説明

ビオチニル化十六糖、この調製及び使用

本発明は、一般式(I)


[式中、Biotはビオチン誘導体であり;R、R及びRは、互いに独立して、C−Cアルコキシ及び/又は−OSOを表わし;Rは(C−C)アルコキシ又は−OSOを表わすか、又はRは−O−CH−架橋を構成し;Peは糖鎖状体を表わす。]の新規ビオチニル化十六糖並びにこれらの医薬的に許容される塩、及び薬剤としてのこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘパリンの抗凝固及び抗血栓薬理作用を有する新規合成ビオチニル化十六糖(ヘキサデカサッカリド)に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリンは、特にアンチトロンビンIII(AT III)を通して、血液凝固カスケードに関与する2つの酵素、すなわち第Xa因子及び第IIa因子(又はトロンビン)の阻害を触媒する。低分子量ヘパリン(LMWH)製剤は、4−30個の単糖で形成される糖鎖を含み、トロンビンよりも第Xa因子に選択的に作用するという性質を有する。
【0003】
第Xa因子の阻害は、アンチトロンビン結合ドメイン(ドメインA)を通してのAT IIIへのヘパリンの結合を必要すること、及び第IIa因子(トロンビン)の阻害は、ドメインAを通してのAT IIIへの結合及び同時にドメインAほど十分には定義されていない結合ドメイン(ドメインT)を通してのトロンビンへの結合を必要とすることが知られている。
【0004】
ヘパリンのドメインAに対応する合成オリゴ糖が公知である。これらは、例えば特許EP 84999及びEP 529715、WO99/36428の下に公開されている特許出願及び公表文献Bioorg.Med.Chem.(1998),6,p.1509−1516に記述されている。これらの合成オリゴ糖は、AT IIIを通して、トロンビンに作用を及ぼすことなく凝固因子Xaを選択的に阻害するという性質を有する。これらは静脈血栓症において抗血栓作用を示す。
【0005】
AT IIIの活性化を通してトロンビン及び第Xa因子を阻害することができる合成オリゴ糖は、WO98/03554及びWO99/36443の下で公開されている特許出願の中に記述されている。
【0006】
これらの特許出願は、新規の生物活性硫酸化及びアルキル化多糖誘導体を述べている。これらは特に抗凝固性及び抗血栓性である。特に、これらの硫酸化及びアルキル化多糖は、炭水化物骨格によって担持されるアルキル基及び硫酸基の配置に依存して、強力な抗血栓及び抗凝固剤であり得る。より一般には、多糖シーケンスを作製することにより、ヘパリンの抗凝固及び抗血栓薬理作用を示す高度活性生成物を得るためにGAG型の活性を正確に調節することが可能であることが見出された。ヘパリンと比較して、これらは、確定された構造を有し、ヘパリンの血小板減少作用の原因である血小板第4因子と反応しないという利点を備える。
【0007】
しかし、公開特許出願WO98/03554及びWO99/36443及び特許EP 529715の中で述べられている生成物のあるもののヒト治療における使用は、特にこれらの生成物が長い半減期を有する場合に、問題があることが示し得る。上記生成物による血栓症の予防又は治療の分野では、同時に出血の発生を予防しながら、血液の流動性が再確立又は維持されねばならない。
【0008】
これは、何らかの偶発的な理由で、治療下にある患者において出血が引き起こされ得ることは周知だからである。また、抗血栓治療中の患者の場合は外科的な介入も必要であると考えられる。さらに、ある種の手術処置の間、血液の凝固を予防するために抗凝固薬が高用量で使用されることがあり、手術の終了時にこれらを中和する必要がある。従って、何らかの時点で抗凝固作用を停止させるために中和することができる抗血栓薬があることは好都合である。しかし、上述した公知の合成オリゴ糖は、ヘパリン又はLMWHのための公知の、硫酸プロタミンを含む解毒薬によって容易に中和することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、WO02/24754の下で公開されている特許出願に述べられている化合物と構造的に類似する新規合成ビオチニル化十六糖に関する。本発明の十六糖及びまたWO02/24754の資料に述べられているある種の化合物は、「スペーサー」−本特許出願において定義する式(T)又は(T)のシーケンス−によってビオチン誘導体(ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−ペンタン酸)に共有結合し、この結果として、緊急状況では、特異的解毒薬によって迅速に中和することができるという利点を有する。この特異的解毒薬は、ビオチンに対して非常に高い親和性を有する、それぞれ約66,000及び60,000Daに等しい分子量を有する2個の四量体タンパク質、アビジン(「The Merck Index」,Twelfth edition,1996, M.N.920,p.151−152)又はストレプトアビジンである。
【0010】
しかし意外にも、ビオチン誘導体を十六糖の鎖に連結する「スペーサー」の長さ、及びまた糖単位上のビオチンの位置は、特異的解毒薬、特に、例えばアビジンによる中和の効果に影響を及ぼす因子であると思われる。従って、本発明に従った十六糖化合物は、制御された大きさの「スペーサー」と糖単位上のビオチンの位置により、公開特許出願WO02/24754に述べられているものよりもはるかに高い、特異的解毒薬による中和のための能力を備える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの主題は、一般式I:
【0012】
【化5】

[式中、
−Tは、以下の式:
【0013】
【化6】

を有するシーケンスT又はTを表わし、
−Biotは、以下の基:
【0014】
【化7】

を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わすか、又はRは、−O−CH−(−CH−基は同じ環上にカルボキシル官能基を担持している炭素原子に結合している。)架橋を構成し、
−Peは、以下の式:
【0015】
【化8】

を有する糖シーケンスを表わす。]
のビオチニル化十六糖及び医薬的に許容されるこの塩。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
多糖部分は、非荷電及び/又は部分的に荷電及び/又は完全に荷電したアルキル化単糖単位から成る。荷電又は非荷電単位は、鎖の長さ全体に沿って分散していてもよく、又は対照的に、荷電又は非荷電糖ドメインに集まっていてもよい。
【0017】
本説明では、L−イズロン酸については立体配座、及びD−グルクロン酸については立体配座を示すことを選択したが、一般に、単糖単位の溶液中での立体配座が変動することは周知である。
【0018】
従って、L−イズロン酸は、又は立体配座であり得る。
【0019】
本発明は、酸形態又は医薬的に許容される塩のいずれかの形態の十六糖を含む。酸形態では、−COO及び−SO官能基はそれぞれ−COOH及び−SOH形態である。
【0020】
「本発明の多糖の医薬的に許容される塩」という用語は、−COO及び/又は−SO官能基の1又はそれ以上が医薬的に許容される陽イオンにイオン結合している多糖を意味する。本発明に従った好ましい塩は、この陽イオンがアルカリ金属陽イオンから選択されるもの、さらに一層好ましくはこの陽イオンがNa又はKであるものである。
【0021】
上記式Iの化合物はまた、1又はそれ以上の水素又は炭素原子が放射性同位体、例えばトリチウム又は14Cで置換されているものを包含する。このような標識化合物は、研究、代謝又は薬物動態試験、生化学試験においてリガンドとして有用である。
【0022】
本発明に関して、以下の定義が適用される。
−(C−C)アルコキシ基:−O−アルキル基、このアルキル基は1−6個の炭素原子の鎖を含む直鎖又は分枝飽和脂肪族基である。挙げられるアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル及びtert−ブチルを含む。挙げられる(C−C)アルコキシ基の例は、メトキシ及びエトキシを含む。
−「スペーサー」T:以下の式T又はT
【0023】
【化9】

のシーケンス。
−ビオチニル化誘導体。
【0024】
【化10】

【0025】
ビオチン誘導体は市販のものが入手できる(「Pierce」カタログ1999−2000、p.62−81)。
【0026】
この好ましい態様の1つによれば、本発明は、式中、
−Rはメトキシ基又は−OSO基を表わし、
−Rはメトキシ基を表わし、
−Rは−OSO基を表わし、
−Rはメトキシ基を表わす、
一般式Iのビオチニル化十六糖に関する。
【0027】
このもう1つの特に好ましい態様によれば、本発明は、以下のビオチニル化十六糖:
・メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩
・メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩
に関する。
【0028】
原則として、本発明に従った化合物を調製するための工程は、先に文献において報告されているように二糖又はオリゴ糖ベースのシントンを使用する。特に、特許又は特許出願EP 300099、EP 529715、EP 621282及びEP 649854及びまたC.van BoeckelとM Petitou,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,(1993),32,p.1671−1690からの資料が参照できる。これらのシントンを、次に、本発明に従った多糖の完全に保護された等価物を与えるために互いに結合する。次にこの保護された等価物を本発明に従った化合物に変換する。
【0029】
上述した基剤シントンの1つは、続くビオチン又はビオチン誘導体の導入を可能にする特定の保護官能基、例えばアジド基の形態で又はN−フタルイミドの形態で保護されている潜在的アミン官能基を含む。
【0030】
上述したカップリング反応において、このアノマー炭素原子上で活性化される「供与体」二糖又はオリゴ糖は、遊離ヒドロキシルを含む「受容体」二糖又はオリゴ糖と反応する。
【0031】
本発明は、
−第一工程において、保護された五糖前駆体を含む、特に続くビオチン又はビオチン誘導体の導入のための適切に保護されたアミン官能基を担持する、式Iの所望十六糖の完全に保護された等価物を得る、但しこの保護された五糖前駆体自体は、多糖ドメインPeの保護された前駆体によって伸長される;
−第二工程において、負に荷電した基を導入する及び/又は破蔽する;
−第三工程において、アミン官能基を脱保護し、次いでビオチン又はビオチン誘導体を導入する
ことを特徴とする、式Iの化合物を調製するための方法に関する。
【0032】
ビオチン又はビオチン誘導体を移植する五糖は、特にWO98/03554及びWO99/36443の下で公開されている特許出願において及び文献(上記で引用)でも記述されている方法に従って合成される。
【0033】
Peの前駆体の多糖部分は、オリゴ糖の合成のための方法を用いて(G.J.Boons,Tetrahedron,(1996),52,p.1095−1121、WO98/03554及びWO99/36443)、又はグリコシド結合供与体であるオリゴ糖がグリコシド結合受容体であるオリゴ糖と結合して、2つの反応種の大きさの合計に等しい大きさのもう1つ別のオリゴ糖を与えるときはオリゴ糖を用いて、当業者に周知である反応に従って合成される。この連続手順を式Iの化合物が得られるまで反復する。所望最終化合物の性質及び電荷のプロフィールが、当業者に周知の規則に従って、合成の様々な工程で使用される化学種の性質を決定する。例えばC.van BoeckelとM Petitou,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,(1993),32,p.1671−1690又はH.Paulsen,「Advances in selective chemical syntheses of complex oligosaccharides」,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,(1982),21.,p.155−173が参照できる。
【0034】
本発明の化合物は、以下の一連の反応を使用することによってこの完全に保護された多糖前駆体から得られる:
−O−スルホ基に変換すべきアルコール官能基とカルボン酸を、骨格の作製の間に使用される保護基の除去によって脱保護し、次に
−スルホ基を導入して、
−ビオチン又はビオチン誘導体の導入を可能にするアミン官能基を脱保護し、
−ビオチン誘導体を標準アミノ/酸カップリング反応によって導入する。
【0035】
本発明の化合物は、当然ながら、オリゴ糖合成の当業者に公知の様々な戦略を用いて調製し得る。
【0036】
上述した方法が本発明の好ましい方法である。しかし、式Iの化合物は、例えば「Monosaccharides,Their chemistry and their roles in natural products」,P.M.CollinsとR.J.Ferrier,J.Wiley & Sons,(1995)及びG.J.Boons,Tetrahedron,(1996),52,p.1095−1121に述べられている糖化学の他の周知の方法によっても調製し得る。
【0037】
五糖Peは、従って、C.van Boeckel,M.Petitou,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,(1993),32,1671−1690による公表文献に述べられている二糖シントンから入手し得る。
【0038】
式Iの化合物を調製するための工程で使用される保護基は、糖化学において一般的に使用されるもの、例えば「Protective Groups in Organic Synthesis」,(1981),T.W.Greene,John Wiley & Sons,New Yorkで使用されているものである。
【0039】
保護基は、好都合には、例えばアセチル、ハロメチル、ベンゾイル、レブリニル、ベンジル、置換ベンジル、場合により置換されたトリチル、テトラヒドロピラニル、アリル、ペンテニル、tert−ブチルジメチルシリル(tBDMS)及びトリメチルシリルエチル基から選択される。
【0040】
活性化基は、例えばG.J.Boons,Tetrahedron,(1996),52,p.1095−1121に従って糖化学において慣例的に使用されるものである。これらの活性化基は、例えばイミド酸塩、チオグリコシド、ペンテニルグリコシド、キサントゲン酸塩、亜リン酸塩及びハロゲン化物から選択される。
【0041】
ビオチン誘導体をオリゴ糖に連結する方法及びビオチン誘導体の性質の両方に関して、化学文献は、当業者に周知の保護基のセットを用いておそらく使用することができる他の可能性を提供する。好ましくはアミン官能基又はチオール官能基又はカルボン酸官能基、又はアルデヒド官能基を使用し、これらを、活性化エステル、マレイミド、ヨードアセチル又は第一級アミン型の反応性基を含むビオチン誘導体と反応させる。反応は文献(Savageら「Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook」;(1992),Pierce Chemical Company)に述べられている条件に従って起こる。
【0042】
上述した方法は、本発明の化合物を塩の形態で得ることを可能にする。対応する酸を得るためには、塩の形態の本発明の化合物を酸形態の陽イオン交換樹脂と接触させる。
【0043】
酸形態の本発明の化合物を、次に、所望塩を得るために塩基で中和し得る。式Iの化合物と共に医薬的に許容される塩を与えるいかなる無機又は有機塩基も、式Iの化合物の塩の調製のために使用し得る。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムが塩基として好ましく使用される。式Iの化合物のナトリウム及びカルシウム塩が好ましい塩である。
【0044】
本発明に従った化合物を生化学及び薬理学試験に供した。
【0045】
1.抗第IIa因子活性及び抗第Xa因子活性の測定
本発明に従った化合物の循環活性は、Herbertら、Thromb Haemost,(2001),85(5),p.852−60によって述べられているようにこれらの抗第IIa因子活性及び抗第Xa因子活性によって測定し得る。本発明に従った化合物をラットに静脈内(IV)又は皮下(SC)投与する。アビジンのIV注射は、本発明に従った化合物の循環濃度の大きな低下を生じさせる(70%以上)。
【0046】
例えば実施例1に従った化合物の循環濃度は、100nmol/kgのIV注射後、88%低下し(抗第Xa因子活性によって測定した低下)、アビジン(10mg/kg/625nmol/kg)のIV投与の2分後に91%低下する(抗第IIa因子活性によって測定した低下)。
【0047】
実施例2に従った化合物の循環濃度は、100nmol/kgのIV注射後、76%低下し(抗第Xa因子活性によって測定した低下)、アビジン(10mg/kg/625nmol/kg)のIV投与の5分後に89%低下する(抗第IIa因子活性によって測定した低下)。
【0048】
実施例1及び2に従った化合物をSC投与したとき、2つの活性に関して等しい阻害が認められる。
【0049】
2.全体的抗血栓活性及びアビジンによる中和の測定
本発明に従った化合物の全体的抗血栓活性及びこれらの中和を、Herbertら、Blood,(1998),91,p.4197−4205によって述べられているように、組織因子の注入とこれに続くラット大静脈のうっ血から成る静脈血栓症のモデルにおいて検討した。
【0050】
a)全体的抗血栓活性の測定
本発明の化合物は強力な血栓症阻害剤である(50nM未満のIC50値)。
【0051】
例えば実施例1及び2は、IV投与後、このモデルにおいてそれぞれ3及び9.9nMのIC50値を示す。
【0052】
例えば実施例1に従った化合物(30nmol/kgの濃度)による血栓の重量の阻害は、アビジン3mg/kg/208nmol/kgのIV注射によって対照レベルに回復する。
【0053】
b)アビジンによる中和:ラットにおける出血試験
本発明に従った化合物の作用をラットでの出血試験において評価した(Herbertら、Blood,(1998),91,p.4197−4205)。これらの化合物は高い抗凝固活性を示し、従って動物モデルにおける出血時間を上昇させる。アビジンは、本発明に従った化合物の出血への作用を中和する。
【0054】
例えば実施例1に従った化合物30nmol/kgによってラットにおいて誘導される出血時間は、アビジン(3mg/kg;208nmol/kg)のIV投与によって対照レベルに回復する。
【0055】
例えば実施例2に従った化合物100nmol/kgによってラットにおいて誘導される出血時間は、アビジン(10mg/kg;625nmol/kg)のIV投与によって対照レベルに回復する。
【0056】
従って、本発明の対象はまた、本発明に従った多糖を中和することを可能にすることを特徴とする、アビジン又はストレプトアビジンを使用する方法である。アビジン又はストレプトアビジンは、本発明に従った多糖を中和するための薬剤の調製のために使用し得る。
【0057】
これらの生化学的及び薬剤活性により、本発明のオリゴ糖は極めて好都合な薬剤を構成する。これらの毒性はこの使用に完全に適合する。これらはまた非常に安定であり、従って医薬品の有効成分を構成するために特に適する。
【0058】
これらは、特に心臓血管及び脳血管系の障害の間に起こる血液凝固系のホメオスタシスの変化に続いて起こる様々な疾病[例えば、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病に伴う血栓塞栓性障害(不安定狭心症、脳卒中、血管形成術、動脈内膜切除術又は血管内プロテーゼの挿入後の再狭窄など);又は(血栓崩壊後の再血栓症、梗塞、虚血起源の痴呆、末梢動脈疾患、血液透析、心房細動に関連する、又は大動脈冠状動脈バイパスのための血管プロテーゼの使用の間の)血栓塞栓性障害]において使用することができる。これらの生成物は、さらに、肺塞栓症などの静脈起源の血栓塞栓性疾患の治療又は予防のために使用し得る。これらは、例えば外科手術後に認められる血栓合併症、細菌、ウイルス又は酵素活性化因子によって誘導される腫瘍の増殖又は血餅の崩壊を予防する又は治療するために使用し得る。プロテーゼの挿入の間にこれらを使用する場合は、本発明の化合物はプロテーゼを被覆することができ、従ってこれらを血液適合性にする。特に、これらは静脈内プロテーゼ(ステント)に付着させることができる。この場合、これらは場合により、EP 649854に従って述べられているように、非還元又は還元末端で適切なアームを導入することによって化学修飾することができる。
【0059】
本発明の化合物はまた、多孔性バルーンを用いて実施される動脈内膜切除術の間のアジュバントとして使用し得る。
【0060】
本発明に従った化合物は、上記疾患を治療するための医薬品の調製のために使用し得る。
【0061】
もう1つの態様によれば、本発明の対象は、従って、場合により1又はそれ以上の不活性で適切な賦形剤と組み合わせて、本発明に従った合成多糖又は医薬的に許容されるこの塩を有効成分として含有する医薬組成物である。
【0062】
前記賦形剤は、所望医薬剤型及び所望投与様式に従って選択される:経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経粘膜、局所又は直腸。
【0063】
前記有効成分はまた、シクロデキストリン、例えばα、β又はγ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン又はメチル−β−シクロデキストリンとの複合体の形態をとり得る。
【0064】
前記有効成分はまた、これを含むバルーンによって又は血管内に導入される血管内拡張器によって放出され得る。従ってこの有効成分の薬理的効果は影響を受けない。
【0065】
各々の投与単位中、この有効成分は、所望の予防又は治療作用を得るために考慮される1日用量に適した量で存在する。各々の投与単位は、0.1−100mg、好ましくは0.5−50mgの有効成分を含有し得る。抗凝固性化合物のこれらの用量は、静脈内注射、ボーラス又は持続注入による1−1000mgの範囲のアビジン又はストレプトアビジンの用量で中和され得る。
【0066】
本発明に従った化合物はまた、所望治療のために有用な1又はそれ以上の他の有効成分、例えば抗血栓薬、抗凝固薬、血小板凝集阻害薬、例えばジピリダモール、アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル又は糖タンパク質IIb/IIIa複合体アンタゴニストと組み合わせて使用し得る。
【0067】
以下の方法、調製及びスキームは、本発明に従った多糖を得るために有用な様々な中間体の合成を例示する。以下の十六糖の合成の実施例は、本発明を限定することなく本発明を説明するものである。
【0068】
以下の略語を使用する:
Bn:ベンジル;
Bz:ベンゾイル;
Lev:レブリニル;
Et:エチル;
Ph:フェニル;
Me:メチル;
Ac:アセチル;
SEt:チオエチル;
MP:p−メトキシフェニル;
Biotin:ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ[3,4−d]イミダゾール−4−ペンタン酸;
ESI:エレクトロンスプレーイオン化法;
TLC:薄層クロマトグラフィー;
m.p.:融点;
[α]=旋光;
C=濃度;
Rf=泳動溶媒先端に対してTLCで測定した保持時間。
【0069】
本発明の化合物の調製及び合成実施例を、例示のために以下において詳述する。
【0070】
調製
スキーム1−単糖4の合成
【0071】
【化11】

【0072】
調製1
1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−4−O−p−メトキシフェニル−β−D−グルコピラノース(No.2)の調製
化合物1、6:2,3−ジアンヒドロ−4−O−p−メトキシフェニル−β−D−マンノピラノース、No.1(4.39g、17.5mmol)を、BrillとTirefort,Tetrahedron Lett.(1998),39,p:787−790に述べられている方法から類推して合成する。化合物1をN,N−ジメチルホルムアミド/水混合物[4/1(v/v)]130mlに溶解し、次にアジ化ナトリウム(22.8g、350mmol)を加える。反応媒質を120℃で6時間加熱する。セライトを通してろ過した後、ろ液を酢酸エチルで希釈し、次いで水で洗う。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物を酢酸エチル/シクロヘキサン混合物(20ml/7ml)から再結晶化して、結晶形態の化合物2 4.46gを得る。
融点:144℃。
【0073】
調製2
1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−4−O−p−メトキシフェニル−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.3)の調製
無水N,N−ジメチルホルムアミド(40ml)中の化合物2(4.08g、13.9mmol)とヨウ化メチル(1.1ml、15.3mmol)の冷却(0℃)混合物に、アルゴン雰囲気下で水酸化ナトリウム(1.04g)を少しずつ加える。混合物を室温で20時間攪拌する。過剰の水素化ナトリウムをメタノールで破壊する。N,N−ジメチルホルムアミドを蒸発除去した後、残留物をジクロロメタン中に取る。有機相を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[12/1(v/v)トルエン/酢酸エチル]でのクロマトグラフィーによって精製し、白色固体形態の化合物3 3.57gを得る。
融点:68℃。
【0074】
調製3
1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.4)の調製
アセトニトリル/水混合物[9/1(v/v)]130ml中の化合物3(8.0g、26.03mmol)の溶液を、アセトニトリル/水混合物[9/1(v/v)]390ml中の硝酸アンモニウムセリウム(86g、156.2mmol)の溶液に滴下する。混合物を室温で40分間攪拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。反応混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、濃縮する。シリカゲルでのろ過は、硝酸アンモニウムセリウム残留物を部分的に除去することができる。化合物を精製するために、アセチル化とそれに続く脱アセチル化を実施する。残留物をジクロロメタン(90ml)中に取り、トリエチルアミン(5.3ml)、ジメチルアミノピリジン(280mg)及び最後に無水酢酸(3.2ml)を連続的に添加する。16時間後、反応媒質をジクロロメタン(250ml)で希釈する。有機相を、10%硫酸水素カリウム溶液、水、10%炭酸水素ナトリウム溶液、次に水で洗う。次に有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[10/1(v/v)トルエン/酢酸エチル]でのクロマトグラフィーによって精製し、固体形態の生成物4.9gを得る。この固体をジクロロメタン/メタノール混合物[1/1(v/v)]80mlに溶解し、次にナトリウムメトキシド(544mg)を加える。混合物を35分間攪拌し、次いでDowex(登録商標)50WX4 H樹脂で中和して、ろ過し、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[3/2(v/v)トルエン/酢酸エチル]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物4 3.9gを得る。
[α]=−27°(C=1.06、ジクロロメタン中)。
【0075】
スキーム2−五糖11の合成
【0076】
【化12】

【0077】
調製4
(2,3−ジ−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.6)の調製
WO99/36443の下で公開されている特許出願に述べられている調製1から類推して得られる、チオグリコシド化合物5(9.00g、9.04mmol)、調製3で得られた化合物4(1.65g、8.22mmol)及びトルエン(180ml)中の粉末4Å分子ふるい(9.05g)の混合物をアルゴン雰囲気下で1時間攪拌する。次に混合物を−20℃に冷却する。ジクロロメタン/ジオキサン混合物[1/1(v/v)]47ml中のN−ヨードスクシンイミド(2.14g、9.5mmol)及びトリフルオロメタンスルホン酸(96μl、1.09mmol)の溶液を反応混合物に滴下する。10分後、反応混合物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタン(1000ml)で希釈して、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液及び水で連続的に洗う。次に反応混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮する。シリカゲルのカラム[5/1(v/v)トルエン/酢酸エチル]でのクロマトグラフィーによって残留物の精製を実施し、三糖6 9.20gを得る。
[α]=+44°(C=1.30、ジクロロメタン中)。
【0078】
調製5
4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.7)の調製
ジオキサン(81ml)中の化合物6(9.2g、8.11mmol)の溶液にカリウムtert−ブトキシド(1.82g、16.2mmol)を加える。混合物を3時間攪拌し、次いでDowex(登録商標)50WX4 H樹脂で中和して、ろ過し、真空下で濃縮する。シリカゲルのカラム[8/1(v/v)ジクロロメタン/メタノール]でのクロマトグラフィー後、化合物7 5.46gを泡の形態で単離する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[9/1(v/v)]:Rf=0.35。
[α]=+38°(C=0.84、ジクロロメタン中)。
【0079】
調製6
(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.8)の調製
無水N,N−ジメチルホルムアミド(150ml)中の化合物7(5.05g、8.23mmol)とヨウ化メチル(3.8ml、61.7mmol)の冷却(0℃)混合物に、アルゴン雰囲気下で水酸化ナトリウム(1.73g、72.0mmol)を少しずつ加える。混合物を室温で20時間攪拌する。過剰の水素化ナトリウムをメタノール(8ml)で破壊し、反応混合物を氷冷水(400ml)に注ぎ入れる。酢酸エチルで抽出した後、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、次いで真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[7/1、次に5/1(v/v)ジクロロメタン/アセトン]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物8 4.8gを得る。
[α]=+49°(C=1.02、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/アセトン[5/1(v/v)]:Rf=0.45。
【0080】
調製7
(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.9)の調製
化合物8(5.3g、7.75mmol)を60%酢酸(233ml)に溶解し、80℃で1時間半攪拌する。混合物を濃縮し、トルエンと共蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム[4/1(v/v)トルエン/エタノール]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物9 5.09gを得る。
[α]=+57°(C=1.06、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、トルエン/エタノール[4/1(v/v)]:Rf=0.36。
【0081】
調製8
(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.10)の調製
ジクロロメタン(85ml)中の化合物9(5.09g、8.55mmol)の溶液に、1−ベンジルオキシ−1H−ベンゾトリアゾール(2.86g、11.97mmol)及びトリエチルアミン(1.80ml)を加える。混合物を室温で20時間攪拌し、次いでジクロロメタンで希釈する。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次に水で洗う。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[15/2(v/v)トルエン/エタノール]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物10 4.85gを得る。
[α]=+43°(C=1.06、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、トルエン/エタノール[15/2(v/v)]:Rf=0.31。
【0082】
調製9
(2,3−ジ−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.11)の調製
化合物10(4.38g、6.26mmol)と、WO99/36443の下で公開されている特許出願に述べられている調製1から類推して得られる、化合物5(「グリコシル供与体欠落」)(11.85g、11.9mmol)とのカップリング反応を、調製4で述べた手順に従って実施し、化合物11 8.39gを得る。
[α]=+61°(C=1.06、ジクロロメタン中)。
【0083】
スキーム3−五糖15の合成
【0084】
【化13】

【0085】
調製10
(4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.12)の調製
調製9で得られた化合物11(8.36g、5.12mmol)を、調製5で述べたのと同じ手順に従って化合物12に変換する。シリカゲルのカラムでのクロマトグラフィー後、化合物12(4.92g)をガラスの形態で得る。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[10/1(v/v)]:Rf=0.41。
【0086】
調製11
(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.13)の調製
化合物12(4.57g、4.54mmol)を、調製6で述べたのと同じ手順に従って化合物13に変換する。粗生成物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物13 4.94gを得る。
[α]=+68°(C=0.93、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、トルエン/エタノール[8/1(v/v)]:Rf=0.39。
【0087】
調製12
(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.14)の調製
化合物13(4.89g、4.48mmol)を、調製7で述べたのと同じ手順に従って化合物14に変換する。粗生成物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物14 4.30gを得る。
[α]=+80°(C=1.05、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、トルエン/エタノール[4/1(v/v)]:Rf=0.31。
【0088】
調製13
(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.15)の調製
化合物14(4.26g、4.25mmol)を、調製8で述べたのと同じ手順に従って化合物15に変換する。粗生成物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物15 4.33gを得る。
[α]=+59°(C=1.0、ジクロロメタン中)。
シリカゲルでのTLC、トルエン/アセトン[4/3(v/v)]:Rf=0.38。
【0089】
スキーム4−七糖20の合成
【0090】
【化14】

【0091】
調製14
(2,3−ジ−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.16)の調製
WO99/36443の下で公開されている特許出願に述べられている調製法から類推して得られる、トリグリコシド5(4.90g、4.93mmol)と、調製13で述べた化合物15(4.55g、4.11mmol)のカップリング反応を、調製4で述べた手順に従って実施する。抽出後に得られる残留物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物16 8.07gを得る。
[α]=+71°(C=0.99、ジクロロメタン中)。
【0092】
調製15
(4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.17)の調製
化合物16を、調製5で述べた手順に従って化合物17に変換する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[8/1(v/v)]:Rf=0.45。
【0093】
調製16
(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.18)の調製
化合物17を、調製6で述べた手順に従って化合物18に変換する。
シリカゲルでのTLC、トルエン/アセトン[5/4(v/v)]:Rf=0.40。
【0094】
調製17
(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.19)の調製
化合物18を、調製7で述べた手順に従って化合物19に変換する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[10/1(v/v)]:Rf=0.41。
【0095】
調製18
(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.20)の調製
化合物19を、調製8で述べた手順に従って化合物20に変換する。
シリカゲルでのTLC、シクロヘキサン/アセトン[1/1(v/v)]:Rf=0.36。
【0096】
スキーム5−九糖25
【0097】
【化15】

【0098】
調製19
(2,3−ジ−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.21)の調製
WO99/36443の下で公開されている特許出願に述べられている調製1から類推して得られる、トリグリコシド5(3.91g、3.93mmol)と、調製18で得られた化合物20(4.97g、3.27mmol)のカップリング反応を、調製4で述べた手順に従って実施する。粗生成物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物21 8.06gを得る。
[α]=+77°(C=0.92、ジクロロメタン中)。
【0099】
調製20
(4,6−O−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.22)の調製
化合物21を、調製5で述べた手順に従って化合物22に変換する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[9/1(v/v)]:Rf=0.34。
【0100】
調製21
(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.23)の調製
化合物22を、調製6で述べた手順に従って化合物23に変換する。
シリカゲルでのTLC、シクロヘキサン/アセトン[1/1(v/v)]:Rf=0.44。
【0101】
調製22
(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.24)の調製
化合物23を、調製7で述べた手順に従って化合物24に変換する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[10/1(v/v)]:Rf=0.43。
【0102】
調製23
(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)]−(1→4)−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.25)の調製
化合物24を、調製8で述べた手順に従って化合物25に変換する。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/メタノール[10/1(v/v)]:Rf=0.64。
【0103】
スキーム6−十二糖30の合成
【0104】
【化16】

【0105】
調製24
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−1,6−アンヒドロ−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−β−D−グルコピラノース(No.27)の調製
WO99/36443の下で公開されている特許出願の調製36に述べられている方法から類推して調製される、トリグリコシド化合物26(10.1g、10.4mmol)、調製23で得られた受容体化合物25(5.02g、2.61mmol)及びトルエン(220ml)中の粉末4Å分子ふるい(14.5g)の混合物をアルゴン雰囲気下で1時間攪拌する。反応混合物を0℃に冷却し、ジクロロメタン/ジオキサン混合物[1/1(v/v)]57ml中のN−ヨードスクシンイミド(2.58g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(366μl)の溶液をこの中に導入する。40分後、混合物をセライトに通してろ過し、トルエンで希釈して、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液、10%炭酸水素ナトリウム溶液及び水で連続的に洗う。次に反応混合物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[17/1/1、次に14/1/1(v/v/v)ジクロロメタン/酢酸エチル/エタノール]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物27 5.87gを得る。
シリカゲルでのTLC、ジクロロメタン/酢酸エチル/エタノール[8/0.5/0.5(v/v/v)]:[トルエン/アセトン(1/1(v/v))]:Rf=0.41。
【0106】
調製25
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−1,6−ジ−O−アセチル−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−D−グルコピラノース(No.28)の調製
無水酢酸(13.6ml)とトリフルオロ酢酸(1.2ml)の混合物中の化合物27(4.06g、1.44mmol)の溶液を6時間攪拌する。濃縮後、混合物をトルエン(5×25ml)と共蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム[3/1/1(v/v/v)シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物28 2.930gを得る。
シリカゲルでのTLC、トルエン/アセトン[1/1(v/v)]:Rf=0.44。
【0107】
調製26
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−6−O−アセチル−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−D−グルコピラノース(No.29)の調製
テトラヒドロフラン中の化合物28(2.72g、0.928mmol)及びベンジルアミン(3.9ml、35.2mmol)の溶液を室温で16時間攪拌する。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1M塩酸及び水で洗って、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、真空下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム[4/5(v/v)シクロヘキサン/アセトン]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物29 2.21gを得る。
シリカゲルでのTLC、シクロヘキサン/アセトン[4/5(v/v)]:Rf=0.42。
【0108】
調製27
(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−6−O−アセチル−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−D−グルコピラノーストリクロロアセトイミデート(No.30)の調製
トリクロロアセトニトリル(54.6μl、541μmol)及び炭酸セシウム(56.4mg、173μmol)を、ジクロロメタン(3ml)中の化合物29(0.313g、108μmol)の溶液に加える。1時間半攪拌した後、混合物をろ過し、次いで濃縮する。溶出のために0.1%トリエチルアミンを含むシクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール[2/0.5/0.5(v/v/v)]の混合物を使用して、残留物をシリカゲルのカラムでのクロマトグラフィーによって精製し、化合物30 245mgを得る。
シリカゲルでのTLC、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール[5/1.5/1.5(v/v/v)]:Rf=0.41。
【0109】
スキーム7−四糖34の合成
【0110】
【化17】

【0111】
調製28
メチル(4−O−レブリニル−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(3,6−ジ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(No.32)の調製
酢酸エチル/tert−ブタノール混合物[1/1(v/v)]72ml中の、WO99/36443の下で公開されている特許出願に述べられている調製31から類推して調製される化合物31(4.50g、3.02mmol)の溶液を、10%活性炭担持パラジウム(9.0g)の存在下に水素圧(4バール)下で6時間処理する。ろ過し、濃縮した後、得られた化合物32を精製せずに以下の工程で直接使用する。
【0112】
調製29
メチル(メチル4−O−レブリニル−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロネート)−(1→4)−2,6−ジ−O−アセチル−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(No.33)の調製
無水N,N−ジメチルホルムアミド(15ml)中の化合物32(1.09g、1.13mmol)の溶液に、0℃で、炭酸水素カリウム(1.13g)、次にヨウ化メチル(1.4ml)を加える。室温で16時間攪拌した後、反応媒質を0℃に冷却する。ジメチルアミノピリジン(44mg)、次に無水酢酸(2.4ml)を連続的に加える。混合物を16時間攪拌する。過剰の無水酢酸を中和した後、混合物を酢酸エチルで希釈する。有機相を10%硫酸水素カリウム溶液、水、次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液、及び水で連続的に洗う。次に有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過して、蒸発乾固させる。得られた残留物を標準条件下で(ジクロロメタン中の無水酢酸、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン)再びアセチル化に供する。完了後、残留物をシリカゲルのカラム[12/2.5/2.5(v/v/v)シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物33 0.910gを得る。
シリカゲルでのTLC、トルエン/アセトン[2/1(v/v)]:Rf=0.49。
【0113】
調製30
メチル(メチル2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロネート)−(1→4)−2,6−ジ−O−アセチル−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(No.34)の調製
化合物33(0.884g、0.793mmol)をトルエン/エタノール混合物[1/1(v/v)]160mlに溶解する。酢酸ヒドラジン(0.365mg)を加える。室温で5時間攪拌した後、反応媒質を濃縮乾固させる。残留物をジクロロメタンに溶解する。有機相を2%炭酸水素ナトリウム溶液及び水で連続的に洗い、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥して、ろ過し、蒸発乾固させる。シリカゲルのカラム[5/3(v/v)トルエン/アセトン]でのクロマトグラフィー後、化合物34 0.696gを得る。
シリカゲルでのTLC、トルエン/アセトン[2/1(v/v)]:Rf=0.37。
【0114】
スキーム8−十六糖42及び43の合成
【0115】
【化18】

【0116】
調製31
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(6−O−アセチル−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロネート)−(1→4)−2,6−ジ−O−アセチル−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(No.36)の調製
調製27で得られたイミデート化合物30(170mg、56μmol)及び調製30で得られた化合物34(114mg、112μmol)をジクロロメタン/ジエチルエーテル混合物[1/2(v/v)]2.5mlに溶解する。粉末4Å分子ふるいの添加後、混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン(84μl)中のトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの0.1M溶液を加える。40分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加によって混合物を中和する。ろ過し、濃縮した後、残留物をSephadex(登録商標)LH60ゲルでのクロマトグラフィー、次にシリカゲルのカラム[ジエチルエーテル/エタノール(17/2 v/v)]でのクロマトグラフィーによって精製し、化合物36 123mgを得る。
質量:「ESI」法、正イオンモード:化学質量=3890.87;実験質量:3890.46±0.68a.m.u。(原子質量単位)
シリカゲルでのTLC、ジエチルエーテル/エタノール[17/2(v/v)]:Rf=0.40。
【0117】
調製32
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(6−O−ベンゾイル−2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(6−O−アセチル−2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロネート)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(メチル2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロネート)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−アセチル−α−D−グルコピラノシド(No.37)の調製
調製27で得られたイミデート化合物30(95mg、0.031mmol)及びWO02/24754の下で公開されている特許出願の調製42で得られる化合物35(65.4mg、0.062mmol)をジクロロメタン/ジエチルエーテル混合物[1/2(v/v)]1.5mlに溶解する。粉末4Å分子ふるいの添加後、混合物を−20℃に冷却し、ジクロロメタン(47μl)中のトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの0.1M溶液を加える。40分後、固体炭酸水素ナトリウムの添加によって混合物を中和する。ろ過し、濃縮した後、残留物をSephadex(登録商標)LH60ゲルでのクロマトグラフィー(2回のクロマトグラフィーを実施した)によって精製し、化合物37 68mgを得る。
質量:「ESI」法、正イオンモード:化学質量=3918.88;実験質量:3919.35±0.71a.m.u。(原子質量単位)
シリカゲルでのTLC、シクロヘキサン/酢酸エチル/エタノール[3/1/1(v/v/v)]:Rf=0.53。
【0118】
調製33
メチル(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(No.38)の調製
テトラヒドロフラン(4.6ml)中の調製31で得られた化合物36(111mg)の溶液に、−5℃で、30%過酸化水素水溶液(3.9ml)を加える。5分間攪拌した後、0.7M水酸化リチウム水溶液(1.8ml)を滴下する。反応混合物を−5℃で1時間攪拌し、次に0℃で4時間攪拌し、最後に室温で16時間攪拌する。反応混合物を、水で溶出する細いSephadex(登録商標)G−25のカラム(5×100cm)に負荷する。予想化合物を含む分画を併合し、濃縮して、Dowex(登録商標)AG50 WX4 H樹脂(1.9ml)のカラムに加える。化合物を0℃で収集し、濃縮して、化合物38 72.1mgを得る。
シリカゲルでのTLC、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水[16/12/2.6/7(v/v/v/v)]:Rf=0.60。
【0119】
調製34
メチル(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−α−D−グルコピラノシド(No.39)の調製
テトラヒドロフラン(5.5ml)中の化合物37(60mg)の溶液に、−5℃で、30%過酸化水素水溶液(2.2ml)を加える。5分間攪拌した後、0.7M水酸化リチウム水溶液(1ml)を滴下する。反応混合物を−5℃で1時間攪拌し、次に0℃で4時間攪拌し、最後に室温で16時間攪拌する。混合物を1M塩酸溶液で中和する。溶液を、水で溶出する細いSephadex(登録商標)G−25のカラム(5×100cm)に負荷する。予想化合物を含む分画を併合し、濃縮して、Dowex(登録商標)AG50 WX4 H樹脂のカラムに加える。化合物を0℃で収集し、濃縮して、化合物39 37.5mgを得る。
シリカゲルでのTLC、酢酸エチル/ピリジン/酢酸/水[16/12/2.6/7(v/v/v/v)]:Rf=0.36。
【0120】
調製35
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩(No.40)の調製
使用する直前に、調製33で得られた化合物38をN,N−ジメチルホルムアミド(3×2ml)と共蒸留する。N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中の化合物38(70.3mg、22.8μmol)の溶液に、三酸化硫黄−トリエチルアミン複合体(351mg)を加える。混合物を、遮光して55℃で16時間攪拌する。混合物を0℃に冷却し、炭酸水素ナトリウム水溶液に滴下する。生じた混合物を室温で16時間攪拌し、濃縮乾固させる。残留物を水に溶解し、0.2M塩化ナトリウムで溶出する細いSephadex(登録商標)G−25のカラムに負荷する。生成物を含む分画を濃縮し、水で溶出する同じカラムを使用して脱塩する。凍結乾燥後、化合物40 103mgを得る。
質量:「ESI」法、負イオンモード:化学質量=4864.82;実験質量:4862.90±0.21a.m.u。(原子質量単位)
【0121】
調製36
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−(α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アジド−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩(No.41)の調製
調製34で得られた化合物39(33mg、0.017mmol)を、調製35で述べた手順に従って化合物41に変換する。濃縮後、化合物41 40mgを得る。
質量:「ESI」法、負イオンモード:化学質量=4952.83;実験質量:4950.19±0.55a.m.u。(原子質量単位)
【0122】
調製37
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アミノ−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩(No.42)の調製
tert−ブタノール(1.2ml)と水(1.8ml)の混合物中の、調製35で得られた化合物40(93.8mg)の溶液を、40℃で10%活性炭担持パラジウム(28mg)の存在下に水素圧(5バール)下で4時間処理する。ろ過(Millipore(登録商標)LSWP 5μmフィルター)後、溶液を濃縮乾固して化合物42 93mgを得る。
【0123】
調製38
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−アミノ−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩(No.43)の調製
調製36で得られた化合物41(40.8mg)を、調製37で述べた手順に従って化合物43に変換する。濃縮後、化合物43 42.3mgを得る。
質量:「ESI」法、負イオンモード:化学質量=4926.84;実験質量:4924.07±0.36a.m.u。(原子質量単位)
【0124】
【化19】

【実施例1】
【0125】
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩の調製
調製37で得られた化合物42(20mg、4.13μmol)を0.5%炭酸水素ナトリウム水溶液(1.7ml)に溶解する。0.5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100μL)中のスルホスクシンイミド6−(ビオチンアミド)ヘキサノエート(23mg、41.3μmol)の溶液をそれに滴下する。室温で16時間攪拌した後、1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、混合物を1時間攪拌する。反応混合物を、0.2M塩化ナトリウムで溶出する細いSephadex(登録商標)G−25(5×100cm)のカラムに負荷する。生成物を含む分画を濃縮し、水で溶出する同じカラムを使用して脱塩する。凍結乾燥後、実施例1の化合物 21.2mgを得る。
質量:「ESI」法、負イオンモード:モノアイソトピック質量=5174.38;化学質量=5178.28;実験質量:5177.69±0.52a.m.u。(原子質量単位)
【実施例2】
【0126】
メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシルウロン酸)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩の調製
調製38に従って得られた化合物43(19.1mg)を、実施例1で述べた手順に従って化合物45に変換する。凍結乾燥後、実施例2の化合物 18.1mgを得る。
質量:「ESI」法、負イオンモード:モノアイソトピック質量=5262.31;化学質量=5266.30;実験質量:5263.93±0.38a.m.u。(原子質量単位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
−Tは、以下の式:
【化2】

を有するシーケンスT又はTを表わし、
−Biotは、以下の基:
【化3】

を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基又は−OSO基を表わし、
−Rは、(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基、又は−OSO基を表わすか、又はRは、−O−CH−(−CH−基は同じ環上にカルボキシル官能基を担持している炭素原子に結合している。)架橋を構成し、
−Peは、以下の式:
【化4】

を有する糖シーケンスを表わす]
のビオチニル化十六糖(ヘキサデカサッカリド)及び医薬的に許容されるこの塩。
【請求項2】
−Rはメトキシ基又は−OSO基を表わし、
−Rはメトキシ基を表わし、
−Rは−OSO基を表わし、
−Rはメトキシ基を表わす、
一般式Iの請求項1に記載のビオチニル化十六糖。
【請求項3】
・メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩
・メチル(2,3,4,6−テトラ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)−[(2,3,6−トリ−O−メチル−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−O−(2,3,6−トリ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル)−(1→4)]−(2−[N−(6−ビオチンアミドヘキサノイル)]−2−デオキシ−3−O−メチル−6−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−(2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシル)−(1→4)−(2,3−ジ−O−メチル−α−L−ヨードピラノシル−ウロン酸)−(1→4)−2,3,6−トリ−O−スルフォナト−α−D−グルコピラノシド、ナトリウム塩
から選択される、請求項1及び2のいずれかに記載のビオチニル化十六糖。
【請求項4】
場合により1又はそれ以上の不活性で適切な賦形剤と組み合わせて、請求項1から3のいずれかに記載の十六糖を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
心臓血管及び脳血管系の障害の間に起こる血液凝固系のホメオスタシスの変化に続いて起こる疾病[例えば、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病に伴う血栓塞栓性障害(不安定狭心症、脳卒中、血管形成術、動脈内膜切除術又は血管内プロテーゼの挿入後の再狭窄など)又は(血栓崩壊後の再血栓症、梗塞、虚血起源の痴呆、末梢動脈疾患、血液透析、心房細動に関連する、又は大動脈冠状動脈バイパスのための血管プロテーゼの使用の間の)血栓塞栓性障害]における、肺塞栓症などの静脈起源の血栓塞栓性疾患の治療又は予防における、外科手術後に認められる血栓合併症、細菌、ウイルス又は酵素活性化因子によって誘導される腫瘍の発現又は血餅の崩壊を予防する又は治療するための、請求項4に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
プロテーゼを被覆するための、請求項1から3のいずれかに記載のビオチニル化十六糖の使用。
【請求項7】
多孔性バルーンを用いて実施される動脈内膜切除術の間のアジュバントとしての、請求項1から3のいずれかに記載のビオチニル化十六糖の使用。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載のビオチニル化十六糖が中和されることを可能にすることを特徴とする、アビジン又はストレプトアビジンを使用する方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のビオチニル化十六糖を中和するための薬剤の調製のためのアビジン又はストレプトアビジンの使用。

【公表番号】特表2008−512538(P2008−512538A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530739(P2007−530739)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002218
【国際公開番号】WO2006/030104
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】