄し、真空乾燥させて134gを得た。固体(30g、112mmol)をDMF(300mL)に溶かし、NaH(鉱油中60%分散体5.4g、135mmol)を添加し、周囲温度にて約2時間攪拌し、次に3−メトキシベンジルブロミド(112mmol)を添加し、反応物を一晩攪拌した。典型的な水性の後処理によりER−811161−00を油状物質として得た。ER−811161−00をDMF(300mL)に溶かし、NaH(鉱油中60%分散体5.4g、135mmol)を添加し、周囲温度にて15分攪拌し、次に2−メトキシエチルブロミドを添加し、反応物を一晩攪拌した。典型的な水性の後処理によりBoc保護された中間体が得られ、それをジオキサン(100mL)中の4M HClに溶かした。2時間攪拌した後、反応物を濃縮して20.7gのER−811163−01を泡沫として得た。
スキーム2
【化7】

【0085】
アルデヒドを用いる還元的アミノ化のための例示的手順。上のスキーム2に表されるように、DCE中、スキャフォールド(0.10mmol)の0.20M溶液およびDCE中、TMAT(0.20mmol)の0.10M溶液を、アルデヒド(0.10mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した。反応を170℃にて180秒マイクロ波加熱し、濃縮し、残渣を10%DMSO水溶液に溶かし、反応混合物をLC/MSで精製した。
スキーム3
【化8】

【0086】
ケトンを用いる還元的アミノ化のための例示的手順。上のスキーム3に表されるように、DCE中、スキャフォールド(0.25mmol)の0.20M溶液およびDCE中、Ti(OiPr)4(0.53mmol)の0.75M溶液を、ケトン(0.50mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加し、170℃にて300秒マイクロ波加熱した。ポリマーに支持されるホウ化水素(Aldrich Amberlite(登録商標)IRA−400 2.5mmol/g、1.0mmol)およびEtOH(3.75mL)を添加し、反応物を100℃にて300秒間マイクロ波加熱した。PS−DEAM(Argonaut 1.63mmol/g、0.88mmol)およびDCE(1.25mL)を添加し、反応物をシェーカーの中に48〜72時間置き、次に濾過し、濃縮した。残渣をDMSOに溶かし、濾過し、反応混合物をLC/MSで精製した。
スキーム4
【化9】

【0087】
ピペリジンのアルキル化のための例示的手順。上のスキーム4に表されるように、NMP中、スキャフォールド(0.25mmol)の0.20M溶液およびDBU(0.50mmol)を、NMP(1.2mL)中、R3−X−ハロゲン化物(0.25〜0.375mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した。反応物を180℃にて60秒間マイクロ波加熱し、次にLC/MSで精製した。
スキーム5
【化10】

【0088】
3での鈴木カップリングのための例示的手順。上のスキーム5に表されるように、EtOH/NMP(2.25/l)中、スキャフォールド(0.10mmol)の0.183M溶液、EtOH中、Et3N(0.20mmol)の0.50M溶液、およびNMP中、Pd(Ph3P)2Cl2(0.0075mmol)の0.021M溶液を、R4−ボロン酸(0.30mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した(R4は、上に定義されるように、R3上のアリール置換基に相当する)。反応物を140℃にて360秒間マイクロ波加熱し、完全な反応のための必要に応じて再びマイクロ波加熱に付した。反応物を濾過し、LC/MSで精製した。
スキーム6
【化11】

【0089】
3でのアリールアミノ化のための例示的手順。上のスキーム6に表されるように、スキャフォールド(50mg、0.096mmol)、アミン(0.38mmol)、Pd(OAc)2(0.007mmol)、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(0.008mmol)、およびNaOtBu(0.10mmol)をDMF(0.5mL)に溶かし、130℃にて240秒間マイクロ波加熱し、完全な反応のための必要に応じて再びマイクロ波加熱に付した。反応物を濾過し、LC/MSで精製した。
スキーム7
【化12】

【0090】
1類似体のためのスピロ−ピペリジンヒダントインスキャフォールドの合成のための例示的手順。上のスキーム7に表されるように、EtOH(50mL)およびH2O(50mL)中、N−ベンジル−4−ピペリドン(20g、106mmol)、NaCN(7.9g、160.4mmol)、および(NH42CO3(52g、542mmol)を60℃にて一晩加熱した。周囲温度まで冷却するとすぐに、白色の固体を濾過し、温H2Oで洗浄し、真空乾燥させて27.4gを得た。固体(3.0g、11.6mmol)をDMF(30mL)に溶かし、NaH(鉱油中60%分散体0.51g、12.8mmol)を添加し、周囲温度にて約2時間攪拌し、次に3−メトキシベンジルブロミド(11.6mmol)を添加し、反応物を一晩攪拌した。典型的な水性の後処理により、MeOHから再結晶化することのできる固体として5.5gのER−811159を得た。
スキーム8
【化13】

【0091】
1類似体のためのスピロ−ピペリジンヒダントインスキャフォールドの合成のための代替的手順。上のスキーム8に表されるように、EtOH(50mL)およびH2O(50mL)中、N−ベンジル−4−ピペリドン(20g、106mmol)、NaCN(7.9g、160.4mmol)、および(NH42CO3(52g、542mmol)を60℃にて一晩加熱した。周囲温度まで冷却するとすぐに、白色の固体を濾過し、温H2Oで洗浄し、真空乾燥させて27.4gを得た。固体(3.5g、13.3mmol)、3−メトキシベンジルブロミド(13.3mmol)、およびDBU(20mmol)をNMP(30mL)に溶かし、5つのバイアルに分離し、各バイアルを180℃にて60秒マイクロ波加熱した。バッチを合し、典型的な水性の後処理に付し、次にMeOH/MTBE/ヘキサンから再結晶化させて2.2gのER−811159を得た。
スキーム9
【化14】

【0092】
アルキル化によるR1類似体のための例示的手順。上のスキーム9に表されるように、NMP(0.4mL)中のスキャフォールド(0.10mmol)溶液およびTHF中のLiHMDS 1M溶液(0.20mL、0.20mmol)を、R1−Q−ハロゲン化物(0.20mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した。反応物を180℃にて90秒間マイクロ波加熱し、次にDMSO/H2O(9/1)でクエンチし、LC/MSで精製した。
スキーム10
【化15】

【0093】
2類似体のためのスピロ−ピペリジンヒダントインスキャフォールドの合成のための例示的手順。上のスキーム10に表されるように、N−ベンジル−4−ピペリドン(142mmol)、2−メトキシエチルアミン(142mmol)、および濃HCl水溶液(12mL)をH2O(25mL)/MeOH(25mL)に溶かし、KCN(142mmol)のH2O(21mL)溶液を滴下した。反応物を16時間攪拌し、次に典型的な水性の後処理に付した。粗油状物質(111mmol)およびクロロスルホニルイソシアナート(111mmol)をCH2Cl2(30mL)に溶かし、90分攪拌し、次に濃縮し、残渣を1M HCl(水溶液)中で1時間還流した。典型的な水性の後処理およびクロマトグラフィーにより所望の化合物を得た。
スキーム11
【化16】

【0094】
アルキル化によるR2類似体のための例示的手順。上のスキーム11に表されるように、NMP(0.4mL)中のスキャフォールド(0.10mmol)溶液およびTHF中のLiHMDS 1M溶液(0.20mL、0.20mmol)を、R2−T−ハロゲン化物(0.30mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した。反応物を180℃にて90秒間マイクロ波加熱し、次にDMSO/H2O(9/1)でクエンチし、LC/MSで精製した。
スキーム12
【化17】

【0095】
アルキル化によるR2類似体のための代替的手順。上のスキーム12に表されるように、NMP(0.4mL)中のスキャフォールド(0.20mmol)溶液およびNMP中のDBU 2M溶液(0.20mL、0.40mmol)を、R2−T−ハロゲン化物(0.25mmol)を含有するマイクロ波反応チューブに添加した。反応物を180℃にて180秒間マイクロ波加熱し、次にLC/MSで精製した。
スキーム13
【化18】

【0096】
光延反応によるR2類似体のための例示的手順。上のスキーム13に表されるように、スキャフォールド(0.10mmol)、R2−T−アルコール(0.20mmol)、パーフルオロニルアゾジカルボキシレート(perfluoronylazodicarboxylate)(0.20mmol)、およびジフェニル(パーフルオロニルフェニル(perfluoronylphenyl))ホスフィン(0.30mmol)をTHF(0.7mL)に溶かし、60℃にて180秒間マイクロ波加熱し、次にLC/MSで精製した。
スキーム14
【化19】

【0097】
スピロ−ピペリジンヒダントインの調製のための代替的一般手順。上のスキーム14に表されるように、4−ピペリドン水和物(1.7g、11.1mmol)、炭酸ナトリウム(2.1g、19.8mmol)、NaI(1.0g、6.9mmol)およびR3X−臭化物(10mmol)をDMF(40mL)中で90℃にて一晩加熱した。反応物を濾過し、典型的な水性の後処理に付すと2.2gを生じた。EtOH(10mL)およびH2O(10mL)中のケトン(10mmol)、NaCN(0.75g、15.3mmol)、および(NH42CO3(5.0g、52mmol)を60℃にて一晩加熱した。周囲温度まで冷却するとすぐに、白色の固体を濾過し、温H2Oで洗浄し、真空乾燥させて2.2gを得た。固体(6.6mmol)をDMF(20mL)に溶かし、NaH(鉱油中60%分散体0.34g、8.5mmol)を添加し、周囲温度にて約2時間攪拌し、次にR2T−臭化物(6.6mmol)を添加し、反応物を一晩攪拌し、次に典型的な水性の後処理に付した。中間体(1.6mmol)をDMF(15mL)に溶かし、NaH(鉱油中60%分散体0.11g、2.75mmol)を添加し、周囲温度にて15分攪拌し、次にR1Q−臭化物(1.9mmol)を添加し、反応物を一晩攪拌した。典型的な水性の後処理およびクロマトグラフィーにより目的生成物を得た。
スキーム15
【化20】

【0098】
イミノヒダントイン(11)の調製のための例示的手順。上のスキーム15に表されるように、適した量のTHF中の適切に選択されたイソシアナート(1.1当量)の溶液にトリエチルアミン(0.15当量)を添加した。この後に、適した量のTHF中のアミノニトリル(3)の溶液をゆっくり添加した。反応溶液を0.5時間還流させた。反応物を室温まで冷却した。クロマトグラフィー精製により対応するイミノヒダントイン(11)を得た。
【0099】
ヒダントイン(12)の調製のための例示的手順。上のスキーム15に表されるように、適した量のメタノール中のイミノヒダントイン(11)の溶液に、1N HCl(2.5当量)を添加した。反応溶液を1時間還流し、次に冷却して室温まで戻した。塩基性の水性後処理により、対応するヒダントイン(12)を得た。
スキーム16
【化21】

【0100】
イミノヒダントイン(15)の調製のための例示的手順。上のスキーム16に表されるように、適した量のトルエン中のアミノニトリル(3)の溶液に、適切に選択されたイソシアナート(1.0当量)を添加し、続いてトリエチルアミン(0.6当量)を添加した。反応溶液を24時間還流し、次に、冷却して室温まで戻した。水性の後処理、続いてクロマトグラフィー精製により、対応するイミノヒダントイン(15)を得た。
【0101】
ヒダントイン(16)の調製のための例示的手順。上のスキーム16に表されるように、適した量のメタノール中のイミノヒダントイン(15)の溶液に、1N HCl(2.5当量)を添加した。反応溶液を1時間還流し、次に冷却して室温まで戻した。塩基性の水性後処理により、対応するヒダントイン(16)を得た。
スキーム17
【化22】

【0102】
ヒダントイン(26)の調製のための例示的手順。上のスキーム17に表されるように、適した量のDMF中のヒダントイン(7)の溶液に、NaH(1.5当量)を添加した。続いてヨウ化メチル(1.5当量)を添加した。反応溶液を一晩攪拌した。水性の後処理、続いてクロマトグラフィー精製により、対応するヒダントイン(26)を得た。
【0103】
本発明の化合物は、本明細書に記載される方法および当業者に公知の方法に従って調製された。そのような化合物には、下に示す表1、2、3、および4に記載されたものが含まれる。表1は、本発明の例示的な化合物の1H NMRデータを含む解析データを提供する。
表1.例示的な式Iの化合物の1H NMRデータ
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【表1F】

【表1G】

【表1H】

【表1I】

【0104】
表1中に言及されるHPLC分析法A1、A2、A3、A4、およびA5は以下の通り:
方法A1:
溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒B:アセトニトリル
流速:1.2ml/分
直線勾配:
【表2】

方法A2:
溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒B:メタノール
流速:2.0ml/分
直線勾配:
【表3】

方法A3:
溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒B:メタノール
流速:2.0ml/分
直線勾配:
【表4】

方法A4:
溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒B:メタノール
流速:2.0ml/分
直線勾配:
【表5】

方法A5:
溶媒A:水中0.05%トリフルオロ酢酸
溶媒B:メタノール
流速:2.0ml/分
直線勾配:
【表6】

【0105】
F:生物学的実施例
HEKT−bet−lucアッセイ:このアッセイは、ルシフェラーゼレポーターを駆動するヒトT−betおよびT−box応答配列を発現する、操作された(engineered)HEK細胞におけるT−bet依存性レポーター(ルシフェラーゼ)活性を測定する。HEKT−bet細胞を、2×104/ウェルで96ウェルプレートに蒔き、化合物を細胞培養に24時間加えた。ルシフェラーゼ活性を、50μlのSteady−Glo試薬(Promega)を添加して測定し、試料をVictor Vリーダー(PerkinElmer)で読み取った。試験化合物の不在下でのルシフェラーゼの量に相当する最大値、および最大阻害で得られた試験化合物値に相当する最小値を用いて、IC50値を計算した。
【0106】
正規化HEKT−bet IC50値の決定:化合物をマイクロタイタープレートでアッセイした。各プレートには、対照化合物ER−213038が含まれた。特定の化合物の正規化されていないIC50値を、同じマイクロタイタープレート中の対照化合物について測定されたIC50値で割って、相対効力値を得た。次に、相対効力値に対照化合物の確定効力を掛けて、正規化されたHEKT−bet IC50値を得た。このアッセイでは、ER−213038の確定効力は0.190μMであった。本明細書に提供されるIC50値は、この正規化法を用いて得られた。
【0107】
HEKアクチン−lucアッセイ:このアッセイは、アクチン−lucレポーターを発現する、操作されたHEK細胞におけるアクチンプロモーター活性を測定する。HEKアクチン細胞を、1×104/ウェルで96ウェルプレートに蒔き、化合物を細胞培養に24時間加えた。ルシフェラーゼ活性を上記のように測定した。本発明の一部の化合物をこのアッセイで試験した。
【0108】
JurkatIL4アッセイ:このアッセイは、IL4−lucを安定に発現するJurkat細胞におけるIL4プロモーター活性を測定する。ルシフェラーゼ活性を、PMAおよびイオノマイシンでの細胞の刺激から24時間後に上記のように測定した。本発明のいくつかの化合物をこのアッセイで試験した。
【0109】
EL4T−betアッセイ:このアッセイは、ヒトT−betを発現する、操作されたEL4細胞においてT−bet依存性の内因性IFNγ産生を測定する。細胞を最初に化合物または対照で15分間インキュベートした。次に、PMAを培地に添加した。刺激から48時間後に上清を回収し、IFNγレベルをELISA(Endogen社のキット)で測定した。本発明のいくつかの化合物をこのアッセイで試験した。
【0110】
インビトロマウスTh分化アッセイ。ナイーブCD4 T細胞を、磁気細胞分離システム(Miltenyi Biotec)によりTCRトランスジェニック DO11.10マウスから精製した。単離した細胞を、0日目に96ウェル平底プレートに1×105 CD4T細胞/5×105 フィーダー細胞/200μl/ウェルで蒔いた。細胞を、それぞれTh0(mIL2 10ng/ml、OVAペプチド 0.3μg/ml)、Th1(mIL2 10ng/ml、OVA ペプチド 0.3μg/ml、mIL12 5ng/mlおよび抗IL4 Ab 10μg/ml)およびTh2(mIL2 10ng/ml、OVAペプチド0.3μg/ml、mIL4 10ng/mlおよび抗IFNγ Ab 10μg/ml)条件で化合物とともに培養した。3日目に、細胞を等しく3つの培養に分割し、最終培養容積の200μlをさらに3日間インキュベートした。細胞数を6日目に計数し、1×106/mlの細胞を抗CD3プレコートプレート(10μg/ml)上で24時間再び刺激した。ELISAによるサイトカイン解析のため上清を回収した。アラマーブルーを残りの細胞培養にさらに24時間添加してT細胞増殖/毒性をモニターした。本発明のいくつかの化合物をこのアッセイで試験した。
【0111】
B細胞 IgG2a/IgG1分泌アッセイ。ナイーブB細胞を、磁気細胞分離システム(Miltenyi Biotec)によりBALB/cマウスから精製し、0日目に96ウェル平底プレートに1×105細胞/ウェルで蒔いた。細胞を、IgG2a産生のために100ng/mlのIFNγとともに25μg/mlのLPSで、または、IgG1産生のために10ng/mlのIL4とともに25μg/mlのLPSで6日間刺激した。6日目に、IgG2a/IgG1レベルのELISA解析のために上清を回収した。アラマーブルーを残りの細胞培養に添加し、さらに4時間以上培養してB細胞増殖/毒性をモニターした。本発明のいくつかの化合物をこのアッセイで試験した。
【0112】
例示的な本発明の化合物を、上記のHEKT−bet−lucアッセイ中の、上に示した方法に従ってアッセイした。下の表2は、上の段落[0104]に記載されるHEKT−bet−lucアッセイにより測定したIC50が約2.0μMまでの例示的な本発明の化合物を示す。
表2.例示的な化合物のIC50データ
【表7】

【0113】
下の表3は、上の段落[0104]に記載されるHEKT−bet−lucアッセイにより測定したIC50が0.6〜2.0μMの本発明の例示的な化合物を示す。
表3.例示的な化合物のIC50データ
【表8A】

【表8B】

【表8C】

【表8D】

【表8E】

【表8F】

【表8G】

【表8H】

【表8I】

【表8J】

【0114】
下の表4は、上の段落[0104]に記載されるHEKT−bet−lucアッセイにより測定したIC50が0.6μMまでの本発明の例示的な化合物を示す。
表4.例示的な化合物のIC50データ
【表9−1】

【表9−2】

【表9−3】

【表9−4】

【表9−5】

【表9−6】

【表9−7】

【表9−8】

【表9−9】

【表9−10】

【表9−11】

【表9−12】

【表9−13】

【表9−14】

【表9−15】

【表9−16】

【表9−17】

【表9−18】

【表9−19】

【表9−20】

【表9−21】

【表9−22】

【表9−23】

【表9−24】

【表9−25】

【表9−26】

【表9−27】

【表9−28】

【表9−29】

【表9−30】

【表9−31】

【表9−32】

【表9−33】

【表9−34】

【表9−35】

【表9−36】

【表9−37】

【表9−38】

【0115】
インビボアッセイ 本発明の化合物は、当業者に公知の方法を用いてインビボでアッセイされる。特に、本化合物は、コラーゲン誘導関節炎(「CIA」)モデルを用いて当分野で十分確立された方法を用いてアッセイされる。それに加えて、本化合物は、多発性硬化症に関して確立されたモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)アッセイを用いてアッセイされる。このアッセイは、Hart,et al,「Modelling of multiple sclerosis:lessons learned in a non−human primate.」Lancet:Neurology Vol.3,issue 10(2004)pp 588−597に記載される方法に実質的に同様な方法で行われ得る。
【0116】
本発明者らは、本発明の多数の実施形態を記載してきたが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を用いるその他の実施形態を得るために変更され得ることは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として示した具体的な実施形態により制限されるのではなく、添付の特許請求の範囲により定義されることが当然理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

{式中、Qは、メチレンまたはエチレンであり、
1は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-8ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、フェニル、インドリル、キノリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンゾトリアゾリル、ヒドロキシエチル、プロペニル、(エトキシカルボニル)プロピル、またはテトラヒドロピラニルオキシブチルであり、
〔R1は、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ヒドロキシエチル、アセトアミド、ピロリル、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基、ならびに、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される0〜1個の置換基を有するか、
または、QおよびR1は一括して水素である〕、
Tは、C=O、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスもしくはトランス)、プロペニレン、−CH=CH−CH2−(シスもしくはトランス)、−CH2−CH=CH−(シスもしくはトランス)、エチニレン、またはビニレンであり、
2は、C2-6アルケニル、C1-12アルキル、フェニル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、フリル、イソキノリニル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、アントリル、およびベンゾチエニルから選択され、
〔R2は、0〜2個の置換基で置換されており、0〜2個の間の置換基は、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ジメチルアミノ、t−ブチル、およびイソブトキシから選択され、0〜1個の間の置換基は、フェニル、ピリジル、ピラゾリル、フリル、ベンゾイル、ピロリル、ピリジニル、ナフチル、フェノキシ、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル、およびシクロプロピルから選択される〕、
Xは、共有結合、メチレン、エチレン、またはプロペニレンであり、かつ
3は、フェニル、ビフェニリル、チオフェニル、ビチオフェニリル、ジフェニルメタニル(diphenylmethanyl)、トリアゾリル、チエニル、ベンゾフリル、フェナントリル、アントリル、フルオレニル、アセナフチル、ピレニル、インダニル、アダマンチル、カルバゾリル、N−メチルカルバゾリル、インドリル、ピロリジニル、キノリル、ピロリル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソシニル(benzodioxocinyl)、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される、
〔R3は、0〜4個の置換基で置換されており、0〜4個の間の置換基は、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、イソプロピル、t−ブチル、プロピルオキシ、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、アリルオキシ、(メチル)(フェニル)アミノ、メタンスルホニル、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ、t−ブトキシカルボニル、ボロン酸部分、およびメチルカルボニルアミノから選択され、0〜2個の間の置換基は、独立して、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、(メチル)(フェニル)アミノ、N−モルホリニル、ピペリジル、ピロリジニル、チエニル、フリル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ビフェニリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される〕}、
の化合物、あるいは、その製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミド。
【請求項2】
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、イソプロピル、フェニル、インドリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、N−メチルベンキソトリアゾリル(methylbenxotriazolyl)、またはヒドロキシエチルであり、かつ、R1が0〜2個の置換基を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
2が、C2-4アルケニル、フェニル、ナフチル、フリル、イソキノリニル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、かつ、R2が、0〜2個の基で置換されており、0〜2個の間の置換基が、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、フルオロ、およびヒドロキシメチルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xがメチレン、エチレン、またはプロペニレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Xがメチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Tが、−CH2−、−CH=CH−(シスもしくはトランス)、−CH=CH−CH2−(シスもしくはトランス)、−CH2−CH=CH−(シスもしくはトランス)、エチニレン、またはビニレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Tが、メチレン、−CH=CH−CH2−(トランス)、または−CH2−CH=CH−(トランス)である、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Qがメチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Qがエチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
3が、フェニル、ビフェニリル、チオフェニル、ビチオフェニリル、トリアゾリル、チエニル、ベンゾフリル、フェナントリル、インドリル、ピロリジニル、キノリル、ピロリル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソシニル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択され、
3が、0〜3個の置換基で置換されており、0〜3個の間の置換基が独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、イソプロピル、t−ブチル、プロピルオキシ、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、アリルオキシ、(メチル)(フェニル)アミノ、メタンスルホニル、t−ブトキシカルボニルメチルアミノ、t−ブトキシカルボニル、ボロン酸部分、およびメチルカルボニルアミノから選択され、0〜1個の間の置換基が独立して、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、(メチル)(フェニル)アミノ、N−モルホリニル、ピペリジル、ピロリジニル、チエニル、フリル、ヒドロキシフェニル、ナフチル、メチルナフチル、メトキシナフチル、ジメチルチエニル、ベンズイミダゾリル、インドリル、キノリニル、ジベンゾフラニル、ベンゾフラニル、ビフェニリル、およびベンゾ[d][1,3]ジオキソリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
3が、独立して、フルオロ、ブロモメチル、メトキシ、およびヒドロキシメチルから選択される0〜3個の間の置換基を有する、フェニル、ナフチル、アントリル、ビフェニリル、フルオレニル、またはアセナフチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
1が、メトキシメチル、ヒドロキシメチル、またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
1が、水素、C1-4アルキル、C1-4ヒドロキシアルキル、(C1-3アルコキシ)C1-3アルキル、C1-3アルキルチオ、C2-5アルケニル、ヒドロキシエチル、プロペニル、または(エトキシカルボニル)プロピルであり、R1が、独立して、シアノ、メチル、メトキシ、ヒドロキシエチル、アセトアミド、およびプロペニルから選択される0〜3個の置換基を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
2が、独立して、メトキシ、トリフルオロメトキシ、フルオロ、およびメチルから選択される0〜3個の間の置換基を有するフェニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、フェニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、またはN−メチルベンゾトリアゾリルであるか、あるいは、R1が、独立して、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、またはピロリルで置換されているフェニルであり、
Tが、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−(トランス)、エチニレン、またはアリルであり、
2が、フェニル、ナフチル、フリル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、R2が、0〜2個の基で置換されており、0〜2個の間の置換基が、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、およびヒドロキシメチルから選択され、かつ
3が、フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾフリル、インドリル、イソキノリニル、キノリル、ピリジニル、ピロリル、ベンゾチアジアゾリル、およびベンズイミダゾリルから選択され、
3が、0〜2個の間の置換基で置換されており、0〜2個の間の置換基が、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、ジメチルアミノ、およびメチルアミノから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
1が、水素、メチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、メトキシメチル、メチルチオ、フェニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジニル、フリル、C1-8ヒドロキシアルキル、またはN−メチルベンゾトリアゾリルであるか、または、R1が、メチル、メトキシ、ピラゾリル、フリル、ピリジニル、ベンゾトリアゾリル、N−メチル−ベンゾトリアゾリル、およびピロリルから選択される0〜1個の置換基で置換されており、
Tが、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH=CH−CH2−(トランス)、エチニレン、またはアリルであり、
2が、フェニル、ナフチル、フリル、キノリル、インドリル、ピラゾリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、チアゾリル、およびベンゾチエニルから選択され、
2が、0〜3個の基で置換されており、0〜3個の間の置換基が、独立して、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシル、およびヒドロキシメチルから選択される)、
Xが、メチレンであり、
3が、フェニル、ナフチル、チエニル、ベンゾフリル、インドリル、ピロリジニル、イソキノリル、キノリル、ピロリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンズイミダゾリル、およびベンゾチオフェニルから選択され、
3が、0〜2個の間の置換基で置換されており、0〜2個の間の置換基が、独立して、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、エテニル、エトキシ、エチル、ジメチルアミノ、およびメチルアミノから選択される、
請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
ER 818561、ER 817135、ER 813508、ER 813509、ER 813493、ER 813510、ER 813511、ER 817118、ER 817137、ER 817119、ER 818573、ER 818567、ER 818550、およびER 813512から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
ER 813499、ER 813081、ER 813077、ER 818528、ER 818574、ER 813411、ER 813078、ER 813521、ER 817116、ER 813080、ER 813519、ER 813492、ER 813452、ER 813410、およびER 812605から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
ER 818568、ER 813091、ER 813075、ER 818562、ER 813096、ER 819695、ER 813092、ER 813082、ER 820087、ER 813079、ER 813089、ER 813529、ER 813414、およびER 813516から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
ER 818558、ER 818559、ER 818560、ER 818554、ER 818535、ER 818564、ER 818524、およびER 817117から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
式II:
【化2】

〔式中、
Qは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-6アルキレン鎖であり、
1は、任意で置換されているフェニル環、または、任意で置換されている、1〜2個の窒素を有する6員のヘテロアリール環であり、
Tは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-6アルキレン鎖であり、
2は、任意で置換されているフェニルもしくはナフチル環、または、任意で置換されている、独立して、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリール環であり、
Xは、直鎖もしくは分枝鎖の飽和もしくは不飽和C1-4アルキレン鎖であり、かつ
3は、フェニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、チエニル、フリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イソキサゾリル、またはチアゾリルであり、R3は、任意でピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシ、メチル、t−ブチル、ピリジル、−メチルアミノ、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、アミノ、ヒドロキシル(hydoxyl)、ヒドロキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または−SO2フェニルで置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミド。
【請求項22】
式III:
【化3】

〔式中、
Qは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、−(CH22S−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡CCH2CH2−、−CH2C(=O)CH2−、−(CH24C(=O)OCH2CH2−、−(CH25C(=O)OCH2CH2−、−(CH26C(=O)OCH2CH2−CH2C(=O)N(Et)CH2CH2−、または−CH2CH2N(CH3)CH2−であり、
1は、CN、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、フェニル、イソキサゾリル、ピロリル、ベンズトリアゾリル、シクロヘキシル、シクロプロピル、またはチエニルであり、
Tは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、−(CH22S−、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2CH=CHCH2−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡C−または−CH2C≡CCH2CH2−であり、
2は、任意で置換されているフェニル、ナフチル、キノリニル、フタルイミジル、イソキノリニル、インドリル、チエニル、フリル、イソキサゾリル、またはチアゾリルであり、
Xは、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2C≡C−、−CH2CH=CH−、−CH2C(CH3)−CH−または−CH2CH(CH3)−であり、かつ
3は、フェニルまたはナフチルであり、R3は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシ、メチル、t−ブチル、ピリジル、メチルアミノ、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、アミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または−SO2フェニルで任意で置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミド。
【請求項23】
式IV:
【化4】

〔式中、
Qは、−CH2O−、−(CH22O−、−(CH23O−、−(CH24O−、−(CH26O−、−CH2OCH2−、−(CH22OCH2−、−(CH23OCH2−、−(CH24OCH2−、−(CH26OCH2−、または−(CH22S−であり、
1は、水素であり、
Tは、−CH2−、−(CH22−、−(CH23−、−(CH24−、−CH2CH=CH−、−CH2CH=CHCH2−、−CH2C(=CH2)CH2−、−CH2CH2CH=CH−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2C(=O)OCH2−、−CH2CH=C(CH3)CH2CH2CH=C(CH3)−、−CH2C≡C−または−CH2C≡CCH2CH2−であり、
2は、任意で置換されているフェニルまたはナフチルであり、
Xは、−CH2−であり、かつ
3は、フェニルもしくはナフチル環であり、R3は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、フェニル、−N(Me)フェニル、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシ、メチル、t−ブチル、ピリジル、−NHMe、−C(=O)OMe、−C(=O)OCH2フェニル、アミノ、ヒドロキシル、ヒドロキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、または−SO2フェニルで任意で置換されている〕、
の化合物、あるいはその製薬上許容される塩、C1-6アルキルエステルもしくはアミド、またはC2-6アルケニルエステルもしくはアミド。
【請求項24】
請求項1、15、16、17、18、19、または20に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項25】
治療を必要とする患者に請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物を投与する段階を含む、患者において関節リウマチを治療するための方法。
【請求項26】
患者において関節リウマチを治療するための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項27】
治療を必要とする患者に請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物を投与する段階を含む、患者において多発性硬化症を治療するための方法。
【請求項28】
患者において多発性硬化症を治療するための薬剤の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項29】
治療を必要とする患者に請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物を投与する段階を含む、自己免疫疾患を治療するための方法。

【公表番号】特表2008−542304(P2008−542304A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513820(P2008−513820)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/020848
【国際公開番号】WO2006/128143
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】