説明

ヒンバシンアナログの合成

【課題】トロンビンレセプターアンタゴニストとして有用なヒンバシンアナログの調製のための新規方法を提供すること。
【解決手段】本願は、化合物2Aからヒンバシンアナログを調製するための改良された方法を提供する。本願による改良された方法は、結晶化を用いたより容易な精製、より容易なスケール拡大性(scalability)、および所望の鏡像異性体に対する改良された歩留まりのうちの少なくとも1つを可能にし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、トロンビンレセプターアンタゴニストとして有用なヒンバシンアナログの調製のための新規方法を開示する。本明細書中に開示される発明は、米国仮特許出願第60/643,927号;同第60/644,464号;および同第60/644,428号に対応する同時係属中の特許出願において開示される発明に関連し、その4つ全ての出願は、同一年月日に出願されている。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
トロンビンは、異なる細胞型において種々の活性を有することが公知であり、そしてトロンビンレセプターは、ヒトの血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞、および線維芽細胞のような細胞型に存在することが公知である。トロンビンレセプターアンタゴニストは、血栓性障害、炎症性障害、アテローム硬化性障害および線維増殖性(fibroproliferative)障害、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理学的役割を果たす他の障害の処置に有用であり得る。例えば、特許文献1(その開示は、参考として援用される)を参照のこと。
【0003】
1つのトロンビンレセプターアンタゴニストは、化合物A:
【0004】
【化25】


およびその塩である。
【0005】
この化合物は、経口で生物学的に利用可能なトロンビンレセプターアンタゴニストであり、この化合物は、ヒンバシンから誘導される。化合物Aは、化合物2A:
【0006】
【化26】


から合成され得、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、そしてR、RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールからなる群より選択されるか;または、RおよびRは、RおよびRが結合される炭素原子と一緒になって、環員として0個〜3個のヘテロ原子を有する5員環〜7員環を形成する。
【0007】
類似するヒンバシンアナログのトロンビンレセプターアンタゴニストの合成のための方法は、特許文献2、および米国特許出願第10/412,982号明細書において開示され、そして特定のヒンバシンアナログの硫酸水素塩の合成は、米国特許出願第10/755,066号明細書(その開示は、本明細書中に参考として援用される)において開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献2】米国特許第6,063,847号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
化合物1:
【化1】


を調製するための方法であって、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;そしてRは、ハロゲン、−CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−COORからなる群より選択され、Rは、H、C−Cアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群より選択され、該方法は、
(a)化合物2A:
【化2】


を還元する工程であって、Rは、上に定義されるとおりであり、そしてRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールからなる群より選択されるか;または、RおよびRは、RおよびRが結合される炭素原子と一緒になって、環員として0個〜3個のヘテロ原子を有する5員環〜7員環を形成して、2B:
【化3】


を形成し、次いで2Bの加水分解によって式3:
【化4】


の化合物を生成し、Rは、上に定義されるとおりである、工程;
(b)化合物3をアミノ化して、化合物4:
【化5】


を生成する工程であって、Rは、上に定義されるとおりであり、そしてRおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される、工程;
(c)化合物4を化合物5:
【化6】


に変換する工程であって、RおよびRは、上に定義されるとおりである、工程;
(d)化合物5を化合物6:
【化7】


に変換する工程であって、RおよびRは、上に定義されるとおりである、工程;ならびに、
(e)化合物6を化合物1:
【化8】


に変換する工程;
を包含する、方法。
(項目2)
化合物1と、有機酸または無機酸とを反応させて、薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記酸は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、およびメタンスルホン酸からなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目4)
上記薬学的に受容可能な塩は、硫酸水素塩である、項目2に記載の方法。
(項目5)
化合物1は、該化合物と硫酸とを反応させることによって、該化合物の硫酸水素塩に変換される、項目4に記載の方法。
(項目6)
化合物6は、化合物7:
【化9】


と反応して、化合物1を生成し、RおよびRは、上に定義されるとおりである、項目1に記載の方法。
(項目7)
化合物7は、構造7A:
【化10】


を有し、該化合物7Aは、化合物8:
【化11】


を、化合物7Aを生成するリン酸エステルを用いてエステル化することによって調製される、項目6に記載の方法。
(項目8)
化合物8は、3−ブロモ−5−メチルピリジンと3−フルオロフェニルボロン酸とを反応させることによって調製される、項目7に記載の方法。
(項目9)
化合物4は、化合物4とアルキルハロホルメートとを反応させることによって、化合物5に変換される、項目1に記載の方法。
(項目10)
化合物5は、DMFの存在下において化合物5と塩化オキサリルとを反応させ、次いで還元することによって、化合物6に変換される、項目1に記載の方法。
(項目11)
化合物2Aは、化合物9:
【化12】


を環化することによって調製され、R、R、RおよびRは、上に定義されるとおりである、項目1に記載の方法。
(項目12)
化合物A:
【化13】


を調製するための方法であって、
(a)化合物2B:
【化14】


を加水分解して、化合物3:
【化15】


を生成する工程;
(b)化合物3をアミノ化して、化合物4:
【化16】


を生成する工程;
(c)化合物4を化合物5:
【化17】


に変換する工程;
(d)化合物5を化合物6:
【化18】


に変換する工程;および
(e)化合物6を化合物A:
【化19】


に変換する工程;
を包含する、方法。
(項目13)
化合物Aと、有機酸または無機酸とを反応させて、薬学的に受容可能な塩を形成する工程をさらに包含する、項目12に記載の方法。
(項目14)
上記薬学的に受容可能な塩は、硫酸水素塩である、項目13に記載の方法。
(項目15)
化合物6は、化合物7A:
【化20】


と反応されて、化合物1を生成する、項目12に記載の方法。
(項目16)
化合物7Aは、塩基によって処理されて、カルボアニオンを形成し、次いで化合物6は、該カルボアニオンによって処理される、項目15に記載の方法。
(項目17)
上記塩基は、有機リチウム塩基および水素化金属塩基からなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
上記塩基は、LDAである、項目15に記載の方法。
(項目19)
化合物7Aは、化合物8:
【化21】


を、化合物7Aを生成するリン酸エステルを用いてエステル化することによって調製される、項目15に記載の方法。
(項目20)
化合物8は、3−ブロモ−5−メチルピリジンと3−フルオロフェニルボロン酸とを反応させることによって調製される、項目18に記載の方法。
(項目21)
化合物4は、化合物4とアルキルハロホルメートとを反応させることによって、化合物5に変換される、項目12に記載の方法。
(項目22)
化合物5は、DMFの存在下において化合物5と塩化オキサリルとを反応させ、次いでtert−アミンの存在下において水素添加を行うことによって、化合物6に変換される、項目12に記載の方法。
(項目23)
化合物2Bは、化合物9:
【化22】


を環化することによって調製され、Rは、Hである、項目12に記載の方法。
(項目24)
以下の式:
【化23】


のうちのいずれかの化合物であって、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、そしてRおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される、化合物。
(項目25)
【化24】


からなる群より選択される、化合物。
(発明の要旨)
本願は、化合物2Aからヒンバシンアナログを調製するための改良された方法を提供する。その改良された方法は、結晶化を用いたより容易な精製、より容易なスケール拡大性(scalability)、および所望の鏡像異性体に対する改良された歩留まりのうちの少なくとも1つを可能にし得る。
【0010】
本発明の1つの局面は、化合物1:
【0011】
【化27】


を調製するための方法であって、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;そしてRは、ハロゲン、−CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、および−COORからなる群より選択され、Rは、H、C−Cアルキル、フェニル、およびベンジルからなる群より選択され、上記方法は、
(a)化合物2A:
【0012】
【化28】


を還元する工程であって、Rは、上に定義されるとおりであり、そしてRは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールであり;RおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロアリールからなる群より選択されるか;または、RおよびRは、RおよびRが結合される炭素原子と一緒になって、環員として0個〜3個のヘテロ原子を有する5員環〜7員環を形成して、2B:
【0013】
【化29】


を形成し、次いで2Bの加水分解によって式3:
【0014】
【化30】


の化合物を生成し、Rは、上に定義されるとおりである、工程;
(b)化合物3をアミノ化して、化合物4:
【0015】
【化31】


を生成する工程であって、Rは、上に定義されるとおりであり、そしてRおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される、工程;
(c)化合物4を化合物5:
【0016】
【化32】


に変換する工程であって、RおよびRは、上に定義されるとおりである、工程;
(d)化合物5を化合物6:
【0017】
【化33】


に変換する工程であって、RおよびRは、上に定義されるとおりである、工程;ならびに、
(e)化合物6と化合物7:
【0018】
【化34】


とを反応させて、化合物1を調製する工程を包含する。いくつかの実施形態において、化合物7は、塩基によって処理され、次いでそのカルボアニオン生成物は、化合物6と反応される。好ましくは、上記塩基は、有機金属化合物である。より好ましくは、上記塩基は、有機リチウム化合物である。さらになお好ましくは、上記塩基は、LDAである。
【0019】
いくつかの実施形態において、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、Rは、3−フルオロである。いくつかの実施形態において、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態において、化合物7は、構造7A:
【0020】
【化35】


を有し、該化合物7Aは、化合物8:
【0021】
【化36】


を、化合物7Aを生成するリン酸エステルを用いてエステル化することによって調製される。いくつかの実施形態において、上記リン酸エステルは、ジアルキルハロホスフェートである。いくつかの実施形態において、上記ジアルキルハロホスフェートは、ジエチルクロロホスフェートである。いくつかの実施形態において、化合物8は、3−ブロモ−5−メチルピリジンと3−フルオロフェニルボロン酸とを反応させることによって調製される。
【0022】
いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。いくつかの実施形態において、Rは、水素、アルキル、およびアリールアルキルからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、Rは、アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンジルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、RおよびRが結合される炭素と一緒になって、5員の複素環を形成する。いくつかの実施形態において、上記5員の複素環は、3個の炭素原子および2個の酸素原子を含む。いくつかの実施形態において、RおよびRは、それぞれHである。
【0023】
いくつかの実施形態において、化合物2Aは、貴金属触媒の存在下において、水素によって還元される。
【0024】
いくつかの実施形態において、化合物3は、貴金属触媒の存在下においてアンモニウム塩によってアミノ化される。いくつかの実施形態において、上記アンモニウム塩は、ギ酸アンモニウムである。いくつかの実施形態において、上記貴金属触媒は、パラジウム炭素である。
【0025】
いくつかの実施形態において、化合物4は、化合物4とアルキルハロホルメートとを反応させることによって化合物5に変換される。いくつかの実施形態において、上記アルキルハロホルメートは、アルキルクロロホルメートである。いくつかの実施形態において、上記アルキルクロロホルメートは、エチルクロロホルメートである。
【0026】
いくつかの実施形態において、化合物5は、DMFの存在下において化合物5と塩化オキサリルとを反応させ、次いで還元することによって、化合物6に変換される。
【0027】
いくつかの実施形態において、化合物2Aは、化合物9:
【0028】
【化37】


を環化することによって調製され、R、R、RおよびRは、上に定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、RおよびRが結合される水素と一緒になって、5員の複素環を形成する。Rは、アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンジルである。
【0029】
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物A:
【0030】
【化38】


を調製するための方法を包含し、上記方法は、
(a)化合物2B:
【0031】
【化39】


を加水分解して、化合物3:
【0032】
【化40】


を生成する工程;
(b)化合物3をアミノ化して、化合物4:
【0033】
【化41】


を生成する工程;
(c)化合物4を化合物5:
【0034】
【化42】


に変換する工程;
(d)化合物5を化合物6:
【0035】
【化43】


に変換する工程;および、
(e)化合物6を化合物A:
【0036】
【化44】


に変換する工程を包含する。
【0037】
いくつかの実施形態において、化合物6は、化合物7A:
【0038】
【化45】


と反応されて、化合物Aを生成する。いくつかの実施形態において、化合物7Aは、塩基によって処理され、次いで上記カルボアニオン生成物は、化合物6と反応される。いくつかの実施形態において、上記塩基は、有機金属化合物である。いくつかの実施形態において、上記有機金属化合物は、有機リチウム化合物である。いくつかの実施形態において、上記有機リチウム化合物は、LDAである。いくつかの実施形態において、化合物7Aは、化合物8:
【0039】
【化46】


を、化合物7Aを生成するリン酸エステルを用いてエステル化することによって調製される。いくつかの実施形態において、上記リン酸エステルは、ジアルキルハロホスフェートである。いくつかの実施形態において、上記ジアルキルハロホスフェートは、ジエチルクロロホスフェートである。いくつかの実施形態において、上記エステル化は、塩基の存在下において行なわれる。いくつかの実施形態において、上記塩基は、ジアルキルリチウムアミドである。いくつかの実施形態において、上記ジアルキルリチウムアミドは、ジイソプロピルリチウムアミドである。いくつかの実施形態において、化合物8は、3−ブロモ−5−メチルピリジンと3−フルオロフェニルボロン酸とを反応させることによって調製される。いくつかの実施形態において、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、エチルである。いくつかの実施形態において、化合物2Bは、鉱酸によって加水分解される。いくつかの実施形態において、化合物3は、貴金属触媒の存在下においてアンモニウム塩によってアミノ化される。いくつかの実施形態において、上記アンモニウム塩は、ギ酸アンモニウムである。いくつかの実施形態において、上記貴金属触媒は、パラジウム炭素である。いくつかの実施形態において、化合物4は、化合物4とアルキルハロホルメートとを反応させることによって、化合物5に変換される。いくつかの実施形態において、上記アルキルハロホルメートは、アルキルクロロホルメートである。いくつかの実施形態において、上記アルキルクロロホルメートは、エチルクロロホルメートである。いくつかの実施形態において、化合物5は、DMFの存在下において化合物5と塩化オキサリルとを反応させ、次いでtert−アミンの存在下において水素添加を行うことによって、化合物6に変換される。いくつかの実施形態において、化合物2Bは、化合物9:
【0040】
【化47】


を環化することによって調製され、Rは、上に定義されるとおりである。いくつかの実施形態において、Rは、アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンジルである。
【0041】
いくつかの実施形態において、化合物1は、有機酸または無機酸とさらに反応されて、薬学的に受容可能な塩を形成する。いくつかの実施形態において、上記酸は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、およびメタンスルホン酸からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記薬学的に受容可能な塩は、硫酸水素塩である。
【0042】
本発明の別の局面は、新規化合物3:
【0043】
【化48】


であり、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される。
【0044】
本発明の別の局面は、新規化合物4:
【0045】
【化49】


であり、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、
そしてRおよびRは、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される。
【0046】
本発明のなお別の局面は、以下の式:
【0047】
【化50】


の新規化合物であり、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、そして、
は、アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明は、任意の以下の化合物を包含する:
【0049】
【化51】


本発明のさらなる理解は、以下の発明の詳細な説明からもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(発明の詳細な説明)
以下の定義および用語は、本明細書中で使用されるか、または他に、当業者に公知である。特に記載される場合を除いて、この定義は、明細書および特許請求の範囲の全体を通して適用される。化学名、一般名および化学構造は、同じ構造を記載するために、交換可能に使用され得る。これらの定義は、特に示されない限り、用語が単独かまたは他の用語と組み合わせて使用されるか否かにかかわらず適用される。したがって、「アルキル」の定義は、「アルキル」に適用され、そしてその定義は、「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分に適用される。
【0051】
逆のことが公知でないか、記載されないか、または示されない限り、複数項(multiple term)の置換基(単一部分を同定するために組み合わせられる2以上の項)が対象の構造に結合するための点は、その複数項の置換基の最後に指名された項を介する。例えば、シクロアルキルアルキル置換基は、その置換基の後者の「アルキル」部分を介して標的とする構造に結合する(例えば、構造−アルキル−シクロアルキル)。
【0052】
式において1回より多く出現する各変数の同一性(identity)は、特に示されない限り、独立して、その変数についての定義から選択され得る。
【0053】
逆のことが記載されないか、示されないか、またはそうでなければ公知でない限り、共有結合性の化合物についての化学式中に示される全ての原子は、通常の原子価を有する。したがって、水素原子、二重結合、三重結合および環構造は、一般化学式において明示的に示されなくてもよい。
【0054】
二重結合は、適切な場合、化学式中の原子の周りに存在する括弧によって表され得る。例えば、カルボニル官能性、−CO−、はまた、−C(O)−、または−C(=O)−によって化学式中に表され得る。当業者は、共有結合した分子における二重結合(および三重結合)の存在または非存在を決定し得る。例えば、カルボキシル官能性が−COOH、−C(O)OH、−C(=O)OHまたは−COHによって表され得ることは、容易に認識される。
【0055】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロ原子」は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子を意味する。同じ基の中の複数のヘテロ原子は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0056】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直線状または分枝状であり得る脂肪族炭化水素基を意味し、そしてその鎖中に1個〜約24個の炭素原子を含む。好ましいアルキル基は、その鎖中に1個〜約15個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、その鎖中に1個〜約6個の炭素原子を含む。「分枝状」は、1個以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖アルキル鎖に結合されることを意味する。上記アルキルは、ハロ、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)(このアルキルは、同一であっても異なっていてもよい)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の置換基によって置換され得る。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0057】
「アルケニル」は、鎖中に1個以上の二重結合を含む脂肪族炭化水素基(直線状または分枝状の炭素鎖)を意味し、そしてその二重結合は、共役であっても非共役であってもよい。有用なアルケニル基は、その鎖中に2個〜約15個の炭素原子を含み得、好ましくはその鎖中に2個〜約12個の炭素原子を含み得、そしてより好ましくはその鎖中に2個〜約6個の炭素原子を含み得る。上記アルケニル基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノおよびアルコキシからなる群より独立して選択される1個以上の置換基によって置換され得る。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−エニルおよびn−ペンテニルが挙げられる。
【0058】
アルキル鎖またはアルケニル鎖が他の2つの変数を結合し、したがって二価である場合、それぞれ、用語アルキレンおよび用語アルケニレンが、使用される。
【0059】
「アルコキシ」は、アルキル基がこれまでに記載されるとおりであるアルキル−O−基を意味する。有用なアルコキシ基は、1個〜約12個の炭素原子(好ましくは1個〜約6個の炭素原子)を含み得る。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが挙げられる。上記アルコキシのアルキル基は、エーテルの酸素を介して隣接する部分に連結される。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、非置換または置換であり、飽和した、安定な、非芳香族の、化学的に実現可能な炭素環式環を意味し、この炭素環式環は、好ましくは3個〜15個の炭素原子(より好ましくは、3個〜8個の炭素原子)を有する。シクロアルキル炭素環ラジカルは、飽和され、そして1個〜2個のシクロアルキル、芳香環、複素環または芳香族複素環と縮合(例えば、ベンゾ縮合(benzofuse))され得る。上記シクロアルキルは、安定な構造をもたらす任意の環内炭素原子にて結合され得る。好ましい炭素環式環は、5個〜6個の炭素原子を有する。シクロアルキルラジカルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0061】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基(直線状でも分枝状でもよい)を意味し、そしてこの脂肪族炭化水素基は、その鎖中に約2個〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2個〜約10個の炭素原子を有し;そしてより好ましくは、その鎖中に約2個〜約6個の炭素原子を有する。分枝状は、1個以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が直鎖アルキニル鎖に結合されることを意味する。適切なアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニル、およびデシニルが挙げられる。上記アルキニル基は、同一であっても異なっていてもよい1個以上の置換基によって置換され得、各置換基は、独立して、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群より選択される。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、置換または非置換であり、芳香族の、単環式または二環式の、化学的に実現可能な炭素環式環系を意味し、この炭素環式環系は、1個〜2個の芳香環を有する。上記アリール部分は、一般に、6個〜14個の炭素原子を有し、アリール部分の全ての利用可能で置換可能な炭素原子は、結合の可能な点として意図される。代表例としては、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。所望される場合、炭素環式部分は、1個〜5個(好ましくは、1個〜3個)の部分(例えば、モノハロ〜ペンタハロ、アルキル、トリフルオロメチル、フェニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノなど)によって置換され得る。
【0063】
「ヘテロアリール」は、約5個〜約14個の環原子(好ましくは、約5個〜約10個の環原子)からなり、その環系中の原子の1個以上が炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)である、単環式または多環式の芳香環系を意味する。単環式ヘテロアリール基および多環式(例えば、二環式)ヘテロアリール基は、非置換であり得るか、または複数の置換基、好ましくは1個〜5個の置換基、より好ましくは、1個、2個もしくは3個の置換基(例えば、モノハロ〜ペンタハロ、アルキル、トリフルオロメチル、フェニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノなど)によって置換され得る。代表的に、ヘテロアリール基は、5個または6個の原子からなる化学的に実現可能な一環式基、あるいは9個または10個の原子からなる化学的に実現可能な二環式基を表し、その少なくとも1個は、炭素であり、そして、少なくとも1個の酸素原子、イオウ原子または窒素原子を有し、これらは、芳香族特性を与えるのに十分な数のパイ(π)電子を有する炭素環式環で中断されている。代表的なヘテロアリール(ヘテロ芳香族)基は、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾキサゾリル基、オキサゾリル基、ピロリル基、イソキサゾリル基、1,3,5−トリアジニル基およびインドリル基である。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「複素環(heterocyclic ring)」または「複素環(heterocycle)」は、非置換または置換である、飽和、不飽和または芳香族の化学的に実現可能な環を意味し、これは、その環において、炭素原子および1個以上のヘテロ原子から構成される。複素環は、単環式または多環式であり得る。単環式の環は、好ましくは、3個〜8個の原子、より好ましくは、5個〜7個の原子を含む。2個の環からなる多環式の環系は、好ましくは、6個〜16個の原子、最も好ましくは、10個〜12個の原子を含む。3個の環からなる多環式の環系は、好ましくは、13個〜17個の原子、より好ましくは、14個〜15個の原子を含む。各複素環は、少なくとも1個のヘテロ原子を有する。特に記載されない限り、これらのヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択され得る。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「Hal」、「ハロ」、「ハロゲン」および「ハライド」は、クロロ、ブロモ、フルオロまたはヨードの原子ラジカルを意味する。塩化物、臭化物およびフッ化物が、好ましいハライドである。
【0066】
以下の略語は、以下の通りに定義される:LDAは、リチウムジイソプロピルアミドである;EtOHは、エタノールである;Meは、メチルである;Etは、エチルである;Buは、ブチルである;n−Buは、ノルマル(normal)−ブチルであり、t−Buは、tert−ブチルであり、OAcは、アセテートである;KOt−Buは、カリウムtert−ブトキシドである;NBSは、N−ブロモスクシンイミドである;NMPは、1−メチル−2−ピロリジノンである;DMAは、N,N−ジメチルアセトアミドである;n−BuNBrは、臭化テトラブチルアンモニウムである;n−BuNOHは、水酸化テトラブチルアンモニウムであり、n−BuNHSOは、硫化水素テトラブチルアンモニウムであり、そしてequiv.は、当量である。
【0067】
(一般的な合成)
以下のスキームは、化合物2Bから化合物1を調製するための方法を示す。
【0068】
【化52】


工程1:化合物2Bは、米国特許第6,063,847号に記載される方法に従って化合物2Aから調製され得る。化合物2Bは、溶媒中の酸との反応によって化合物3に変換され得る。適切な酸としては、例えば、塩酸および硫酸などの強酸が挙げられる。塩酸が、好ましい。上記溶媒は、上記反応を妨げない任意の有機溶媒であり得る。アセトンが、特に好ましい溶媒である。本発明の1つの局面に従って、化合物2Bは、溶媒としてのアセトン中の1N塩酸との反応によって化合物3に変換される。
【0069】
工程2:次いで、化合物3は、適切なアミノ化条件下においてアミノ化されて、化合物4を生成する。アミノ化は、アミノ化剤を用いて行われ得る。本発明の1つの局面に従って、上記アミノ化剤は、アンモニウム塩(例えば、ギ酸アンモニウム)である。上記アミノ化は、好ましくは、溶媒(好ましくは、アルコール(例えば、低級アルカノール))中で行なわれる。エタノールが、好ましい。アミノ化剤の添加後、その反応混合物は、貴金属触媒と合わせられる。種々の貴金属触媒(例えば、種々の型のキャリア上のパラジウムまたは白金)が、適切である。1種より多い貴金属が、その触媒として使用され得る。好ましい触媒は、活性炭支持体上のパラジウムである。
【0070】
工程3:次いで、化合物4のアミン部分は、対応するカルバメート5に変換される。その変換は、アルキルハロホルメートを用いて行われ得る。エチルクロロホルメートが、好ましい。その反応を塩基(例えば、強力な水性塩基)の存在下において行なうことは、有利であり得る。適した塩基の適切であり非限定的な例としては、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。水酸化ナトリウムが、好ましい。その反応の完了後、化合物5は、結晶化によって単離され得る。
【0071】
工程4:次いで、上記カルバミン酸5は、カルバメートアルデヒド6に変換される。これは、例えば、塩化オキサリルを用いて、溶媒の存在下において行われ得る。触媒量のDMFが、利用され得る。適切な溶媒としては、有機溶媒(例えば、THF)が挙げられる。次いで、過剰の塩化オキサリルが、除去され、そしてその反応混合物は、還元条件に供される。水素添加条件が、好ましい。適切な水素添加条件は、50〜200psiの範囲(例えば、100psi)の圧力にて水素ガスを提供することを含む。その水素添加は、水素添加触媒、および例えば、ルチジンのようなtert−アミンの存在下において有利に行なわれる。このような触媒は、当業者に公知であり、そしてその触媒としては、例えば、支持体上の貴金属が挙げられる。好ましい水素添加触媒は、活性炭上のパラジウムである。
【0072】
工程5:次いで、化合物6上のアルデヒド官能性は、以下の通り、リン酸エステル7と反応されて、化合物1を生成する:
【0073】
【化53】


上記の反応は、好ましくは、溶媒中であり、かつ化合物7と化合物6とを接触させる前に化合物7を塩基によって処理することによって行なわれる。適切な溶媒としては、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)が挙げられる。好ましい塩基としては、有機金属化合物が挙げられ、その例としては、アルキルリチウム化合物、リチウムヘキサジメチルシラジド(silazide)、ナトリウムヘキサジメチルシラジド、リチウムジイソプロピルアミド、n−ブチルリチウムなどが挙げられる。好ましい塩基は、LDAである。
【0074】
本発明の1つの局面に従って、好ましいリン酸エステルは、以下の化合物7Aである:
【0075】
【化54】


化合物7Aは、化合物8:
【0076】
【化55】


をジエチルクロロホスフェートによって処理することによって化合物8から調製され得る。化合物8は、Kyoku,Kagehiraら、「Preparation of (haloaryl)pyridines」(API Corporation,Japan).日本公開特許公報(2004).13pp.CODEN:JKXXAF JP 2004182713 A2 20040702によって記載される方法によって得られ得る。次いで、化合物8は、リン酸エステル(例えば、ジアルキルハロホスフェート)と反応されて、化合物7Aを生成する。ジエチルクロロホスフェートが、好ましい。その反応は、好ましくは、ジアルキルリチウム(dialkylithium)アミド(例えば、ジイソプロピルリチウムアミド)のような塩基の存在下において行なわれる。
【0077】
化合物1は、さらに有機酸と反応されて、薬学的に受容可能な塩を形成し得る。適切な酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、およびメタンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、薬学的に受容可能な塩を化合物1と形成し得る任意の酸が、適切であり得る。
【実施例】
【0078】
(特定の合成)
(実施例1−化合物3の調製)
【0079】
【化56】


撹拌機と、温度計と、窒素とを備えた反応器に、約10.5kgの2B、68Lのアセトンおよび68Lの1N塩酸水溶液を添加した。その混合物を、50℃と60℃との間の温度に加熱し、そして室温に冷却する前に約1時間撹拌した。その反応が完了したと判断した後、その溶液を、減圧下において約42Lまで濃縮し、次いで0℃と5℃との間の温度に冷却した。その冷却した混合物を、さらに1時間撹拌した。生成物3を、濾過し、冷水によって洗浄し、そして乾燥して、くすんだ白色の固形物を得た(6.9kg、収率76%)。融点251℃。
【0080】
【化57】


(実施例2−化合物4の調製)
【0081】
【化58】


7.4kgのギ酸アンモニウムを、15〜25℃にて9Lの水に溶解し、次いで0〜10℃に冷却した。8.9kgの化合物3を、0〜15℃にて充填し、次いで89Lの2Bエチルアルコールを添加した。そのバッチを、0〜5℃に冷却した。0.9kgの10%パラジウム炭素(50%湿潤)および9Lの水を、充填した。次いでそのバッチを、18〜28℃に温め、そして温度を18〜28℃の間に維持しながら5時間撹拌した。その反応が完了したと判断した後、71Lの水を、充填した。そのバッチを、濾過し、次いで、湿潤した触媒のケークを、80Lの水によって洗浄した。その濾液のpHを、4N塩酸水溶液によって1〜2に調整した。その溶液を、さらに単離することなく次の処理工程に使用した。その収率は、代表的に、定量的である。融点216.4℃。
【0082】
【化59】


(実施例3−化合物5の調製)
【0083】
【化60】


撹拌機と、温度計と、窒素インレットチューブとを備えた三つ首丸底フラスコに、水性エタノール中の化合物4の溶液(2870ml中の100g活性)を添加した。その溶液を、減圧下で35℃〜40℃にて約700mlまで濃縮して、エチルアルコールを除去した。得られた均一な混合物を、20℃〜30℃に冷却し、そしてそのpHを、温度を20〜30℃に維持しながら250mlの25%水酸化ナトリウム溶液によって12〜13の範囲に調整した。次いで82mlのエチルクロロホルメートを、そのバッチの温度を20℃〜30℃に維持しながら1時間掛けてそのバッチにゆっくりと添加し、そしてさらに30分間熟成させた。その反応が完了したと判断した後、そのバッチを、10mlの濃塩酸(37%)および750mlの酢酸エチルによってpH7〜8に酸性化した。その反応混合物のpHを、35%塩酸水溶液によって、さらにpH2〜3に調整した。その有機層を、分離し、そしてその水層を、750mlの酢酸エチルによって再び抽出した。合わせた有機層を、水(200ml)によって2回洗浄した。化合物5を、約70℃〜80℃にて、酢酸エチルとヘプタンとの混合物(1:1混合物、1500ml)からの結晶化によってその有機層から単離した。その固形物を、50℃〜60℃にて濾過し、ヘプタンによって洗浄し、次いで乾燥して、くすんだ白色の固形物を得た(収率50%)。融点197.7℃。
【0084】
【化61】


(実施例4−化合物7Aの調製)
【0085】
【化62】


撹拌機と、温度計と、窒素インレットチューブとを備えた10Lの三つ首丸底フラスコに、200gの化合物8(1.07mol、Synergetica、Philadelphia、Pennsylvania製)を添加した。THF(1000mL)を、添加して、化合物8を溶解した。その溶液を−80℃〜−50℃に冷却した後、ヘキサン/THF(1175mL、2.2当量)中の2.0M LDAを、そのバッチの温度を−50℃以下に維持しながら添加した。−80℃〜−50℃における約15分間の撹拌後、ジエチルクロロホスフェート(185mL、1.2当量)を、そのバッチの温度を−50℃以下に維持しながら添加した。その混合物を、−80℃〜−50℃の温度にて約15分間撹拌し、そしてn−ヘプタン(1000mL)によって希釈した。この混合物を、約−35℃まで温め、そして−10℃以下の温度にて塩化アンモニウム水溶液(1400mLの水中に400g)によってクエンチした。この混合物を、−15℃〜−10℃にて約15分間撹拌し、次いで15℃〜25℃にて約15分間撹拌した。その水層を、分離し、そしてトルエン(400mL)によって抽出した。合わせた有機層を、2N塩酸(700mL)によって2回抽出した。生成物を含む塩酸層を、合わせ、そしてトルエン(1200mL)と、炭酸カリウム水溶液(800mLの水中に300g)との混合物に30℃以下の温度にてゆっくりと添加した。その水層を、トルエン(1200mL)によって抽出した。その有機層を、合わせ、そして真空下で約600mlに濃縮し、そして濾過して、無機塩類を除去した。その濾液に、約55℃にてn−ヘプタン(1000ml)を添加した。その混合物を、40℃にゆっくりと冷却し、シーディングし、そしてさらに−10℃までゆっくりと冷却した。得られたスラリーを、約−10℃にて1時間熟成させ、濾過し、n−ヘプタンによって洗浄し、そして真空下で乾燥して、薄茶色の固形物を得た(294g、収率85%)。融点52℃(DSC開始点)。
【0086】
【化63】


(実施例5−化合物6の調製)
【0087】
【化64】


撹拌機と、温度計と、窒素インレットとを備える三つ首フラスコに、化合物5の粗生成物溶液(300mLの溶液中に約31gの化合物5を含む)および無水DMF(0.05mL)を添加した。混合物を5分間撹拌した後、塩化オキサリル(12.2mL)を、そのバッチの温度を15℃と25℃との間に維持しながらゆっくりと添加した。その反応混合物を、この添加後、約1時間撹拌し、そして反応の完了についてNMRによって確認した。その反応が完了したと判断した後、その混合物を、その反応混合物の温度を30℃以下に維持しながら真空下で135mLに濃縮した。過剰の塩化オキサリルを、50℃以下にて2サイクルの真空濃縮(各回に、トルエン(315mL)の補充を伴う)によって完全に除去し、68mLの最終体積を生じた。次いでその反応混合物を、THF(160mL)および2,6−ルチジン(22mL)を添加した後に、15℃〜25℃に冷却した。その混合物を、5%の乾燥Pd/C(9.0g)の存在下において、100psiの水素下で20℃〜25℃にて16時間撹拌した。その反応が完了したと判断した後、その反応混合物を、セライトを通して濾過して、触媒を除去した。さらにTHFを、添加して、還元装置(hydrogenator)および触媒をリンスし、そしてその反応混合物を、セライトを通して再び濾過した。合わせた濾液を、25℃以下にて真空下で315mLに濃縮した。MTBE(158mL)およびリン酸の10%水溶液(158mL)を、2,6−ルチジンを除去するための10℃における徹底的な抽出のために添加した。次いでリン酸を、非常に希薄な炭酸水素ナトリウム水溶液(約2%)によってその有機層を抽出し、次いで希薄なブラインによって洗浄することによって除去した。その有機溶液を、溶媒の置換のために大気によって(atmospherically)90mLの体積に濃縮した。IPA(315mL)を、濃縮した粗生成物溶液に添加した。残りの残留溶媒を、68mLまで真空下で繰り返し濃縮すること(各濃縮の前にIPA(315mL)の補充を伴う)によって≦0.5%のTHF(GCによる)までパージした。その濃縮(68mL)したIPA溶液を、50℃に加熱して、結晶化を開始した。この混合物に、n−ヘプタン(68mL)を、そのバッチの温度を50℃に維持しながら非常にゆっくりと添加した。結晶化する混合物を、25℃まで2.5時間にわたって非常にゆっくりと冷却した。さらなるn−ヘプタン(34mL)を、25℃にてその懸濁混合物に、非常にゆっくりと添加した。その混合物を、さらに20℃に冷却し、そしてその温度にて約20時間にて熟成させた。その固形物を、濾過し、そしてn−ヘプタン中の25% IPAの溶媒混合物によって洗浄し、次いで乾燥して、19.5gの化合物6のベージュ色の固形物を得た(収率:66%)。融点169.3℃。
【0088】
【化65】


(実施例6−化合物Aの調製)
【0089】
【化66】


撹拌機と、温度計と、窒素挿入口(inertion)とを備える三つ首フラスコに、7A(13.0g)、THF(30mL)を添加した。その混合物を、リチウムジイソプロピルアミド(2M、20mL)をゆっくりと添加した後に、−20℃以下に冷却した。その反応混合物を、さらに1時間撹拌した(溶液A)。別のフラスコにを、6(10.0g)およびTHF(75mL)を添加した。その混合物を、約30分間撹拌し、次いで温度を−20℃以下に維持しながら溶液Aにゆっくりと移した。その混合物を、20mLの水を添加することによってその反応をクエンチする前に、−20℃にてさらに1時間撹拌した。その反応混合物を、0℃に温め、そしてそのpHを、25% HSO(11mL)の添加によって約7に調整した。その混合物を、さらに20℃に温め、次いで100mLの酢酸エチルおよび70mLの水によって希釈した。形成した2つの層を、分離し、そしてその水層を、50mLの酢酸エチルによって抽出した。次いで、溶媒であるTHFおよび酢酸エチルを、エタノールに置換し、そして化合物Aを、35℃〜40℃におけるシーディングによってエタノールから結晶固形物として析出させた。0℃に冷却した後、その懸濁液を、さらに1時間撹拌し、次いでその生成物を、濾過し、そして冷エタノールによって洗浄した。その生成物を、50〜60℃にて真空下で乾燥して、くすんだ白色の固形物を得た。収率:12.7g(90%)。融点104.9℃(DSC開始点)。
【0090】
【化67】


(実施例7−化合物Aの酸塩(硫酸水素塩)の調製)
【0091】
【化68】


化合物1A(5g)を、約25mLのアセトニトリルに溶解した。その溶液を、約10分間撹拌し、次いで約50℃に加熱した。約6mLのアセトニトリル中の2M硫酸を、その加熱した反応混合物に添加した。化合物Aの固形物の塩が、アセトニトリル中の硫酸を添加する間に析出した。硫酸溶液の添加後、その反応混合物を、室温に冷却する前に1時間撹拌した。その析出した固形物を、濾過し、そして約30mLのアセトニトリルによって洗浄した。その湿潤した固形物を、室温にて真空下で1時間乾燥し、そして真空下で80℃にて約12時間乾燥して、約5gの白色の固形物を得た(収率85%)。融点217.0℃。
【0092】
【化69】


本発明は、上に示された特定の実施形態と関連して記載されているが、その多くの代替、改変およびバリエーションが、当業者に明らかである。全てのこのような代替、改変およびバリエーションは、本発明の精神および範囲の範囲内に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2011−46751(P2011−46751A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275168(P2010−275168)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【分割の表示】特願2007−551396(P2007−551396)の分割
【原出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】