説明

ヒト膵臓ポリペプチド(HPP)類似体および摂食行動に対するそれらの影響

1つまたは複数の残基におけるアミノ酸置換の点で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチドの類似体、また1つまたは複数の前記化合物の使用、1つまたは複数の前記化合物を使用する方法、1つまたは複数の前記化合物を含む組成物、および前記化合物を作製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、特に肥満の分野における、食欲、摂食、食物摂取、エネルギー消費およびカロリー摂取を制御する作用物質の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国民健康栄養調査(NHANESIII、1988〜1994)によれば、米国における3分の1〜2分の1の男性および女性が体重超過である。米国では、20才以上の60パーセントの男性および51パーセントの女性が、体重超過または肥満のいずれかである。さらに、米国中では大部分の割合の子供が体重超過または肥満である。
【0003】
肥満の原因は複雑であり多因子性である。肥満は単なる自己管理の問題ではなく、食欲制御およびエネルギー代謝と関連がある複雑な障害であることを示唆する証拠が増えている。さらに肥満は、集団中の罹患率および死亡率の増加と関係がある様々な条件と関係がある。肥満の病因は明らかに立証されてはいないが、遺伝的、代謝、生化学的、培養および心理社会的因子が頁献すると考えられる。一般に肥満は、過剰な体脂肪が個体についた健康上のリスクがある状態として記載されている。
【0004】
肥満が罹患率および死亡率の増加と関係がある、強力な証拠が存在する。心血管疾患リスクおよび2型糖尿病リスクなどの疾患リスクは、体格指数(BMI)の増大と無関係に増大する。実際、このリスクは、それぞれの24.9を超えるBMIの地点に関して、女性に関しては心疾患のリスクの5パーセントの増大、および男性に関しては心疾患のリスクの7パーセントの増大として定量化された(Kenchaiah et al.、N.Engl.J.Med.347:305頁、2002;Massie、N.Engl.J Med.347:358頁、2002を参照)。さらに、肥満人における減量は重大な疾患の危険因子を減らすという、実質的証拠が存在する。体重超過と肥満の両方の成人における初期体重の10%などの、わずかな減量でさえ、高血圧、脂質異常症、および高血糖症などの危険因子の減少と関係している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/089786
【特許文献2】WO2005/089789
【特許文献3】WO2007/038943
【特許文献4】W02005/089790
【特許文献5】W02006/091506
【特許文献6】米国特許第6,410,707号
【特許文献7】米国特許第5,936,092号
【特許文献8】米国特許第6,093,692号
【特許文献9】米国特許第6,225,445号
【特許文献10】米国特許第4,179,337号
【特許文献11】米国特許第6,447,743号
【特許文献12】米国特許第5,700,486号
【特許文献13】米国特許第6,436,091号
【特許文献14】米国特許第5,939,380号
【特許文献15】米国特許第5,993,414号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kenchaiah et al.、N.Engl.J.Med.347:305頁、2002
【非特許文献2】Massie、N.Engl.J Med.347:358頁、2002
【非特許文献3】Asakawa et al.、Gastroenterology、2003、124、1325〜1336頁
【非特許文献4】Asakawa et al.、Peptides、1999、20、1445〜1448頁
【非特許文献5】Batterham, et al.、J.Clin.Endrocrinol.Metab.、2003、88(8)、3989〜3992頁
【非特許文献6】Jesudason, et al.、Br.J.Nutrition、2007、97、426〜429頁
【非特許文献7】Cabrele et al.、Peptides、2001、22、365〜378頁
【非特許文献8】Jequier、Am.J Clin.Nutr.45:1035〜47頁、1987
【非特許文献9】Barlow and Dietz、Pediatrics 102:E29、1998
【非特許文献10】National Institutes of Health、National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)、Obes.Res.6(suppl.2):51S〜209S、1998
【非特許文献11】Lyznicki et al.、Am.Fam.Phys.63:2185、2001
【非特許文献12】Berglund et al.Experimental Biology and Medicine 2003、228、217〜244頁
【非特許文献13】Bowie et al.、Science 247:1306〜1310頁、1990
【非特許文献14】Kopelman、Nature 404:635〜43頁
【非特許文献15】Rissanen et al、British Med.J 301、835頁、1990
【非特許文献16】E.W.MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciences
【非特許文献17】Wang、Y.J.and Hanson、M.A.、Journal of Parenteral Science and Technology、Technical Report No.10、Supp.42:2S、1988
【非特許文献18】Sefton、CRC Crit.Ref Biomed.Eng.14:201頁、1987
【非特許文献19】Buchwald et al.、Surgery 88:507頁、1980
【非特許文献20】Saudek et al.、N.Engl.J.Med.321:574頁、1989
【非特許文献21】Langer(Science 249:1527〜1533頁、1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食習慣および運動は増量を減らすための簡単なプロセスをもたらすが、体重超過および肥満の個体は、体重を効率良く減らすほどこれらの因子を十分制御できないことが多い。薬物療法が利用可能であり、包括的減量プログラムの一部として使用することができる、幾つかの減量薬剤が食品医薬品局によって承認されている。しかしながら、これらの薬剤の多くには重大かつ有害な副作用がある。低侵襲性の方法が失敗したとき、患者は肥満関連罹患率または死亡率の高リスク状態にあり、注意深く選択した臨床上重度の肥満である患者において、減量手術は1つの選択肢である。しかしながら、これらの治療は高リスクであり、ごく限られた数の患者における使用に適している。減量を望むのは肥満対象だけではない。推奨範囲内、例えば推奨範囲の上部中の体重である人が、その体重を減らして、それを理想体重に近づけることを望む可能性がある。したがって、体重超過および肥満対象において減量をもたらすために使用することができる、作用物質の必要性が依然として存在する。
【0008】
膵臓ポリペプチド(PP)は、食物の摂取に応じて膵臓から放出される消化管ホルモンである。PPはY4受容体で主に作用すると考えられる。血漿中PPは、食物摂取の増大と関係がある状態では減少し、神経性無食欲症において増大することが示されている。マウスへのマウスPPの末梢投与は、Asakawa et al.(Asakawa et al.、Gastroenterology、2003、124、1325〜1336頁およびAsakawa et al.、Peptides、1999、20、1445〜1448頁)によって、食物摂取の減少およびエネルギー消費の刺激により負のエネルギー収支を誘導することが分かった。人間では、90分間100pmol/kg/1時間の割合でのプラダーウィリー症候群である子供へのヒトPPの短期投与(Zipf et al.、1990、51、162〜166頁)は、食欲に対して全く影響がないことが分かった。さらに近年、幾分多量のヒトPPの注入(10pmol/kg/1分間(すなわち600pmol/kg/1時間)、90分間)は、健常ボランティアにおいて食欲および食物摂取を低減させることが分かった(Batterham, et al.、J.Clin.Endrocrinol.Metab.、2003、88(8)、3989〜3992頁)。この注入は25%の24時間累積エネルギー摂取の減少を引き起こした。90分間で5pmol/kg/1分間(すなわち300pmol/kg/1時間)のヒトPPというさらに低い注入率では、11%のエネルギー摂取の低下を健常なヒトボランティアにおいて観察した(Jesudason, et al.、Br.J.Nutrition、2007、97、426〜429頁)。しかしながら、天然PPの活性、および血中でのその分解速度は、ヒトにおいて実行可能な長期治療を示すための化合物には、それぞれ低すぎかつ速すぎることは明らかである。したがって、改善された性質を有する膵臓ポリペプチドの類似体の必要性が依然として存在する。
【0009】
膵臓ポリペプチドの幾つかの類似体が知られている。Cabreleらは、膵臓ポリペプチドとニューロペプチドYの様々なキメラを合成した(Cabrele et al.、Peptides、2001、22、365〜378頁)。これらのキメラはY5受容体に対する強い親和性を有することが分かった。類似体、2〜36[K4、RYYSA19〜23]PP、[K4]PPおよび[RYYSA19〜23]PPはY5受容体に対する強い親和性を有しており、かつそれらは、脳室内に注射したとき、食物摂取に対する強い刺激効果を有することが分かった(McCrea et al.、2000、87、47〜58頁)。
【0010】
WO2005/089786中には、PPを含めた様々な消化管ホルモンの誘導体であるY4選択的受容体アゴニストが記載されている。WO2005/089789およびWO2007/038943中には、PPを含めた様々な消化管ホルモンの誘導体であるY2選択的受容体アゴニストが記載されている。その中のアゴニストは、Lysによって置換されたGluを位置4に有するPPの幾つかの誘導体を含む。W02005/089790中には、PPを含めた様々な消化管ホルモンの誘導体であるY2およびY4選択的受容体アゴニストが記載されている。その中のアゴニストは、Glnによって置換されたProを位置34に有するPPの幾つかの誘導体を含む。W02006/091506中には、PPの様々なN末端修飾誘導体が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための、1つまたは複数の以下の点:
【0012】
【表1】

【0013】
a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置3、4、5、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置5のProが代替のアミノ酸Alaによって置換され、かつ/または
(iv)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、Thr、Ala、Arg、Asp、Lys、TyrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(v)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(vi)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【0014】
【表2】

【0015】
e)位置29、30および31で
(i)位置30のMetが、Leu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisまたはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)N末端において2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によってそれが二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29の置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有する類似体を提供する。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物のさらなる使用、式(I)の化合物を使用する方法、式(I)の化合物を含む組成物、および式(I)の化合物を作製する方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例に関する特定のデータを示す図である。
【図2】本発明の3つの実施例の類似体を使用して実施した、食欲抑制実験のデータを棒グラフとして示す図である。
【図3】本発明の3つの実施例の類似体を使用して実施した、食欲抑制実験のデータを線グラフとして示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
配列表
本出願中に列挙するアミノ酸配列は、アミノ酸用の標準的な略号を使用して示す。
【0019】
定義
本開示の様々な実施形態の概説を容易にするために、以下の具体的な用語の説明を与える。
【0020】
動物:生きている多細胞の脊椎骨のある生物、例えば、哺乳動物および鳥類を含むカテゴリー。用語哺乳動物は、ヒトと非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「対象」は、ヒトと脊椎動物対象の両方を含む。
【0021】
食欲:食物に関する自然な欲求、または切望。一実施形態では、食物に関する欲求を評価するための調査によって食欲を測定する。増大した食欲は、一般に増大した摂食行動をもたらす。
【0022】
食欲抑制剤:食物に関する欲求を低下させる化合物。市販の食欲抑制剤には、アンフェプラモン(ジエチルプロピオン)、フェンテルミン、マジンドールおよびフェニルプロパノールアミン、フェンフルアミン、デクスフェンフルアミン、およびフルオキセチンがあるが、これらには限られない。
【0023】
体格指数(BMI):ケトレの指数とも時折呼ばれる、体重を測定するための数式。BMIは身長2(メートル単位2)で体重(kg単位)を割ることによって計算する。「正常」として認められる男性と女性の両方に関する現在の標準は、20〜24.9kg/m2のBMIである。一実施形態では、25kg/m2を超えるBMIを使用して肥満対象を同定することができる。グレードIの肥満は25〜29.9kg/m2のBMIに相当する。グレードIIの肥満は30〜40kg/m2のBMIに相当し、かつグレードIIIの肥満は40kg/m2を超えるBMIに相当する(Jequier、Am.J Clin.Nutr.45:1035〜47頁、1987)。理想体重は、身長、体質、骨構造、および性別に基づいて種および個体間で変わり得る。
【0024】
保存的置換:ポリペプチドにおける、別の、生物学的に類似した残基によるアミノ酸残基の置換。用語「保存的変異」は、置換ポリペプチドに対して産生した抗体が非置換ポリペプチドとも免疫反応するという条件で、置換アミノ酸、すなわち親アミノ酸の代わりに、別の原子または基で置換された1つまたは複数の原子を有するアミノの使用も含む。
【0025】
糖尿病:内因性のインスリンの欠乏および/またはインスリン感受性の欠陥のために、それらの膜を介して内因性グルコースを輸送することができない細胞の不具合。糖尿病は、不十分なインスリンの分泌または標的組織のインスリン耐性が原因である、炭水化物、タンパク質、および脂肪の代謝障害の慢性症候群である。糖尿病は2つの主な型、インスリン依存性糖尿病(IDDM、タイプI)および非インスリン依存性糖尿病(NIDDM、タイプII)で生じ、これらは病因、病状、遺伝的特徴、発症年齢、および治療が異なる。
【0026】
2つの主な型の糖尿病は、グルコース恒常性の制御に必要とされる正確なタイミングで一定量のインスリンを送達できないことによって、いずれも特徴付けられる。糖尿病タイプI、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)はβ細胞の破壊によって引き起こされ、それは不十分なレベルの内因性インスリンをもたらす。糖尿病タイプII、すなわち非インスリン依存性糖尿病は、身体のインスリンに対する感受性の欠陥と、インスリン産生の相対的欠乏の両方に起因する。
【0027】
食物摂取:個体によって消費された食物の量。食物摂取は体積または重量によって測定することができる。例えば、食物摂取は個体によって消費された食物の合計量であり得る。あるいは、食物摂取は個体のタンパク質、脂肪、炭水化物、コレステロール、ビタミン、ミネラル、または任意の他の食物成分の量であり得る。「タンパク質摂取」は、個体によって消費されたタンパク質の量を指す。同様に、「食物摂取」、「炭水化物摂取」、「コレステロール摂取」、「ビタミン摂取」、および「ミネラル摂取」は、個体によって消費されたタンパク質、脂肪、炭水化物、コレステロール、ビタミン、またはミネラルの量を指す。
【0028】
過分極:細胞の膜電位の低下。抑制性神経伝達物質は、過分極によって神経刺激の伝達を抑制する。この過分極は抑制性シナプス後電位(IPSP)と呼ばれる。細胞の閾値電圧は変化しないが、過分極細胞は閾値に到達するためにより強い興奮刺激を必要とする。
【0029】
正常な日々の食生活:所与の種の個体に関する平均的食物摂取。正常な日々の食生活は、カロリー摂取、タンパク質摂取、炭水化物摂取、および/または脂肪摂取の点で表すことができる。ヒトにおける正常な日々の食生活は、以下の:約2,000、約2,400、または約2,800〜著しく多いカロリーを一般に含む。さらに、ヒトにおける正常な日々の食生活は、約12g〜約45gのタンパク質、約120g〜約610gの炭水化物、および約11g〜約90gの脂肪を一般に含む。低カロリーの食生活は、ヒト個体の正常なカロリー摂取のわずか約85%、および好ましくはわずか約70%であろう。
【0030】
動物では、カロリーおよび栄養要件は動物の種および大きさに応じて変わる。例えば、ネコでは、1ポンド当たりの合計カロリー摂取、およびタンパク質、炭水化物および脂肪の分布率は、ネコの年齢および生殖状態と共に変わる。しかしながら、ネコに関する一般的なガイドラインは40cal/lb/1日(18.2cal/kg/1日)である。約30%〜約40%はタンパク質でなければならず、約7%〜約10%は炭水化物由来でなければならず、かつ約50%〜約62.5%は脂肪摂取由来でなければならない。当業者は、任意の種の個体の正常な日々の食生活を容易に確認することができる。
【0031】
肥満:過剰な体脂肪が健康上のリスクを人に及ぼす可能性がある状態(Barlow and Dietz、Pediatrics 102:E29、1998;National Institutes of Health、National Heart, Lung, and Blood Institute (NHLBI)、Obes.Res.6(suppl.2):51S〜209S、1998参照)。過剰な体脂肪は、エネルギー摂取とエネルギー消費の不均衡の結果である。例えば、体格指数(BMI)を使用して肥満を評価することができる。1つの一般的に使用される慣習では、25.0kg/m2〜29.9kg/m2のBMIは体重超過であり、一方30kg/m2のBMIは肥満である。
【0032】
別の慣習では、胴回りを使用して肥満を評価する。この慣習では、男性において102cm以上の胴回りを肥満と考え、一方女性において89cm以上の胴回りを肥満と考える。強力な証拠が、肥満は個体の罹患率と死亡率の両方に影響を与えることを示す。例えば、肥満の個体は、特に心疾患、非インスリン依存性(タイプ2)糖尿病、高血圧、脳卒中、癌(例えば、子宮内膜、乳、前立腺、および結腸癌)、異脂肪症、胆嚢疾患、睡眠時無呼吸、低受精率、および骨関節炎のリスクが増大している(Lyznicki et al.、Am.Fam.Phys.63:2185頁、2001参照)。
【0033】
体重超過:その理想体重を超える体重がある個体。体重超過の個体は肥満である可能性があるが、必ず肥満であるわけではない。例えば、体重超過の個体はその体重を減らすことを望む任意の個体である。一慣習では、体重超過の個体は25.0kg/m2〜29.9kg/m2のBMIを有する個体である。
【0034】
膵臓ポリペプチド:本明細書で使用する用語膵臓ポリペプチドは、膵臓ポリペプチド、下部小腸(回腸)および結腸の内側を覆う細胞によって血液中に分泌されるホルモンを指す。さらなる制約をこの用語に加えない場合、それは任意の種由来のペプチドを含む。
【0035】
ペグ化状態およびペグ化:ポリ(アルキレングリコール)、好ましくは活性化ポリ(アルキレングリコール)が反応して共有結合を形成する工程。促進剤、例えばアミノ酸、例えばリシンを使用することができる。「ペグ化」は、メトキシポリ(エチレングリコール)などのポリ(エチレングリコール)またはその誘導体を使用して実施されることが多いが、この用語は本明細書ではメトキシポリ(エチレングリコール)の使用に限られず、任意の他の有用なポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(プロピレングリコール)の使用も含む。
【0036】
末梢投与:中枢神経系外の投与。末梢投与は脳への直接投与は含まない。末梢投与には、血管内、筋肉内、皮下、吸入、経口、直腸、経皮または鼻腔内投与があるが、これらには限られない。
【0037】
ポリペプチド:その中でモノマーがアミド結合によって一つに結合したアミノ酸残基であるポリマー。アミノ酸がα-アミノ酸であるとき、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかを使用することができ、L-異性体が好ましい。本明細書で使用する用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は任意のアミノ酸配列を包含し、かつ糖タンパク質などの修飾配列を含む。用語「ポリペプチド」は、天然に存在するタンパク質、および組換えまたは合成によって生成したタンパク質を具体的には含む。用語「ポリペプチド断片」は、ポリペプチドの一部分、例えば受容体との結合において少なくとも1つの有用な配列を示す断片を指す。用語「ポリペプチドの機能性断片」は、ポリペプチドの活性を保持するポリペプチドの全ての断片を指す。生物学的機能性ペプチドは、対象とするペプチドがその望ましい活性を低下させない別のペプチドと融合した、融合タンパク質も含むことができる。
【0038】
治療有効量:障害の進行を妨げる、もしくは障害の退行を引き起こすのに十分である、または障害の兆候もしくは症状を緩和することができる、または望ましい結果を得ることができる用量。幾つかの実施形態では、本発明の化合物の治療有効量は、増量を抑制もしくは停止するのに十分な量、または食欲を低下させるのに十分な量、またはカロリー摂取もしくは食物摂取を減らすまたはエネルギー消費を増大させるのに十分な量である。
【0039】
詳細な説明
前述のように、本発明は、(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための、ヒト膵臓ポリペプチドの類似体(I)またはその変異体もしくは誘導体、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0040】
本発明の類似体は、天然ヒト膵臓ポリペプチドに優る改善された性質を有することが分かっている。これらの類似体は天然ヒト膵臓ポリペプチドより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒト膵臓ポリペプチドよりヒトY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0041】
「エスケープ」として知られる影響を避けるために食欲抑制の期間の増大は特に重要であり得るので、血中の類似体の半減期は重要である。
【0042】
短期間の食欲抑制剤は、一回の食事によって含まれる時間の食欲を低減することができ、かつその食事中、対象は典型的にはあまり食物を食べない。しかしながら、食欲抑制剤が次いで代謝されるか、またはそれ以外で対象の血液循環から除去される場合、したがって次の食事の時間までに、対象がその「正常な」食欲を取り戻す可能性がある。対象が前回の食事時に少量の食事を取ったことを鑑みると、対象は実際には第二回目の食事の時間までに食欲が増大した可能性がある。対象がその食欲を満たす場合、全体では、二回の食事での食物摂取は、食欲抑制剤なしでの食物摂取以上であったと考えられる。すなわち、対象は食欲抑制剤の影響から「エスケープ」した可能性がある。「エスケープ」は、追加用量の食欲抑制剤を使用することによって、またはさらに長い作用時間で食欲抑制剤を使用することによって低減することができる。対象がさらに長期間低減した食欲を有する場合、したがって取らなかった食物を次の食事中に一回の食事から埋め合わせ得る程度は低減する。個々の食事における食物の総量には実用上限界があるからである。
【0043】
さらに、短期間の食欲抑制剤の長期の連続的な注入は、短時間作用型食欲抑制剤のレベルが血流中で持続投与によって長時間作用型抑制剤と同様の長さの時間維持される場合でさえ、単回用量の長時間作用型食欲抑制剤の投与より有効性が低いことが分かっている。本明細書では、a)それが実験動物(例えばマウス)への化合物の投与後の時間4の最後から時間8の最後までの4時間中に天然ヒトPPより大きい食欲抑制に対する影響を有する場合、または実験動物(例えばマウス)への投与後の最初の24時間中に天然ヒトPPより大きい影響を有する場合、またはb)経時的な有効性のその漸減速度が、実験動物(例えばマウス)への投与後の0〜4時間と0〜1時間の間(「4:1の割合」)または0〜24時間と0〜1時間の間(「24:1の割合」)での(天然ヒトPPとの)食物摂取低下の割合の比較によって評価して天然ヒトPPのそれより遅い場合、化合物は天然ヒトPPより長い血中半減期を有すると考える。
【0044】
Y4受容体は膵臓ポリペプチドに対する一次受容体である(Berglund et al.Experimental Biology and Medicine 2003、228、217〜244頁参照)。Y4受容体との結合は標準的な技法によって評価することができる。例えば、ELISAまたは蛍光ベースのアッセイを使用して受容体における化合物の結合を評価することができる。細胞ベースの機能アッセイを使用して、化合物が受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを評価することができる。本明細書では、それが天然ヒトPPより低い結合IC50を有する場合、化合物はヒトY4受容体に対する強い結合剤であると考える。
【0045】
前述のように、(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための本発明の化合物は、1つまたは複数の以下の点:
a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置3、4、5、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置5のProが代替のアミノ酸Alaによって置換され、かつ/または
(iv)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、Thr、Ala、Arg、Asp、Lys、TyrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(v)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(vi)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【0046】
【表3】

【0047】
e)位置29、30および31で
(i)位置30のMetが、Leu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisまたはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)N末端に2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29の置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なり、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有する。
【0048】
一実施形態では、a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Lys、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択されるAla、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)Alaが不在である類似体は、
位置1のAlaが(i)D-Ala、Lys、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10または〜C1〜20アルキルから選択される類似体である。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、ラウリル-リシンによって置換されたAlaを位置1に有する配列番号11(コード6435)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合物質であり、同様に、配列番号72(コード6674)および配列番号73(コード6675)の化合物は、配列番号72(コード6672)の化合物より強い結合物質である。例えば、D-Alaで置換されたAlaを位置1に有する配列番号228(コード4055400)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。
【0049】
位置1における好ましい置換アミノ酸はLys、D-Alaおよびアシル-Lysから選択され、アシル基はCO-C1〜20アルキルまたはCO-C2〜20アルケニル、例えばCO-C1〜20アルキルである。最も好ましいのはLys、D-Alaおよびラウリル-Lysである。
【0050】
一実施形態では、a)前述のa)と同様に位置1のAlaが改変されている類似体は、位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10または〜C1〜20アルキルから選択されるAlaを有する。例えば、配列番号9(コード6433)、配列番号32(コード6464)、配列番号51(コード6646)、配列番号54(コード6651)、配列番号55(コード6652)および配列番号56(コード6653)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。配列番号52(コード6647)、配列番号53(コード6650)、配列番号56(コード6653)および配列番号57(コード6654)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合物質である。好ましいアシル基はCO-C1〜20アルキルおよびCO-C2〜20アルケニル、例えばCO-C1〜20アルキル、特にラウリルまたはステアロイル、特にラウリルである。
【0051】
位置0における好ましい追加のアミノ酸はAlaおよびProである。さらなる実施形態では、位置1におけるAlaは、Pro、Gly、His、AlaおよびTyr、特にProおよびGlyから選択される追加のアミノ酸を位置0に備える。
【0052】
好ましい実施形態では、類似体は、前に記載したように位置0に追加のアミノ酸を備えるAlaを位置1に有する。(さらなる伸長または欠失が存在しない限り)このような類似体は37アミノ酸の全長を有する。それらは天然ヒトPPより長い血中半減期を有することが分かる。0位置で伸長した類似体は伸長がないペプチドよりDPPIVによって切断されにくいことを示唆する証拠が存在する。さらに、DPPIVによるN末端における37アミノ酸長類似体の切断は、受容体における活性を保持する35アミノ酸の類似体の生成をもたらすと仮定される(このような化合物は、a)位置1におけるAlaが(iii)不在である本発明の化合物である)。34アミノ酸長のPP類似体(36アミノ酸のPPから2個のN末端アミノ酸を切断除去した産物)は、35アミノ酸の化合物より低い活性を保持することが分かっている。
【0053】
一実施形態では、a)前述のa)と同様に位置1のAlaが改変されている類似体は、位置1におけるAlaが不在である。実施例11(コード6435)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。
【0054】
さらなる実施形態では、類似体は位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換されている。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号42(コード6618)および配列番号43(コード6619)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。例えば、配列番号586(コード4057640)および配列番号587(コード4057641)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0055】
さらなる実施形態では、類似体は位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換されている。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号19(コード6446)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。例えば、配列番号586(コード4057640)および配列番号587(コード4057641)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0056】
さらなる実施形態では、類似体は位置5のProが代替のアミノ酸Alaによって置換されている。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号702(コード4058286)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0057】
さらなる実施形態では、類似体は位置6のValがGlu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、Thr、Ala、Arg、Asp、Lys、TyrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換されている。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号275(コード4055745)および配列番号276(4055746)の化合物は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号256(コード4055710)、配列番号257(コード4055711)および配列番号258(コード4055712)の化合物は、配列番号18(コード6445)の化合物よりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0058】
位置6におけるValの置換に好ましいアミノ酸はPheおよびGlu、特にPheである。
【0059】
さらなる実施形態では、類似体は位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換されている。これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号1092(コード4059668)の化合物は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号929(コード4059104)、配列番号1090(コード4059937)および配列番号1092(コード4059939)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0060】
さらなる実施形態では、類似体は位置11のAsnがAspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換されている。例えば、配列番号104(コード6841)の化合物は、配列番号102(コード6839)の化合物より長い血中半減期を有する。
【0061】
さらなる実施形態では、類似体は以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸:
【0062】
【表4】

【0063】
から選択されるアミノ酸で置換された1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)を有する。
【0064】
これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。類似体は以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸:
【0065】
【表5】

【0066】
から選択されるアミノ酸で置換された1つまたは複数の天然アミノ酸16〜23(第1列、太字)を有することが特に好ましい。
【0067】
これらの類似体はY4受容体に対する特に強い結合性を有する。
【0068】
16〜23領域中の特に好ましいモチーフは以下のモチーフを含む:
Asp Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser
Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser
Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala
Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Ala
Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Asp
Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Glu
Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Ala
Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala His Tyr Ala Ala Ala
Gln Met Ala His Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp
特に:
Asp Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ser Ala
Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser
Glu Leu Asn Arg Tyr Tyr Ala Ser
Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala
Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Ala
Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Glu
Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala His Tyr Ala Ala Ala
Gln Met Ala His Tyr Ala Ala Glu
Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp
【0069】
類似体のさらなる特に好ましい組は、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸:
【0070】
【表6】

【0071】
から選択されるアミノ酸で置換された1つまたは複数の天然アミノ酸15〜25(第1列、太字)を有する。
【0072】
これらの類似体は特に長い血中半減期を有する。
【0073】
15〜25領域中の特に好ましいモチーフは以下のモチーフを含む:
Glu Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg
Glu Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Ala Leu Arg
Glu Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp Leu Lys
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Glu Leu Arg
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Asp Leu Lys
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg
Glu Glu Leu Asn His Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg
Glu Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Met Arg
特に:
Glu Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg
Glu Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp Leu Lys
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Glu Leu Arg
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Ala Ala Asp Leu Lys
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg
Glu Glu Leu Asn His Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg
Glu Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Met Arg
【0074】
類似体のさらなる特に好ましい組は、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸:
【0075】
【表7】

【0076】
から選択されるアミノ酸で置換された1つまたは複数の天然アミノ酸15〜26(第1列、太字)を有する。
【0077】
これらの類似体は特に長い血中半減期を有する。
【0078】
15〜26領域中の特に好ましいモチーフは以下のモチーフを含む:
Glu Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Ala Leu Arg Arg
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg Arg
Glu Gln Met Ala Glu Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Arg
Glu Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp Leu Lys Arg
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Arg
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Lys
Glu Glu Ile Val Lys Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg Arg
Glu Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Lys
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Arg
Gln Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Arg
特に:
Glu Gln Met Ala Arg Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg Arg
Glu Gln Met Ala Glu Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Arg
Glu Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Asp Leu Lys Arg
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Arg
Glu Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Asp Leu Arg Lys
Glu Glu Ile Val Lys Tyr Tyr Ser Ala Leu Arg Arg
Glu Glu Leu Val Lys Tyr Tyr Ala Ser Leu Arg Arg
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Lys
Gln Gln Met Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Arg
Gln Gln Leu Ala Gln Tyr Ala Ala Glu Leu Arg Arg
【0079】
一実施形態では、類似体は配列:
Gln Met Ala Lys Tyr Ala Ala Ala
を位置16〜23に有する。
【0080】
好ましい類似体は:
位置23におけるAla
位置19〜23におけるArg Tyr Tyr Ser Glu
位置19〜23におけるLys Tyr Ala Ala Ala
位置17におけるLeu
位置17におけるNleu
位置23におけるGlu
位置19におけるArg
位置19におけるLys
位置19におけるLysおよび位置23におけるAla
位置19におけるArgおよび位置23におけるAla
位置19におけるArgおよび位置23におけるGlu
位置19におけるHisおよび位置23におけるGlu
を有する類似体をさらに含む。
【0081】
さらなる実施形態では、類似体は位置29、30および31で
(i)位置30のMetがLeu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuがIleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている。
【0082】
これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号259(コード4055713)、配列番号262(コード4055716)および配列番号283(コード4055857)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。例えば、配列番号259(コード4055713)、配列番号260(コード4055714)および配列番号261(コード4055715)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。
【0083】
好ましい類似体は、Lys、N-Leu、Val、IleまたはLeu、例えばLys、N-Leu、IleまたはLeu、特にLysによって置換された位置30にMetを有する。さらなる好ましい類似体は、Lys、N-Leu、IleまたはLeu、特にLysによって置換された位置30にMetを有し、かつ位置31にLeuを有する。
【0084】
さらなる好ましい類似体は、Aspによって置換された位置29にAsnを有する。
【0085】
さらなる実施形態では、類似体は位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisもしくはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている。
【0086】
これらの類似体は天然ヒトPPより長い血中半減期を有し、かつ/またはそれらは天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する。例えば、配列番号24(コード6453)、配列番号62(コード6659)、配列番号255(コード4055708)および配列番号283(コード4055857)の化合物は、天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有し、かつ配列番号255(コード4055708)および配列番号283(コード4055857)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。
【0087】
好ましい類似体は、位置34にGlnもしくはNVaおよび/または位置36にPheを有する。
【0088】
さらなる実施形態では、2単位のC末端に付加したCys残基対間のジスルフィド結合形成によって、または2単位の位置31におけるLeuの置換基として、類似体が二量体化される。
【0089】
例えば、配列番号100(コード6835)および配列番号285(コード4055860)の化合物は、天然ヒトPPより長い血中半減期を有する。
【0090】
好ましい実施形態では、本発明の類似体は前述のa)〜g)中に挙げた変化の組合せを含む。特に好ましい類似体は:
14〜26の領域中の変化(前述のd)および30〜31の領域中の変化(前述のe)
位置6における変化(前述のb)、位置11における変化(前述のc)、14〜26の領域中の変化(前述のd)および30〜31の領域中の変化(前述のe)
位置1における変化(前述のa)および30〜31の領域中の変化(前述のe)
位置1における変化(前述のa)、14〜26の領域中の変化(前述のd)および30〜31の領域中の変化(前述のe)を有する。
【0091】
例えば、本発明の類似体は、位置0に追加のAla、および位置30にLysを有することができる。配列番号171(コード7218)の化合物は、配列番号9(Ala0、コード6433)または配列番号281(Lys30、コード4055855)の化合物のいずれかより良くY4受容体と結合する。例えば、本発明の類似体は、位置0に追加のAla、位置19にLys、位置30にLysを有することができる。配列番号348(Ala0、Lys19、Lys30、コード4056385)の化合物はY4受容体と良く結合し、かつ配列番号171(Ala0、Lys19、コード7218)、配列番号9(Ala0、コード6433)、配列番号224(Lys19、コード4055291)または配列番号281(Lys30、コード4055855)の化合物のいずれよりも長い血中半減期を有する。
【0092】
例えば、本発明の類似体は、位置23にAlaおよび位置30にLysを有することができる。配列番号167(コード7214)の化合物はY4受容体と良く結合し、かつ配列番号277(Ala23、コード4055747)または配列番号281(Lys30、コード4055855)の化合物のいずれよりも長い血中半減期を有する。例えば、類似体は位置0に追加のAlaをさらに有することができる。配列番号168(Ala0、Ala23およびLys30、コード7215)の化合物は、Y4受容体における良い結合性をさらに依然として有する。
【0093】
例えば、本発明の類似体は、位置0に追加のAla、位置30にLeuを有することができる。配列番号59(コード6656)の化合物は、配列番号9(Ala0、コード6433)の化合物または位置30にLeuを有し天然PPからの他の変化がない化合物のいずれよりも長い血中半減期を有する(データ示さず)。
【0094】
さらなる好ましい実施形態では、本発明の類似体は、位置19における天然Glnが特にLys、HisまたはArgによって置換された(前述のd)、位置30における天然Metが特にLys、HisまたはArgによって置換された(前述のe)、かつ位置23における天然Aspが特にGluまたはAlaによって置換された(前述のd)、前述のa)〜g)中に挙げた変化の組合せを含む。
【0095】
位置30におけるMetがLys、HisまたはArgによって置換されたPPの類似体は、天然ヒトPPより長い血中半減期および/または天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する点において、特に有用であることが特に分かっている。
【0096】
位置19におけるGlnがLys、HisまたはArgによって置換されたPPの類似体は、天然ヒトPPより長い血中半減期および/または天然ヒトPPよりY4受容体に対する強い結合性を有する点において特に有用であることが、さらに特に分かっている。
【0097】
したがって、類似体の好ましい組は、Lys、HisまたはArgによって置換された位置19におけるGlnおよび位置30におけるMetを有する。したがって、化合物の好ましい組は以下のアミノ酸配列によって定義され:
Xaa0-Xaa1-Pro-Leu-Glu-Pro-Xaa6-Xaa7-Pro-Gly-Xaa10-Xaa11-Ala-Xaa13-Pro-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Tyr-xaa21-Xaa22-Xaa23-Leu-Arg-Arg-Tyr-Ile-Xaa29-Xaa30-Leu-Thr-Arg-Xaa34-Arg-Xaa36-NH2、
上式で、
Xaa0-Xaa1はPro-Ala、Gly-Ala、His-Ala、Ala-Ala、Tyr-Ala、Alaであるかまたは不在であり、
Xaa6はGlu、Ser、Thr、Val、His、Lys、His、IleまたはAspであり、
Xaa7はTyrまたはAlaであり、
Xaa10はAspまたはGluであり、
Xaa11はAsnまたはAspであり、
Xaa13はThrまたはSerであり、
Xaa15はGluまたはGlnであり、
Xaa16はGlu、GlnまたはAspであり、
Xaa17はMet、Leu、LysまたはIleであり、
Xaa18はAlaまたはAsnであり、
Xaa19はArg、LysまたはHisであり、
Xaa21はAlaまたはTyrであり、
Xaa22はAlaまたはSerであり、
Xaa23はGlu、AlaまたはAspであり、
Xaa29はAspまたはAsnであり、
Xaa30はLys、HisまたはArgであり、
Xaa34はN-ValまたはProであり、
Xaa36はTyrまたはPheである。
【0098】
一実施形態では、Xaa0-Xaa1はPro-Ala、Gly-Alaであるかまたは不在である。
【0099】
一実施形態では、Xaa7はTyrである。
【0100】
一実施形態では、Xaa10はAspである。
【0101】
一実施形態では、Xaa11はAsnである。別の実施形態では、Xaa11はAspである。
【0102】
一実施形態では、Xaa13はThrである。
【0103】
一実施形態では、Xaa15はGluである。別の実施形態では、Xaa15はGlnである。
【0104】
一実施形態では、Xaa16はGluまたはGlnである。例えばXaa16はGluであってよく、またはXaa16はGlnであってよい。
【0105】
一実施形態では、Xaa17はMet、LeuまたはLysである。例えばXaa17はMetであってよく、Xaa17はLeuであってよく、またはXaa17はLysであってよい。
【0106】
一実施形態では、Xaa18はAlaである。
【0107】
一実施形態では、Xaa19はArgである。別の実施形態では、Xaa19はLysである。別の実施形態では、Xaa19はHisである。
【0108】
一実施形態では、Xaa21はAlaである。別の実施形態では、Xaa21はTyrである。
【0109】
一実施形態では、Xaa22はAlaである。別の実施形態では、Xaa22はSerである。
【0110】
一実施形態では、Xaa23はGluまたはAlaである。例えば、Xaa23はGluであってよく、またはXaa23はAspであってよい。類似体の特に好ましい組は、位置19に天然Gln、Lys、HisまたはArgによって置換された位置30におけるMet、およびGluまたはAlaによって置換された位置23に天然Aspを有する。
【0111】
一実施形態では、Xaa29はAspである。別の実施形態では、Xaa29はAsnである。
【0112】
一実施形態では、Xaa30はLysまたはHisである。例えばXaa30はLysであってよく、またはXaa30はArgであってよい。
【0113】
一実施形態では、Xaa34はProである。
【0114】
一実施形態では、Xaa36はTyrである。別の実施形態では、Xaa36はPheである。
【0115】
これらの基準を満たす本発明の特に好ましい化合物は、コード番号:
4056796、4056797、4056801、4057018、4057111、4057113、4057118、4057134、4057136、4057137、4057138、4057151、4057231、4057258、4057269、4057440、4057598、4057603、4057604、4057611、4057612、4057630、4057634、4057637、4057643、4057753、4057766、4058072、4058079、4058149、4058166、4058167、4058281、4058369、4058370、4058371、4058376、4058377、4058379、4058492、4058503、4058505、4058506、4058582、4058667、4058668、4058671、4058676、4058691、4058705、4058911、4058912、4059008、4059013、4059025、4059350、4059351、4059361、4059362、4059363、4059370、4059376、4059384、4059385、4059387、4059468、4059469、4059653、4059665、4059666、4060204、4060272、4060274、4060282、4060284、4060316、4060358、4060680、4060684、4060685、4060686、4060689、4060893、4061090および4061236
を有する化合物である。
【0116】
本発明は、1つまたは複数の以下の点:
【0117】
【表8】

【0118】
a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置3、4、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、ThrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iv)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(v)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【0119】
【表9】

【0120】
e)位置30および31で
(i)位置30のMetがLeu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisまたはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)C末端に2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29における置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体(II)である化合物であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置19におけるArg、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置21におけるTyrもしくはGlu、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置22におけるSer、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置23におけるAlaもしくはGlnの1つもしくは複数を有する場合、
または類似体が
位置23におけるGluおよび位置6におけるGlu、
位置11におけるAspおよび位置15におけるGlnおよび位置23におけるGluおよび位置24におけるMet、
位置6におけるMetおよび位置11におけるTyrおよび位置21におけるGluおよび位置22におけるThr、ならびに
位置23におけるGlnおよび位置30におけるThrの1つを有する場合、
天然ヒト膵臓ポリペプチドと少なくとも1つのさらなる差異を有する化合物、
またはその変異体もしくは誘導体、またはその塩もしくは溶媒和物
をさらに提供する。
【0121】
本発明は、医薬品として使用するための式(II)の化合物を提供する。
【0122】
本発明の好ましい化合物は、前に記載した化合物である。
【0123】
さらなる具体的な実施形態
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体は、1つまたは複数の以下の点:
【0124】
【表10】

【0125】
a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)それが位置3、4、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、ThrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iv)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(v)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【0126】
【表11】

【0127】
e)位置29、30および31で
(i)位置30のMetがLeu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisまたはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)N末端に2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29における置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体(II)である化合物であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有する。
【0128】
場合によっては、類似体が
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置19におけるArg、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置21におけるTyrもしくはGlu、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置22におけるSer、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置23におけるAlaもしくはGlnの1つもしくは複数を有する場合、
または類似体が
位置23におけるGluおよび位置6におけるGlu、
位置11におけるAspおよび位置15におけるGlnおよび位置23におけるGluおよび位置24におけるMet、
位置6におけるMetおよび位置11におけるTyrおよび位置21におけるGluおよび位置22におけるThr、ならびに
位置23におけるGlnおよび位置30におけるThrの1つを有する場合、
類似体は天然ヒト膵臓ポリペプチドと少なくとも1つのさらなる差異を有する。
【0129】
類似体は場合によっては、(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための類似体であってよい。
【0130】
本発明のさらなる具体的な実施形態は、1つまたは複数の以下の点:
【0131】
【表12】

【0132】
a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置6のValが、Glu、Phe、Lys、ThrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換されている点、
(iv)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(v)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【0133】
【表13】

【0134】
e)位置30および31で
(i)位置30のMetがLeu、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、HisまたはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)C末端に2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
場合によっては、類似体が
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置19におけるArg、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置21におけるTyrもしくはGlu、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置22におけるSer、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置23におけるAlaもしくはGlnの1つもしくは複数を有する場合、
または類似体が
位置23におけるGluおよび位置6におけるGlu、
位置11におけるAspおよび位置15におけるGluおよび位置23におけるGluおよび位置24におけるMet、
位置6におけるMetおよび位置11におけるTyrおよび位置21におけるGluおよび位置22におけるThr、ならびに
位置23におけるGlnおよび位置30におけるThrの1つを有する場合、
天然ヒト膵臓ポリペプチドと少なくとも1つのさらなる差異を有する類似体を対象とする。
【0135】
類似体は場合によっては、(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための類似体であってよい。
【0136】
変異体:
PP分子の残り部分は天然部分の変異体であってよく、例えばそれらは同等な天然ヒト部分の変異体であってよい。変異体は、本発明の分子中に存在するとき対応する非変異体分子の少なくともある程度の活性を保持する、欠失、挿入、逆位、反復および置換を有するPP部分を含む(例えば、保存的置換および非保存的置換、例えば、以下のTable 1(表14)参照)。2個以上のアミノ酸(例えば、2、3または4個)を欠失または挿入、または代替のアミノ酸で置換することが可能である。したがって、式(I)の化合物中に存在するのと同様のPP部分は、好ましくはヒトPPの天然配列の少なくとも25アミノ酸、より好ましくはヒトPPの天然配列の少なくとも28アミノ酸、例えばヒトPPの天然配列の少なくとも30アミノ酸、例えばヒトPPの天然配列の少なくとも32または少なくとも34アミノ酸を含む。
【0137】
例えば、式(I)の化合物は、好ましくはヒトPPの天然配列の少なくとも25アミノ酸、より好ましくはヒトPPの天然配列の少なくとも28アミノ酸、例えばヒトPPの天然配列の少なくとも30アミノ酸、例えばヒトPPの天然配列の少なくとも32または少なくとも34アミノ酸を含む。
【0138】
典型的には、保存的置換は、脂肪族アミノ酸Ala、Val、LeuおよびIle間の互いの置換、ヒドロキシ残基を含有するSerとThrの交換、酸性残基AspとGluの交換、アミド残基AsnとGln間の交換、塩基性残基LysとArgの交換、芳香族残基PheとTyrの交換、および小型アミノ酸Ala、Ser、Thr、MetおよびGlyの交換である。表現型不変のアミノ酸置換、すなわち発現される表現型を変えない置換の作製の仕方に関するガイダンスは、Bowie et al.、Science 247:1306〜1310頁、1990中に与えられる。
【0139】
【表14】

【0140】
変異体のさらなる例は、Lysで置換された位置4におけるGluを有する化合物である。一実施形態では、変異体はLysで置換された位置4におけるGluを有する化合物を含まない。変異体のさらなる例は、Leuで置換された位置28におけるIleを有する化合物である。変異体のさらなる例は、Lysで置換された位置33におけるArgを有する化合物である。
【0141】
PPの変異体は、一種のPPの2個以上のアミノ酸(例えば、2、3または4個)が、異種由来のPP中の同等な位置に存在するアミノ酸によって置換される変異体をさらに含む。様々な種のPPの配列が知られている。
【0142】
一実施形態では、類似体は変異体ではない。
【0143】
誘導体
本発明の化合物は、アミド化、グリコシル化、カルバミル化、アシル化、例えばアセチル化、硫酸化、リン酸化、環化、脂質化およびペグ化を含めたよく知られている工程によって修飾された式(I)の構造を含むことができる。式(I)の構造は分子内のランダムな位置、または分子内の所定の位置で修飾することができ、1、2、3またはそれより多くの結合化学成分を含むことができる。誘導体は、N末端のNH2基が別の基、例えばメトキシ基で置換された化合物を含む。
【0144】
本発明の化合物は、当技術分野で知られている組換え法を使用して、式(I)の構造が別のタンパク質またはポリペプチド(融合パートナー)と融合した融合タンパク質であってよい。あるいは、このような融合タンパク質は、任意の知られている方法による合成によって合成することができる。このような融合タンパク質は式(I)の構造を含む。任意の適切なペプチドまたはタンパク質を、融合パートナーとして使用することができる(例えば、血清アルブミン、炭酸脱水酵素、グルタチオン-S-トランスフェラーゼまたはチオレドキシンなど)。好ましい融合パートナーはin vivoで悪影響がある生物活性は有していないはずである。このような融合タンパク質は、融合パートナーのカルボキシ末端を式(I)の構造のアミノ末端に連結させること、またはその逆によって作製することができる。場合によっては、切断可能なリンカーを使用して式(I)の構造と融合パートナーを連結させることが可能である。結果として生じる切断可能な融合タンパク質は、活性型の本発明の化合物が放出されるようにin vivoで切断され得る。このような切断可能なリンカーの例には、リンカーD-D-D-D-Y、G-P-R、A-G-GおよびH-P-F-H-Lがあるが、これらには限られず、これらはそれぞれエンテロキナーゼ、トロンビン、ユビキチン切断酵素およびレニンによって切断され得る。例えば、米国特許第6,410,707号を参照。
【0145】
本発明の化合物は、式(I)の構造の生理的機能性誘導体であってよい。用語「生理的機能性誘導体」を本明細書で使用して、対応する非修飾型の式(I)の化合物と同じ生理的機能を有する式(I)の化合物の化学的誘導体を示す。例えば、生理的機能性誘導体は身体中で式(I)の化合物に転換可能であり得る。本発明によれば、生理的機能性誘導体の例には、エステル、アミド、およびカルバメート、好ましくはエステルおよびアミドがある。
【0146】
本発明の化合物の薬剤として許容されるエステルおよびアミドは、適切な部位、例えば酸性基で結合したC1〜20アルキル-、C2〜20アルケニル-、C5〜10アリール-、C5〜10アリールC1〜20アルキル-、またはアミノ酸-エステルまたは-アミドを含み得る。適切な部分の例は、4〜26個の炭素原子、好ましくは5〜19個の炭素原子を有する疎水性置換基である。適切な脂質基には、以下の:ラウロイル(C12C23)、パルミチル(C15H31)、オレイル(C15H29)、ステアリル(C17H35)、コール酸塩、およびデオキシコール酸塩があるが、これらには限られない。
【0147】
脂肪酸誘導体でスルフヒドリル含有化合物を脂質化するための方法は、米国特許第5,936,092号、米国特許第6,093,692号、および米国特許第6,225,445号中に開示されている。ジスルフィド結合によって脂肪酸と結合した本発明の化合物を含む本発明の化合物の脂肪酸誘導体は、神経細胞および組織への本発明の化合物の送達に使用することができる。脂質化は対応する非脂質化化合物の吸収率と比較して化合物の吸収を著しく増大させ、かつ化合物の血中および組織保持を延長する。さらに、脂質化誘導体中のジスルフィド結合は細胞中では比較的不安定であり、したがって脂肪酸部分からの分子の細胞内放出を容易にする。適切な脂質含有部分は、4〜26個の炭素原子、好ましくは5〜19個の炭素原子を有する疎水性置換基である。適切な脂質基には、以下の:パルミチル(C15H31)、オレイル(C15H29)、ステアリル(C17H35)、コール酸塩、およびデオキシコール酸塩があるが、これらには限られない。
【0148】
環化法には、ジスルフィド架橋の形成による環化、および環化樹脂を使用する頭尾環化がある。環状ペプチドは、それらの立体配座的制約の結果として、酵素分解に対する増大した耐性を含めて高い安定性を有する可能性がある。非環状ペプチドがN末端システイン基を含む場合、環化は特に好都合である可能性がある。適切な環状ペプチドはモノマーおよびダイマー頭尾環化構造を含む。環状ペプチドは1つまたは複数の追加の残基、特にジスルフィド結合の形成の目的で取り込まれた追加的システイン、または樹脂ベースの環化の目的で取り込まれた側鎖を含むことができる。
【0149】
本発明の化合物は式(I)のペグ化構造であってよい。本発明のペグ化化合物は、ポリペプチドの増大した溶解性、安定性および循環時間、または低下した免疫原性などの追加的利点を与えることができる(米国特許第4,179,337号参照)。
【0150】
本発明の化合物の誘導体化用の化学成分は、例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーから選択することもできる。本発明の化合物の誘導体化用のポリマー成分は任意の分子量であってよく、分岐状または非分岐状であってよい。処理および製造における容易性のために、本発明の化合物の誘導体化用のポリエチレングリコールの好ましい分子量は約1kDa〜約100kDaであり、用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製において、幾つかの分子は言及する分子量より重く、幾つかの分子はそれより軽い可能性があることを示す。望ましい治療プロファイル、例えば望ましい徐放の時間、存在する場合生物活性に対する影響、取り扱いやすさ、抗原性の程度または欠如、および治療用タンパク質または類似体に対するポリエチレングリコールの他の知られている影響に応じて、他の分子量のポリマーを使用することができる。例えば、ポリエチレングリコールは約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または100,000kDaの平均分子量を有する可能性がある。
【0151】
医薬品における使用に適した本発明の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは関連溶媒が薬剤として許容される塩および溶媒和物である。しかしながら、薬剤として許容されない対イオンまたは関連溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば式(I)の化合物およびそれらの薬剤として許容される塩または溶媒和物の調製における中間体として使用するために、本発明の範囲内にある。
【0152】
本発明による適切な塩には、有機または無機酸または塩基で形成された塩がある。薬剤として許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、酢酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、コハク酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびイセチオン酸で形成された塩がある。シュウ酸などの他の酸が、それら自体は薬剤として許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬剤として許容される塩を得る際の中間体として有用である可能性がある。塩基との薬剤として許容される塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウムおよびナトリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウム塩、および有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミンおよびN-メチル-D-グルコミンがある。
【0153】
有機化学の分野の当業者は、多くの有機化合物は、それらが反応するかまたはそれらが沈殿もしくは結晶化する溶媒と複合体を形成することができることを理解しているはずである。このような複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られている。本発明は、本発明の化合物の溶媒和物を提供する。
【0154】
条件:
本発明は、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。本発明は、医薬品として使用するための式(I)の化合物をさらに提供する。
【0155】
本発明は、肥満または糖尿病の(予防的治療を含めた)治療において使用するための式(I)の化合物も提供する。本発明は、対象における食欲の低減において使用するため、対象における食物摂取の低減において使用するため、または対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための式(I)の化合物をさらに提供する。
【0156】
本発明は、肥満または糖尿病の(予防的治療を含めた)治療用の医薬品を製造するための、式(I)の化合物の使用をさらに提供する。本発明は、対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、または対象におけるカロリー摂取の低減用の医薬品の製造のための、式(I)の化合物の使用もさらに提供する。
【0157】
本発明は、その必要性がある対象における肥満または糖尿病を(予防的治療を含めて)治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物を対象に投与する段階を含む方法をさらに提供する。本発明は、対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、または対象におけるカロリー摂取の低減の方法であって、有効量の式(I)の化合物を対象に投与する段階を含む方法も提供する。
【0158】
化合物を投与する対象は体重超過、例えば肥満であり得る。あるいは、または追加的に、対象は糖尿病、例えばインスリン耐性またはグルコース耐性、または両方を有し得る。対象は真性糖尿病を有する可能性があり、例えば対象はII型糖尿病を有する可能性がある。対象は体重超過、例えば肥満であり、かつ真性糖尿病、例えばII型糖尿病を有する可能性がある。
【0159】
追加的、または代替的に、対象は肥満または体重超過状態が危険因子である障害を有し得るか、またはそれを有するリスクがある可能性がある。このような障害には、心血管疾患、例えば高血圧、アテローム性動脈硬化症、鬱血性心不全、および異脂肪症;脳卒中;胆嚢疾患;骨関節炎;睡眠時無呼吸;生殖障害例えば、多嚢胞性卵巣症候群;癌、例えば乳、前立腺、結腸、子宮内膜、腎臓、および食道癌;静脈瘤;黒色表皮症;湿疹;運動不耐性;高血圧性高コレステロール症;胆石症;骨関節炎;整形障害;インスリン耐性、例えば2型糖尿病およびX症候群;および血栓塞栓性疾患があるが、これらには限られない(Kopelman、Nature 404:635〜43頁;Rissanen et al、British Med.J 301、835頁、1990を参照)。
【0160】
肥満と関係がある他の障害には、鬱病、不安、パニック発作、偏頭痛、PMS、慢性痛状態、線維筋痛、不眠症、衝撃性、強迫神経症、およびミオクローヌスがある。さらに、肥満は全身麻酔の合併症の発生率の増加が認められている危険因子である(例えば、Kopelman、Nature 404:635〜43頁、2000を参照)。一般に、肥満は寿命を短縮し、前に挙げた共存症などの重大なリスクを伴う。
【0161】
肥満と関係がある他の疾患または障害は、先天性欠損症、神経管欠損症の発生率の増加と関係がある母体肥満、毛根管症候群(CTS);慢性静脈不全(CVI);日中の眠気;深部静脈血栓症(DVT);末期腎疾患(ESRD);痛風;心臓障害;免疫応答障害;呼吸機能障害;不妊症;肝疾患;腰痛;産科および婦人科合併症;膵炎;および腹部ヘルニア;黒色表皮症;内分泌異常;慢性酸素欠乏および高炭酸症;皮膚に関する影響;象皮病;胃食道逆流;踵骨辣;下肢浮腫;例えばブラストラップの痛み、皮膚損傷、頸部疼痛、慢性的な臭いおよび乳下の皮膚のひだにおける感染などの相当な問題を引き起こすマンメガリー(mammegaly);広範囲の前腹部壁瘤、例えば頻繁な皮下脂肪組織炎、歩行障害を伴い、頻繁な感染、臭い、着衣の難事、腰痛を引き起こす腹部皮下脂肪組織炎;筋骨格疾患;偽脳腫瘍(または良性頭蓋内圧亢進症)、および滑脱ヘルニアである。
【0162】
本発明は、対象におけるエネルギー消費を増大させるための方法をさらに提供する。この方法は、例えば、対象に治療有効量の本発明の化合物を末梢投与し、それによってエネルギー消費を改変する段階を含む。エネルギーは全ての生理的過程において燃やされる。これらの過程の有効性を調節する段階、または生じる過程の数および性質を変える段階によって、身体は直接エネルギー消費率を改変することができる。例えば、消化中に身体はエネルギーを消費し、腸を通じて食物を移動させ、食物を消化し、かつ細胞内では、細胞代謝の有効性を改変して多かれ少なかれ熱を産生することができる。
【0163】
一態様では、本発明の方法は、食物摂取を調和的に改変しエネルギー消費を相互に改変する円弧状回路の操作を含む。エネルギー消費は、細胞代謝、タンパク質合成、代謝率、およびカロリー利用の結果である。したがって、本発明のこの態様では、式(I)の化合物の投与は、エネルギー消費の増大、およびカロリー利用の有効性の低下をもたらす。
【0164】
本発明は、対象における脂質プロファイルを改善するための方法も提供する。本発明は、栄養素利用性を低減することによって軽減することができる状態または障害を軽減するための方法も提供する。
【0165】
食欲は当業者に知られている任意の手段によって測定することができる。例えば、食欲減退は心理学的評価によって評価することができる。例えば、本発明の化合物の投与は空腹感、飽満、および/または満腹状態の変化をもたらす。空腹は当業者に知られている任意の手段によって評価することができる。例えば、空腹は心理学的アッセイを使用して、視覚的アナログ尺度(VAS)質問票に限らないがこれらなどの質問票を使用する、空腹感および知覚の評価などによって評価する。1つの具体的な、非制限的実施例では、食物、飲料の欲求、予想される食物消費、嫌悪感、および臭いまたは味に関する感覚に関する質問に答えることによって空腹を評価する。
【0166】
本発明の化合物は、体重管理および治療、例えば肥満の減少または予防、特に以下の:増量の予防および減少;減量の誘導および促進;ならびに体格指数によって測定する肥満の減少のいずれか1つまたは複数に使用することができる。本発明の化合物は、食欲、飽満および空腹のいずれか1つまたは複数の管理、特に以下の食欲の低下、抑制および阻害;飽満および飽満感の誘導、増大、増進および促進;ならびに空腹および空腹感の低下、阻害および抑制のいずれか1つまたは複数において使用することができる。本発明の化合物は、望ましい体重、望ましい体格指数、望ましい外見および良い健康状態のいずれか1つまたは複数を維持する際に使用することができる。
【0167】
対象は、減量を望む対象、例えばその外見の変化を望む女性および男性対象であってよい。対象は空腹感の低下を望む可能性があり、例えば対象は、例えば、軍務中の兵士、航空管制官、または長距離路線のトラックドライバーなどの、高レベルの集中力を必要とする長時間の仕事に関わる人間である可能性がある。
【0168】
本発明は、比較的高い栄養素利用性によって引き起こされ、複雑化し、または悪化する状態または障害の治療、予防、改善または軽減において使用することもできる。用語「カロリー(または栄養素)利用性の低減によって軽減することができる状態または障害」を本明細書で使用して、比較的高い栄養素利用性によって引き起こされ、複雑化し、または悪化するいずれかである、または栄養素利用性を低減することによって、例えば食物摂取を減らすことによって軽減することができる、対象における任意の状態または障害を示す。インスリン耐性、グルコース不耐症である、または任意の型の真性糖尿病、例えば1型、2型または妊娠性糖尿病を有する対象は、本発明による方法から恩恵を受けることができる。
【0169】
増大したカロリー摂取と関係がある状態または障害には、インスリン耐性、グルコース不耐症、肥満、2型糖尿病を含めた糖尿病、摂食障害、インスリン耐性症候群、およびアルツハイマー病があるが、これらには限られない。
【0170】
本発明によれば、式(I)の化合物はヒトの治療において使用することが好ましい。しかしながら、本発明の化合物は典型的にはヒト対象を治療するために使用される一方で、それらを使用して、他の脊椎動物、例えば他の霊長類;家畜、例えばブタ、ウシおよび家禽類;競技用動物、例えばウマ;コンパニオンアニマル、例えばイヌおよびネコにおける、類似または同一の状態を治療することもできる。
【0171】
組成物
活性成分は単独で投与することができるが、それは医薬製剤または組成物中に存在することが好ましい。したがって本発明は、前に定義したような式(I)の化合物、またはその変異体もしくは誘導体、またはその塩もしくは溶媒和物、および薬剤として許容される賦形剤を含む医薬製剤を提供する。本発明の医薬組成物は、以下に記載するような医薬製剤の形をとることができる。
【0172】
本発明による医薬製剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内を含む)、吸入(様々なタイプの定量圧搾エアロゾル、噴霧器または吸入器によって生成することができる微粒子粉塵または霧を含む)、直腸および局所(真皮、経皮、経粘膜的、口腔、舌下、および眼内を含む)投与に適した医薬製剤を含むが、最も適切な経路は、例えばレシピエントの状態および障害に依存し得る。
【0173】
製剤は単位剤形で都合良く存在してよく、薬の分野でよく知られている方法のいずれかによって調製することができる。全ての方法は、1つまたは複数の補助成分を構成する担体と活性成分を結合させる段階を含む。一般には、液状担体または微粉化固形担体または両方と活性成分を均一かつ密接に結合させ、次いで必要な場合、生成物を望ましい製剤に成形することによって、製剤を調製する。
【0174】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれ所定量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤または錠剤などの不連続単位として、粉末もしくは顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして示すことができる。活性成分は大丸薬、舐剤またはペースト剤として示すこともできる。様々な薬剤として許容される担体およびそれらの製剤は、標準的な製剤の論文、例えばE.W.MartinによるRemington's Pharmaceutical Sciences中に記載されている。Wang、Y.J.and Hanson、M.A.、Journal of Parenteral Science and Technology、Technical Report No.10、Supp.42:2S、1988も参照。
【0175】
錠剤は、場合によっては1つまたは複数の補助成分を用いて、圧縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤と場合によっては混合した、粉末または顆粒などの流通型の活性成分を適切な機器内で圧縮し、表面活性または分散剤で滑らかにすることによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機器内で成形することによって作製することができる。錠剤は場合によってはコーティングするまたは切込みを入れることができ、その内部の活性成分の徐放または制御放出をもたらすように製剤することができる。本発明の化合物は、例えば即時放出または持続放出に適した形で投与することができる。即時放出または持続放出は、本発明の化合物を含む適切な医薬組成物の使用、または特に持続放出の場合、皮下インプラントまたは浸透圧ポンプなどのデバイスの使用によって達成することができる。本発明の化合物は、リポソームにより投与することもできる。
【0176】
経口投与に関する例示的な組成物には、例えば塊を生成するための微晶質セルロース、懸濁剤としてアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてメチルセルロース、および当技術分野で知られているような甘味剤または香味剤を含有し得る懸濁液;および例えば微晶質セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはラクトースおよび/または当技術分野で知られているような他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤および潤滑剤を含有し得る即効型錠剤がある。式(I)の化合物は、舌下および/または口腔投与により口腔を介して送達することもできる。湿製錠、圧縮錠または凍結乾燥錠は、使用することができる例示的な型である。例示的な組成物には、マンニトール、ラクトース、スクロースおよび/またはシクロデキストリンなどの速溶性の希釈剤で本発明の(1つまたは複数の)化合物を製剤した組成物がある。このような製剤中には、セルロース(アビセル)またはポリエチレングリコール(PEG)などの高分子量賦形剤も含まれ得る。このような製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(SCMC)、無水マレイン酸コポリマー(例えば、Gantrez)などの粘膜接着を容易にするための賦形剤、ポリアクリル酸コポリマー(例えば、Carbopol934)などの放出を制御するための作用物質も含むことができる。潤滑剤、流動促進剤、香味剤、着色剤および安定剤も、製造および使用を容易にするために加えることができる。
【0177】
非経口投与用の製剤には、目的とするレシピエントの血液と製剤を等張にする、抗酸化剤、バッファー、静菌剤および溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注射溶液;および懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液がある。製剤は単位用量または複数回用量容器、例えば密閉アンプルおよびバイアル中に存在してよく、かつ使用の直前に滅菌液状担体、例えば生理食塩水または注射用水の添加のみを必要とする凍結-乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。即興の注射溶液および懸濁液は、前に記載した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。非経口投与用の例示的な組成物には、例えば、マンニトール、1,3-ブタンジオール、水、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム溶液、または合成モノ-またはジグリセリド、およびオレイン酸を含めた脂肪酸、またはCremaphorを含めた他の適切な分散または湿潤および懸濁剤などの、適切な非毒性の、非経口的に許容される希釈剤または溶媒を含有し得る注射溶液または懸濁液がある。水性担体は、例えば、約3.0〜約8.0のpH、好ましくは約3.5〜約7.4のpH、例えば3.5〜6.0、例えば3.5〜約5.0での等張バッファー溶液であってよい。有用なバッファーには、クエン酸ナトリウム-クエン酸およびリン酸ナトリウム-リン酸、および酢酸ナトリウム/酢酸バッファーがある。組成物は、酸化剤およびPPに有害であることが知られている他の化合物を含まないことが好ましい。
【0178】
含むことができる賦形剤は、例えばヒト血清アルブミンなどの他のタンパク質または血漿調製物である。望む場合、医薬組成物は微量の非毒性の補助物質、例えば湿潤または乳化剤、防腐剤、およびpH緩衝剤など、例えば酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレートも含有することができる。
【0179】
鼻腔エアロゾルまたは吸入投与用の例示的な組成物は、例えばベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、および/または当技術分野で知られている可溶化剤もしくは分散剤などの他の可溶化剤または分散剤を含有し得る、生理食塩水溶液を含む。便宜上、鼻腔エアロゾルまたは吸入投与用の組成物において、本発明の化合物は、適切な推進剤、例えばジクロロジフルオロ-メタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスの使用によって、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー式の形で送達する。加圧エアロゾルの場合、定量を送達するためのバルブを与えることによって、用量単位を決定することができる。例えば、吸入装置または吸入器において使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤して、化合物と適切な粉末原料、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含有させることが可能である。1つの具体的な、非制限的な例では、アクチュエーターとしても知られるエアロゾルアダプターを介して定量バルブから、エアロゾルとして本発明の化合物を投与する。場合によっては、安定化装置も含まれ、および/または肺深部送達用の多孔質粒子も含まれる(例えば、米国特許第6,447,743号参照)。
【0180】
直腸投与用の製剤は、ココアバター、合成グリセリドエステルまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体と共に停留浣腸剤または座薬として存在し得る。このような担体は典型的には常温で固体であるが、直腸腔中で液化および/または溶解して薬剤を放出する。
【0181】
口内、例えば頬側または舌下の局所投与用の製剤には、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの香味原料中に活性成分を含むトローチ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの原料中に活性成分を含む芳香錠がある。局所投与用の例示的な組成物には、Plastibase(ポリエチレンでゲル化した鉱油)などの局所用担体がある。
【0182】
好ましい単位用量の製剤は、本明細書で前に列挙した有効用量、または活性成分のその適切な一部分を含有する製剤である。
【0183】
前で特に言及した成分に加えて、本発明の製剤は、問題となる製剤の型を考慮して当技術分野で常用の他の作用物質を含むことができ、例えば経口投与に適した製剤は香味剤を含むことができることは理解されるはずである。
【0184】
本発明の化合物は、持続放出性製剤としても適切に投与される。本発明の持続放出性製剤の適切な例には、適切なポリマー物質、例えば造形品、例えばフィルム、またはマイクロカプセルの形の半透性ポリマーマトリクス;適切な疎水性物質、例えば許容される油中のエマルジョンとして;またはイオン交換樹脂;および本発明の化合物の難溶性誘導体、例えば難溶性塩がある。持続放出性製剤は、経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所に、例えば粉末、軟膏、ゲル、ドロップまたは経皮パッチとして、頬側に、または経口もしくは鼻腔スプレーとして投与することができる。
【0185】
投与用の調製物を適切に製剤して、本発明の化合物の制御放出をもたらすことができる。例えば、医薬組成物は、1つまたは複数の生分解性ポリマー、多糖ゼリー状および/または生体接着性ポリマー、両親媒性ポリマー、式(I)の化合物の粒子の界面特性を変えることができる作用物質を含む粒子の形であってよい。これらの組成物は、活性物質の制御放出を可能にする特定の生体適合性の特徴を示す。米国特許第5,700,486号を参照。
【0186】
本発明の化合物はポンプによって(Langer、上記;Sefton、CRC Crit.Ref Biomed.Eng.14:201頁、1987;Buchwald et al.、Surgery 88:507頁、1980;Saudek et al.、N.Engl.J.Med.321:574頁、1989を参照)、または例えばミニ-ポンプを使用した連続的皮下注入によって送達することができる。静脈内注射溶液のバッグも利用することができる。適切な用量を選択する際の重要な要因は、実践者によって適切とみなされるような、全体重または脂肪と除脂肪体重の比の減少により、または肥満の制御もしくは予防または肥満関連状態の予防の測定に関する他の基準により測定して得た結果である。他の制御放出系はLanger(Science249:1527〜1533頁、1990)による総説中に論じられている。本開示の別の態様では、例えば米国特許第6,436,091号、米国特許第5,939,380号、米国特許第5,993,414号中に記載された埋め込み式ポンプによって本発明の化合物を送達する。
【0187】
埋め込み型薬剤注入デバイスを使用して、薬剤または任意の他の治療物質の一定および長期の投与または注入を患者に与える。本質的にこのようなデバイスは能動型または受動型のいずれかとして分類することができる。本発明の化合物はデポー剤調製物として製剤することができる。このような長期持続性デポー製剤は、移植によって、例えば皮下もしくは筋肉内に、または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物は適切なポリマーまたは疎水性物質、例えば許容される油中のエマルジョンとして;またはイオン交換樹脂;または難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤することができる。
【0188】
治療有効量の本発明の化合物は、単回パルス投与として、ボーラス投与として、または経時的に投与するパルス投与として投与することができる。したがって、パルス投与では、本発明の化合物のボーラス投与を与え、本発明の化合物を対象に投与しない時間期間が続き、第二のボーラス投与が続く。具体的な、非制限的な例では、パルス投与の本発明の化合物を一日の行程中、一週間の行程中、または一ヶ月の行程中に投与する。
【0189】
一実施形態では、治療有効量の本発明の化合物を、治療有効量の別の作用物質、例えば追加の食欲抑制剤、食物摂取低減、血漿グルコース低下または血漿脂質改変物質と共に投与する。追加の食欲抑制剤の具体的な、非制限的な例には、アンフェプラモン(ジエチルプロピオン)、フェンテルミン、マジンドールおよびフェニルプロパノールアミン、フェンフルアミン、デクスフェンフルアミン、およびフルオキセチンがある。本発明の化合物は追加の食欲抑制剤と同時に投与することができ、あるいはそれは連続して投与することができる。したがって、一実施形態では、本発明の化合物は単回用量として食欲抑制剤で製剤し投与する。
【0190】
効果、例えば食欲抑制、食物摂取の低下、またはカロリー摂取の低下が望まれるときは常時、または効果が望まれる常時の若干前に、約10分、約15分、約30分、約60分、約90分、約120分などには限られないがこれらの時間、効果が望まれる時間の前に、本発明の化合物を投与することができる。
【0191】
本発明の化合物の治療有効量は、使用する分子、治療する対象、苦痛の重度および型、ならびに投与の形式および経路に依存し得る。例えば、本発明の化合物の治療有効量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.01μg〜体重1kg当たり約1g、例えば体重1kg当たり約0.1μg〜20mg、例えば体重1kg当たり約1μg〜5mg、または体重1kg当たり約5μg〜1mgで変わる可能性がある。
【0192】
本発明の一実施形態では、体重1kg当たり5〜1000nmol、例えば体重1kg当たり10〜750nmol、例えば体重1kg当たり20〜500nmol、特に体重1kg当たり30〜240nmolで対象に本発明の化合物を投与することができる。75kgの対象に関しては、このような用量は375nmol〜75μmol、例えば750nmol〜56.25μmol、例えば1.5〜37.5μmol、特に2.25〜18μmolに相当する。
【0193】
代替の実施形態では、体重1kg当たり0.5〜135ピコモル(pmol)、例えば体重1kg当たり5〜100ピコモル(pmol)、例えば体重1kg当たり10〜90ピコモル(pmol)、例えば体重1kg当たり約72pmolで対象に本発明の化合物を投与することができる。1つの具体的な、非制限的な例では、約1nmol以上、2nmol以上、または5nmol以上の用量で本発明の化合物を投与する。この実施例では、本発明の化合物の用量は一般に100nmolを超えず、例えば、用量は90nmol以下、80nmol以下、70nmol以下、60nmol以下、50nmol以下、40nmol以下、30nmol以下、20nmol以下、10nmolである。例えば、用量範囲は任意の規定用量下限と任意の規定用量上限の任意の組合せを含むことができる。したがって、本発明の化合物の非制限的な用量範囲の例は、1〜100nmol、2〜90mol、5〜80nmolの範囲内である。
【0194】
1つの具体的な、非制限的な例では、約1〜約50nmolの本発明の化合物を投与し、例えば約2〜約20nmol、例えば約10nmolを皮下注射として投与する。正確な用量は、使用する特定化合物の効能、化合物の送達の経路、ならびに対象の年齢、体重、性別および生理的条件に基づいて、当業者によって容易に決定される。
【0195】
本発明の化合物の適切な用量は、正常な食後レベルのPPによって引き起こされるカロリー摂取、食物摂取、または食欲の低減、またはエネルギー消費の増大に等しい、カロリー摂取、食物摂取、または食欲の低減、またはエネルギー消費の増大をもたらす用量も含む。用量の例には、PPの血清レベルが35〜120pmol/l、例えば40〜100pmol/l、例えば50〜80pmol/lであるときに実証される効果をもたらす用量があるが、これらには限られない。
【0196】
これらの用量の化合物は1日当たり1回またはより頻繁に投与することができる。例えば、それらは1日当たり2回、1日当たり3回または1日当たり4回投与することができる。食欲抑制のためには、1日当たり3回の投与が特に利点がある。それは食事パターンに従った通常の3回の食事に対応するからである。
【0197】
本開示を以下の非制限的な実施例によって例示する。
【0198】
(実施例)
ペプチド合成:
本発明のペプチドの合成は、Fmoc戦略を使用してアミノ酸を結合させた三環式アミドリンカー樹脂で実施した。それぞれのアミノ酸はC末端からN末端に連続的に付加した。ペプチドカップリングは試薬TBTUによって仲介した。樹脂からのペプチド切断は、スカベンジャーの存在下でトリフルオロ酢酸を用いて実施した。三環式アミド樹脂およびFmoc化学物質を使用する合成も可能である。
【0199】
ペプチドは逆相HPLCによって精製した。HPLCによってペプチドは90%を超えて純粋であったことを示した。
【0200】
実施例1〜1206のペプチドは、配列番号1〜配列番号1206として配列表中に開示する配列を有する。これらの配列を使用した実験の結果は、図1中の表中に与える。(配列表の配列番号1中の配列を有するペプチドを使用する)実施例1は、天然ヒトPPの活性を例示する比較例である。
【0201】
ヒトY受容体-4置換アッセイ:
置換アッセイの原理は、一定量の放射標識リガンドを限られた数の受容体結合部位に関して様々な用量の「コールド」(非標識)リガンドと競合させ、受容体に対するコールドリガンドの親和性の定量化を可能にすることである。
【0202】
ヒトY4受容体はUMR cDNA Resource Centreから購入した(カタログ番号NPYR400000)。cDNAクローンはコンピテント大腸菌(E.Coli)に形質転換し、したがってさらに大きなDNAの調製物を生成することができ、それをHEK-293T細胞にトランスフェクトした。抗生物質を使用して、トランスフェクトcDNAを発現する細胞を選択し、受容体プラスミドを含有する細胞を細胞膜調製用に増殖した。細胞は擦り取りによって培養フラスコから採取し、次いで均質化し、分画遠心法によって他の細胞物質から膜を分離した。細胞膜はプロテアーゼ阻害剤を含有する弱HEPESバッファー中に再懸濁し、等分する前に、使用するまで調製物は-70℃で保存した。
【0203】
置換アッセイ用に、全ての試薬は、プロテアーゼ阻害剤(2mMのフェニルメタンスルホニルフルオリド、0.5mMのジプロチンAおよび0.5mMのホスホラミドン)を含有する置換アッセイ用バッファー(25mMのHEPES、pH7.4、2mMのMgCl2、4mMのCaCl2、1%のBSA、4mM)において調製する。1000カウント/秒/試験管I125PP(直接ヨウ素化法によりヨウ素化)を放射標識ペプチドとして使用し、競合ペプチドは10uMと0.02pMの間の様々な濃度で試験し、それぞれの濃度は少なくとも二回試験する。それぞれのアッセイ用試験管に、10000〜15000カウント/240秒の全カウント(競合ペプチドが存在しない場合)に十分な一定容積の調製膜を加える。試薬は以下の順序:バッファー、標識競合ペプチドおよび細胞膜で加え、合計容積は500μlである。
【0204】
3分間15600gでの遠心分離によって遊離標識から受容体-125PP複合体を分離する前に、アッセイは室温で90分間インキュベートする。上清は除去および廃棄し、ペレットは再懸濁し、500μlの新たなアッセイ用バッファーで洗浄し再度遠心分離にかける。上清の遠心分離および除去後、γ-カウンターを使用して240秒間ペレットの放射能を測定した。特異的結合は、非標識ペプチドの不在下で結合した(全体)125I-PPの量とその存在下で結合した(非特異的)125I-PPの量の間の差として計算する。結合データから、競合ペプチドのIC50を計算する。それぞれのペプチドは少なくとも二回の別の機会に試験する。
【0205】
in vivo食物摂取の実験
オスのC57BL/6マウス(20〜30g)を全てのマウスの実験に使用した。マウスはIVCケージ中に個別に収容した。動物は体重によって無作為に分け、午前9時の腹膜内注射まで16時間の間一晩断食させた。全てのペプチド溶液は試験の朝に新たに調製し、100ulとして注射した。食物摂取は注射後1、2、3、4、6、8および24時間で測定した。ペプチドは活性に応じて30nmol/kg、50nmol/kg、100nmol/kg、120nmol/kg、150nmol/kg、300nmol/kg、600nmol/kgまたは1000nmol/kgで投与した。それぞれの場合、生理食塩水の対照と非修飾ヒト膵臓ポリペプチドの対照を実施した。全ての統計値は、一元配置ANOVAとダンネットの事後検定または一元配置ANOVAとボンフェロニの事後検定を使用して計算する。
【0206】
結果:
A:ヒトY受容体-4の結合
天然ヒト膵臓ポリペプチドは、0.23nMのIC50でY4受容体と結合することが分かった。図1中の表中では、「Y4」下にnM単位で類似体のIC50を与える。0.23nMより低い数字は天然ヒトPPより強い結合を表す。
【0207】
図1中の表中のデータにおいて見られるように、本発明の化合物の多くは、天然ヒトPPより受容体に対する強い結合親和性を有する。
【0208】
B:マウスにおける食物摂取の低減
PP類似体の影響を、一回の注射後に天然ヒトPPと比較した。生理食塩水の対照を使用した。
【0209】
実施例5、8および49に関する詳細な結果は、図2の時間間隔の棒グラフ中、および図3の比較グラフ中に示す。残りの化合物に関しては、摂食データを図1中の表中に示す。「4〜8時間」という表題のカラムは、天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した生理食塩水と比較した、時間4と時間8の間に消費された食物の減少である。「0〜24時間」という表題のカラムは同様に、天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した生理食塩水対照と比較した、時間0と時間24の間に消費された食物の減少である。例えば、同じ用量の類似体が天然PP対照と同じ摂食の低下をもたらした場合、カラム中の入力値は1.0となる。同じ用量の類似体が天然PP対照より大きい摂食の低下をもたらした場合、カラム中の入力値は1を超える。1を超える結果は、天然ヒトPPより類似体での期間中の全食物摂取が低かったことを意味する。これは受容体におけるより強い活性およびより長い活性の考えられる結果として仮定する。
【0210】
「4:1」という表題のカラムは、(同じ時間期間で天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した最初の4時間で観察した摂食の低下)と(同じ時間期間で天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した最初の1時間で観察した摂食の低下)の間の比である。同様に、「24:1」という表題のカラムは、(同じ時間期間で天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した最初の24時間で観察した摂食の低下)と(同じ時間期間で天然ヒトPPと比較した食物摂取の減少の相対的増大として表した最初の1時間で観察した摂食の低下)の間の比である。1を超える「4:1」または「24:1」の比は、マウスにおけるペプチドに関する経時的な活性の漸減が、マウスにおける天然ヒトPPの活性の漸減より遅かったことを示し、したがって、受容体における活性のレベルとは無関係に、ペプチドは天然ヒトPPより長時間持続することを示す。マウスにおけるPPの受容体はヒト受容体とは異なるという事実とは無関係に、マウスはヒトにおける分解率の良いモデルである。
[配列表]
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】

【図1−12】

【図1−13】

【図1−14】

【図1−15】

【図1−16】

【図1−17】

【図1−18】

【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)対象における肥満もしくは糖尿病の(予防的治療を含めた)治療、または(ii)対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、もしくは対象におけるカロリー摂取の低減において使用するための、1つまたは複数の以下の点:
【表1】

a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置3、4、5、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleもしくはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置5のProが代替のアミノ酸Alaによって置換され、かつ/または
(iv)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、Thr、Ala、Arg、Asp、Lys、TyrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(v)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnもしくはPheによって置換され、かつ/または
(vi)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【表2】

e)位置29、30および31で
(i)位置30のMetが、Leu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisもしくはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)N末端に2単位付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29の置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有する類似体。
【請求項2】
1つまたは複数の以下の点:
【表3】

a)(i)位置1のAlaが、D-Ala、Asp、Glu、Gly、His、Tyr、Lys、アシル化Alaおよびアシル化Lysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、かつ/または
(ii)位置0にGly、Lys、His、Glu、Asp、Pro、Ile、Phe、Val、Cys、Tyr、TyrTyrTyr、Ala、D-Ala、およびアシル化Alaから選択される追加のアミノ酸を備え、アシル基がCO-C1〜20アルキル、CO-C2〜20アルケニル、CO-C5〜10アリールおよびCO-C5〜10アリールC1〜20アルキルから選択され、または
(iii)位置1のAlaが不在である点、
b)位置3、4、5、6、7および10で
(i)位置3のLeuが代替のアミノ酸IleまたはSerによって置換され、かつ/または
(ii)位置4のGluが代替のアミノ酸Lysによって置換され、かつ/または
(iii)位置5のProが代替のアミノ酸Alaによって置換され、かつ/または
(iv)位置6のValが、Glu、His、Ile、Leu、Ser、Phe、Cys、Thr、Ala、Arg、Asp、Lys、TyrおよびMetから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(v)位置7のTyrが代替のアミノ酸Ala、AsnまたはPheによって置換され、かつ/または
(vi)位置10のAspが代替のアミノ酸Gluによって置換されている点、
c)位置11のAsnが、AspおよびTyrから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または位置13のThrが代替のアミノ酸Serによって置換されている点、
d)位置14〜26で、1つまたは複数の天然アミノ酸14〜26(第1列、太字)が、以下のそれぞれのカラム中のアミノ酸から選択されるアミノ酸で置換されている点:
【表4】

e)位置29、30および31で
(i)位置30のMetが、Leu、Arg、Glu、His、NLeu、Ile、Val、Phe、Thr、Asn、CysおよびLysから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(ii)位置31のLeuが、IleおよびValから選択される代替のアミノ酸によって置換され、かつ/または
(iii)位置29のAsnがAspによって置換されている点、
f)位置34、35および36で
(i)位置34のProが代替のアミノ酸Gln、Asn、DPro、Leu、HisもしくはNVa(Nor-バリン)によって置換され、かつ/または
(ii)位置35のArgが代替のアミノ酸GlnまたはHArgによって置換され、かつ/または
(iii)位置36のTyrが代替のアミノ酸Pheによって置換されている点、
g)C末端に2単位に付加したCys残基対または2単位での位置31のLeuの置換基としてのCys残基対間のジスルフィド結合形成によって二量体化される点、
h)8と17、8と20、5と24、2と27から選択される位置の対に置換アミノ酸残基として付加したCys残基対間、または位置28もしくは29の置換アミノ酸に付加したCys残基と位置0に追加のアミノ酸として付加したCys残基の間のジスルフィド結合形成によって環化される点
で天然ヒト膵臓ポリペプチドと異なるヒト膵臓ポリペプチド(配列番号1)の類似体(II)である化合物であって、
類似体がAla1を有していないとき、Nle17およびNle30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体がNle17、Nle30およびHis34の1つまたは複数を有するとき、Nle17、Nle30およびHis34から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が位置34にGlnを有するとき、Ile31、Val31、Leu30およびNLeu30から選択される1つまたは複数以外の少なくとも1つのさらなる変化を有し、
類似体が
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置19におけるArg、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置21におけるTyrもしくはGlu、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置22におけるSer、
(場合によっては位置6におけるPheと共に)位置23におけるAlaもしくはGln
の1つもしくは複数を有する場合、
または類似体が
位置23におけるGluおよび位置6におけるGlu、
位置11におけるAspおよび位置15におけるGlnおよび位置23におけるGluおよび位置24におけるMet、
位置6におけるMetおよび位置11におけるTyrおよび位置21におけるGluおよび位置22におけるThr、ならびに
位置23におけるGlnおよび位置30におけるThr
の1つを有する場合、
類似体が天然ヒト膵臓ポリペプチドと少なくとも1つのさらなる差異を有する化合物、
またはその変異体もしくは誘導体、またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
アミノ酸配列
Xaa0-Xaa1-Pro-Leu-Glu-Pro-Xaa6-Xaa7-Pro-Gly-Xaa10-Xaa11-Ala-Xaa13-Pro-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Tyr-xaa21-Xaa22-Xaa23-Leu-Arg-Arg-Tyr-Ile-Xaa29-Xaa30-Leu-Thr-Arg-Xaa34-Arg-Xaa36-NH2を有し、
上式で、
Xaa0-Xaa1がPro-Ala、Gly-Ala、His-Ala、Ala-Ala、Tyr-Ala、Alaであるかまたは不在であり、
Xaa6がGlu、Ser、Thr、Val、His、Lys、His、IleまたはAspであり、
Xaa7がTyrまたはAlaであり、
Xaa10がAspまたはGluであり、
Xaa11がAsnまたはAspであり、
Xaa13がThrまたはSerであり、
Xaa15がGluまたはGlnであり、
Xaa16がGlu、GlnまたはAspであり、
Xaa17がMet、Leu、LysまたはIleであり、
Xaa18がAlaまたはAsnであり、
Xaa19がArg、LysまたはHisであり、
Xaa21がAlaまたはTyrであり、
Xaa22がAlaまたはSerであり、
Xaa23がGlu、AlaまたはAspであり、
Xaa29がAspまたはAsnであり、
Xaa30がLys、HisまたはArgであり、
Xaa34がN-ValまたはProであり、
Xaa36がTyrまたはPheである、
請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
変異体が欠失、挿入、逆位、反復および置換から選択される追加の1、2、3または4個の修飾を有する、請求項1から3の一項に記載の化合物。
【請求項5】
天然ヒトPP配列の少なくとも30アミノ酸を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
実施例2〜1206のいずれか1つの化合物である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
配列
Gly Ala Pro Leu Glu Pro Thr Tyr Pro Gly Asp
Asn Ala Thr Pro Glu Gln Leu Ala Lys Tyr Tyr
Ser Glu Leu Arg Arg Tyr Ile Asn Lys Leu Thr
Arg Pro Arg Tyr NH2;または

Gly Ala Pro Leu Glu Pro Glu Tyr Pro Gly Asp
Asn Ala Thr Pro Glu Gln Met Ala Arg Tyr Ala
Ala Ala Leu Arg Arg Tyr Ile Asn Lys Leu Thr
Arg Pro Arg Tyr NH2)、
を有する請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその誘導体。
【請求項8】
アミド化、グリコシル化、カルバミル化、硫酸化、リン酸化、環化、脂質化およびペグ化から選択される1つまたは複数の工程によって修飾された誘導体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
融合タンパク質である誘導体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
その必要性がある対象における肥満または糖尿病を治療する方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物または請求項10に記載の組成物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項12】
対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、または対象におけるカロリー摂取の低減の方法であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物または請求項10に記載の組成物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項13】
対象が体重超過である、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象が肥満である、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項15】
対象が糖尿病である、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項16】
化合物を末梢に投与する、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
化合物を皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経皮または舌下に投与する、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
肥満または糖尿病の(予防的治療を含めた)治療用の医薬品を製造するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
対象における食欲の低減、対象における食物摂取の低減、または対象におけるカロリー摂取の低減用の医薬品を製造するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
美容的減量の方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物または請求項11に記載の組成物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項21】
化合物を末梢に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
化合物を皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経皮または舌下に投与する、請求項20に記載の方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−533157(P2010−533157A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515594(P2010−515594)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002345
【国際公開番号】WO2009/007714
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(599008621)インペリアル イノベーションズ リミテッド (25)
【Fターム(参考)】