説明

ヒンジ装置および携帯電話

【課題】クリック音を発生させることができ、さらにがたつきを防止することができるヒンジ装置およびこのヒンジ装置を有する携帯電話を提供すること。
【解決手段】このヒンジ装置1は、軸線上に隣接して配置され、前記軸線を回転軸Lとして相対的に回転可能に設けられた第一筐体11および第二筐体12と、第一筐体11内に、第一筐体11に対し相対的に回転可能となる隙間をもって配置された第一ヒンジ部13と、第一筐体11内に固定され、第一筐体11に対し、相対的に回転不能とされた第二ヒンジ部14と、第二筐体12内に配置され、回転軸Lに沿って第二ヒンジ部14を第一筐体11側に付勢する第二ヒンジ部付勢部16と、第一筐体11および第二筐体12を相対的に所定角度回転駆動した際に、第一筐体11内の第一ヒンジ部13を第一筐体11に対し回転駆動する回転駆動部とを有する。第一ヒンジ部13は、前記回転駆動部により回転駆動された際に、第一筐体11内面に当接する当接部を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置および携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の電子機器の小型化が進んでおり、これに伴い折りたたみ式の携帯電話等が普及している。折りたたみ式の携帯電話等には、ヒンジ装置が組み込まれており、一対のケースが回動自在に構成されている。
図14に、ヒンジ装置8を示す(特許文献1参照)。
このヒンジ装置8は、固定体81と、固定体81に対し回転可能に配置された可動体82と、コイル状の一対のばね83,84とを有する。
固定体81には、側面に固定カム85が設けられ、可動体82には、固定カム85との対向面に可動カム86が設けられている。可動カム86は、ばね83,84により固定カム85に弾接している。携帯電話を閉じた状態においては、可動カム86の先端が固定カム85の傾斜部85Aに弾接している。携帯電話を開くと、可動体82が回転し、可動カム86の先端が固定カム85の突出部85Bを超えて、固定カム85の傾斜部85Cに接触することとなる。
【0003】
また、図15に他の構造のヒンジ装置9を示す(特許文献2参照)。
このヒンジ装置9は、ヒンジ軸91を介して連結された第一ヒンジ部材92、第二ヒンジ部材93と、打撃部材94と、可動部材95と、可動部材95を打撃部材94側に付勢する付勢手段96とを備える。
第二ヒンジ部材93は、第一ヒンジ部材92に対し回転可能に設けられている。可動部材95には、打撃部材94の凸部94Aと反対側の面に形成された凹部94Bに挿入される球体97が設けられている。
また、図16から図18に示すように、第二ヒンジ部材93には打撃部材94の凸部94Aが挿入される凹部93Aが形成されており、凹部93Aの幅は、凸部94Aの幅よりも大きくなっている。
このようなヒンジ装置9では、図16に示すように、携帯電話が折りたたんである状態においては、球体97が打撃部材94の凹部94Bの斜面94B1に突き当たっている。
携帯電話を開くと、図17に示すように、球体97が打撃部材94の凹部94Bの対向面94B2に接触することとなる。打撃部材94は、球体97からの力により、打撃部材94の凸部94Aが第二ヒンジ部材93の凹部93A中を高速で移動することとなる。図18に示すように、打撃部材94の凸部94Aが第二ヒンジ部材93の凹部93Aに衝突することでクリック音が発生する。
【0004】
【特許文献1】特開2006−46583号公報
【特許文献2】特開2007−16813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話等の電子機器を開閉する際に「カチッ」といういわゆるクリック音がすると、操作性がよいと評価するユーザが多い。特許文献1の技術ではクリック音を発生させることができず、ユーザに操作性がよいとの印象を与えることが難しい。
一方、特許文献2の技術では、クリック音が発生するため、ユーザに操作性がよいとの印象を与えることが可能となる。
しかしながら、以下のような課題が生じる。
打撃部材94の凸部94Aと、第二ヒンジ部材93の凹部93Aとの間に隙間が形成されている。そのため、例えば、特許文献2のヒンジ装置9を携帯電話に使用した場合、開閉時に、表示部と、操作部との間でがたつきが生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、軸線上に隣接して配置され、前記軸線を回転軸として相対的に回転可能に設けられた第一筐体および第二筐体と、
前記第一筐体内に、前記第一筐体に対し相対的に回転可能となる隙間をもって配置された第一ヒンジ部と、前記第一筐体内に固定され、前記第一筐体に対し、相対的に回転不能とされた第二ヒンジ部と、前記第二筐体内に配置され、前記回転軸に沿って前記第二ヒンジ部を前記第一筐体側に付勢する第二ヒンジ部付勢部と、前記第一筐体および第二筐体を相対的に所定角度回転駆動した際に、前記第一筐体内の前記第一ヒンジ部を前記第一筐体に対し回転駆動する回転駆動部とを有し、前記第一ヒンジ部は、前記回転駆動部により回転駆動された際に、前記第一筐体内面に当接する当接部を有するヒンジ装置が提供される。
【0007】
このような本発明によれば、第一筐体内には、第一筐体に対し相対的に回転可能となる隙間をもって第一ヒンジ部が配置されている。また、ヒンジ装置は、第一筐体および第二筐体を相対的に所定角度回転駆動した際に、第一筐体内の第一ヒンジ部を第一筐体に対し回転駆動する回転駆動部を有している。第一ヒンジ部は回転駆動部により回転駆動された際に、第一筐体内面に当接する当接部を有しているため、例えば、第一筐体を第二筐体に対し所定角度回転させた場合には、当接部が第一筐体に当接し、クリック音が発生することとなる。
【0008】
また、本発明では、第一筐体内に配置された第二ヒンジ部は、第二筐体内に配置された第二ヒンジ部付勢部により付勢されている。そして、第一筐体内に配置された第二ヒンジ部は第一筐体に固定されているため、例えば、第一筐体を第二筐体に対して回転させても、第二ヒンジ部は、第二ヒンジ部付勢部により第一筐体側に付勢されながら第一筐体とともに一体的に駆動することとなる。これにより第一筐体、第二筐体間のがたつきを防止することができる。
以上より、本発明によれば、クリック音を発生させることができ、さらに第一筐体、第二筐体間のがたつきを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クリック音を発生させることができ、さらにがたつきを防止することができるヒンジ装置およびこのヒンジ装置を有する携帯電話を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本実施形態のヒンジ装置の概要について説明する。
図1および図2に示すように、ヒンジ装置1は、携帯電話2のヒンジ部分を構成するものであり、一対の部材(ケース22,23)を相対的に回動させ、一対の部材(ケース22,23)を開閉するものである。図2は、図1に示されている一対の第一筐体11のうち、右側の第一筐体11と、第二筐体12とを備えて構成されるヒンジ装置1の断面図である。
このヒンジ装置1は、軸線上に隣接して配置され、前記軸線を回転軸Lとして相対的に回転可能に設けられた第一筐体11および第二筐体12と、第一筐体11内に、第一筐体11に対し相対的に回転可能となる隙間をもって配置された第一ヒンジ部13と、第一筐体11内に固定され、第一筐体11に対し、相対的に回転不能とされた第二ヒンジ部14と、第二筐体12内に配置され、回転軸Lに沿って第二ヒンジ部14を第一筐体11側に付勢する第二ヒンジ部付勢部16と、第一筐体11および第二筐体12を相対的に所定角度回転駆動した際に、第一筐体11内の第一ヒンジ部13を第一筐体11に対し回転駆動する回転駆動部とを有する。
第一ヒンジ部13は、前記回転駆動部により回転駆動された際に、第一筐体11内面に当接する当接部135を有する(図4参照)。
【0011】
次に、図1から図13を参照して、ヒンジ装置1について詳細に説明する。
図1に示すように、ヒンジ装置1の第一筐体11は、携帯電話2の表示部21側のケース22と一体的に構成されている。
図2に示すように、この第一筐体11は、有底の円筒形状であり、第二筐体12側に向かって開口している。第一筐体11の内面には、径の異なる第一の孔111,第二の孔112,第三の孔113が階段状に形成されている。第二筐体12側に位置する第一の孔111の径は、隣接する第二の孔112の径よりも大きく、第二の孔112の径は、隣接する第三の孔113の径よりも大きい。各孔111,112,113は扁平形状である。図5に示すように、第二の孔112の内面は、対向する一対の平坦部112Aと、この平坦部112Aを結ぶ一対の円弧部112Bとにより構成されている。
同様に、図7に示すように第三の孔113の内面も対向する一対の平坦部113Aと、この一対の平坦部113Aを結ぶ一対の円弧部113Bとにより形成されている。
なお、円弧部112B,113Bは、回転軸Lを中心とした円弧である。また、一対の平坦部112A間の寸法、一対の平坦部113A間の寸法は、それぞれ回転軸Lを通る一対の円弧部112B間の寸法、一対の円弧部113B間の寸法よりも小さい。
なお、図5は、図2のB−B方向の断面図であり、図7は図2のC−C方向の断面図である。
【0012】
第一ヒンジ部13は、図2に示すように、第一筐体11の第二の孔112内に収容されている。この第一ヒンジ部13は、図3および図4(a)の平面図に示すように、中心部に円形状の孔が形成され、リング状に構成されている。
第一ヒンジ部13の平面形状について詳細に説明すると、第一ヒンジ部13は扁平形状であり、この第一ヒンジ部13は、対向する一対の平坦部132と、この平坦部132を結ぶ円弧部131とを有する。円弧部131は、回転軸Lを中心とした円弧である。一対の平坦部132間の寸法は、回転軸Lを通る一対の円弧部131間の寸法よりも小さい。
第一ヒンジ部13を第一筐体11の第二の孔112内に収容すると、図5に示すように、第二の孔112の平坦部112Aと、第一ヒンジ部13の平坦部132との間、第二の孔112の円弧部112Bと、第一ヒンジ部13の円弧部131との間には隙間が形成される。この隙間により、第一ヒンジ部13および第一筐体11が相対的に回転可能となっている。
【0013】
また、第一ヒンジ部13の平坦部132と円弧部131とで形成される4つの角部のうち、第一ヒンジ部13の回転中心(本実施形態では、回転軸Lが回転中心となる)を通り対向する一方の一対の角部が前述した当接部135となる。また、第一ヒンジ部13の回転中心を通り対向する他の一対の角部は、第一筐体11の第二の孔112内面に係止される係止部134となる。係止部134の機能については、詳しくは後述する。
【0014】
さらに、図3および図4(a)、(b)に示すように、第一ヒンジ部13には、第二の孔112に収容した際に、第二筐体12側に突出する一対の凸部133が形成されている。なお、図4(b)は、図4(a)のD−D方向の断面図である。一対の凸部133は第一ヒンジ部13の円弧部131側に形成されており、一対の凸部133は第一筐体11と第二筐体12の回転軸Lを挟んで180°離れた位置に対向配置されている。また、一対の凸部133は、第一筐体11,第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に配置されている。
さらに、凸部133の平面形状は、第一ヒンジ部13の回転中心に向かって幅寸法が狭まる略台形形状である。
また、凸部133を構成する面のうち、第一ヒンジ部13の回転方向に略直交するとともに、対向配置された一対の側面は、傾斜面となっており、一対の側面間の寸法は、凸部133先端側に向かって狭くなっている(図12,13参照)。すなわち、凸部133の第一ヒンジ部13の回転方向に沿った断面は、凸部133先端に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状であるといえる。
【0015】
図2および図3に示すように、第二ヒンジ部14は、先端がリング状の第一ヒンジ部13の孔内に挿入される挿入部141と、挿入部141の基端側に設けられたフランジ部142とを有する。
図3、図6(a)、(b)に示すように、挿入部141は円筒状であり、先端に一対の凸部141Aが形成されている。この凸部141Aの平面形状は、回転軸Lに向かって幅寸法が狭まる形状となっており、本実施形態では、平面略扇形形状となっている。この扇形状の頂点が対向するように凸部141Aは180°向かい合って配置されている。
このような一対の凸部141Aは、第一筐体11,第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に配置されている。
凸部141Aを構成する面のうち、第一筐体11および第二筐体12の回転方向に略直交するとともに、対向配置された一対の側面は、傾斜面となっており、一対の側面間の寸法は、凸部141A先端側に向かって狭くなっている(図11参照)。すなわち、凸部141Aの第一筐体11および第二筐体12の回転方向に沿った断面は、凸部141A先端に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状であるといえる。
なお、図6(a)は、第二ヒンジ部14の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のE−E方向の断面図である。
【0016】
フランジ部142は、第一筐体11の第三の孔113に挿入される。このフランジ部142は、扁平形状であり、対向する一対の平坦部142Aと、この平坦部142A間を結ぶ一対の円弧部142Bとを有している。円弧部142Bは、回転軸Lを中心とした円弧である。一対の平坦部142A間の寸法は、回転軸Lを通る一対の円弧部142B間の寸法よりも小さい。
フランジ部142を第一筐体11の第三の孔113に挿入すると、図7に示すように、フランジ部142の円弧部142Bと第三の孔113の円弧部113Bとの間に隙間が形成されるが、フランジ部142の平坦部142Aと、第三の孔113の平坦部113Aとが接する。これにより、第二ヒンジ部14が第一筐体11に固定されることとなる。従って、第二ヒンジ部14は、第一筐体11と一体的に駆動し、相対的に回転不能となっている。
【0017】
再度、図1に示すように、ヒンジ装置1の第二筐体12は、携帯電話2の通話部(キーボード24側)のケース23と一体的に構成されている。
図2に示すように、第二筐体12は、中空の筒形状であり、第一筐体11側に向かって開口している。図8に示すように、第二筐体12の内面は、対向する一対の平坦部121と、平坦部121間を結ぶ一対の円弧部122とを有する。なお、図8は、図2のA−A方向の断面図である。
図2に示すように、この第二筐体12内部には、第一ヒンジ部13を第一筐体11および第二筐体12の回転軸Lに沿って第一筐体11側に付勢する第一ヒンジ部付勢部15と、第二ヒンジ部14を第一筐体11および第二筐体12の回転軸Lに沿って第一筐体11側に付勢する第二ヒンジ部付勢部16とが配置される。
第一ヒンジ部付勢部15,第二ヒンジ部付勢部16はいずれもコイル状のばねであり、第一ヒンジ部付勢部15は、第二ヒンジ部付勢部16よりも径が大きいばねで構成されている。この第一ヒンジ部付勢部15の内側に第二ヒンジ部付勢部16が配置されている。
【0018】
このような第一ヒンジ部付勢部15と、第一ヒンジ部13との間には、図2,3に示すように、第一ヒンジ部13の凸部133と係合する第一係合部17が配置されている。同様に、第二ヒンジ部付勢部16と第二ヒンジ部14との間にも、第二ヒンジ部14の凸部141Aと係合する第二係合部18が配置されている。
第一係合部17は、図3,9(a)、(b)に示すように、第一ヒンジ部13と同様、リング状に構成されている。なお、図9(a)は、第一係合部17の平面図であり、図9(b)は、図9(a)のF−F方向の断面図である。
この第一係合部17の平面形状は、第一ヒンジ部13の平面形状と同様である。この第一係合部17の第一ヒンジ部13側の面には、一対の凹部171が形成されている。この凹部171には、第一ヒンジ部13の凸部133が係合するため、凹部171は、第一ヒンジ部13の凸部133に応じて設けられている。具体的には、凹部171は、180°離れた位置に対向配置されている。また、一対の凹部171は、第一筐体11,第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に配置されている。
凹部171を構成する面のうち、第一ヒンジ部13の回転方向に略直交するとともに、対向配置された一対の側面は、傾斜面であり、一対の側面間の幅寸法は、第一ヒンジ部13側に向かって広がっている。すなわち、凹部171の第一ヒンジ部13の回転方向に沿った断面は、凹部171底部に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状である
また、第一係合部17の凹部171は、凹部171底部よりも、第一ヒンジ部13側に突出した一対の突出部172により挟まれている。
【0019】
図3,図10(a)、(b)に示すように、第二係合部18は、円筒形状であり、第二ヒンジ部14側の面に、一対の凹部181が形成されている。なお、図10(a)は、第二係合部18の平面図であり、図10(b)は、図10(a)のG−G方向の断面図である。
凹部181は180°向かい合って配置されている。一対の凹部181は、第一筐体11,第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に配置されている。
凹部181を構成する面のうち、第一筐体11および第二筐体12の回転方向に略直交するとともに、対向配置された一対の側面は、傾斜面となっており、一対の側面間の寸法は、凹部181底部側に向かって狭くなっている(図12,13参照)。すなわち、凹部181の第一筐体11および第二筐体12の回転方向に沿った断面は、凹部181底部に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状であるといえる。
このような凹部181には、凸部141Aが係合する。
また、第二係合部18の一対の凹部181は、凹部181底部よりも第二ヒンジ部14側に突出した一対の突出部182に挟まれている。
【0020】
以上のような第一ヒンジ部付勢部15,第二ヒンジ部付勢部16,第一係合部17,第二係合部18は、図2,3に示すように、筒状のケース19内に収納されている。このケース19は、第一筐体11側に開口した有底の筒である。このケース19は、図8に示すように、第二筐体12に固定されている。より詳細に説明すると、ケース19を構成する外周面は、対向する一対の平坦部191と、この平坦部191間を結ぶ一対の円弧部192とから構成されている。円弧部192は、回転軸Lを中心とした円弧である。一対の平坦部191間の寸法は、回転軸Lを通る一対の円弧部192間の寸法よりも小さい。
第二筐体12にケース19を挿入すると、第二筐体12の円弧部122と、ケース19の円弧部192との間には隙間が生じるものの、第二筐体12の平坦部121と、ケース19の平坦部191とは接することとなる。これにより、ケース19が第二筐体12に固定されることとなる。
第一ヒンジ部付勢部15、第二ヒンジ部付勢部16は、以上のようなケース19の底部に固定されている。
従って、第二筐体12を第一筐体11に回転させると、ケース19、ケース19内部に収容された第一ヒンジ部付勢部15,第二ヒンジ部付勢部16,第一係合部17,第二係合部18は、第二筐体12とともに回転駆動することとなる。
【0021】
次に、回転駆動部について説明する。
この回転駆動部は、前述したように、第一筐体11および第二筐体12を相対的に所定角度回転駆動した際に、第一筐体11内の第一ヒンジ部13を前記第一筐体11に対し回転駆動し、第一ヒンジ部13の当接部135を第一筐体11内面に当接させるものである。
この回転駆動部は、前述した第一ヒンジ部付勢部15と、第一ヒンジ部付勢部15に対し、第一ヒンジ部付勢部15からの付勢力に反する力を加え、第一ヒンジ部付勢部15に反力を生じさせる反力発生部とを備える。そして、反力発生部によって第一ヒンジ部付勢部15に生じた反力により、第一ヒンジ部13を第一筐体11に対し回転駆動する。
ここで反力発生部は、第一ヒンジ部13の係止部134と、凸部133と、第一係合部17の突出部172とを含んで構成される。詳しくは後述するが、第一筐体11および第二筐体12を相対的に回転させると、第一ヒンジ部13の係止部134が第一筐体11の内面に係止される。さらに、第一筐体11および第二筐体12を相対的に回転させると、第一筐体11と第一ヒンジ部13とが一体となって、第二筐体12に対し相対的に回転することとなる。このとき、第一ヒンジ部13の凸部133が、第一係合部17の突出部172を第一ヒンジ部付勢部15側に押すこととなり、第一ヒンジ部付勢部15には、反力が生じることとなる。
【0022】
なお、以上では、図1の右側の第一筐体11を備えるヒンジ装置1について説明したが、図1の左側の第一筐体11と第二筐体12とによっても、他のヒンジ装置が構成されている。
すなわち、図1左側の第一筐体11内には、第一ヒンジ部13、第二ヒンジ部14が収納されており、また、第二筐体12の図1左側の端部内には、ケース19、ケース19内部に収容された第一ヒンジ部付勢部15,第二ヒンジ部付勢部16,第一係合部17,第二係合部18が収納されている。
【0023】
次に、図11〜図13を参照して、携帯電話2の開閉操作について説明する。
ユーザが通話やメールなどの機能を使用するために携帯電話2を開く際、通話部(キーボード24側)のケース23を手で握って固定しながら、表示部21側のケース22を開く。
この時、通話部側のケース23は固定されているため、ヒンジ装置1の第二筐体12、第二筐体12内部のケース19、ケース19内部の第一ヒンジ部付勢部15,第二ヒンジ部付勢部16,第一係合部17,第二係合部18は動かない。
一方、表示部21側のケース22を開くと、ケース22と一体的に形成されているヒンジ装置1の第一筐体11が回転する。
第一筐体11内部の第二ヒンジ部14は、第一筐体11に固定されているため、第一筐体11とともに回転駆動する。
【0024】
図11を参照して詳細に説明する。
図11(a)、(b)は、表示部21側のケース22を開く前の状態を示している。この状態では、第二ヒンジ部14の凸部141Aは、第二係合部18の凹部181内に挿入され、係合している。
次に、ケース22を開きはじめると、図11(c)に示すように、第一筐体11とともに第二ヒンジ部14が回転駆動する。このとき、図11(d)に示すように、第二ヒンジ部14が回転駆動することで、第二ヒンジ部14の凸部141Aの傾斜した側面が第二係合部18の凹部181の傾斜した側面上を摺動しはじめ、第二係合部18の凹部181との係合が徐々に解除されていく。これにより、第二ヒンジ部付勢部16に対し矢印方向の圧縮力が作用し始めることとなる。
【0025】
さらに、ケース22を開くと、図11(e)に示すように、第一筐体11とともに第二ヒンジ部14がさらに回転する。このとき、図11(f)に示すように、第二ヒンジ部14が回転駆動することで、第二ヒンジ部14の凸部141Aと第二係合部18の凹部181との係合は、完全に解除され、凸部141Aは、第二係合部18の突出部182と接することとなる。従って、これにより、第二ヒンジ部付勢部16は、矢印方向に圧縮されることとなる。
さらに、ケース22を回動させて、ケース22を開ききった開状態とすると、第二ヒンジ部付勢部16の圧縮が解除されると同時に第二ヒンジ部14の凸部141Aと第二係合部18の凹部181とが係合することとなる。
【0026】
一方、第一筐体11内部の第一ヒンジ部13は、第一筐体11との間に隙間が形成されているので、ケース22を開きはじめても、すぐには、第一筐体11とともに回転しない。
図12,13を参照して、第一ヒンジ部13の動きについて詳細に説明する。
図12(a)、(b)は、表示部21側のケース22を開く前の状態を示している。この状態では、第一ヒンジ部13の凸部133は、第一係合部17の凹部171内に挿入され、係合している。
次に、ケース22を開きはじめると、第一筐体11は回転駆動するものの、第一筐体11と、第一ヒンジ部13との間には隙間が形成されているため、第一ヒンジ部13は回転しない。さらに、第一筐体11が回転すると、図12(c)に示すように、第一ヒンジ部13の係止部134が第一筐体11の内面の平坦部112Aに接触し、係止されることとなる。このとき、図12(d)に示すように、第一ヒンジ部13の凸部133の傾斜した側面が、第一係合部17の凹部171の傾斜した側面上を摺動し、第一ヒンジ部13の凸部133が第一係合部17の凹部171から徐々にはずれていくこととなる。そして、第一ヒンジ部付勢部15に対し矢印方向に圧縮力が作用し始める。
【0027】
さらに、ケース22を開き、第一筐体11を回転駆動すると、図13(a)に示すように、第一筐体11とともに第一筐体11に係合している第一ヒンジ部13が回転することとなる。このとき、図13(b)に示すように、第一ヒンジ部13の凸部133と、第一係合部17の凹部171との係合は完全に解除される。そして、第一ヒンジ部13の凸部133は、第一係合部17の凹部171と隣接する突出部172の上面に接触する。これにより、第一ヒンジ部付勢部15に矢印方向の圧縮力が作用し、第一ヒンジ部付勢部15に反力が生じる。
その後、ケース22が開ききると、図13(c)、(d)に示すように、第一ヒンジ部付勢部15に生じた反力により、第一ヒンジ部13が第一筐体11に対して回転し、係止部134による係止が解除され、さらに、第一ヒンジ部13の凸部133が第一係合部17の凹部171に入り込み、凸部133と、凹部171とが係合する。このとき、凸部133が凹部171の傾斜した側面上を摺動し、凸部133が凹部171の傾斜した側面に誘導されるようにして、凸部133と凹部171とが係合する。
そして、第一ヒンジ部13の当接部135が第一筐体11の平坦部112Aに接触し、「カチッ」というクリック音が発生することとなる。
【0028】
ユーザが携帯電話を閉じる際においても同様の原理により、クリック音が発生することとなる。
ケース22を閉じ始めると、第一ヒンジ部13は回転せずに第一筐体11のみがケース22とともに、回転する。これにより、第一ヒンジ部13の当接部135が、第一筐体11の平坦部112Aから離れることとなる。さらに、ケース22を回転させると、第一ヒンジ部13の係止部134が第一筐体11の平坦部112Aに係止され、第一ヒンジ部13と第一筐体11とが一体的に回転するようになる。このとき、第一ヒンジ部13の凸部133と、第一係合部17の凹部171との係合が解除される。
その後、さらにケース22を回転させると、第一ヒンジ部付勢部15に生じた反力により、第一ヒンジ部13が第一筐体11に対して回転し、係止部134による係止が解除される。そして、第一ヒンジ部13の当接部135が第一筐体11の平坦部112Aに接触し、「カチッ」というクリック音が発生する。
なお、ユーザが表示部21側のケース22を手で握って固定し、通話部(キーボード24側)のケース23を開閉する場合においても、上述した原理と同様の原理で、クリック音を発生させることができる。
【0029】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
第一ヒンジ部13と、第一筐体11との間には、相対的に回転可能となる隙間が形成されている。そして、第一筐体11および第二筐体12を相対的に所定角度回転駆動した際に、第一筐体11内の第一ヒンジ部13が第一筐体11に対し回転駆動し、第一ヒンジ部13の当接部135が第一筐体11内面に当接する。これにより、クリック音を発生させることができる。
また、クリック音を発生させる際に、第一ヒンジ部付勢部15を圧縮し、反力を生じさせ、この反力により、第一ヒンジ部13を回転駆動しているので、第一ヒンジ部13の当接部135を勢いよく、第一筐体11内面に接触させることができる。これにより、クリック音を確実に発生させることができる。
【0030】
また、第一筐体11内に配置された第二ヒンジ部14は、第二筐体12内に配置された第二ヒンジ部付勢部16により付勢されている。そして、第一筐体11内に配置された第二ヒンジ部14は第一筐体11に固定されているため、第一筐体11を第二筐体12に対して回転させても、第二ヒンジ部付勢部16により第一筐体11側に付勢されながら第一筐体11とともに一体的に駆動することとなる。これにより第一筐体11、第二筐体12間のがたつきを防止することができる。
以上より、本実施形態のヒンジ装置1は、クリック音を発生させることができ、さらに第一筐体11、第二筐体間のがたつきを防止することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、ヒンジ装置1は、第一ヒンジ部13の凸部133と係合する凹部171が形成された第一係合部17を有している。そして、この第一係合部17は、第一ヒンジ部13と第一ヒンジ部付勢部15との間に配置されている。第一ヒンジ部13の凸部133と、第一係合部17の凹部171とが係合した状態の場合には、第一ヒンジ部付勢部15に対し、圧縮方向に力が加わらない。しかしながら、第一ヒンジ部13の凸部133と、第一係合部17の凹部171との係合を解除し、第一ヒンジ部13の凸部133が第一係合部17の突出部172の上面に接触する非係合状態とすることで、第一ヒンジ部付勢部15に対し、圧縮方向の力を容易かつ確実に加えることができる。これにより、第一ヒンジ部付勢部15に対し、付勢力に反する力を発生させることができ、クリック音を確実に発生させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、第一ヒンジ部13に第一筐体11に係止される係止部134を形成している。第一ヒンジ部13の係止部134が第一筐体11に係止された状態においては、第一ヒンジ部13と第一筐体11とが、第二筐体12に対し、一体的に回転駆動することとなる。そのため、第一筐体11を第二筐体12に対して回転させることで、第二筐体12に固定されている第一係合部17の凹部171と、第一筐体11と一体的に駆動する第一ヒンジ部13の凸部133との係合を容易に解除することができる。
これにより、第一ヒンジ部付勢部15に対し、圧縮方向の力を確実に加えることができ、クリック音を確実に発生させることができる。
【0033】
また、本実施形態では、第一ヒンジ部13の凸部133を構成する面のうち、第一ヒンジ部13の回転方向に略直交する一対の側面は、傾斜面となっており、一対の側面間の寸法は、凸部133先端側に向かって狭くなっている(凸部133の第一ヒンジ部13の回転方向に沿った断面がテーパ形状となっている)。一方、第一係合部17の凹部171を構成する面のうち、第一ヒンジ部13の回転方向に略直交する一対の側面は、傾斜面となっており、一対の側面間の幅寸法は、第一ヒンジ部13側に向かって広がっている(凹部171の第一ヒンジ部13の回転方向に沿った断面がテーパ形状となっている)。
このように、凸部133の側面を傾斜面とし、この凸部133が係合する凹部171の側面も傾斜面とすることで、第一筐体11の回転に伴い第一ヒンジ部13が回転する際に、凸部133の側面を凹部171の側面に沿って移動させ、凸部133と凹部171との係合を容易に解除することができる。
また、凸部133の側面を傾斜面とし、この凸部133が係合する凹部171の側面も傾斜面とすることで、第一ヒンジ部付勢部15に生じた反力を利用して、第一ヒンジ部13を回転駆動し、凸部133と凹部171とを容易に係合させることができる。
【0034】
また、ヒンジ装置1は、第二ヒンジ部14の凸部141Aと係合する凹部181が形成された第二係合部18を有している。第二ヒンジ部14の凸部141Aと、第二係合部18の凹部181とが係合した状態の場合には、第二ヒンジ部付勢部16に対し、圧縮方向に力が及ばないが、第二ヒンジ部14の凸部141Aと、第二係合部18の凹部181との係合を解除し、第二ヒンジ部14の凸部141Aが第二係合部18の突出部182の上面に接触することで、第二ヒンジ部付勢部16に対し、圧縮方向の力を加えることができ、付勢力に反する力が発生することとなる。これにより、第二ヒンジ部付勢部16により第二ヒンジ部14がより強い力で第一筐体11側に付勢され、第二ヒンジ部14が第一筐体11内に確実に固定されることとなる。そのため、携帯電話2のケース22,23の開閉の途中段階における、第一筐体11、第二筐体12間でのがたつきの発生を確実に抑制することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、第一ヒンジ部13をリング状に形成し、第二ヒンジ部14を第一ヒンジ部13の孔に挿入される挿入部141と、フランジ部142とを備えるものとしている。このようにすることで、第一ヒンジ部13,第二ヒンジ部14の設置に場所をとらず、ヒンジ装置1の小型化を図ることができる。
同様に、リング状の第一係合部17の孔内に、第二係合部18を設置することで、ヒンジ装置1の小型化を図ることができる。
また、第一ヒンジ部付勢部15の内側に第二ヒンジ部付勢部16を設置することによっても、ヒンジ装置1の小型化を図ることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、当接部135を第一筐体11の平坦部112Aに当接させて、クリック音を発生させているので、当接部135と平坦部112Aとの間の隙間の距離を調整することでクリック音の音量の調整をすることができる。当接部135と平坦部112Aとの間の隙間の距離を大きくした場合には、クリック音が大きくなり、当接部135と平坦部112Aとの間の隙間の距離を小さくした場合には、クリック音が小さくなる。
なお、本実施形態では、第一筐体11内に固定された第二ヒンジ部14が第二筐体12内に配置された第二ヒンジ部付勢部16により第一筐体11側に付勢されているので、当接部135と平坦部112Aとの間の隙間の距離を調整しても、第一筐体11、第二筐体12間にがたつきが生じることを防止できる。
【0037】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第一ヒンジ部13に凸部133を形成し、第一係合部17に凹部171を形成したが、これに限らず、第一ヒンジ部に凹部を形成し、第一係合部に凸部を形成してもよい。
同様に、第二ヒンジ部14に凸部141Aを形成し、第二係合部18に凹部181を形成したが、第二ヒンジ部に凹部を形成し、第二係合部に凸部を設けてもよい。
さらに、第一ヒンジ部13には、第一筐体11と第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に180°離れた位置に一対の凸部133が形成されていたが、これに限らず、凸部の数は3つ以上であってもよい。第一筐体11と第二筐体12の回転軸Lを中心とした円周上に凸部を等間隔で複数形成すればよい。
また、第一ヒンジ部13の凸部133、第二ヒンジ部14の凸部141Aはひとつであってもよい。
なお、第一係合部の凹部は、第一ヒンジ部の凸部にあわせて形成すればよい。
【0038】
また、第一ヒンジ部13をリング状とし、この第一ヒンジ部13の孔内に第二ヒンジ部14の挿入部141を挿入したが、第一ヒンジ部、第二ヒンジ部の形状、配置位置はこれに限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、ヒンジ装置1を携帯電話に搭載したが、これに限らず、他の電子機器に搭載してもよい。例えば、デジタルカメラや、パーソナルコンピュータ等に搭載してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態にかかる携帯電話を示す斜視図である。
【図2】ヒンジ装置を示す断面図である。
【図3】ヒンジ装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は、ヒンジ装置の第一ヒンジ部を示す平面図であり、(b)は、(a)のD−D方向の断面図である。
【図5】ヒンジ装置の要部を示す断面図である。
【図6】(a)は、ヒンジ装置の第二ヒンジ部を示す平面図であり、(b)は、(a)のE−E方向の断面図である。
【図7】ヒンジ装置の要部を示す断面図である。
【図8】ヒンジ装置の要部を示す断面図である。
【図9】(a)は、ヒンジ装置の第一係合部を示す平面図であり、(b)は、(a)のF−F方向の断面図である。
【図10】(a)は、ヒンジ装置の第二係合部を示す平面図であり、(b)は、(a)のG−G方向の断面図である。
【図11】ヒンジ装置の第二ヒンジ部の駆動状態を示す図である。
【図12】ヒンジ装置の第一ヒンジ部の駆動状態を示す図である。
【図13】ヒンジ装置の第一ヒンジ部の駆動状態を示す図である。
【図14】従来のヒンジ装置を示す断面図である。
【図15】従来のヒンジ装置を示す断面図である。
【図16】従来のヒンジ装置を示す断面図である。
【図17】従来のヒンジ装置を示す断面図である。
【図18】従来のヒンジ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ヒンジ装置
2 携帯電話
8 ヒンジ装置
9 ヒンジ装置
11 第一筐体
12 第二筐体
13 第一ヒンジ部
14 第二ヒンジ部
15 第一ヒンジ部付勢部
16 第二ヒンジ部付勢部
17 第一係合部
18 第二係合部
19 ケース
21 表示部
22 ケース
23 ケース
24 キーボード
81 固定体
82 可動体
85 固定カム
85A 傾斜部
85B 突出部
85C 傾斜部
86 可動カム
91 ヒンジ軸
92 第一ヒンジ部材
93 第二ヒンジ部材
93A 凹部
94 打撃部材
94A 凸部
94B 凹部
94B1 斜面
94B2 対向面
95 可動部材
96 付勢手段
97 球体
111 第一の孔
112 第二の孔
112A 平坦部
112B 円弧部
113 第三の孔
113A 平坦部
113B 円弧部
121 平坦部
122 円弧部
131 円弧部
132 平坦部
133 凸部
134 係止部
135 当接部
141 挿入部
141A 凸部
142 フランジ部
142A 平坦部
142B 円弧部
171 凹部
172 突出部
181 凹部
182 突出部
191 平坦部
192 円弧部
L 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線上に隣接して配置され、前記軸線を回転軸として相対的に回転可能に設けられた第一筐体および第二筐体と、
前記第一筐体内に、前記第一筐体に対し相対的に回転可能となる隙間をもって配置された第一ヒンジ部と、
前記第一筐体内に固定され、前記第一筐体に対し、相対的に回転不能とされた第二ヒンジ部と、
前記第二筐体内に配置され、前記回転軸に沿って前記第二ヒンジ部を前記第一筐体側に付勢する第二ヒンジ部付勢部と、
前記第一筐体および第二筐体を相対的に所定角度回転駆動した際に、前記第一筐体内の前記第一ヒンジ部を前記第一筐体に対し回転駆動する回転駆動部とを有し、
前記第一ヒンジ部は、前記回転駆動部により回転駆動された際に、前記第一筐体内面に当接する当接部を有するヒンジ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒンジ装置において、
前記回転駆動部は、前記第二筐体内に配置され、前記回転軸に沿って前記第一ヒンジ部を前記第一筐体側に付勢する第一ヒンジ部付勢部と、
前記第一ヒンジ部付勢部に対し、前記第一ヒンジ部付勢部からの付勢力に反する力を加え、前記第一ヒンジ部付勢部に反力を生じさせる反力発生部とを備え、
前記反力発生部によって前記第一ヒンジ部付勢部に生じた反力により、前記第一ヒンジ部を前記第一筐体に対し回転駆動するヒンジ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のヒンジ装置において、
前記第一ヒンジ部付勢部と、前記第一ヒンジ部との間には、前記第二筐体に固定されるとともに、前記第一ヒンジ部と係合可能な第一係合部が設けられ、
前記反力発生部は、前記第一ヒンジ部と前記第一係合部とを含んで構成され、前記第一ヒンジ部と前記第一係合部とを非係合状態とすることで、前記第一ヒンジ部付勢部に反力を発生させ、
前記第一ヒンジ部付勢部に生じた前記反力により、前記第一ヒンジ部を前記第一筐体に対し回転駆動すると同時に前記第一ヒンジ部と第一係合部とを係合させるヒンジ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヒンジ装置において、
前記第一筐体および前記第二筐体は、一対の部材それぞれに設けられ、
当該ヒンジ装置は、前記一対の部材を相対的に回動させて、前記一対の部材を開閉するものであり、
前記反力発生部は、前記第一ヒンジ部に形成されるとともに、前記第一筐体および前記第二筐体を前記所定角度よりも小さい一定の角度まで相対的に回転駆動した際に、前記第一筐体に係止される係止部を含んで構成され、
前記一対の部材の閉時および開時には、前記第一ヒンジ部に形成された凸部または凹部と、前記第一係合部に形成された凹部または凸部とが係合するヒンジ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のヒンジ装置において、
前記凸部の前記第一ヒンジ部の回転方向に沿った断面は、前記凸部先端に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状であり、
前記凹部の前記第一ヒンジ部の回転方向に沿った断面は、前記凹部底部に向かって幅寸法が狭まるテーパ形状であるヒンジ装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載のヒンジ装置において、
前記第二ヒンジ部付勢部と、前記第二ヒンジ部との間には、前記第二ヒンジ部と係合する第二係合部が配置され、
前記第一ヒンジ部および前記第二ヒンジ部のうちいずれか一方をリング状とし、いずれか他方を先端が前記リング状の一方の前記ヒンジ部の孔に挿入される挿入部を備えるものとし、
前記第一係合部および前記第二係合部のうち前記リング状の一方のヒンジ部と係合する一方の係合部をリング状に形成するとともに、他方の係合部を一方のリング状の前記係合部の孔に挿入するヒンジ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のヒンジ装置において、
前記第一ヒンジ部付勢部および前記第二ヒンジ部付勢部のうちいずれか一方は、前記第一係合部および前記第二係合部のうち一方のリング状の係合部を介して、前記第一ヒンジ部および前記第二ヒンジ部のうちいずれか一方のリング状のヒンジ部を付勢する大径のばねであり、
前記第一ヒンジ部付勢部および前記第二ヒンジ部付勢部のうちいずれか他方は、前記第一係合部および前記第二係合部のうちいずれか他方の係合部を介して、前記第一ヒンジ部および前記第二ヒンジ部のうちいずれか他方のヒンジ部を付勢する小径のばねであり、
前記小径のばねは、前記大径のばねの内側に配置されているヒンジ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のヒンジ装置を有する携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−248985(P2008−248985A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89227(P2007−89227)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】