説明

ヒトのシラミのコントロール用製剤

【課題】ヒトに安全であり、かつシラミに毒物学的プロフィールを有する製剤の提供。
【解決手段】農業用殺虫剤であるが、優れたヒト安全性および毒物学的プロフィールを有する、スピノシン、または生理学的に許容できるその誘導体若しくは塩を含む安全な殺シラミ製剤であり、好ましい製剤および方法はシャンプー、ローションおよびコンディショナー等のヘアケア製剤、およびヒトにおけるシラミ寄生をコントロールするためのそれらヘアケア製剤の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シラミによる人体への寄生は、米国を含む多くの国で増々流行している社会および健康問題である。シラミは非常に小さい昆虫である(長さ約2〜3mm)。シラミは毛髪または織物繊維上に卵を堆積させ、セメント様分泌物によってそれらにしっかり結合する。卵は温度に依存して約6〜10日以内に一般にふ化する。卵からの若虫発生後に残る空の殻は白色の砂粒のように見える。これらの殻はシラミ卵と呼ばれる。
【0002】
シラミ類(Anoplura)は哺乳動物のほとんどすべての群に見出される寄生生物である。Anopluraの15の認識されたファミリーの中で、2つのファミリー、PediculidaeおよびPthiridaeはヒトに見出される種である。Pediculus humanusはヒトに寄生するPediculidaeファミリーの唯一の種である。それは頭シラミ、Pediculus humanus capitisおよび体または衣服シラミ、Pediculus humanus humanus(時にはPediculus corporisと呼ばれる)を含む。ケジラミ、Pthirus pubisは別の種であり、ヒトに寄生するPthiridaeファミリーの唯一のメンバーである。本明細書で用いる用語「ヒトのシラミ」には、Pediculus humanusまたはPthirus pubisのメンバーが含まれる。
【0003】
ヒトのシラミは群がりおよび衣服やくしの共用により拡がる。最初、寄生は刺激をもたらすだけであるが、その刺激は刺激された領域の感染へとつながる。シラミにより主に伝達される少なくとも3つの大きい病気がある:発疹チフス、五日熱および回帰熱。
【0004】
多様なヒトのシラミは関連するが、それらのそれぞれは寄生部位と食料に関して特異的な特徴を有する。例えば、頭シラミは小さい、硬い殻の外部寄生虫であり、食料をとり、つがい、そして卵を置きながら毛髪の軸にぴったりとくっつく。そのシラミは頭に残らなければならず、さもないと短時間のうちに死ぬであろう。頭シラミは信じられない速度で増殖する。シラミがつがうと、ふ化後10時間以内に増殖する。理想的な条件下では、雌のシラミはその一生のうちに300迄の卵を作り得る。理想的な条件には、適当な食料供給、約28℃〜32℃の環境温度、および約70%〜90%の相対湿度が含まれる。
【0005】
良くない衛生的および身繕い習慣もシラミの広がりの大きな原因となることが知られている。このように、居住者が標準以下の衛生設備および慣習を有する地域においてはシラミの寄生は最もゆゆしい。しかしシラミは条件が比較的衛生的な場合でさえ問題であり得る。
【0006】
シラミの硬いキチン性の外骨核は外部因子からの保護として働く。シラミの卵は、その回りのキチン性の鞘により同様に保護され、毛髪の軸に付着している。シラミは殺虫剤の使用により影響を受け得るが、卵はしばしば攻撃に対し抵抗性がある。従ってシラミ寄生の最適の処置は成虫のシラミを殺す殺シラミ剤、および卵の発育を妨げる殺卵剤の両方が含まれる。
【背景技術】
【0007】
生物学的に活性な薬剤がシラミをコントロールするため使用されてきた。例えばリンデン(γベンゼンヘキサクロリド、有機リン酸塩(メラチオン)、天然のピレスリン、およびピレスロイドとして知られる合成化合物(ペルメスリン等)が、シラミ処理製剤において殺シラミ剤として用いられてきた。しかしこれらの薬剤には欠点がある。例えば、リンデンは安全プロフィールが悪く、シラミはそれへの耐性を発達させた。天然のピレスリンは、短時間の残存作用を提供するだけなのでしばしばの続行処置を必要とする。合成ピレスロイドは、天然の殺シラミ剤よりシラミに対し効果的であるが、処置を受けている被検者にしばしばより毒性である。
【0008】
スピノシン(A83453因子としても知られている)は、以下のものに対して活性を示す農業用殺虫剤である。1)サザンアワヨトウおよびLepidoptara目の他の昆虫、2)綿アリマキおよびHomoptera目の他のメンバー、および3)Diptera昆虫目のメンバーである、ステーブルフライ、クロバエおよび蚊。(米国特許第5,362,634号、下記)。スピノシンAは優れたヒトおよび動物安全性および毒物学的プロフィールを有する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ヒトにおけるシラミ寄生をコントロールする製剤に関するものであり、その製剤は、スピノシンまたは生理学的に許容されるその誘導体または塩、および生理学的に許容される担体を含む。本発明は更に、ヒトにおけるシラミ寄生をコントロールする方法に関し、その方法は、シラミをコントロールする量のスピノシン、または生理学的許容されるその誘導体/塩をヒトに局所的に投与することを含む。本発明の製剤および方法は、現在利用できるものより安全で効果的である。製剤の特別の利点は現在用いられている製品に耐性となったシラミの種に対するその有効性である。本発明の好ましい製剤および方法はシャンプー、ローションおよびコンディショナー等のヘアケア製剤、およびヒトにおけるシラミ寄生をコントロールするためのそれらヘアケア製剤の使用の方法である。本発明の特に有用な殺シラミ/殺卵(抗シラミ)製剤はヘアケア製剤である。特に有用なヘアケア製剤はシャンプーである。
【0010】
他の態様において本発明は、ヒトにおけるシラミをコントロールする薬剤の製造のための、スピノシンまたは生理学的に許容できるその誘導体若しくは塩、またはスピノシンまたはその誘導体若しくは塩のいずれかを含む製剤の使用を提供する。
【0011】
「シラミの寄生をコントロールする」という用語は、活性なシラミの寄生を処置すること、またはシラミ寄生にさらされ易いヒトにおける寄生を防止することを言う。
【0012】
スピノシンは天然由来の発酵生産物である。それらはSaccharopolyspora spinosaの培養により産生されるマクロライド系抗生物質である。その発酵はスピノシンAおよびスピノシンD(A83543AおよびA83543Dとも呼ばれる)を含む多くの因子を産生する。スピノシンAおよびスピノシンDは殺虫剤として最も活性な2つのスピノシンである。主にこれら2つのスピノシンを含む製品(およそ85%Aおよび15%D)がDow Agrosciencesからスピノサド(Spinosad)の名前で商業的に入手可能である。「spinosad」という名前はスピノシン「A」および「D」の短縮からきている。
【0013】
それぞれのスピノシンは通常でない四環性の環システムの部分である12員の多環性の環を有し、それに2つの異なる糖、アミノ−糖フォロサミンおよび中性糖2N,3N,4N−トリ−O−メチルラムノースが結合する。このユニークな構造がスピノシンを他の多環性の化合物と別のものにする。
【0014】
スピノシンA(A83543A)は、Saccharopolyspora spinosaの発酵ブロスから単離され同定された最初のスピノシンである。発酵ブロスを続いて調べたところ、A〜Jと標識化された多くのスピノシン(A83543A〜J)をS.spinosaの親株が産生することが明らかとなった。スピノシンAと比較して、スピンシンB−Jはフォロサミンのアミノ基、四環性の環システムの選択された部位および2N,3N,4N−トリ−O−メチルラムノースの置換パターンの相違により特徴づけられる。現在用いられているS. spinosaの株はスピノシンの混合物を産生し、その主成分はスピノシンA(約85%)およびスピノシンD(約15%)である。K〜Mと名付けられた更なるスピノシンがS. spinosaの変異株から同定された。
【0015】
本明細書で用いる「スピノシンまたはその誘導体」という用語は、個々のスピノシン因子(A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、WまたはY)、個々のスピノシン因子のN−脱メチル誘導体、またはそれらの組合せを言う。便利のために、「スピノシン成分」という用語も、個々のスピノシン、または生理学的に許容されるその誘導体若しくは塩、またはそれらの組合せを意味するよう本明細書で用いる。
【0016】
Boeck等は、米国特許第5,362,634号(1994年11月8日発行)、第5,496,932号(1996年3月5日発行)および第5,571,901号(1996年11月5日発行)に、スピノシンA〜HおよびJ(それらを彼らはA83543因子A,B,C,D,E,F,G,HおよびJと呼んだ)を記載した。Mynderse等は、米国特許第5,202,242号(1993年4月13日発行)にスピノシンL〜N(それらを彼らはA83543因子L、MおよびNと呼んだ)を記載し;Turner等は、米国特許第5,591,606号(1997年1月7日発行)および第5,631,155号(1997年5月29日発行)にスピノシンQ〜T(それらを彼らはA83543因子Q、R、SおよびTと呼んだ)、それらのN−脱メチル誘導体、およびそれらの塩を記載した。これらの特許は本明細書の一部を構成する。スピノシンK、O、P、U、V、WおよびYは、例えば、アメリカ化学会のシンポジウムシリーズ:害虫コントロールのための植物化学剤、第11章「スピノシンの物理的および生理学的性質:発酵からの新規なマクロライド害虫コントロール剤」、146〜154頁(1997)にCarl V.DeAmicis, James E.Dripps, Chris J.Hatton およびLanra I.Karrにより記載されている。
【0017】
スピノシンは反応して塩を形成し得る。生理学的に許容し得る塩も本発明の製剤および方法に有用である。塩は塩製造の標準的な方法を用いて製造する。例えば、スピノシンAは適当な酸で中和して酸付加塩を形成できる。スピノシンの酸付加塩は特に有用である。代表的な適当な酸付加塩には、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コール酸、パモ(pamoic)酸、ムチン酸、グルタミン酸、ショウノウ酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、ケイ皮酸等の有機または無機酸との反応により形成される塩がある。
【0018】
スピノシン成分の外に、本発明の製剤は、シラミに対する活性を有する1以上の化合物、例えば合成ピレスロイド、天然のピレシンおよびリンデンを更に含んでもよい。本明細書におけるすべての比、パーセントおよび部は特記しない限り「重量」である。
【0019】
本発明の抗シラミ製剤は多くの方法で製剤化し得る。特に有用な製剤はシャンプー、コンディショナー、およびローションである。これらの製剤は1以上の以下のものをも含み得る:a)界面活性剤;b)約1%〜10%の非揮発性シリコン物質;および/またはc)約0.5%〜5%の懸濁化剤。
【0020】
本発明のシャンプー製剤は、水、界面活性剤、およびアミドと共にスピノシンまたは生理学的に許容し得るその誘導体若しくは塩を含み、場合により他の抗シラミ剤、シリコン剤、懸濁化剤、および他の化粧品として許容し得る成分を含んでもよい。
【0021】
ヒトの毛髪は周囲の大気との接触および頭が分泌する脂の集積によりよごれる。毛髪がよごれた場合、汚い感じと美しくない外観を有する。本発明のシャンプー製剤は毛髪をきれいにし、シラミ寄生を有効にコントロールする。
【0022】
シャンプー製剤中で用いる場合、スピノシン成分は約0.1%〜30%、好ましくは約1%〜10%のレベルで存在する。
【0023】
これらの製剤での使用に適する界面活性剤は、いずれかの様々な合成のアニオン性、両性、双性イオン性、および非イオン性界面活性剤であり得る。界面活性剤は、約5%〜30%、好ましくは約15%〜25%のレベルでシャンプー製剤中に一般に存在する。
【0024】
合成のアニオン性界面活性剤の例は、8〜22の炭素原子を含むアルキル基およびスルホン酸または硫酸エステル基を有する有機の硫酸反応生成物のアルカリ金属塩である(アルキルという用語には高級アシル基のアルキル部分を含む)。アルキル硫酸のナトリウム、アンモニウム、カリウムまたはトリエタノールアミン塩が好ましく、特に高級アルコール(C8−C18炭素原子)を硫酸化することにより得られたもの;ココナツ油脂肪酸モノグリセリド硫酸およびスルホン酸ナトリウム;1モルの高級脂肪アルコール(例えば牛脂またはココナツ油アルコール)および1〜12モルのエチレンオキサイドの反応生成物の硫酸エステルのナトリウムまたはカリウム塩;1分子当り1〜10単位のエチレンオキサイドを有し、アルキル基が8〜12炭素原子を含む、アルキルフェノールエチレンオキサイドエーテル硫酸のナトリウムまたはカリウム塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸ナトリウム、イセチオン酸でエステル化され水酸化ナトリウムで中和された、10〜22の炭素原子を有する脂肪酸の反応生成物;および脂肪酸とサルコシンの縮合生成物の水溶性の塩が望ましい。
【0025】
双性イオン性界面活性剤の例は、脂肪族の4級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物の誘導体であり、脂肪族基は直鎖または分枝であり得、脂肪族置換基の1つは約8〜18の炭素原子を有し、1つはアニオン性の水溶化基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを有する。これらの化合物の一般的な式は、
【化1】

(式中、
2は約8〜18の炭素原子のアルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキル基、0〜約10のエチレンオキサイド部分、および0〜1のグリセリル部分を含み;Yは窒素、リン、またはイオウ原子であり;R3は1〜約3の炭素原子を含むアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり;XはYがイオウである場合には1で、Yが窒素またはリンである場合には2であり;R4は1〜約4の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり;そしてZはカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネートまたはホスフェート基である)である。
【0026】
例としては以下のものを含む:
4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート;
5−[S−3−ヒドロキシプロピル−S−ヘキサデシルスルホニオ]−3−ヒドロキシ−ペンタン−1−サルフェート;
3−[P,P−ジエチル−P−3,6,9−トリオキサテトラデキソシルホスホニオ]−2−ヒドロキシプロパン−1−ホスフェート;
3−[N,N−ジプロピル−N−3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルアンモニオ]−プロパン−1−ホスフェート;
3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアモンニオ)プロパン−1−スルホネート;
3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート;
N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシドデシル)アンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート;
3−[S−エチル−S−(3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル)スルホニオ]−プロパン−1−ホスフェート;
3−[P,P−ジメチル−P−ドデシルホスホニオ]−プロパン−1−ホスホネート;および
5−(N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシペンタン−1−サルフェート。
【0027】
ベタイン等の他の双性イオン性界面活性剤も本発明の製剤に有用である。ベタインと例には、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチル−α−カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ−カルボキシプロピルベタインおよびラウリル−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−α−カルボキシエチルベタイン等の高級アルキルベタインがある。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン等により代表され得る。RCONH(CH2)3基がベタインの窒素原子に結合しているアミドベタインおよびアミドスルホベタインも本発明の製剤に有用である。
【0028】
本発明の製剤に用い得る両性界面活性剤の例は、脂肪族の2級または3級アミンの誘導体であるものであり、そこにおいて脂肪族基は直鎖または分枝であり、脂肪族置換基の1つは約8〜18の炭素原子を含み、一つは、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェートまたはホスホネート等のアニオン性の水可溶化基を含む。両性界面活性剤の例は、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、N−ドデシルアミンのイセチオン酸との反応によって得られたもの(米国特許第2,658,072号、実施例3参照)のようなN−アルキルタウリン、N−高級アルキルアスパラギン酸(米国特許第2,438,091号参照)、および米国特許第2,528,378号に記載され商品名「ミクラノール」の名称で販売されている製品がある。
【0029】
アニオン性、両性または双性イオン性界面活性剤と好ましくは組合せて用いる非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキサイド基(親水性である)の、有機の疎水性化合物(脂肪族またはアルキル芳香族であり得る)との縮合により製造される化合物である。非イオン性界面活性剤には以下のものを含む。
【0030】
1)アルキルファノールのポリエチレンオキサイド縮合物、例えば約6〜12炭素原子を有し、直鎖または分枝鎖のアルキル基を有するアルキルフェノールのエチレンオキサイドとの縮合生成物(エチレンオキサイドはアルキルフェノール1モル当り10〜60モルのエチレンオキサイドに等しい量存在する)。これらの化合物におけるアルキル置換基は、例えば重合したプロピレン、ジイソブチレン、オクタンまたはノナンに由来し得る。
【0031】
2)プロピレンオキサイドおよびエチレンジアミン反応生成物とのエチレンオキサイドの縮合物(疎水性および親水性要素間の所望のバランスにより製剤において変わり得る)。例えば、エチレンジアミンと過剰のプロピレンオキサイドの反応生成物を含み、2,500〜3,000のオーダーの分子量を有する疎水性ベースとのエチレンオキサイド基の反応から生ずる約40%〜80重量%のポリオキシエチレンを含み、約5,000〜約11,000の分子量を有する化合物は適当である。
【0032】
3)直鎖または分枝鎖の8〜18の炭素原子を有する脂肪族アルコールのエチレンオキサイドとの縮合生成物、例えばココナツアルコール1モル当り10〜30モルのエチレンオキサイドを有するココナツアルコール−エチレンオキサイド縮合物(ココナツアルコール部分は10〜14の炭素原子を有する)
【0033】
4)以下の一般式に対応する長鎖3級アミンオキサイド
【化2】

式中、R1は約8〜18の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはモノヒドロキシアルキル基、0〜約10のエチレンオキサイド部分、および0〜1のグリセリル部分を含み;R2およびR3は1〜約3の炭素原子、0〜約1のヒドロキシ基、例えばメチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピル基を含む。式中の矢印は半極性結合を示す。これらの製剤での使用に適するアミンオキサイドの例は、ジメチルドデシルアミンオキサイド、オレイルジ(2−ヒドロキシエチル)アミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジメチル−デシルアミンオキサイド、ジメチル−テトラデシルアミンオキサイド、3,6,9−トリオキサヘプタデシルジエチルアミンオキサイド、ジ(2−ヒドロキシエチル)−テトラデシルアミンオキサイド、2−ドデコキシエチルジメチルアミンオキサイド、3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ(3−ヒドロキシプロピル)アミンオキサイド、およびジメチルヘキサデシルアミンオキサイドを含む。
【0034】
5)次の一般式の長鎖3級ホスフィンオキサイド:
【化3】

式中、Rは約8〜18の炭素原子のアルキル、アルケニルまたはモノヒドロキシアルキル基、0〜約10のエチレンオキシド部分、および0〜1のグリセリル部分を含み、R’およびR”はそれぞれ1〜3の炭素原子を含むアルキル、モノヒドロキシアルキル基である。式中の矢印は半極性結合である。
【0035】
適当なホスフィンオキサイドの例には以下のものがある:
ドデシルジメチルホスフィンオキサイド、テトラデシルジメチルホスフィンオキサイド、テトラデシルメチルエチルホスフィンオキサイド、3,6,9−トリオキサオクタデシルジメチルホスフィンオキサイド、セチルジメチルホスフィンオキサイド、3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ(2−ヒドロキシエチル)ホスフィンオキサイド、ステアリルジメチルホスフィンオキサイド、セチルエチルプロピルホスフィンオキサイド、オレイルジエチルホスフィンオキサイド、ドデシルジエチルホスフィンオキサイド、テトラデシルジエチルホスフィンオキサイド、ドデシルジプロピルホスフィンオキサイド、ドデシルジ(ヒドロキシメチル)ホスフィンオキサイド、ドデシルジ(2−ヒドロキシエチル)ホスフィンオキサイド、テトラデシルメチル−2−ヒドロキシプロピルホスフィンオキサイド、オレイルジメチルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシドデシルジメチルホスフィンオキサイド。
【0036】
6)1〜3の炭素原子(通常メチル)の1の短鎖アルキルまたはヒドロキシアルキル基、および約8〜約20の炭素原子を含むアルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、またはケトアルキル基を含む1の長い疎水性鎖、0〜約10のエチレンオキサイド部分および0〜1のグリセリル部分を含む長鎖ジアルキルスルホオキサイド。例としては、オクタデシルメチルスルホオキサイド、2−ケトトリデシルメチルスルホオキサイド、3,6,9−トリオキサオクタデシル2−ヒドロキシエチルスルホオキサイド、ドデシルメチルスルホオキサイド、オレイル3−ヒドロキシプロピルスルホオキサイド、テトラデシルメチルスルホオキサイド、3−メトキシトリデシルメチルスルホオキサイド、3−ヒドロキシトリデシルメチルスルホオキサイド、および3−ヒドロキシ−4−ドデコキシブチルメチルスルホオキシドを含む。
【0037】
多くの更なるノンソープ界面活性剤がMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers, 1998 Annual、M.C.Publishing Company, Inc; McCutcheon Division, 175 Rock Rd., Glen Rock, N J, 07425, U.S.A.に記載されている。
【0038】
アニオン性界面活性剤、特にアルキルサルフェート、エトキシ化アルキルサルフェートおよびそれらの混合物、そしてまたアミドベタインが本発明のシャンプー製剤での使用に好ましい。
【0039】
アミドはシャンプー成分および活性成分を乳化することにより製剤のあわだちを高める。本製剤で用いるアミドはシャンプーで用いることが知られている脂肪酸のアルカノールアミドのいずれかであり得る。これらは一般に約8〜約14の炭素原子を有する脂肪酸のモノ−およびジエタノールアミドである。他の適当なアミドはPEG−3ラウルアミド等の多数のエポキシ基を有するものである。
【0040】
シャンプー製剤においては、アミドは一般に製剤の約1%〜7%、好ましくは約2〜約5%のレベルで存在する。好ましいアミドはココナツモノエタノールアミド、ココナツジエタノールアミドおよびそれらの混合物である。
【0041】
本発明のシャンプー製剤は水をも含む。水は典型的には約50%〜80%、好ましくは約60%〜75%のレベルでシャンプー中に存在する。水を加えた後、製剤の比粘度は、Wells−Brookfield粘度計モデルDV‐CP‐2 DVII、モデルコーンCP−41を用いて、1RPMで26.7°で3分間測定して、一般に約4,000センチポイズ(cp)〜25,000cp、好ましくは約4,000cp〜12,000cp、最も好ましくは約4,000cp〜5,500cpの範囲である。製剤の粘度をこれらの範囲にするために粘度調節剤およびハイドロトロープを含ませてもよい。
【0042】
シャンプー製剤は、シリコン化合物、懸濁化剤、および製剤を化粧品としてより受容性にする成分等の1以上の任意的な成分も含んでもよい。
シリコン化合物は毛髪を整え、死んだシラミ、それらの卵およびシラミ卵の除去を促進する。非揮発性のシリコン物質は製剤の約1%〜10%のレベルで用いる。有用なシリコン化合物の例は、1994年3月8日に発行されたCardin等の米国特許第5,292,504号に開示されており、該特許は本明細書の一部を構成する。
【0043】
非揮発性シリコン含有化合物が好ましく、重量で製剤の約0.1〜約10%、好ましくは約0.25〜約3%のレベルで用いる。非揮発性シリコンの例はポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよびそれらの混合物である。
【0044】
有用なポリアルキルシロキサンには例えば、25°で約5〜15,000,000cpの範囲の粘度を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)が含まれる。これらのシロキサンは、例えばGeneral Electric CompanyからViscasilシリーズとして、およびDow CorningからDow Corning 200シリーズとして入手できる。粘度はDow Corning Corporate Test Method CTM0004(1970年7月20日)に説明されるようにガラスの毛管粘度計によって測定し得る。
【0045】
有用なポリアルキルアリールシロキサンには25°で約5〜約15,000,000の粘度を有するポリメチルフェニルシロキサンが含まれる。これらのシロキサンは、例えばGeneral Electric CompanyからSF1075メチルフェニル液として、およびDow Corningから556 Cosmetic Grade液として入手できる。
【0046】
有用なポリエーテルシロキサンコポリマーにはポリプロピレンオキサイドで改変したポリジメチルシロキサン(例えばDow CorningからDC-1248として入手できる)、エチレンオキサイドまたはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合物が含まれる。水不溶性のものが最も有用である。
【0047】
シロキサンは毛髪を滑らかにするその能力により毛髪を整え、湿および乾のくしけずりの利益を与えることができる。粘稠な、高分子量のシロキサンは最良のコンディショニングの利益を提供し、それ故好ましい。シロキサンポリマーの液体およびゴムが最も望ましい。シロキサンポリマーゴムは約200,000〜約1,000,000の高分子量、25℃で約100,000cp〜約150,000,000cpの粘度を有し、液体または流体とは反対に堅い。そのようなゴムは米国特許第5,292,504号(上記)に議論されている。
【0048】
懸濁化剤は長期の安定性を改良するために含めてもよい。有用な懸濁化剤には針状または板状構造を有する脂肪の両親媒性の結晶物質、ポリマー物質、粘土、ヒュームドメタルオキサイドおよびそれらの混合物が含まれる。これら薬剤は当業界で知られている(米国特許第5,292,504号参照)。
【0049】
適当な結晶性両親媒性物質は、針状または板状構造を有すものである。そのような化合物には、脂肪酸のエチレングリコールエステル(例えばエチレングリコールジステアレート)等の長鎖の(C16−C22)アシル誘導体;ステアルアミドMEA、ステアリルステアレートおよびジステアリルジチオプロピオネート等の脂肪酸の長鎖の(C16−C22)アルカノールアミド、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0050】
懸濁化剤として有用な高分子物質には架橋したポリアサイクリックアシッド(Carbopolシリーズ等、B.F.Goodrich Chemical Companyから入手できる)、グアガムおよびその誘導体、キサンタンガム、エチレン/無水マレイン酸の架橋共重合体、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0051】
クレイおよびフュームドメタルオキサイドも有効な懸濁化剤である。例としてはマグネシウムアルミニウムシリケート(R.T.Vanderbit Company, Incから入手できるVeegumシリース等)、ソジウムアルミニウムシリケート(Laponite United Statesから入手できるLaponiteシリーズ等)、フュームドシリカ、フュームドアルミナ、フュームドチタニア、およびそれらの混合物が含まれる。
【0052】
本発明のシャンプー製剤においては、懸濁化剤は一般に約0.5〜約5%、好ましくは0.5〜約3%存在する。脂肪酸のエチレングリコールエステル等の長鎖アシル誘導体が好ましい。最も好ましいのはエチレングリコールジステアレートである。
【0053】
製剤の化粧品としての受容性を改良し得る他の任意的な成分は当業界で知られており、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルイソチアゾリノンおよびイミダゾリジニル尿素等の保存剤;アミンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF Wyandotteにより提供されるPluronic F88等)、脂肪アルコール(セテアリルアルコール等)、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、プロピレングリコールおよびエチルアルコール等のシックナーおよび粘度調節剤;キシレンスルホネート等のハイドロトロープ;クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウム等のpH調節剤;香料、染料、Polyquatenium 41等の4級化アンモニウム化合物、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;エチレングリコールのジステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールのステアリン酸およびパルミチン酸ジエステル、ステアリン酸モノエタールアミンド等の真珠化剤が含まれる。一般にこれらの任意的な成分は個別に製剤の約0.1%〜約10%のレベルで使用する。
【0054】
本発明のシャンプー製剤は毛髪を洗浄するための慣用的な方法で使用する。役10g〜約30gの製剤をぬれた毛髪に適用し、毛髪および頭皮に作用させる。製剤を毛髪および頭皮に約6〜10分間留め、次にすすぐことにより除去する。このプロセスを毛髪が清浄になるまで繰り返す。
【0055】
本発明の有用な殺シラミシャンプーは以下のものを含む:
(a)約0.1%〜約10%のスピノシン、または生理学的に受容できるその誘導体若しくは塩;
(b)約5%〜約30%の合成界面活性剤;
(c)約1%〜約7%のアミド;および
(d)水。
【0056】
本発明の毛髪コンディショニング製剤はスピノシン成分およびコンディショナーを含み、ペルメスリンまたはリンデン等の他の抗シラミ剤を場合により含み得る。これらのコンディショナー製剤もシラミ寄生を処置するための有効に使用し得る。
【0057】
ヘアコンディショナーは毛髪の外観、触感および扱いやすさを改良する製品である。毛髪がパーマネントウェーブ、染色、逆立ておよび漂白等により、または光触媒酸化を起す日光等の大気の状態によりダメージを受けた場合にコンディショナーは特に重要である。これらの因子は毛髪の感触を悪くし、湿潤であろうと乾燥していようと取り扱いおよびくしげずりを困難にし得る。
【0058】
ヘアコンディショナー製剤に用いる場合、スピノシン成分は約0.1%〜約30%、好ましくは約1%〜約10%のレベルで存在する。
【0059】
コンディショニング製品はよく知られており、頭髪を清浄にするために適用したすぐ後にすすぎ去る「リンスタイプ」の製品、および長期間頭髪上に残る「ディープコンディショナー」がある。
【0060】
本発明のヘアコンディショナー製剤に有用なコンディショナーの一群は脂肪アルコール等の脂質物質と組合せた長鎖4級アンモニウム化合物である(1964年11月3日に発行されたHilferの米国特許第3,155,591号および1981年5月26日に発行されたVillamarin等の米国特許第4,269,824号を参照)。コンディショナーの他の群は脂質および4級アンモニウム化合物である。これらのコンディショナーは良好な化粧品的およびレオロジー的特徴を形成するため用いられる。ゲルタイプ製剤のこれらのタイプは次の文献に一般的に記載されている:Barry, 「The Self Bodying Action of the Mixed Emulsifier Sodium Dodecyl Sulfate/Cetyl Alcohol」, J. of Colloid and Interface Science, 28, 82-91(1968); Barry 等, 「The Self-Bodying Action of Alkyltrimethylammonium Bromides/Cetostearyl Alcohol Mixed Emulsifiers ; Influence of Quarternary Chair Langth」, J. of Colloid and Interface Science, 35, 689-708(1971); およびBarry等,「Rheology of Systems Containing Cetomacrogo/1000-(cetostearyl alcohol), I. Self-Bodying Action」, J. of Colloid and Interface Science, 38, 616-625(1972)。
【0061】
これらのコンディショナーに用いる脂質物質は約0.5%〜約3%のレベルで存在する。これらの脂質は本質的に水不溶性であり、疎水性および親水性部分を含む。脂質には、酸、酸誘導体、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、アミド、およびそれらの混合物から選択され、長さで約12〜約22の炭素原子、好ましくは16〜18の炭素原子を有する天然および合成由来の脂肪物質が含まれる。脂肪アルコールおよび脂肪エステルが好ましい。
【0062】
有用な脂肪アルコールは知られている(例えば、米国特許第3,155,591号(上記);米国特許第4,165,369号(Watanabe等、1981年5月26日発行),1978年11月15日公開の英国特許明細書第1,532,585号;Fukushima等,「The Effect of Cetostearyl Alcohol in Cosmetic Emulsions」,Cosmetics & Toiletries, 98, 89-102(1983); およびHunting, Encyclopedia of Conditioning Rinse Ingredients, 204頁(1987)を参照)。脂肪アルコールは、セテアリルアルコール、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラノリンアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコールおよびそれらの混合物から選択されるC12−C16アルコールである。セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらの混合物が好ましい。特に好ましい脂肪アルコールは、約55%〜約65%(混合物の重量)のセチルアルコールを含む、セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物からなる。
【0063】
有用な脂肪エステルも知られている(1967年9月12日に発行されたKaufman等の米国特許第3,341,465号を参照)。脂肪エステルは活性な水素が一価アルコールのアルキル基で置換された脂肪酸である。一価アルコールは上に記載した脂肪アルコールである。これらのコンディショナー製剤に有用な脂肪エステルにはセチルラクテート、セチルオクタノエート、セチルパルミテート、セチルステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルラウレート、グリセリルミリステート、グリセリルオレエート、グリセリルステアレート、グリセリルモノアセテートおよびそれらの混合物を含む。セチルパルミテートおよびグリセロールモノステアレート、またはそれらの混合物が好ましい。
【0064】
カチオン性界面活性剤を、単独でか、または組み合せて、一般に最終の製剤の約0.1%〜約5%のレベルでこれらのコンディショニング製剤で用い得る。これらの界面活性剤は、本発明の水性製剤に溶解した場合正に荷電するアミノまたは4級アンモニウムの親水性部分を有する。これらのカチオン性界面活性剤は当業界で知られている(McCutcheon's Detergent & Emulsifiers (上記); Schwartz等のSurface Active Agents, Their Chemistry and Technology, New York, Interscience Publishers, 1949; 米国特許第3,155,591号(上記);米国特許第3,929,678号(Laughlin等、1975年12月30日発行);米国特許第3,959,461号(Bailey等,1976年5月25日発行);および米国特許第4,387,090号(Bolish, Jr., 1983年6月7日発行)を参照)。
【0065】
有用な4級アンモニウムカチオン性界面活性剤は一般式:
【化4】

(式中、R1は水素、1〜22の炭素原子の脂肪族基、芳香族基、アリール基または12〜22の炭素原子を有するアルキルアリール基であり;R2は1〜22の炭素原子を有する脂肪族基であり;R3およびR4はそれぞれ1〜3の炭素原子を有するアルキル基であり;Xはハロゲン、アセテート、ホスフェート、ナイトレートおよびアルキルサルフェートよりなる群から選択されるアニオンである)
のものである。脂肪族基は、炭素および水素原子の外に、エーテル結合およびアミド基等の他の基を含んでもよい。
【0066】
他の有用な4級アンモニウム塩は式:
【化5】

(式中、R基のうちの少なくとも一つ、しかし3より大きくないものは16〜22の炭素原子を有する脂肪族基であり、残りのR基は水素および1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選択され、Xはハロゲン、アセテート、ホスフェート、ナイトレートおよびアルキルサルフェートから選択されるイオンである)。
を有する。牛脂プロパンジアンモニウムジクロライドはこのタイプの4級アンモニウム塩の一例である。
【0067】
有用な4級アンモニウム塩は、アルキル基が12〜22の炭素原子を有するジアルキルジメチルアンモニウムクロライドをも含む。これらのアルキル基は水素化牛脂脂肪酸等の長鎖脂肪酸に由来し得る。牛脂脂肪酸は、R1およびR2が主に16〜18の炭素原子を有する4級化合物を生ずる。例はジタロー(ditallow)ジメチルアンモニウムクロライド、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジアイコシルジメチルアンモニウムクロライド、ジドコシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムアセテート、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムアセテート、ジタロージプロピルアンモニウムホスフェート、ジタロージメチルアンモニウムナイトレート、ジ(ココナツアルキル)ジメチルアンモニウムクロライド、およびステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドを含む。有用な好ましい4級アンモニウム塩にはジタロージメチルアンモニウムクロライド、ジセチルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、およびそれらの混合物がある。ジ(水素化タロー)ジメチルアンモニウムクロライド、(Quaternium-18)は特に好ましい4級アンモニウム塩であり、Sherex Chemical Company, Inc.からAdogen 442 および Adogen 442-100P として入手できる。
【0068】
1級、2級および3級脂肪アミンの塩もカチオン性界面活性剤として用い得る。そのようなアミンのアルキル基は好ましくは12〜22の炭素原子を有し、置換されていてもよく、非置換でもよい。2級および3級アミンが好ましく、3級アミンが特に好ましい。有用なアミンの例にはステアルアミドプロピルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアルアミン、ジメチルステアルアミン、ジメチルソイ(soy)アミン、ソイアミン、ミリスチルアミン、トリデシルアミン、エチルステアリルアミン、N−タロープロパンジアミン、エトキシ化(5モル E.O.)ステアリルアミン、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、およびアラキジルベヘニルアミンがある。適当なアミン塩にはハロゲン、アセテート、ホスフェート、ナイトレート、サイトレート、ラクテートおよびアルキルサルフェート塩がある。例としてはステアリルアミン塩酸塩、ソイアミンクロライド、ステアリルアミンギ酸塩、N−タロープロパンジアミンジクロライドおよびステアルアミドプロピルジメチルアミンサイトレートがある。有用なカチオン性アミン界面活性剤は米国特許第4,275,055号(Nachtigal等、1982年6月23日発行)にも開示されている。
【0069】
水はコンディショナー製剤の必須成分である。混合物を100%にする(q.s.)に十分な量を用いて、コンディショナー調製の最後の工程として加える。
【0070】
コンディショナー製剤の任意的成分には、化粧品的およびレオロジー的特徴のために用い得るシリコンのコンディショニング剤がある。シリコン油およびシリコンポリマーはよく知られたコンディショニング剤である。例えば揮発性シリコン、水−アルコール混合物中の有機シリコンポリマー、および揮発性のシリコン液が米国特許第5,292,502号(上記)に開示されている。
【0071】
製剤は、上記のシャンプー製剤に使用するため開示した1以上のシリコンを含んでもよい。これらのシリコンには揮発性および非揮発性ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、およびそれらの混合物が含まれる。それらは最終の製剤の約0.2%〜約0.5%のレベルで用い得る。
【0072】
シャンプーについてと同じ様に上に開示したシロキサンの高粘度シリコーンガムが好ましい。これらのガムは約200,000〜1,000,000の高分子量、および25°で約100,000cp〜約150,000,000の粘度を有し、液体とは反対に硬い。最も好ましいのはポリジメチルシロキサンガムである。
【0073】
しばしば、コンディショナー中の相当量の脂質物質が頭髪上に置かれ、頭髪をすべすべさせる。それ故、コンディショナー製剤にシリコンコポリマーを導入して、抗シラミ処置と共に最適のコンディショニングの利益を与える。1985年9月25日に公開された欧州特許出願第155,806号参照。
【0074】
そのシリコンコポリマーは、乳化剤として働き、毛髪上へのビヒクル物質(脂質物質および/またはカチオン性表面活性剤の沈着を減少させる、ポリアルキレンオキサイドで改変したジメチルポリシロキサン(本明細書で「ジメチコンコポリオール」と呼ぶ)である。有用なジメチコンコポリオールは米国特許第5,292,504号(上記)に記載されている。
【0075】
シリコンコポリオールは、最終の製剤の約0.1%〜約10%、好ましくは約0.1%〜約2%のレベルで一般に存在する。
【0076】
ジメチコンコポリオールはこの用途に好ましい。Dow Corning 190 Silicone Surfactant は好ましいジメチコンコポリオールである。
【0077】
該製剤は、コンディショニング製品の物理的および性能特徴を改変し得る成分を含み得る。そのような成分には、更なる界面活性剤、塩、緩衝剤、シックナー、溶媒、不透明化剤、真珠箔助剤、保存剤、芳香剤、着色剤、染料、顔料、錯化剤、サンスクリーン、ビタミン、医薬が含まれる。これらのタイプの成分の例は米国特許第4,387,090号(Bolish, Jr., 1983年6月7日発行)に開示されている。
【0078】
製剤中に存在する界面活性剤の全レベル(上記のカチオン性界面活性ビヒクル物質を含む)が約0.05%〜約5%であるようなレベルで、該製剤は任意的な界面活性剤物質を含み得る。これらの任意的な界面活性剤物質はアニオン性、非イオン性、または両性てあり得る。例としてはceteareth-20, steareth-20, ソルビタンモノエステル、ソジウムタローアルキルサルフェートおよびタローベタインがある。任意的な界面活性剤物質は、McCutcheonのDetergent & Enulsifiers(上記);Schwarts等(上記)、および米国特許第3,929,678号(上記)に記載されている。
【0079】
好ましい任意的な界面活性剤物質は非イオン性である。そのような界面活性剤は、アルキレンオキサイド(親水性)の、通常脂肪族またはアルキル芳香族である有機の疎水性化合物との縮合により最も一般的には製造される。いずれかの個々の疎水性化合物と縮合する親水性又はポリアルキレン部分の長さを調節して、親水性因子と疎水性因子間の望ましい程度のバランスを有する水溶性化合物を得ることができる。そのような非イオン性界面活性剤には、アルキルフェノールのポリエチレンオキサイド縮合物、脂肪族アルコールのエチレンオキサイドとの縮合物、プロピレンオキサイドのプロピレングリコールとの縮合により形成される疎水性ベースとのエチレンオキサイドの縮合生成物、プロピレンオキサイドとエチレンジアミンの反応より得られる生成物とのエチレンオキサイドの縮合生成物が含まれる。他の型の非イオン性界面活性剤は、アミンオキサイドにより代表される非極性の非イオン性界面活性剤である。好ましい非イオン性界面活性剤はceteareth-20、steareth-20およびcetech-2を含む。
【0080】
塩および緩衝剤も、製品のレオロジーを修飾するために添加してもよい。例えば、塩化カリ、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム等の塩を、約0.001%〜約1%のレベルで添加し得る。クエン酸塩またはリン酸塩緩衝剤等の緩衝剤も加え得る。最終的に製剤化された本発明の製剤は、好ましくは約3〜約10のpH、最も好ましくは約3〜約7のpHを有する。
【0081】
更なるコンディショニング成分を製剤中に導入してもよい。例えばタンパク質を約0.1%〜約10%のレベルで加えてもよい。カチオン性のタンパク質は界面活性剤ビヒクル物質としても作用し得る。
【0082】
増粘剤は好ましい任意的な成分である。そのような増粘剤は約0.1%〜約8%のレベルで導入され非イオン性増粘剤を含む。そのような増粘剤は低剪断応力(約10-2-1)で約20,000cpを越える粘度を示すポリマーである。例としては、ポリオキシエチレン、グアガム、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプンおよびデンプン誘導体、並びにそれらの混合物がある。非イオン性増粘剤は米国特許第4,387,090号(Bolich等、1983年6月7日発行)に開示されている。
【0083】
増粘剤は製剤の粘度を約10,625cp〜約14,375cpにするのに用いる(Wells-Brookfed粘度計、Model RVT DV-CP-2, DV-11、Model Cone CP-52、1/2mlを用いて1rpmで26.7℃で1分間)。
【0084】
本発明の頭髪コンディショニング製剤は、一般に、すべてのシャンプーが水ですすぐことにり除かれ後に頭髪に用いる。
【0085】
本発明はヒトの頭髪を処理して、シラミおよびその卵を殺し、除去を促進する方法をも提供し、その方法は以下の工程:
(a)約10g〜約30gの本発明の製剤を湿った頭髪に適用し;
(b)製剤を頭髪および頭皮に作用させ;
(c)その製剤を頭髪および頭皮上に約6〜10分間残し;そして
(d)水ですすぐことにより毛髪から製剤を除去する;
ことを含む。
【0086】
スピノシン、または生理学的に許容し得るその誘導体若しくは塩、およびローション担体を含む抗シラミローションは本発明の別の態様である。これらローションは液体形またはスプレー形で直接頭髪に適用し得る。それらは毛髪にある時間適用して、水ですすぐことにより直ちには除去しないよう製剤化される。
【0087】
ローション製剤で用いる場合、スピノシン成分は約0.1%〜約30%、好ましくは約1%〜約10%のレベルで一般に存在する。
【0088】
スピノシン成分に加えて、ローション製剤はスピノシン成分を頭髪に運搬するのを助けるための、アルコール、水、またはそれらの混合等の液体ビヒクルを含む。適当なアルコールはメタノール、エタノール、イソプロパノール等の一価アルコール、またはそれらの混合物である。アルコールは製剤の安定性に有害な影響を有し得るので、水単独がビヒクルとして最も好ましい。そのビヒクルは製剤を100%にするに必要な量加える。
【0089】
ローション製剤は、抗シラミ活性に加えて頭髪に利益を与える任意的な成分を含み得る。任意的な成分には、DMDMヒダントインおよびEDTA四ナトリウム等の保存剤および抗菌薬;クエン酸ナトリウムおよびクエン酸等のpHバランス剤;PEG−60ヒマシ油等の乳化剤;並びにポリビニルピロリドン等の増粘剤および粘度改変剤がある。含まれる場合、そのような成分は個々に約0.01%〜約10%のレベルで用いる。
【0090】
頭髪からの死んだシラミおよび卵の除去を促進し、良好な湿潤および乾燥時のくしげずり性を与えるためコンディショニング剤を含み得る。上のコンディショニング製剤で記載したのと同じタイプのコンディショニング剤をローションで用い得る;これらは四級アンモニウム塩、脂肪アミンおよびそれらの混合物を含む。コンディショニング剤は、約0.1%〜約1%、好ましくは約0.4%〜約0.6%のレベルで用いる。
【0091】
好ましいコンディショニング剤は4級アンモニウム塩である。好ましい4級アンモニウム塩には、アルキル基が12〜22の炭素原子を有するジアルキルジメチルアンモニウムクロライドを含む。これらのアルキル基は水素化タロー(tallow)脂肪酸などの長鎖脂肪酸に由来し得る。タロー脂肪酸はR1およびR2が主として16〜18の炭素原子を有する4級化合物を生じさせる。ローション製剤に有用な4級アンモニウム塩の例には、ジ(水素化)タロージメチルアンモニウムクロライド、ジセチルジメチルアンモニウムクロライド、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、およびそれらの混合物が含まれる。最も好ましいのはジセチルジメチルアンモニウムクロライドである。
【0092】
アルコール協同剤(synergizer)もローション製剤にその抗シラミ活性を高めるため加えてもよい。ローション製剤に用いるアルコールは、フェニルC2−C6アルカノール、フェニルC2−C6ジオール、C2−C8アルキレンジオール、およびそれらの混合物から選択される。これらの協同剤は約0.25%〜約10%のレベルで含まれ得るが、フェニルアルカノール、フェニルジオールおよびそれらの混合物のレベルは製剤の5%を超えない。好ましくはそのレベルは製剤の約0.5%〜約5%、最も好ましくは約2%〜約4%である。好ましい協同剤はヘキシレングリコールである。
【0093】
ローション製剤は頭髪に直接適用する。用いるローションの量は一般に約10mL〜約50mLである。ローションを頭髪に作用させ、約10分、好ましくは約30分頭髪に残す。水ですすぐ前に、頭髪は一般にシャンプーで次にきれいにする。
以下の実施例は本発明の製剤を説明する。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0094】
ローション製剤を以下のように調製する。
成分 重量%
ポリビニルピロリドン 0.50
DMDMヒダントイン 0.20
EDTA四ナトリウム 0.13
クエン酸 0.05
PEG−60ヒマシ油 0.50
ヘキシレングリコール 4.00
ジセチルジメチルアンモニウムクロライド 0.38
スピノシンA 0.50
水 100になるまで
PEG−60ヒマシ油、ヘキシレングリコール、プロピレングリコールおよびジセチルジメチルアンモニウムクロライドの35°〜38°の混合物を含むタンクにスピノシンを加える。第2のタンク中でポリビニルピロリドン、DMDMヒダントイン、EDTA四酢酸およびクエン酸を混合し、混合物の温度を35°〜38°とする。第1のタンクの中味を第2のタンクに加え、均一となるまで混合する。混合物を約27°まで冷却し、貯蔵用ドラムに空ける。
【実施例2】
【0095】
以下の組成を有するローション製剤物を実施例1に記載の方法を用いて調製した。
成分 重量%
ポリビニルピロリドン 0.50
DMDMヒダントイン 0.20
EDTA四ナトリウム 0.13
クエン酸 0.05
PEG−60ヒマシ油 0.50
ヘキシレングリコール 2.00
プロピレングリコール 2.00
ジセチルジメチルアンモニウムクロライド 0.38
スピノサド 0.25
水 100となるまで
【実施例3】
【0096】
以下の組成を有するローション製剤物を実施例1に記載の方法を用いて調製した。
成分 重量%
ポリビニルピロリドン 0.50
DMDMヒダントイン 0.20
EDTA四ナトリウム 0.13
クエン酸 0.05
イソプロパノール 1.00
PEG−60ヒマシ油 0.50
ヘキシレングリコール 4.00
ジセチルジメチルアンモニウムクロライド 0.60
スピノシン成分 0.10
水 100になるまで

シラミ寄生を調節するために、実施例1〜3のローション製剤を頭髪に適用し、シャンプーまたはすすぎにより除去する前に少なくとも1/2時間残す。
【実施例4】
【0097】
シャンプー製剤を以下のように調製した。
成分 重量%
アンモニウムラウレスサルフェート 10.40
アンモニウムラウリルサルフェート 9.50
ココナツモノエタノールアミド 4.00
エチレングリコールジステアレート 3.00
DMDMヒダントイン 0.20
リン酸一ナトリウム 0.10
リン酸二ナトリウム 0.25
クエン酸 0.07
アンモニウムキシレンスルホネート 1.58
スピノシンA 0.50
水 100となるまで

アンモニウムラウリルサルフェートをタンクに加え、約66°〜約69°まで加熱する。この温度を維持しながら、リン酸一ナトリウムの水溶液、次にリン酸二ナトリウムの水溶液を加える。69°に達したらアンモニウムキシレンスルホネートを混合物に加え、約74°〜約77°まで加熱する;ココナツモノエタノールアミドを加え、よく分散するまで混合し、エチレングリコールジステアレートおよび約4.5%の水を加える。均一となるまで混合を続け、混合物を約41°まで冷却する。混合物は第2のタンクにポンプで移し、アンモニウムラウレスサルフェート、DMDMヒダントイン、およびクエン酸の水溶液を加える。スピノシンおよび100%となるまでの水を第2のタンクに加える。十分に混合し、約27°まで冷却し、混合物を貯蔵ドラムにポンプで入れる。
【実施例5】
【0098】
シャンプー製剤を以下のように調製した。
成分 重量%
アンモニウムラウレスサルフェート 14.15
アンモニウムラウリルサルフェート 3.14
ココナツモノエタノールアミド 3.00
エチレングリコールジステアレート 3.00
シリコンガム1 0.50
ジメチコン液(350cp) 0.50
トリセチルメチルアンモニウムクロライド 0.29
セチルアルコール 0.42
ステアリルアルコール 0.18
DMDMヒダントイン 0.20
塩化ナトリウム 0.90
塩化アンモニウム 0.05
キシレンスルホン酸アンモニウム 1.25
スピノサド 0.40
水 100になるまで
1シリコンガム General Electric Co.からSE−30またはSE−76ガムとして入手可能
容器に約0.5%のアンモニウムラウレスサルフェートとジメチコンを加え、約30分攪拌する。加工タンクに約2%のアンモニウムラウレスサルフェートを加え、68°〜71°に加熱する。約0.12%のステアリルアルコール、約0.06%のセチルアルコールおよび第一の容器の内容を加工タンクに加える。均一になるまで攪拌し、混合物を68°〜71°に保つ。第二の加工タンクにアンモニウムラウリルサルフェートを加え、約71°に加熱する。この温度を維持しながら、0.05%の塩化アンモニウム、約18%の水、キシレンスルホン酸アンモニウム、並びにステアリルおよびセチルアルコールの残りを加える。ココナツモノエタノールアミド、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、エチレングリコールジステアレート、DMDMヒダントインの約半分、および第1タンクの内容を、約77°の温度を維持しながら、第2タンクに加える。均一になるまで混合し、次に約41℃に冷却する。第3タンクにポンプで入れ、アンモニウムラウレスサルフェート、DMDMヒダントインおよび塩化ナトリウムの残りを加える。スピノシンおよび100%となるまでの水を加える。十分に混合し、約27℃に冷却し、その混合物を貯蔵ドラムにポンプで入れる。
【実施例6】
【0099】
シャンプー製剤を以下のように調製する:
成分 重量%
アンモニウムラウレスサルフェート 12.81
アンモニウムラウリルサルフェート 9.10
ココナツモノエタノールアミド 2.30
イソステアリルエチルミドニウムエトサルフェート 1.25
DMDMヒダントイン 0.20
リン酸一ナトリウム 0.50
リン酸二ナトリウム 0.38
塩化ナトリウム 0.04
クエン酸 0.10
アンモニウムキシレンスルホネート 1.35
スピノシン成分 0.56
水 100.00になるまで

約6.5%の水とアンモニウムラウレスサルフェートを混合タンクに加え、混合物を約35°に加熱する。この温度を維持しながら、以下の成分を個別に順次加え、各成分がバッチ中で十分混合するよう混合する:アンモニウムラウリルサルフェート、アンモニウムキシレンスルホネート、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、DMDMヒダントイン、塩化ナトリウム、クエン酸および水の溶液、ココナツジエタノールアミドおよびイソステアリルエチルミドニウムエトサルフェート。その混合物にスピノシンおよひ100までの水を加える。十分混合し、約27°に冷却し、その混合物を貯蔵ドラムにポンプで入れる。
【実施例7】
【0100】
本発明のコンディショナー製剤を次のように調製する。
成分 重量%
セチルアルコール 1.00
ステアリルアルコール 0.72
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
DMDMヒダントイン 0.20
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
Quaternium-18 0.85
Ceteareth-20 0.35
ステアラルコニウムクロライド 0.85
グリセリルモノステアレート 0.25
クエン酸 0.08
シリコンガム1 0.30
シクロメチコーン液 1.70
スピノシンA 1.00
水 100まで
1 The General Electric Co.からSE−30またはSE−76ガムとして入手可能なシリコーンガム
DMDMヒダントイン、クエン酸、シリコンガム、シクロメチコーンおよびスピノシンを除くすべての成分を加工タンク中で混合し、約88°まで混合物を加熱する。溶液を十分に混合した後、約48°まで冷却する。別のタンクに、加熱および攪拌しながらシリコンガムとシクロメチコーンを予備混合し、ガム溶液を形成する。この混合物にスピノシンを加える。ガム溶液およびすべての残りの成分、並びに水を加える。十分に混合し、約27°に冷却し、混合物を貯蔵タンクにポンプで入れる。
【実施例8】
【0101】
コンディショナー製剤を実施例7に記載の方法によって調製するが、以下の成分を用いる。
成分 重量%
セチルアルコール 1.00
ステアリルアルコール 0.72
DMDMヒダントイン 0.20
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
Quaternium-18 0.85
Ceteareth-20 0.35
ステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA) 0.50
グリセリルモノステアレート 0.25
クエン酸 0.08
クエン酸ナトリウム 0.05
ステアロキシジメチコン 0.10
シリコンガム1 0.05
シクロメチコーン液 1.70
スピノシン成分 1.00
水 100となるまで
1 The General Electric Co.からSE−30またはSE−76ガムとして入手可能なシリコーンガム
このコンディショナー抗シラミ製品は実施例7に記載の方法と類似の方法で調製した。
【実施例9】
【0102】
シャンプー製剤の有効性
様々な濃度のスピノサドを含むシャンプー製剤をこの研究で用いた。それらの製剤は、テクニカルグレードのスピノサドを商業的に入手できるシャンプー(Johnsonのベビーシャンプー、ハニーおよびビタミンEを有するモイスチャ化処方、Johnson & Johnson Consumer Products, Inc.)中で30分間十分すりつぶし、10%のストックスピノサド/シャンプー混合物を作った。この混合物を更なるシャンプーで希釈し、次のスピノサド濃度物を調製した:10%(元の調製物として使用)、1%、0.1%および0.01%スピノサド/シャンプー(重量/重量)。
【0103】
シャンプー中のスピノサドの4つの濃度物および水道水の対照を、標準的な試験、ASTM Standard E938−83(再承認1998年)に従って、成体のヒトの体シラミ(Pediculus humanus humanus)に対して試験した。該試験法は、American Society for Testing and Materials, 100 Barr Habor Drive, West Conshohocken、ペンシルバニア、米国[http://www.astm.org/]から利用できる。この試験で25匹の成虫のシラミを4つのシャンプー濃度物のそれぞれに10分間浸し、次に水中で1分間洗い、もう1分間水中ですすいだ。対照グループでは25匹の成虫のシラミ(Pediculus humanus humanus)を水道水に10分浸し、次に水で1分洗い、もう1分水ですすいだ。計5回の試験を行った。
【0104】
1時間後、ノックダウン数を決定するために調べた。「ノックダウン」は瀕死の状態から死の状態へと導く昆虫活性のかなり早い(1分以内)不動化として測定した。24時間後、死んだ数を決定するためシラミを再び調べた。この試験の結果を表1に要約する。
【0105】
〔表1〕
シャンプー中の様々な濃度のスピノサドの殺シラミ効果の比較
製剤 死亡率データ
+1時間 +24時間
ノックダウン% 死亡率%
対照 0.2 1.0
10%スピノサド/シャンプー 96.6 100.0
1%スピノサド/シャンプー 48.0 100.0
0.1%スピノサド/シャンプー 19.8 97.4
0.01%スピノサド/シャンプー 14,7 35.5

この研究は、1%および10%スピノサドを含むシャンプー製剤が非常に有効な殺シラミ剤であり、100%の+24時間死亡率を与えることを示した。10%濃度は最速のノックダウン効果(1時間で96.6%)を与え、1%濃度でさえ48%のノックダウン割合を与えた。0.1%のスピノサド/シャンプー製剤も有効な殺シラミ剤であり、24時間後ほとんど100%の死亡率を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容し得る担体と共に、活性成分としてスピノシンまたは生理学的に許容し得る誘導体若しくは塩を含む、ヒトのシラミ寄生をコントロールするための製剤。
【請求項2】
ヘアケア製剤である請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
シャンプーである請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
更に界面活性剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
(a)約0.1%〜約2.5%のスピノシンまたは生理学的に許容し得るその誘導体若しくは塩;
(b)約5%〜約30%の合成界面活性剤;
(c)約1%〜約7%のアミド;および
(d)水
を含む請求項3または4に記載の製剤。
【請求項6】
約1%〜約10%の非揮発性シリコン物質を更に含む請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
約0.5%〜約5%の懸濁化剤を更に含む請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。
【請求項8】
ヒトのシラミをコントロールするため薬物を製造するための、スピノシンまたは生理学的に許容し得るその誘導体若しくは塩、またはそれらを含む製剤の使用。
【請求項9】
シラミがPediculus humanus capitisまたはPediculus humanus humanusである請求項8に記載の使用。
【請求項10】
シラミがPthirus pubisである請求項10に記載の使用。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の製剤をヒトに局所的に投与することを含む、ヒトにおけるシラミ寄生をコントロールする方法。
【請求項12】
シラミ寄生がPediculus humanus capitisである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
シラミ寄生がPediculus humanus humanusである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
シラミ寄生がPthirus pubisである請求項11に記載の方法。
【請求項15】
シラミおよびその卵を殺して、除去を促進するためにヒトの毛髪を処理する方法であって、
(a)スピノシンまたは生理学的に許容し得るその誘導体若しくは塩および生理学的に許容し得る担体を含む製剤の約10g〜約30gをぬれた毛髪に適用し;
(b)その製剤を毛髪および頭皮に作用させ;
(c)その製剤を毛髪および頭皮上に約6〜10分残し;そして
(d)水ですすぐことによって毛髪から製剤を除去する;
ことを含む方法。

【公開番号】特開2010−229147(P2010−229147A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135143(P2010−135143)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【分割の表示】特願2000−557795(P2000−557795)の分割
【原出願日】平成11年6月21日(1999.6.21)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】