説明

ヒートシンクアッセンブリ

【課題】ヒートシンクの下面から集積回路に作用する力の偏りを抑制すると同時に、取り付け作業の作業性の向上を図ったヒートシンクアッセンブリを提供する。
【解決手段】ヒートシンクアッセンブリ1はヒートシンク30を有している。ヒートシンク30は、集積回路201に接触可能な下面42aを有するとともに、下面42aの上方に位置する左右の上縁部を有し、下面42aは左右の上縁部の間の下方に位置している。また、ヒートシンクアッセンブリ1には、回転してヒートシンク30を上方から押圧する左右一対のカム12L,12Rと、カムを回転させる一体レバー14と、が設けられる。カム12L,12Rは、その回転軸方向に離れた位置にて当該回転軸方向に互いに対向するよう配置され、ヒートシンク30の各上縁部を押圧可能に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装される集積回路上に配置され、当該集積回路を冷却するヒートシンクを有するヒートシンクアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CPU(Central Processing Unit)など集積回路の熱を、冷却フィンから放出するヒートシンクが利用されている。従来のヒートシンクには、複数の螺子によって回路基板に取り付けられ、当該螺子を締め付けることによって集積回路に押し付けられるものがある。このようなヒートシンクでは、ヒートシンクの下面を集積回路の表面に均一に押し付けるために、複数の螺子の締め付け具合を均衡させる必要がある。
【特許文献1】特開平9−139450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のヒートシンクでは、作業者が複数の螺子の締め付け具合を均衡させる必要があるため、作業性の向上が難しかった。特に、集積回路の検査工程においてヒートシンクを利用する場合には、検査対象となる集積回路が変わる度に、そのような螺子の締め付け作業が必要とされるため、作業の煩雑さは大きな問題であった。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヒートシンクの下面から集積回路に作用する力の偏りを抑制すると同時に、ヒートシンクの取り付け作業の作業性の向上を図ることのできるヒートシンクアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るヒートシンクアッセンブリは、基板上に実装される集積回路に接触可能な下面と、前記下面の上方に位置する左右の上縁部とを有し、前記下面が前記左右の上縁部の間の下方に位置するように設けられるヒートシンクを備える。また、前記ヒートシンクアッセンブリは、回転して前記ヒートシンクを上方から押圧するカムであって、回転軸方向に離れた位置にて当該回転軸方向に対向するよう配置され、前記各上縁部を押圧可能な左右一対のカムと、前記左右一対のカムを回転させる1又は複数のレバーと、前記基板上に配置可能なベース部材と、前記ベース部材から延伸し、前記左右一対のカムの回転軸を回転可能に支持する1又は複数のアームと、を備える。
【0006】
本発明によれば、レバーを操作しカムを回転させることによって、ヒートシンクの下面を集積回路に押し付けることが可能となり、ヒートシンクの取り付け作業の作業性の向上を図ることができる。また、左右の上縁部の間の下方に、ヒートシンクの下面が設けられ、左右一対のカムがそれぞれ左右の上縁部を押圧するので、ヒートシンクの下面から集積回路に作用する力の偏りを抑制できる。さらに、左右一対のカムは、回転軸方向に離れた位置にて当該回転軸方向に互いに対向するよう配置されるので、ヒートシンクアッセンブリの部品数の減少を図ることができる。例えば、左右一対のカムの回転軸を共通化したり、各カムに別個の回転軸が設けられる一方で、1つのレバーで左右のカムを回転させることによって、部品数を減少させることが可能となる。
【0007】
本発明の一態様では、ベース部材によって支持される支持軸をさらに有し、前記1又は複数のアームは、前記支持軸を中心にして回転可能に設けられ、前記左右一対のカムは、前記1又は複数のアームの回転によって、前記左右の上縁部に近づき又は離れる方向に移動可能に設けられてもよい。この態様によれば、ヒートシンクの取り付け或いは取り外し作業が容易になる。
【0008】
また、本発明の他の態様では、前記ヒートシンクアッセンブリは、前記1又は複数のレバーとして、前記左右一対のカムのそれぞれに取り付けられ、前記左右一対のカムを一体的に回転させる一体レバーを有してもよい。この態様によれば、ヒートシンクアッセンブリの部品数を減少させることができるとともに、一体レバーを操作することによって左右のカムの双方を回転させることができ、ヒートシンクを集積回路に押し付ける際の作業性を向上できる。
【0009】
また、この態様では、前記ヒートシンクアッセンブリは、前記左右の上縁部の間に冷却ファンをさらに有し、前記一体レバーは、前記左右一対のカムのそれぞれに取り付けられる一対のレバーアーム部と、当該一対のレバーアーム部を連結する連結部とを有してもよい。そして、前記左右一対のカムが前記一体レバーとともに回転し前記ヒートシンクを押圧した状態では、前記一対のレバーアーム部と前記連結部は、前記冷却ファンの側面に沿って延伸してもよい。こうすることによって、レバーを回転させた後に、冷却ファンの上方にレバーが到来する構造に比べて、ヒートシンクアッセンブリの高さを低減できる。
【0010】
また、本発明の他の態様では、前記ヒートシンクアッセンブリは、前記左右一対のカムの前記回転軸として、前記左右一対のカムに掛け渡される共通回転軸を有してもよい。この態様によれば、ヒートシンクアッセンブリの部品数を減少させることができる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、前記ヒートシンクは、前記下面の上方に複数の冷却フィンを有し、前記1又は複数のアームとして、間に前記複数の冷却フィンが位置するように設けられる左右一対のアームを有してもよい。この態様によれば、アームが冷却フィンによる放熱の障害となることを抑制できる。
【0012】
また、この態様では、前記複数の冷却フィンは、互いに間隔をあけて並んで配置され、前記左右一対のアームは、前記複数の冷却フィンの並び方向に離れてもよい。こうすることによって、冷却フィンの間を通過して当該冷却フィンを冷却する空気の流れが、アームによって阻害されることを抑制できる。
【0013】
また、本発明の他の態様では、前記ヒートシンクは、前記一対の上縁部の前記下面からの高さを調整する調整機構を有してもよい。この態様によれば、異なる厚さの集積回路の双方に適した高さに、ヒートシンクの下面を設けることができる。
【0014】
この態様では、前記ヒートシンクは、前記下面を有するヒートシンク本体と、前記ヒートシンク本体とは別体に構成される部材であって、前記一対の上縁部と、当該一対の上縁部からそれぞれ垂下し前記ヒートシンク本体が間に配置される一対の側面部とを有するヒートシンクアームとを有してもよい。そして、前記調整機構は、前記一対の側面部に対して回転可能となるように当該一対の側面部に取り付けられる調整レバーを含み、当該調整レバーは、その回転中心から偏った位置によって前記ヒートシンク本体を支持してもよい。
【0015】
また、本発明の他の態様では、前記ヒートシンクは、前記ベース部材に設けられたヒートシンク支持軸によって、当該ベース部材に対して開閉可能となるように支持されてもよい。この態様によれば、ヒートシンクの取り付け作業の作業性を向上できる。
【0016】
また、この態様では、前記ヒートシンクは、前記ヒートシンク支持軸によって支持され当該ヒートシンク支持軸を中心にして回転可能なヒートシンクアームと、前記下面を有するとともに、前記ヒートシンクアームによって支持される被支持部を上部に有するヒートシンク本体と、を有し、前記ベース部材は、前記基板上に配置可能なベース本体と、前記ヒートシンク支持軸を支持する支持部とを有し、前記支持部は、前記ベース本体から上方に離れた位置において前記ヒートシンク支持軸を支持してもよい。これによって、ベース本体と同じ高さにヒートシンク支持軸が設けられる場合に比べて、ヒートシンク支持軸とヒートシンク本体の被支持部との距離を小さくできる。その結果、ヒートシンク本体の下面が上方から集積回路に接近する際に、下面の位置が集積回路に対して平行な方向に移動することを抑制できる。
【0017】
また、この場合、前記ヒートシンクアームは前記ヒートシンク支持軸から延伸するよう設けられ、前記被支持部は前記ヒートシンク支持軸に対して前記ヒートシンクアームの延伸方向に位置してもよい。こうすることによって、ヒートシンク支持軸の高さと被支持部との高さとを概ね等しくでき、ヒートシンク支持軸とヒートシンク本体の被支持部との距離をより小さくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の例であるヒートシンクアッセンブリ1の斜視図であり、図2は図1に示すファン本体61を取り外した状態のヒートシンクアッセンブリ1の斜視図である。図3はカム機構10とヒートシンク30とを開いた状態のヒートシンクアッセンブリ1の斜視図である。図4はヒートシンクアッセンブリ1の側面図である。図5はヒートシンク30の平面図である。
【0019】
ヒートシンクアッセンブリ1は、図1又は図3に示すように、カム機構10と、回路基板200上に配置可能なベース部材20と、ベース部材20上に配置可能なヒートシンク30と、ヒートシンク30の上部に取り付けられ、ヒートシンク30に冷却風を送る冷却ファン60とを備えている。ヒートシンク30とカム機構10はベース部材20を挟んで互いに反対側に配置されている。
【0020】
また、ヒートシンクアッセンブリ1には、互いに平行に配置されたヒートシンク支持軸25と、アーム支持軸24とが設けられ、これらの軸もベース部材20を挟んで互いに反対側に配置されている。ヒートシンク30はヒートシンク支持軸25を中心にして回転可能に設けられ、カム機構10はアーム支持軸24を中心にして回転可能に設けられており、ヒートシンク30とカム機構10は、それぞれベース部材20に対して開閉可能となっている。ヒートシンク30の下面42aは、当該ヒートシンク30が閉じられた状態(ベース部材20上に配置された状態)において、回路基板200に実装された集積回路201と接触し、カム機構10は、ベース部材20上に配置されたヒートシンク30を押し下げることができるように構成されている。
【0021】
なお、ヒートシンクアッセンブリ1は、例えば、回路基板上に配置された集積回路の検査工程において利用されるヒートシンクアッセンブリであり、ヒートシンク30とカム機構10とを開けることによって、検査対象となる集積回路が取り替えられる。
【0022】
図3に示すように、ベース部材20は、集積回路201を囲む四角形の枠状を呈するベース本体21を有している。ベース本体21の4隅には取付孔21aが形成されており、この取付孔21aには、当該ベース本体21を回路基板200上に固定するためのボルトなどが嵌められる。
【0023】
また、ベース部材20は、左右方向(Dwの示す方向)に向き合う一対の支持プレート23,23を有している。支持プレート23,23は、ベース本体21を挟むように当該ベース本体21に取り付けられている。すなわち、支持プレート23,23は、ベース本体21の4側面のうち、互いに反対側に位置する2側面に取り付けられている。アーム支持軸24は、支持プレート23,23が取り付けられた2側面に垂直な側面21bに沿って配置され、ヒートシンク支持軸25は、ヒートシンクアッセンブリ1の平面視において、ベース本体21を挟んでアーム支持軸24とは反対側に配置されている。アーム支持軸24とヒートシンク支持軸25は、左右方向に延伸するよう配置され、左右の支持プレート23に掛け渡されている。すなわち、図3又は図4に示すように、アーム支持軸24の両端部は、支持プレート23の前端23aに形成された貫通孔に嵌められ、その軸方向への移動が規制されるように、前端23aに取り付けられている。同様に、ヒートシンク支持軸25の両端部は、支持プレート23の後端23bに形成された貫通孔に嵌められ、軸方向への移動が規制されるように、後端23bに取り付けられている。
【0024】
カム機構10について説明する。図3に示すように、カム機構10は、共通回転軸11と、共通回転軸11を中心にして回転してヒートシンク30を上方から押圧する左右一対のカム12L,12Rと、共通回転軸11を支持する左右一対の支持アーム13L,13Rと、作業者によって操作されて、左右のカム12L,12Rを回転させる一体レバー14とを有している。
【0025】
図1又は図4に示すように、支持アーム13L,13Rは、ベース部材20を挟むように配置され、アーム支持軸24から、当該アーム支持軸24の半径方向に延びている。支持アーム13L,13Rの基端部13aは、一対の支持プレート23,23の前端23aの外側に位置しており、支持アーム13L,13Rは、左右方向(Dwの示す方向)に離れている。支持アーム13L,13Rの基端部13aにはアーム支持軸24が嵌められており、支持アーム13L,13Rは、アーム支持軸24を中心にして回転可能となっている。これによってカム機構10のベース部材20に対する開閉が可能となっている。なお、支持アーム13L,13Rの基端部13aには、支持アーム13L,13Rの回転角度を制限するストッパ13cが形成されている。詳細には、支持アーム13L,13Rの基端部13aは、支持プレート23の外側に位置し、ストッパ13cは基端部13aから内側に突出している。そして、ストッパ13cが支持プレート23の前端23aに当るまで、支持アーム13L,13Rは、カム機構10が開く方向(左右のカム12L,12Rがヒートシンク30から離れる方向)への回転が許容されている。
【0026】
図1又は図3に示すように、共通回転軸11は、アーム支持軸24から上方に離れた位置において、当該アーム支持軸24と平行に配置されている。支持アーム13L,13Rは、それぞれ、アーム支持軸24が嵌められた基端部13aから延伸し、その先端部13bによって共通回転軸11を回転可能に支持している。共通回転軸11の両端部は、支持アーム13L,13Rの先端部13bに形成された貫通孔に嵌められ、その軸方向への移動が規制されるように、先端部13bに取り付けられている。
【0027】
左右のカム12L,12Rは、左右の支持アーム13L,13Rの先端部13bの内側(左右方向の中心側)に配置されている。カム12Lとカム12Rは、それらの回転軸である共通回転軸11の軸方向(左右方向)に離れた位置に配置されるとともに、共通回転軸11の軸方向に対向している。カム12Lとカム12Rは、略直方体状の部材であり、互いに平行に配置されている。図6は、図3に示すVI方向に臨んだ時に得られるカム12L及び一体レバー14の側面図である。同図に示すように、カム12Lには、左右方向(カム12Lの厚さ方向)に貫通する孔12aが形成されている。また、カム12Rにも同様の孔が形成されている。そして、共通回転軸11はこれらの孔12aに挿入され、左右のカム12L,12Rに掛け渡されている(図1参照)。左右のカム12L,12Rは、共通回転軸11を中心にして、同一方向に回転可能となっている。このように、左右のカム12L,12Rが、軸方向に離れて配置されるとともに、互いに対向するよう配置されることによって、1つの共通回転軸11を中心にして2つのカム12L,12Rを回転させることができ、ヒートシンクアッセンブリ1の部品数を減少させることが可能となる。
【0028】
図6に示すように、カム12Lは、共通回転軸11に対して、当該共通回転軸11の径方向に位置する押圧面12bと、当該押圧面12bに隣接するスライド面12cとを有している。共通回転軸11の中心Cから押圧面12bまでの距離L1は、共通回転軸11の中心Cからスライド面12cまでの距離L2より大きくなっている。また、スライド面12cは、押圧面12bに近づくに従って、中心Cからスライド面12cまでの距離が大きくなるのを抑制するように、湾曲している。なお、カム12Rは、カム12Lと同様の形状であり、カム12Rにも押圧面12b及びスライド面12cが形成されている。
【0029】
図3に示すように、一体レバー14は、左右方向に離れて配置され、左右のカム12L,12Rのそれぞれに取り付けられる一対のレバーアーム部14L,14Rを有している。レバーアーム部14L,14Rは、その基端部14aから共通回転軸11の径方向に延伸する細長い板状の部材である。基端部14aは、一体レバー14の左右のカム12L,12Rに対する相対的な回転が不能となるように、左右のカム12L,12Rに取り付けられている。すなわち、レバーアーム部14L,14Rは、当該レバーアーム部14L,14Rが左右のカム12L,12Rとともに回転するように、当該カム12L,12Rに取り付けられている。
【0030】
ここで説明する例では、レバーアーム部14L,14Rの基端部14aには、共通回転軸11の径方向に突出する突起14bが設けられており、当該突起14bがカム12L,12Rに嵌っている(図6参照)。また、共通回転軸11から径方向に離れた位置に設けられたボルト19が、カム12L,12Rと、基端部14aの双方に、共通回転軸11の軸方向に嵌められている(図3参照)。さらに、カム12L,12Rには軸方向に突出する突起12dが形成され、当該突起12dはレバーアーム部14L,14Rの基端部14aに形成された孔に嵌っている(図6参照)。これによって、一体レバー14の左右のカム12L,12Rに対する相対的な回転が規制されている。
【0031】
なお、支持アーム13L,13Rに対する、一体レバー14の回転角度は、ボルト19によって制限されている。すなわち、ボルト19の頭部が支持アーム13L,13Rに当るまで、一体レバー14は、共通回転軸11を中心にしてヒートシンク30から離れる方向(カム機構10が開く方向)への回転が許容されている(図3参照)。このように、一体レバー14と支持アーム13L,13Rの回転角度が制限されることによって、集積回路201の周辺に配置される機器とヒートシンクアッセンブリ1とが干渉することが抑制される。
【0032】
図3に示すように、レバーアーム部14L,14Rは、左右方向に延伸する連結バー14cによって連結されており、共通回転軸11を中心にして左右のカム12L,12Rを一体的に回転させる。すなわち、一体レバー14は、作業者によって操作され、左右のカム12L,12Rを同時に回転させる。上述したように左右のカム12L,12Rが、軸方向に離れて配置されるとともに、互いに対向するよう配置されることよって、1つの一体レバー14によって、左右のカム12L,12Rの双方を回転させることができ、ヒートシンクアッセンブリ1の部品数を減少させることができている。
【0033】
この例では、レバーアーム部14L,14Rの先端が連結バー14cによって連結されており、一体レバー14は、一辺を欠いた枠状を呈している。レバーアーム部14L,14R及び連結バー14cは一体的に形成されている。例えば、細長い板材に、曲げ加工などを施すことによって、一辺を欠いた枠状の一体レバー14が形成されている。
【0034】
カム機構10の動作について説明する。上述したように、支持アーム13L,13Rはアーム支持軸24を中心にして回転可能に設けられており、左右のカム12L,12Rは、アーム支持軸24を中心とする周方向に移動する。これによって、ヒートシンク30が閉じられた状態では、左右のカム12L,12Rは、後述するヒートシンク30に設けられた左右一対の上縁部32L,32Rに近づき、又は上縁部32L,32Rから離れることができる(図1又は図5参照)。また、左右の支持アーム13L,13Rは、カム12Lと12Rとに掛け渡された共通回転軸11を支持しており、左右のカム12L,12Rは一体的に移動する。
【0035】
なお、左右の支持アーム13L,13Rが左右方向に延伸する部材によって連結されてもよい。そして、共通回転軸11に替えて、左右のカム12L,12Rのそれぞれに、それらのカム12L,12Rを別個に支持する回転軸が設けられ、これらの回転軸が左右の支持アーム13L,13Rによって支持されてもよい。このような構造によっても、左右のカム12L,12Rは、一体的にアーム支持軸24を中心とする周方向に移動する。
【0036】
支持アーム13L,13Rが上方(カム機構10を閉じる方向)に回転すると、左右のカム12L,12Rは、それぞれ上縁部32L,32Rの上方に配置され、スライド面12cが上縁部32L,32Rに向き合う。ここで説明するヒートシンクアッセンブリ1では、カム12L,12Rによって押圧される位置は上縁部32L,32Rの先端であり、当該先端は、ヒートシンク30が閉じられた状態ではアーム支持軸24の上方に位置する。そのため、左右のカム12L,12Rが、それぞれ上縁部32L,32Rの上方に配置された時には、支持アーム13L,13Rはベース本体21に対して垂直方向に配置される。また、この時、共通回転軸11は、左右の上縁部32L,32Rを連結する前上縁部32aの上方に配置される(図1又は図5参照)。
【0037】
その後、一体レバー14がカム機構10を閉じる方向(上縁部32L,32Rに近づく方向)に回転されると、スライド面12cが上縁部32L,32Rに対してスライドしながら、左右のカム12L,12Rが上縁部32L,32R上において回転する。そして、押圧面12bが、上縁部32L,32Rに向き合い、当該上縁部32L,32Rを押し下げるまで、カム12L,12Rは回転する。この時、一体レバー14のレバーアーム部14L,14Rは、上縁部32L,32Rの上方において、支持アーム13L,13Rに対して概ね垂直に配置され、上縁部32L,32Rに沿って後方(Drの示す方向)に延伸する(図1参照)。
【0038】
ヒートシンク30について説明する。図7はヒートシンク30の側面図であり、図8はヒートシンク30を上下方向に分解して示す図であり、図9はヒートシンク30を左右方向に分解して示す図である。図10は図7に示すX−X線での断面図である。
【0039】
ヒートシンク30は、図8に示すように、ヒートシンク本体40を有している。ヒートシンク本体40は、複数のフィン41aを有するフィンアッセンブリ41と、複数のフィン41aを覆うフィンカバー45とを有している(図2参照)。
【0040】
フィンアッセンブリ41は、当該フィンアッセンブリ41の下部に位置する直方体の下ベース42を有している。下ベース42は、ヒートシンク30が閉じられた状態では、ベース本体21の内側に配置され、ヒートシンク30の使用時には、下ベース42の下面42aは集積回路201の表面に接触する(図3参照)。また、フィンアッセンブリ41は、下ベース42の上面に固定される、下ベース42より大きい板状の上ベース43を有している。図2に示すように、この上ベース43の上面に、板状を呈する複数のフィン41aが立てられている。複数のフィン41aは、上ベース43上において、互いに間隔を空けて左右方向に並べられている。
【0041】
また、図2に示すように、複数のフィン41aは、上述した左右の支持アーム13L,13Rの間に位置するように設けられている。詳細には、上述したように支持アーム13L,13Rの基端部13aは、左右の支持プレート23の外側に位置し、複数のフィン41aは、左右の支持プレート23の間に配置されたベース本体21の上方に位置している。また、複数のフィン41aは互いに間隔を空けて左右方向に並べられ、支持アーム13L,13Rも左右方向に離れて配置されているため、当該支持アーム13L,13Rは複数のフィン41aの並び方向に離れている。これによって、複数のフィン41aの間を通過した冷却風は、左右の支持アーム13L,13Rの間を通ってヒートシンクアッセンブリ1の外部に流れる。
【0042】
図5又は図8に示すように、フィンカバー45は、フィンアッセンブリ41を上方から覆うように配置される。フィンカバー45は、平面視において四角形の枠状を呈しており、複数のフィン41aがフィンカバー45の内側から上方に露呈している。フィンカバー45は、ヒートシンク30の平面視において、複数のフィン41aを囲むよう配置される略四角形の上縁部45aを有している(図5参照)。上縁部45aはフィンアッセンブリ41から上方に離れて位置し(図10参照)、この上縁部45aの中心の下方に、フィンアッセンブリ41の下面42aが位置している。上縁部45aは、フィンアッセンブリ41を挟んで反対側に位置する一対の右上縁部45arと左上縁部45alとを有し、右上縁部45arと左上縁部45alは、前後方向(Df−Drの示す方向)に延伸している。また、フィンカバー45には、右上縁部45arと左上縁部45alとから垂下して、左右方向に向き合う一対の側面部45dが設けられ、一対の側面部45dの間に複数のフィン41aが配置されている(図8及び図10参照)。
【0043】
ヒートシンク本体40は、フィンカバー45に下方への力が作用した場合に、上縁部45aがフィンアッセンブリ41に近づくように、すなわち、フィンカバー45と下面42aとの距離が狭まるように、構成されている。この例では、図8に示すように、ヒートシンク本体40は、圧縮バネ46とボルト47とを有している。フィンアッセンブリ41の上ベース43の4隅にはフィン41aが配置されておらず、上ベース43の4隅と上縁部45aの4隅との間に圧縮バネ46が配置される。圧縮バネ46は、上ベース43と上縁部45aとの間隔を広げる方向に付勢されている。また、ボルト47は、上縁部45aの4隅に形成された孔に嵌められている(図5参照)。そして、ボルト47は、圧縮バネ46の内側に配置され、圧縮バネ46の位置を規定している。ボルト47では、その先端47aにのみ螺子が形成されており、当該先端47aが上ベース43の4隅に固定されている。フィンカバー45に下方への力が作用すると、上縁部45aは、圧縮バネ46を圧縮しながらボルト47に対して相対的に下方に移動し、それによってフィンカバー45と下面42aとの距離が狭まる。
【0044】
上述したように、ヒートシンクアッセンブリ1には、冷却ファン60が設けられている。図1に示すように、冷却ファン60は、ヒートシンク本体40の上方で回転する複数の羽根61aを有するファン本体61と、ファン本体61とフィンカバー45の上縁部45aとの間に配置され、ヒートシンク本体40の上方でファン本体61を支持する筒状のファンベース62とを有している。この冷却ファン60は、4つのボルト63によってヒートシンク本体40に取り付けられている。詳細には、ボルト63は、ボルト47に対応する位置に設けられており、ボルト63の先端は、ボルト47の頭部に形成されたボルト孔47bに固定される(図5参照)。
【0045】
冷却ファン60は、その平面視において略正方形を呈し、上述した一体レバー14は、冷却ファン60の外形に対応した形状を有している。すなわち、一体レバー14は、一辺を欠いた枠状を呈している。そのため、一体レバー14が作業者によって操作され、カム12L,12Rが上縁部32L,32Rを下方に押圧している状態では、レバーアーム部14L,14Rは前後方向(Df−Drの示す方向)に配置され、一体レバー14と共通回転軸11は冷却ファン60の側面を囲む。すなわち、レバーアーム部14L,14Rと、連結バー14cと、共通回転軸11は、ファンベース62の側面に沿って延伸する。なお、この例では、ヒートシンク30と、カム機構10とを閉じた状態では、一体レバー14と、共通回転軸11は、ファン本体61より低い位置に配置される。
【0046】
また、図8に示すように、ヒートシンク30は、ヒートシンク本体40とは別体に構成され、ヒートシンク本体40の上部を支持するヒートシンクアーム31を有している。ヒートシンクアーム31がヒートシンク支持軸25によって回転可能に支持されることによって、ヒートシンク30はベース部材20に対して開閉可能となっている(図3参照)。
【0047】
図5に示すように、ヒートシンクアーム31はヒートシンク本体40を囲む枠状である。ヒートシンクアーム31は、ヒートシンク本体40の上方に位置しフィンカバー45を覆うように配置される上縁部32を有している(図10参照)。上縁部32は、ヒートシンク本体40を挟んで反対側に位置する左右一対の上縁部32L,32Rを有している。上縁部32L,32Rは、ヒートシンク30が閉じられた状態で前後方向に延伸する、細長い板状を呈している。上縁部32は、ヒートシンク本体40の下面42aから上方に離れた位置に設けられ、左右の上縁部32L,32Rの間に下面42aが位置している。上述したように、これら上縁部32L,32Rが左右のカム12L,12Rによって押圧される。そのため、下面42aから集積回路201の表面に作用する力が偏るのを抑制できる。すなわち、集積回路201の右側に作用する力と、左側に作用する力とを均衡させることができる。特に本実施形態では、下面42aは、上縁部32の中心の下方に位置している。
【0048】
ヒートシンク30が閉じられると、上縁部32L,32Rは回路基板200に対して概ね平行に配置される(図4参照)。そして、支持アーム13L,13Rがアーム支持軸24を中心にして回転すると、左右のカム12L,12Rは、左右の上縁部32L,32Rの先端の上方に配置される。左右の上縁部32L,32Rの先端には、薄い板状の被押圧プレート39が取り付けられている(図5及び図7参照)。左右のカム12L,12Rは、上縁部32L,32Rとの間に被押圧プレート39を挟んだ状態で、当該上縁部32L,32Rの先端を上方から押圧する(図1参照)。なお、左右の上縁部32L,32Rは、左右方向に延伸しヒートシンク本体40を挟んで反対側に位置する前上縁部32aと後上縁部32bとによって連結されている(図5参照)。
【0049】
また、ヒートシンクアーム31は、左右の上縁部32L,32Rから垂下し、左右方向において互いに向き合う一対の側面部33L,33Rを有している(図3及び図10参照)。側面部33L,33Rの間に、ヒートシンク本体40の上部が配置される。この例では、側面部33L,33Rの内側に、フィンカバー45の側面部45dが位置している。
【0050】
左右の側面部33L,33Rの基端部33aの間にヒートシンク支持軸25が掛け渡され、側面部33L,33Rは基端部33aからヒートシンク支持軸25の径方向に延伸している(図4参照)。詳細には、側面部33L,33Rの基端部33aには左右方向に貫通する孔が形成されている。ヒートシンク支持軸25の両端部は当該孔に嵌められるとともに、その軸方向への移動が規制されるように、基端部33aに取り付けられている。これによって、ヒートシンクアーム31はヒートシンク支持軸25を中心にして回転可能となっている。
【0051】
なお、図1又は図5に示すように、基端部33aは支持プレート23の外側に配置され、当該基端部33aには、内側に突出するストッパ33bが設けられている。ヒートシンクアーム31の回転角度は、ストッパ33bによって、制限されている。すなわち、ヒートシンクアーム31は、ストッパ33bが支持プレート23の後端23bに当るまで、ベース部材20に対して開く方向への回転が許容されている。このように、ヒートシンクアーム31の回転角度が制限されることによって、集積回路201の周囲に配置される機器と、ヒートシンク30とが干渉することが抑制される。
【0052】
ヒートシンクアーム31は、側面部33L,33Rの前後方向における中央部に取り付けられる調整レバー35,35と、左右方向に延伸する本体支持軸36とを介してヒートシンク本体40を支持している(図5又は図9参照)。詳細には、図10に示すように、側面部33L,33Rには、本体支持軸36の径より大きな内径を有する取付孔33cが形成されている。調整レバー35は、その側面部33L,33R側に、取付孔33cの内径に対応する外径を有する取付部35aを有しており、当該取付部35aが取付孔33cに嵌められている。調整レバー35には、左右方向に貫通する支持孔35bが形成されており、当該支持孔35bに本体支持軸36の両端部が嵌められている。また、側面部33L,33Rの内側に位置する、フィンカバー45の側面部45dには、当該側面部45dを左右方向に貫通する被支持孔45eが形成され、本体支持軸36は、当該被支持孔45eにも嵌められている。
【0053】
このように、ヒートシンクアーム31は、本体支持軸36によってヒートシンク本体40を上方から懸架した状態で、当該ヒートシンク本体40を支持している。これによって、ヒートシンク30が閉じられている状態において、ヒートシンクアーム31が僅かに傾斜している場合であっても、本体支持軸36を中心にしてヒートシンク本体40が僅かに回転し、ヒートシンクアーム31に対して相対的に傾くことによって、下面42aは集積回路201の表面に対して平行に配置される。
【0054】
また、カム12L,12Rによって左右の上縁部32L,32Rが押圧されると、その力はヒートシンクアーム31から、本体支持軸36、フィンカバー45、圧縮バネ46を介して、フィンアッセンブリ41に伝わる。なお、本体支持軸36はヒートシンク本体40の下面42aの前後方向における中央の上方に配置されている。そのため、下面42aから集積回路201の表面の前側に作用する力と、後側に作用する力とを均衡させることができる。
【0055】
また、ヒートシンクアーム31は、調整レバー35を利用して上縁部32の下面42aからの高さを調整する調整機構を有している。図11は、この調整機構を説明するための、ヒートシンクアーム31の側面図であり、同図において、C1は調整レバー35の回転中心の位置を示し、C2は本体支持軸36の中心線の位置を示している。
【0056】
調整レバー35の取付部35aは、円形であり、側面部33L,33Rの取付孔33cに対して回転可能となるように取り付けられている。この調整レバー35は、その回転中心C1から偏った位置においてヒートシンク本体40を支持している。すなわち、図10又は図11に示すように、上述した支持孔35bは、調整レバー35の回転中心C1から偏った位置に設けられている。そのため、図11に示すように、調整レバー35が回転すると、本体支持軸36の中心線C2及びフィンカバー45の高さが変化し、それによって、上縁部32L,32Rの、ヒートシンク本体40の下面42aからの高さが変化する。
【0057】
なお、この例では、調整レバー35の先端部には、側面部33L,33R側に突出する突起35cが設けられている(図9参照)。一方、側面部33L,33Rには、調整レバー35が回転する際の突起35cの軌道上に、突起35cが嵌る2つの係止孔33d,33eが形成されている。これによって、調整レバー35が回転中心C1より低い位置(以下、低位置)で本体支持軸36を支持している状態(中心線C2が回転中心C1より低い状態)と、調整レバー35が回転中心C1より高い位置(以下、高位置)で本体支持軸36を支持している状態(中心線C2が回転中心C1より高い状態)とにおいて、調整レバー35の回転位置が止まる。すなわち、突起35cが係止孔33dに嵌っている状態では、本体支持軸36は低位置で支持され、突起35cが係止孔33eに嵌っている状態では、本体支持軸36は高位置で支持される。なお、図11では、低位置で本体支持軸36を支持する調整レバー35が実線で示され、高位置で本体支持軸36を支持する調整レバー35が二点鎖線で示されている。また、調整レバー35の先端には、突起35cと反対側に突出する摘み部35dが設けられている(図9参照)。
【0058】
また、本体支持軸36が低位置で支持される状態と高位置で支持される状態とでは、本体支持軸36の上下方向の位置が変化する一方で、前後方向の位置は維持される。詳細には、係止孔33dと係止孔33eは、回転中心C1を挟んで互いに反対側に設けられ、本体支持軸36が低位置で支持されている状態では、本体支持軸36の中心線C2は回転中心C1の下方に位置している。そのため、調整レバー35が180度回転し、突起35cが係止孔33dから係止孔33eに移動すると、中心線C2は回転中心C1の上方に位置する一方で、中心線C2の前後方向の位置は維持される。
【0059】
なお、本体支持軸36の高さを調整する調整機構は、これに限られず、例えば、ヒートシンクアーム31に、上縁部32L,32Rに対して相対的に上下動可能な部材が設けられ、当該部材が本体支持軸36を保持してもよい。
【0060】
上述したように、ヒートシンクアッセンブリ1にはヒートシンク30を開閉可能に支持するヒートシンク支持軸25が設けられている。図4に示すように、支持プレート23は、ヒートシンクアッセンブリ1の側面視において、三角形状を呈している。そして、支持プレート23の後部は、ベース本体21から斜め上方に延伸し、支持プレート23の後端23bは、ベース本体21から上方に離れた位置において、このヒートシンク支持軸25を支持している。そして、ヒートシンク本体40に設けられた被支持孔45eと、当該被支持孔45eに嵌められる本体支持軸36は、ヒートシンク支持軸25に対して、ヒートシンクアーム31の延伸方向に位置する。すなわち、ヒートシンク30が閉じられた状態では、被支持孔45e及び本体支持軸36の高さがヒートシンク支持軸25と概ね等しくなっており、被支持孔45eと本体支持軸36はヒートシンク支持軸25の前方(Dfの示す方向)に位置する。
【0061】
これによって、ヒートシンク支持軸25が、被支持孔45eと本体支持軸36とより低い位置において支持される合に比べて、ヒートシンク支持軸25と、被支持孔45eとの距離が小さくなる。その結果、ヒートシンク本体40の下面42aが集積回路201の表面に接近する際に、下面42aの位置が前後方向に移動することが抑制される。図12は、ヒートシンク本体40の下面42aが集積回路201に接近する際の下面42aの動きを説明するための図である。
【0062】
同図においてC3はヒートシンク支持軸25の中心の位置を示し、C2は本体支持軸36の中心の位置を示し、それらは距離R3だけ離れている。また、C4は、比較対象とするヒートシンク支持軸25’の中心の位置を示し、中心C4は中心C3から大きく下方に離れた位置に設けられている。中心C4と本体支持軸36の中心C2は、距離R4だけ離れており、距離R4は距離R3より大きくなっている。
【0063】
同図に示すように、ヒートシンクアーム31がヒートシンク支持軸25を中心にして回転し、本体支持軸36の中心C2が高さHまで下がり、C2の示す位置に到来すると、それに伴って、本体支持軸36の中心C2は、前方に距離X3だけ移動し、ヒートシンク本体40の下面42aは、集積回路201に到来する。同様に、ヒートシンクアーム31がヒートシンク支持軸25’を中心として回転し、本体支持軸36の中心C2が高さHまで下がり、C2の示す位置に到来すると、それに伴って、本体支持軸36の中心C2は前方に距離X4だけ移動する。この時、距離R4が距離R3より大きいため、前方への移動距離X4も距離X3より大きくなり、下面42aの前方への移動距離も、ヒートシンクアーム31がヒートシンク支持軸25を中心にして回転する場合に比べて、大きくなる。
【0064】
このように、ヒートシンク支持軸25がベース本体21から上方に離れた位置で支持され、ヒートシンク支持軸25と本体支持軸36との距離R3が小さくなることによって、本体支持軸36の前方への移動が抑制され、その結果、ヒートシンク本体40の下面42aの前方への移動も抑制される。
【0065】
なお、このような下面42aの前方への移動は、下面42aが集積回路201の表面に到達した後、カム12L,12Rによってヒートシンク30を押し下げる場合にも生じる。つまり、カム12L,12Rが上縁部32L,32Rを押し下げると、下面42aの高さ、すなわちフィンアッセンブリ41の高さは変化することなく、圧縮バネ46が収縮することによってフィンカバー45と本体支持軸36の位置のみが下がる。この場合、本体支持軸36とともにフィンカバー45とフィンアッセンブリ41が前方に移動し、下面42aが集積回路201の表面に対して前方にずれる。そのため、ヒートシンク支持軸25と本体支持軸36との距離R3を小さくすることによって、このような場合に生じる下面42aの前方への移動も抑制され得る。
【0066】
以上説明したヒートシンクアッセンブリ1では、左右一対のカム12L,12Rは、それらの回転軸方向に離れた位置にて当該回転軸方向に互いに対向するよう配置され、ヒートシンク30の上縁部32L,32Rを押圧可能に設けられている。これによって、ヒートシンク30の下面42aから集積回路201に作用する力の偏りを抑制できる。すなわち、ヒートシンク30の下面42aから、集積回路201の右側に作用する力と、左側に作用する力を均衡させることができる。また、ヒートシンクアッセンブリ1における共通回転軸11のように、左右のカム12L,12Rの回転軸を共通化したり、一体レバー14のように、左右のカム12L,12Rを回転させるレバーを共通化するなど、アームヒートシンクアッセンブリの部品数の減少を図ることができる。
【0067】
なお、本発明は、以上説明したヒートシンクアッセンブリ1に限られず、種々の変更が可能である。例えば、以上の説明では、ヒートシンク30は、ベース部材20に対して開閉可能に設けられていた。しかしながら、本発明は、ヒートシンクがベース部材から取り外し可能に設けられたヒートシンクアッセンブリに適用されてもよい。
【0068】
図13はこのような形態に係るヒートシンクアッセンブリ100の斜視図であり、図14はヒートシンクアッセンブリ100が有するカム機構110を開いた状態のヒートシンクアッセンブリ100の斜視図であり、図15はヒートシンク130が取り外されたベース部材120とカム機構110の斜視図であり、図16はヒートシンクアッセンブリ100の下部の背面図であり、図17は図14に示すXVII−XVII線の断面図である。これらの図において、以上説明した箇所と同一箇所には同一符号を附して、その説明を省略する。
【0069】
図14に示すように、ヒートシンクアッセンブリ100は、ヒートシンク130と、ベース部材120と、カム機構110と、ストッパアーム170L,170Rとを有している。ヒートシンク130には、上述したヒートシンクアーム31やヒートシンク支持軸25が設けられることなく、当該ヒートシンク130はベース部材120から取り外し可能となっている(図15参照)。
【0070】
図15に示すように、ベース部材120は、ベース本体21と、ベース本体21の側面に取り付けられる支持プレート123とを有している。
【0071】
カム機構110は、上述したカム機構10と同様に、支持アーム13L,13Rを有している。図13に示すように、カム機構110では、支持アーム13L,13Rに連結バー113aが掛け渡され、左右の支持アーム13L,13Rと連結バー113aは一体的に形成されている。連結バー113aは、上述したストッパ13cと同様に、支持アーム13L,13Rの回転角度を制限するように形成されている。すなわち、連結バー113aは、支持アーム13L,13Rがアーム支持軸24を中心にして回転する時に、支持プレート123に当る位置に形成されている。この例では、支持アーム13L,13Rの基端部13aに連結バー113aが掛け渡されている。
【0072】
また、ヒートシンクアッセンブリ100では、図13に示すように、支持アーム13L,13Rを上方に回転させると、カム12L,12Rが、フィンカバー45に設けられた右上縁部45arと左上縁部45alの中央部の上方に到来するように、支持アーム13L,13Rの長さが設定されている。左右の上縁部45ar,45alの中央部の上には、台部材139が配置されており、当該上縁部45ar,45alの上方に到来したカム12L,12Rは、左右の台部材139を介して、上縁部45ar,45alの中央部を上方から押圧する。台部材139は、ファンベース62の側面に沿って上方に延伸する板状の部材であり(図14参照)、カム12L,12Rは台部材139の上面を下方に押圧する。上述したように、フィンカバー45の中心の下方に、下面42aが位置しており、一体レバー14が操作され、カム12L,12Rが一体レバー14とともに回転すると、カム12L,12Rの押圧力は下面42aに対して垂直方向に作用する。
【0073】
台部材139は、ストッパ138によってフィンカバー45に取り付けられている。詳細には、図17に示すように、台部材139の下部には、フィンカバー45の内側において下方に延びる取付部139aが設けられている。一方、ストッパ138は、フィンカバー45の側面部45dの外側に配置されている。このストッパ138には、側面部45dに形成された貫通孔45fに嵌る筒部138aが設けられている。取付部139aには、筒部138aに対応する位置にねじ穴139bが形成されており、取付部139aは、筒部138aに嵌められたボルト137によって取り付けられている。さらに、台部材139には、右上縁部45arの上方に位置する部分に、貫通孔139cが形成されている。一方、ストッパ138には、貫通孔139cに嵌る突起138bが設けられている。これによって、台部材139の右上縁部45arに対する動きが規制されている。なお、左上縁部45alにも、右上縁部45arと同様にして、台部材139が取り付けられている。
【0074】
左右のストッパアーム170L,170Rは、台部材139上でカム12L,12Rが回転する時に、カム12L,12Rが台部材139から受ける反力によって、共通回転軸11が台部材139から離れるのを規制する部材である。この例では、図15に示すように、ストッパアーム170L,170Rは、ベース本体21を挟んで支持アーム13L,13Rとは反対側に配置されている。また、ベース本体21を挟んでアーム支持軸24の反対側には、支持プレート123によって支持されるストッパアーム支持軸171が設けられている。ストッパアーム170L,170Rの基端部170aは、ストッパアーム支持軸171によって回転可能に支持されており、ストッパアーム170L,170Rは、ストッパアーム支持軸171を中心にして回転可能となっている。ストッパアーム170L,170Rの先端部には、フック170bが形成されており、このフック170bが、台部材139の上方に位置する共通回転軸11に引っ掛かり、それによって共通回転軸11の動きが規制される。
【0075】
なお、左右のストッパアーム170L,170Rにも連結バー170cが掛け渡されている。この連結バー170cも、ストッパアーム170L,170Rの回転角度を制限するように設けられている。詳細には、図16に示すように、連結バー170cの中途部には、連結バー170cの両端部より下方に位置する当接部170dが形成されている。ストッパアーム170L,170Rは、この当接部170dがストッパアーム支持軸171に当るまで、当該ストッパアーム170L,170Rが開く方向に回転可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態の例であるヒートシンクアッセンブリの斜視図である。
【図2】冷却ファン本体を取り外した状態のヒートシンクアッセンブリの斜視図である。
【図3】上記ヒートシンクアッセンブリが有するカム機構とヒートシンクとを開いた状態の当該ヒートシンクアッセンブリの斜視図である。
【図4】上記ヒートシンクアッセンブリの側面図である。
【図5】上記ヒートシンクアッセンブリが有するヒートシンクの平面図である。
【図6】図3に示すVI方向に臨んだ時に得られるカム及び一体レバーの側面図である。
【図7】上記ヒートシンクの側面図である。
【図8】上記ヒートシンクを上下方向に分解して示す図である。
【図9】上記ヒートシンクを左右方向に分解して示す図である。
【図10】図7に示すX−X線での断面図である。
【図11】上記ヒートシンクアッセンブリに設けられた調整機構を説明するための、ヒートシンクアームの側面図である。
【図12】ヒートシンクが有するヒートシンク本体の下面が集積回路に接近する際の、当該下面の動きを説明するための図である。
【図13】本発明の他の形態に係るヒートシンクアッセンブリの斜視図である。
【図14】図13に示すヒートシンクアッセンブリが有するカム機構を開いた状態の、当該ヒートシンクアッセンブリの斜視図である。
【図15】図13に示すヒートシンクアッセンブリが有するヒートシンクを取り外した状態の、ベース部材とカム機構の斜視図である。
【図16】図13に示すヒートシンクアッセンブリの下部の背面図である。
【図17】図14に示すXVII−XVII線の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1,100 ヒートシンクアッセンブリ、10,110 カム機構、11 共通回転軸、12L,12R カム、12b 押圧面、12c スライド面、12d 突起、13L,13R 支持アーム、14 一体レバー、14L,14R レバーアーム部、14c 連結バー、20,120 ベース部材、21 ベース本体、23,123 支持プレート、24 アーム支持軸、25 ヒートシンク支持軸、30,130 ヒートシンク、31 ヒートシンクアーム、32L,32R 左右の上縁部、33L,33R 側面部、35 調整レバー、36 本体支持軸、39 被押圧プレート、40 ヒートシンク本体、41 フィンアッセンブリ、41a フィン、42 下ベース、42a 下面、43 上ベース、45 フィンカバー、45ar 右上縁部、45al 左上縁部、45e 被支持孔(被支持部)、46 圧縮バネ、47 ボルト、60 ファン、61 ファン本体、62 ファンベース、139 台部材、170L,170R ストッパアーム、200 回路基板、201 集積回路、C1 調整レバーの回転中心、C2 本体支持軸の中心、C3 ヒートシンク支持軸の中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装される集積回路に接触可能な下面と、前記下面の上方に位置する左右の上縁部とを有し、前記下面が前記左右の上縁部の間の下方に位置するように設けられるヒートシンクと、
回転して前記ヒートシンクを上方から押圧するカムであって、回転軸方向に離れた位置にて当該回転軸方向に対向するよう配置され、前記各上縁部を押圧可能な左右一対のカムと、
前記左右一対のカムを回転させる1又は複数のレバーと、
前記基板上に配置可能なベース部材と、
前記ベース部材から延伸し、前記左右一対のカムの回転軸を回転可能に支持する1又は複数のアームと、
を備えることを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ベース部材によって支持される支持軸をさらに有し、
前記1又は複数のアームは、前記支持軸を中心にして回転可能に設けられ、
前記左右一対のカムは、前記1又は複数のアームの回転によって、前記左右の上縁部に対して近づき又は離れる方向に移動可能に設けられている、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記1又は複数のレバーとして、前記左右一対のカムのそれぞれに取り付けられ、前記左右一対のカムを一体的に回転させる一体レバーを有する、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記左右の上縁部の間に冷却ファンをさらに有し、
前記一体レバーは、前記左右一対のカムのそれぞれに取り付けられる一対のレバーアーム部と、当該一対のレバーアーム部を連結する連結部とを有し、
前記左右一対のカムが前記一体レバーとともに回転し前記ヒートシンクを押圧した状態では、前記一対のレバーアーム部と前記連結部は、前記冷却ファンの側面に沿って延伸する、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記左右一対のカムの前記回転軸として、前記左右一対のカムに掛け渡される共通回転軸を有する、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクは、前記下面の上方に複数の冷却フィンを有し、
前記1又は複数のアームとして、間に前記複数の冷却フィンが位置するように設けられる左右一対のアームを有する、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記複数の冷却フィンは、互いに間隔をあけて並んで配置され、
前記左右一対のアームは、前記複数の冷却フィンの並び方向に離れている、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクは、前記左右の上縁部の前記下面からの高さを調整する調整機構を有する、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクは、
前記下面を有するヒートシンク本体と、
前記ヒートシンク本体とは別体に構成される部材であって、前記左右の上縁部と、当該左右の上縁部からそれぞれ垂下し前記ヒートシンク本体が間に配置される一対の側面部とを有するヒートシンクアームとを有し、
前記調整機構は、前記一対の側面部に対して回転可能となるように当該一対の側面部に取り付けられる調整レバーを含み、当該調整レバーは、その回転中心から偏った位置によって前記ヒートシンク本体を支持している、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクは、前記ベース部材に設けられたヒートシンク支持軸によって、当該ベース部材に対して開閉可能となるように支持されている、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクは、
前記ヒートシンク支持軸によって支持され当該ヒートシンク支持軸を中心にして回転可能なヒートシンクアームと、
前記下面を有するとともに、前記ヒートシンクアームによって支持される被支持部を上部に有するヒートシンク本体と、を有し、
前記ベース部材は、前記基板上に配置可能なベース本体と、前記ヒートシンク支持軸を支持する支持部とを有し、
前記支持部は、前記ベース本体から上方に離れた位置において前記ヒートシンク支持軸を支持している、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のヒートシンクアッセンブリにおいて、
前記ヒートシンクアームは前記ヒートシンク支持軸から延伸するよう設けられ、
前記被支持部は前記ヒートシンク支持軸に対して前記ヒートシンクアームの延伸方向に位置している、
ことを特徴とするヒートシンクアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−135696(P2010−135696A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312516(P2008−312516)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】