説明

ヒートシール装置

【課題】本発明は、熱融着部材の表面温度を検出しつつその表面温度を所定の温度範囲に維持して包装シートの熱融着を行うことのできるヒートシール装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ヒートローラを具備し、該ヒートローラの表面を包装シートに当接させることにより、該包装シートを熱融着するヒートシール装置であって、前記ヒートローラの表面温度を検出する表面温度検出手段と、該表面温度検出手段の検出結果に基づいて、前記表面温度を所定の範囲に維持するよう制御する温度制御手段とが設けられ、前記表面温度検出手段は、非接触型測温体であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬剤等を分包する分包機の熱融着性包装シートのヒートシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薬剤の分包等を行う分包機のヒートシール装置では、熱融着性の包装シートを用いて薬剤の分包を行っている。この種のヒートシール装置としては、例えば、特開平8−230832号公報記載のものが知られている。
【0003】
かかるヒートシール装置には、包装シート101の熱融着を行うためのヒートローラ等が用いられている。図6は、従来のヒートシール装置の主要部を概略的に示す説明図であり、ヒートローラ対のうち、一方のヒートローラ102のみを示している。
【0004】
また、図7は、包装シート101を熱封着する際のヒートローラ102の発熱体部分105と包装シートの溶着された部分との関係を、ヒートローラ102の側面から模式的に示している。
【0005】
このヒートローラ102は、その内部に加熱源を有したローラ対であり、その表面が加熱されて均熱状態(横加熱体103、縦加熱体104、軸方向加熱体105、円形加熱面107)とされている状態で、薬剤等(図示せず)がシュート111から投入されて分包状態とされた包装シート101を、ヒートローラ102自身が回転機構112及び113によって回転されて送りつつ、1回転ごとに1分包102aずつ封着されるように構成されている。
【0006】
このため、ヒートローラ102は、包装シート101の溶着されるべき部分101bがヒートローラ対に挟み込まれる位置に来た場合だけヒートローラ102表面に当接し得るように、円柱状のローラ表面が、前記溶着されるべき部分101bが当接すべき部分を残して他の表面部分が切除され非接触面106が形成された形状とされている。そして、包装シート101bに当接すべきローラ表面部分には、封着された包装シートにミシン目を形成するためのミシン刃134が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなヒートローラの温度を所定範囲に維持するため、前記加熱源を電気ヒータとし、この電気ヒータにできるだけ近い位置でその温度を検出すべくヒートローラの内部に温度検出手段を配設し、加熱源の温度を検出しつつ、加熱源に通電する電源を電圧設定し、又はオンオフして加熱源の温度を所定範囲に維持することが行われている。
【0008】
しかしながら、このような手法によると、加熱源の温度を確実に捉えることは困難である。即ち、温度検出手段を配設するとしても、ヒートローラが回転体であり温度検出手段からの検出出力の取出し配線が常に回転によって捩じられることとなるので、ヒートローラ側端面で擦らせて外部と接続するように配設するしかなく、不安定な構造でしか実施できないからである。
【0009】
そして、このような構造面の問題の他、実際の融着温度の把握についての問題がある。即ち、通常、多用する材質の包装シートに対して、これに対応する融着温度範囲は経験的に把握してこれに対応して加熱源の温度を設定できるものの、この温度範囲をはずれた高温域や低温域では加熱源の温度に対して融着温度がどうなっているのかは把握できないのである。
【0010】
然るに、分包機のヒートシール装置を設置する場所の地域的環境の差異や、ヒートシール装置を稼動する時期の季節的又は時間的な差異がさらに生じることによりヒートローラの表面の温度は、通電する電流に対して必ずしも定量的に捉えられる訳ではなく、しかも、実際にかなりの温度の差異を生じている。従って、ヒートシール装置を出荷する際には一旦所定の電流を通電できるように調整する一方で、納品時に担当者又はユーザーがそれぞれの事情に合わせて微調整しなければならず、大変面倒であるという問題がある。
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、分包機の熱融着部材の表面の温度を検出しつつ、その表面温度を所定の温度範囲に維持して包装シートの熱融着を行うことのできるヒートシール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決すべく、本発明は、分包機の熱融着部材の表面温度を測定して表面温度が包装シートの熱融着に最適な温度となるように制御する構成を提供する。
【0013】
このため、本発明の請求項1に係わるヒートシール装置は、ヒートローラを具備し、該ヒートローラの表面を包装シートに当接させることにより、該包装シートを熱融着するヒートシール装置であって、前記ヒートローラの表面温度を検出する表面温度検出手段と、該表面温度検出手段の検出結果に基づいて、前記表面温度を所定の範囲に維持するよう制御する温度制御手段とが設けられ、前記表面温度検出手段は、非接触型測温体であることを特徴とする。
【0014】
特に、前記表面温度検出手段は、ヒートローラの表面のうち、包装シートに当接する部分の反対側の部分に接触することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
表面温度のモニタリングの必要なく広い温度範囲にわたって熱融着部材の表面温度を制御でき消費電力の無駄なく所定の熱封着ができ、しかも、ヒートローラに接触させにくい位置の表面温度が検出でき、又は、表面の条件がよくないときでも表面温度が検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係わるヒートシール装置50を示し、表面温度検出手段として、接触型のサーミスタTHを配設したヒートシール装置50の主要部の構成を概念的に示す。ヒートシール装置50の熱融着部材としてのシート加熱体12(12a及び12b)としては、ローラ対10の各ローラに発熱源EHを内蔵したものを用いた例を説明する。図1には、図6と同様にヒートローラ10aの一方のみを図示し、その表面温度の測定及び制御に係わる部分以外は、簡略に、又は、省略して示した。また、図2は、本実施の形態に係わる表面温度検出手段及び温度制御手段を示す概略ブロック図である。
【0018】
本実施の形態に係わるヒートシール装置50は、ヒートローラ10の表面温度を検出する表面温度検出手段と、温度制御手段と、両手段に係わる検出制御回路14とが設けられており、前記表面温度が測定され、しかも、表面温度が所定の範囲に維持されて前記包装シート20が熱封着される構成を具備する。
【0019】
そして、当該構成以外の構成は、従来のものと同様に、発熱源EHを内蔵するヒートローラ対10、ヒートローラ対10を固定するフレーム(図示せず)、ヒートローラの回転に係わる駆動装置13、ヒートシール装置全体の制御装置15、ヒートローラの発熱に係わる電源16、ヒートローラ対10への包装シート20の供給に係わる搬送装置(図示せず)等を具備する。以下、特に説明しない構成は、従来のものと同一である。
【0020】
以下、本実施の形態の主要構成要素であるヒートローラ対10と、表面温度検出手段と、温度制御手段について説明する。尚、以下の説明では、ヒートローラ対10は、一方のローラ10aについて述べるが、ローラ10bにも該当する。
【0021】
まず、ヒートローラ対10は、従来のものと同様の形状及び構造であり、例えば、約20Φ×60L(mm)程度の鉄材製の円柱を、前述したように包装シートの熱溶着のためにシート加熱体部分以外の表面部分を切除して非接触面を形成したような形状である。
【0022】
そして、ヒートローラ対10は、内部に発熱源EHを収容しており、発熱源EHは、例えば50W〜100W程度のニクロム線等による電気抵抗加熱が、発熱温度の制御が容易であり、好ましい。このようにローラ形状の熱融着部材によれば、間欠的な停止のない定常的な運転操作ができ、ヒートローラが包装シートに当接され続けるので表面温度を安定させやすい。
【0023】
次に、表面温度検出手段はヒートローラ10aの表面に接触させて表面温度を検出して測定するものであり、例えば、温度感知部が薄板ガラスでコーティングされ、樹脂テープ等で覆った形状のサーミスタTHが用いられる。サーミスタTHは、後述するように、温度に対して正確で且つ高感度の電気信号を得ることができ、発熱源EH等の制御回路等とあわせて通常の回路要素で制御してヒートローラ10aの表面温度を包装シート20の融着条件に適合させることができ、しかも小型で故障が少なく、装置コストは低廉である。
【0024】
そして、このサーミスタTHは、その感熱部がヒートローラ10aのシート加熱体12表面から、その温度を感知し得るように適度の圧力が付圧されるようにしてシート加熱体12表面に取り付けられる。図1においては、ヒートローラ10aのシート加熱体12部分のうち、包装シート20が当接する部分の反対側の位置に取り付けられている例を示した。
【0025】
この場合の適度の圧力は、サーミスタTHを、ヒートローラ10aに近い位置からヒートローラ10aに圧接させ、しかも、ヒートローラ10aの回転に支障のない程度に小さい圧力に調節して固定することによって設定する。この場合、ガラス薄板が耐磨耗性を有しており、ガラス薄板及び鉄材製のヒートローラ10aが互いに褶接されるとき摩滅が進行し続けることがないので、温度感知部の磨耗が少なく、安定に褶接する状態を得ることができるので、好ましい。従って、サーミスタの故障が少なく、その寿命が長い。
【0026】
このサーミスタTHの取付位置は、発熱源にできるだけ近い近傍、例えば、シート加熱体12表面又はヒートローラ10a表面や側面が好ましい。そして、前述したように、温度感知部の磨耗が殆ど生じないようにして取付けるので、表面温度を正確に検出し得るとともに、寿命が長く、故障が極めて少ない。
【0027】
このサーミスタTH以外には、白金抵抗測温体や熱電対等を、サーミスタの場合と同様にヒートローラ10aに取付けて用いてよい。これらの接触型の表面温度測定手段によれば、ヒートローラ10aの表面温度を正確に検出でき、その表面温度を包装シートの融着条件に正確に一致させるように発熱源を制御できる。従って、ヒートローラ10aの表面温度を、広い温度範囲にわたって正確に検出して制御できる。
【0028】
ところで、包装シート20は、例えば、グラシン紙やセロファンポリエチレン紙等、通常の紙材表面にポリエチレン等の合成樹脂の薄い被膜を塗工して設けてこの被膜による熱融着性を付与したものである。この他に、例えば、(1)長期にわたる服用期間に対する防湿を考慮して内側にアルミニウムを蒸着したグラシン紙や、(2)漢方薬のような生薬を分包するため内側にポリエチレンを被覆した和紙等がある。
【0029】
これらの包装シートに対して、本実施の形態に係わるヒートシール装置は、従来よりも低い温度範囲まで正確にヒートローラ10aの表面温度に対応できるので、合成樹脂の材質の種類等により、熱融着条件が若干異なるが、何れの種類の包装シートも概ね摂氏50〜300度のうちの何れかの温度に設定してその温度で互いに融着できる。例えば、通常の合成樹脂被膜のグラシン紙や、アルミニウムを蒸着したグラシン紙は、摂氏120〜140度の範囲で溶着される。また、ヒートシール装置における溶着時間の設定の長さにもよるが、前記(2)の和紙は摂氏300度程度で溶着され、他方、融点の低い合成樹脂被膜の包装シートは、摂氏100度程度以下の温度で溶着される。尚、前記グラシン紙は、圧力をかけると薄くなり、ほぼ透明にすることができる。
【0030】
従って、ヒートローラ10aの表面温度を、この摂氏120〜140度の範囲に設定すると、通常のグラシン紙やセロファンポリエチレン紙に対して温度のバラツキを少なくして熱効率よく熱溶着できる。また、摂氏50〜300度の範囲に設定すると、前記(1)のグラシン紙や(2)の和紙のように比較的高温のタイプや、融点の低い合成樹脂被膜の包装シートのように比較的低温のタイプに対しても、各材質や処理数量に応じて多様なケースに適合するように設定することができる。
【0031】
次に、温度制御手段について説明する。温度制御手段は、第1のコンパレータ(第1コンパレータ)CM1と第1の定電圧電源(第1定電圧電源)とリレーとによって構成される。前述したヒートローラの表面温度を所定の範囲に維持するために、制御すべき温度の目標値を目標温度として定め、この目標温度のとき表面温度検出手段(サーミスタ)が得る信号電圧を発熱基準電圧V0として設定する。
【0032】
そして、この発熱基準電圧V0と、表面温度検出手段がヒートローラ10aの表面温度を検出して発する信号電圧とを第1のコンパレータCM1において比較し、この結果得られるコンパレータ出力に応じて、リレーSRを開閉するようにし、前記発熱基準電圧V0の設定値に応じてヒートローラ10aの発熱源EHへの入力を制御する。
【0033】
前記第1の定電圧電源は、この発熱基準電圧V0に等しくなるように定電圧電源CVSに対して抵抗手段rAによってその電圧が設定される。このように、通常の回路要素によって所定の温度範囲を維持できるので、所定の温度範囲を任意に定めて精密に制御できる。
【0034】
本実施の形態においては、前記リレーSRをフォトMOSリレー等の半導体リレー(ソリッドステートリレー)で構成したので、無接点でリレー動作を行ない、小型で故障が殆どなく信頼性が高く、低消費電力であるので、ヒートシール装置の駆動装置を小型化できランニングコストも小さい利点を有する。
【0035】
以上のようにヒートシール装置を構成してヒートローラ10aの表面温度を所定の範囲に維持するので、従来のように、ヒートローラ10aの発熱源EHの電流等をモニタリングしながら手動的且つ経験的に調整することは、全く必要ではなくなり、広い温度範囲にわたってヒートローラ10aの表面温度を制御でき、包装シートに対して所定の熱溶着を行って、包装シートを熱封着でき、分包不具合を生じることがない。さらに、消費電力の無駄がなく、包装紙の熱封着状態や発熱源の電流値のモニタリングの必要もないという優れた利点を有する。
【0036】
(実施の形態2)本実施の形態は、実施の形態1の構成に、さらに、例えば、温度検出手段であるサーミスタTHのショート及び断線という異常状態をそれぞれ検出するために異常検出手段を2系統設け、サーミスタTHの異常状態に対応して前記発熱源EHへの入力が停止されるように構成したものである。その他の構成は実施の形態1と同一である。まず、異常検出手段を設けるという基本的原理を説明する。
【0037】
図3は、かかる異常検出手段を2系統設けたヒートシール装置の主要部のブロック図である。実施の形態1においては、コンパレータ(第1コンパレータCM1)と、抵抗手段rA及び定電圧電源CVS(第1定電圧電源)が設けられて発熱基準電圧V0が設定されている。
【0038】
これに対して、実施の形態2においては、さらに、第2及び第3のコンパレータCM2及びCM3が温度検出手段の出力配線に接続されると同時に、定電圧電源CVSは1個のまま共用として抵抗手段rB及びrCによって第2及び第3の電圧(実施の形態1の発熱基準電圧V0を第1の電圧として)Vn及びVmが設定され、この設定により、第2及び第3の定電圧電源が設けられたのと同等の接続とされている。第2及び第3の電圧Vn及びVmは、次に説明する異常状態の仮想温度値に対応して定められる。
【0039】
このようにして、2系統設けた異常検出手段は、第2及び第3のコンパレータCM2及びCM3と、定電圧電源CVS並びに第2及び第3の定電圧Vn及びVmとによって構成される。前述したサーミスタTHの異常状態を検出するため、ショート又は断線が生じた場合に異常状態として認識すべきそれぞれの場合の仮想温度値を異常設定値として定める。
【0040】
そして、サーミスタTHがこの異常状態に達したとしたとき表面温度検出手段がこの異常状態を検出して出力することになる信号電圧と、通常の稼動状態のときの表面温度検出手段の出力する信号電圧とをそれぞれ第2及び第3のコンパレータCM2及びCM3において比較し、このとき得られるコンパレータ出力をそれぞれ断線検出信号eC及びショート検出信号eSとしてCPUへ送り、CPUが、発熱源EHへの入力を停止するよう制御をおこなう。
【0041】
前記定電圧電源CVSは、共用とされつつ、前記発熱基準電圧V0及び異常設定値のそれぞれに対応する信号電圧Vn及びVmに等しくなるように3系統の抵抗手段rA〜rCを用いてその電圧が設定されている。この異常設定値をショート又は断線に応じて抵抗手段rA〜rCによりそれぞれどのように具体的に設定するかという設定要領を説明する。
【0042】
抵抗手段rBは、第2コンパレータCM2を断線検出用とするように、サーミスタが断線するとS点の電圧が上限に達することとなることから、定電圧電源CVSの出力の上限からわずかに小さい電圧に設定する。他方、抵抗手段rCは、第3コンパレータCM3がショート検出用とするように、サーミスタTHがショートするとS点の電圧がほぼ0となることから、定電圧電源CVSの出力の下限からわずかに大きい電圧に設定する。
【0043】
このように、定電圧電源CVSを共用とし、抵抗手段rA〜rCにより、異常設定値を設定するように構成したので、電源コストを小さくできるとともに、例えば、可変抵抗器のような抵抗手段における可変ツマミの調整というような操作しやすい手段を利用できる利点がある。
【0044】
尚、異常検出手段は1系統だけ設けてもよく、3系統以上設けてもよい。さらに、発熱基準電圧V0を複数通り設定して、包装シートの材質や厚さの種類の違いや、溶着処理個数の多少等を勘案して目標温度を複数通り設定することもでき、さらに利便性を向上できる。
【0045】
このように、異常検出手段を設けたので、異常状態を直ちに検出でき、対策を採ることが可能であり、しかも、複数系統設けると複数の種類の異常状態のそれぞれを別々に検出して、そのそれぞれに対して的確に対応できる。
【0046】
また、温度検出手段や異常検出手段を複数通り設ける場合に、これらをヒートローラ対10の各ローラに分けて設けて、温度差を無くすようにしたりすることもできる。
【0047】
(実施の形態3)本実施の形態においては、断線検出信号eC又はショート検出信号eSを得た場合に発熱源への入力停止を簡単な構成で停止できるようにするため、図4に示すように、発熱源EHの入力経路に遮断器SBを設け、断線検出信号eC又はショート検出信号eSを受けて遮断器SBを遮断するように構成した。
【0048】
このように構成することにより、CPUを経ることなく低廉な装置コストにより遮断器を遮断できる。そして、本実施の形態においては、遮断器SBを半導体スイッチであるスイッチングダイオード、サイリスタ等で構成したので、無接点で小型化したものとでき、信頼性が高く、低消費電力であるので、ヒートシール装置の駆動装置を小型化できランニングコストも小さい利点を有する。
【0049】
このように、異常検出手段と遮断器とを設けたので、異常状態を直ちに検出して発熱源への入力を停止して異常加熱等を防止したり、二次的損傷を防止する等が可能であり、しかも、複数系統設けると複数の種類の異常状態のそれぞれを別々に検出して、そのそれぞれに対して的確に対応できる。
【0050】
(実施の形態4)本実施の形態は、温度検出手段を非接触型にしたものである。その他の構成は、実施の形態1〜3のいずれかと同一とすることができる。本実施の形態においては、非接触型測温体として、例えば、赤外線を通す赤外ファイバを用いた放射温度計等を用いて前述の温度範囲の表面温度を検出することができる。
【0051】
このように、非接触型測温体を用いることにより、ヒートローラが回転中であると否とに拘らず、ヒートローラの表面の仕上がり状態が接触型測温体を褶接させて用いるのに適さない場合や、接触させにくい位置の表面温度を検出する場合にもヒートローラの表面温度を検出できる。従って、シール装置の駆動装置の構成に係わる設計的な制約を少なくしてヒートローラの形状に拘らず表面温度を検出できる。
【0052】
(実施の形態5)本実施の形態は、ヒートシール装置の熱融着部材として、図6に示したように、包装シートが互いに熱融着される部分の形状に合わせて平面を有するように形成した均熱体40を用いて包装シート20を熱融着し、その均熱体40の表面温度を検出して測定し、発熱源EHへの入力を制御する構成である。その他の構成は、実施の形態1〜4の何れかと同一とできる。図6には、前記均熱体40と包装シート20との位置的な関係と、表面温度検出手段として接触型測温体であるサーミスタTHを取り付ける場合の位置のみを示した。
【0053】
このように均熱体40を平面で包装シート20に当接させる構成により、包装シート20への熱の伝達効率を向上させることができ、包装シート20の封着部分の密着性もよい。
【0054】
尚、以上の説明から明らかなように、本発明に係わるヒートシール装置は、薬剤等に限らず、食品を包装シート等で封着するように構成することもでき、実施の形態1〜5で説明した作用効果と同等の作用効果を得る。
【0055】
本発明に係わるヒートシール装置は、熱融着部材の表面温度が測定され、しかも、表面温度が所定の範囲に維持されて前記包装シートが熱融着される構成により、熱融着部材の表面温度を所定の範囲に維持でき、従来よりも広い温度範囲で正確に熱融着部材の表面温度に対応できるので、熱融着部材の発熱源の電流調整等を要しない。従って、表面温度のモニタリングの必要なく広い温度範囲にわたって熱融着部材の表面温度を制御でき消費電力の無駄なく所定の熱封着ができる。
【0056】
前記熱融着部材をヒートローラ対で構成でき、ローラの1回転の動作によって分包できるので定常的な運転操作ができ、表面温度を安定させやすい。
【0057】
前記表面温度検出手段を接触型測温体で構成できるので、表面温度を正確に検出でき、包装シートの熱融着条件に正確に一致させるように発熱源を制御することができる。
【0058】
前記接触型測温体としてサーミスタを採用できるので、温度検出を電気信号で得ることができ、その制御回路を通常の回路要素で低廉な装置コストで構成できる。そしてサーミスタの温度感知部がシート加熱体表面に適切に付圧されて前記サーミスタが配設されているので、温度感知部の磨耗が少なく、表面温度を正確に検出できサーミスタの故障が少なく寿命が長くできる。
【0059】
前記温度制御手段が第1コンパレータと第1定電圧電源とリレーとからなり、前記発熱基準電圧を参照して第1コンパレータ出力により前記リレーが開閉されてヒートローラ対の発熱源への入力が制御されるので、通常の回路要素によって所定の温度範囲に維持できる。従って、所定の温度範囲を任意に定めて精密に制御できる。
【0060】
前記リレーとして半導体リレーを採用できるので、リレーを小型化でき、低消費電力で故障が少ない。従って、ランニングコストを小さくでき信頼性も高い。
【0061】
前記表面温度検出手段の異常状態に対応して前記発熱源への入力が停止されるべく異常検出手段をさらに設けることができるので、異常状態を直ちに検出でき、対策がとれる。
【0062】
前記異常検出手段が第2コンパレータと第2定電圧電源と遮断器とからなり、前記異常状態に対応して設定する異常検出電圧に前記第2定電圧電源が設定され、前記サーミスタの出力と、前記異常検出電圧との比較による第2コンパレータ出力があったときヒートローラ対の発熱源への入力が停止されるので、通常の回路要素によって異常状態を検出でき、異常加熱等を防止する。
【0063】
前記発熱源への入力経路に前記遮断器が設けられ、前記第2コンパレータ出力により該遮断器が遮断されて前記発熱源への入力が停止されるので、異常状態が検出されて自動的に発熱源への入力が停止されるので、二次的損傷が生じない。
【0064】
前記遮断器として半導体スイッチを採用できるので、遮断器を無接点にして小型化でき、低消費電力で故障が少ない。従って、ランニングコストを小さくでき信頼性も高い。
【0065】
前記異常検出手段が複数系統設けられるので、複数の種類の異常状態のそれぞれを別々に検出でき、それぞれに対して的確に対策がとれる。
【0066】
前記温度検出手段を非接触型測温体で構成できるので、ヒートローラに接触させにくい位置の表面温度が検出でき、又は、表面の条件がよくないときでも表面温度が検出できる。従って、ヒートシール装置の構成の設計的制約を少なくできる。
【0067】
前記熱融着部材として、平面を有する均熱体を採用することもでき、該均熱体は熱の伝達効率がよく、包装シートの融着部分の密着性がよい。
【0068】
前記表面温度の所定の範囲が摂氏50〜300度で設定できるので、各材質や処理数量に応じて多様なケースに適合させて熱溶着することができる。
【0069】
前記表面温度の所定の範囲として摂氏120〜140度で設定できるので、温度範囲のバラツキを少なくして通常のグラシン紙等の多用される包装シートの材質に応じて熱効率よく熱溶着できる。
【0070】
尚、熱融着部材を具備し、該熱融着部材により、包装シートを熱融着するヒートシール装置であって、前記熱融着部材の表面温度を検出する表面温度検出手段と、前記熱融着部材の温度を制御する温度制御手段とが設けられ、前記表面温度が測定され、しかも、表面温度が所定の範囲に維持されて前記包装シートが熱融着されることを特徴とするヒートシール装置とすることができる。
【0071】
前述した構成により、熱融着部材の表面温度を所定の範囲に維持できるので、熱融着部材の発熱源の電流調整等を要せず、従来よりも広い温度範囲で正確にヒートローラ対10の表面温度に対応できる。
【0072】
更に、前記熱融着部材がヒートローラ対10であることが好ましく、ローラの1回転の動作によって分包できるので定常的な運転操作ができる。
【0073】
また更に、前記表面温度検出手段が接触型測温体とすると表面温度を正確に検出できる。
【0074】
更に、前記接触型測温体がサーミスタTHであると温度検出を電気信号で得る。
【0075】
また、前記サーミスタTHの温度感知部が前記ヒートローラ対10のシート加熱体12表面から感熱すべくシート加熱体12表面に付圧されて前記サーミスタTHが配設することで、温度感知部の磨耗を少なくして取り付けられる。
【0076】
また更に、前記温度制御手段が第1コンパレータCM1と第1定電圧電源とリレーSRとからなり、前記ヒートローラ対10の表面温度を前記所定の範囲に維持すべく設定する発熱基準電圧V0に前記第1の定電圧電源が設定され、前記サーミスタTHの出力と、前記発熱基準電圧V0との比較による第1コンパレータCM1出力により前記リレーSRが開閉されて前記発熱基準電圧V0の設定値に応じてヒートローラ対10の発熱源EHへの入力が制御されることによって、通常の回路要素によって所定の温度範囲に維持できる。
【0077】
また、前記リレーSRが半導体リレーであると、リレーを小型化でき、低消費電力で故障が少ない。
【0078】
更に、前記表面温度検出手段の異常状態に対応して前記発熱源EHへの入力が停止されるべく異常検出手段がさらに設けられていると、異常状態を直ちに検出できる。
【0079】
また更に、前記異常検出手段が第2コンパレータCM2と第2定電圧電源と遮断器SBとからなり、前記異常状態に対応して設定する異常検出電圧に前記第2定電圧電源が設定され、前記サーミスタTHの出力と、前記異常検出電圧との比較による第2コンパレータCM2出力があったときヒートローラ対10の発熱源EHへの入力が停止される構成であると、通常の回路要素によって異常状態を検出できる。
【0080】
また、前記発熱源EHへの入力経路に前記遮断器SBが設けられ、前記第2コンパレータCM2出力により該遮断器SBが遮断されて前記発熱源EHへの入力が停止される構成であると、異常状態が検出されて自動的に発熱源EHへの入力が停止される。
【0081】
更に、前記遮断器SBが半導体スイッチであると、遮断器を無接点にして小型化でき、低消費電力で故障が少ない。
【0082】
また更に、前記異常検出手段が複数系統設けられていると、複数の種類の異常状態のそれぞれを別々に検出できる。
【0083】
更に、前記表面温度検出手段が非接触型測温体であるので、ヒートローラに接触させにくい位置の表面温度が検出でき、又は、表面の条件がよくないときでも表面温度が検出できる。
【0084】
また、前記熱融着部材が、平面を有する均熱体であると、熱の伝達効率がよい。
【0085】
更に、前記表面温度の所定の範囲が摂氏50〜300度であると、比較的低温溶着される融点の低い合成樹脂被膜の包装シートや比較的高温溶着される和紙(内側合成樹脂被膜)等の包装シートに対しても、その材質の種類や処理数量等に応じて、表面温度を所定の温度範囲に維持して熱溶着できる。
【0086】
また更に、前記表面温度の所定の範囲が摂氏120〜140度であると、通常のグラシン紙等の多用される包装シートの材質に応じて温度範囲のバラツキを少なくして熱溶着できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係わるヒートシール装置の主要部を概念的に示す説明図。
【図2】本発明の実施の形態1に係わるヒートシール装置の主要部のブロック図。
【図3】本発明の実施の形態2に係わるヒートシール装置の主要部のブロック図。
【図4】本発明の実施の形態2に係わるヒートシール装置の主要部のブロック図。
【図5】本発明の実施の形態5に係わるヒートシール装置の主要部の斜視図。
【図6】従来のヒートシール装置の主要部を概念的に示す説明図。
【図7】(a)、(b)は、包装シートを熱封着する工程をヒートローラの回転状態別に概念的に示す側面工程図。
【符号の説明】
【0088】
10…ヒートローラ対、12…シート加熱体、20…包装シート、TH…サーミスタ、EH…発熱源、SR…半導体リレー、SB…半導体スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートローラを具備し、該ヒートローラの表面を包装シートに当接させることにより、該包装シートを熱融着するヒートシール装置であって、前記ヒートローラの表面温度を検出する表面温度検出手段と、該表面温度検出手段の検出結果に基づいて、前記表面温度を所定の範囲に維持するよう制御する温度制御手段とが設けられ、前記表面温度検出手段は、非接触型測温体であることを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記表面温度検出手段は、ヒートローラの表面のうち、包装シートに当接する部分の反対側の部分に接触する請求項1記載のヒートシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−222311(P2008−222311A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162139(P2008−162139)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【分割の表示】特願平11−131647の分割
【原出願日】平成11年5月12日(1999.5.12)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】