説明

ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンおよびこれらを使用するための方法

懸濁固体を含有する工業的工程流から懸濁固体を凝集および分離するための方法および組成物が提供される。この方法は、懸濁固体の凝集に有効な量で水中油中水エマルジョンポリマーを流れに添加し、そしてそれから凝集固体を分離する段階を含む。この組成物は、連続相が水溶性塩の水溶液である、水溶性ポリマーの水中油中水エマルジョンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集剤とこれらを使用するための方法、特にヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョン凝集剤と工業的工程流(process stream)中の工程固体を凝集するための方法に関する。本発明の凝集剤および方法は、ボーキサイト鉱からアルミナを回収するためのバイヤー法などの工業的工程において使用される。
【背景技術】
【0002】
液体媒体を使用する工業的工程は、固体−液体分離法を最もしばしば使用する。水性系の場合には、分離工程の改善に凝集剤がしばしば使用される。これらの工程は、水性系からの鉱物固体の分離、パルプおよび紙の製造における製紙廃棄物の処理ならびに工業的および都市廃水の処理など広範な産業で使用される。現在では、凝集剤は、溶解が困難な固体粉末の形、あるいは取り扱いおよび使用が容易な液体の形としてとして製造され、販売される。液体形は水溶性ポリマーの油中水エマルジョンを含む。これらは、多くの多様な工業的用途で何十年も使用されてきた。しかしながら、これらの製品形はいくつかの欠点に悩んでいる。油中水製品形を使用する問題の一つは、低温(エマルジョンの凍結点以下)に遭遇した場合に起こる。しばしば、油中水エマルジョンは解凍工程時に反転し、製品を使用不能とせしめる不溶性ゲルを形成する。水溶性ポリマーの水溶液も低温に暴露された場合凍結する傾向があり、厳しい気候に不適である。油中水エマルジョン形も使用前に水性媒体中で予備希釈する必要性があり、貯蔵タンクと専用の溶解装置のコストを付加する。工程がバイヤー法である場合、予備希釈段階は、工程に水を添加し、系のアルカリ性を維持するために更なる苛性ソーダの添加を必要とせしめるので更なる問題を生じる。
【0003】
それゆえ、工業的工程で使用されて、これらの欠点を克服することができる、改善された凝集剤製品形に対する必要性が存在する。
【0004】
バイヤー法は、ボーキサイトからアルミナを製造するのに殆ど全世界的に使用される。この工程においては、粗ボーキサイト鉱は最初に苛性ソーダ溶液と共に140−250℃の範囲の温度で加熱される、これは、アルミニウム担持鉱物の大部分、特にアルミナ三水和物Al(OH)(ジブサイト)およびアルミナ一水和物ベーマイトを溶解(蒸解:digestion)させて、アルミン酸ナトリウムの過飽和溶液(充満した液)を生じさせる。生成する溶解材料の濃度は極めて高く、水酸化ナトリウム濃度は150g/lよりも大きく、そして溶解アルミナは120g/lよりも大きい。次に、いかなる非溶解固体、通常赤泥として知られている鉄酸化物もアルミン酸塩溶液から物理的に分離される。通常、微細固体粒子の沈降および除去を増進するのにポリマー型凝集剤が使用される。残存する懸濁固体が濾過段階により除去される。濾過された透明な溶液あるいは液は冷却され、アルミナ三水和物の種結晶を加えて、溶解アルミナの一部を沈殿させる。アルミナ沈殿の後、この劣化した液または使用済の液は再加熱され、再使用されて、更に新鮮なボーキサイトを溶解する。
【0005】
清澄化されたアルミン酸ナトリウム液は、アルミナ三水和物結晶の種を加えて、アルミナ三水和物のAl(OH)形のアルミナの沈殿を誘導する。次に、アルミナ三水和物粒子あるいは結晶は濃縮された苛性液から分離される。アルミナ三水和物結晶は、沈降および/または濾過により形成され、一般的に、液から分離される。粗粒子は容易に沈降するが、微細粒子はゆっくり沈降し、歩留まり損失を生じる。微細粒子はフィルターの目詰まりも起こす可能性がある。最も頻繁には、容易に沈降しないアルミナ三水和物の微細粒子は、使用済の液と共に蒸解に再循環される。次に、回収されないアルミナ三水和物は、バ
イヤー工程の第2のサイクルで再蒸解され、再沈殿され、エネルギーを不必要に消費し、そして使用済の液のアルミナ抽出能力を低下させる。それゆえ、三水和物の多くをできるだけ沈降させて、これらの問題の悪い結果を制限することが極めて望ましい。
【0006】
(特許文献1)は、アルミナ三水和物のアルカリ性溶液からのこれの凝集および濾過を改善するのにデキストラン、デキストランサルフェートおよびアニオン性塩を含有するこれらの組み合わせ物を使用する。
(特許文献2)は、アルミナ三水和物結晶を回収するために、デキストランまたはしかるべき他のポリサッカライドとアクリルモノマーを含むアニオン性凝集剤ポリマーとの組み合わせ物を含んでなる凝集剤を使用する。
【0007】
しかしながら、デキストランは、三水和物結晶には劣った凝集剤であり、劣った上澄みの清澄度を生じることが判明した。
【0008】
(特許文献3)は、バイヤー法において懸濁固体を凝集するためにヒドロキサム酸化ポリマーを使用することを述べている。
【0009】
(特許文献4)は、バイヤー法において水和物固体を清澄化するためにしかるべきヒドロキサム酸化ポリマーを使用することを述べている。
【0010】
(特許文献5)は、ヒドロキサム酸化(hydroxamated)ポリマーの油中水エマルジョンを述べている。これらのポリマーは、最初に水性媒体(しばしば、バイヤー法液)中で溶解し、予備希釈されなければならず、その後で沈降/清澄化対象のバイヤー法の液に添加され得る。
【特許文献1】カナダ特許第825,234号(1969年10月)
【特許文献2】米国特許第5,041,269号(1991年8月、Moodyら)
【特許文献3】米国特許第4,767,540号
【特許文献4】オーストラリア特許出願AU−B−46114/93
【特許文献5】米国特許第6,608,137号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、本発明の目的は、予備希釈すること無く、したがってコストのかかる貯蔵容器および関連の圧送(pumping)および希釈装置の必要性無しで、バイヤー工程流などの工業的工程流の中に直接に添加可能な、新しい高性能の物質組成物の水溶性ポリマーの水中油中水(water−in−oil−in−water)ディスパージョンを提供することである。本発明のヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンは、特に極端な低温に暴露された場合、先行技術の溶液および油中水エマルジョンポリマーを超えた増強された貯蔵安定性も呈する。
【0012】
本発明の目的は、ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンを工程流に添加することにより、工程流からのアルミナ三水和物および赤泥固体を含むバイヤー工程固体の凝集、沈降、清澄化および分離が改善された、更に効果的なバイヤー法を提供することでもある。
【0013】
本発明のこれらの目的および他の目的を下記に詳細に述べる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一つの態様においては、本発明は、連続水性相または水相が水溶性塩の水溶液を含む水溶性ポリマーの水中油中水エマルジョンの組成物を提供する。好ましくは、水溶性ポリマ
ーの水中油中水エマルジョンは、ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンである。非連続相は、水溶性ポリマー、好ましくは水溶性ヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョンである。用語「エマルジョン、ミクロエマルジョンあるいはディスパージョン」は、ポリマーが水中油エマルジョンの連続油相中に分散された小さい粒子あるいは液滴の形で存在するということを示すのに同義的に使用される。粒子の大きさは、0.01ミクロン−50ミクロンの範囲であることができ、そしてミクロエマルジョンまたはミクロディスパージョンの形のものであることができる。粒子は、0−90%の範囲の僅かあるいは若干の水も含有し得、残りはポリマーである。好ましくは、粒子の大きさの範囲は0.05−10ミクロンである。本発明のヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンは、ヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョンあるいはディスパージョンを水または水溶性塩の水溶液と混合することにより製造可能である。水溶性塩は、ポリマーの溶解を防止するいかなる塩であることもできる。好ましくは、塩はアルミニウムまたはカルシウムを含有する塩である。
【0015】
本発明のもう一つの局面によれば、工程流に水溶性ポリマーの水中油中水エマルジョンあるいはディスパージョンを添加することを含んでなる、工業的工程流からの固体を凝集、沈降、清澄化および分離するための改善された方法が提供される。工程流がバイヤー工程流である場合には、固体は赤泥(廃棄物)またはアルミナ三水和物固体(製品)からなる。水溶性ポリマーの水中油中水エマルジョンあるいはディスパージョンは、上澄み中に存在する懸濁固体の量を低下させることにより前記工程流の清澄化を改善するのに有効な量で添加される。工程がバイヤー工程流である場合には、好ましい凝集剤は、ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンであるが、アクリル酸のポリマーなどの他の凝集剤を含むことができる。
【0016】
ヒドロキサム酸化ポリマーは当分野の熟練者にはよく知られ、そして製造方法とともに引用により本明細書に組み込まれている、英国特許出願2171127および米国特許第3,345,344号;第4,480,067号;第4,532,046号;第4,536,296号および第4,587,306号、第4,767,540号および第6,608,137号で特に開示されている。一般に、これらのヒドロキサム酸化ポリマーは、ペンダント反応性基(pendant reactive group)とヒドロキシルアミンまたはこの塩とを溶液中で約50℃−100℃の範囲の温度で反応させることにより製造され得る。一般に、このポリマーの使用し得るペンダント反応性基の約1−90%は、前記手順によりヒドキサム基により置換され得る。
【0017】
本発明のポリマーの水中油中水エマルジョンは、水溶性塩の水溶液にポリマー、最も好ましくはヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョンを添加することにより製造され得る。好ましくは、添加順序は逆転され得る。すなわち、水溶性塩の水溶液は、最も好ましくはヒドロキサム酸化ポリマーであるポリマーの油中水エマルジョンに添加され得る。別法としては、添加順序は逆転され得る。すなわち、水溶性塩の水溶液はヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョンに添加され得る。好ましくは、処理対象の基材がバイヤー工程流である場合にはこのポリマーは、ヒドロキサム酸化ポリマーである。ヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョンの製造方法は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,608,137号で述べられている。一般的に、骨格ポリマーは、モノマー相を油および界面活性剤相(oil and surfactant phase)内に分散させ、そして酸素の不在下で慣用の重合法により、例えばレドックス、熱、例えばアゾ開始剤の添加により、あるいはUV開始剤の存在下でUVの照射により重合を行うことによりアクリルアミドなどの水溶性モノマーの油中水エマルジョンを形成することによって製造される。次に、ポリマー骨格をヒドロキシルアミンと反応させて、ヒドロキサム酸化ポリマーを形成させる。ヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョン中に存在するヒドロキサム酸化ポリマーの濃度は、1−60%の範囲であることができ、通常10−30%の範囲にある。水溶液中に存在する塩の濃度は、ヒドロキサム酸化ポリマーの油中水ディスパージョンの溶解を防止するようなものでなければならない。水溶性塩の濃度に対する好ましい範囲は、水中油中水エマルジョン基準で0.1−10%である。最も好ましくは、この範囲は1−5%である。好適な水溶性塩は、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを含む。アルミニウム塩が好ましい。ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水ディスパージョンの製造に使用されるヒドロキサム酸化ポリマーの油中水エマルジョン:水溶性塩の水溶液の比は、1:99−99:1、好ましくは10:90−90:10、最も好ましくは20−50%の範囲であることができる。
【0018】
ヒドロキサム酸ポリマーのいかなる油中水エマルジョンも使用され得る。ヒドロキサム酸ポリマー(hydroxamic polymers)またはヒドロキサム酸化ポリマー(hydroxamated polymers)は当分野でよく知られ、そしてヒドロキシルアミンまたはこの塩と約20℃−約100℃の範囲内の温度で数時間反応させることにより、ペンダントエステル、アミド、酸無水物およびニトリル基などのペンダント反応性基を含有するポリマーから重合後誘導体化することにより製造可能である。前駆体ポリマーの製造に好適なモノマーは、アクリルアミドとメチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルを含む。前駆体ポリマーの使用し得る(available)ペンダント反応性基の約1−90モル%は、このような手順によりヒドキサム酸基(hydroxamic group)により置換され得る。このような重合後誘導体化は、米国特許第6,608,137号で述べられているように油中水エマルジョンあるいはディスパージョン形中で行われ得る。ヒドロキサム酸化ポリマーの分子量は1000−50×10の範囲であることができる。ヒドロキサム酸化ポリマーは、好ましくは、M NaCl中30℃で測定して約0.5−約40dl/gのIVで少なくとも約十万(0.1million)の重量平均分子量を有する。
【0019】
ヒドキサム化度(hydroxamation)は、約1−約90モルパーセントで変わり得、好ましくは約5−約75モルパーセントの、最も好ましくは約10−約50モルパーセントの範囲にある。
【0020】
ヒドロキサム酸化ポリマーは、非イオン性あるいはカチオン性単位も含有することができるが、好ましい態様においては、主としてアニオン性である。ヒドロキサムモノマー単位以外のアニオン性モノマー単位は、ポリマーの中に組み込み可能であり、そして一般にはカルボン酸またはスルホン酸であり、そして通常、(メタ)アクリル酸、2−スルホプロピルアクリルアミドなどのスルホアルキルアクリルアミド、またはアクリルアミドジメチルプロピルスルホン酸から誘導される。
【0021】
本発明で使用されるポリマーは、ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンとして直接あるいは予備希釈した水溶液の形で工程流にこれらを添加することにより使用される。工程流は、固体を分離する必要のあるいかなる工業的工程流であることもできる。これらの工程は、アルミナ、リン酸塩および他の工業的鉱物、銅、亜鉛、鉛および貴金属の抽出において使用される鉱物選鉱(mineral beneficiation)工程、およびパルプおよび紙の製造における製紙廃水の処理ならびに工業廃水および都市廃水の処理のために使用される工程を含み得る。好ましくは、工程流は、バイヤー工程流、例えば赤泥あるいはアルミナ三水和物固体を含有するものである。ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンは、前記懸濁固体を沈降させるのに少なくとも充分な量で赤泥あるいはアルミナ三水和物固体を含有する工程流に添加される。一般に、最良の結果のためには、工程流1リットル当り少なくとも約0.1mgのヒドロキサム酸化ポリマーが使用されなければならない。更に好ましくは、少なくとも1.0mgのヒドロキサム酸化ポリマーが添加される。更なる量のヒドロキサム酸化ポリマーは既に得られた最大の分離率を超えて分離率を改善することはないが、本発明の範囲から逸脱せずに既述の量よりも多い量が使用され得るということは理解される。したがって、この点に達したならば過剰量を使用することは不経済である。
【0022】
ヒドロキサム酸化ポリマーの水中油中水エマルジョンの添加は、上澄みの清澄度を改善し、それにより通常極微細である懸濁固体の量を低下させる。上澄みの清澄度の改善は、アルミナ三水和物の損失を最少とし、そしてフィルターの目詰まりを低下させることにより上澄み濾過を改善するか、あるいは濾過の必要性を無くす。
【0023】
ヒドロキサム酸化ポリマー清澄化助剤は、更なる多孔質フィルターケーキを形成することにより、真空フィルター上でのアルミナ−苛性液分離を改善するとも考えられる。
【0024】
工程流が赤泥流れである場合には、先行技術のポリマーと比較して卓越した沈降率および上澄みの清澄度が達成される。また、驚くべきことには本発明の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンが脱ケイ酸生成物またはDSPとして普通知られるケイ素含有鉱物の混入した赤泥の処理に更に有効な凝集剤であるということが見出された。
【実施例】
【0025】
比較例A
Superfloc(登録商標)HF80は、約60モル%のヒドロキサム酸基を有するポリマーを含有する市販の油中水エマルジョンである。これは、Cytec Industries Inc(Garret Mountain,NJ)により製造されている。
【0026】
実施例1−6:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
次の手順を使用することにより、安定なヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの6個の試料を作製する。6個の各々の試料中の成分の濃度を表1に示す。粉末化されたアルミン酸ナトリウム三水和物(NaO・Al・3HO)および水酸化ナトリウムを脱イオン水に溶解する。次に、アルミン酸ナトリウムの激しく攪拌された溶液にSuperfloc(登録商標)HF80と水酸化ナトリウムを迅速に添加して、ヒドロキサム酸化ポリマーの安定な水中油中水エマルジョンを形成する。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例7−15:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
次の手順を使用することにより、ヒドロキサム酸化ポリマーの安定な水中油中水エマルジョンを製造する。250g/lの硫酸アルミニウム水和物(Al(SO・18HO)の溶液と100%の水酸化ナトリウムを脱イオン水に溶解する。次に、激しく攪拌された苛性硫酸アルミニウム溶液に迅速に比較例Aを添加する。表2は、この手順により製造されるいくつかの水中油中水配合物を掲げる。
【0029】
【表2】

【0030】
実施例16:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
次の手順を使用することにより、安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを製造する。150部の硫酸アルミニウム溶液を激しい攪拌と共に、そして一定速度で30−40分にわたって150部の比較例Aに添加する。18.6部の48%硫酸アルミニウム水和物(Al(SO・14HO)と131.4部の脱イオン水を用いて、硫酸アルミニウム溶液を製造する。最終生成物中の実施例Aの濃度は50%であり、そしてAl(SO・14HOの濃度は2.97%である。最終生成物のバルク粘度は780cpsであり、pHは10.1である。この実施例は、油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンに水相を添加して、安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを製造することができるということを実証する。
【0031】
実施例17:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
次の手順を使用することにより、安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを製造する。150部のDI水中の塩化カルシウム(CaCl)の2.2%溶液を激しい攪拌と共に、そして一定速度で43分にわたって150部の比較例Aに添加する。最終生成物中の実施例Aの濃度は50%であり、そしてCaClの濃度は1.1%である。最終生成物の安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンは、10750cpsのバルク粘度と10.1のpHを有していた。
【0032】
実施例8の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンの溶解性
【0033】
実施例18
実施例15を室温から−20℃と−30℃の間の温度の4サイクルの温度サイクルにかけて、極端な気候で使用された場合に、生成物が暴露される可能性のある凍結サイクルをシミュレーションする。室温まで解凍した後、生成物を再混合して、ヒドロキサム酸化ポリマーの安定な水中油中水エマルジョンを形成する。
【0034】
実施例19−21
実施例8および15の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンの溶解性をDI水中の150g/l水酸化ナトリウム中の比較例Aの溶解性と60℃で比較する。これらの条件は、沈澱アルミナ三水和物を液から凝集、沈降および分離させる、アルミナ精錬所における三元トレイフィードにおいて見られる条件に類似したものである。粘度の増加と共にトルクを増大して、攪拌速度を維持する能力のある混合モーターを使用することにより、この溶液のトルク/粘度の増加を測定する。表3は、比較例A(実施例20)がシミュレーションされた三元トレイフィード液に溶解せず、本発明の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンが迅速に溶解する(実施例19、21)ことを示す。それゆえ、更なる希釈段階を使用せずに、水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンをバイヤー工程流に直接に添加することができる。
【0035】
【表3】

【0036】
実施例22−29
表4に示すように、シミュレーションされた三元トレイフィード中での実施例1の凝集性能を2つの商用の先行技術のアルミナ水和物凝集剤、デキストランおよび比較例Aと比較する。アルミナ精錬所からの使用済の液を用いて、このスラリーを製造する。使用済の液を沸点において74.8g/lのアルミナにより飽和させる。次に、この溶液を冷却し、70℃で保持し、次に34g/lのアルミナをこの液に懸濁させる。凝集剤を0.01%ポリマー濃度まで希釈して、極めて低い用量の送達を助ける。次に、このスラリーの200ミリリットルのアリコートを凝集剤により処理する。沈降時間と上澄みの清澄度を用量の関数として測定する。表1は、水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンが有効な三水和物凝集剤であるということを示す。
【0037】
【表4】

【0038】
実施例30−38
アルミナ精錬所から得られる三元トレイフィード中での水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンの実施例11および15の凝集性能を2つの商用の先行技術のアルミナ水和物凝集剤、デキストランおよび比較例Aと比較する。トレイフィード温度は70℃と測定され、228g/lの苛性含量を有していた。凝集剤を予備希釈せずに三元トレイフィードにすべて添加する。凝集剤を1リットル目盛りのシリンダー中の1リットルの三元トレイスラリーに添加する。プランジャー(円盤の片側の中心に取り付けられた1/8インチのロッド付きのシリンダーの直径よりも若干小さい直径の孔開き円盤)の10回の上下のストロークにより凝集剤とスラリーを充分に混合する。沈降水和物の界面を900−700ミリリットル目盛りに調節する。混合を停止1分後に上澄みの清澄度も測定する。表5は、これらの実験の結果を掲げ、そして本発明の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンが先行技術の凝集剤よりも良好な性能を有するということを示す。
【0039】
【表5】

【0040】
水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンによりアルミナ精錬所蒸解機ブローオフから得られる赤泥の凝集(実施例11および15)を表6に示す。ブローオフ固体は39.3g/lであり、ブローオフ温度は>100℃であり、苛性濃度は204g/lであり、そして苛性に対するアルミナの比(A/C)は0.675である。実施例11および15を予備希釈せずにブローオフ工程流にすべて添加する。凝集剤を1リットル目盛りシリンダー中の蒸解機ブローオフの1リットル試料に添加する。プランジャー(円盤の片側の中心に取り付けられた1/8インチのロッド付きのシリンダーの直径よりも若干小さい直径の孔開き円盤)の5あるいは10回の上下のストロークによりこの凝集剤とスラリーを充分に混合する。沈降水和物の界面を900−700ミリリットル目盛りに調節する。表6は、赤泥固体を含有するバイヤー工程流に水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを予備希釈段階する必要無しで直接に添加することができるということを示す。
【0041】
【表6】

【0042】
実施例41:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
次の手順を使用することにより、安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを製造した。150部の硫酸アルミニウム水和物(Al2(SO)3・14HO)を177.5部のDI水に溶解した。これを激しい攪拌と共に105部の比較例Aに添加した。
【0043】
実施例42:ヒドロキサム酸化された水中油中水ポリマーエマルジョンの製造
実施例42の手順に従って、ヒドキサム化度が約25モル%であることを除いて比較例Aに類似のヒドロキサム酸化されたポリアクリルアミドの市販の油中水エマルジョンの油
中水エマルジョンから安定な水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンを製造した。これを比較例Bと命名する。
【0044】
実施例43−54:赤泥凝集試験
表7は、本発明の実施例42および43の水中油中水ヒドロキサム酸化ポリマーエマルジョンの性能を先行技術の製品の性能と比較する赤泥沈降試験の結果を示す。このデータは、本発明のポリマーが卓越した沈降速度と清澄度(低NTU)を生じるということを明らかに示す。
【0045】
【表7】

【0046】
実施例55−58
バイヤー法において赤泥の回路中の混入物質として普通に見出される、赤泥固体基準で7.5%の合成脱ケイ酸生成物(DSP)をこの液に添加したことを除いて、実施例43−54に類似の赤泥沈降試験を行った。このデータは、DSPが存在する場合でも本発明のポリマーが卓越した沈降速度と清澄度(低NTU)を生じるということを明らかに示す。
【0047】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁固体を含有する工業的工程流から懸濁固体を凝集および分離するための方法であって、懸濁固体の凝集に有効な量で水溶性ポリマーを流れに添加し;
そしてそこから凝集された固体を分離する段階を含んでなり、水溶性ポリマーが水中油中水エマルジョンポリマーである、方法。
【請求項2】
工程流がバイヤー工程流である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマーがヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンポリマーである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程流がアルミナ三水和物工程流である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
工程流が赤泥工程流である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ヒドロキサム酸化ポリマーがアクリルアミドのポリマーである請求項3に記載の方法。
【請求項7】
ヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンポリマーの連続相が水溶性塩を含有する請求項3に記載の方法。
【請求項8】
ヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンポリマーの連続相がアルミニウムまたはカルシウムを含んでなる水溶性塩を含有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程流がアルミナ三水和物工程流である請求項3に記載の方法。
【請求項10】
工程流が赤泥工程流である請求項3に記載の方法。
【請求項11】
ヒドロキサム酸化された油中水エマルジョンポリマーをアルミニウムまたはカルシウムを含んでなる水溶性塩の溶液と、いかなる順序であれ、混合することにより、ヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンポリマーが製造される請求項2に記載の方法。
【請求項12】
水溶性ポリマーが水中油中水エマルジョンポリマーとして工程流に添加される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーがヒドロキサム酸化された水中油中水エマルジョンポリマーである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ヒドロキサム酸化ポリマーがアクリルアミドのポリマーである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程流がバイヤー工程流である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程流が赤泥あるいはアルミナ三水和物工程流である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
水溶性ポリマーの水中油中水エマルジョンを含んでなり、連続相が水溶性塩の水溶液である、組成物。
【請求項18】
ポリマーがヒドロキサム酸化ポリマーを含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
連続相がアルミニウムまたはカルシウムの水溶性塩を含有する請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
ヒドロキサム酸化ポリマーがアクリルアミドまたはアクリレートエステルから誘導される請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
ポリマーがアクリルアミドまたはアクリレートエステルのポリマーである請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
塩がアルミニウムまたはカルシウムの水溶性塩である請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
ポリマーがヒドロキサム酸化されたポリマーである請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
連続相がアルミニウムまたはカルシウムの水溶性塩を含有する請求項23に記載の組成物。

【公表番号】特表2008−531256(P2008−531256A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557025(P2007−557025)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/002310
【国際公開番号】WO2006/093588
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(502159011)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (8)
【Fターム(参考)】