説明

ヒンジ装置

【課題】回転スペースの小径化を図れ、且つ高精度部品を使用しなくともよいヒンジ装置を提供する。
【解決手段】第1部材20と第2部材とを相対的に回動可能に装着し、回動角度によってその回動トルクが変化するヒンジ装置30において、第1部材20と、他端部22bが第2部材に固定されており、一端部20aが第1部材20に回動可能に取り付けられている軸部22と、第1部材20に固定される第1カム28と、第1カム28と凹凸が噛み合うように形成され、軸部22に固定されて軸部22と共に回動可能な、第1カム28と同径の第2カム32と、第2カム32を第1カムに圧接させるべく、軸部22を貫通して配置され、第1カム28及び第2カム34と同径の複数枚の皿バネと34,36を具備し、各皿バネ34,36は、低い圧力で変形する第1の皿バネ34と、高い圧力で変形する第2の皿バネ36とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動角度によって回動時のトルクが変化するように設けたヒンジ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車やその他の移動手段において、ディスプレイ装置が車内に配置されることがある。例えば、乗用車用のディスプレイ装置としては、天井面等に配置されることが多い。
図10に示すように、映像を視聴しないときには、ディスプレイ装置は天井に収納されて閉じており、視聴するときには、水平方向に延びるように設けられた回動軸を中心にディスプレイ装置を回動させて開き、見やすい角度になるまで回動軸を中心に回動させることができる。
【0003】
このようなディスプレイ装置の回動軸には、以下のような動作が必要なヒンジ装置が採用される。
まず、ディスプレイ装置が閉じた状態から30°程度まで回動するまでは、ディスプレイ装置を天井面に固定している固定手段を解除すれば、自重により回動する程度の極めて弱いトルクであればよい。30°程度までディスプレイ装置が開けば、あとはユーザが手で調整できるためである。
次に、ディスプレイ装置が90°程度まで回動するまでは、手で容易に回動可能となるような弱いトルクが必要である。90°未満ではディスプレイは見にくいので、90°程度まではユーザが一気に回動させて90°までの間で細かい角度の調整をすることはあまり想定できないためである。
【0004】
次に、ディスプレイ装置が90°程度から120°程度までに回動までは高いトルクが必要とされる。実際にユーザが視聴する場合のディスプレイ装置の角度としてはこの範囲であることが想定され、ユーザが見やすい角度まで回動させた後は、車内の振動によって角度が変わってしまわないよう、ユーザが回動させた角度で停止していることが求められるためである。
【0005】
上述してきたように、回動角度によってトルクが変化するようなヒンジ装置としては、特許文献1に示すような構成が従来より知られている。
図11に示すように、特許文献1に記載されたヒンジ装置によれば、ベース部材2に対して軸部材4が回動可能に取り付けられており、軸部材4にはアーム部5Aを有する制動部材5が軸部材4と一体に回動するように取り付けられている。また、制動部材5は、皿バネ6によってベース部材2に圧接されている。
皿バネ6は、平ワッシャ7及びナット8によって軸部材4に固定される。
【0006】
制動部材5のアーム部5Aには、ベース部材2の表面に形成された円弧状の溝11内で摺動するような突起9が形成されている。
また、ベース部材2の円弧状の溝11と同心円弧上には、突起9が入り込むことができる窪み10も形成されている。
【0007】
このようなヒンジ装置において、軸部材4を回動させると、制動部材5の突起9が溝11内で移動しているときは低トルクであり、そして軸部材4の回動によって突起9が溝11から出てベース部材2の通常の表面に当接しているときは高トルクとなる。
また、制動部材5の突起9が窪み10内に入り込んで、その窪みから出るときには、そのときの抵抗力によってクリック感を生じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−56547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のヒンジ装置においては、制動部材のアーム部に突起を形成しており、この突起とベース部材の表面形状とでトルクを変化させるようにしていた。
しかし、このような構成によれば、皿バネや、皿バネを止める平ワッシャと比較して、ベース部材及び制動部材が大きな径になってしまうため、スペース的に無駄が大きいという課題がある。
また、従来のヒンジ装置では、制動部材等の高精度の部品を使用しなくてはならない。高精度部品を使用すると、高コストになりまた製造にも手間がかかるという課題もある。
【0010】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、回転スペースの小径化を図れ、且つ高精度部品を使用しなくてもよいヒンジ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるヒンジ装置によれば、第1部材と第2部材とを相対的に回動可能に装着し、回動角度によってその回動トルクが変化するヒンジ装置において、第1部材と、他端部が第2部材に固定されており、一端部が第1部材に回動可能に取り付けられている軸部と、第1部材に固定される第1カムと、第1カムと凹凸が噛み合うように形成され、前記軸部に固定されて軸部と共に回動可能な、第1カムと同径の第2カムと、第2カムを第1カムに圧接させるべく、前記軸部を貫通して配置され、第1カム及び第2カムと同径の複数枚の皿バネとを具備し、各前記皿バネは、低い圧力で変形する第1の皿バネと、高い圧力で変形する第2の皿バネとを含むことを特徴としている。
この構成を採用することによって、異なる圧力で変形する(その厚さが異なる)複数の皿バネを用いることにより、回動角度によってその回動トルクが変化するヒンジ装置を構成することができる。したがって、従来のヒンジ装置のように大きなスペースを必要とすることなく、回転スペースを小さくすることができる。
【0012】
また、第1カム及び第2カムの凹凸がちょうどはまりあっているときは、各皿バネのうち低い圧力で変形する第1の皿バネが変形して第2カムに対して低い加重をかけている。すなわち、この状態においては、低い回動トルクでの回動となる。
さらに軸部を回動させて第1カム及び第2カムの凹凸においていずれかに形成された凸部が他方に形成された凹部以外の箇所に乗り上げると、第1カム及び第2カムの間隔が広がるため、第2カムによって各皿バネが押圧され、低い圧力で変形する第1の皿バネは圧縮されて平ワッシャと同じ状態となる。このとき、高い圧力で変形する第2の皿バネが第2カムから押圧されて変形して第2カムに対して高い荷重をかけることができる。このため、第1カム及び第2カムの凹凸においていずれかに形成された凸部が他方に形成された凹部以外の箇所に乗り上げると、回動時に高いトルクが必要となる。
このようにして、本発明のヒンジ装置は、高精度部品を使用しなくても回動角度によって回動トルクを変えることができるのである。
【0013】
また、前記第1カム及び前記第2カムは、何れか一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に進入可能な凸部が形成され、前記凹部の側壁であって、前記凹部から前記凸部が離脱する側は、凸部が徐々に離脱するようにテーパ状に形成されていることを特徴としてもよい。
このような構成によれば、凸部がテーパ状に形成された部位に乗り上げていくことで、徐々に皿バネによる押圧力が大きくなるため、低トルクから高トルクへの切り換え時に、回動トルクを急激に上げることなく、徐々に上げることができる。
【0014】
さらに、前記第1の皿バネは1枚、前記第2の皿バネは2枚設けられていることを特徴としてもよい。
このようにして回動時に必要なトルクに合わせ、皿バネの枚数を調整すれば所望のトルクを出すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるヒンジ装置によれば、従来のヒンジ装置のように大きなスペースを必要とすることなく、回転スペースを小さくすることができ、また高精度部品を使用しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ヒンジ装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1のヒンジ装置の分解図である。
【図3】各カム部及び各皿バネの配置を側面からみた説明図である。
【図4】第2カムの凸部が第1カムの凹部に入り込んで低いトルクで回動する場合の状況を説明する説明図である。
【図5】第2カムの凸部がテーパ面に乗り上げて徐々にトルクが高くなるところを示す説明図である。
【図6】第2カムの凸部が第1カムの凹部から抜け出て、高いトルクで回動するところを示す説明図である。
【図7】低い圧力で変形する皿バネ(低荷重皿バネ)においてバネのたわみ量とバネ荷重との関係を示すグラフである。
【図8】高い圧力で変形する皿バネ(高荷重皿バネ)においてバネのたわみ量とバネ荷重との関係を示すグラフである。
【図9】本実施形態のように低い圧力で変形する皿バネ(低荷重皿バネ)と高い圧力で変形する皿バネ(高荷重皿バネ)を積層した場合においてバネのたわみ量とバネ荷重との関係を示すグラフである。
【図10】乗用車用のディスプレイ装置を側面から見た説明図である。
【図11】従来の回動角度によって回動トルクが異なるようにしたヒンジ装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るヒンジ装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1には、ヒンジ装置の外観構成を示し、図2には図1のヒンジ装置の分解図を示している。
ヒンジ装置30は、第1部材20と第2部材(図示せず)とが相対的に回動可能となっている構成であって、且つ回動角度によって回動トルクが変化するように設けられている。
【0018】
第1部材20と、図示しない第2部材とは軸部22によって連結されている。軸部22の一方の端部22aは、第1部材20に回動可能となるように取り付けられている。軸部22の他方の端部22bは、第2部材に取り付けられる側であって、ここでは後述する複数の皿バネを、第1部材20側に押圧させておくための押さえ部として、各皿バネよりも大径のフランジ部22bが形成されている。
【0019】
軸部22の一方の端部22aには、軸部22を第1部材20から抜け止めするためのかしめ部材40が取り付けられる。かしめ部材40は、軸部22の断面形状と同一形状の貫通穴46が形成されている。第1部材20を貫通して突出した軸部22の一方の端部22aは、かしめ部材40の貫通穴46内に挿入され、かしめによって軸部22とかしめ部材40とが固定される。
【0020】
なお、第1部材20は、取り付ける機器の構造に応じてどのような形状であってもよいが、本実施形態では、軸部22が垂直に取り付けられる平面状の平面部23と、平面部23に対して垂直に立ち上げられている固定部25とを有している。固定部25には固定用の穴27が形成されている。
また、第1部材20の平面部23には、軸部22の一方の端部22aを貫通させると共に後述する第1カム28の固定部29を固定するために形成された固定穴31が形成されている。
【0021】
軸部22には、第1部材20に固定されて回動しない第1カム28と、第1カム28と凹凸が噛み合う第2カム32とが設けられている。第1カム28及び第2カム32のそれぞれは、中心に軸部22を貫通させるための貫通穴28a,32aが形成されている。
また、上記のように第1カム28の第1部材20に対向する側(図面上方側)は、第1部材20の固定穴31にはめ込まれる固定部29となっている。固定部29及び固定穴31は円形ではなく直線部分を有している同一形状となっているので、固定穴31内に挿入された固定部29は回転することなく、第1部材20に固定される。
【0022】
第2カム32の第2部材側(図面下方側)には、複数枚の皿バネが配置される。本実施形態では、第2カム32の第2部材側面(図面下方側)に接する位置に、低い圧力で変形する第1の皿バネ34(低荷重皿バネ)が1枚配置され、第1の皿バネ34の第2部材側面(図面下方側)に高い圧力で変形する第2の皿バネ36(高荷重皿バネ)が4枚配置される。
第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36のそれぞれは、中心に軸部22を貫通させるための貫通穴34a,36aが形成されている。
【0023】
次に、図3〜図6に、第1カム28、第2カム32、第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36が軸部22に沿って配置された側面を示す。なお、これらの図面においては、実際の皿バネはもっと厚さが厚いものであるが、図面上では薄いもので図示している。
なお、本実施形態では、第1カム28、第2カム32、第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36は全て同じ直径である。したがって、大きなスペースを必要とすることなく、回転スペースを小さくすることができるヒンジ装置30を構成することが可能である。本発明では、このスペース内で回動角度によって回動トルクを変化させることができる。
ただし、必ずしも第1カム28、第2カム32、第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36が同じ直径である必要はないが、少なくとも第1カム28及び第2カム32の直径が、第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36の直径以上となっていることは必要である。
【0024】
第1カム28と第2カム32の構造について説明する。
第1カム28の第2カム32側(図面下方)には、第1部材20方向(図面上方)に向かって凹む凹部39が形成されている。凹部39を形成する周囲の壁面は、垂直に形成されている垂直面45と、第2カム32方向(図面下方)に向けて徐々に凹部39が広がる方向に傾斜するテーパ面41とが形成されている。
第2カム32の第1カム28側(図面上方)には、第1カム28の凹部39に進入するように第1カム28方向に突出する凸部42が形成されている。凸部42の突出長さは、凸部42が凹部39に入り込んだ時に、凸部42の上面42aが、凹部39の下面39aに当接する程度の長さである。また、凸部42の高さは、第1カム28の底面と第2カム32の上面とが当接しないような高さが必要である。
【0025】
次に皿バネについて説明する。
第2カム32の第2部材側(図面下方)に配置されている皿バネのうち、第2カム32に最も近い位置に配置されている皿バネは、低い圧力で変形する第1の皿バネ34である。
一般的に皿バネは薄い円盤状の板材であって、側面視すると軸部22を貫通させる貫通穴の周囲は平面状であるが、その周囲は中心方向に向かって傾斜して形成されている。この傾斜により、皿バネに圧力をかけると傾斜部分の弾性力により、接触している部分に対して所定の圧力をかけることができる。
低い圧力で変形する第1の皿バネ34は、その厚さが第2の皿バネ36と比較して薄く形成されているので、第2の皿バネ36よりも低い圧力で変形し、低い圧力がかかったときには対象物に対して圧力をかけることができる。
【0026】
第1の皿バネ34の第2部材側(図面下方)には、高い圧力で変形する第2の皿バネ36が4枚重ねて配置されている。
各第2の皿バネ36は、その厚さが第1の皿バネ34と比較して厚く形成されているので、第1の皿バネ34よりも高い圧力を付加しないと変形しない。
本実施形態では、第2の皿バネ36は4枚重ねて配置されているが、その傾斜の向きが互い違いとなるように配置されている。すなわち、4枚の第2の皿バネ36は、第1の皿バネ34側から順に、上方に凹となるように配置された第2の皿バネ36a、下方に凹となるように配置された第2の皿バネ36b、上方に凹となるように配置された第2の皿バネ36c、下方に凹となるように配置された第2の皿バネ36dとから構成される。
【0027】
図4〜図6においては、軸部22に対して第1部材20を相対的に回動させたところを示す。
図4では、第1カム28の凹部39内に、第2カム32の凸部42が完全に収納されている所を示している。この状態で、第1カム28が図面右方向に回動すると、第2カム32の凸部42の上面42aが凹部39の下面39aに接する範囲内(範囲a内)で回動する。この状態においては、軸部22のフランジ部22bと第2カム32との間で各皿バネ34,36が配列方向に圧縮されるが、第1の皿バネ34のみが変形して圧力を生じさせ、4枚の第2の皿バネ36は変形せずに圧力を生じさせないように、設けられている。このときの回動トルクは低トルクであって、その大きさは一定である。
【0028】
そして、図5に示すように、第1カム28が回動して、第2カム32の凸部42が、第1カム28の凹部39内のテーパ面41に当接すると、凸部42はテーパ面41に乗り上げる。すると、テーパ面41の傾斜に沿って徐々に第2カム32が各皿バネ34,36をフランジ部22bとの間で圧縮しつつ、フランジ部22b方向に接近する方向に移動する(矢印b)。
すると、低い圧力で変形する第1の皿バネ34が傾斜部分が平面状になるように変形していき、この変形に伴う圧力を生じさせる。このときの回動トルクは第1の皿バネ34の作用に伴うものであって、回動角度に応じて徐々に大きいトルクとはなるが、トルクの大きさの変化量は小さい。
このように、低トルクから高トルクへの切り換え時に徐々にトルクが大きくなるように構成したことで、トルクの大きさを急激に上げることなく、徐々に上げることができ、高トルクへの移行時における違和感を解消することができる。
【0029】
次に、図6に示すように、第1カム28がさらに回動すると、第2カム32の凸部42が、第1カム28の凹部から抜け出て第1カム28の底面28bに接触する。すると、第2カム32が各皿バネ34,36をさらに押圧し、第1の皿バネ34は傾斜部分が完全に平面状となる。この状態以降、第1の皿バネ34をさらに押圧してもこれ以上変形せず、単なるワッシャの状態のままとなる。
第1の皿バネ34が平面状に変形してこれ以上変形しない場合、第2カム32は各第2の皿バネ36を変形させる。
各第2の皿バネ36は、第2カム32に押圧されて配列方向に圧縮されて変形し、この変形に伴う圧力を生じさせる。このときの回動トルクは第2の皿バネ36の作用に伴うものであって、高トルクであって、その大きさは一定である。
【0030】
次に、図7〜図8に、第1の皿バネ34と第2の皿バネ36を押圧したときの、バネのたわみ量とバネ荷重との関係について示す。なお、バネ荷重が大きくなるほど回動トルクが大きくなる。
第1の皿バネ34を押圧していくと、たわみ量とバネ荷重との関係は、比例関係となり、たわみ量が増加するほどバネ荷重も直線的に増加する。
一方、第2の皿バネ36を押圧していくと、たわみ量とバネ荷重との関係は、比例関係となるが、第1の皿バネ34と比較して傾きが大きい直線となる。
【0031】
図9には、本実施形態における回動角度とバネ荷重との関係を示す。
まず図4の状態では、第2カム32の凸部42が、第1カム28の凹部39内にはまり込んでいる状態で回動した場合であって、第1の皿バネ34のバネ荷重のみが作用し、バネ荷重は一定である。
【0032】
そして、図5の状態のように、第2カム32の凸部42が、第1カム28のテーパ面41に乗り上げた状態で回動した場合、第1の皿バネ34が徐々に潰れていき、バネ荷重は回動角度に対して直線的に増加する。
そして、図6の状態のように、第2カム32の凸部42が、第1カム28の底面28aに当接した状態で回動した場合、第1の皿バネ34は単なるワッシャとなり、第2の皿バネ36のバネ荷重のみが作用し、バネ荷重は一定である。
このように、本実施形態では、第1部材20と第2部材とを相対的に回動させたとき、ある回動位置までは回動時の操作荷重が一定の低い荷重であり、またこの回動位置から更に回動させると徐々に回動時の操作荷重が高くなり、次に一定の高い操作荷重となる。
【0033】
なお、本実施形態では、第1の皿バネ34を1枚、第2の皿バネ36を4枚用い、その各第2の皿バネ36は傾斜方向が互い違いとなるように配置した。
しかし、本発明のヒンジ装置としては、このような構成に限定されるものではない。すなわち、第1の皿バネ34及び第2の皿バネ36の必要枚数は、回動時に必要とされるトルクに合わせて適宜変更することができる。また、第2の皿バネ36の傾斜部分の配列方向も、傾斜方向が同じ向きとなるように配列させてもよい。
ただし、皿バネの傾斜方向を同じ向きとなるように配列させると、傾斜方向が互い違いとなるように配列させたときよりも、同じたわみ量でもバネ荷重が4倍となる。したがって、回動時に必要とされるトルクに合わせて皿バネの傾斜方向の配列を決定すればよい。
【0034】
また、所定の回動角度となったときにクリック感をもたせるように構成してもよい(図示せず)。
クリック感をもたせるためには、第1カム28及び第2カム32の互いに接触する箇所に、凹凸嵌合する凹部及び凸部を設け、第1カム28及び第2カム32が相対的に所定角度となったときに、凹部内に凸部がはまり込むように構成すればよい。
【0035】
また、本発明のヒンジ装置としては、乗用車用のディスプレイ装置に用いることに限定するものではなく、回動角度に応じてトルクが変化するような機器であればどのような機器であっても採用することができる。
【符号の説明】
【0036】
20 第1部材
22 軸部
23 平面部
25 固定部
27 固定用の穴
28 第1カム
29 固定部
30 ヒンジ装置
31 固定穴
32 第2カム
34 第1の皿バネ
36 第2の皿バネ
39 凹部
40 かしめ部材
41 テーパ面
42 凸部
45 垂直面
46 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを相対的に回動可能に装着し、回動角度によってその回動トルクが変化するヒンジ装置において、
第1部材と、
他端部が第2部材に固定されており、一端部が第1部材に回動可能に取り付けられている軸部と、
第1部材に固定される第1カムと、
第1カムと凹凸が噛み合うように形成され、前記軸部に固定されて軸部と共に回動可能な、第1カムと同径の第2カムと、
第2カムを第1カムに圧接させるべく、前記軸部を貫通して配置され、第1カム及び第2カムと同径の複数枚の皿バネとを具備し、
各前記皿バネは、低い圧力で変形する第1の皿バネと、高い圧力で変形する第2の皿バネとを含むことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
前記第1カム及び前記第2カムは、何れか一方に凹部が形成され、他方に前記凹部に進入可能な凸部が形成され、
前記凹部の側壁であって、前記凹部から前記凸部が離脱する側は、凸部が徐々に離脱するようにテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置。
【請求項3】
前記第1の皿バネは1枚、前記第2の皿バネは2枚設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のヒンジ装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−2482(P2013−2482A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131778(P2011−131778)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(592143057)株式会社 サンコー (30)
【Fターム(参考)】