説明

ヒト・インターロイキンー11受容体

【課題】ヒト・インターロイキン−11受容体(IL−11R)の製造方法の提供。さらに、治療薬の製造、IL−11の受容体への結合および受容体シグナリングに対する阻害剤のスクリーニング方法の提供。
【解決手段】ヒト・IL−11受容体およびそのフラグメントをコードしているポリヌクレオチドを開示する。ヒト・IL−11受容体蛋白、それらの製造方法、ヒト・IL−11とその受容体との結合に対する阻害剤、およびそれらの同定方法の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト・インターロイキン−11受容体、そのフラグメントおよび組み換えポリヌクレオチドおよびかかる蛋白の発現に有用な細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン−11(IL−11)を包含するサイトカインとして知られる種々の調節分子が同定されている。IL−11の種々の蛋白形態および種々の形態のIL−11活性をコードしているDNAがBennettらの特許文献1;McCoyらの特許文献2;およびMcCoyらの特許文献3に記載されており、参照によりすべてを本明細書に記載されているものと見なす。よって、用語「IL−11」は、遺伝子組み換え法により生産されたかどうか、本来的それを生産する細胞にまたは他の因子による誘導によりそれを産生する細胞から精製されたかどうか、あるいは化学合成されたかどうか;あるいは上記方法の組み合わせにより合成されたかどうかにかかわらず、これらの特許に記載された生物学的活性を有する蛋白を包含する。
【0003】
IL−11は、多能性造血前駆細胞分化の誘導(非特許文献1);巨核細胞および血小板形成の促進(非特許文献2);急性フェーズ蛋白合成の刺激(非特許文献3);脂肪細胞リポ蛋白リパーゼ活性の阻害(非特許文献4);および神経伝達物質表現型に対する影響(非特許文献5)を包含するいくつかの生物学的活性に関与している多面発現性サイトカインである。
【0004】
IL−11を医薬調合物または処方に用いて免疫欠乏、詳細には造血前駆細胞の欠乏、またはそれに関連した疾病を治療することができる。他の疾病の治療またはその細胞の免疫系の刺激においてもIL−11を用いることができる。IL−11をガンおよび他の疾病の治療に使用することもできる。かかる病理学的状態は、疾病、放射線への曝露または薬剤により生じる可能性があり、例えば、白血球減少、細菌またはウイルス感染、貧血、骨髄移植後の免疫細胞または造血細胞欠乏のごときB細胞またはT細胞欠乏を包含する。IL−11を用いて、長期かつ効果的な免疫性を作り出す種々のワクチンに対する免疫応答を有効ならしめることもできる。IL−11を用いるガンおよび他の疾病の治療的処置は、現在用いられている薬剤を用いる処置により引き起こされる望ましくない副作用を回避することができる。
【0005】
大部分のサイトカインと問様、IL−11は、標的細胞上のIL−11受容体(IL−11R)と相互作用することによってある種の生物学的活性を示す。ヒト・受容体を同定し、配列決定して、IL−11Rを種々の手段(治療薬の製造、IL−11の受容体への結合および受容体シグナリングに対する阻害剤のスクリーニングを包含)により製造できるようにすることが望まれるであろう。
【特許文献1】米国特許第5,215,895号
【特許文献2】米国特許第5,270,181号
【特許文献3】米国特許第2,292,646号
【非特許文献1】Musashi et al. (1991) Blood,78,1448-1451
【非特許文献2】Burstein et al. (1992) J.Cell. Physiol.,153, 305-312
【非特許文献3】Baumann et al. (1991) J.Biol. Chem., 266, 20424-20427
【非特許文献4】Kawashima et al. (1991) FEBS Lett.,283,199-202
【非特許文献5】Fann et al.(1994) Proc. Natl. Acad.Sci.USA, 91, 43-47
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は、ヒト・受容体を同定し、配列決定して、IL−11受容体を種々の手段(治療薬の製造、IL−11の受容体への結合および受容体シグナリングに対する阻害剤のスクリーニングを包含)により製造できるようにすることであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、ヒト・IL−11受容体をコードしているポリヌクレオチドが開示される。ある具体例において、本発明は、
(a)配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列;
(b)遺伝学的コードの縮重の結果として(a)に記載したヌクレオチド配列から変化しているヌクレオチド配列;および
(c)(a)に記載したヌクレオチド配列の対立遺伝子変種
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドを提供する。好ましくは、ヌクレオチド配列はヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する蛋白をコードしている。ヌクレオチド配列が発現制御配列に作動可能に連結されていてもよい。好ましい具体例において、ポリヌクレオチドは配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメント;配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列またはそのフラグメント;配列番号:1のヌクレオチド1904からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメント;配列番号:1のヌクレオチド734からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメント;配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントあるいは配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなる。他の具体例において、ポリヌクレオチドは、非常に厳密な条件下で配列番号:1のヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションしうるヌクレオチド配列を含んでなる。
【0008】
また本発明は、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸112から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸112から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドまたは蛋白をコードしているヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0009】
該ポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞も提供される。
【0010】
他の具体例において、本発明は、ヒト・IL−11R蛋白の製造方法を提供する。該方法は、
(a)適当な培地中で本発明宿主細胞の培養を増殖させ;次いで
(b)培養からヒト・IL−11R蛋白を精製する
ことを特徴とする。これらの方法により製造された蛋白も提供される。
【0011】
また本発明は、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸112から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸112から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなる単離ヒト・IL−11R蛋白を提供する。好ましくは、該蛋白は配列番号:2のアミノ酸;配列番号:2のアミノ酸24から422までの配列;配列番号:2のアミノ酸24から365までの配列;または配列番号:2のアミノ酸391から422までの配列を含んでなる。本発明蛋白および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物も提供される。
【0012】
さらに本発明は、本発明蛋白と特異的に反応する抗体を含んでなる組成物を提供する。
【0013】
ヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合に対する阻害剤の同定方法も提供される。これらの方法は、
(a)ヒト・IL−11R蛋白またはそのフラグメントをIL−11またはそのフラグメントと混合し、該混合により第1の結合混合物を得て;
(b)第1の結合混合物中の蛋白とIL−11またはそのフラグメントとの間の結合量を測定し;
(c)化合物を蛋白およびIL−11またはそのフラグメントと混合して第2の結合混合物を得て;
(d)第2の結合混合物中の結合量を測定し;次いで
(e)第1の結合混合物中の結合量と第2の結合混合物中の結合量とを比較することを特徴とし、第2の結合混合物の結合量の減少が起こった場合には、該化合物はヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害しうるものである。さらに第1および/または第2の結合混合物は、使用される請求項13の蛋白またはIL−11または該方法で使用されるフラグメントに結合しうるgp130またはそのフラグメントを含んでいてもよい。これらの方法により同定されるIL−11Rの阻害剤およびそれらを含有する医薬組成物も提供される。
【0014】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合の阻害方法も開示され、該方法は、ヒト・IL−11R蛋白、IL−11R阻害剤またはヒト・IL−11R蛋白に対する抗体を含有する治療上有効量の組成物を投与することを特徴とする。これらの組成物を用いて哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防する方法も提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、IL−11Rを種々の手段により製造することができるようになり、治療薬の製造、IL−11の受容体への結合および受容体シグナリングに対する阻害剤のスクリーニングも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者らは、ヒト・IL−11受容体(ヒト・IL−11R)をコードしているポリヌクレオチドを初めて同定し、これを提供する。
【0017】
配列番号:1は、ヒトIL−11RをコードしているcDNAのヌクレオチド配列を示す。配列番号:2は該受容体のアミノ酸配列を示し、アミノ酸1〜23からなる推定シグナル配列を含む。成熟ヒト・IL−11Rは配列番号:2のアミノ酸24〜422であると考えられる。
【0018】
成熟受容体は少なくとも3つの明確なドメインを有している:それらは細胞外ドメイン(おおまかには配列番号:2のアミノ酸24〜365を含んでなる)、膜内外ドメイン(おおまかには配列番号:2のアミノ酸366〜390を含んでなる)および細胞内ドメイン(おおまかには配列番号:2のアミノ酸391〜422を含んでなる)である。細胞外ドメインはさらに免疫グロブリン様ドメイン(おおまかには配列番号:2のアミノ酸24〜111を含んでなる)およびタイプ−I−サイトカインドメイン(おおまかには配列番号:2のアミノ酸112〜365を含んでなる)に分けられる。
【0019】
可溶性形態のヒト・IL−11R蛋白も製造することができる。かかる可溶性形態は、配列番号:2のアミノ酸1〜365および24〜365を含んでなる蛋白を包含するが、これらに限らない。可溶性形態のヒト・IL−11Rは、好ましくは室温において水溶液に溶解しうることによってさらに特徴づけられる。細胞内ドメインまたはそのフラグメントのみを含んでなるヒト・IL−11R蛋白も製造することができる。全長未満のヒト・IL−11Rのいずれの形態も本発明に含まれ、それらは本明細書において一括して「ヒト・IL−11R」または「ヒト・IL−11R蛋白」という。全長のヒト・IL−11R蛋白(配列番号:1)をコードしているポリヌクレオチドの対応フラグメントを発現させることによって全長未満のヒト・IL−11R蛋白を製造することができる。これらの対応ポリヌクレオチドフラグメントも本発明の一部である。上記の修飾されたポリヌクレオチドを、標準的な分子生物学的方法(適当な所望欠失変異体の構築、部位特異的突然変異法が含まれる)により、あるいは適当なオリゴヌクレオチドプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応により作成することができる。
【0020】
IL−6受容体の構造に対する類似性に基づくと、全長の受容体の細胞外領域のタイプ−Iサイトカインドメインのみを含むIL−11R蛋白はIL−11に結合し、受容体シグナリングを誘導しうるであろうと予想される。結果として、配列番号:2のアミノ酸112から365までを含んでなるIL−11R蛋白、配列番号:2のアミノ酸112から390までを含んでなるIL−11R蛋白、および配列番号:2のアミノ酸112から422までを含んでなるIL−11R蛋白が本発明により提供される。かかる蛋白をコードしているポリヌクレオチド(例えば、配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1906までのヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド)も本発明により提供される。
【0021】
本発明の目的からすると、蛋白が1またはそれ以上の下記特徴を有する場合には、蛋白は「ヒト・IL−11受容体の生物学的活性」を有する:(1)IL−11またはそのフラグメント(好ましくは、その生物学的活性のあるフラグメント)への結合能;(2)ヒト・IL−11RへのIL−11の結合により発動されるシグナリング経路に合まれる細胞質ゾル蛋白または分子に結合する能力;(3)ヒトIL−11RへのIL−11の結合の特徴的なシグナルを生じる能力(ここに、問題となっている蛋白はIL−11に結合しうる部分を含むか、あるいはIL−11に結合しうる別の蛋白の結合した場合にかかるシグナルを生じる);(4)gp130またはそのフラグメントヘの結合能(IL−11の存在下または不存在下いずれかにおいて);(5)gp130のチロシンのホスホリレーションを誘導する能力;(6)JAKキナーゼのチロシンのホスホリレーションを誘導する能力;または(7)DNA結合蛋白のSTATファミリーのチロシンのホスホリレーションを誘導する能力(Zhonget al. (1994)Science 264, 95−98)。好ましくは、該蛋白が有する生物学的活性は、IL−11またはそのフラグメントヘの結合能であり、より好ましくは約0.1ないし約100nMのK、最も好ましくは約1ないし約10nMのKを有する。
【0022】
ヒト・IL−11Rまたはその活性フラグメント(ヒト・IL−11R蛋白)を免疫グロブリンのごとき担体分子に融合させてもよい。例えば、可溶性形態のヒト・IL−11Rを、「リンカー」配列を介して免疫グロプリンのFc部分に融合させてもよい。GST、Lex−AまたはMBPとの融合蛋白のごとき他の融合蛋白を用いてもよい。
【0023】
また本発明は、配列番号:1に示すヌクレオチド配列の対立遺伝子変種、すなわち、配列番号:1の単離ポリヌクレオチドの自然に発生する別形態を含み、対立遺伝子変種もまた、ヒト・IL−11R蛋白、好ましくはヒト・IL−11Rの生物学的活性を有する蛋白をコードしている。非常に厳密な条件下(例えば、O.1XSSC、65℃)において配列番号:1に示すヌクレオチド記列にハイブリダイゼーションする単離ポリヌクレオチドも本発明に含まれる。ヒト・IL−11R蛋白をコードしているが、遺伝学的コードの縮重のため配列番号:1に示すヌクレオチド配列とは異なる単離ポリヌクレオチドも本発明に含まれる。点突然変異または誘導された修飾により生じる、配列番号:1に示すヌクレオチド配列の変種も本発明に含まれる。
【0024】
本発明の単離ポリヌクレオチドを、Kaufman et al., Nucleic Acids Res19,4485−4490(1991)に開示されたpMT2またはpED発現ベクターのごとき発現制御配列に作動可能に連結してヒト・IL−11R蛋白を組み換え法により製造してもよい。多くの適当な発現調節配列が当該分野において知られている。組み換え蛋白の発現方法も知られており、R.Kaufman, Methods In Enzymology 185,537−566(1990)において説明されている。本明細書の「作動可能に連結」は、本発明単離ポリヌクレオチドと発現制御配列との間の共有結合を形成するために酵素的または化学的に連結されて、そのようにして、連結されたポリヌクレオチド/発現制御配列で形質転換(トランスフェクション)された宿主細胞によりヒト・IL一11R蛋白が発現されることを意味する。
【0025】
多くのタイプの細胞は、ヒト・IL−11R蛋白の発現に適する宿主細胞として活動しうる。機能的なヒト・IL−11R蛋白を発現しうるいずれの細胞タイプを用いてもよい。適当な哺乳動物宿主細胞は、例えば、サル・COS細胞、チャイニーズハムスター・卵巣(CHO)細胞、ヒト・腎臓293細胞、ヒト・上皮A431細胞、ヒト・Colo205細胞、3T3細胞、CV一1細胞、他の形質転換された霊長類細胞系、正常2倍体細胞、霊長類組織、霊長類外植物のin vitro培養により得られた細胞株、HeLa細胞、マウス・L細胞、BHK、HL−60、U937、HaK、Rat2、BaF3、32D、FDCP一1、PC12、M1xまたはC2C12細胞を包含する。
【0026】
本発明の単離ポリヌクレオチドを1またはそれ以上の昆虫発現ベクター中の適当な制御配列に作動可能に連結させ、次いで、昆虫発現系を用いることにより、ヒト・IL−11R蛋白を製造することができる。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料および方法はキットの形で市販されており、例えば、Invitrogen, San Diego, California,U.S.A.のMaxBacキットがあり、かかる方法は当該分野においてよく知られており、例えばSummers and Smith, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987) (参照により本明細書に記載されているものとみなす)に記載されている。可溶性形態のヒト・IL−11R蛋白を、適当な上記単離ポリヌクレオチドを用いて昆虫細胞において製造してもよい。
【0027】
別法として、ヒト・IL−11R蛋白を、酵母のごとき下等真核細胞または細菌のごとき原核細胞において製造してもよい。適当な酵母株は、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candida、または異種蛋白を発現できる酵母株を包含する。適当な細菌株は、Escerichia coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimurium、または異種蛋白を発現できる細菌株を包含する。
【0028】
細菌における発現は、組み換え蛋白を含む封入体を生じる可能性がある。よって、活性のある、あるいはより活性のある物質を得るためには組み換え蛋白の再生が必要であるかもしれない。細菌封入体からの正しく折り畳まれた異種蛋白の取得方法は当該分野において知られている。一般的には、これらの方法は、封入体からの蛋白の可溶化、次いで、カオトロピック剤を用いる蛋白の完全な変性を包含する。システイン残基が蛋白の1次アミノ酵配列に存在する場合、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(酸化還元系)において再生を行うことがしばしば必要である。再生の一般的方法は、Kohno, Meth. Enzym.,185,187−195(1990)に開示されている。 EP 0433225および同時係属出願USSN08/163,877には他の適当な方法が記載されている。
【0029】
本発明ヒト・IL−11R蛋白を、ヒト・IL−11R蛋白をコードしているポリヌクレオチド配列を含む体細胞または生殖細胞により時徴づけられるトランスジエニック勤物の生産物として、例えば、トランスジエニックなウシ、ヤギ、ブタまたはヒツジの乳の成分として発現させてもよい。
【0030】
所望蛋白の発現に必要な培養条件下で形質転換宿主細胞の培養を増殖させることにより、本発明ヒト・IL−11R蛋白を調製することができる。次いで、得られた発現蛋白を培地または細胞抽出物から精製することができる。可溶性形態の本発明ヒト・IL−11R蛋白をならし培地から精製することができる。発現細胞から全膜フラクションを調製し、Triton X−100のごとき非イオン性界面活性剤で膜を抽出することにより、膜結合形態の本発明ヒト・IL−11R蛋白を精製することができる。
【0031】
当業者に知られた方法を用いてヒト・IL−11R蛋白を精製することができる。例えば、市販蛋白濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限界濾過ユニットを用いて本発明ヒト・IL−11R蛋白を濃縮することができる。濃縮工程後、濃縮物をゲル濾過媒体のごとき精製マトリックスに適用することができる。別法として、例えば、懸垂ジエチルアミノエチル(DEAE)またはポリエチレンイミン(PEI)基を有するマトリックまたは基材のごときアニオン交換樹脂を用いることができる。マトリックスはアクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたは蛋白精製において通常に使用される他のタイプのものであってよい。別法として、カチオン交換工程を用いてもよい。適当なカチオン交換体は、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含んでなる種々の不溶性マトリックスを包含する。スルホプロピル基が好ましい(例えば、S−Sepharose(登録商標)カラム)。培養上清から得たヒト・IL−11R蛋白の精製はさらに1またはそれ以上のカラムエ程を要するかもしれず、それらはコンカナバリンA−アガロース、ヘパリンートヨパール(登録商標)またはCibacrom blue 3GA Sepharose(登録商標)のようなアフィニティー樹脂によるカラム;あるいはフエニルエーテル、ブチルエーテルまたはプロピルエーテルのような樹脂を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー;あるいは免疫アフィニティークロマトグラフィーである。最後に、疎水性RP−HPLC媒体、例えば、懸垂メチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いる1またはそれ以上の逆相高品質液体クロマトグラフィー(PR−HPLC)工程を用いてさらにヒト・IL−11R蛋白を精製することができる。IL−11またはそのフラグメントを含むアフィニティー力ラム、あるいはIL−11R蛋白に対する抗体を含むアフィニティーカラムを既知方法による精製に使用することもできる。上記精製工程のいくつかまたはすべてを種々組み合わせて、あるいは他の既知方法と組み合わせて用いて実質的に精製された単離組み換え蛋白を得ることができる。好ましくは、単離IL−11R蛋白を、実質的に他の哺乳動物蛋白を含まないように精製する。
【0032】
本発明ヒト・IL−11R蛋白を用いて、ヒト・IL−11Rに結合しうるかあるいはヒト・IL−11R(細胞外または細胞内ドメインのいずれか)へのIL−11の結合を妨害して正常な結合およびサイトカイン作用の阻害剤として作用しうる剤(IL−11R阻害剤)のスクリーニングを行ってもよい。固定化された、あるいは固定化されていない所望結合蛋白を用いる結合アッセイは当該分野でよく知られており、該アッセイを本発明ヒト・IL−11R蛋白を用いるこの目的のために使用することができる。精製細胞に基づく、あるいは蛋白に基づく(無細胞)スクリーニングアッセイを用いてかかる剤を同定することができる。例えば、ヒト・IL−11R蛋白を精製形態で担体上に固定化し、阻害剤でありうる剤の存在下または不存在下で精製ヒト・IL−11R蛋白への結合を測定することができる。別法として、適当な結合アッセイは可溶性形態の本発明ヒト・IL−11Rを用いるものであってもよい。
【0033】
かかるスクリーニングアッセイにおいて、IL−11またはそのフラグメントとヒト・IL−11R蛋白とを混合することにより第1の結合混合物を得て、第1の結合混合物中の結合量(B)を測定する。IL−11またはそのフラグメント、ヒト・IL−11R蛋白、およびスクリーニングすべき化合物または剤を混合することにより第2の結合混合物を得て、第2の結合混合物中の結合量(B)を測定する。例えば、B/B比の計算を行うことにより、第1および第2の結合混合物の結合量を比較する。第1の結合混合物と比較して第2の結合混合物中の結合の減少が観察される場合に、化合物または剤は結合を阻害しうると考えられる。gp130を結合混合物の一方または両方に添加してもよい。結合混合物の処方および最適化は当業者のレベルの範囲内であり、かかる結合混合物は、結合を促進または最適化するのに必要なバッファーおよび塩を含んでいてもよく、さらに対照アッセイを本発明スクリーニングアッセイに含ませてもよい。
【0034】
IL−11またはそのフラグメントヘのヒト・IL−11R蛋白の結合活性をある程度、好ましくは少なくとも約10%、より好ましくは約50%以上減少させることが見いだされる化合物をこのようにして同定し、次いで、他の結合アッセイおよびin vivoアッセイにおいて2次スクリーニングすることができる。これらの手段により、IL−11R結合に対する阻害活性を有する化合物であって治療剤として適当でありうる化合物を同定することができる。
【0035】
IL−11R、IL−11の発現または存在を検出、あるいはIL−11またはIL−11を発現する細胞を検出するための診断薬としてヒト・IL一11R蛋白、およびそれらをコードしているポリヌクレオチドを用いてもよい。これらのタイプの材料を用いる診断アッセイのための標準的手順において、蛋白またはポリヌクレオチドをかかる目的に用いてもよい。適当な方法は当業者によく知られている。
【0036】
ヒト・IL−11Rは、IL−11の知られた生物学的活性のメディエイタとして作用する。結果として、単離ヒト・IL−11R蛋白およびIL−11R阻害剤は、IL−11が関与している種々の医学的症状、あるいはIL−11の活性(またはその欠乏)により生じる種々の医学的症状(一括して「IL−11関連症状」という)の治療または転調において有用でありうる。IL−11関連症状は、免疫欠乏、詳細には造血前駆細胞の欠乏、またはそれに関連した疾病、ガンおよび他の疾病を包含するが、これらに限らない。かかる病理学的状態は、疾病、放射線への曝露または薬剤により生じる可能性があり、例えば、白血球減少、細菌もしくはウイルス感染、貧血、骨髄移植後の免疫細胞もしくは造血細胞欠乏のごときB細胞もしくはT細胞欠乏を包含する。
【0037】
IL−11およびIL−11Rは、骨の成熟および修復において役割を果たしている可能性があると考えられている(Girasole et al. (1994)J.Clin.Invest,93,1516−1524 ; Passerl et a1.(1992)J.Bone Miner. Res., 7(S1),S110 Abst
.;Passeri et al.(1993)J. Bone Miner.Res.,8(S1),S162 Abst.)。結果として、ヒト・IL−11R蛋白およびIL−11R阻害剤は、骨の損失(骨粗鬆症、閉経後の骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、突発性骨粗鬆症、パジェット病、多発性ミエロ−マおよび性機能低下症状を包含)の治療において有用でありうる。
【0038】
細胞から精製された、または組み換え法により製造されたヒト・IL−11R蛋白およびIL−11R阻害剤を、医薬上許容される担体と混合して医薬組成物として用いてもよい。かかる組成物は、ヒト・IL−11Rまたはリガンドおよび担体のほかに、希釈剤、充填剤、塩類、バッファー、安定化剤、可溶化剤および当該分野で知られた他の物質を含有していてもよい。用語「医薬上許容される」は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨害しない無毒の物質を意味する。担体の特性は投与経路に依存する。
【0039】
本発明医薬組成物は、M−CSF、GM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL一15、G−CSF、幹細胞因子およびエリトロポエチンのごときサイトカイン、リンホカイン、または他の造血因子を含有していてもよい。医薬組成物は、プラスミノゲンアクチベーターおよびファクターVIIIのごとき血栓溶解または抗血栓因子を含有していてもよい。医薬組成物はさらに他の抗炎症剤を含有していてもよい。かかるさらなる因子および/または剤を医薬組成物に含ませて、単離ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤との相互作用を生じるようにしてもよく、あるいは単離ヒト・IL−11RまたはIL−11R阻害剤により引き起こされる副作用を最小にするようにしてもよい。逆に、単離ヒト・IL−11RまたはIL−11R阻害剤を、特定のサイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解または抗血栓因子、または抗炎症剤の処方に含ませて、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解または抗血栓因子、または抗炎症剤の副作用を最小化してもよい。
【0040】
本発明医薬組成物は、単離ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤が他の医薬上許容される担体とともに脂質のごとき両親媒性剤と混合されているリポソームの形態であってもよく、脂質は水溶液中のミセル、不溶性単層、液状結晶またはラメラ層のような凝集形態で存在している。かかるリポソーム処方の調製は当業者のレベルの範囲内であり、例えば米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;米国特許第4,837,028号;および米国特許第4,737,323号(参照によりこれらすべてを本明細書に記載されているものと見なす)に開示されている。
【0041】
本明細書の用語「治療上有効量」は、医薬組成物の各有効成分の合計量、あるいは患者に対する有意な有益性(例えば、かかる症状の徴候の改善、治癒、または治癒速度の上昇)を示すに十分な方法を意味する。単独で投与される個々の有効成分についてこの語を用いる場合には、この語は当該成分のみについていう。組み合わせについてこの語を用いる場合には、この語は、組み合わせ投与、逐次投与あるいは同時投与にかかわらず、治療効果を生じる有効成分の合計量についていう。
【0042】
本発明治療方法または使用を実施する場合、単離ヒト・IL−111R蛋白またはIL−11R阻害剤の治療上有効量を哺乳動物に投与する。単離ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を、それのみ、あるいはサイトカイン、リンホカインまたは他の造血因子を用いる治療のごとき他の治療と組み合わせて、本発明方法に従って投与することができる。1またはそれ以上のサイトカイン、リンホカインまたは他の造血因子と共投与する場合、ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解または抗血栓因子と同時投与、あるいは逐次投与することができる。逐次投与する場合、担当医は、サイトカイン、リンホカイン、他の造血因子、血栓溶解または抗血栓因子と組み合わせるヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤の順序を決定するであろう。
【0043】
本発明医薬組成物または本発明方法の実施に用いるヒト・IL−11RまたはIL−11R阻害剤の投与を、経口摂取、吸入、あるいは皮内、皮膚、または静脈注射のごとき種々の慣用的経路で行うことができる。患者への静脈投与が好ましい。
【0044】
治療上有効量のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を経口投与する場合、ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤は錠剤、カプセル、粉末、溶液またはエリキシルの形態であろう。錠剤形態で投与する場合、本発明医薬組成物はさらにゼラチンのごとき固体担体またはアジュバントを含有していてもよい。錠剤、カプセル、および粉末は、約5ないし95%のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害刑、好ましくは約25ないし90%のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻宮刑を含有する。液体形態で投与する場合、水、石油、ピーナッツ油、鉱油、大豆油またはゴマ油のごとき動物または植物起源の油、あるいは合成油のごとき液体担体を添加してもよい。医薬組成物の液体形態はさらに生理学的セイライン溶液、デキストロースまたは他の糖類の溶液、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのごときグリコール類を含有していてもよい。液体形態で投与する場合、医薬組成物は約0.5ないし90重量%のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤、好ましくは約1ないし50%のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を含有する。
【0045】
治療上有効量のヒト・IL−11R蛋白またはIL一11R阻害剤を静脈、皮膚または皮下注射により投与する場合、ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤はパイロジェン不含かつ非経口的に許容される水溶液の形態であろう。pH、等張性、安定性等を考慮したかかる非経口的に許容される蛋白溶液の調製は当該分野の技術の範囲内である。静脈、皮膚または皮下注射に好ましい医薬組成物は、ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤のほかに、注射用塩化ナトリウム、注射用リンゲル溶液、注射用デキストロース、注射用デキストロースおよび塩化ナトリウム、注射用ラクテートリンゲル溶液、または当業者に知られた他の担体を含有すべきである。本発明医薬組成物は、安定化剤、保存料、バッファー、抗酸化剤、または当業者に知られた他の添加物を含有していてもよい。
【0046】
本発明医薬組破物中のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤の量は、治療すべき症状の性質および重さならびに患者がすでに受けている治療によるであろう。最終的には、担当医が、個々の患者を治療するためのヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤の量を決定するであろう。まず、担当医は低用量のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を投与し、患者の応答を観察するであろう。患者に対する最適治療効果が得られるまで、より高用量のヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を投与してもよく、一般的には、最適治療効果が得られた時点で用量をさらに増加させない。本発明方法の実施に用いる種々の医薬組成物は体重1kgにつき約0.1μgないし約100mgのヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤を含有すべきであると考えられる。
【0047】
本発明医薬組成物を用いる静脈投与による治療期間は、治療すべき疾病の重さおよび症状および個々の患者の潜在的特徴的応答により変化させられるであろう。ヒト・IL−11R蛋白またはIL−11R阻害剤の各投与期間は、連続的静脈投与の場合12ないし24時間の範囲であろうと考えられる。最終的には、担当医が、本発明を用いる静脈投与による適当な治療期間を決定するであろう。
【0048】
本発明ヒト・IL−11R蛋白を用いて動物を免疫して、ヒト・IL−11R蛋白と特異的に反応し、IL−11またはそのフラグメントの受容体への結合を阻害しうるポリクローナルおよびモノクローナル抗体を得てもよい。ヒト・IL−11R全体を免疫原として用いて、あるいは可溶性成熟ヒト・IL−11Rのごときヒト・IL−11Rのフラグメントを用いることにより、かかる抗体を得てもよい。ヒト・IL−11Rのより小型のフラグメントを用いて動物を免疫してもよい。さらにペプチド免疫原はカルボキシル末端においてシステイン残基を含んでいてもよく、キーホール・リムペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyamin)(KLH)と抱合したものである。チロシン残基を硫酸化チロシン残基に置き換えることにより、さらなるペプチド免疫原を得てもよい。かかるペプチドの合成方法は当該分野において知られており、例えば、R.P.Merrifield, J.Amer.Chem.Soc.85,2149−2154(1963);J.L. Krstenansky, et al., FEBS Lett. 211,10(1987)に記載されている。
【0049】
ヒト・IL−11R蛋白に結合する中和または非中和抗体(好ましくはモノクローナル抗体)は、ある種の腫瘍および上記症状の治療のための有用な治療薬でありうる。これらの中和モノクローナル抗体は、ヒト・IL−11RへのIL−11の結合をブロックする能力を有しうる。
【実施例1】
【0050】
実施例1
ヒトIL−11RcDNAの単離
DNAプローブの調製
マウス・Etl−2配列由来のDNAプローブ(配列番号:3)をマウス・胎盤cDNAからPCRにより得た。アミノ末端プローブはEtl−2配列の塩基対418〜570に対応し、カルボキシ末端プローブはEtl−2配列の塩基対847〜1038に対応する。DNAプローブをゲル精製し、α32P−dATPおよびα32P−dCTPを用いて放射性標識した。
【0051】
cDNAライブラリーのスクリーニング:
Superscript Choice Systemを用いて活性化ヒト・PBMCからcDNAを得て、ZAP II(Stratagene)のEcoRI部忙中にクローンした。得られたファージを用いてE.coli BB4株に感染させた。百万個のファージを150mmのNZCYMプレートに15000pfu/プレートの密度で撒いた。プラークを複製用Duraloseニトロセルロースフィルタ―(Stratagene)に移した。アルカリ変性および熱固定後、5XSSC、5Xデンハーツ、0.1% SDS、および50μg/ml 酵母・tRNA中、65℃で2時間フィルターをプレハイブリダイゼーションさせた。プレハイブリダイゼーションバッファー中、55℃で48時間、1セットのフィルターをアミノ末端プローブとハイブリダイゼーションさせ、他のセットをカルボキシ末端プローブ(5×10cpm/ml)とハイブリダイゼーションさせた。フィルターを4XSSC、0.1% SDSにて、25℃で1回、55℃で2回洗浄した。両プローブにハイブリダイゼーションしたプラークをオートラジオグラフィーにより固定した。
【0052】
スクリーニングした百万個のプラークのうち、2個のプラークが両プローブにハイブリダイゼーションした。これらのプラークを拾い、クロロホルム含有SM培地中にファージを溶出させた。得られたファージを用いてE.coli BB4株に再感染させ、2次スクリーニング用にNZCYMプレートに100〜300pfu/プレートの密度で撒いた。
【0053】
2次スクリーニング後、ヘルパーファージ(Stratagene)を用いる切断によりプラスミドDNAをZAP IIプラークから単離した。Applied BiosystemsのDNAシークエンサーによりインサートのDNA配列を決定した。
【0054】
配列番号:1の配列を有するポリヌクレオチドを含むクローンphIL11R14−2は、1994年12月22日に受託番号 としてATCCに寄託された。
【実施例2】
【0055】
実施例2
可溶性ヒト・IL−11R蛋白の発現および活性のアッセイ
可溶性形態のヒト・IL−11R蛋白を哺乳動物細胞において発現させた。発現された組み換え蛋白はBAF130−9細胞においてシグナル変換する能力があった。
【0056】
可溶性形態に対応する、全長のヒト・IL−11R配列の一部(配列番号:2のアミノ酸1〜365をコードしている配列番号:1のヌクレオチド734〜1828)を哺乳動物発現ベクターpED中にクローンし、COSM6細胞をトランスフェクションするために用いた。トランスフェクションから40時間後、ならし培地を取り、5倍に濃縮し、マウス・細胞系BAF130−9(ヒト・gp130シグナルトランスデューサーを発現するBAFB03細胞系の誘導体であり、Hibi,M. et a1. (1990)Cell 63,1149−1157に記載されている)を用いる増殖アッセイに使用した。BAF130−9細胞はIL−11のみまたはIL−6のみに応答して増殖しないが、IL−6および可溶性IL−6Rの組み合わせに応答して増殖する(Hibiらの上記文献)。疑似トランスフェクションされた細胞または可溶性ヒト・IL−11R配列でトランスフェクションされた細胞により得られたならし培地10μlの不存在下または存在下にて組み換えヒト・IL−11濃度を増加させつつ、BAF130−9細胞(0.1ml中1x10個)をRPMI1640培地/10%FCS中で培養した。40時間後、細胞をH−蛋白チミジン(0.5μCi/ウェル)で8時間パルス標識し、取り込まれたヌクレオチドを調べた。図2に示すように、BAF130−9細胞はIL−11のみまたは可溶性IL−11Rのみに応答して増殖しなかったが、IL−11および可溶性IL−11Rの両方の存在下では増殖した。
【0057】
他のヒト・IL−11R蛋白をこのモデルにおいて試験して、それらが本明細書定義のヒト・IL−11Rの「生物学的活性」を示すかどうかを調べた。
【実施例3】
【0058】
実施例3
ヒト・IL−11Rの生物学的活性を調べるための他の系
蛋白
他の系を用いて個々のヒト・IL−11R蛋白が本明細書定義のヒト・IL−11Rの「生物学的活性」を示すかどうかを調べることができる。かかる系の例を以下に示す。
【0059】
IL−11結合についてのアッセイ
結合を検出できる適当なアッセイにより、IL−11またはそのフラグメントヘのヒト・IL−11R蛋白の結合能を調べることができる。いくつかの適当な例を以下に示す。
【0060】
ヒト・IL−11R蛋白の細胞外領域へのIL−11の結合は、受容体蛋白上のホスホチロシンの迅速な誘導を特異的に引き起こすであろう。ホスホリレーションの誘導により測定されるリガンド結合活性に関するアッセイを以下に説明する。
【0061】
別法として、ヒト・IL−11R蛋白(例えば、可溶性形態の細胞外ドメインのような)を得て、これを用いてIL−11の結合を検出する。例えば、細胞外ドメイン(予想膜内外ドメインの前、好ましくは直前で切断されている)がヒト・免疫グロブリン(Ig)γ1のヒンジC2およびC3ドメインをコードしているcDNAにイン・フレームで連結されているDNA構築物を調製する。この構築物を、pEDΔCまたはpMT2のごときCOS細胞用の適当な発現ベクター中に挿入された形で得る。プラスミドをCOS細胞中に一時的にトランスフェクションする。分泌されたIL一11R−Ig融合蛋白をならし培地中に集め、プロテインAクロマトグラフィーにより精製する。
【0062】
多くの用例においてIL−11の結合を示すために精製IL−11R−Ig融合蛋白が用いられる。IL−11を酵素結合免疫アッセイ(ELISA)プレート表面上にコーティングすることができ、次いで、標準的なELISAバッファーを用いてウシ・血清アルブミンまたはカゼインでさらなる結合部位をブロックする。次いで、IL一11R−Ig融合蛋白を固相IL−11に結合させ、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼに抱合した2次ヤギ・抗−ヒトIgを用いて結合を検出する。テトラメチルベンジジンのごとき比色法で測定される基質および吸光度の読みを用いて、特異的に結合した酵素の活性を測定することができる。
【0063】
例えば、膜内外ドメインまたはグルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合を提供することにより、IL−11を細胞表面に発現させてもよい。IL−11R−Ig融合蛋白を用いて膜結合IL−11を発現する細胞を同定することができる。可溶性IL−11R−Ig融合蛋白をこれらの細胞の表面に結合させ、フルオレセインイソチオシアネートのごとき蛍光色素に抱合したヤギ・抗−ヒト・Igおよびフローサイトメトリーを用いて検出する。
【0064】
相互作用罠
酵母の遺伝学的選択法「相互作用罠」[Gyuris et al,Cell 75,791−803,1993]を用いて、ヒト・IL−11R蛋白は本明細書定義のヒト・IL−11Rの生物学的活性を有しているかどうかを調べることができる。この系において、LexAop−Leu2およびLexAop−LacZ双方からのレポーター遺伝子の発現は、エサ蛋白(例えば、この場合にはヒト・IL−11Rと相互作用する種)と、えじき(例えば、この場合にはヒト・IL−11R蛋白)との間の相互作用に依存する。よって、Leu2またはLacZ発現レベルにより相互作用の強さを測定することができる。最も単純な方法は、LacZによりコードされる蛋白β−ガラクトシダーゼの活性を測定することである。X−Gal含有培地またはフィルターの青さの程度によりこの活性を判定することができる。β−ガラクトシダーゼ活性の定量的測定のためには、標準的アッセイは“Methods in Yeast Genetics”Cold Spring Harbor, New York,1990(Rose,M.D.,Winston, F.およびHieter, P.による)中に見いだされる。
【0065】
かかる方法において、ヒト・IL−11R蛋白が特定の種(例えば、in vivoでヒト・IL−11Rの細胞内ドメインに結合する細胞質ゾル蛋白)と相互作用するかどうかを調べたい場合には、そのような種を相互作用罠における「エサ」として用い、試験すべきヒト・IL−11R蛋白を「えじき」として用いることができ、その逆も可能である。
【0066】
CAT誘導系 ラット・β−フィブリノーゲンのごとき急性フェーズの血漿蛋白遺伝子の転写は、種々の細胞系において、IL−11により活性化される。1の典型的な系において、ヒト・IL−11R蛋白(全長のヒト・IL−11Rまたはその可溶性形態のごとき)、ヒト・gp130シグナルトランスデューサーおよびレポータ一遺伝子CAT(Baumann et al. (1991)J. Biol. Chem.266,20424−20427)に融合したラット・b−フィブリノーゲン遺伝子の350塩基対のプロモーター領域を含むレポーター遺伝子をコードしているプラスミドでCOSM6細胞をトランスフェクションする。組み換えヒト・IL−11濃度を上昇させていって細胞を剌激し、CAT活性の存在についてアッセイすることによりレポーター遺伝子の転写をモニターする。
【0067】
gp130のホスホリレーション
ヒト・IL−11R蛋白(全長のヒト・IL−11Rまたはその可溶性形態のごとき)をコードしている配列でトランスフェクションされた細胞におけるgp130のチロシンのホスホリレーションを誘導するIL−11の能力(Luttcken et al. (1994)Science 263,89−92)を試験することにより活性を調べてもよい。
【0068】
STATsのホスホリレーション
ヒト・IL−11R蛋白(全長のヒト・IL−11Rまたはその可溶性形態のごとき)をコードしている配列でトランスフェクションされた細胞におけるSTATs(転写のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター、DNA結合蛋白のファミリー)のチロシンのホスホリレーションを誘導するIL−11の能力(Zhong et a1(1994)Science 264, 95−98)を試験することにより活性を調べてもよい。
【0069】
JAKキナーゼのホスホリレーション
ヒト・IL−11R蛋白(全長のヒト・IL−11Rまたはその可溶性形態のごとき)をコードしている配列でトランスフェクションされた細胞におけるJAKキナーゼのチロシンのホスホリレーションを誘導するIL−11の能力(Yin et al. (1993)J.I1mmunl.151:2555−2561)を試験することにより活性を調べてもよい。
【0070】
本明細書に引用された特許および文献は、参照により全体が本明細書に記載されているものと見なされる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、医薬品の分野、研究用試薬の分野等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、ヒト・IL−11受容体およびgp130の構造をスキームで示したものである。
【図2】図2は、可溶性形態の組み換えヒト・IL−11R蛋白の生物学的活性を示すデータである。
【図3】図3は、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列;
(b)遺伝学的コードの縮重の結果として(a)に記載したヌクレオチド配列から変化しているヌクレオチド配列;および
(c)(a)に記載したヌクレオチド配列の対立遺伝子変種
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレオチド配列がヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する蛋白をコードしている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ヌクレオチド配列が発現抑制配列に作動可能に連結されている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号:1のヌクレオチド1907からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号:1のヌクレオチド734からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項3のポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞。
【請求項11】
哺乳動物細胞である請求項10の宿主細胞。
【請求項12】
(a)適当な培地中で請求項10の宿主細胞を増殖させ;次いで
(b)培養からヒト・IL−11R蛋白を精製する
ことを特徴とするヒト・IL−11R蛋白の製造方法。
【請求項13】
請求項12の方法に従って製造される蛋白。
【請求項14】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸102から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸102から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなる単離ヒト・IL−11R蛋白。
【請求項15】
配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなる請求項14の蛋白。
【請求項16】
配列番号:2のアミノ酸24から365までの配列を含んでなる請求項14の蛋白。
【請求項17】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、治療上有効量の請求項14の蛋白および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項18】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、治療上有効量の請求項14の蛋白および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項19】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、請求項14の蛋白と特異的に反応する治療上有効量の抗体を含んでなる医薬組成物。
【請求項20】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、請求項14の蛋白と特異的に反応する治療上有効量の抗体を含んでなる医薬組成物。
【請求項21】
ヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合に対する阻害剤の同定方法であって、
(a)請求項14の蛋白をIL−11またはそのフラグメントと混合し、該混合により第1の結合混合物を得て;
(b)第1の結合混合物中の蛋白とIL−11またはそのフラグメントとの間の結合量を測定し;
(c)化合物を蛋白およびIL−11またはそのフラグメントと混合して第2の結合混合物を得て;
(d)第2の結合混合物中の結合量を測定し;次いで
(e)第1の結合混合物中の結合量と第2の結合混合物中の結合量とを比較する
ことを特徴とし、第2の結合混合物中の結合量の減少が起こった場合には、該化合物はヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害しうるものである方法。
【請求項22】
第1および第2の混合物が、請求項14の蛋白またはIL−11または請求項21で使用されるフラグメントに結合しうるgp130またはそのフラグメントを含んでなる請求項21の方法。
【請求項23】
請求項21の方法により同定される阻害剤。
【請求項24】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、治療上有効量の請求項23の阻害剤および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項25】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、治療上有効量の請求項23の阻害剤および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項26】
厳密な条件下で請求項4のポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションしうるヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項27】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸102から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸102から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドまたは蛋白をコードしているヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列;および
(b)0.1xSSC、65℃において(a)の配列にハイブリダイゼーションするヌクレオチド配列
からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項2】
ヌクレオチド配列がヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する蛋白をコードしている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ヌクレオチド配列が発現抑制配列に作動可能に連結されている請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号:1のヌクレオチド803からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号:1のヌクレオチド1907からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列またはそのフラグメントを含んでなる請求項2のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号:1のヌクレオチド734からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1828までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号:1のヌクレオチド1067からヌクレオチド1999までのヌクレオチド配列を含んでなる請求項1のポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項3のポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞。
【請求項11】
哺乳動物細胞である請求項10の宿主細胞。
【請求項12】
(a)適当な培地中で請求項10の宿主細胞を増殖させ;次いで
(b)培養からヒト・IL−11R蛋白を精製する
ことを特徴とするヒト・IL−11R蛋白の製造方法。
【請求項13】
請求項12の方法に従って製造される蛋白。
【請求項14】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸102から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸102から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなる単離ヒト・IL−11R蛋白。
【請求項15】
配列番号:2のアミノ酸配列を含んでなる請求項14の蛋白。
【請求項16】
配列番号:2のアミノ酸24から365までの配列を含んでなる請求項14の蛋白。
【請求項17】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、治療上有効量の請求項14の蛋白および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項18】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、治療上有効量の請求項14の蛋白および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項19】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、請求項14の蛋白と特異的に反応する治療上有効量の抗体を含んでなる医薬組成物。
【請求項20】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、請求項14の蛋白と特異的に反応する治療上有効量の抗体を含んでなる医薬組成物。
【請求項21】
ヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合に対する阻害剤の同定方法であって、
(a)請求項14の蛋白をIL−11またはそのフラグメントと混合し、該混合により第1の結合混合物を得て;
(b)第1の結合混合物中の蛋白とIL−11またはそのフラグメントとの間の結合量を測定し;
(c)化合物を蛋白およびIL−11またはそのフラグメントと混合して第2の結合混合物を得て;
(d)第2の結合混合物中の結合量を測定し;次いで
(e)第1の結合混合物中の結合量と第2の結合混合物中の結合量とを比較する
ことを特徴とし、第2の結合混合物中の結合量の減少が起こった場合には、該化合物はヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害しうるものである方法。
【請求項22】
第1および第2の混合物が、請求項14の蛋白またはIL−11または請求項21で使用されるフラグメントに結合しうるgp130またはそのフラグメントを含んでなる請求項21の方法。
【請求項23】
請求項21の方法により同定される阻害剤。
【請求項24】
哺乳動物対象におけるヒト・IL−11受容体へのIL−11の結合を阻害するための、治療上有効量の請求項23の阻害剤および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項25】
哺乳動物対象における骨量の損失を治療または予防するための、治療上有効量の請求項23の阻害剤および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項26】
厳密な条件下で請求項4のポリヌクレオチドにハイブリダイゼーションしうるヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。
【請求項27】
(a)配列番号:2のアミノ酸配列;
(b)配列番号:2のアミノ酸24から422までのアミノ酸配列;
(c)配列番号:2のアミノ酸24から365までのアミノ酸配列;
(d)配列番号:2のアミノ酸391から422までのアミノ酸配列;
(e)配列番号:2のアミノ酸102から422までのアミノ酸配列;
(f)配列番号:2のアミノ酸102から365までのアミノ酸配列;および
(g)ヒト・IL−11受容体の生物学的活性を有する(a)〜(f)のフラグメント
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドまたは蛋白をコードしているヌクレオチド配列を含んでなる単離ポリヌクレオチド。


【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図3−8】
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【図3−9】
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【図3−10】
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【公開番号】特開2006−246890(P2006−246890A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71097(P2006−71097)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【分割の表示】特願平8−519803の分割
【原出願日】平成7年11月27日(1995.11.27)
【出願人】(592124573)ジェネティックス・インスチチュート・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (3)
【氏名又は名称原語表記】GENETICS INSTITUTE,LLC
【Fターム(参考)】