説明

ヒータ

【課題】 燃料点火時のセラミックヒータの温度を比較的低温に設定しても、ガスなどの燃料を確実に着火でき、耐久性が向上し長寿命のヒータを提供する。
【解決手段】 本発明のヒータは、絶縁基体2と、絶縁基体2の内部に埋設された抵抗体3とを含み、絶縁基体2の側面に凹凸7が設けられていることを特徴とする。これにより、ガスの流れに対して主面が垂直に側面が平行となるようにヒータを配置したときに、ヒータの側面付近を通過するガスの流れが乱され、ヒータの裏面までガスが流れ込み、ガスとヒータとの接触時間が長くなる。したがって、ヒータの温度を低く設定でき、ヒータの寿命を延ばすことができる。また、ガスに対して抗力が大きくなり、発生した乱流によってガスと空気が混合されて着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃焼式車載暖房装置における点火用ヒータ、石油ファンヒータ等の各種燃焼機器の点火用ヒータ、測定機器の加熱用ヒータ等に利用されるヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスや灯油等を使用する各種燃焼機関の点火用及び各種加熱機器の加熱用ヒータは、セラミックスなどの絶縁基体の内部に高融点金属の抵抗体を埋設して形成されている。通常、これらのヒータは、セラミックグリーンシートを積層またはプレス成型するなどして成型して焼成されるため、板状、角柱状、円柱状といった比較的単純な形状を呈する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−242020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天然ガス、プロパンガスのようなガスを使用する各種燃焼機器においてはガスの着火温度は1100℃以上と非常に高温になる。耐熱性の高いセラミックを使用した場合においても、経時的に組織の劣化が進み、耐久性が不十分となり寿命が短くなってしまう。そのため、着火温度を下げる必要がある。
【0005】
本発明の目的は、燃料点火時のセラミックヒータの温度を比較的低温に設定しても、ガスなどの燃料を確実に着火でき、これにより耐久性が向上し長寿命であるヒータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒータは、絶縁基体と、該絶縁基体の内部に埋設された抵抗体とを含み、前記絶縁基体の側面に凹凸が設けられていることを特徴とするヒータである。
【0007】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記凹凸が前記側面の長さ方向に沿って設けられた複数の突条部からなることを特徴とするヒータである。
【0008】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記突条部が曲線状であることを特徴とするヒータである。
【0009】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記突条部の一部に切欠きを有していることを特徴とすることを特徴とするヒータである。
【0010】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記凹凸が点在する複数の凹みからなることを特徴とするヒータである。
【0011】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記凹凸が対向する一対の側面に設けられていることを特徴とするヒータである。
【0012】
また、本発明のヒータは、上記の構成において、前記凹凸の形状が前記対向する一対の
側面の間で異なっていることを特徴とするヒータである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヒータによれば、ガスの流れに対して主面が垂直に側面が平行となるようにヒータを配置したときに、ヒータの側面付近を通過するガスの流れが乱され、ヒータの裏面までガスが流れ込み、ガスとヒータとの接触時間が長くなる。したがって、ヒータの温度を低く設定でき、ヒータの寿命を延ばすことができる。
【0014】
また、ガスに対して抗力が大きくなり、発生した乱流によってガスと空気が混合されて着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明のヒータの実施の形態の一例を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すヒータの内部透視図である。
【図2】(a)は図1(a)に示すA−A線断面図であり、(b)は(a)に示すヒータの要部を示す概略斜視図である。
【図3】(a)は本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すヒータの要部を示す概略斜視図である。
【図4】(a)は本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すヒータの要部を示す概略斜視図である。
【図5】本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す側面図である。
【図6】本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図7】本発明のヒータの実施の形態の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のヒータの実施の形態の例について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1(a)は本発明のヒータの実施の形態の一例を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示すヒータの内部透視図である。また、図2(a)は図1(a)に示すA−A線断面図であり、図2(b)は図1に示すヒータの要部を示す概略斜視図である。
【0018】
図1および図2に示す本実施の形態のヒータ1は、絶縁基体2と、絶縁基体2の内部に埋設された抵抗体3とを含み、絶縁基体2の側面に凹凸7が設けられている。
【0019】
絶縁基体2は、酸化物セラミックス,窒化物セラミックス,炭化物セラミックス等の絶縁性を備えたセラミックスからなり、例えば、アルミナ質セラミックス,窒化珪素質セラミックス,窒化アルミニウム質セラミックス,炭化珪素質セラミックス等を用いることができる。耐熱性の点からは、窒化珪素を用いることが好ましい。
【0020】
絶縁基体2の形状としては、例えば矩形板状、角柱状、円柱状などの形状が挙げられ、図1に示すような矩形板状の場合、例えば幅4〜50mm、厚み1〜20mm、長さ30〜100mmの寸法のものが採用される。
【0021】
絶縁基体2の内部には抵抗体3が埋設されている。この抵抗体3は、縦断面の形状が折返し形状をなしていて、通電することによって先端に位置する折返し形状の中央付近(折返しの中間点付近)が最も発熱する発熱部31となっている。この抵抗体3は絶縁基体2の先端側に埋設されていて、抵抗体3の先端(折返し形状の中央付近)から抵抗体3の後端までの距離は例えば2〜10mmに形成される。なお、抵抗体3の横断面の形状は、円、楕円、矩形などいずれの形状でもよく、通常は後述するリード4よりも断面積が小さくなるように形成される。
【0022】
抵抗体3の形成材料としては、絶縁基体3との同時焼成によって作製が可能なW,Mo,Re等の高融点金属を主成分とするものが好ましい。そして、抵抗体3の熱膨張率を絶縁基体2の熱膨張率に近づけて、ヒータ1の昇温時および降温時の熱膨張率の差による応力を緩和するために、絶縁基体2の成分が含まれていてもよい。
【0023】
絶縁基体2の内部には、一対のリード4および一対の引出電極5が埋設されている。図1に示すものは、一端から他端にかけて折返し形状をなす抵抗体3の両端部(一方の端部および他方の端部)にそれぞれリード4が接合されている。そして、それぞれのリード4は、一端側で抵抗体3と電気的に接続され、他端側で引出電極5と電気的に接続されている。また、引出電極5は、一端側でリード4と電気的に接続され、他端側で絶縁基体2の表面に導出されている。
【0024】
このリード4および引出電極5は、抵抗体3と同様の材料で形成され、例えば、抵抗体3よりも断面積を大きくしたり、絶縁基体2の形成材料の含有量を抵抗体3よりも少なくしたりすることによって、単位長さ当たりの抵抗値が低くなっているものである。
【0025】
絶縁基体2の表面には、図1(a)に示すように、導出された引出電極5と電気的に接続されるように絶縁基体2と熱膨張率の近い金属、例えばFe−Ni−Co合金とNi等の軟質金属からなる電極金具6が取り付けられ、この電極金具6を介して外部回路(図示せず)に接続される。なお、電極金具6は通常絶縁基体2の端部に取り付けられ、この電極金具6と電気的に接続されるように、引出電極5、リード4および抵抗体3のパターンが決められる。
【0026】
そして、図1(a)および図2に示すように、絶縁基体2の側面には凹凸7が設けられている。凹凸7の形状としては様々な形状が挙げられるが、図1(a)および図2に示す例における凹凸7は、側面の長さ方向に沿って設けられた複数の突条部71からなる形状である。この図1(a)および図2に示す例の複数の突条部71からなる形状は、換言すれば、複数の溝72からなる形状である。突条部71の幅および溝72の幅は例えば10〜300μmであり、突条部71の高さおよび溝72の深さは例えば10〜300μmである。そして、それぞれの突条部71の幅、高さおよびそれぞれの溝72の幅、深さは同じであっても異なっていてもよい。
【0027】
通常、ヒータ1は図2(a)に示すように絶縁基体2の主面(面積の広い面)がガスの流れ(図2(a)に示す矢印)に対して垂直となるようにして配置され、面積の狭い側面はガスの流れに対して平行となるように配置される。そして、図2に示すように、この側面に凹凸7が設けられていることにより、ガスの流れに対して主面が垂直、側面が平行となるようにヒータ1を配置したときに、ヒータ1の側面付近を通過するガスの流れが乱され、ヒータ1の裏面までガスが流れ込み、ガスとヒータ1との接触時間が長くなる。したがって、ヒータ1の温度を低く設定でき、ヒータ1の寿命を延ばすことができる。また、ガスに対して抗力が大きくなり、発生した乱流によってガスと空気が混合されて着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすこともできる。
【0028】
ここで、図3に示すように、突条部71は曲線状であってもよい。突条部71が曲線状であることで、ヒータ1の側面付近を通過するガスの流速に差ができてよりガスの流れが乱され、よりガスと空気が混合され着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすことができる。なお、曲線状とはきれいな曲線が並んで形成されているものに限定されず、曲線や直線が入り乱れたものであってもよい。そして、図3(b)に示すように、突条部71は側面の長さ方向の一端から他端まで連続していなくてもよく、連続していない部分があることで、後述の切欠き73のような効果も得られる。
【0029】
また、図4に示すように、突条部71の一部に切欠き73を有していてもよい。突条部71の一部に切欠き73を有していることで、切欠き73を通ったガスが突条部71にあたり、一部のガスが突条部71に沿って長さ方向に流れるため、ガスが攪拌され着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすことができる。なお、切欠き73の幅は、ガスの攪拌性の観点から例えば10〜500μmであるのがよい。また、図4(b)に示すように、切欠き73は、突条部71の一部をまるまる切り欠いて形成されたような突条部71の高さと同じ深さのものであってもよいが、突条部71の高さよりも浅い深さのものであってもよい。さらに、断面で見た切欠き73の形状は、四角形、三角形、半円形などが挙げられ、特に限定はない。
【0030】
また、図5に示すように、凹凸7が点在する複数の凹み74からなる形状であってもよい。凹凸7が点在する複数の凹み74からなる形状であることで、凹み74付近にガスの流れの渦が発生してガスがヒータ1を振動させる力が小さくなり、ヒータ1が振動しにくくなることで騒音の発生を抑えることができる。なお、振動抑制の観点から、凹み74の開口部が円形の場合の直径としては例えば50μm〜1mm、凹み74の深さとしては10〜200μmであるのがよい。
【0031】
また、図1および図2では、絶縁基体2の対向する側面のうちの一方に凹凸7が設けられた構成を示したが、この構成に限定はされず、図6に示すように、凹凸7が対向する一対の側面に設けられていてもよい。なお、図6は、図1(a)に示すA−A線でヒータを切断したときの他の例の断面を示している。凹凸7が対向する一対の側面の両方に設けられていることで、よりガスと空気が混合されて着火しやすくなり、さらにガスの使用量を減らすことができる。
【0032】
また、図7に示すように、凹凸7の形状が対向する一対の側面の間で異なっているのが好ましく、これにより、それぞれの側面付近を通過するガスの流れに差ができて、さらに空気とガスが混合されて着火しやすくなり、ガスの使用量を減らすことができる。なお、図7は、図1(a)に示すA−A線でヒータを切断したときの他の例の断面を示している。
【0033】
凹凸7の形状が対向する一対の側面の間で異なっている例としては、凹凸7が突条部71による場合は、突条部71の幅、高さまたは本数(溝72の幅、深さまたは本数)が異なっていたり、切欠き73の形成位置、形状(幅、深さ)または個数が異なっていたりなどが挙げられる。また、凹凸7が凹み74による場合は、凹み74の大きさ、深さまたは個数などが挙げられるが、特に限定はない。
【0034】
なお、凹凸7は長手方向の側面のみならず短い方向の側面に設けられていてもよい。
【0035】
次に、本実施の形態のヒータの製造方法について説明する。
【0036】
まず、このようなセラミックスからなる絶縁基体を作製するため、アルミナセラミックス、窒化珪素セラミックス、窒化アルミニウムセラミックス、炭化珪素セラミックス等のセラミックス成分に、SiO,CaO,MgO,ZrO等の焼結助剤を含有させて粉体を作製する。
【0037】
その粉体からプレス成型にて成型体を作製する。あるいは、粉体をセラミックスラリーに調製し、シート状に成形して、セラミックグリーンシートを作製する。
【0038】
そして、成型体あるいはセラミックグリーンシートの一方の主面に、抵抗体3となる導
電性ペースト、リード4となる導電性ペーストおよび引出電極5となる導電性ペーストのパターンをそれぞれスクリーン印刷等の手法を用いて形成する。このとき、ヒータの用途に応じて、抵抗体3となる導電性ペーストおよびリード4となる導電性ペーストのパターンの長さや線幅、抵抗体3の折り返しパターンの距離,間隔などを変更することにより、抵抗体3の発熱位置や抵抗値を所望の値に設定する。なお、抵抗体3となる導電性ペーストおよびリード4となる導電性ペーストは、絶縁基体2との同時焼成によって作製が可能なW,Mo,Re等の高融点金属を主成分とし、これらの高融点金属に上記のセラミックス,バインダー,有機溶剤等を調合し混練することで作製したものを用いることができる。
【0039】
この導電性ペーストのパターンが形成された成型体にさらに同一材質の成型体を重ね合わせることで、内部に抵抗体3およびリード4を有する絶縁基体となる成型体が得られる。
【0040】
成型体にかわってセラミックグリーンシートの場合は、導電性ペーストのパターンが形成されたセラミックグリーンシートに、さらに同一材質のセラミックグリーンシートを積層して密着液を用いて密着させることにより、内部に抵抗体3およびリード4を有する絶縁基体となるセラミックグリーンシート成型体が得られる。
【0041】
次に、得られた成型体を複数配置して隣り合う成型体の間(成型体の周囲)に付着防止用の離型材を塗布した仕切り板を挿入する。ここで、仕切り版の表面の少なくとも一部には、凹凸7のパターン形状が形成されている。これにより、成型体を焼成して成型体が焼成収縮する際に、仕切り板の表面形状が成型体に転写され、所望の凹凸形状を得る。ここで、仕切り板の形状を変えることで,さまざまな凹凸形状にすることができる。
【0042】
次に、得られた成型体を、例えば30MPa〜50MPaの圧力下で1500〜1800℃の温度で焼成することにより、ヒータを作製することができる。焼成は、不活性ガス雰囲気中、もしくは還元雰囲気中で行なうことが好ましく、圧力を加えた状態で焼成することが好ましい。
【0043】
なお、側面への凹凸の形成方法としては、仕切り板を挿入して焼成する方法に限られず、例えば研磨などにより荒らす方法であってもよい。
【0044】
最後に、得られた焼結体に電極金具6を取り付ける。具体的には、絶縁基体2の表面に導出された引出電極5と電気的に接続されるように、絶縁基体2の端部に電極金具6を取り付ける。
【0045】
以上の方法によって、本発明のヒータが得られる。
【実施例】
【0046】
本発明の実施例のヒータを以下のようにして作製した。
【0047】
まず、Siを主成分とし、焼結助剤としてイッテリビウム(Yb),イットリウム(Y),エルビウム(Er)等の希土類酸化元素の酸化物と抵抗体に熱膨張率を近づけるようなMoSiやWC等のセラミック導電体を添加したセラミック原料粉体を作製した。
【0048】
そして、前記粉体をプレス成型にて成型し、成型体を得た。
【0049】
次に、高融点金属であるWCとセラミック原料粉体,バインダー,有機溶剤等を調合し
た抵抗体用の導電性ペーストを用いて抵抗体のパターンをスクリーン印刷等の手法を用いて成型体の上に形成した。同様に、リード用の導電性ペーストを用いてリードのパターンをスクリーン印刷等の手法を用いて成型体の上に形成した。さらに、引出電極用の導電性ペーストを用いて引出電極のパターンをスクリーン印刷等の手法を用いて成型体の上に形成した。
【0050】
この導電性ペーストによるパターンが形成された成型体にさらに同一材質の成型体を重ね合わせ、得られた成形体の周囲に付着防止用の離型材を塗布した仕切り板を挿入し、還元雰囲気下、1700℃、35MPaの圧力でホットプレス焼成を行った。
【0051】
ここで、種々の形状の仕切り板を用意して、異なる凹凸を有するヒータ(試料1〜試料8)を作製した。なお、各試料は同じ条件で同時に焼成した。各試料の寸法は厚み1.3mm、幅4.7mm、長さ40mmで、側面の形状だけが異なっている。
【0052】
具体的には、試料1は、側面(1.3mm×40mm)の一方に、幅100μm、高さ20μm、長さ100〜1000μmの突条部をランダムな方向で一面に設けた。
【0053】
試料2は、側面(1.3mm×40mm)の一方に、幅100μm、高さ20μmの突条部を長さ方向に沿って8本設けた。
【0054】
試料3は、側面(1.3mm×40mm)の一方に、幅100μm、高さ20μmの曲線状の突条部を長さ方向に沿って8本設けた。
【0055】
試料4は、側面(1.3mm×40mm)の一方に、幅100μm、高さ20μmの突条部を長さ方向に沿って8本設け、突条部に幅20μm、深さ20μmの切欠きを突条部1本あたり100〜400箇所設けた。
【0056】
試料5は、側面(1.3mm×40mm)の一方に、直径100μm〜400μm、高さ100〜200μmの点状の凹みを50〜200μmの間隔をあけて側面一面に設けた。
【0057】
試料6は、側面(1.3mm×40mm)の両方に、幅100μm、高さ20μmの突条部を長さ方向に沿って8本設けた。
【0058】
試料7は、側面(1.3mm×40mm)の一方に幅100μm、高さ20μmの突状部を長さ方向に沿って8本設け、側面(1.3mm×40mm)の他方には幅300μm、高さ50μmのかまぼこ状の溝を3本設けた。
【0059】
また、試料8として、比較評価用に側面が平坦な従来のヒータを準備した。
【0060】
準備したヒータのうち、試料1と試料8のヒータについて、耐久性試験を行った。
【0061】
具体的には、ガス暖房機に試料をセットして暖房機が着火する温度を調べた後、着火した温度にて30秒間通電し、その後60秒間通電を停止するサイクルにて、繰返しON−OFF試験を実施した。
【0062】
その結果、試料1では、耐久寿命(サイクル数)が約280,000サイクルとなったのに対し、試料8では、耐久寿命(サイクル数)が約50,000サイクルとなった。
【0063】
すなわち、本発明のヒータ(試料1)は従来のヒータ(試料8)に比べ、耐久寿命が3
〜6倍になることがわかった。
【0064】
次に、試料1〜試料8のヒータについて、着火時間を測定した。
【0065】
具体的には、ガス暖房機に試料1〜8のヒータをセットし、ヒータの設定温度を1200℃にして、ガスが着火するまでの時間を調べた。測定回数は10回でその平均値を示す。
【0066】
その結果、試料1の着火時間は約17秒、試料2の着火時間は約16秒、試料3の着火時間は約15秒、試料4の着火時間は約13秒、試料5の着火時間は約16秒、試料6の着火時間は約13秒、試料7の着火時間は約12秒、試料8の着火時間は約25秒となった。
【0067】
すなわち、側面に凹凸を設けることによって着火時間が短縮されることがわかった。
【0068】
さらに、試料5と試料8のヒータについて、ヒータがガスに接触するときに発生する音量を測定した。
【0069】
具体的には、試料5と試料8のヒータに0.2MPaのエアーを噴射し、発生する音の大きさを調べた。
【0070】
その結果、試料5が約52dBに対し、試料8は約67dBとなった。一般的に望ましい音のレベルは0〜60dBと言われており、点在する複数の凹みによって騒音の発生を抑えることができることがわかった。
【符号の説明】
【0071】
1:ヒータ
2:絶縁基体
3:抵抗体
4:リード
5:引出電極
6:電極金具
7:凹凸
71:突条部
72:溝
73:切欠き
74:凹み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基体と、該絶縁基体の内部に埋設された抵抗体とを含み、前記絶縁基体の側面に凹凸が設けられていることを特徴とするヒータ。
【請求項2】
前記凹凸は前記側面の長さ方向に沿って設けられた複数の突条部からなることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記突条部は曲線状であることを特徴とする請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記突条部の一部に切欠きを有していることを特徴とすることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記凹凸は点在する複数の凹みからなることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
【請求項6】
前記凹凸は対向する一対の側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
【請求項7】
前記凹凸の形状は前記対向する一対の側面の間で異なっていることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204161(P2012−204161A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68185(P2011−68185)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】