説明

ヒートシール装置およびヒートシール方法ならびにヒートシール装置を備えた製袋充填装置

【課題】フィルムの送り速度を高めた場合であっても確実に横ヒートシールすることが可能なヒートシール装置およびヒートシール方法を提供する。
【解決手段】回転軸11aを中心として回転可能な支持体12と、該支持体12上に形成された少なくとも1つのヒートシール部材13とを備えた2つの回転体11が、前記回転軸11aが互いに平行となるように配された一対のヒートシールロール10を具備し、フィルム20を挟持している時間のうち、シールぎわ部分をシールする際を含む少なくとも一部において、前記一対のヒートシールロール10は、前記ヒートシール部材13の外周面における周方向の速度が前記フィルム20の送り速度よりも遅くなる回転速度で前記回転体11を回転させつつ、前記フィルム20の送り方向に移動可能であるヒートシール装置を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムをヒートシールして袋状に形成するとともに、袋内へ内容物を充填する製袋充填装置などで好適に使用されるヒートシール装置およびヒートシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インスタント食品などには、醤油、ソースなどの調味料が、フィルムから形成された袋内に密封充填されて添付されていることがある。このように内容物が充填された袋の製造には、通常、フィルムを袋状に形成しながら、袋内へ内容物を充填する製袋充填装置が使用されている。
【0003】
製袋充填装置としては、図6(a)および(b)にその要部を概略的に示すように、幅方向に2つ折りされたフィルム51の閉じていない側の幅方向の端部(すなわち、遊端部)51aをヒートシールして(以下、縦ヒートシールという場合もある。)筒状フィルム51bとする一対の縦ヒートシールロール52と、得られた筒状フィルム51bをその幅方向にわたってヒートシールする(以下、横ヒートシールという場合もある。)一対の横ヒートシールロール53と、縦ヒートシールロール52と横ヒートシールロール53との間に、その吐出口54aが位置するように設けられ、縦ヒートシールロール52で筒状とされ、横ヒートシールロール53により袋の底部51cとなる部分が形成されたフィルムに内容物を充填するノズル54とを備えたものがある。
【0004】
この例の縦ヒートシールロール52は、その内部にヒータなどの図示略の加熱手段を備えたロール本体62と、このロール本体62の外周面上にその周方向に沿って形成された凸状の縦ヒートシール部材63とを具備した2本のロール61を備えて構成されている。そして、2本のロール61をそれぞれ軸61aを中心として図中矢印方向に回転させることによって、縦ヒートシール部材63の外周面間でフィルム51を挟んで送りながら加熱、加圧して、連続的に縦ヒートシールできるようになっている。
【0005】
また、横ヒートシールロール53は、その内部にヒータなどの図示略の加熱手段を備えたロール本体64と、このロール本体64の外周面上にその長さ方向に沿って形成された凸状の4本の横ヒートシール部材65とを具備した2本のロール66を備えて構成されている。そして、2本のロール66をそれぞれ軸66aを中心として矢印方向に回転させることによって、対向する横ヒートシール部材65の外周面間で筒状フィルム51bを挟んで送りながら加熱、加圧して、筒状フィルム51bの長さ方向に一定の間隔を開けて横ヒートシールできるようになっている。
【0006】
そして、これら縦ヒートシールロール52と、横ヒートシールロール53とをこのように動作させるとともに、ノズル54の吐出口54aから内容物を吐出することによって、内容物が充填された多数の袋の連続体を得ることができる。この連続体を各袋ごとに切り離すことによって、それぞれに内容物が充填された袋が得られる。
【0007】
このように、図6の製袋充填装置を使用すると、縦ヒートシールと、横ヒートシールと、内容物の充填とを連続的に行うことができる。また、フィルムの送り速度を速くすることによって、製袋充填作業の生産性を向上させることもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、縦ヒートシールロールおよび横ヒートシールロールで所定の箇所を確実にシールするためには、一定の温度で一定時間加圧することが重要である。したがって、製袋充填作業の生産性を上げるためにフィルムの送り速度を高めすぎると、縦ヒートシールロールおよび横ヒートシールロールの回転速度も上がって縦ヒートシールロールおよび横ヒートシールロールにおける加圧時間が不十分となり、得られる袋のシール強度が低下してしまうという問題があった。また、特に図6のような製袋充填装置を使用した場合、横ヒートシールはフィルムに内容物が充填された後でなされるので、内容物が充填されていない状態で行われる縦ヒートシールよりもシールされにくく、より長い加圧時間を要する傾向があった。
【0009】
すなわち、従来の装置で横ヒートシールを確実に行って、シール強度に優れた袋を生産するためには、フィルムの送り速度を遅くして横ヒートシールにおける加圧時間を十分確保する必要があり、シール強度に優れた袋を高い生産性で生産することは困難であった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、フィルムの送り速度を高めた場合であっても確実に横ヒートシールすることが可能なヒートシール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のヒートシール装置は、回転軸を中心として回転可能な支持体と、該支持体上に形成された少なくとも1つのヒートシール部材とを備えた2つの回転体が、前記回転軸が互いに平行となるように配された一対のヒートシールロールを具備したヒートシール装置であって、フィルムを挟持している時間のうち、シールぎわ部分をシールする際を含む少なくとも一部において、前記一対のヒートシールロールは、前記ヒートシール部材の外周面における周方向の速度が前記フィルムの送り速度よりも遅くなる回転速度で前記回転体を回転させつつ、前記フィルムの送り方向に移動可能であることを特徴とする。
前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って往復可能であることが好ましい。
また、前記ヒートシール部材は、前記回転軸の長さ方向に延設された凸条であることが好ましい。
また、前記ヒートシール部材は、互いに等間隔に複数形成されていることが好ましい。
また、前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って下降して前記ヒートシール部材の外周面がフィルムから離れた直後の時点で移動の向きを上方に反転し、前記フィルムの送り方向と反対の方向に下降した分だけ上昇した際に、次の箇所をヒートシールするヒートシール部材が前記フィルムに当接できるタイミングとなるようにヒートシールロールの移動速度および各回転体の回転速度が調整可能とされていることが好ましい。
【0011】
本発明のヒートシール方法は、回転軸を中心として回転可能な支持体と、該支持体上に形成された少なくとも1つのヒートシール部材とを備えた2本の回転体が前記回転軸が互いに平行となるように配された一対のヒートシールロールにおける各回転体を互いに反対方向に回転させ、前記ヒートシール部材の外周面間でフィルムを挟持して、該フィルムをヒートシールする方法であって、前記フィルムを挟持している時間のうち、シールぎわ部分をシールする際を含む少なくとも一部において、前記ヒートシール部材の外周面における周方向の速度が前記フィルムの送り速度よりも遅くなる回転速度で前記回転体を回転させつつ、前記一対のヒートシールロールを前記フィルムの送り方向に移動させることにより、各回転体の回転速度を一時的に遅くして、ヒートシール時間を調整することを特徴とする。
前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って往復可能であり、前記フィルムの一の箇所をヒートシールした後、次の箇所をヒートシールする前に、前記一対のヒートシールロールを前記フィルムの送り方向と反対の方向に移動させることが好ましい。
また、前記一対のヒートシールロールを、前記フィルムの送り方向に沿って下降させて前記ヒートシール部材の外周面がフィルムから離れた直後の時点で移動の向きを上方に反転させ、前記フィルムの送り方向と反対の方向に沿って下降した分だけ上昇させ、その際のヒートシールロールの移動速度および各回転体の回転速度を、次の箇所をヒートシールするヒートシール部材が前記フィルムに当接できるタイミングとなるように調整することが好ましい。
【0012】
本発明の製袋充填装置は、前記ヒートシール装置を備えていることを特徴とする。
また、本発明の製袋充填装置は、フィルムを幅方向に二つ折りする装置と、幅方向に二つ折りされた前記フィルムの幅方向の遊端部をヒートシールして筒状フィルムとする第1のヒートシール装置と、前記筒状フィルムを幅方向にわたってヒートシールして、有底の筒状フィルムとする第2のヒートシール装置と、前記有底の筒状フィルムに内容物を充填する充填装置とを備えた製袋充填装置であって、前記第2のヒートシール装置が、前記ヒートシール装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、高い生産性で、非常に確実にヒートシールを行うことができるので、従来横ヒートシールに時間を要し、生産性に限界があった、袋の製造と内容物の袋への充填とを行う製袋充填装置などへの使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のヒートシール装置が具備するヒートシールロールの一例を示す(a)断面図と、(b)斜視図である。
【図2】図1のヒートシールロールで、ヒートシールされた袋の連続体の一例を示す平面図である。
【図3】本発明のヒートシール装置が具備するヒートシールロールの他の一例を示す断面図ある
【図4】図1のヒートシールロールで、筒状フィルムを横ヒートシールする工程を説明する概略説明図である。
【図5】図1のヒートシールロールで、筒状フィルムを横ヒートシールする工程を説明する概略説明図である。
【図6】従来の製袋充填装置の一例を示す(a)側面図と、(b)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態例について詳細に説明する。
[ヒートシール装置]
図1は本実施形態例のヒートシール装置の要部を示すものであって、符号10は、筒状フィルム20をその幅方向にわたってヒートシールするいわゆる横ヒートシールを、筒状フィルム20の長さ方向に一定の間隔をおいて連続的に行う際に使用される一対のヒートシールロールである。図2は、例えば調味料などの内容物が、フィルムから形成された袋31の内部にそれぞれ密封充填された袋の連続体30であり、符号32は、図1のヒートシールロール10で幅方向にわたって横ヒートシールされた箇所である。
【0016】
図1の例のヒートシールロール10は、図示略の駆動手段を備え、回転軸11aを中心として互いに逆方向(図中矢印方向)に回転可能な2本の回転体11が、回転軸11aが互いに平行になるように配置されて構成されたものである。この例の各回転体11は、図示略のヒータなどの加熱手段を内蔵した円柱状の支持体12と、この支持体12の外周面上に回転軸11aの長さ方向に沿って延設された4本の凸条であるヒートシール部材13とを具備して構成されている。
【0017】
なお、この例においては、回転体11として、円柱状の支持体12上に凸条であるヒートシール部材13が4本互いに等間隔に形成されたものを例示しているが、支持体12は回転軸11aを中心として回転可能なものであれば円柱状のものに限定されない。また、ヒートシール部材13は1本以上であれば何本であってもよく、任意に設定可能である。さらに、ヒートシール部材13は、支持体12の長さ方向、すなわち回転軸11a方向に沿って形成されたものに限定されず、支持体12の長さ方向に一定の角度をもって斜めに形成され、横ヒートシールを、縦ヒートシールに対して90°以外の斜めに行えるものでもよい。また、ヒートシール部材13は、波状などの形状に形成され、横ヒートシールされた箇所32の形状を波状などの意匠性を有した形状にできるものであってもよい。また、回転軸11aは単なる軸線であってもよい。
【0018】
そして、図1の例のヒートシールロール10は、これら各回転体11を図示略の駆動手段によりそれぞれ矢印方向に回転させるとともに、これら回転体11の間に筒状フィルム20を図中上方から下方に向けて送ることによって、一方の回転体11のヒートシール部材13の外周面と、他方の回転体11のヒートシール部材13の外周面とで筒状フィルム20を両側から挟持し、これを下方に送りつつ加熱および加圧して、横ヒートシールするものである。したがって、このヒートシールロール10における一方の回転体11のヒートシール部材13と、他方の回転体11のヒートシール部材13とは、これら2本の回転体11を同じ速度で回転させた場合に互いに対向するように配置されている。そして、各回転体11は、ヒートシール部材13が互いに対向した場合、ヒートシール部材13の外周面同士が、筒状フィルム20の厚み程度のクリアランスを有するように近接して配置されている。
【0019】
また、このヒートシールロール10は、回転体11の回転軸11aに交差する方向に往復可能であって、特に、この例のヒートシールロール10は、筒状フィルム20の送り方向に沿う方向(図中上下方向)に往復可能となっている。すなわち、詳しくは後述するが、この例のヒートシールロール10は、各回転体11がそれぞれ回転軸11aを中心として回転すると同時に、筒状フィルム20の送り方向に沿った図中上下方向に往復移動でき、ヒートシール時間を調整できるようになっている。
【0020】
なお、ここでヒートシールロール10としては、回転体11の回転軸11aに交差する方向のうち、筒状フィルム20の送り方向に沿う図中上下方向に往復可能なものが示されているが、少なくとも図中下方向に移動可能であれば、ヒートシール時間を調整することができ、必ずしも往復する必要はないし、復路が別の経路、例えば円弧を描くような経路であってもよい。また、ヒートシールロール10の移動方向も、必ずしも筒状フィルム20の送り方向に沿う方向に限定されない。例えば、図3に示すように、ヒーロシールロール10が図中水平方向などに往復移動することにより、後述するヒートシール時間の調整を行うものであってもよい。しかしながら、ヒートシールロール10が筒状フィルム20の送り方向に沿う方向に往復移動可能なものであれば、ヒートシール装置の構成を簡単、かつコンパクトなものとでき、連続的にヒートシールをし続けることが可能であるため好ましい。
【0021】
[ヒートシール方法]
次に、図1の例のヒートシールロール10、すなわち、筒状フィルム20の送り方向に沿う方向に往復移動可能なヒートシールロール10を使用して、筒状フィルム20を横ヒートシールする方法について詳細に説明する。
まず、図4(a)に示すように、図示略の駆動手段を作動させて、2本の回転体11を互いに反対方向である図示の矢印方向に回転させるとともに、横ヒートシールする筒状フィルム20を図中上方から下方に向けて、2本の回転体11間に向けて送る。
ここで、筒状フィルムの送り速度はA(m/s)の一定速度とする。また、各回転体11の中心からヒートシール部材13の外周面までの距離、すなわち半径はr(m)とする。また、この例の各ヒートシール部材13は、支持体12の中心角θ(rad)に対応する位置に形成されていて、その外周はrθ(m)である。よって、ヒートシール部材13の間に挟まれることにより形成される横ヒートシールの幅も図2に示すようにrθ(m)となる。
【0022】
こうして図4(a)のように各回転体11を回転させつつ筒状フィルム20を下方に送っていくと、一方の回転体11のヒートシール部材13の外周面と、他方の回転体11のヒートシール部材13の外周面とが、両側から筒状フィルム20に当接する図4(b)に示す状態となる。
なお、ここでは、説明を判りやすいものとするために、筒状フィルム20の端部と、ヒートシール部材10の下端とが一致するように図示したが、必ずしも筒状フィルム20の端部と、ヒートシール部材10の下端とが一致するタイミングで行わなくてもよく、筒状フィルム20の任意の箇所からヒートシールを開始してよい。また、この際のヒートシールロール10の相対高さをP1とする。
【0023】
ここで、少なくとも各外周面が筒状フィルム20にその両側から当接する時点で、各回転体11の回転速度は、ヒートシール部材13で横ヒートシールを確実に行える任意の回転速度α(rad/s)となるように調整される。なお、従来の技術で示したような、それ自体がフィルムの送り方向に沿って移動しないヒートシールロールの場合には、図4(b)に示す状態での回転速度は、フィルムの送り速度(A(m/s))が決まれば自動的に決まり、A/r(rad/s)となる。しかしながら、本実施形態のヒートシール方法によれば、回転速度α(rad/s)は、任意の値に理論上設定可能である。ここでは、回転速度αを、従来のヒートシールロールにおける回転速度の1/2であるA/2r(rad/s)に設定する。
【0024】
そして、このように回転速度を調整するとともに、図5(a)に示すように一対のヒートシールロール10を図中下方に移動させていく。すなわち、ヒートシールを確実に行える十分遅い回転速度α=A/2r(rad/sec)で各回転体11を回転させ、ヒートシール部材13の外周面間で筒状フィルム20を挟持し、これを下方に送りつつヒートシールしながら、ヒートシールロール10自体も筒状フィルム20とともに、速度A/2(m/s)で下方に移動していく。なお、図5(a)、(b)中、移動前のヒートシールロール10の位置を破線で示す。また、ここで、ヒートシールロール10は、必ずしも筒状フィルム20の送り速度の1/2の一定の速度で下方に移動する必要はなく、遅い速度でもよい。さらには、必ずしも筒状フィルム20を挟持している間のすべての時間中移動する必要はなく、少なくとも一部において、移動すればよい。
【0025】
そして、さらに各回転体11を回転させつつ一対のヒートシールロール10を下降させていき、一方の回転体11のヒートシール部材13の外周面と、他方の回転体11のヒートシール部材13の外周面がともに筒状フィルム20から離れた直後の図5(b)の時点で、各回転体11を回転させ続けながら、ヒートシールロール10自体の移動の向きを上方へと反転させる。なお、上方への移動の間、各回転体11は回転し続けていなくてもよいが、ヒートシールロール10が上方へ移動している際にヒートシール部材13の外周面が筒状フィルム20に接触しないことが必要であるとともに、後述するように、少なくとも次のヒートシール部材13が次の箇所を横ヒートシールできるようなタイミングでこれを回転させることが必要である。
また、図5(b)の時点のヒートシールロール10の相対高さをP2とする。
【0026】
ここで、ヒートシールロール10が下降したP1〜P2までの図中Lで示される距離は、この例の場合には、このヒートシールロール10によって形成される横ヒートシール幅と同じrθ(m)となる。
すなわち、この例においては、ヒートシール時における各回転体11の回転速度が従来のヒートシールロールの1/2に設定されているため、対向する各ヒートシール部材13が筒状フィルム20を挟み、これを下方へ送りつつヒートシールする時間は、従来のヒートシールロールの場合の2倍となる。一方、筒状フィルム20の送り速度は従来と変わらないA(m/s)である。よって、この時間内でヒートシールロール10が下方に送らなければならない筒状フィルム20の長さは従来の2倍の2rθ(m)となる。しかしながら、各回転体11が回転軸11aを中心として回転することによってヒートシール部材13が下方に送ることのできる筒状フィルムの長さはrθ(m)である。したがって、この時間内に送る必要のある全長さ(2rθ(m))とヒートシール部材13が下方に送ることのできる長さ(rθ(m))との差rθ(m)だけ、ヒートシールロール10自体が下方に移動することとなる。
【0027】
ついで、ヒートシールロール10を上方へと移動させ、図4(b)における位置にまで戻す。すなわち、下降した分だけ上昇する。ここでヒートシールロール10を上方へ移動させる際におけるヒートシールロール10の移動速度、各回転体11の回転速度は、ヒートシールロール10が図4(b)に示す位置にまで戻った際に、次のヒートシール部材13が次の箇所を横ヒートシールするために筒状フィルム20に当接できるタイミングとなるように調整する。
【0028】
そして、各回転体11の回転により、次のヒートシール部材13が筒状フィルム20に当接した時に、再び、各回転体11の回転速度を、各回転体11で横ヒートシールを十分確実に行える程度の回転速度α=A/2r(rad/sec)に調整する一方、ヒートシールロール10自体の移動の向きを反転させ、これを再び下方へ距離L=rθ(m)だけ移動させる。その結果、長さ方向に一定の間隔をあけて、筒状フィルム20を連続的に横ヒートシールすることができる。
【0029】
こうして、ヒートシール部材13の外周面で筒状フィルム20を挟み、これを下方に送りつつヒートシールする工程においては、ヒートシールロール10自体を筒状フィルム20の送り方向である下方に筒状フィルム20の送り速度と同じ速度で移動させ、一方、筒状フィルム20が、ヒートシール部材13の外周面から離れ、接触していない場合に、ヒートシールロール10自体を筒状フィルム20の送り方向と反対の上方に移動させることを繰り返す。
【0030】
このようにヒートシール時にヒートシールロール10自体を筒状フィルム20の流れに沿って下降させることによって、筒状フィルム20の送り速度にかかわらず、ヒートシール部材13によるヒートシール時の各回転体11の回転速度を、ヒートシールに十分な速度まで任意に減速させることができる。すなわち、ヒートシール時間を所望に調整することができる。この例の場合には、筒状フィルム20の送り速度を減速させることなく、ヒートシール時における各回転体11の回転速度を従来の場合の1/2とすることができた。すなわち、これは、従来の2倍の送り速度で筒状フィルム20を送った場合にも、各回転体11の回転速度を従来通り維持できることを意味し、したがって、この例の方法によれば、ヒートシール時間を調整することにより、筒状フィルム20のシール強度を下げてしまうことなく確実にシールしつつ、ヒートシールの生産性を2倍に向上することができる。
また、この方法によれば、ヒートシールロール10は、ヒートシール部材13が筒状フィルム20と接触していないタイミングに、真っ直ぐに上昇して元の位置まで戻ることができるので、上昇に際して、各回転体11を筒状フィルム20から離す図中左右方向などに移動させる必要はない。
すなわち、この方法によれば、ヒートシールロール10を筒状フィルム20の送りの方向に沿って単に往復させるだけの簡単な方法で、シール強度などの品質を維持したまま、生産性を上げることができる。
【0031】
なお、上記の説明においては、各回転体11の回転速度を従来の1/2のα=A/2r(rad/sec)に調整したので、ヒートシールロール10を距離L=rθ(m)だけ移動させる必要があった。例えば、回転速度αを、従来の1/3であるA/3r(rad/sec)とした場合には、ヒートシール部材13がその外周面で筒状フィルム20を挟んでヒートシールする時間は従来の3倍となり、その結果、この間下方に送らなければならない筒状フィルムの長さは3rθ(m)となる。したがって、この場合には、各回転体11の回転によってヒートシール部材13が下方に送ることのできる筒状フィルム20の長さrθ(m)を、送る必要のある長さ3rθ(m)から差し引いた長さ、すなわちL=2rθ(m)だけ、ヒートシールロール10は往復移動することとなる。
【0032】
また、図3に示すように、ヒートシール時にヒートシールロール10を水平方向に移動させ、その分、筒状フィルム20の行程を長くとることによっても、ヒートシール部材13によるヒートシール時の各回転体11の回転速度を、ヒートシールに十分な速度まで任意に減速させることができ、ヒートシール時間を調整できる。
【0033】
このように、以上説明したようなヒートシールロール10を具備したヒートシール装置を使用すると、筒状フィルム20の送り速度にかかわらず、各回転体11の回転速度を設定でき、ヒートシール時間を調整することができるため、従来と同等の品質の袋31の連続体30を、より高い生産性で製造することができる。
また、このような方法によれば、筒状フィルム20の送り速度にかかわらず、各回転体11の回転速度を任意に設定できるため、例えば、特に念入りにシールする必要のあるシールぎわ部分をシールする際などに、筒状フィルム20の送り速度を一々変化させることなく、各回転体11の回転速度を一時的に遅くし、同時にヒートシールロール10を下降させて、加熱、加圧時間を多く確保することも可能である。
さらに、このようなヒートシール装置を備えた製袋充填装置によれば、例えば製袋充填作業の生産性を上げるために筒状フィルム20の送り速度を高めた場合であっても、横ヒートシールロールの回転速度を必ずしも上げる必要がないので、内容物が充填された後でなされ、縦ヒートシールよりもシールされにくい横ヒートシールを実施する場合であっても、十分な加圧時間を確保でき、確実にシールすることができる。製袋充填装置としては、フィルムを幅方向に二つ折りする装置と、幅方向に二つ折りされた前記フィルムの幅方向の遊端部、すなわち閉じていない方の端部をヒートシールして筒状フィルム20とする第1のヒートシール装置(いわゆる縦ヒートシール装置)と、得られた筒状フィルム20を幅方向にわたってヒートシールして、有底の筒状フィルム20とする第2のヒートシール装置(いわゆる横ヒートシール装置)と、得られた有底の筒状フィルムに内容物を充填する充填装置とを備えたものが例示でき、ここで第2のヒートシール装置として、上述のヒートシール装置を使用する。
【符号の説明】
【0034】
10・・・ヒートシールロ−ル、11・・・回転体、12・・・支持体、13・・・ヒートシール部材、20・・・筒状フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心として回転可能な支持体と、該支持体上に形成された少なくとも1つのヒートシール部材とを備えた2つの回転体が、前記回転軸が互いに平行となるように配された一対のヒートシールロールを具備したヒートシール装置であって、
フィルムを挟持している時間のうち、シールぎわ部分をシールする際を含む少なくとも一部において、前記一対のヒートシールロールは、前記ヒートシール部材の外周面における周方向の速度が前記フィルムの送り速度よりも遅くなる回転速度で前記回転体を回転させつつ、前記フィルムの送り方向に移動可能であることを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って往復可能であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記ヒートシール部材は、前記回転軸の長さ方向に延設された凸条であることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記ヒートシール部材は、互いに等間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って下降して前記ヒートシール部材の外周面がフィルムから離れた直後の時点で移動の向きを上方に反転し、前記フィルムの送り方向と反対の方向に下降した分だけ上昇した際に、次の箇所をヒートシールするヒートシール部材が前記フィルムに当接できるタイミングとなるようにヒートシールロールの移動速度および各回転体の回転速度が調整可能とされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のヒートシール装置。
【請求項6】
回転軸を中心として回転可能な支持体と、該支持体上に形成された少なくとも1つのヒートシール部材とを備えた2本の回転体が前記回転軸が互いに平行となるように配された一対のヒートシールロールにおける各回転体を互いに反対方向に回転させ、前記ヒートシール部材の外周面間でフィルムを挟持して、該フィルムをヒートシールする方法であって、
前記フィルムを挟持している時間のうち、シールぎわ部分をシールする際を含む少なくとも一部において、前記ヒートシール部材の外周面における周方向の速度が前記フィルムの送り速度よりも遅くなる回転速度で前記回転体を回転させつつ、前記一対のヒートシールロールを前記フィルムの送り方向に移動させることにより、各回転体の回転速度を一時的に遅くして、ヒートシール時間を調整することを特徴とするヒートシール方法。
【請求項7】
前記一対のヒートシールロールは、前記フィルムの送り方向に沿って往復可能であり、前記フィルムの一の箇所をヒートシールした後、次の箇所をヒートシールする前に、前記一対のヒートシールロールを前記フィルムの送り方向と反対の方向に移動させることを特徴とする請求項6に記載のヒートシール方法。
【請求項8】
前記一対のヒートシールロールを、前記フィルムの送り方向に沿って下降させて前記ヒートシール部材の外周面がフィルムから離れた直後の時点で移動の向きを上方に反転させ、前記フィルムの送り方向と反対の方向に沿って下降した分だけ上昇させ、その際のヒートシールロールの移動速度および各回転体の回転速度を、次の箇所をヒートシールするヒートシール部材が前記フィルムに当接できるタイミングとなるように調整することを特徴とする請求項7に記載のヒートシール方法。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかに記載のヒートシール装置を備えていることを特徴とする製袋充填装置。
【請求項10】
フィルムを幅方向に二つ折りする装置と、幅方向に二つ折りされた前記フィルムの幅方向の遊端部をヒートシールして筒状フィルムとする第1のヒートシール装置と、前記筒状フィルムを幅方向にわたってヒートシールして、有底の筒状フィルムとする第2のヒートシール装置と、前記有底の筒状フィルムに内容物を充填する充填装置とを備えた製袋充填装置であって、
前記第2のヒートシール装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のヒートシール装置であることを特徴とする製袋充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−132459(P2009−132459A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63027(P2009−63027)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【分割の表示】特願2002−43799(P2002−43799)の分割
【原出願日】平成14年2月20日(2002.2.20)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(390037707)オーエスマシナリー株式会社 (15)
【Fターム(参考)】