説明

ヒトサイクリン依存的キナーゼ(hPNQALRE)

【課題】新生物形成の診断および処置、ならびに細胞周期の調節のための試薬および方法を提供すること。
【解決手段】hPNQALREと称する新規サイクリン依存的キナーゼをコードするヒト遺伝子、およびこの新規サイクリン依存的キナーゼの発現産物は、新生物形成を検出するための試薬、および新生物形成を検出するための方法を提供し得る。増殖可能な障害および新生物形成を処置するための組成物、ならびに増殖可能な障害および新生物形成を処置するための方法もまた、提供される。本発明はまた、hPNQALREタンパク質に対するポリヌクレオチド抗体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、タンパク質キナーゼの領域に関する。より詳細には、本発明は、サイクリン依存的タンパク質キナーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
有糸分裂および移動の調節の原因である経路、ならびに細胞における環境ストレスシグナルの伝達の原因である経路は、完全には記載されていない。このようなタンパク質は、操作され得、例えば、疾患または環境条件によるストレスに対して細胞を防護し、そして、新生物形成のように有糸分裂および移動における変化を含む障害を処置する。したがって、当該分野において、これらの経路に含まれるタンパク質の同定のための必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、種々の実施形態において、新生物形成の診断および処置、ならびに細胞周期の調節のための試薬および方法を提供する。
【0004】
本発明の1つの実施形態は、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるhPNQALREタンパク質の、少なくとも223の連続するアミノ酸を有するポリヌクレオチドを提供する。他の関連する実施形態は、配列番号6のアミノ酸26〜38および/またはアミノ酸181〜201に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを提供する。配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドもまた提供される。
【0005】
本発明の他の実施形態は、第一および第二のタンパク質セグメントを含む融合タンパク質を提供する。これらは、ペプチド結合によってともに融合される。本発明の第一のタンパク質は、例えば、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列の、少なくとも223の連続するアミノ酸を含む。配列番号6のアミノ酸26〜38またはアミノ酸181〜201に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む第一のタンパク質セグメントを提供する
本発明のなお他の実施形態は、配列番号4、配列番号6および/または配列番号8のアミノ酸配列を含むタンパク質に特異的に結合する抗体の調製を含む。関連する実施形態は、配列番号6および/または配列番号8のアミノ酸26〜38および/または配列番号6の181〜201の全体または一部によって規定されるエピトープに特異的に結合する抗体調製物を含む。
【0006】
さらなる実施形態は、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるhPNQALREタンパク質の、少なくとも223の連続するアミノ酸を含むポリペプチドをコードするcDNA分子を提供する。類似の実施形態は、配列番号6のアミノ酸26〜38および/またはアミノ酸181〜201に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするcDNA分子を提供する。本発明はまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするcDNAを提供する。配列番号5のヌクレオチド76〜114に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列、および/または配列番号3のヌクレオチド503〜564に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列、および/または配列番号5のヌクレオチド542〜603に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である核酸配列を含む、本発明のcDNA分子はまた提供される。配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含むcDNA分子もまた、提供される。
【0007】
本発明のなおさらなる実施形態は、配列番号5のヌクレオチド76から114および/または配列番号3のヌクレオチド503〜564にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単離されたサブゲノムポリヌクレオチドまたはその相補体を含む。
【0008】
他の本発明の実施形態は、プロモーター、ならびに、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列の、少なくとも223の連続するアミノ酸をコードポリヌクレオチドセグメントを含む構築物を含む。模範的な構築物によって、ポリヌクレオチドセグメントは、プロモーターから下流に位置され、そしてポリヌクレオチドセグメントの転写は、このプロモーターで開始される。類似の実施形態は、プロモーターおよび配列番号6のアミノ酸26〜38および/またはアミノ酸181〜201に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドセグメントを含む構築物を含む。このポリヌクレオチドセグメントは、プロモーターから下流に位置され得、そしてポリヌクレオチドセグメントの転写は、このプロモーターで開始され得る。本発明の構築物はまた、プロモーター、ならびに、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドセグメントを含む。
【0009】
他の本発明の実施形態は、本明細書中で提供される任意の構築物を含む宿主細胞を含む。
【0010】
さらなる実施形態は、新しい転写開始ユニットを組み込む相同組換え細胞を提供する。本発明の新しい転写開始ユニットは、外因性調節配列、外因性エキソンおよびスプライスドナー部位を含み得る。新しい転写開始ユニットは、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7からなる群より選択されるコード配列を有する遺伝子のコード配列の上流に位置され得る。外因性調節配列は、遺伝子のコード配列の転写を指向し得る。
【0011】
なおさらなる実施形態は、新生物形成の診断または予防の方法を提供する。このような方法は、新生物形成が予想される第一の組織における第一のhPNQALRE遺伝子の発現を、正常である第二の組織における第二のhPNQALRE遺伝子の発現と比較する工程を含み得る。第一および第二のhPNQALRE遺伝子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7からなる群より選択されるコード配列を含み得る。これらの方法によって、第一の組織における第一のhPNQALRE遺伝子の過剰発現は、第一の組織における新生物形成を示す。新生物形成を診断または予防する類似の方法によって、第一および/または第二のhPNQALRE遺伝子は、配列番号5のヌクレオチド76〜114、配列番号3のヌクレオチド503〜564、または配列番号5のヌクレオチド542〜603からなる群より選択されるコード配列を含み得る。
【0012】
したがって、本発明は、サイクリン依存的キナーゼファミリーの独特のメンバーであるhPNQALREのアミノ酸配列およびhPNQALREをコードするDNA配列を用いる技術を提供する。とりわけ、本発明を用いて、新生物形成および他の増殖性疾患を処置し得る。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号4、配列番号6および配列番号8からなる群より選択されるhPNQALREタンパク質の、少なくとも223の連続するアミノ酸を含むポリペプチド;
(b)配列番号6のアミノ酸26から38に、少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号6のアミノ酸26から38に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(d)配列番号6のアミノ酸181から201に、少なくとも65%同一であるアミノ酸を含むポリペプチド;
(e)配列番号6のアミノ酸181から201に同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(f)配列番号2、配列番号4、配列番号6、および配列番号8からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
からなる群より選択される、単離されたポリペプチド。
(項目2)配列番号6のアミノ酸26から38に、少なくとも65%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
(項目3)配列番号6のアミノ酸181から201に、少なくとも65%同一であるアミノ酸を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
(項目4)第一のタンパク質セグメントおよび第二のタンパク質セグメントを含む融合タンパク質であって、ここで、該第一のタンパク質セグメントは、該第二のタンパク質セグメントとペプチド結合によって融合され、ここで、該第一のタンパク質セグメントは、請求項1に記載の単離されたポリペプチドを含む、融合タンパク質。
(項目5)請求項1に記載の単離されたポリペプチドの全体または一部によって規定されるエピトープに特異的に結合する、抗体の調製物。
(項目6)請求項1に記載の単離されたポリペプチドをコードする、cDNA分子。
(項目7)請求項2に記載の単離されたポリペプチドをコードする、cDNA分子。
(項目8)請求項3に記載の単離されたポリペプチドをコードする、cDNA分子。
(項目9)cDNA分子であって、以下:
(a)配列番号5のヌクレオチド76から114に、少なくとも65%同一であるヌクレオチド配列;
(b)配列番号5のヌクレオチド76から114に同一であるヌクレオチド配列;
(c)配列番号3のヌクレオチド503から564、または配列番号5のヌクレオチド542から603に、少なくとも65%同一であるヌクレオチド配列;
(d)配列番号3のヌクレオチド503から564、または配列番号5のヌクレオチド542から603に同一であるヌクレオチド配列;および
(e)配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7からなる群より選択されるヌクレオチド配列、
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、cDNA分子。
(項目10)単離されたサブゲノムポリヌクレオチドまたはその相補体であって、ストリンジェントな条件下で、配列番号5のヌクレオチド76から114、および配列番号3のヌクレオチド503から564からなる群より選択されるヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む、単離されたサブゲノムポリヌクレオチドまたはその相補体。
(項目11)構築物であって、以下:
プロモーター;および
請求項6に記載のcDNAを含むポリヌクレオチドセグメントであって、ここで、該ポリヌクレオチドセグメントは、該プロモーターから下流に位置され、そして該ポリヌクレオチドセグメントの転写は、該プロモーターから開始する、
構築物。
(項目12)構築物であって、以下:
プロモーター;および
請求項9に記載のcDNAを含むポリヌクレオチドセグメントであって、ここで、該ポリヌクレオチドセグメントは、該プロモーターから下流に位置され、そして該ポリヌクレオチドセグメントの転写は、該プロモーターから開始する、
構築物。
(項目13)請求項11に記載の構築物を含む、宿主細胞。
(項目14)請求項12に記載の構築物を含む、宿主細胞。
(項目15)そこに組み込まれた新しい転写開始ユニットを有する相同組換え細胞であって、該新しい転写開始ユニットは、以下:
(a)外因性調節配列;
(b)外因性エキソン;および
(c)スプライスドナー部位であって、ここで、該新しい転写開始ユニットが遺伝子のコード配列の上流に位置され、ここで、該遺伝子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5および配列番号7からなる群より選択されるコード配列を有し、そして該外因性調節配列は、該遺伝子のコード配列の転写を指向する、スプライスドナー部位、
を含む、細胞。
(項目16)新生物形成を診断または予防する方法であって、該方法は、新生物形成の疑いのある第一の組織における第一のhPNQALRE遺伝子の発現を、正常な第二の組織における第二のhPNQALRE遺伝子の発現と比較する工程を含有し、ここで、該第一および第二のhPNQALRE遺伝子は、以下:
(a)配列番号1;
(b)配列番号3;
(c)配列番号5;
(d)配列番号7;
(e)配列番号5の76から114のヌクレオチド;
(f)配列番号3の503から564のヌクレオチド;および
(g)配列番号5の542から603のヌクレオチド、
からなる群より選択されるコード配列を含み、
ここで、該第一の組織における該第一のhPNQALRE遺伝子の過剰発現は、該第一の組織における新生物形成を示す、方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1−1】図1は、hPNQALREの4つの形態のアミノ酸配列を比較する。
【図1−2】図1は、hPNQALREの4つの形態のアミノ酸配列を比較する。
【図2−1】図2は、は、hPNQALREの4つの形態をコードするヌクレオチドコード配列を比較する。
【図2−2】図2は、は、hPNQALREの4つの形態をコードするヌクレオチドコード配列を比較する。
【図2−3】図2は、は、hPNQALREの4つの形態をコードするヌクレオチドコード配列を比較する。
【図2−4】図2は、は、hPNQALREの4つの形態をコードするヌクレオチドコード配列を比較する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
hPNQALREと称する新規のヒトサイクリン依存的キナーゼは、本発明の発見である。hPNQALREは、サイクリン依存的キナーゼファミリーのメンバーである。hPNQALREは、腫瘍において過剰発現し、診断的および治療的に使用され得る。
ヒトhPNQALREタンパク質の4つの形態のアミノ酸配列(配列番号2,4,6および8)、ならびにhPNQALREの4つの形態をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号1,3,5および7)は、本明細書中に記載される。サイクリン依存的キナーゼのすべての重要な部位は、このタンパク質中に保存される。cdk2に見出された、分子のN末端の調節リン酸化部位(14位のスレオニンおよび15位のチロシン)は、hPNQALREにおいては、これらの部位にリン酸化されない2つの残基(グルタミンおよびフェニルアラニン)をまた有するCDK7型サイクリン依存的キナーゼと類似して、それぞれ、アラニンおよびヒスチジンによって置換される。サイクリン依存的キナーゼの調節リン酸化部位は、とりわけ以下に記載される:Shuttleworth、Progr.Cell Cycle Res.1、229−40(1995);LewおよびKornbluth、Curr.Opin.Cell Biol.8、795−804(1996);およびMorgan、Ann.Rev.Cell.Biol.13、261−91(1997)。サイクリン依存的キナーゼのサイクリン結合ドメインを特徴付ける配列モチーフ(Cdk2中のPSTAIRE;配列番号15)は、hPNQALREにおいて、PNQALRE(配列番号9)によって置換され、これは、hPNQALREが、その調節サイクリンサブユニットに関して異なる特異性を有することを示す。
【0015】
hPNQALREの種々のアミノ酸は置換されて、1つ以上の変化した生物学的活性を有するhPNQALRE改変体を形成し得る。例えば、hPNQALREのサイクリン依存的キナーゼ活性またはサイクリン結合ドメインは、変化され得るか、または置換は、タンパク質をリン酸化され得るよう作製し得る。このような置換は、野生型のhPNQALREと比較して、変化した調節または生物学的活性の特定のサブセットを、hPNQALREに提供し得る。他のサイクリン依存的キナーゼのサイクリン結合ドメイン(例えば、PFTAIRE(配列番号10)、PISSLRE(配列番号11)、PITALRE(配列番号12)、PLSTIRE(配列番号13)、PISTVRE(配列番号14)、PSTAIRE(配列番号15)およびNRTALRE(配列番号16))は、hPNQALREのサイクリン結合特異性を変化させるために、hPNQALREのサイクリン結合ドメインであるPNQALRE(配列番号9;配列番号2または4のアミノ酸44〜51:配列番号6または8のアミノ酸58〜64)と置換され得る。hPNQALREのサイクリン依存的キナーゼ活性は、例えば、145位のアスパラギン酸をアスパラギンに置換すること(この置換は、hPNQALREの「キナーゼ死(kinase dead)」形態を生じる)によって改変され得る。
【0016】
種々の置換はまた、hPNQALREをリン酸化され得るように作製され得る。例えば、15位のヒスチジンのフェニルアラニンまたはチロシンへの置換、または14位のアラニンのスレオニンへの置換は、hPNQALREのリン酸化を可能にする。hPNQALREの特性に影響する他の置換は、当業者が考えつき、そして標準組換えDNA技術を用いてhPNQALREタンパク質になされ得る。
【0017】
hPNQALREのキナーゼ活性またはサイクリン結合活性に影響しない他のアミノ酸置換は、天然に存在し得るか、または研究室において作製し、生物学的に活性なhPNQALRE改変体を形成し得る。hPNQALREの生物学的に活性な改変体は、細胞周期調節に含まれ、サイクリン依存的キナーゼ活性を示し、そして、腫瘍において過剰発現される。生物学的活性または免疫学的活性を損なうことなく、どのアミノ酸残基が置換されるか、挿入されるか、または欠失されるかの決定におけるガイダンスは、当該分野において周知のコンピュータープログラム(例えば、DNASTARソフトウェア)を用いて見出し得る。
【0018】
好ましくは、生物学的に活性なhPNQALRE改変体におけるアミノ酸置換は、保存的なアミノ酸変化(すなわち、類似の電荷のアミノ酸または非電荷アミノ酸の置換)である。保存的アミノ酸変化は、アミノ酸の側鎖に関するアミノ酸のファミリーの1つの置換を含む。天然に存在するアミノ酸は、一般に4つのファミリーに分類される:酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、ヒスチジン)、非極性アミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および非電化極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、芳香族アミノ酸として両方に分類される。ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの孤立した置換を除いて、アスパラギン酸とグルタミン酸、スレオニンとセリン、または構造的に関連するアミノ酸とのアミノ酸の類似の置換が(特に、置換がhPNQALREのサイクリン結合部位またはそのキナーゼドメインのアミノ酸を含まない場合)、生じる分子の結合特性に主要な影響を及ぼさないことを予期することは妥当である。
【0019】
生物学的に活性なhPNQALRE改変体は、グリコシル化形態、他の分子と凝集結合体、および非関連化学部分を有する共有結合体を含む。共有結合性改変体は、当該分野において公知のアミノ酸鎖またはN末端残基もしくはC末端残基において見出される基に対する連結官能基によって調製され得る。生物学的に活性なhPNQALRE改変体はまた、対立遺伝子改変体、種改変体、およびムテインを含む。hPNQALREのサイクリン依存的キナーゼ活性に影響しない領域の短縮化または欠失もまた、hPNQALRE改変体である。
【0020】
アミノ酸置換が、機能的hPNQALREタンパク質またはポリペプチドを生じるかどうかは、例えば、そのサイクリン依存的キナーゼ活性をアッセイすることによって容易に決定され得る。サイクリン依存的キナーゼ活性のためのアッセイが、例えば、Lockら、1997、Cancer Chemother.Pharmacol.39:399−409に教示される。好ましい天然または非天然に存在する生物学的に活性なhPNQALRE改変体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8に示されるアミノ酸配列に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有する。より好ましくは、これらの分子は、少なくとも98%または99%同一である。同一性パーセントは、当該分野において公知の任意の方法またはアルゴリズムを用いて計算され得る。制限されない例示は、以下のパラメータを有するアフィンギャップ(affine gap)検索を使用する、Smith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムである:12のギャップ開放(open)ペナルティおよび1のギャップ伸長(extension)ペナルティ。Smith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムは、SmithおよびWaterman,Adv.Appl.Math.(1981)2:482−489に教示される。
【0021】
hPNQALREポリペプチドは、全長より短いhPNQALREを含み、そしてhPNQALREタンパク質の少なくとも223、225、250、275、300または325以上の連続するアミノ酸を含む。hPNQALREポリペプチドは、hPNQALREのサイクリン結合ドメインであるPNQALRE(配列番号9;配列番号2または4のアミノ酸44〜51または配列番号6または8のアミノ酸58〜64)を含み得るか、またはhPNQALREアミノ酸配列を、上記のような他のサイクリン依存的キナーゼサイクリン結合ドメインとともに含むキメラポリペプチドを含み得る。種々のアミノ酸置換がhPNQALREをリン酸化させるか、またはhPNQALREのキナーゼ活性を減少するように作製されたポリペプチドはまた、構築され得る。
【0022】
本発明のhPNQALREポリペプチドは、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38を含み得る。さらに、hPNQALREポリペプチドは、配列番号6または8のアミノ酸181〜201、あるいは配列番号4のアミノ酸168〜188を含み得る。
【0023】
本発明は、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8のポリペプチドに、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるhPNQALREポリペプチドの改変体を意図する。例えば、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるか、または配列番号6または配列番号8のアミノ酸181〜201、あるいは配列番号4のアミノ酸168〜188に、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるhPNQALREポリペプチドを提供する。
【0024】
hPNQALREは、標準的ナ生化学的方法を用いて、hPNQALRE産生ヒト細胞(例えば、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、小腸、結腸、末梢血リンパ球、心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、または膵臓から単離され得る。単離および精製されたhPNQALREタンパク質またはhPNQALREポリペプチドは、通常細胞内でhPNQALREタンパク質またはhPNQALREポリペプチドに結合する他の化合物(例えば、サイクリンまたは他のタンパク質、糖質、脂質、あるいは細胞内器官)から分離される。単離および精製されたhPNQALREタンパク質またはhPNQALREポリペプチドの調製物は、少なくとも純度80%であり;好ましくは、この調製物は、純度90%、95%、または99%である。
【0025】
hPNQALREタンパク質およびhPNQALREポリペプチドはまた、組換えDNA法または合成化学法によって産生され得る。組換えhPNQALREタンパク質またはhPNQALREポリペプチドの産生のために、例えば、hPNQALREタンパク質または生物学的に活性なhPNQALRE改変体もしくは変化したhPNQALRE改変体をコードする配列番号1、3、5、および7に示されるhPNQALREのヌクレオチド配列、あるいはこれらの配列の改変体から選択されるコード配列は、原核生物発現系または真核生物発現系において発現され得る。細菌、酵母、昆虫、または哺乳動物の発現系が、当該分野において公知であるように使用され得る。酵素を用いて、全長hPNQALREタンパク質の酵素的タンパク質分解によって、hPNQALREポリペプチドを作製し得る。
【0026】
あるいは、合成化学法(例えば、固相ペプチド合成)は、hPNQALREタンパク質またはhPNQALREポリペプチドを合成するために使用され得る。ペプチド、アナログまたは誘導体の産生のための一般的手段は、CHEMISTRY AND BIOCHEMISTRY OF AMINO ACIDS,PEPTIDES,AND PROTEINS−−A SURVEY OF RECENT DEVELOPMENTS、B.Weinstein編(1983)に要約される。さらに、正常なL−立体異性体に対するD−アミノ酸の置換は、分子の半減期を増加するために実施され得る。生物学的に活性なhPNQALREまたは変化した改変体は、同様に産生され得る。
【0027】
少なくとも223、225、250、275、300または315以上の連続するhPNQALREアミノ酸を含む融合タンパク質もまた、構築され得る。hPNQALRE誘導タンパク質は、hPNQALREエピトープに特異的に結合し、種々のアッセイ系における使用のための抗体の作製のために有用である。例えば、hPNQALRE融合タンパク質を使用して、hPNQALREタンパク質と相互作用(例えば、異なるサイクリン、およびその官能基の影響)するタンパク質を同定し得る。物理的方法(例えば、タンパク質アフィニティクロマトグラフィー)またはタンパク質−タンパク質相互作用のためのライブラリーベースアッセイ(例えば、酵母2ハイブリッド系またはファージディスプレイ系)はまた、この目的のために使用され得る。このような方法は、当該分野において公知であり、そして薬剤スクリーニングとしても使用され得る。
【0028】
hPNQALRE融合タンパク質は、ペプチド結合によってともに融合された2つのタンパク質セグメントを有する。第一のタンパク質セグメントは、都合のよいように、N末端またはC末端であり得る。第一のタンパク質セグメントは、hPNQALREタンパク質の少なくとも223、225、250、275、300または315以上の連続するアミノ酸を含む。アミノ酸は、配列番号2、4、6、および8に示されるアミノ酸配列、またはこれらの配列の生物学的に活性な改変体もしくは変化した改変体より選択され得る。本発明の好ましい融合タンパク質は、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38を含み得る。配列番号6または配列番号8の181〜201、もしくは配列番号4のアミノ酸168〜188を含む融合タンパク質もまた、好ましい。第一のタンパク質セグメントもまた、全長hPNQALREまたは改変体を含み得る。第一のセグメントは、都合のよいように、融合タンパク質のN末端またはC末端に位置され得る。
【0029】
この第2のタンパク質セグメントは、完全長タンパク質またはタンパク質フラグメントもしくはポリペプチドであり得る。融合タンパク質構築物において通常用いられるタンパク質としては、βガラクトシダーゼ、βグルクロニダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、自己蛍光性タンパク質(青色蛍光タンパク質(BFP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む)が挙げられる。エピトープタグは、融合タンパク質構築物において用いられ得、これにはヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV−Gタグおよびチオレドキシン(Trx)タグを含む。他の融合構築物としては、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−タグ、Lex A DNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4 DNA結合ドメイン融合物、および単純疱疹ウイルス(HSV)のBP16タンパク質融合物が挙げられ得る。
【0030】
hPNQALRE融合タンパク質は、第1および第2のタンパク質セグメントの共有結合により、または分子生物学の分野の標準的手順により作製され得る。組換えDNA方法は、当該分野で公知のように、例えば、第2のタンパク質セグメントをコードし、そして宿主細胞においてDNA構築物を発現するヌクレオチドを用いて、適切なリーディングフレームにおける配列番号1、3、5、または7から選択されるコード配列を含むDNA構築物を作製することによって、hPNQALRE融合タンパク質を調製するために用いられ得る。融合タンパク質を構築するための多くのキットは、実験のためのツールを研究室に供給する会社から入手可能である。これには、例えば、Promega Corporation(Madison、WI)、Stratagene(La Jolla、CA)、Clontech(Mountain View、CA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)、MBL International Corporation(MIC;Watertown、MA)、および Quantum Biotechnologies(Montreal、Canada)が挙げられる。
【0031】
単離かつ精製されたhPNQALREタンパク質、ポリペプチド、生物学的に活性な改変体もしくは変化した改変体または融合タンパク質は、配列番号2、4、6、または8に示されるアミノ酸配列を有するhPNQALREタンパク質、あるいは生物学的に活性なhPNQALRE改変体または変化したhPNQALRE改変体のエピトープに特異的に結合する抗体の調製物を得るために、免疫原として用いられ得る。好ましくは、抗体は、例えば、hPNQALREのサイクリン結合部位に結合することによって、hPNQALREと他のサイクリン依存的キナーゼとの間で区別し得る。より好ましくは、本発明の抗体は、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38の全体または一部によって規定されるエピトープに結合する。配列番号6または配列番号8のアミノ酸181〜201、あるいは配列番号4のアミノ酸168〜188の全体または一部によって規定されるエピトープに結合する抗体もまた、好ましい。代表的には、少なくとも6、8、10、または12の連続するアミノ酸は、hPNQALREエピトープを形成するために要求される。しかし、非連続的アミノ酸を含むエピトープは、より多く(例えば、少なくとも15、25、または50アミノ酸)要求され得る。
【0032】
hPNQALREタンパク質、ポリペプチド、融合タンパク質、または生物学的に活性な改変体のエピトープに特異的に結合する抗体は、以下を含むがそれらに限定されない免疫化学的アッセイにおいて用いられ得る:ウエスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学アッセイ、免疫沈降または当該分野で公知の他の免疫化学的アッセイ。代表的には、本発明の抗体は、このような免疫化学アッセイで用いられた場合、他のタンパク質で提供される検出シグナルより少なくとも5倍、10倍または20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、hPNQALREのエピトープに特異的に結合する抗体は、免疫化学アッセイにおいて他のタンパク質を検出せず、そして溶液からhPNQALREタンパク質またはhPNQALREのポリペプチドフラグメントを免疫沈降し得る。
【0033】
特に抗原性であるhPNQALREのエピトープは、例えば、抗原性についてのhPNQALREポリペプチドの慣用的なスクリーニングにより、または配列番号2、4、6、または8に示されたアミノ酸配列に対するタンパク質の抗原性領域を選択するための理論的な方法を適用することにより選択され得る。このような方法は、例えば、以下において教示される:HoppおよびWood、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78、3824〜28(1981)、HoppおよびWood、Mol.Immunol.20、483〜489(1983)、ならびにSutcliffeら、Science 219、660〜666(1983)。
【0034】
当該分野で公知の任意の型の抗体は、hPNQALREのエピトープに特異的に結合するように産生され得る。例えば、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製物は、当該分野で周知の標準的方法を用いて作製され得る。同様に、単鎖抗体もまた調製され得る。hPNQALREエピトープに特異的に結合する単鎖抗体は、例えば、当該分野で公知であるような単鎖免疫グロブリンディスプレーライブラリーから、単離され得る。このライブラリーは、hPNQALREのアミノ酸配列に対して「パン」され(panned)、そしてhPNQALREのタンパク質の異なるエピトープに対して高親和性で結合する多数の単一の鎖の抗体が単離され得る。Hayashiら、1995、Gene 160:129〜130。単鎖抗体はまた、鋳型としてハイブリドーマcDNAを用いる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようなDNA増幅法を用いて構築され得る。Thirionら、1996、Eur.J.Cancer Prev.5:507〜11。
【0035】
単鎖抗体は、単一抗原特異的(monospecific)または二抗原特異的(bispecific)であり得、そして2価または4価であり得る。4価の二抗原特異的な単鎖抗体の構築は、例えば、ColomaおよびMorrison、1997、Nat.Biotechnol.15:159〜163に教示される。2価の二抗原特異的な単鎖抗体の構築は、とりわけ、MallenderおよびVoss、1994、J.Biol.Chem.269:199〜206に教示される。
【0036】
単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列は、以下に記載のように、手動または自動のヌクレオチド合成を用いて構築され得、標準的な組換えDNA方法を用いて発現構築物にクローンされ得、そして細胞に導入されてコード配列を発現し得る。あるいは、単鎖抗体は、例えば、線状ファージ技術を用いて直接産生され得る。Verhaarら、1995、Int.J.Cancer 61:497〜501;Nichollsら、1993、J.Immunol.Meth.165:81〜91。
【0037】
モノクローナル抗体および他の抗体はまた、それが治療的に用いられる場合、その抗体に対する免疫応答の上昇から患者を保護するため「ヒト化」され得る。このような抗体は、治療に直接用いられるヒト抗体に対して十分に類似の配列であり得、または2〜3の主要な残基の変化を必要とし得る。例えば、げっ歯類の抗体とヒト配列との間の配列の差異は、ヒト配列における残基と異なる残基で置換することにより(例えば、個々の残基の部位特異的変異誘発により、または全相補性決定領域の移植により)最小にされ得る。あるいは、GB2188638Bに記載のように、組換え方法を用いてヒト化抗体を産生し得る。hPNQALREのエピトープに特異的に結合する抗体は、米国特許第5、565、332号に開示されるように、部分的にかまたは完全にのいずれかでヒト化される抗原結合部位を含み得る。
【0038】
抗体の他の型は、本発明の方法において構築され得、そして用いられ得る。例えば、キメラ抗体は、例えばWO93/03151に開示されるように構築され得る。免疫グロブリンに由来する結合タンパク質、ならびにWO94/13804に開示された「ダイアボディ(diabodies)」のような多価および複数抗原特異的な(multispecific)結合タンパク質はまた、調製され得る。
【0039】
本発明の抗体は、当該分野において周知の方法により精製され得る。例えば、抗体は、hPNQALREのタンパク質、ポリペプチド、生物学的に活性な改変体または融合タンパク質が結合するカラムにわたって抗体を通過させることによりアフィニティー精製され得る。次いで、この結合抗体は、高塩濃度の緩衝液を用いてカラムから溶出され得る。
【0040】
抗体以外のhPNQALRE特異的結合ポリペプチドはまた、産生され得る。hPNQALRE特異的結合ポリペプチドは、hPNQALREまたはその改変体と結合するポリペプチドであり、そして、hPNQALREおよびhPNQALREのポリペプチド誘導体に対して、結合を試験された他のポリペプチドよりも、はっきりとより高い結合親和性を有するポリペプチドである。10倍(a factor of 10)まで高い親和性が好ましく、100倍高い親和性がより好ましい。このようなポリペプチドは、例えば酵母ツーハイブリッド系を用いて見出され得る。
【0041】
抗体を用いて、とりわけ、ヒト組織中の野生型hPNQALREタンパク質およびその機能を検出し得る。抗体をまた用いて、hPNQALRE遺伝子における変異の存在を検出し得る。この変異は、hPNQALREタンパク質の過小発現または過剰発現を生じるか、または変化した大きさまたは電気泳動上の移動度を有するhPNQALREタンパク質発現を生じる。必要に応じて、本発明の抗体を用いて、hPNQALREサイクリン結合部位をブロックし得るか、または機能的hPNQALREタンパク質の有効レベルを変化し得る。あるいは、抗体を用いて、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38を含むポリペプチドを検出し得る。好ましい抗体は、配列番号6または配列番号8のアミノ酸181〜201、あるいは配列番号4のアミノ酸168〜188を含むTループ領域によって規定される生物学的活性に結合し、そしてブロックする。
【0042】
本発明はまた、hPNQALREタンパク質、ポリペプチド、生物学的に活性な改変体もしくは変化した改変体、融合タンパク質などをコードするサブゲノムポリヌクレオチドを提供する。hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドは、全体より少ない染色体を含み、そして二本鎖または一本鎖であり得る。好ましくは、ポリヌクレオチドは、イントロンを含まない。
【0043】
hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドは、配列番号1、3、5、または7に示されるヌクレオチド配列またはこれらの相補体から選択される、少なくとも1562、1563、1670、1575、1800、1850、1900、1950、2000、2050または2100以上の連続するヌクレオチドを含み得る。相補的ヌクレオチド配列を使用して、、hPNQALREアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供され得る。好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号5または配列番号7のヌクレオチド76〜114によって含まれるオリゴヌクレオチドである。配列番号3のヌクレオチド503〜564、配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603によって含まれるアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた好ましい。hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドはまた、hPNQALRE特異的単鎖抗体、リボザイム、および生物学的に活性なhPNQALRE改変体もしくは変化したhPNQALRE改変体をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0044】
hPNQALREタンパク質または生物学的に活性なhPNQALRE改変体のアミノ酸配列をコードする縮重ヌクレオチド配列、ならびに配列番号1、3、5、または7に示されるヌクレオチド配列に少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である相同なヌクレオチド配列もまた、hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドである。好ましいサブゲノムポリヌクレオチドは、配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド76〜114ならびに配列番号3のヌクレオチド503〜564および配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603に少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチドを含む。配列同一性パーセントは、Smith−Watermanアルゴリズム(例えば、以下のパラメーター(12のギャップ開放ペナルティーおよび1のギャップ伸長ペナルティー)を用いるアフィンギャップ検索を使用する、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実行されるような)を用いるコンピュータープログラムを使用して決定され得る。
【0045】
配列番号1、3、5、および7に示されるコード配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列または多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、または35%の塩基対ミスマッチを有するその相補体はまた、本発明のhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドである。好ましいヌクレオチド配列は、多くとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、または35%の塩基対ミスマッチを有して、配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド76〜114ならびに配列番号3のヌクレオチド503〜564および配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603にハイブリダイズする。例えば、以下の洗浄条件(2×SSC(0.3M NaCl、0.03M クエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1%SDS、室温で2回、各30分;次いで、2×SSC、0.1%SDS、50℃で1回、30分;次いで、2×SSC、室温で2回、各10分)を使用して、相同的なhPNQALRE配列が同定され得、この相同的な配列は、配列番号1、3、5、または7あるいはその相補体に多くて約25〜30%の塩基対ミスマッチを含む。より好ましくは、相同的な核酸鎖は、15〜25%の塩基対ミスマッチを含み、さらにより好ましくは、5〜15%の塩基対ミスマッチを含む。
【0046】
hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドの種ホモログはまた、適切なプローブまたはプライマーを作製し、そして他の種(例えば、マウス、サル、酵母、または細菌)由来のcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。二本鎖DNAのTmは、相同性における1%減少毎に、1〜1.5℃減少することが周知である(Bonnerら、J.Mol.Biol.81、123(1973))。従って、相同的なhPNQALREポリヌクレオチドは、例えば、推定相同的hPNQALREポリヌクレオチドを、配列番号1、3、5、または7のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとハイブリダイズして、その試験ハイブリッドの融解温度を、配列番号1、3、5、または7を有するポリヌクレオチドおよびその配列に完全に相補的であるポリヌクレオチドを含むハイブリッドの融解温度と比較して、そして試験ハイブリッド内の塩基対ミスマッチの数またはパーセントを計算することによって、同定され得る。
【0047】
ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件に続いて、配列番号1、3、5、または7、あるいはそれらの相補体に示されるコード配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列もまた、本発明のhPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドである。ストリンジェントな洗浄条件は、当該分野で周知であり、そして理解されており、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 第2版、1989、9.50−9.51頁に開示される。hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドの好ましい種ホモログは、配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド76〜114ならびに配列番号3のヌクレオチド503〜564および配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0048】
代表的に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件について、温度および塩濃度の組合せは、研究中のハイブリッドの計算されたTmより約12〜20℃低く、選択されるべきである。配列番号1、3、5、または7に示されるhPNQALRE配列と、その配列に65%、75%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるポリヌクレオチド配列との間のハイブリッドのTmは、例えば、BoltonおよびMcCarthy、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.48,1390(1962)の式を使用して計算され得る。
【0049】
【数1】

ストリンジェントな洗浄条件としては、例えば、4×SSC、65℃、または50%ホルムアミド、4×SSC、42℃、または0.5×SSC、0.1%SDS、65℃が挙げられる。高度にストリンジェントな洗浄条件としては、例えば、0.2×SSC、65℃が挙げられる。
【0050】
hPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドは、標準の核酸精製技術を使用して、他のヌクレオチド配列を含まずに、単離および精製され得る。例えば、制限酵素およびプローブを使用して、hPNQALREタンパク質または改変体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドフラグメントを単離し得る。単離および精製されたサブゲノムポリヌクレオチドは、他の分子を含まないか、少なくとも90%含まない調製物中に存在する。
【0051】
hPNQALREタンパク質をコードする相補DNA(cDNA)分子もまた、本発明のhPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチドである。hPNQALRE cDNA分子は、hPNQALRE mRNAを鋳型として使用する、標準の分子生物学技術を用いて作製され得る。その後、当該分野で公知であり、そしてSambrookら、1989のようなマニュアルに開示される分子生物学技術を使用して、hPNQALRE cDNA分子は複製され得る。増幅技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))を使用して、本発明のサブゲノムポリヌクレオチドのさらなるコピーを、ヒトゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを鋳型として用いることにより、取得し得る。
【0052】
あるいは、合成化学技術を使用して、本発明のhPNQALREのサブゲノムポリヌクレオチド分子を合成し得る。遺伝コードの縮重は、別のヌクレオチド配列が、配列番号2、4、6、または8に示されるアミノ酸配列を有するhPNQALREタンパク質、あるいはそれらの配列の1つの生物学的に活性な改変体をコードするように合成されることを可能にする。そのような全てのヌクレオチド配列は、本発明の範囲内である。
【0053】
本発明はまた、例えば、ノーザンブロッティングまたはサザンブロッティングまたはインサイチュハイブリダイゼーションのようなハイブリダイゼーションプロトコールにおいて、hPNQALRE配列を検出するために使用され得る、ポリヌクレオチドプローブを提供する。本発明のポリヌクレオチドプローブは、配列番号1、3、5、または7から選択される少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、または40以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましいプローブは、配列番号5または配列番号7のヌクレオチド76〜114、あるいは配列番号3のヌクレオチド503〜564、および配列番号5または配列番号7の542〜603より選択される少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、または40以上の連続するヌクレオチドを含む。本発明のポリヌクレオチドプローブは、放射性同位体標識、蛍光標識、酵素的標識、または化学発光標識のような検出可能な標識を含み得る。
【0054】
hPNQALRE構築物は、選択された宿主細胞において機能的であるプロモーターを含む発現構築物であり得る。当業者は、当該分野で公知で、そして使用される多くの細胞型特異的プロモーターから、適切なプロモーターを容易に選択し得る。発現構築物はまた、宿主細胞内で機能的な転写ターミネーターを含み得る。発現構築物は、例えば、hPNQALREのタンパク質、改変体、融合タンパク質、抗体またはリボザイムの全てまたは一部をコードするポリヌクレオチドセグメントを含む。このポリヌクレオチドセグメントは、このプロモーターの下流に位置する。ポリヌクレオチドセグメントの転写は、プロモーターで始まる。
【0055】
hPNQALRE構築物を含む組換え宿主細胞が構築されて、例えば、hPNQALREタンパク質の全てまたは一部を発現し得る。好ましい宿主細胞は、配列番号6または配列番号8のアミノ酸26〜38を含む、hPNQALREタンパク質の一部を発現する。また好ましいのは、配列番号6または配列番号8のアミノ酸181〜201、ならびに配列番号4のアミノ酸168〜188を含む、hPNQALREタンパク質の一部を発現する宿主細胞である。hPNQALRE発現構築物を含む組換え宿主細胞は、原核生物または真核生物であり得る。種々の宿主細胞が、細菌、酵母、昆虫、およびヒトの発現系での使用に利用可能であり、そしてそれら宿主細胞を使用して、hPNQALRE発現構築物を増殖させ得るか、または発現させ得る。
【0056】
構築物を、当該分野で公知の任意の技術を使用して、宿主細胞内に導入し得る。これらの技術として、トランスフェリン−ポリカチオン媒介DNA移入、裸のまたはカプセル化した核酸によるトランスフェクション、リポソーム媒介細胞融合、DNAを被覆したラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウム媒介トランスフェクションが挙げられる。
【0057】
hPNQALRE発現構築物を発現するための細菌系としては、Changら、Nature(1978)275:615、Goeddelら、Nature(1979)281:544、Goeddelら、Nucleic Acids Res.(1980)8:4057、EP36,776、米国特許第4,551,433号、deBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1983)80:21−25、およびSiebenlistら、Cell(1980)20:269において記載される細菌系が挙げられる。
【0058】
酵母における発現系としては、以下に示すものに記載される発現系が挙げられる:Hinnenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:1929;Itoら、J.Bacteriol.(1983)153:163;Kurtzら、Mol.Cell.Biol.(1986)6:142;Kunzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Gleesonら、J.Gen.Microbiol.(1986)132:3459、Roggenkampら、Mol.Gen.Genet.(1986)202:302)Dasら、J.Bacteriol.(1984)158:1165;De Louvencourtら、J.Bacteriol.(1983)154:737、Van den Bergら、Bio/Technology(1990)8:135;Kunzeら、J.Basic Microbiol.(1985)25:141;Creggら、Mol.Cell.Biol.(1985)5:3376、米国特許第4,837,148号、米国特許第4,929,555号;BeachおよびNurse,Nature(1981)300:706;Davidowら、Curr.Genet.(1985)10:380、Gaillardinら、Curr.Genet.(1985)10:49、Ballanceら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1983)112:284−289;Tilburnら、Gene(1983)26:205−221、Yeltonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81:1470−1474、KellyおよびHynes、EMBO J.(1985)4:475479;EP244,234、およびWO91/00357。
【0059】
昆虫におけるhPNQALRE発現構築物の発現を、以下に示すものに記載されるように実行し得る;米国特許第4,745,051号、Friesenら(1986)「The Regulation of Baculovirus Gene Expression」THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES(W.Doerfler編)、EP127,839、EP155,476、およびVlakら、J.Gen.Virol.(1988)69:765−776、Millerら、Ann.Rev.Microbiol.(1988)42:177、Carbonellら、Gene(1988)73:409、Maedaら、Nature(1985)315:592−594、Lebacq−Verheydenら、Mol.Cell.Biol.(1988)8:3129;Smithら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:8404、Miyajimaら、Gene(1987)58:273;およびMartinら、DNA(1988)7:99。多数のバキュロウイルス株および改変体、ならびに対応する許容的な、宿主由来の昆虫宿主細胞は、Luckowら、Bio/Technology(1988)6:47−55、Millerら、Genetic Engineering(Setlow,J.K.ら編)、第8巻(Plenum Publishing、1986)277〜279頁、およびMaedaら、Nature、(1985)315:592−594に記載される。
【0060】
hPNQALRE発現構築物の哺乳動物での発現は、Dijkemaら、EMBO J.(1985)4:761、Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1982b)79:6777、Boshartら、Cell(1985)41:521および米国特許第4,399,216号に記載されるように達成され得る。hPNQALRE発現構築物の哺乳動物での発現の他の特徴は、HamおよびWallace、Meth.Enz.(1979)58:44、BarnesおよびSato、Anal.Biochem.(1980)102:255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、WO90/103430、WO87/00195、および米国再発行特許第30,985号に記載されるように促進され得る。
【0061】
本発明のサブゲノムポリヌクレオチドはまた、遺伝子送達ビヒクルにおいて、hPNQALREのmRNAまたはオリゴヌクレオチド(ネイティブなhPNQALREのmRNAまたはその相補体の配列のいずれかとともに)、全長hPNQALREタンパク質、hPNQALRE融合タンパク質、hPNQALREポリペプチド、生物学的に活性な改変体もしくは改変された改変体、またはhPNQALRE特異的リボザイムもしくは単鎖抗体を細胞に、好ましくは真核生物細胞に送達する目的のために用いられ得る。本発明によれば、遺伝子送達ビヒクルは、例えば、裸のプラスミドDNA、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドを含むウイルス発現ベクターまたはリポソームもしくは縮合剤と結合したhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドであり得る。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、遺伝子送達ビヒクルは、プロモーターおよびhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドを含む。好ましいプロモーターは、組織特異的プロモーターおよび細胞増殖により活性化されるプロモーター(例えば、チミジンキナーゼプロモーターおよびチミジル酸シンターゼプロモーター)である。他の好ましいプロモーターとしては、ウイルス感染により活性化され得るプロモーター(例えば、およびインターフェロンプロモーター)、およびホルモン(例えば、エストロゲン)により活性化され得るプロモーターが挙げられる。使用可能な他のプロモーターとしては、モロニーウイルスLTR、CMVプロモーター、およびマウスアルブミンプロモーターが挙げられる。
【0063】
hPNQALRE遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスの複製起点またはパッケージングシグナルのような、ウイルス配列を含み得る。これらのウイルス配列は、アストロウイルス、コロナウイルス、オルトミクソウイルス、パポバウイルス、パラミクソウイルス、パルボウイルス、ピコルナウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、トガウイルスまたはアデノウイルスのようなウイルスから選択され得る。好ましい実施形態において、hPNQALRE遺伝子送達ビヒクルは、組換えレトロウイルスベクターである。組換えレトロウイルスおよびそれらの種々の使用は、例えば、以下を含む多くの参考文献に記載されている;Mannら、Cell 33:153,1983、CaneおよびMulligan、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 81:6349、1984、Millerら、Human Gene Therapy 1:5−14、1990、米国特許第4,405,712号、同第4,861,719号および同第4,980,289号、ならびにPCT出願第WO89/02,468号、WO89/05,349、およびWO90/02,806。
【0064】
多くのレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、本発明で利用され得、例えば、以下に示されるものに記載されるものが挙げられる;EP0,415,731;WO90/07936;WO94/03622;WO93/25698;WO93/25234;米国特許第5,219,740号;WO9311230;WO9310218;VileおよびHart、Cancer Res.53:3860−3864,1993;VileおよびHart、Cancer Res.53:962−967,1993;Ramら、Cancer Res.53:83−88,1993;Takamiyaら、J.Neurosci.Res.33:493−503,1992;Babaら、J.Neurosurg.79:729−735,1993(米国特許第4,777,127号、GB2,200,651、EP0,345,242およびWO91/02805)。
【0065】
特に好ましいレトロウイルスは、ニワトリ白血病ウイルス(ATCC番号VR−535およびVR−247)、ウシ白血病ウイルス(VR−1315)、マウス白血病ウイルス(MLV)、ミンク細胞フォーカス形成ウイルス(Kochら,J.Vir.49:828、1984;およびOliffら、J.Vir.48:542、1983)、マウス肉腫ウイルス(ATCC番号VR−844、45010および45016)、細網内皮症ウイルス(ATCC番号VR−994、VR−770および45011)、ラウス肉腫ウイルス、メイソン−パイツァーサルウイルス、ヒヒ内因性ウイルス、内因性ネコレトロウイルス(例えば、RD114)、およびレトロウイルスベクターとして使用されるマウスまたはラットのgL30配列を含む、レトロウイルスに由来する。
【0066】
組換えレトロウイルスが生成され得る、特に好ましいMLVの株としては、4070Aおよび1504A(HartleyおよびRowe、J.Vir.19:19,1976)、アーベルソン(ATCC番号VR−999)、フレンド(ATCC番号VR−245)、グラフィ(Ruら、J.Vir.67:4722,1993;およびYantchev Neoplasma 26:397,1979)、グロス(ATCC番号VR−590)、キルステン(Kirsten)(Albinoら、J.Exp.Med.164:1710、1986)、ハーベイ肉腫ウイルス(Manlyら、J.Vir.62:3540、1988;およびAlbinoら、J.Exp.Med.164:1710、1986)およびラウシャー(ATCC番号VR−998)、ならびにモロニーMLV(ATCC番号VR−190)が挙げられる。
【0067】
特に好ましい非マウスレトロウイルスは、ラウス肉腫ウイルスである。好ましいラウス肉種ウイルスとしては、ブラチスラバウイルス(Bratislava)(Manlyら、J.Vir.62:3540、1988;およびAlbinoら、J.Exp.Med.164:1710、1986)、ブライアン高力価ウイルス(例えば、ATCC番号VR−334、VR−657、VR−726、VR−659、およびVR−728)、ブライアン標準ウイルス(ATCC番号VR−140)、カール−ジルバー(Carr−Zilber)ウイルス(Adgighitovら、Neoplasma 27:159、1980)、エンゲルブレス−ホルム(Engelbreth−Holm)ウイルス(Laurentら、Biochem Biophys Acta 908:241、1987)、ハリス(Harris)ウイルス、プラハ(Prague)ウイルス(例えば、ATCC番号VR−772および45033)、およびシュミット−ルピン(Schmidt−Ruppin)ウイルス(例えば、ATCC番号VR−724、VR−725、VR−354)が挙げられる。
【0068】
任意の上記のレトロウイルスは、本明細書中に提供される開示および当該分野で公知の標準的な組換え技術(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning.A Laboratory Manual.第2版 Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989、およびKunkle、PNAS 82:488、1985)を考慮して、レトロウイルスhPNQALRE遺伝子送達ビヒクルをアセンブルまたは構築するために容易に利用され得る。レトロウイルスhPNQALRE発現ベクターの一部は、異なるレトロウイルスに由来し得る。例えば、レトロベクターLTRはマウス肉腫ウイルスに由来し得、tRNA結合部位はラウス肉腫ウイルスに由来し得、パッケージングシグナルはマウス白血病ウイルスに由来し得、そして第2鎖合成の起点はニワトリ白血病ウイルスに由来し得る。
【0069】
組換えレトロウイルスベクターを用い、それらを適切なパッケージング細胞株に導入することによって、形質導入能力のあるレトロウイルスベクター粒子を作製し得る(1991年11月29日出願の出願第07/800,921号を参照のこと)。組換えレトロウイルスゲノムの、宿主細胞DNAの特異的領域内への部位特異的組込みを指向する組換えレトロウイルスが、生成され得る。部位特異的組込みは、レトロウイルス粒子内に取り込まれるキメラインテグラーゼにより媒介され得る(1995年5月22日出願の出願第08/445,466号を参照のこと)。組換えウイルス遺伝子送達ビヒクルが、複製欠損の組換えウイルスであることが好ましい。
【0070】
上記レトロウイルス遺伝子送達ビヒクルとの使用に適切なパッケージング細胞株は、容易に調製され得(1994年5月9日出願の出願第08/240,030号を参照のこと;WO 92/05266もまた参照のこと)、そして組換えウイルス粒子の産生のためのプロデューサー細胞株(ベクター細胞株、すなわち「VCL」とも称される)を作製するために使用され得る。本発明の特に好ましい実施形態において、パッケージング細胞株は、ヒト親細胞株(例えば、HT1080細胞)またはミンク親細胞株から作製され、それにより、ヒト血清における不活化を生き延び得る組換えレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの産生を可能にする。組換えレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルの構築は、WO91/02805に詳細に記載される。
【0071】
組換えレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、それらを適切なパッケージング細胞株に導入することによって、形質導入能力のあるレトロウイルス粒子を作製するために使用され得る(出願第07/800,921号を参照のこと)。同様に、アデノウイルス遺伝子送達ビヒクルもまた、容易に調節され得、そして本明細書に提供される開示を参照して利用され得る(Berkner、Biotechniques 6:616−627,1988、およびRosenfeldら、Science 252:431−434、1991、WO93/07283、WO93/06223およびWO93/07282もまた参照のこと)。
【0072】
hPNQALRE遺伝子送達ビヒクルはまた、組換えアデノウイルス遺伝子送達ビヒクルであり得る。このようなビヒクルは、本明細書中に提供される開示(Berkner,Biotechniques 6:616,1988,およびRosenfeldら,Science 252:431,1991,WO 93/07283,WO 93/06223,およびWO 93/07282を参照のこと)を参照すれば、容易に調製および利用され得る。アデノ随伴ウイルスhPNQALRE遺伝子送達ビヒクルはまた、hPNQALREのアミノ酸またはヌクレオチドを送達するために構築および使用され得る。
【0073】
アデノ随伴ウイルス遺伝子送達ビヒクルのインビトロでの使用は、Chatterjeeら,Science 258:1485−1488(1992),Walshら,Proc.Nat’1.Acad.Sci.89:7257−7261(1992),Walshら,J.Clin.Invest.94:1440−1448(1994),Flotteら,J.Biol.Chem.268:3781−3790(1993),Ponnazhaganら,J.Exp.Med.179:733−738(1994),Millerら,Proc.Nat’l Acad.Sci.91:10183−10187(1994),Einerhandら,Gene Ther.2:336−343(1995),Luoら,Exp.Hematol.23:1261−1267(1995),およびZhouら,Gene Therapy 3:223−229(1996)に記載される。これらのビヒクルのインビボでの使用は、Flotteら,Proc.Nat’l Acad.Sci.90:10613−10617(1993)、およびKaplittら,Nature Genet.8:148−153(1994)に記載される。
【0074】
本発明の別の実施形態では、hPNQALRE遺伝子送達ビヒクルは、トガウイルスに由来する。好ましいトガウイルスとしては、アルファウイルス、特に、米国特許出願第08/405,627号(1995年3月15日出願)、WO 95/07994に記載されるアルファウイルスが挙げられる。シンドビスウイルスおよびELVSウイルスを含むアルファウイルスは、hPNQALREポリヌクレオチドについての遺伝子送達ビヒクルであり得る。アルファウイルスは、WO 94/21792、WO 92/10578およびWO 95/07994に記載される。いくつかの異なるアルファウイルス遺伝子送達ビヒクル系は、本発明に従ってhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドを細胞に送達するために構築および使用され得る。このような系の代表例としては、米国特許第5,091,309号および同第5,217,879号に記載される系が挙げられる。本発明に使用するために特に好ましいアルファウイルス遺伝子送達ビヒクルとしては、WO 95/07994、および米国特許出願第08/405,627号に記載されるアルファウイルス遺伝子送達ビヒクルが挙げられる。
【0075】
好ましくは、組換えウイルスビヒクルは、シンドビスウイルスに基づく組換えアルファウイルスウイルスビヒクルである。シンドビス構築物、ならびに多数の同様の構築物は、米国特許第出願第08/198,450号に本質的に記載される通りに容易に調製され得る。シンドビスウイルス遺伝子送達ビヒクルは、代表的に、シンドビスウイルス転写を開始し得る5’配列、シンドビス非構造タンパク質をコードするヌクレオチド配列、サブゲノムフラグメント転写を防止するように不活化されたウイルス連結領域、およびシンドビスRNAポリメラーゼ認識配列を含む。必要に応じて、このウイルス連結領域は、サブゲノムポリヌクレオチド転写が減少、増加、または保持されるように改変され得る。当業者によって理解されるように、他のアルファウイルス由来の対応する領域は、上記に記載される領域の代わりに用いられ得る。
【0076】
アルファウイルス由来遺伝子送達ビヒクルのウイルス連結領域は、サブゲノムポリヌクレオチドの転写を妨害するために不活化された第1のウイルス連結領域、およびサブゲノムポリヌクレオチド転写が減少するように改変された第2のウイルス連結領域を含み得る。アルファウイルス由来ビヒクルはまた、cDNAからのウイルスRNAの合成を開始し得る5’プロモーター、および転写終結を制御する3’配列を含み得る。
【0077】
本発明において利用され得る他の組換えトガウイルス遺伝子送達ビヒクルとしては、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)、ミッデルブルグ(Middleberg)ウイルス(ATCC VR−370)、ロス川(Ross River)ウイルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、ヴェネズエラウマ脳炎(Venezuelan equine encephalitis)ウイルス(ATCC VR923;ATCC VR−1250;ATCC VR−1249;ATCC VR−532)に由来するもの、および米国特許第5,091,309号および同第5,217,879号、ならびにWO 92/10578に記載されるものが挙げられる。上記のシンドビスビヒクル、ならびに多数の同様の構築物は、米国特許出願第08/198,450号に本質的に記載される通りに容易に調製され得る。
【0078】
本発明における使用のために適切な他のウイルス遺伝子送達ビヒクルとしては、例えば、ポリオウイルス(Evansら,Nature 339:385,1989およびSabinら,J.Biol.Standardization 1:115,1973)(ATCC VR−58);ライノウイルス(Arnoldら,J.Cell.Biochem.L401,1990)(ATCC VR−1110);ポックスウイルス(例えば、カナリア痘ウイルスまたはワクシニアウイルス(Fisher−Hochら,PNAS 86:317,1989;Flexnerら,Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86,1989;Flexnerら,Vaccine 8:17,1990;U.S.4,603,112およびU.S.4,769,330;WO 89/01973)(ATCC VR−111;ATCC VR−2010);SV40(Mulliganら,Nature 277:108,1979)(ATCC VR−305)、(Madzakら,J.Gen.Vir.73:1533,1992);およびインフルエンザウイルス(Luytjesら,Cell 59:1107,1989;McMichealら,The New England Journal of Medicine 309:13,1983;およびYapら,Nature 273:238,1978)(ATCC VR−797)由来のウイルス遺伝子送達ビヒクルが挙げられる。
【0079】
遺伝子送達ビヒクルを誘導するために用いられ得る他のウイルスとしては、パルボウイルス(例えば、アデノ随伴ウイルス)(Samulskiら,J.Vir.63:3822,1989,およびMendelsonら,Virology 166:154,1988)(ATCC VR−645);単純ヘルペスウイルス(Kitら,Adv.Exp.Med.Biol.215:219,1989)(ATCC VR−977;ATCC VR−260);Nature 277:108,1979);ヒト免疫不全ウイルス(EPO 386,882,Buchschacherら,J.Vir. 66:2731,1992);および麻疹ウイルス(EPO 440,219)(ATCC VR−24);A(ATCC VR−67;ATCC VR−1247)が挙げられる。
【0080】
アウラ(Aura)(ATCC VR−368)、ベバル(Bebaru)ウイルス(ATCC VR−600;ATCC VR−1240)、キャバソウ(Cabassou)(ATCC VR−922)、チクングンヤウイルス(ATCC VR−64;ATCC VR−1241)、フォートモルガン(Fort Morgan)(ATCC VR−924)、ゲタウイルス(ATCC VR−369;ATCC VR−1243)、キジルアガハ(Kyzylagach)(ATCC VR−927)、マヤロ(ATCC VR−66)、ムカンボウイルス(ATCC VR−580;ATCC VR−1244)、ヌヅム(ATCC VR−371)、ピクスナウイルス(ATCC VR−372;ATCC VR−1245)、トナテ(Tonate)(ATCC VR−925)、トリニティ(ATCC VR−469)、ウナ(ATCC VR−374)、ワタロア(ATCC VR−926)、Y−62−33(ATCC VR−375)、オニオン(O’Nyong)ウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルス(ATCC VR−65;ATCC VR−1242)、西部ウマ脳脊髄炎ウイルス(ATCC VR−70;ATCC VR−1251;ATCC VR−622;ATCC VR−1252)、およびコロナウイルス(Hamreら,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.121:190,1966)(ATCC VR−740)もまた、遺伝子送達ビヒクルを提供するために用いられ得る。
【0081】
本発明のhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドは、遺伝子送達ビヒクルを形成する縮合剤と組み合わされ得る。好ましい実施形態では、この縮合剤は、ポリカチオン(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、プロタミン、スペルミン、スペルミジン、およびプトレシン)である。このような結合を作製するための多くの適切な方法は、当該分野で公知である(例えば、米国特許出願第08/366,787号(1994年12月30日出願)を参照のこと)。
【0082】
あるいは、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドは、リポソームと組み合わされて遺伝子送達ビヒクルを形成し得る。リポソームは、脂質二重層により取囲まれた水性区画から構成される、代表的には、球状またはわずかに伸長した構造の、直径数百オングストロームの小さな脂質小胞である。適切な条件下で、リポソームは、細胞の原形質膜と、またはリポソームをインターナリゼーションした細胞内のエンドサイトーシス性小胞の膜と融合し得、その結果、その内容物を細胞質に放出する。しかし、細胞の表面との相互作用の前に、リポソーム膜は、その内容物を、例えば、分解酵素から隔離および防御する比較的不透過性の障壁として作用する。
【0083】
さらに、リポソームは合成構造物であるので、所望の特徴を取り込んだ、特別に設計したリポソームが生成され得る。Stryer,Biochemistry,236−240頁,1975(W.H.Freeman,San Francisco,CA);Szokaら,Biochim.Biophys.Acta 600:1,1980;Bayerら,Biochim.Biophys.Acta.550:464,1979;Rivnayら,Meth.Enzymol.149:119,1987;Wangら.,PNAS 84:7851,1987,Plantら,Anal.Biochem.176:420,1989および米国特許第4,762,915号を参照のこと。リポソームは、本発明に開示されるポリヌクレオチドのようなhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドを含む、種々の核酸分子(DNA、RNA、プラスミド、および発現構築物を含む)をカプセル化し得る。
【0084】
本発明における使用のためのリポソーム調製物としては、カチオン性(正に荷電した)、アニオン性(負に荷電した)および中性の調製物が挙げられる。カチオン性リポソームは、プラスミドDNA(Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7416,1987)、mRNA(Maloneら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6077−6081,1989)、および精製転写因子(Debsら,J.Biol.Chem.265:10189−10192,1990)の機能的形態での細胞内送達を媒介することが示された。カチオン性リポソームは、容易に入手可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、商標Lipofectinの下で、GIBCO BRL,Grand Island,NYから入手可能である。Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5148−5152.87,1994もまた参照のこと。
【0085】
他の市販のリポソームとしては、Transfectace(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当該分野で周知の技術を用いて、容易に入手可能な材料から調製され得る。例えば、DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明に関して、Szokaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:4194−4198,1978;およびWO 90/11092を参照のこと。
【0086】
同様に、アニオン性および中性リポソームは、容易に入手可能であるか(例えば、Avanti Polar Lipids(Birmingham,AL)から)、または容易に入手可能な材料を用いて容易に調製され得る。このような材料としては、とりわけ、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が挙げられる。これらの材料はまた、DOTMAおよびDOTAP出発物質と適切な比で混合され得る。これらの材料を用いてリポソームを作製するための方法は、当該分野で周知である。
【0087】
リポソームは、多重ラメラ小胞(MLV)、小さな単ラメラ小胞(SUV)、または大きな単ラメラ小胞(LUV)を含み得る。種々のリポソーム−核酸複合体が、当該分野で公知の方法を使用して調製される。例えば、Straubingerら,METHODS OF IMMUNOLOGY(1983),第101巻,512−527頁;Szokaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3410−3414,1990;Papahadjopoulosら,Biochim.Biophys.Acta 394:483,1975;Wilsonら,Cell 17:77,1979;DeamerおよびBangham,Biochim.Biophys.Acta 443:629,1976;Ostroら,Biochem.Biophys.Res.Commun.76:836,1977;Fraleyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:3348,1979;EnochおよびStrittmatter,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:145,1979;Fraleyら,J.Biol.Chem.255:10431,1980;SzokaおよびPapahadjopoulos,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:145,1979;ならびにSchaefer−Ridderら,Science 215:166,1982を参照のこと。
【0088】
さらに、リポタンパク質は、細胞への送達のためにhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドに含まれ得る。このようなリポタンパク質の例としては、カイロミクロン、HDL、IDL、LDL、およびVLDLが挙げられる。これらのタンパク質の変異体、フラグメント、または融合物もまた使用され得る。天然に存在するリポタンパク質の改変物(例えば、アセチル化LDL)もまた、使用され得る。これらのリポタンパク質は、ポリヌクレオチドの送達を、リポタンパク質レセプターを発現する細胞に標的化し得る。好ましくは、リポタンパク質がポリヌクレオチドとともに含まれる場合、他の標的化するリガンドは組成物中に含まれない。
【0089】
「裸の」hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチド分子はまた、WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されるように、遺伝子送達ビヒクルとして使用され得る。このような遺伝子送達ビヒクルは、hPNQALRE DNAまたはhPNQALRE RNAのいずれかであり得、そして特定の実施形態では、死滅したアデノウイルスに連結される(Curielら、Hum.Gene.Ther.3:147−154,1992)。他の適切なビヒクルとしては、DNA−リガンド(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985−16987,1989)、脂質−DNAの組合せ(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417、1989)、リポソーム(Wangら、Proc.Natl.Acad.Sci.84:7851−7855,1987)および微粒子銃(microprojectile)(Williamsら、Proc.Natl.Acad.Sci.88:2726−2730,1991)が挙げられる。
【0090】
裸のhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの細胞への摂り込みの効率は、生分解性ラテックスビーズ上にポリヌクレオチドをコーティングすることにより上昇され得、これらのビーズは、効率良く輸送され、そして細胞の核周囲領域に濃縮される。hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドでコーティングしたラテックスビーズは、細胞内に注入され得、そしてビーズがエンドサイトーシスを開始した後、効率良く細胞内に輸送され、従って遺伝子移入および発現効率を上昇させる。この方法は、ビーズの疎水性を増加させるためにビーズを処理することによりさらに改良され得、これにより、エンドソームの破壊および細胞質へのhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの放出を容易にする。
【0091】
hPNQALREは、種々のサイクリンと相互作用して、細胞内で種々の効果を達成し得る。例えば、hPNQALREに結合するサイクリンは、転写を調節するために機能し得る。hPNQALREに結合するサイクリンは、酵母ツーハイブリッドアッセイのようなスクリーニングを使用して同定され得る。このアッセイは、とりわけFieldsおよびSong,Nature 340:245−46,1989に記載される。
【0092】
hPNQALRE mRNAは、正常組織におけるhPNQALRE mRNA発現レベルと比較すると、腫瘍において過剰発現される。本発明に従って、腫瘍は、(例えば、hPNQALREのレベルを減少させるか、またはその機能をブロックもしくは減少させることによって)腫瘍における機能性hPNQALREタンパク質のレベルを減少させ得る組成物と、腫瘍を接触させることにより処置され得る。処置され得る新形成としては、結腸直腸癌、黒色腫、扁平上皮癌、腺癌、肝細胞癌、腎細胞癌、肉腫、筋肉腫、非小細胞肺癌、白血病、リンパ腫、骨肉腫、中枢神経系腫瘍(例えば、グリオーム、星状細胞腫、乏突起膠腫、および神経芽腫)、乳癌、混合した起源の腫瘍(例えば、ウィルムス腫瘍および奇形癌)ならびに転移性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。増殖性障害(例えば、無汗性(anhydric)遺伝性外胚葉性形成異常、先天性肺胞性形成異常、頸部の上皮形成異常、線維性骨形成異常、および乳房形成異常もまた、本発明に従って処置され得る。過形成(例えば、子宮内膜過形成、副腎過形成、乳房過形成、前立腺過形成、もしくは甲状腺過形成)または皮膚の偽上皮腫性増殖もまた、本発明に従って処置され得る。
【0093】
組成物は、腫瘍細胞のような細胞における機能性hPNQALREタンパク質のレベルを減少させるように、hPNQALRE発現産物に特異的に結合する試薬を含む。本発明の1つの実施形態では、試薬はリボザイム、触媒活性を有するRNA分子である。例えば、Cech、Science 236:1532−1539;1987;Cech、Ann.Rev.Biochem.59:543−568;1990、Cech、Curr.Opin.Struct.Biol.2:605−609;1992、CoutureおよびStinchcomb、Trends Genet.12:510−515;1996を参照のこと。当該分野で公知であるように(例えば、Haseloffら、米国特許第5,641,673号)、リボザイムは、RNA配列を切断することにより、遺伝子機能を阻害するために使用され得る。
【0094】
hPNQALRE遺伝子のコード配列は、hPNQALRE遺伝子から転写されるmRNAに特異的に結合するリボザイムを生成するために使用され得る。高度に配列特異的な様式で、トランスで他のRNA分子を切断し得るリボザイムを、設計し、構築する方法が、当該分野で開発されそして記載されてきた(Haseloffら、Nature 334:585−591、1988を参照のこと)。例えば、リボザイムの切断活性は、別個の「ハイブリダイゼーション」領域をリボザイム内に操作することにより、特異的hPNQALRE RNAに対して標的化され得る。ハイブリダイゼーション領域は、標的hPNQALRE RNAに相補的な配列を含み、従ってこの標的に特異的にハイブリダイズする(例えば、Gerlachら、EP 321,201を参照のこと)。配列番号1、3、5、および7に示されるヌクレオチド配列は、適切なハイブリダイゼーション領域の配列の供給源を提供する。好ましいリボザイム「ハイブリダイゼーション」領域は、配列番号5または配列番号7のヌクレオチド76〜114を、全体にまたは部分的に含む。他の好ましいリボザイム「ハイブリダイゼーション」領域は、配列番号3のヌクレオチド503〜564、または配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603を、全体にまたは部分的に含む。より長い相補的配列が、ハイブリダイゼーション配列の標的への親和性を増加させるために使用され得る。hPNQALREリボザイムのハイブリダイズ領域および切断領域は、全体的に関連し得;従って相補的領域を通して標的hPNQALRE RNAにハイブリダイズする際に、リボザイムの触媒領域は、標的を切断し得る。
【0095】
当該分野で公知であり、そして上記のように、hPNQALREリボザイムは、構築物の一部として細胞内に導入され得る。機械的方法(例えば、微量注入、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはリン酸カルシウム沈殿)は、上記のように、hPNQALRE発現を減少させることが所望される細胞内に、リボザイム含有構築物を導入するために使用され得る。あるいは、当該分野で公知のように、細胞が構築物を安定に保持することが望ましい場合、その構築物は、プラスミドに供給され、そして別のエレメントとして維持され得るか、または細胞のゲノムへ統合され得る。この構築物は、転写調節エレメント(例えば、プロモーターエレメント、エンハンサーエレメントまたはUASエレメント、および転写ターミネーターシグナル)を、細胞内におけるhPNQALREリボザイムの転写を制御するために、含み得る。
【0096】
本発明の別の実施形態では、hPNQALREタンパク質のレベルは、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列を使用することにより減少される。アンチセンス配列は、配列番号1、3、5、および7に示されるヌクレオチド配列から選択される、hPNQALREをコードする配列の少なくとも1部分に相補的である。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、少なくとも11ヌクレオチド長であるが、少なくとも12、15、20、25、30、35、40、45、または50以上のヌクレオチド長であり得る。より好ましくは、11、12、15、20、25、30、35、40、45、または50以上のヌクレオチドのアンチセンスオリゴヌクレオチド配列が、配列番号5および配列番号7のヌクレオチド76〜114に相補的であり、あるいは配列番号3のヌクレオチド503〜564または配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603に相補的である。より長い配列もまた使用され得る。hPNQALREアンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、構築物中に提供され得、そして本明細書中に開示されるように細胞内に導入されて、細胞における機能性hPNQALREタンパク質のレベルを減少させ得る。
【0097】
hPNQALREアンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または両方の組合せであり得る。非ホスホジエステルヌクレオチド間連結(例えば、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、ホスホルアミデート、リン酸エステル、カルバメート、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、カーボネート、およびリン酸トリエステル)で、一方のヌクレオチドの5’末端を、他方のヌクレオチドの3’末端と共有結合で連結することにより、オリゴヌクレオチドは、手動で、または自動合成器で合成され得る。Brown、Meth.Mol.Biol.20:1−8,1994;Sonveaux、Meth.Mol.Biol.26:1−72,1994;Uhlmannら、Chem.Rev.90:543−583,1990を参照のこと。
【0098】
正確な相補性は、アンチセンス分子とhPNQALRE遺伝子の相補性コード配列との間の首尾良い2重鎖形成のために必要とされない。連続的なヌクレオチド部分(stretch)(隣接するhPNQALREコード配列に相補的でない)によって各々が隔てられる、例えば2、3、4、または5以上の連続的なヌクレオチド部分(hPNQALREコード配列に正確に相補的である)を含むアンチセンス分子は、hPNQALRE mRNAに標的化特異性を提供し得る。好ましくは、連続したヌクレオチドの各部分は、少なくとも4、5、6、7、または8以上のヌクレオチド長である。非相補性介在配列は、好ましくは1、2、3、または4ヌクレオチド長である。特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドと特定のhPNQALREコード配列との間で耐えられるミスマッチの程度を決定するために、当業者はアンチセンス−センス対の算出された融点を容易に使用し得る。
【0099】
hPNQALREアンチセンスオリゴヌクレオチドは、それらのhPNQALREコード配列にハイブリダイズする能力に影響することなく、改変され得る。これらの改変は、アンチセンス分子の内部または一方の末端もしくは両末端であり得る。例えば、ヌクレオシド間ホスフェート連結は、種々の炭素数の残基を有するコレステリル部分またはジアミン部分を、アミノ基と末端リボースとの間に加えることにより改変され得る。改変された塩基および/もしくは糖(例えば、リボースの代りのアラビノース)または3’,5’−置換オリゴヌクレオチド(3’ヒドロキシル基または5’ホスフェート基が置換されている)はまた、改変アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて使用され得る。これらの改変オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の方法により調製され得る。例えば、Agrawalら、Trends Biotechnol.10:152−158,1992;Uhlmannら、Chem.Rev.90:543−584,1990;Uhlmannら、Tetrahedron.Lett.215:3539−3542,1987を参照のこと。
【0100】
hPNQALREエピトープに特異的に結合し、特にhPNQALREのサイクリン結合ドメインに結合する本発明の抗体はまた、hPNQALREタンパク質に結合し、そして細胞内で機能し得るhPNQALREタンパク質のレベルを減少させることにより、機能性hPNQALREタンパク質のレベルを変更するために使用され得る。本発明の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドは、上記のように細胞内に導入され得る。
【0101】
好ましくは、細胞における機能性hPNQALREのレベルを減少させるために使用される機構は、機能性hPNQALREタンパク質のレベルを少なくとも50%、60%、70%、または80%減少させる。最も好ましくは、機能性hPNQALREタンパク質のレベルは、少なくとも90%、95%、99%、または100%減少される。機能性hPNQALREタンパク質のレベルを減少させるために選ばれる機構の有効性は、当該分野で周知の方法(例えば、ヌクレオチドプローブのhPNQALRE mRNAへのハイブリダイゼーション、定量的RT−PCR、本発明のhPNQALRE特異的抗体を使用するhPNQALREタンパク質の検出、またはサイクリン依存性キナーゼ活性の測定)を使用して評価され得る。サイクリン依存性キナーゼ活性についてのアッセイは、例えばLockら、1997、Cancer Chemother.Pharmacol.39:399−409に教示される。
【0102】
hPNQALRE抗体、リボザイム、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物は、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に周知である。このようなキャリアとしては、大きくて、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウイルス粒子)が挙げられるが、これに限定されない。薬学的に受容可能な塩はまた、hPNQALRE組成物において使用され得、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、または硫酸塩のような鉱酸塩、ならびに酢酸塩、プロピオン酸塩(proprionate)、マロン酸塩、または安息香酸塩のような有機酸塩が挙げられる。hPNQALRE組成物はまた、液体(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノール)ならびに湿潤剤、乳化剤またはpH緩衝剤のような物質を含み得る。リポソーム(例えば、米国特許第5,422,120号、WO95/13796、WO91/14445、またはEP524,968B1に記載されるリポソーム)はまた、hPNQALRE組成物のためのキャリアとして使用され得る。
【0103】
代表的に、hPNQALRE組成物は、注射可能物質として(液体溶液または懸濁液のいずれかとして)調製される;しかし注射の前の液体ビヒクル中に溶解または懸濁するのに適切な固体形態も調製され得る。hPNQALRE組成物はまた、腸溶性錠剤またはゲルカプセル内に、当該分野で公知の方法(例えば、米国特許第4,853,230号、EP 225,189、AU 9,224,296、およびAU 9,230,801に記載される方法)により、処方され得る。
【0104】
本発明のhPNQALRE組成物の投与は、局所投与または全身投与(注射、経口投与、パーティクルガン、またはカテーテル挿入投与を含む)ならびに表面(topical)投与を含み得る。種々の方法が、hPNQALRE組成物を直接身体中の特定の部位に投与するために使用され得る。腫瘍におけるアポトーシスを誘導するために、例えば、適切なhPNQALRE組成物が、腫瘍の本体内の数ヶ所の異なる場所に、数回注射される。あるいは、腫瘍に供給する動脈が同定され得、そしてhPNQALRE組成物がこのような動脈内に、組成物を腫瘍へ送達するために、注入され得る。
【0105】
壊死中心を有する腫瘍は吸引され得、そしてhPNQALRE組成物が、今や空になった腫瘍の中心に直接注入され得る。hPNQALRE組成物はまた、腫瘍の表面に、例えばこの組成物の表面適用により直接投与され得る。X線画像化は、これらの送達方法の確実性を補助するために使用され得る。組合せた治療剤(hPNQALRE特異的な抗体、リボザイム、もしくはオリゴヌクレオチドまたはhPNQALRE特異的な抗体、リボザイム、もしくはオリゴヌクレオチドをコードするサブゲノムhPNQALREポリヌクレオチドを含む)が、他の治療剤と同時に、または続けて投与され得る。
【0106】
hPNQALRE組成物は、レセプター媒介標的化送達を使用して、特定の組織に送達され得る。レセプター媒介DNA送達技術は、例えば、Findeisら、Trends in Biotechnol.11:202−05,(1993);Chiouら、GENE THERAPEUTICS:METHODS AND APPLICATIONS OF DIRECT GENE TRANSFER(J.A.Wolff編)(1994);WuおよびWu、J.Biol.Chem.263:621−24,1988;Wuら、J.Biol.Chem.269:542−46、1994;Zenkeら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87、3655−59、1990;Wuら、J.Biol.Chem.266,338−42,1991に教示される。
【0107】
特定のhPNQALRE組成物の用量およびこの組成物を投与する手段の両方は、hPNQALRE組成物の特定の特性、患者の状態、患者の年齢、および患者の体重、処置される特定の疾患の進行度、ならびに関連する要因に基づいて、決定され得る。組成物がhPNQALRE抗体を含む場合、この組成物の有効な投薬量は、患者の体重1kg当たり約5μg〜約50mgの範囲、1kgあたり約50μg〜約5mgの範囲、患者の体重1kgあたり約100μg〜約500μgの範囲、および1kgあたり約200μg〜約250μgの範囲である。
【0108】
アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびリボザイムコード配列または抗体コード配列を含む、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドを含む組成物は、局所投与のために約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与され得る。適切な濃度は、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNAの範囲である。作用の方法ならびに形質転換および発現の効力のような要因は、hPNQALRE組成物の最終的な効力のために必要とされる投薬量に影響する、考慮すべき問題である。より広い面積の組織にわたってより高い発現が所望される場合、より大量のhPNQALRE組成物、もしくは連続して投与される同じ量、または別々の(例えば、腫瘍部位の)隣接した組織部分または近傍の組織部分への数回の投与が、正の治療結果を遂げるために必要とされ得る。全ての場合において、臨床試験における慣用的な実験により、最適な治療効果のための特定の範囲が決定される。
【0109】
細胞における内因性hPNQALRE遺伝子の発現は、内因性hPNQALRE遺伝子とインフレームで、DNA構築物(hPNQALRE標的化配列、調節配列、エキソン、および不対スプライスドナー部位を含む)を相同組換えにより導入することにより変更され得、その結果、新しいhPNQALRE転写ユニットを含む相同組換え細胞が、形成される。この新しい転写ユニットは、hPNQALRE遺伝子を所望により開始または終了させるために使用され得る。内因性遺伝子発現に影響を及ぼすこの方法は、米国特許第5,641,670号に教示される。
【0110】
標的化配列は、配列番号1、3、5、または7に示されるヌクレオチド配列から選択される、少なくとも10、12、15、20、または50の連続したヌクレオチドのセグメントである。好ましい標的化配列は、配列番号5および配列番号7のヌクレオチド76〜114ならびに配列番号3のヌクレオチド503〜564または配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603から選択される。新しい転写ユニットは、内因性hPNQALRE遺伝子のコード配列の上流に配置される。外因性調節配列は、hPNQALRE遺伝子のコード配列の転写を指向する。
【0111】
本発明はまた、哺乳動物(好ましくはヒト)における新形成を、診断または予後判定する方法を提供する。新形成であることが疑われる第一の組織におけるhPNQALRE遺伝子の発現は、正常である第二の組織におけるhPNQALRE遺伝子の発現と比較され得る。hPNQALRE遺伝子は、配列番号1、3、5、または7に示されるコード配列を有し得る。好ましくは、hPNQALRE遺伝子は、配列番号5および配列番号7のヌクレオチド76〜114ならびに/あるいは配列番号3のヌクレオチド503〜564または配列番号5もしくは配列番号7のヌクレオチド542〜603を含む。
【0112】
例えば、当該分野で公知であるように、第一および第二の組織における、hPNQALRE mRNAまたはhPNQALREタンパク質のレベルを測定することにより、比較がなされ得る。第一の組織および第二の組織は、同じ被験体か、または異なる被験体に由来し得る。第一の組織および第二の組織は、異なる型であり得るが、好ましくは同じ型の組織(例えば、腸ポリープ)由来である。あるいは、hPNQALRE遺伝子発現の標準曲線は、多数の正常組織サンプルから決定され得、そして新形成であることが疑われる組織におけるhPNQALRE遺伝子発現との比較のために使用され得る。
【0113】
第二組織におけるhPNQALRE遺伝子発現または標準曲線との比較による、hPNQALRE遺伝子の第一組織における過剰発現は、第一組織における新形成を示す。過剰発現のレベルは、新形成の病期と相関し得、そして例えば、患者(好ましくはヒト患者)の処置をモニターするために使用され得る。
【0114】
hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドはまた、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの細胞への移入を増加させるために有用な化合物、またはhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの細胞内でのその後の生物学的効果を強めるために有用な化合物についての、試験化合物のスクリーニングの目的のために、被験体に送達され得る。このような生物学的効果としては、相補的hPNQALRE mRNAへのハイブリダイゼーションおよびその翻訳の阻害、hPNQALRE mRNA、単鎖抗体、リボザイム、オリゴヌクレオチド、もしくはタンパク質および/またはhPNQALREを形成するhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの発現、ならびにhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの複製および組込みが挙げられる。被験体は、細胞培養物または動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であり得る。
【0115】
スクリーニングされ得る試験化合物は、天然の産物または合成的なもののどちらでも、任意の物質を含み、この物質はインビトロまたはインビボで被験体に投与され得る。化合物のライブラリーまたは混合物が試験され得る。化合物または物質は、薬学的効果が以前に既知かまたは未知であるものであり得る。化合物または物質は、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの前、後、またはそれと同時に送達され得る。それらは、hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドと別々に、または混合して、投与され得る。
【0116】
送達されたhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの組込みは、当該分野で公知の任意の手段でモニターされ得る。例えば、送達されたhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドのサザンブロットが行なわれ得る。送達されたポリヌクレオチドのフラグメントのサイズにおける変化は、組込みを示す。送達されたポリヌクレオチドの複製は、とりわけ、hPNQALREプローブへのハイブリダイゼーションを用いて結合された標識ヌクレオチドの取り込みを検出することにより、モニターされ得る。hPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの発現は、送達されたポリヌクレオチドにハイブリダイズするhPNQALRE mRNAの産生を検出することにより、またはhPNQALREタンパク質を検出することにより、モニターされ得る。hPNQALREタンパク質は、免疫学的に検出され得る。従って、本発明に従ったhPNQALREサブゲノムポリヌクレオチドの送達は、インビトロまたはインビボでの動物(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の細胞における、送達、組込み、ハイブリダイゼーション、発現、複製または取込みを高めることにより、hPNQALREポリヌクレオチドの細胞への移入を高める能力について、試験化合物をスクリーニングするための、優秀なシステムを提供する。
【0117】
本開示中で引用される全ての参考文献の全内容は、本明細書中に参考として明白に援用される。以下のものは、例示的な目的のためのみに提供され、上記の広範な用語で記載された本発明の範囲を制限することは意図されない。
【実施例】
【0118】
(実施例)
(実施例1)
本実施例は、ヒト組織および細胞株におけるhPNQALRE mRNAの発現を示す。
【0119】
人の心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、および末梢血リンパ球のノーザンブロットを、hPNQALRE発現のためにアッセイした。細胞株HL−60、Hela、Molt−4、K565、Raji、SW480、A549およびG361もまた、hPNQALRE mRNA発現のためにアッセイした。
【0120】
hPNQALRE mRNAは、ほとんどの組織において非常に低いレベルで発現する。発現は、脳、脾臓、精巣、および卵巣において最も目立った。対照的に、hPNQALRE mRNAは、癌細胞株においてより高いレベルで発現した。hPNQALRE mRNAの発現は、細胞株K565、A549、G361およびSW480において最も高かった。
【0121】
これらの結果は、対応する正常組織における発現レベルと比較して、hPNQALREが癌細胞株において過剰発現することを示す。
【0122】
(実施例2)
本実施例は、発達中のマウス胚におけるhPNQALRE mRNAの分布を記載する。
【0123】
マウス胚を、Nietoら、1996、Meth.Cell Biol.51:219−35に記載のような、全量(whole−mount)インサイチュハイブリダイゼーションのためにプロセスし、そしてLyn,S.D.、1998、Meth.Mol.Biol.89:67−69に記載されるような当該分野において周知の方法によって実施し得る。全量胚上に対するインサイチュハイブリダイゼーションは、hPNQALRE mRNAが胚組織において、特に発達中の肢において全体的に発現することを示す。
【0124】
これらの結果は、hPNQALREが、胚発達の時期にわたって特定の組織において差示的に発現されえることを示す。
【0125】
(実施例3)
本実施例は、hPNQALREに対するポリクローナル抗体の産生を示す。
【0126】
ウサギを、キーホールリンペットヘモシアニンに結合したN−HDFHVDRPLEESLINPELIRP−C(配列番号17)の配列を有するhPNQALREのペプチドフラグメントで免疫した。ポリクローナル抗体の調製物を産生した。この抗体は、COS細胞およびU87細胞から発現したhPNQALREタンパク質を認識した。
【0127】
これらの結果は、hPNQALREポリペプチドフラグメントを免疫原として用い得ることを実証する。
【0128】
当業者は、せいぜい慣用的実験法を用いて、本明細書中に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認する。このような特定の実施形態および等価物は、添付の特許請求の範囲によって含まれることが意図される。
【0129】
すべての特許、公開された特許出願、および本明細書中に引用された出版物は、本明細書中に完全に示されるように、参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【公開番号】特開2010−162036(P2010−162036A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48410(P2010−48410)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2000−588367(P2000−588367)の分割
【原出願日】平成11年12月16日(1999.12.16)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【出願人】(501242147)
【Fターム(参考)】