説明

ヒト血流データをもとにした血流解析装置及びシミュレーション方法

【課題】インビボでの血流動態解析を行い血管壁剪断応力及び圧力を求めることができる血流解析装置、血流シミュレーション方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力されるデータ入力部10と、入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を取得し、当該4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて血管壁剪断応力及び圧力を算出するデータ解析部20と、データ解析部での解析により得られた血管壁剪断応力及び圧力などの解析結果を表示する表示部50を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト血流データをもとにした血流解析を行う血流解析装置、血流シミュレーション方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
粥状動脈硬化病変、脳動脈瘤、解離性大動脈瘤などの血管病変には好発部位があり、これらの発生や進行には血管壁に加わる剪断応力が大きな役割を果たすと考えられる。個々の患者等の血管壁剪断応力を正確かつ容易に求めることができれば、病変の予後推定や治療方針決定に役立てることができる可能性が高く、また、将来の血管病変発生を推定して、その予防に役立てることができる可能性もある。
【0003】
正確な血管壁剪断応力及び圧力を求めるには、血管壁近傍の血流動態を正確に解析することが必要である。近年のヒト血流解析方法には、計算流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)のインシリコン血流解析、レーザードップラー流速測定法(LDV:Laser Doppler Velocimetry)や粒子画像流速測定法(PIV:Particle Image Velocimetry)によるインビトロ(in vitro)血流解析、及び位相コントラストシネ磁気共鳴画像法(PC cine MRI:Phase Contrast cine Magnetic Resonance Imaging)によるインビボ(in vivo)血流解析などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−40299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した血流解析方法において、CFDによる血流解析やインビトロ血流解析では、生体の血流動態を正確に表現することが難しく、計算条件や実験条件などに依存して結果が異なることが知られている。また、個々の患者毎に血流動態を表現することも困難である。
このような事情から、インビボで生体から血流動態を直接測定できることが望ましい。しかしながら、現在、インビボ血流解析では、血流速度ベクトルは比較的簡便に得られるようになったものの、血管壁剪断応力及び圧力を簡便かつ正確に得ることができない。
【0006】
本発明は、インビボでの血流動態解析を行い血管壁剪断応力及び圧力を求めることができる血流解析装置、血流シミュレーション方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の血流解析装置は、空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段と、上記入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を取得し、当該4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて血管壁に加わる剪断応力、又は剪断応力及び圧力を算出する解析手段と、上記解析手段にて得られた解析結果を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
本発明の血流シミュレーション方法は、空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を含む血流情報を取得し、当該血流情報に基づいて血管壁に加わる剪断応力及び圧力を算出し、上記血流情報及び血管壁に加わる剪断応力及び圧力に係る情報の提供を受け、当該情報を用いて計算流体力学による血流シミュレーションを行うことを特徴とする。
本発明のプログラムは、空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段より入力されたデータから取得した4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて、血管形状内の所定点における4次元の速度3成分ベクトル情報を補間する補間処理ステップと、上記情報取得ステップ及び上記補間処理ステップにて得られた4次元の速度3成分ベクトル情報を用い、血管形状内の所定領域の血管壁に加わる剪断応力、又は剪断応力及び圧力を算出する情報算出ステップと、上記各ステップにて得られる任意の情報を表示部に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入力される4次元の速度ベクトルデータを収集可能な画像データに基づいて、3次元血流速度3成分ベクトル情報及び時間情報を有する4次元の速度3成分ベクトル情報を取得し、取得した4次元の速度3成分ベクトル情報を基に血管壁剪断応力及び圧力を算出するので、対象者を撮影して得られた画像データを用いたインビボでの血流解析により血管壁剪断応力及び圧力を正確かつ容易に求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による血流解析装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように本実施形態による血流解析装置は、データ入力部10、データ解析部20、関心領域設定部30、結果出力部40、表示部50、及びデータ出力部60を有する。
【0010】
データ入力部10は、外部からデータを入力するためのものであり、例えば本実施形態では、3次元位相コントラストシネ磁気共鳴画像法(3D PC cine MRI)により得られた画像データが入力される。なお、この3次元位相コントラストシネ磁気共鳴画像法は、3次元空間におけるx、y、zの3軸すべてに速度エンコードを行い、時間軸を含めて4次元の速度ベクトルデータ(3次元空間速度3成分情報及び時間情報を有する速度ベクトルデータ)を収集可能な撮影法である。
【0011】
データ解析部20は、データ入力部10より供給されるデータの解析を行い、当該データに基づいて血流情報や血管壁剪断応力及び圧力などを算出する。データ解析部20は、血管情報作成部21、血流情報取得部22、補間処理部23、及び剪断応力及び圧力算出部24を有する。
【0012】
血管情報作成部21は、データ入力部10より供給されるデータに基づいて、血管形態(血管壁面形状、より詳しくは血管壁に相当するサーフェイスの形状)の情報を求めて血管形状ファイルを作成する。なお、この血管形状ファイルにおける血管形態の情報は、3次元空間での血管形状を経時的に得た情報、すなわち4次元的な血管形態の情報である。
【0013】
血流情報取得部22は、データ入力部10より供給されるデータから、経時的な3次元血流速度ベクトルデータ、すなわち4次元血流速度ベクトルデータ(4次元血流速度3成分情報)を含む血流情報(流速、流量等)を取得する。
【0014】
補間処理部23は、供給されるデータを基に作成された血管形状内における血流情報に係る補間処理を行う。具体的には、補間処理部23は、作成された血管形状内に所定の精度で格子点(計測補点)を生成し、その計測補点における血流情報を血流情報取得部22がデータより取得した血流情報を基に補間設定する。また、補間処理部23は、血管内の任意の指定位置における血流情報を、これら計測補点で補間設定された血流情報に基づいて算出する。なお、血管形状内における計測補点の生成精度は任意に指定可能である。
【0015】
剪断応力及び圧力算出部24は、血管情報作成部21により作成された血管形状ファイルと、血流情報取得部22及び補間処理部23により得られた4次元血流速度ベクトルデータとに基づいて、後述する関心領域設定部30等により設定された関心領域での血管壁剪断応力及び圧力を算出する。より詳細には、剪断応力及び圧力算出部24は、関心領域における4次元血流速度ベクトルデータから、所望の血管壁近傍における剪断速度(dv/dx)を計算する。ここで、dvは所望の血管壁に沿った血流の流速であり、dxは血管壁から流速dvの測定部位までの距離である。続いて、剪断応力及び圧力算出部24は、計算して得られた剪断速度と粘度とを乗算して血管壁剪断応力を算出する。
【0016】
関心領域設定部30は、血流情報や血管壁剪断応力及び圧力について算出やその結果出力を行う関心領域を設定する。関心領域設定部30は、3次元空間における複数の方向から任意の矩形がユーザーにより選択されることで、3次元空間上での関心領域を決定する。ユーザーによる一度の矩形選択では、3次元空間において視線方向へ無限遠方まで領域選択される。さらに、ユーザーにより任意の角度にオブジェクトを回転させることで関心領域の絞込みを行うことを可能にしている。なお、この関心領域設定部30により決定される領域が各種のデータ解析の対象範囲となるが、同時に存在可能な関心領域は1つに限定されず、複数存在しても良い。
【0017】
結果出力部40は、データ解析部20がデータの解析等を行って得られた血流情報や血管壁剪断応力及び圧力(以下、これらをまとめて「血流流れ場情報」とも称す。)を表示部50やデータ出力部60を介して出力する。表示部50は、例えばディスプレイなどの表示装置で構成され、結果出力部40からの指示に基づいて結果をユーザーが閲覧可能なように表示する。また、データ出力部60は、結果出力部40からの指示に基づいて結果を媒体(記録媒体や印刷媒体等)を介して出力したり、ファイル等のデータとして外部に出力したりする。
【0018】
ここで、本実施形態において、表示部50を用いて表示される結果表示には、例えば以下の(a)〜(e)がある。
(a)入力されたデータより得られる血流速度ベクトルデータの経時的な3次元空間表示
(b)血流速度ベクトルデータに基づく、関心領域の血管断面における瞬時最高速度・最低速度・平均速度、経時的な最高速度・最低速度・平均速度の表示(そのグラフ化を含む。)
(c)血流情報に基づく、関心領域の血管断面における瞬時流量、経時的な流量、1心拍平均流量の表示(そのグラフ化表示を含む。)
(d)入力されたデータの解析結果として得られる関心領域の血管壁領域内における血管壁剪断応力及び圧力の経時的な3次元空間表示
(e)関心領域の血管壁領域内における血管壁剪断応力及び圧力の最大値・最小値・平均値・標準偏差値、及び経時的なそれらの表示(そのグラフ化表示を含む。)
【0019】
次に、動作について説明する。
図2は、本実施形態による血流解析装置での解析処理動作例を示すフローチャートである。
【0020】
まず、医療用画像診断装置を用いて得られた対象者(患者等)に係る4次元的な画像データが、データ入力部10を介して読み込まれる(S11)。このとき、読み込まれた4次元的な画像データは、本実施形態における血流解析装置において処理可能なように必要に応じてデータ入力部10によりデータ変換処理が施される。画像データとしては、例えばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式の画像データが用いられる。
【0021】
本実施形態では、この4次元的な画像データは、上述したように3次元空間の3軸すべてに時間軸を含めた4次元の速度ベクトルデータを収集可能な3次元位相コントラストシネ磁気共鳴画像法(3D PC cine MRI)を用いて得られたMRI画像データとする。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、4次元的な画像データは、CT(Computed Tomography)装置、MRI装置、回転血管撮影装置等の医療用画像診断装置を用いて得られる4次元の速度ベクトルデータが収集可能な任意の画像データを適用可能である。
【0022】
次に、血管情報作成部21が、ステップS11において読み込まれたデータを用いて血管形状の解析を行い、3次元空間での経時的な血管形状を内容とする4次元的な血管形状ファイルを作成する(S12)。
【0023】
また、血管情報取得部22が、ステップS11において読み込まれたデータから4次元血流速度ベクトルデータを含む血流情報を取得する(S13)。続いて、補間処理部23が、ステップS12において作成された血管形状内に格子状の計算ポイント(計測補点)を生成して、各計算ポイントにおける血流情報をステップS13において取得した血流情報に基づいて算出することにより補間する(S14)。
【0024】
次に、上述したステップS12〜S14により得られた血管形状及び血流情報(詳細には、それに含まれる血流速度ベクトルデータ)を参照し、剪断応力及び圧力算出部24が、予め関心領域設定部30により設定された関心領域での血管壁剪断応力及び圧力を、流速、その測定点の血管壁からの距離、及び流体である血液の粘性係数に基づいて算出する(S15)。
そして、上述したデータ解析部20の各機能部での処理により解析結果として得られた血流流れ場情報を、外部からの要求等に応じて表示部50に表示したり、データ出力部60を介して出力したりする(S16)。
【0025】
図3は、上述した処理により得られる解析結果(流速分布)の表示例を示す図である。
本実施形態では、図3(a)、(b)に示すように、関心領域内の血管内部において指定された分解能で流速を算出した結果を、例えば色付のベクトル矢印で表示する。流速値は3次元ベクトル成分として流速の大小に応じて矢印が色付けされる。
【0026】
なお、計測時間分のスライダを合わせて表示して、ユーザーが指定した任意時刻における情報を表示できるようにしても良いし、時刻を任意の速さで変化させたアニメーションとして情報を表示できるようにしても良い。また、3次元空間での各座標における最大流速が表示可能であり、血管形状がSTLファイルとして提供される場合には、ベクトル情報に重ねて表示する。また、すべての3次元オブジェクトは、ユーザーの指定に応じて回転や拡縮など描画変更可能なようにしても良い。
【0027】
図4は、上述した処理により得られる解析結果(血流状態)の表示例を示す図である。
本実施形態では、図4(a)〜図4(d)に示すように、解析結果として得られる血流の状況を、流線図、流跡線図、流脈線図などにより表示することが可能である。図4(a)は、血流状態を流線図により示した例であり、流線はある瞬間の速度ベクトルをたどっていった線を示している。図4(b)は、血流状態を流跡線図により示した例であり、線は特定の流体の塊が経時的にたどった跡を示している。また、図4(c)、(d)は、血流状態を流脈線図により示した例であり、特定の一点を通過した流体のつながりを示している。なお、図4(c)は流脈を点を用いてポイント表示したものであり、図4(d)は流脈を線を用いてライン表示したものである。
【0028】
図5は、上述した処理により得られる解析結果(血管壁剪断応力)の表示例を示す図である。
本実施形態では、図5(a)、(b)に示すように、関心領域内の血管内部において指定された測定点における血管壁剪断応力を算出した結果を、例えばカラーマップ表示により表示する。
なお、図示しないが関心領域の血管断面における血流量の経時変化等もグラフ化などして表示可能であり、複数断面における血流量を1つに重ねて表示できるようにしても良い。
【0029】
以上、説明したように本実施形態によれば、3次元位相コントラストシネ磁気共鳴画像法をはじめ、空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力されたデータなどにより得られた4次元の速度ベクトルデータを収集可能なデータに基づいて、関心領域における3次元血流速度3成分ベクトル情報及び時間情報を取得する。そして、得られた3次元血流速度3成分ベクトル情報及び時間情報を基に、所望の血管壁近傍における血管壁剪断応力及び圧力を算出し表示する。これにより、対象者(患者等)を実際に撮影して得られた画像データを用いて、インビボでの血流解析により血管壁剪断応力及び圧力を正確かつ容易に求めることができる。また、実際に対象者を撮影して得られた画像データを用いて血流解析を行うので、対象者毎の血流動態を容易に把握することができる。
【0030】
なお、入力されたデータをデータ解析部20にて解析して得られる血流流れ場情報を解析結果として出力するだけではなく、当該血流流れ場情報を用いて計算流体力学(CFD)などによる血流シミュレーションを実行するようにしても良い。図6は、本発明の実施形態による血流解析装置の他の構成例を示すブロック図である。なお、この図6において、図1に示したブロック等と同一の機能を有するブロック等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
図6に示す血流解析装置は、データ解析部20にて得られる血流流れ場情報を用いて血流シミュレーションを実行可能にした血流解析装置であり、データ入力部10、データ解析部20、関心領域設定部30、結果出力部40、表示部50、データ出力部60、シミュレーション実行部70、及び条件設定部80を有する。すなわち、図6に示す血流解析装置は、上述した図1に示した血流解析装置に、シミュレーション実行部70と条件設定部80とをさらに設けたものである。
【0032】
シミュレーション実行部70は、入力されたデータをデータ解析部20にて解析して得られた血流流れ場情報が供給され、当該血流流れ場情報及び条件設定部80から入力されるシミュレーション条件を用いて血流シミュレーションを実行する。シミュレーション実行部70は、血管の時間的(経時的)なシミュレーションを行うものであり、例えば供給される血流流れ場情報を境界条件として用いて計算流体力学(CFD)による血流シミュレーションを行ったり、さらには構造力学(有限要素法:FEM)の処理を加えて計算流体力学(CFD)との連成問題を解き血流シミュレーションを行ったりする。
条件設定部80は、シミュレーション実行部70で実行するシミュレーションの条件を入力設定するものであり、境界条件や血管形状などを指定することが可能である。
【0033】
このように、対象者を実際に撮影して得られた画像データに基づいて得られた対象者毎の血流流れ場情報を用いて血流シミュレーションを行うことにより、生体内の血流動態を反映させた血流シミュレーションを行うことができる。
【0034】
また、入力されたデータを解析して得られた解析結果である血流流れ場情報を所定の記憶装置などに蓄積してデータベース化し、個々の血流流れ場情報を用いて予測を行ったり、血流シミュレーションを行ったりするようにしても良い。また、通信ネットワークを介して血流解析装置により血流解析を行ったり、解析結果を共有したりできるようにしても良い。
【0035】
また、上述した実施形態では、データ解析部20にて、供給されたデータを基に得られた血管形状ファイルと、4次元血流速度ベクトルデータを含む血流情報とに基づいて、関心領域での血管壁剪断応力を算出するようにしているが、血管壁に加わる圧力を算出することも可能である。
【0036】
また、上述した実施形態では、4次元の速度ベクトルデータを収集可能なインビボの4次元的なデータを用いて血流解析等を行う場合について説明しているが、レーザードップラー流速測定法(LDV)や粒子画像流速測定法(PIV)により得られたインビトロの4次元的なデータを用いて同様に血流解析等を行うことも可能である。
【0037】
(本発明の他の実施形態)
なお、以上に説明した本実施形態の血流解析装置は、コンピュータのCPU又はMPU、RAM、ROMなどで構成されるものであり、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。したがって、上記機能を果たすようにコンピュータを動作させるプログラムをコンピュータに読み込ませることによって実現できるものであり、そのプログラム及び当該プログラムをコンピュータが読み取り可能なように記録した、例えばCD−ROMのような記録媒体は、それぞれ本発明を構成する。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)又は他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理のすべて又は一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて上述の実施形態の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明の実施形態に含まれる。
【0038】
例えば、本実施形態に示した血流解析装置は、図7に示すようなコンピュータ機能700を有し、そのCPU701により上述した実施形態での動作が実施される。
コンピュータ機能700は、図7に示すように、CPU701と、ROM702と、RAM703と、キーボード(KB)709のキーボードコントローラ(KBC)705と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)710のCRTコントローラ(CRTC)706と、ハードディスク(HD)711及びフレキシブルディスク(FD)712のディスクコントローラ(DKC)707と、ネットワークインタフェースカード(NIC)708とが、システムバス704を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
CPU701は、ROM702若しくはHD711に記憶されたソフトウェア、又はFD712より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス704に接続された各構成部を総括的に制御する。すなわち、CPU701は、上述したような動作を行うための処理プログラムを、ROM702、HD711、又はFD712から読み出して実行することで、上述した実施形態での動作を実現するための制御を行う。RAM703は、CPU701の主メモリ又はワークエリア等として機能する。
KBC705は、KB709や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。CRTC706は、CRT710の表示を制御する。DKC707は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び上述した実施形態における処理プログラム等を記憶するHD711及びFD712とのアクセスを制御する。NIC708はネットワーク713上の他の装置と双方向にデータをやりとりする。
【0039】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態による血流解析装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態による血流解析装置での解析処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】解析結果(流速分布)の出力例を示す図である。
【図4】解析結果(血流状態)の出力例を示す図である。
【図5】解析結果(血管壁剪断応力)の出力例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による血流解析装置の他の構成例を示す図である。
【図7】本実施形態における画像処理装置を実現可能なコンピュータ機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
10 データ入力部
20 データ解析部
21 血管情報作成部
22 血流情報取得部
23 補間処理部
24 剪断応力及び圧力算出部
30 関心領域設定部
40 結果出力部
50 表示部
60 データ出力部
70 シミュレーション実行部
80 条件設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段と、
上記入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を取得し、当該4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて血管壁に加わる剪断応力、又は剪断応力及び圧力を算出する解析手段と、
上記解析手段にて得られた解析結果を表示する表示手段とを備えることを特徴とする血流解析装置。
【請求項2】
上記解析手段は、
上記入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を取得する情報取得手段と、
上記情報取得手段にて取得した4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて、血管形状内の所定点における4次元の速度3成分ベクトル情報を補間する補間処理手段と、
上記情報取得手段及び上記補間処理手段により得られた4次元の速度3成分ベクトル情報を用い、血管形状内の所定領域の血管壁に加わる剪断応力、又は剪断応力及び圧力を算出する情報算出手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の血流解析装置。
【請求項3】
上記解析手段は、上記入力手段より入力されたデータに基づいて血管形状の情報を作成する血管情報作成手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の血流解析装置。
【請求項4】
上記解析手段にて得られた解析結果を用いて計算流体力学による血流シミュレーションを行うシミュレーション実行手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の血流解析装置。
【請求項5】
空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を含む血流情報を取得し、当該血流情報に基づいて血管壁に加わる剪断応力及び圧力を算出し、
上記血流情報及び血管壁に加わる剪断応力及び圧力に係る情報の提供を受け、当該情報を用いて計算流体力学による血流シミュレーションを行うことを特徴とする血流シミュレーション方法。
【請求項6】
空間3次元と時間から成る4次元の速度3成分ベクトル情報をもつヒト血流データが入力される入力手段より入力されたデータから4次元の速度3成分ベクトル情報を取得する情報取得ステップと、
上記情報取得ステップにて取得した4次元の速度3成分ベクトル情報に基づいて、血管形状内の所定点における4次元の速度3成分ベクトル情報を補間する補間処理ステップと、
上記情報取得ステップ及び上記補間処理ステップにて得られた4次元の速度3成分ベクトル情報を用い、血管形状内の所定領域の血管壁に加わる剪断応力、又は剪断応力及び圧力を算出する情報算出ステップと、
上記各ステップにて得られる任意の情報を表示部に表示させる表示ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−135894(P2007−135894A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334325(P2005−334325)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年9月28日 日本磁気共鳴医学会発行の「日本磁気共鳴医学会雑誌 VOL.25 SUPPLEMENT 2005」に発表
【出願人】(502094572)株式会社アールテック (3)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】