ビデオビットストリーム復号化出力装置
【課題】 同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像をPAL方式で出力する場合にも、正常に映像出力を行えるビデオビットストリーム復号化出力装置を提供する。
【解決手段】 復号化手段110と、その内部にスキップカウンタ121を備えるフレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備え、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力することを示す場合は、前記復号化手段にて復号化された復号化画像データから2フィールドの画像データの間引きを行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力することを示す場合は、前記復号化画像データから画像データを間引かないことにより、リピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従った、正常な映像出力が可能となる。
【解決手段】 復号化手段110と、その内部にスキップカウンタ121を備えるフレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備え、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力することを示す場合は、前記復号化手段にて復号化された復号化画像データから2フィールドの画像データの間引きを行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力することを示す場合は、前記復号化画像データから画像データを間引かないことにより、リピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従った、正常な映像出力が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力されたビデオビットストリームを復号化してフレームレート変換を行い映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD(Digital Video Disc)ディスクやデジタルテレビ等の普及により、マルチメディア技術への関心が高まっている。例えばMPEG技術等によって符号化されたビデオビットストリームを復号化して再生する装置では、より高画質化、高機能化が求められている。MPEG2再生装置では、さまざまなフレームレートのビットストリームを、出力のフレームレートに合わせて映像出力するため、フレームレート変換機能を有している。例えば特許文献1には、使用するテレビモニタのテレビ方式に応じて、出力させる映像信号を、NTSC方式かPAL方式のいずれかに変換可能なビデオデータ再生装置が開示されている。
【0003】
1秒間24フレームで撮影されたフィルム素材を、1秒間30フレーム(=60フィールド)映像出力するNTSC方式で出力するためには、画像データを1秒あたり12フィールド(=60−24*2)繰り返して出力することが必要となる。よって、この場合、1フレームおきに1フィールドの画像データを繰り返し、フィルムの1コマ目を3フィールド、2コマ目を2フィールド、3コマ目を3フィールド、4コマ目を2フィールド、以降24コマ目まで、3−2−3−2と繰り返すことで、60フィールドの映像を出力する。この再生方法を3:2プルダウンと呼んでいる。
【0004】
そして、前述した3:2プルダウンを実現するため、MPEG2規格では、映像信号に、フレーム単位で、復号化された画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号と、最初に映像出力するフィールドを表すトップ・フィールド・ファースト信号とを付与することが定められている。
【0005】
図12は、3:2プルダウンのフィルム素材をNTSC方式で出力する場合のタイミング図である。図12に示すように、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合(例えばフレーム♯1)は映像を2フィールド期間出力し、“1”の場合(例えばフレーム♯2)は映像を3フィールド期間出力し、また、前記トップ・フィールド・ファースト信号が“0”の場合(例えばフレーム♯3)は復号化されたフレームのボトムフィールドを最初に映像出力し、“1”の場合(例えばフレーム♯1)はトップフィールドを最初に映像出力する。従って、エンコーダで、前記フィルム素材を1秒間30フレーム映像出力するNTSC方式で出力するよう符号化する場合は、3:2プルダウン再生を行うように、映像信号に前記トップ・フィールド・ファースト信号及び前記リピート・ファースト・フィールド信号を付与して符号化する。そして、再生装置では、これらの信号に従って映像出力して、3:2プルダウン再生を行う。
【0006】
このようなリピート・ファースト・フィールド信号、及びトップ・フィールド・ファースト信号を付与された、3:2プルダウン再生を行う前記フィルム素材を、1秒間25フレーム(=50フィールド)映像出力するPAL方式で出力する場合は、画像データを1秒あたり2フィールド(=50−24*2)繰り返して出力することが必要となるが、従来では、前述したNTSC方式で出力する場合とは異なり、図13に示すように、ストリームに付与されている前記リピート・ファースト・フィールド信号や前記トップ・フィールド・ファースト信号を使用せず、機械的に24フィールド出力毎に画像データを1フィールド繰り返して出力する再生方法がとられることが一般的だった。図13は、3:2プルダウンのフィルム素材をPAL方式で出力する場合のタイミング図である。なお、この再生方法は、前記フィルム素材がプログレッシブ構造の画像であることを前提としたものである。つまり、インターレース構造の画像の場合、トップフィールドとボトムフィールドでサンプルリングされる時間が異なるため、ストリームに付与されたトップ・フィールド・ファースト信号に従って映像出力する必要があるが、プログレッシブ構造の画像の場合、トップフィールドとボトムフィールドのサンプリングされた時間が同じであるため、どちらのフィールドを先に出しても時間軸上の映像出力の逆転は発生しないからである。
【特許文献1】特開平9−284804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記フィルム素材には、まれにトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なるフレームがある。例えば、図14、15に示すように、あるフレーム(ここではフレーム#3)のボトムフィールドまでがシーン1であり、トップフィールドからシーン2が始まるフィルム素材が挙げられる。
【0008】
このような場合でも、図14に示すように、画像データを、フレーム単位で付与されている前記リピート・ファースト・フィールド信号及び前記トップ・フィールド・ファースト信号に基づいて映像出力すれば、正常に映像出力することができる。しかし、前述したように、PAL方式で映像出力する場合には、前記リピート・ファースト・フィールド信号及び前記トップ・フィールド・ファースト信号に基づいて映像出力しない場合があるため、その場合には、フィルム素材にトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なるフレームが含まれていたとしてもそれを検知できず、図15に示すように、該当フレームでトップフィールドボトムフィールドの映像出力順の逆転が発生し、異なるシーンを1フィールド出力するという問題があった。
【0009】
具体的には、あるフレームのボトムフィールドまでがシーン1であり、トップフィールドからシーン2が始まるフィルム素材の場合、このフレームをトップフィールドから出力すると、シーン2が先に出力され、次にボトムフィールドのシーン1を出力するため、一瞬シーンの入れ替わりが発生して見えるという問題が発生する。
【0010】
本発明は、前述したような問題に着目してなされたものであり、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像を含むフィルム素材をPAL方式で出力する場合に、正常に映像出力することができるビデオビットストリーム復号化出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、符号化された画像データを含んだビデオビットストリームを復号化し映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置であって、映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し出力する映像同期信号生成手段と、前記画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を表すフレームレート信号が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きいとき、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを間引くための間引き信号を前記映像同期信号に同期して出力するフレームレート変換手段と、入力された前記ビデオビットストリームを復号化して得られる復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記ビデオビットストリームに含まれている前記復号化画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、3フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示す場合は、2フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力する復号化手段と、前記映像出力フィールド数信号で指示された映像出力期間に基づいて、前記復号化画像データに前記映像同期信号を多重し映像出力する映像出力手段と、を備えたものである。
【0012】
これにより、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0013】
さらに、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、前記復号化手段が、前記復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す映像出力期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フレーム分の前記画像データを復号化せずに次のフレームから復号化を行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す期間映像映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力するものである。
【0014】
これにより、フィルム素材を高速再生する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0015】
さらに、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、前記フレームレート変換手段は、前記フレームレート信号が前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さいときは、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを繰り返し映像出力させるための繰り返し信号を出力するものであり、前記復号化手段は、前記復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示する場合は、4フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示しない場合は、2フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示す場合は、3フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力するものである。
【0016】
これにより、フィルム素材を低速再生する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールドあるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置によれば、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合や、高速再生または低速再生を行うために復号化した画像データのフレームレート変換を行い映像出力する場合も、ビデオビットストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームにおいて映像出力順の逆転が発生し、一瞬シーンの入れ替わりが発生するなどの問題を防止して、正常に映像出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明においては、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合に、ビデオビットストリームに付与された前記リピート・ファースト・フィールド信号あるいは前記トップ・フィールド・ファースト信号に従って映像出力するようにしたものである。
【0019】
ビデオビットストリーム復号化出力装置において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をPAL方式で映像出力するためには、MPEG2フォーマットにより符号化されたビデオビットストリームを復号化した画像データから、該映像出力する際の単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように画像データを間引いて映像出力する必要がある。
【0020】
本実施の形態1のビデオビットストリーム復号化出力装置では、出力映像のフレームレートと、入力されたストリームのフレームレートとから、前記復号化画像データから画像データを間引くタイミングを示す間引き信号を生成すると共に、該間引き信号と、前記リピート・ファースト・フィールド信号あるいは前記トップ・フィールド・ファースト信号とに応じて、画像データの映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、前記復号化画像データから、前記決定された映像出力フィールド数の画像データを、前記間引き信号が示す間隔毎に間引いて映像出力するものである。
【0021】
以下、図1〜図5を用いて、本実施の形態1におけるビデオビットストリーム復号化出力装置100について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるビデオビットストリーム復号化出力装置100の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、ビデオビットストリーム復号化出力装置100は、復号化手段110と、フレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。
【0023】
復号化手段110は、フレームレート変換手段120、及び映像出力手段140と接続されており、入力されたビデオビットストリームの復号化を行い、該復号化された復号化画像データを映像出力手段140に出力するとともに、該ビデオビットストリーム中に含まれる属性情報信号をフレームレート変換手段120に出力するものである。なお、本実施の形態1における前記属性情報信号は、具体的にはMPEG2フォーマットにおけるsequene headerの、復号化画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を示すフレームレート信号である。
【0024】
また、前記復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から所定間隔毎に入力される間引き信号と、前記ビデオビットストリーム中に含まれるpicture_coding_extensionのリピート・ファースト・フィールド信号とにより、前記映像出力手段140から復号化画像データを出力する映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、その値を映像出力手段140に対して出力するものである。
【0025】
ここで、前記間引き信号は、前記復号化手段110において復号化された画像データから、画像データを間引くタイミングを示す信号であり、本実施の形態1では、間引き信号=“1”が2フィールドの画像データを間引く指令を意味し、間引き信号=“0”が画像データを間引かない指令を意味するものとする。
【0026】
本実施の形態1では、映像をできるだけなめらかに再生するために、各フレームの復号化画像データのうち、必ず1フィールドは映像出力するように、前記映像出力フィールド数を決定する。従って、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合は、間引き信号の指令に従い、すなわち、間引き信号が“0”の時、映像出力フィールド数を“3”とし、間引き信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引いて映像出力フィールド数を“1”とし、一方、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合は、間引き信号の指令に従わない、すなわち、復号化画像データからデータを間引かず、常に映像出力フィールド数を“2”とする。
【0027】
ところで、前述の説明では、後段の映像出力手段140において処理をしやすくするために、間引き信号が“1”の時、復号化画像データから2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引くものとしたが、間引くフィールド数はこれに限るものではなく、例えば、1フィールドの画像データを間引くものであってもよい。そして、前述のように間引き信号“1”の時に1フィールドの画像データを間引くよう構成する場合には、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合も、前記間引き信号の指令に従って、復号化画像データから画像データを間引く。さらに、間引き信号“1”の時に1フィールドの画像データを間引くよう構成する場合には、後段の映像出力手段140において、2フィールドで1フレームを構成する画像データにずれが生じないように処理する必要がある。
【0028】
以下、図2を用いて、前述した復号化手段110の一連の動作について説明する。図2は、本実施の形態1における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、間引き信号“1”の場合に、復号化画像データから2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引く場合を例に挙げて説明する。
【0029】
まず、ステップS201において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段120に出力する。
【0030】
次にステップS202において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS203において、前記ステップS202で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0031】
そして、前記ステップS203において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、さらにステップS204で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くように、映像出力フィールド数を設定し、“0”の場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号に従った映像出力フィールド数を設定する。すなわち、前記ステップS204において、間引き信号が“0”であった場合は、映像出力フィールド数信号に“3”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS207)、一方、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、3フィールド出力から2フィールド間引き、映像出力フィールド数信号に“1”を設定して、前記映像出力手段140に出力する(ステップS205)。そして前記ステップS205の後、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS206)。
【0032】
また、前記ステップS203において、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”であった場合は、フレームレート変換手段120から出力される間引き信号の値に関わらず、映像出力フィールド数信号に“2”を設定し、前記映像出力手段140に出力する。
【0033】
このように、前記映像出力手段140に対し映像出力フィールド数を出力して映像出力期間を設定後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを映像出力手段140に出力する。
【0034】
そして、復号化手段110は、映像出力フィールド数信号で示される期間経過後に再び起動し、前述したステップS201〜ステップS209の処理を行う。
【0035】
これにより、前記復号化手段110において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの間引きを行うことが可能となるため、正常な映像出力が可能となる。
【0036】
前記フレームレート変換手段120は、その内部に、当該フレームレート変換手段120にて決定される間引き間隔t1の値を保持し、その値をフィールド単位でデクリメントするスキップカウンタ121を備え、前記復号化手段110及び映像同期信号生成手段130と接続されている。そして、前記フレームレート変換手段120は、前記復号化手段110より入力される前記復号化画像データのフレームレート信号(属性情報信号)と、前記映像同期信号生成手段130より入力される、映像出力のタイミングを示す映像同期信号から得られる映像出力方式(NTSC方式、PAL方式など)より判断される単位時間当たりの出力フレーム数とに基づいて間引き間隔t1を決定し、該間引き間隔t1毎に、前記復号化手段110に間引き信号を出力するものである。
【0037】
ここで、前記間引き間隔t1は、前記復号化手段110にて復号化された前記復号化画像データの単位時間の出力フレーム数(フレームレート)が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きい場合、該映像同期信号から得られる単位時間当たりの出力フレーム数に合わせるために、前記復号化画像データより画像データを間引く間隔を示すものであり、具体的には、以下の(式1)で求められる。
【0038】
間引き間隔t1
=(映像出力方式のフレームレート/
|フレームレート信号の示すフレームレート−映像出力方式のフレームレート|)*2 …(式1)
【0039】
例えば、前記復号化手段110から入力されるビットストリームのフレームレートが30であり、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号から、映像出力方式がPAL方式(25Hz)であると判断された場合、前記間引き間隔t1は、
間引き間隔t1=(25/|30−25|)*2=10
となる。従って、この場合は、前記スキップカウンタ121に、間引き間隔t1から1を減算した値“9”を設定し、前記フレームレート変換手段120から、10フィールドおきに間引き信号を出力する。
【0040】
以下、図3を用いてフレームレート変換手段120の一連の動作について説明する。図3は、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、前記復号化手段110から入力される属性情報信号であるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号とから、間引き間隔t1を決定する。
【0041】
次に、ステップS302において、再生開始時か否かを判断し、再生開始時であると判断された場合は、ステップS303において、スキップカウンタ121に、前記ステップS301にて決定した間引き間隔t1から1減算した値を設定して、該スキップカウンタ121の初期化を行う。
【0042】
一方、前記ステップS302にて再生開始時でないと判断された場合は、ステップS304に移行し、前記スキップカウンタ121の値を評価し、その値が“1”以上であった場合は、まだフレームを間引くタイミングではないため、スキップカウンタ121の値を1デクリメントする(ステップS307)。一方、前記ステップS304で、スキップカウンタ121の値が“0”であった場合は、2フィールドの画像データの間引きを行う必要があるため、ステップS305において、間引き信号を“1”にして復号化手段110に出力した後、ステップS306でスキップカウンタ121の値を“9”に初期化する。
【0043】
これにより、前記フレーム変換手段120から、出力映像のフレームレートに従ったタイミングで、画像データの間引きを指示する間引き信号を出力することができる。
【0044】
さらに、前記映像同期信号生成手段130は、前記フレームレート変換手段120、前記映像出力手段140、及び図示されていないテレビと接続されており、該接続されているテレビの映像出力方式に従って、映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し、前記フレームレート変換手段120及び映像出力手段140に出力するものである。例えば、前記テレビがNTSC方式であれば29.97Hz、PAL方式であれば25Hzの映像同期信号を生成して出力する。
【0045】
前記映像出力手段140は、前記復号化手段110及び映像同期信号生成手段130と接続されており、前記復号化手段110から出力される映像出力フィールド数信号で指示されるフィールド数(映像出力期間)に基づいて、前記復号化手段110から出力された復号化画像データに、映像同期信号生成手段130から出力された映像同期信号を多重して出力するものである。
【0046】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置100において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をPAL方式の映像出力で再生する場合の動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態1における、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0047】
まず、フレームレート変換手段120は、復号化手段110からビデオビットストリームに含まれるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し、間引き間隔t1を決定する。ここでは、前記フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるPAL方式のフレームレートが“25”であることから、間引き間隔t1が“10”となるため、前記復号化手段110に対して、10フィールド単位で画像データの間引きを行うための間引き信号が出力される。具体的には、前記フレームレート変換手段120内部のスキップカウンタ121に“9”を設定し、フィールド単位で該スキップカウンタ121の値をデクリメントして(図4(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段110に対して、間引き信号を“0”から“1”にして出力する(図4(c)参照)。
【0048】
復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から出力される間引き信号(図4(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図4(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図4(d),(e)参照)。
【0049】
ここでは、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合のみ間引き処理を行う。すなわち、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“1”を、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“3”を、リピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”をそれぞれ映像出力手段140へ出力する。
【0050】
映像出力手段140は、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データを、前記映像同期信号に多重して映像出力する(図4(f)参照)。
【0051】
以上のように、本実施形態1によれば、フィルム素材をPAL方式のモニタに出力する場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号に従って、復号化画像データから画像データを間引いて、PAL方式の映像出力を行うようにしたので、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なる画像に対しても、正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0052】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データから画像データを間引く間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合を説明したが、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いても、前記間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行うことができる。図5は、ビデオビットストリームに付加される、トップ・フィールド・ファースト信号と、リピート・ファースト・フィールド信号との関係を示す図である。図5に示すように、現在のリピート・ファースト・フィールド信号が“0”である場合、次のフレームのトップ・フィールド・ファースト信号は、現在のリピート・ファースト・フィールド信号と同じ値となり、現在のリピート・ファースト・フィールド信号が“1”である場合は、次のフレームのトップ・フィールド・ファースト信号は、現在のリピート・ファースト・フィールド信号を反転させた値となるものであるからである。すなわち、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能、すなわち、前回のトップ・フィールド・ファースト信号と現在のトップ・フィールド・ファースト信号とが同じであれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号は“0”であり、前回のトップ・フィールド・ファースト信号と現在のトップ・フィールド・ファースト信号とが異なれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号は“1”である。従って、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いても、前述とほぼ同様の方法で、復号化画像データから間引く画像データを算出して、正常な映像出力を行うことができる。
【0053】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、各フレームの復号化画像データのうち、必ず1フィールドは映像出力させるように画像データを間引く、具体的には、リピート・ファースト・フィールド信号=“1”且つ間引き信号=“1”の場合のみ、復号化画像データより2フィールドの画像データを間引く場合を例に挙げたが、このようにした場合、出力映像の再生速度は、最大でも、
(2+3)/(2+1)=5/3倍
である。
【0054】
本実施の形態2では、さらに速い再生速度で出力映像を再生できるビデオビットストリーム復号化出力装置について説明する。
なお、ここでは、フィルム素材をNTSC方式の映像出力で2倍速再生する場合を一例に挙げて説明する。
【0055】
本実施の形態2のビデオビットストリーム復号化出力装置の構成は、前記実施の形態1と同様、復号化手段110と、その内部にスキップカウンタ121を備えるフレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。また、本実施の形態2の装置では、前記復号化手段110を除く、前記フレームレート変換手段120、映像同期信号生成手段130、及び映像出力手段140の動作も、前記実施の形態1と同様である。
従って、ここでは、フレームレート変換手段120の動作についてのみ説明する。
【0056】
前記実施の形態1では、前記復号化手段110において、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合に、間引き信号の指令に応じて復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くものとしたが、本実施の形態2では、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合においても間引き信号の指令に従って画像データを間引くものとする。
【0057】
以下、図6を用いて、復号化手段110の一連の動作について説明する。図6は、本実施の形態2における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段120に出力する。
【0058】
次にステップS202において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS203において、前記ステップS202で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0059】
そして、前記ステップS203において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、さらにステップS204で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データより2フィールドの間引きを行い、“0”の場合に間引きを行わないものとする。すなわち、ステップS204において、間引き信号が“0”であった場合は、間引きが指示されていないため映像出力フィールド数信号に“3”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS207)、一方、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、3フィールド出力から2フィールド間引いて、映像出力フィールド数信号に“1”を設定し、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS205)、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS206)。そしてこの後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを復号化画像データとして映像出力手段140に出力する。
【0060】
また、本実施の形態2では、前記ステップS203において、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”であった場合にも、ステップS210で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データより2フィールドの間引きを行い、“0”の場合に間引きを行わないものとする。すなわち、ステップS210において、間引き信号が“0”であった場合は、間引きが指示されていないため映像出力フィールド数信号に“2”を設定して、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS208)、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを復号化画像データとして映像出力手段140に出力し、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、2フィールド出力から2フィールド間引いて、映像出力フィールド数信号に“0”を設定し、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS211)、1フレーム分の画像データをスキップさせ(ステップS212)、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS213)。
【0061】
前記復号化手段110は、映像出力フィールド数信号で示された期間経過後に再び起動する。従って、映像出力フィールド数信号=“0”であった場合、前記復号化手段110は、ステップS213の処理終了後直ちに起動し、前述したステップS201〜ステップS213の処理を行う。
【0062】
この場合、前記ステップS213で間引き信号=“0”としているため、次のリピート・ファースト・フィールド信号に従い、ステップS207あるいはステップS208に進んで映像出力フィールド数を決定し、ステップS209で1フレーム復号化を行い、復号化画像データを出力する。
【0063】
これにより、前記復号化手段110において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの間引きを行うことが可能となるため、正常な映像を高速再生することが可能となる。
【0064】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置100において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をNTSC方式の映像出力で2倍速再生する場合の動作について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態2における、フィルム素材をNTSC方式で2倍速再生する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0065】
なお、本実施の形態2における間引き間隔t1は、前述した(式1)より、
t1=(30/|(30/2)−30|)*2=4
である。
【0066】
まず、フレームレート変換手段120は、復号化手段110からビデオビットストリームのフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し間引き間隔t1を決定する。ここでは、前記フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるNTSC方式で2倍速再生のフレームレートが“15”であることから、間引き間隔t1が“4”となるため、前記復号化手段110に対して、4フィールド単位で復号化画像データの間引きを行うための間引き信号が出力される。具体的には、前記フレームレート変換手段120内部のスキップカウンタ121に“3”を設定し、フィールド単位で該スキップカウンタ121の値をデクリメントして(図7(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段110に対して、間引き信号を“0”から“1”にして出力する(図7(c)参照)。
【0067】
復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から出力される間引き信号(図7(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図7(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図7(d),(e)参照)。具体的に述べると、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“3”を、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“1”を、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”を、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“0”をそれぞれ映像出力手段140に出力する。
【0068】
映像出力手段140では、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データに、映像同期信号を多重して映像出力する(図7(f)参照)。
【0069】
ここでは、前述した実施の形態1とは異なり、間引き信号に従って映像出力フィールド数信号を決定するため、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合も、復号化画像データより2フィールドの画像データを間引く。従って、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合、復号化手段110にて復号化処理を行わずに1フレーム分画像データをスキップさせて、次のフレームから復号化を開始する。このように、間引き信号に従って復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くようにすることにより、2倍速再生を実現できる。
【0070】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データから画像データを間引く間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合について説明したが、前記実施の形態1において図5を用いて説明したように、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その一つ前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能であるため、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いて、前記間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出し、正常な映像を高速再生することも可能である。
【0071】
以上のように、本実施形態2によれば、フィルム素材を5/3倍以上の高速再生する場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従って、復号化画像データから画像データを間引いて映像出力を行うようにしたので、前記ビデオビットストリーム中に付加されたリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従いながら、正常に映像を再生することが可能になる。
【0072】
(実施の形態3)
前記実施の形態1、2では、入力されるビデオビットストリームのフレームレートが示す単位時間あたりの出力フレーム数が、映像出力の際の単位時間当たりの出力フレーム数より大きい場合、あるいは前記ビデオビットストリームの高速再生を行う場合に、復号化画像データを間引いて映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置についてを説明したが、本実施の形態3では、前記ビデオビットストリームの単位時間当たりの出力フレーム数が、映像出力の際の単位時間当たりの出力フレーム数より小さい場合、あるいは前記ビデオビットストリームの低速再生を行うことが可能なビデオビットストリーム復号化出力装置について説明する。
【0073】
ビデオビットストリーム復号化出力装置において低速再生を行うためには、復号化画像データを、映像出力する際の単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように、画像データの同じフレームを、一定間隔毎に繰り返し映像出力する必要がある。
【0074】
ここでは、フィルム素材を6/7倍速で動作させる装置を例に挙げて説明する。
以下、図8〜図11を用いて、本実施の形態3におけるビデオビットストリーム復号化出力装置200について説明する。図8は、本発明の実施の形態3におけるビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示すブロック図である。
【0075】
図8に示すように、ビデオビットストリーム復号化出力装置200は、復号化手段210と、フレームレート変換手段220と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。
【0076】
復号化手段210は、フレームレート変換手段220、及び映像出力手段140と接続されており、入力されたビデオビットストリームの復号化を行い、該復号化された復号化画像データを映像出力手段140に出力するとともに、該ビデオビットストリーム中に含まれる属性情報信号をフレームレート変換手段220に出力するものである。なお、本実施の形態3における前記属性情報信号は、具体的にはMPEG2フォーマットにおけるsequene headerの、復号化画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を示すフレームレート信号である。
【0077】
また、前記復号化手段210は、前記フレームレート変換手段220から所定間隔毎に入力される繰り返し信号と、前記ビデオビットストリーム中に含まれるpicture_coding_extensionのリピート・ファースト・フィールド信号とにより、前記映像出力手段140から復号化画像データを出力する映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、その値を映像出力手段140に対して出力するものである。
【0078】
ここで、前記繰り返し信号は、前記復号化手段210において復号化された画像データを繰り返すタイミングを示す信号であり、本実施の形態3では、繰り返し信号=“1”が2フィールドの画像データを繰り返す指令を意味し、繰り返し信号=“0”が画像データを繰り返さない指令を意味するものとする。
【0079】
本実施の形態3では、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド期間出力)の場合は、繰り返し信号の値に関わらず、復号化画像データを繰り返さないものとする。これは、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合にも繰り返し信号に従って画像データを繰り返すと、同じフレームを5フィールド期間映像出力することとなり、映像再生中の動きの滑らかさが失われるのを防ぐためである。従って、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合は、繰り返し信号の指令に従い、すなわち、繰り返し信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の復号化画像データを繰り返して映像出力フィールド数を“4”とし、繰り返し信号が“0”の時、映像出力フィールド数を“3”とし、一方、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合は、繰り返し信号に従わない、すなわち、復号化画像データを繰り返さず、常に映像出力フィールド数を“3”とする。
【0080】
ところで、前述の説明では、後段の映像出力手段において処理をしやすくするために、繰り返し信号“1”の場合、復号化画像データを2フィールド(=1フレーム)繰り返して出力するものとしたが、繰り返すフィールド数はこれに限るものではなく、例えば、復号化画像データを1フィールド繰り返して出力するようにしてもよい。ただし、繰り返し信号“1”の時に復号化画像データを1フィールド繰り返して出力するよう構成する場合は、後段の映像出力手段140において、2フィールドで1フレームを構成する画像データにずれが生じないように処理する必要がある。
【0081】
以下、図9を用いて、前述した復号化手段210の一連の動作について説明する。図9は、本実施の形態3における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、繰り返し信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の復号化画像データを繰り返して出力する場合を例に挙げて説明する。
【0082】
まず、ステップS401において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段220に出力する。
【0083】
次にステップS402において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS403において、前記ステップS402で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0084】
そして、前記ステップS403において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合は、さらにステップS404で、フレームレート変換手段220から出力された繰り返し信号の値を評価し、繰り返し信号が“1”の場合は、復号化画像データを2フィールド繰り返して出力するように、映像出力フィールド数を設定し、“0”の場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号に従った映像出力フィールド数を設定する。すなわち、前記ステップS404において、繰り返し信号が“0”であった場合は、映像出力フィールド数信号に“2”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS407)、一方、前記繰り返し信号が“1”であった場合は、繰り返しが指示されているため、2フィールド出力に2フィールド追加し、映像出力フィールド数信号に“4”を設定して、映像出力手段140に出力する(ステップS405)。そして前記ステップS405の後、繰り返し信号を“1”から“0”にする(ステップS406)。
【0085】
また、前記ステップS403において、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、フレームレート変換手段220から出力される繰り返し信号に関わらず、映像出力フィールド数信号に“3”を設定し、前記映像出力手段140に出力する。
【0086】
このように、前記映像出力手段140に対し映像出力フィールド数を出力して映像出力期間を設定後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを映像出力手段140に出力する。
【0087】
そして、復号化手段210は、映像出力フィールド数信号で示される期間経過後に再び起動し、前述したステップS401〜ステップS409の処理を行う。
【0088】
これにより、前記復号化手段210において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの繰り返しを行うことが可能となるため、正常な映像を低速再生することが可能となる。
【0089】
前記フレームレート変換手段220は、その内部に、当該フレームレート変換手段220にて決定される繰り返し間隔t2の値を保持し、その値をフィールド単位でデクリメントするリピートカウンタ221を備え、前記復号化手段210及び映像同期信号生成手段130と接続されている。そして、前記フレームレート変換手段220は、前記復号化手段210より入力される前記復号化画像データのフレームレート信号(属性情報信号)と、前記映像同期信号生成手段130より入力される、映像出力のタイミングを示す映像同期信号から得られる映像出力方式(NTSC方式、PAL方式など)より判断される単位時間当たりの出力フレーム数とに基づいて繰り返し間隔t2を決定し、該繰り返し間隔t2毎に、前記復号化手段210に繰り返し信号を出力するものである。
【0090】
ここで、前記繰り返し間隔t2は、前記復号化手段210にて復号化された前記復号化画像データの単位時間の出力フレーム数(フレームレート)が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さい場合、該映像同期信号から得られる単位時間当たりの出力フレーム数に合わせるために、前記復号化画像データを繰り返す間隔を示すものであり、具体的には、以下の(式2)で求められる。
【0091】
繰り返し間隔t2
=(映像出力方式のフレームレート/
|フレームレート信号の示すフレームレート−映像出力方式のフレームレート|)*2 …(式2)
【0092】
例えば、前記復号化手段210から入力されるビットストリームのフレームレートを6/7倍速再生する場合、前記繰り返し間隔t2は、
繰り返し間隔t2=(30/|(30/(6/7))−30|)*2=12
となる。従って、この場合は、前記リピートカウンタ221に、その繰り返し間隔t2から1を減算した値“11”を設定し、前記フレームレート変換手段220から、12フィールドおきに繰り返し信号を出力する。
【0093】
以下、図10を用いてフレームレート変換手段220の一連の動作について説明する。図10は、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、前記復号化手段210から入力される属性信号であるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号とから、繰り返し間隔t2を決定する。
【0094】
次に、ステップS502において、再生開始時か否かを判断し、再生開始時であると判断された場合は、ステップS503においてリピートカウンタ221に、前記ステップS501にて決定した繰り返し間隔t2から1減算した値を設定して、該繰り返しカウンタ221の初期化を行う。
【0095】
一方、前記ステップS502にて再生開始時でないと判断された場合は、ステップS504に移行し、前記リピートカウンタ221の値を評価し、その値が“1”以上であった場合は、まだフレームを繰り返すするタイミングではないため、リピートカウンタ221の値を1デクリメントする(ステップS507)。一方、前記ステップS504で、リピートカウンタ221の値が“0”であった場合は、2フィールドの画像データの繰り返しを行う必要があるため、ステップS505において、繰り返し信号を“1”にして復号化手段210に出力した後、ステップS506でリピートカウンタ221の値を“11”に初期化する。
【0096】
これにより、前記フレーム変換手段220から、出力映像のフレームレートに従ったタイミングで、画像データの繰り返しを指示する繰り返し信号を出力することができる。
【0097】
なお、前記映像同期信号生成手段130及び前記映像出力手段140の構成及び動作は、前述した実施の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0098】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置200において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をNTSC方式の映像出力で6/7倍速再生する場合の動作について図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態3における、フィルム素材をNTSC方式で6/7倍速再生する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0099】
まず、フレームレート変換手段220は、復号化手段210からビデオビットストリームに含まれるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し、繰り返し間隔t2を決定する。ここでは、フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるNTSC方式の6/7倍速再生のフレームレートが“35”であることから、間引き間隔t1が“12”となるため、前記復号化手段210に対して、12フィールド単位で画像データを繰り返すための繰り返し信号を出力する。具体的には、前記フレームレート変換手段220内部のリピートカウンタ221に“11”を設定し、フィールド単位で該リピートカウンタ221の値をデクリメントして(図11(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段210に対して、繰り返し信号を“0”から“1”にして出力する(図11(c)参照)。
【0100】
復号化手段210は、前記フレームレート変換手段220から出力される繰り返し信号(図11(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図11(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図11(d),(e)参照)。具体的に述べると、リピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、繰り返し信号に関わらず、映像出力フィールド数信号=“3”を、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“4”を、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”を、をそれぞれ映像出力手段140に出力する。映像出力手段140では、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データを、映像同期信号に同期させて映像出力する(図11(f)参照)。
【0101】
このように、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号“0”のときに、2フィールドの画像データを繰り返することにより、6/7倍速再生を実現できる。
【0102】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データを繰り返す繰り返し間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合について説明したが、前記実施の形態1において図5を用いて説明したように、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その一つ前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能であるため、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いて、前記繰り返し間隔、及び映像出力フィールド数を算出し、正常な映像を低速再生することも可能である。
【0103】
以上のように、本実施形態3によれば、フィルム素材を低速再生を行う場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従って、復号化画像データを繰り返して映像出力を行うようにしたので、前記ビデオビットストリーム中に付加されたリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従いながら、正常に映像を再生することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合や、高速再生または低速再生を行う場合に、該フィルム素材にトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームが含まれていても、正常な映像を出力できるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態1における、ビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における、復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1における、フィルム素材をPAL方式で映像出力した場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図5】ビデオビットストリームに含まれるリピート・ファースト・フィールド信号と、トップ・フィールド・ファースト信号との関係を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態2における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における、フィルム素材の2倍速再生を行った場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図8】本発明の実施の形態3における、ビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3における、復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3における、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3における、フィルム素材の6/7倍速再生を行った場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図12】従来における、フィルム素材をNTSC方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図13】従来における、フィルム素材をPAL方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図14】従来における、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームを含むフィルム素材をNTSC方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図15】従来における、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームを含むフィルム素材をPAL方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【符号の説明】
【0106】
100,200 ビデオビットストリーム復号化出力装置
110,210 復号化手段
120,220 フレームレート変換手段
121 スキップカウンタ
130 映像同期信号生成手段
140 映像出力手段
221 リピートカウンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力されたビデオビットストリームを復号化してフレームレート変換を行い映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD(Digital Video Disc)ディスクやデジタルテレビ等の普及により、マルチメディア技術への関心が高まっている。例えばMPEG技術等によって符号化されたビデオビットストリームを復号化して再生する装置では、より高画質化、高機能化が求められている。MPEG2再生装置では、さまざまなフレームレートのビットストリームを、出力のフレームレートに合わせて映像出力するため、フレームレート変換機能を有している。例えば特許文献1には、使用するテレビモニタのテレビ方式に応じて、出力させる映像信号を、NTSC方式かPAL方式のいずれかに変換可能なビデオデータ再生装置が開示されている。
【0003】
1秒間24フレームで撮影されたフィルム素材を、1秒間30フレーム(=60フィールド)映像出力するNTSC方式で出力するためには、画像データを1秒あたり12フィールド(=60−24*2)繰り返して出力することが必要となる。よって、この場合、1フレームおきに1フィールドの画像データを繰り返し、フィルムの1コマ目を3フィールド、2コマ目を2フィールド、3コマ目を3フィールド、4コマ目を2フィールド、以降24コマ目まで、3−2−3−2と繰り返すことで、60フィールドの映像を出力する。この再生方法を3:2プルダウンと呼んでいる。
【0004】
そして、前述した3:2プルダウンを実現するため、MPEG2規格では、映像信号に、フレーム単位で、復号化された画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号と、最初に映像出力するフィールドを表すトップ・フィールド・ファースト信号とを付与することが定められている。
【0005】
図12は、3:2プルダウンのフィルム素材をNTSC方式で出力する場合のタイミング図である。図12に示すように、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合(例えばフレーム♯1)は映像を2フィールド期間出力し、“1”の場合(例えばフレーム♯2)は映像を3フィールド期間出力し、また、前記トップ・フィールド・ファースト信号が“0”の場合(例えばフレーム♯3)は復号化されたフレームのボトムフィールドを最初に映像出力し、“1”の場合(例えばフレーム♯1)はトップフィールドを最初に映像出力する。従って、エンコーダで、前記フィルム素材を1秒間30フレーム映像出力するNTSC方式で出力するよう符号化する場合は、3:2プルダウン再生を行うように、映像信号に前記トップ・フィールド・ファースト信号及び前記リピート・ファースト・フィールド信号を付与して符号化する。そして、再生装置では、これらの信号に従って映像出力して、3:2プルダウン再生を行う。
【0006】
このようなリピート・ファースト・フィールド信号、及びトップ・フィールド・ファースト信号を付与された、3:2プルダウン再生を行う前記フィルム素材を、1秒間25フレーム(=50フィールド)映像出力するPAL方式で出力する場合は、画像データを1秒あたり2フィールド(=50−24*2)繰り返して出力することが必要となるが、従来では、前述したNTSC方式で出力する場合とは異なり、図13に示すように、ストリームに付与されている前記リピート・ファースト・フィールド信号や前記トップ・フィールド・ファースト信号を使用せず、機械的に24フィールド出力毎に画像データを1フィールド繰り返して出力する再生方法がとられることが一般的だった。図13は、3:2プルダウンのフィルム素材をPAL方式で出力する場合のタイミング図である。なお、この再生方法は、前記フィルム素材がプログレッシブ構造の画像であることを前提としたものである。つまり、インターレース構造の画像の場合、トップフィールドとボトムフィールドでサンプルリングされる時間が異なるため、ストリームに付与されたトップ・フィールド・ファースト信号に従って映像出力する必要があるが、プログレッシブ構造の画像の場合、トップフィールドとボトムフィールドのサンプリングされた時間が同じであるため、どちらのフィールドを先に出しても時間軸上の映像出力の逆転は発生しないからである。
【特許文献1】特開平9−284804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記フィルム素材には、まれにトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なるフレームがある。例えば、図14、15に示すように、あるフレーム(ここではフレーム#3)のボトムフィールドまでがシーン1であり、トップフィールドからシーン2が始まるフィルム素材が挙げられる。
【0008】
このような場合でも、図14に示すように、画像データを、フレーム単位で付与されている前記リピート・ファースト・フィールド信号及び前記トップ・フィールド・ファースト信号に基づいて映像出力すれば、正常に映像出力することができる。しかし、前述したように、PAL方式で映像出力する場合には、前記リピート・ファースト・フィールド信号及び前記トップ・フィールド・ファースト信号に基づいて映像出力しない場合があるため、その場合には、フィルム素材にトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なるフレームが含まれていたとしてもそれを検知できず、図15に示すように、該当フレームでトップフィールドボトムフィールドの映像出力順の逆転が発生し、異なるシーンを1フィールド出力するという問題があった。
【0009】
具体的には、あるフレームのボトムフィールドまでがシーン1であり、トップフィールドからシーン2が始まるフィルム素材の場合、このフレームをトップフィールドから出力すると、シーン2が先に出力され、次にボトムフィールドのシーン1を出力するため、一瞬シーンの入れ替わりが発生して見えるという問題が発生する。
【0010】
本発明は、前述したような問題に着目してなされたものであり、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像を含むフィルム素材をPAL方式で出力する場合に、正常に映像出力することができるビデオビットストリーム復号化出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、符号化された画像データを含んだビデオビットストリームを復号化し映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置であって、映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し出力する映像同期信号生成手段と、前記画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を表すフレームレート信号が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きいとき、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを間引くための間引き信号を前記映像同期信号に同期して出力するフレームレート変換手段と、入力された前記ビデオビットストリームを復号化して得られる復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記ビデオビットストリームに含まれている前記復号化画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、3フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示す場合は、2フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力する復号化手段と、前記映像出力フィールド数信号で指示された映像出力期間に基づいて、前記復号化画像データに前記映像同期信号を多重し映像出力する映像出力手段と、を備えたものである。
【0012】
これにより、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0013】
さらに、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、前記復号化手段が、前記復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す映像出力期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フレーム分の前記画像データを復号化せずに次のフレームから復号化を行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す期間映像映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力するものである。
【0014】
これにより、フィルム素材を高速再生する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0015】
さらに、本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、前記フレームレート変換手段は、前記フレームレート信号が前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さいときは、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを繰り返し映像出力させるための繰り返し信号を出力するものであり、前記復号化手段は、前記復号化画像データ、前記フレームレート信号、及び、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示する場合は、4フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示しない場合は、2フィールド期間映像出力させ、前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示す場合は、3フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、前記映像同期信号に同期して出力するものである。
【0016】
これにより、フィルム素材を低速再生する場合も、ストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールドあるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なる画像に対しても正常に映像出力を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置によれば、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合や、高速再生または低速再生を行うために復号化した画像データのフレームレート変換を行い映像出力する場合も、ビデオビットストリーム中に含まれるリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従い映像出力することができるため、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームにおいて映像出力順の逆転が発生し、一瞬シーンの入れ替わりが発生するなどの問題を防止して、正常に映像出力することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本発明においては、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合に、ビデオビットストリームに付与された前記リピート・ファースト・フィールド信号あるいは前記トップ・フィールド・ファースト信号に従って映像出力するようにしたものである。
【0019】
ビデオビットストリーム復号化出力装置において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をPAL方式で映像出力するためには、MPEG2フォーマットにより符号化されたビデオビットストリームを復号化した画像データから、該映像出力する際の単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように画像データを間引いて映像出力する必要がある。
【0020】
本実施の形態1のビデオビットストリーム復号化出力装置では、出力映像のフレームレートと、入力されたストリームのフレームレートとから、前記復号化画像データから画像データを間引くタイミングを示す間引き信号を生成すると共に、該間引き信号と、前記リピート・ファースト・フィールド信号あるいは前記トップ・フィールド・ファースト信号とに応じて、画像データの映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、前記復号化画像データから、前記決定された映像出力フィールド数の画像データを、前記間引き信号が示す間隔毎に間引いて映像出力するものである。
【0021】
以下、図1〜図5を用いて、本実施の形態1におけるビデオビットストリーム復号化出力装置100について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるビデオビットストリーム復号化出力装置100の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、ビデオビットストリーム復号化出力装置100は、復号化手段110と、フレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。
【0023】
復号化手段110は、フレームレート変換手段120、及び映像出力手段140と接続されており、入力されたビデオビットストリームの復号化を行い、該復号化された復号化画像データを映像出力手段140に出力するとともに、該ビデオビットストリーム中に含まれる属性情報信号をフレームレート変換手段120に出力するものである。なお、本実施の形態1における前記属性情報信号は、具体的にはMPEG2フォーマットにおけるsequene headerの、復号化画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を示すフレームレート信号である。
【0024】
また、前記復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から所定間隔毎に入力される間引き信号と、前記ビデオビットストリーム中に含まれるpicture_coding_extensionのリピート・ファースト・フィールド信号とにより、前記映像出力手段140から復号化画像データを出力する映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、その値を映像出力手段140に対して出力するものである。
【0025】
ここで、前記間引き信号は、前記復号化手段110において復号化された画像データから、画像データを間引くタイミングを示す信号であり、本実施の形態1では、間引き信号=“1”が2フィールドの画像データを間引く指令を意味し、間引き信号=“0”が画像データを間引かない指令を意味するものとする。
【0026】
本実施の形態1では、映像をできるだけなめらかに再生するために、各フレームの復号化画像データのうち、必ず1フィールドは映像出力するように、前記映像出力フィールド数を決定する。従って、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合は、間引き信号の指令に従い、すなわち、間引き信号が“0”の時、映像出力フィールド数を“3”とし、間引き信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引いて映像出力フィールド数を“1”とし、一方、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合は、間引き信号の指令に従わない、すなわち、復号化画像データからデータを間引かず、常に映像出力フィールド数を“2”とする。
【0027】
ところで、前述の説明では、後段の映像出力手段140において処理をしやすくするために、間引き信号が“1”の時、復号化画像データから2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引くものとしたが、間引くフィールド数はこれに限るものではなく、例えば、1フィールドの画像データを間引くものであってもよい。そして、前述のように間引き信号“1”の時に1フィールドの画像データを間引くよう構成する場合には、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合も、前記間引き信号の指令に従って、復号化画像データから画像データを間引く。さらに、間引き信号“1”の時に1フィールドの画像データを間引くよう構成する場合には、後段の映像出力手段140において、2フィールドで1フレームを構成する画像データにずれが生じないように処理する必要がある。
【0028】
以下、図2を用いて、前述した復号化手段110の一連の動作について説明する。図2は、本実施の形態1における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、間引き信号“1”の場合に、復号化画像データから2フィールド(=1フレーム)の画像データを間引く場合を例に挙げて説明する。
【0029】
まず、ステップS201において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段120に出力する。
【0030】
次にステップS202において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS203において、前記ステップS202で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0031】
そして、前記ステップS203において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、さらにステップS204で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くように、映像出力フィールド数を設定し、“0”の場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号に従った映像出力フィールド数を設定する。すなわち、前記ステップS204において、間引き信号が“0”であった場合は、映像出力フィールド数信号に“3”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS207)、一方、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、3フィールド出力から2フィールド間引き、映像出力フィールド数信号に“1”を設定して、前記映像出力手段140に出力する(ステップS205)。そして前記ステップS205の後、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS206)。
【0032】
また、前記ステップS203において、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”であった場合は、フレームレート変換手段120から出力される間引き信号の値に関わらず、映像出力フィールド数信号に“2”を設定し、前記映像出力手段140に出力する。
【0033】
このように、前記映像出力手段140に対し映像出力フィールド数を出力して映像出力期間を設定後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを映像出力手段140に出力する。
【0034】
そして、復号化手段110は、映像出力フィールド数信号で示される期間経過後に再び起動し、前述したステップS201〜ステップS209の処理を行う。
【0035】
これにより、前記復号化手段110において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの間引きを行うことが可能となるため、正常な映像出力が可能となる。
【0036】
前記フレームレート変換手段120は、その内部に、当該フレームレート変換手段120にて決定される間引き間隔t1の値を保持し、その値をフィールド単位でデクリメントするスキップカウンタ121を備え、前記復号化手段110及び映像同期信号生成手段130と接続されている。そして、前記フレームレート変換手段120は、前記復号化手段110より入力される前記復号化画像データのフレームレート信号(属性情報信号)と、前記映像同期信号生成手段130より入力される、映像出力のタイミングを示す映像同期信号から得られる映像出力方式(NTSC方式、PAL方式など)より判断される単位時間当たりの出力フレーム数とに基づいて間引き間隔t1を決定し、該間引き間隔t1毎に、前記復号化手段110に間引き信号を出力するものである。
【0037】
ここで、前記間引き間隔t1は、前記復号化手段110にて復号化された前記復号化画像データの単位時間の出力フレーム数(フレームレート)が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きい場合、該映像同期信号から得られる単位時間当たりの出力フレーム数に合わせるために、前記復号化画像データより画像データを間引く間隔を示すものであり、具体的には、以下の(式1)で求められる。
【0038】
間引き間隔t1
=(映像出力方式のフレームレート/
|フレームレート信号の示すフレームレート−映像出力方式のフレームレート|)*2 …(式1)
【0039】
例えば、前記復号化手段110から入力されるビットストリームのフレームレートが30であり、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号から、映像出力方式がPAL方式(25Hz)であると判断された場合、前記間引き間隔t1は、
間引き間隔t1=(25/|30−25|)*2=10
となる。従って、この場合は、前記スキップカウンタ121に、間引き間隔t1から1を減算した値“9”を設定し、前記フレームレート変換手段120から、10フィールドおきに間引き信号を出力する。
【0040】
以下、図3を用いてフレームレート変換手段120の一連の動作について説明する。図3は、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、前記復号化手段110から入力される属性情報信号であるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号とから、間引き間隔t1を決定する。
【0041】
次に、ステップS302において、再生開始時か否かを判断し、再生開始時であると判断された場合は、ステップS303において、スキップカウンタ121に、前記ステップS301にて決定した間引き間隔t1から1減算した値を設定して、該スキップカウンタ121の初期化を行う。
【0042】
一方、前記ステップS302にて再生開始時でないと判断された場合は、ステップS304に移行し、前記スキップカウンタ121の値を評価し、その値が“1”以上であった場合は、まだフレームを間引くタイミングではないため、スキップカウンタ121の値を1デクリメントする(ステップS307)。一方、前記ステップS304で、スキップカウンタ121の値が“0”であった場合は、2フィールドの画像データの間引きを行う必要があるため、ステップS305において、間引き信号を“1”にして復号化手段110に出力した後、ステップS306でスキップカウンタ121の値を“9”に初期化する。
【0043】
これにより、前記フレーム変換手段120から、出力映像のフレームレートに従ったタイミングで、画像データの間引きを指示する間引き信号を出力することができる。
【0044】
さらに、前記映像同期信号生成手段130は、前記フレームレート変換手段120、前記映像出力手段140、及び図示されていないテレビと接続されており、該接続されているテレビの映像出力方式に従って、映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し、前記フレームレート変換手段120及び映像出力手段140に出力するものである。例えば、前記テレビがNTSC方式であれば29.97Hz、PAL方式であれば25Hzの映像同期信号を生成して出力する。
【0045】
前記映像出力手段140は、前記復号化手段110及び映像同期信号生成手段130と接続されており、前記復号化手段110から出力される映像出力フィールド数信号で指示されるフィールド数(映像出力期間)に基づいて、前記復号化手段110から出力された復号化画像データに、映像同期信号生成手段130から出力された映像同期信号を多重して出力するものである。
【0046】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置100において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をPAL方式の映像出力で再生する場合の動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態1における、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0047】
まず、フレームレート変換手段120は、復号化手段110からビデオビットストリームに含まれるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し、間引き間隔t1を決定する。ここでは、前記フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるPAL方式のフレームレートが“25”であることから、間引き間隔t1が“10”となるため、前記復号化手段110に対して、10フィールド単位で画像データの間引きを行うための間引き信号が出力される。具体的には、前記フレームレート変換手段120内部のスキップカウンタ121に“9”を設定し、フィールド単位で該スキップカウンタ121の値をデクリメントして(図4(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段110に対して、間引き信号を“0”から“1”にして出力する(図4(c)参照)。
【0048】
復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から出力される間引き信号(図4(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図4(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図4(d),(e)参照)。
【0049】
ここでは、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合のみ間引き処理を行う。すなわち、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“1”を、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“3”を、リピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”をそれぞれ映像出力手段140へ出力する。
【0050】
映像出力手段140は、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データを、前記映像同期信号に多重して映像出力する(図4(f)参照)。
【0051】
以上のように、本実施形態1によれば、フィルム素材をPAL方式のモニタに出力する場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号に従って、復号化画像データから画像データを間引いて、PAL方式の映像出力を行うようにしたので、同一フレームでトップフィールドとボトムフィールドでシーンが異なる画像に対しても、正常に映像出力を行うことが可能になる。
【0052】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データから画像データを間引く間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合を説明したが、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いても、前記間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行うことができる。図5は、ビデオビットストリームに付加される、トップ・フィールド・ファースト信号と、リピート・ファースト・フィールド信号との関係を示す図である。図5に示すように、現在のリピート・ファースト・フィールド信号が“0”である場合、次のフレームのトップ・フィールド・ファースト信号は、現在のリピート・ファースト・フィールド信号と同じ値となり、現在のリピート・ファースト・フィールド信号が“1”である場合は、次のフレームのトップ・フィールド・ファースト信号は、現在のリピート・ファースト・フィールド信号を反転させた値となるものであるからである。すなわち、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能、すなわち、前回のトップ・フィールド・ファースト信号と現在のトップ・フィールド・ファースト信号とが同じであれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号は“0”であり、前回のトップ・フィールド・ファースト信号と現在のトップ・フィールド・ファースト信号とが異なれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号は“1”である。従って、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いても、前述とほぼ同様の方法で、復号化画像データから間引く画像データを算出して、正常な映像出力を行うことができる。
【0053】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、各フレームの復号化画像データのうち、必ず1フィールドは映像出力させるように画像データを間引く、具体的には、リピート・ファースト・フィールド信号=“1”且つ間引き信号=“1”の場合のみ、復号化画像データより2フィールドの画像データを間引く場合を例に挙げたが、このようにした場合、出力映像の再生速度は、最大でも、
(2+3)/(2+1)=5/3倍
である。
【0054】
本実施の形態2では、さらに速い再生速度で出力映像を再生できるビデオビットストリーム復号化出力装置について説明する。
なお、ここでは、フィルム素材をNTSC方式の映像出力で2倍速再生する場合を一例に挙げて説明する。
【0055】
本実施の形態2のビデオビットストリーム復号化出力装置の構成は、前記実施の形態1と同様、復号化手段110と、その内部にスキップカウンタ121を備えるフレームレート変換手段120と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。また、本実施の形態2の装置では、前記復号化手段110を除く、前記フレームレート変換手段120、映像同期信号生成手段130、及び映像出力手段140の動作も、前記実施の形態1と同様である。
従って、ここでは、フレームレート変換手段120の動作についてのみ説明する。
【0056】
前記実施の形態1では、前記復号化手段110において、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合に、間引き信号の指令に応じて復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くものとしたが、本実施の形態2では、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合においても間引き信号の指令に従って画像データを間引くものとする。
【0057】
以下、図6を用いて、復号化手段110の一連の動作について説明する。図6は、本実施の形態2における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS201において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段120に出力する。
【0058】
次にステップS202において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS203において、前記ステップS202で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0059】
そして、前記ステップS203において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、さらにステップS204で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データより2フィールドの間引きを行い、“0”の場合に間引きを行わないものとする。すなわち、ステップS204において、間引き信号が“0”であった場合は、間引きが指示されていないため映像出力フィールド数信号に“3”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS207)、一方、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、3フィールド出力から2フィールド間引いて、映像出力フィールド数信号に“1”を設定し、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS205)、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS206)。そしてこの後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを復号化画像データとして映像出力手段140に出力する。
【0060】
また、本実施の形態2では、前記ステップS203において、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”であった場合にも、ステップS210で、フレームレート変換手段120から入力された間引き信号の値を評価し、間引き信号が“1”の場合は、復号化画像データより2フィールドの間引きを行い、“0”の場合に間引きを行わないものとする。すなわち、ステップS210において、間引き信号が“0”であった場合は、間引きが指示されていないため映像出力フィールド数信号に“2”を設定して、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS208)、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを復号化画像データとして映像出力手段140に出力し、間引き信号が“1”であった場合は、間引きが指示されているため、2フィールド出力から2フィールド間引いて、映像出力フィールド数信号に“0”を設定し、前記映像出力手段140に出力した後(ステップS211)、1フレーム分の画像データをスキップさせ(ステップS212)、前記間引き信号を“1”から“0”にする(ステップS213)。
【0061】
前記復号化手段110は、映像出力フィールド数信号で示された期間経過後に再び起動する。従って、映像出力フィールド数信号=“0”であった場合、前記復号化手段110は、ステップS213の処理終了後直ちに起動し、前述したステップS201〜ステップS213の処理を行う。
【0062】
この場合、前記ステップS213で間引き信号=“0”としているため、次のリピート・ファースト・フィールド信号に従い、ステップS207あるいはステップS208に進んで映像出力フィールド数を決定し、ステップS209で1フレーム復号化を行い、復号化画像データを出力する。
【0063】
これにより、前記復号化手段110において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの間引きを行うことが可能となるため、正常な映像を高速再生することが可能となる。
【0064】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置100において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をNTSC方式の映像出力で2倍速再生する場合の動作について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態2における、フィルム素材をNTSC方式で2倍速再生する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0065】
なお、本実施の形態2における間引き間隔t1は、前述した(式1)より、
t1=(30/|(30/2)−30|)*2=4
である。
【0066】
まず、フレームレート変換手段120は、復号化手段110からビデオビットストリームのフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し間引き間隔t1を決定する。ここでは、前記フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるNTSC方式で2倍速再生のフレームレートが“15”であることから、間引き間隔t1が“4”となるため、前記復号化手段110に対して、4フィールド単位で復号化画像データの間引きを行うための間引き信号が出力される。具体的には、前記フレームレート変換手段120内部のスキップカウンタ121に“3”を設定し、フィールド単位で該スキップカウンタ121の値をデクリメントして(図7(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段110に対して、間引き信号を“0”から“1”にして出力する(図7(c)参照)。
【0067】
復号化手段110は、前記フレームレート変換手段120から出力される間引き信号(図7(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図7(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図7(d),(e)参照)。具体的に述べると、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“3”を、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、映像出力フィールド数信号=“1”を、間引き信号“0”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”を、間引き信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“0”をそれぞれ映像出力手段140に出力する。
【0068】
映像出力手段140では、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データに、映像同期信号を多重して映像出力する(図7(f)参照)。
【0069】
ここでは、前述した実施の形態1とは異なり、間引き信号に従って映像出力フィールド数信号を決定するため、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合も、復号化画像データより2フィールドの画像データを間引く。従って、間引き信号=“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合、復号化手段110にて復号化処理を行わずに1フレーム分画像データをスキップさせて、次のフレームから復号化を開始する。このように、間引き信号に従って復号化画像データから2フィールドの画像データを間引くようにすることにより、2倍速再生を実現できる。
【0070】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データから画像データを間引く間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合について説明したが、前記実施の形態1において図5を用いて説明したように、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その一つ前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能であるため、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いて、前記間引き間隔、及び映像出力フィールド数を算出し、正常な映像を高速再生することも可能である。
【0071】
以上のように、本実施形態2によれば、フィルム素材を5/3倍以上の高速再生する場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従って、復号化画像データから画像データを間引いて映像出力を行うようにしたので、前記ビデオビットストリーム中に付加されたリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従いながら、正常に映像を再生することが可能になる。
【0072】
(実施の形態3)
前記実施の形態1、2では、入力されるビデオビットストリームのフレームレートが示す単位時間あたりの出力フレーム数が、映像出力の際の単位時間当たりの出力フレーム数より大きい場合、あるいは前記ビデオビットストリームの高速再生を行う場合に、復号化画像データを間引いて映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置についてを説明したが、本実施の形態3では、前記ビデオビットストリームの単位時間当たりの出力フレーム数が、映像出力の際の単位時間当たりの出力フレーム数より小さい場合、あるいは前記ビデオビットストリームの低速再生を行うことが可能なビデオビットストリーム復号化出力装置について説明する。
【0073】
ビデオビットストリーム復号化出力装置において低速再生を行うためには、復号化画像データを、映像出力する際の単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように、画像データの同じフレームを、一定間隔毎に繰り返し映像出力する必要がある。
【0074】
ここでは、フィルム素材を6/7倍速で動作させる装置を例に挙げて説明する。
以下、図8〜図11を用いて、本実施の形態3におけるビデオビットストリーム復号化出力装置200について説明する。図8は、本発明の実施の形態3におけるビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示すブロック図である。
【0075】
図8に示すように、ビデオビットストリーム復号化出力装置200は、復号化手段210と、フレームレート変換手段220と、映像同期信号生成手段130と、映像出力手段140とを備えるものである。
【0076】
復号化手段210は、フレームレート変換手段220、及び映像出力手段140と接続されており、入力されたビデオビットストリームの復号化を行い、該復号化された復号化画像データを映像出力手段140に出力するとともに、該ビデオビットストリーム中に含まれる属性情報信号をフレームレート変換手段220に出力するものである。なお、本実施の形態3における前記属性情報信号は、具体的にはMPEG2フォーマットにおけるsequene headerの、復号化画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を示すフレームレート信号である。
【0077】
また、前記復号化手段210は、前記フレームレート変換手段220から所定間隔毎に入力される繰り返し信号と、前記ビデオビットストリーム中に含まれるpicture_coding_extensionのリピート・ファースト・フィールド信号とにより、前記映像出力手段140から復号化画像データを出力する映像出力期間を示す映像出力フィールド数を決定し、その値を映像出力手段140に対して出力するものである。
【0078】
ここで、前記繰り返し信号は、前記復号化手段210において復号化された画像データを繰り返すタイミングを示す信号であり、本実施の形態3では、繰り返し信号=“1”が2フィールドの画像データを繰り返す指令を意味し、繰り返し信号=“0”が画像データを繰り返さない指令を意味するものとする。
【0079】
本実施の形態3では、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド期間出力)の場合は、繰り返し信号の値に関わらず、復号化画像データを繰り返さないものとする。これは、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合にも繰り返し信号に従って画像データを繰り返すと、同じフレームを5フィールド期間映像出力することとなり、映像再生中の動きの滑らかさが失われるのを防ぐためである。従って、リピート・ファースト・フィールド信号が“0”(2フィールド出力)の場合は、繰り返し信号の指令に従い、すなわち、繰り返し信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の復号化画像データを繰り返して映像出力フィールド数を“4”とし、繰り返し信号が“0”の時、映像出力フィールド数を“3”とし、一方、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”(3フィールド出力)の場合は、繰り返し信号に従わない、すなわち、復号化画像データを繰り返さず、常に映像出力フィールド数を“3”とする。
【0080】
ところで、前述の説明では、後段の映像出力手段において処理をしやすくするために、繰り返し信号“1”の場合、復号化画像データを2フィールド(=1フレーム)繰り返して出力するものとしたが、繰り返すフィールド数はこれに限るものではなく、例えば、復号化画像データを1フィールド繰り返して出力するようにしてもよい。ただし、繰り返し信号“1”の時に復号化画像データを1フィールド繰り返して出力するよう構成する場合は、後段の映像出力手段140において、2フィールドで1フレームを構成する画像データにずれが生じないように処理する必要がある。
【0081】
以下、図9を用いて、前述した復号化手段210の一連の動作について説明する。図9は、本実施の形態3における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、繰り返し信号が“1”の時、2フィールド(=1フレーム)の復号化画像データを繰り返して出力する場合を例に挙げて説明する。
【0082】
まず、ステップS401において、入力されたビデオビットストリームからフレームレート信号を読み出し、フレーム変換手段220に出力する。
【0083】
次にステップS402において、前記入力されたビデオビットストリームから、リピート・ファースト・フィールド信号を取得し、ステップS403において、前記ステップS402で読み出したリピート・ファースト・フィールド信号の値を評価する。
【0084】
そして、前記ステップS403において、前記リピート・ファースト・フィールド信号が“0”の場合は、さらにステップS404で、フレームレート変換手段220から出力された繰り返し信号の値を評価し、繰り返し信号が“1”の場合は、復号化画像データを2フィールド繰り返して出力するように、映像出力フィールド数を設定し、“0”の場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号に従った映像出力フィールド数を設定する。すなわち、前記ステップS404において、繰り返し信号が“0”であった場合は、映像出力フィールド数信号に“2”を設定して、前記映像出力手段140に出力し(ステップS407)、一方、前記繰り返し信号が“1”であった場合は、繰り返しが指示されているため、2フィールド出力に2フィールド追加し、映像出力フィールド数信号に“4”を設定して、映像出力手段140に出力する(ステップS405)。そして前記ステップS405の後、繰り返し信号を“1”から“0”にする(ステップS406)。
【0085】
また、前記ステップS403において、リピート・ファースト・フィールド信号が“1”の場合は、フレームレート変換手段220から出力される繰り返し信号に関わらず、映像出力フィールド数信号に“3”を設定し、前記映像出力手段140に出力する。
【0086】
このように、前記映像出力手段140に対し映像出力フィールド数を出力して映像出力期間を設定後、ステップS209において、1フレームの復号化を行い、該復号化した画像データを映像出力手段140に出力する。
【0087】
そして、復号化手段210は、映像出力フィールド数信号で示される期間経過後に再び起動し、前述したステップS401〜ステップS409の処理を行う。
【0088】
これにより、前記復号化手段210において、前記リピート・ファースト・フィールド信号に基づいて、復号化画像データの繰り返しを行うことが可能となるため、正常な映像を低速再生することが可能となる。
【0089】
前記フレームレート変換手段220は、その内部に、当該フレームレート変換手段220にて決定される繰り返し間隔t2の値を保持し、その値をフィールド単位でデクリメントするリピートカウンタ221を備え、前記復号化手段210及び映像同期信号生成手段130と接続されている。そして、前記フレームレート変換手段220は、前記復号化手段210より入力される前記復号化画像データのフレームレート信号(属性情報信号)と、前記映像同期信号生成手段130より入力される、映像出力のタイミングを示す映像同期信号から得られる映像出力方式(NTSC方式、PAL方式など)より判断される単位時間当たりの出力フレーム数とに基づいて繰り返し間隔t2を決定し、該繰り返し間隔t2毎に、前記復号化手段210に繰り返し信号を出力するものである。
【0090】
ここで、前記繰り返し間隔t2は、前記復号化手段210にて復号化された前記復号化画像データの単位時間の出力フレーム数(フレームレート)が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さい場合、該映像同期信号から得られる単位時間当たりの出力フレーム数に合わせるために、前記復号化画像データを繰り返す間隔を示すものであり、具体的には、以下の(式2)で求められる。
【0091】
繰り返し間隔t2
=(映像出力方式のフレームレート/
|フレームレート信号の示すフレームレート−映像出力方式のフレームレート|)*2 …(式2)
【0092】
例えば、前記復号化手段210から入力されるビットストリームのフレームレートを6/7倍速再生する場合、前記繰り返し間隔t2は、
繰り返し間隔t2=(30/|(30/(6/7))−30|)*2=12
となる。従って、この場合は、前記リピートカウンタ221に、その繰り返し間隔t2から1を減算した値“11”を設定し、前記フレームレート変換手段220から、12フィールドおきに繰り返し信号を出力する。
【0093】
以下、図10を用いてフレームレート変換手段220の一連の動作について説明する。図10は、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、前記復号化手段210から入力される属性信号であるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から入力される映像同期信号とから、繰り返し間隔t2を決定する。
【0094】
次に、ステップS502において、再生開始時か否かを判断し、再生開始時であると判断された場合は、ステップS503においてリピートカウンタ221に、前記ステップS501にて決定した繰り返し間隔t2から1減算した値を設定して、該繰り返しカウンタ221の初期化を行う。
【0095】
一方、前記ステップS502にて再生開始時でないと判断された場合は、ステップS504に移行し、前記リピートカウンタ221の値を評価し、その値が“1”以上であった場合は、まだフレームを繰り返すするタイミングではないため、リピートカウンタ221の値を1デクリメントする(ステップS507)。一方、前記ステップS504で、リピートカウンタ221の値が“0”であった場合は、2フィールドの画像データの繰り返しを行う必要があるため、ステップS505において、繰り返し信号を“1”にして復号化手段210に出力した後、ステップS506でリピートカウンタ221の値を“11”に初期化する。
【0096】
これにより、前記フレーム変換手段220から、出力映像のフレームレートに従ったタイミングで、画像データの繰り返しを指示する繰り返し信号を出力することができる。
【0097】
なお、前記映像同期信号生成手段130及び前記映像出力手段140の構成及び動作は、前述した実施の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0098】
以下、前述のように構成されたビデオビットストリーム復号化出力装置200において、3:2プルダウン再生のフィルム素材をNTSC方式の映像出力で6/7倍速再生する場合の動作について図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態3における、フィルム素材をNTSC方式で6/7倍速再生する場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミングを示す図である。
【0099】
まず、フレームレート変換手段220は、復号化手段210からビデオビットストリームに含まれるフレームレート信号と、前記映像同期信号生成手段130から映像同期信号とを受信し、繰り返し間隔t2を決定する。ここでは、フレームレート信号が“30”であり、映像同期信号から得られるNTSC方式の6/7倍速再生のフレームレートが“35”であることから、間引き間隔t1が“12”となるため、前記復号化手段210に対して、12フィールド単位で画像データを繰り返すための繰り返し信号を出力する。具体的には、前記フレームレート変換手段220内部のリピートカウンタ221に“11”を設定し、フィールド単位で該リピートカウンタ221の値をデクリメントして(図11(b)参照)、その値が0になったとき、前記復号化手段210に対して、繰り返し信号を“0”から“1”にして出力する(図11(c)参照)。
【0100】
復号化手段210は、前記フレームレート変換手段220から出力される繰り返し信号(図11(c)参照)と、ビデオビットストリームに付加されたリピート・ファースト・フィールド信号(図11(g)参照)とに応じて映像出力フィールド数を決定すると共に、前記ビデオビットストリーム1フレームの復号化を行い、前記映像出力手段140に対して、該復号化した復号化画像データと前記映像出力フィールド数信号とを出力する(図11(d),(e)参照)。具体的に述べると、リピート・ファースト・フィールド信号=“1”の場合は、繰り返し信号に関わらず、映像出力フィールド数信号=“3”を、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“4”を、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号=“0”の場合は、映像出力フィールド数信号=“2”を、をそれぞれ映像出力手段140に出力する。映像出力手段140では、前述した映像出力フィールド数信号と、映像同期信号とを受信し、映像出力フィールド数信号で指示されたフィールド数の復号化画像データを、映像同期信号に同期させて映像出力する(図11(f)参照)。
【0101】
このように、繰り返し信号“1”且つリピート・ファースト・フィールド信号“0”のときに、2フィールドの画像データを繰り返することにより、6/7倍速再生を実現できる。
【0102】
なお、前述の説明においては、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号を用いて、復号化画像データを繰り返す繰り返し間隔、及び映像出力フィールド数を算出して、正常な映像出力を行う場合について説明したが、前記実施の形態1において図5を用いて説明したように、現在のトップ・フィールド・ファースト信号と、その一つ前のトップ・フィールド・ファースト信号とを比較すれば、現在のリピート・ファースト・フィールド信号の値を得ることが可能であるため、ビデオビットストリーム中のトップ・フィールド・ファースト信号を用いて、前記繰り返し間隔、及び映像出力フィールド数を算出し、正常な映像を低速再生することも可能である。
【0103】
以上のように、本実施形態3によれば、フィルム素材を低速再生を行う場合でも、ビデオビットストリーム中のリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従って、復号化画像データを繰り返して映像出力を行うようにしたので、前記ビデオビットストリーム中に付加されたリピート・ファースト・フィールド信号あるいはトップ・フィールド・ファースト信号に従いながら、正常に映像を再生することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のビデオビットストリーム復号化出力装置は、フィルム素材をPAL方式で映像出力する場合や、高速再生または低速再生を行う場合に、該フィルム素材にトップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームが含まれていても、正常な映像を出力できるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施の形態1における、ビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における、復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1における、フィルム素材をPAL方式で映像出力した場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図5】ビデオビットストリームに含まれるリピート・ファースト・フィールド信号と、トップ・フィールド・ファースト信号との関係を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態2における復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2における、フィルム素材の2倍速再生を行った場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図8】本発明の実施の形態3における、ビデオビットストリーム復号化出力装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3における、復号化手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態3における、フレームレート変換手段の一連の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3における、フィルム素材の6/7倍速再生を行った場合のビデオビットストリーム復号化出力装置の動作タイミング図である。
【図12】従来における、フィルム素材をNTSC方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図13】従来における、フィルム素材をPAL方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図14】従来における、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームを含むフィルム素材をNTSC方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【図15】従来における、トップフィールドとボトムフィールドのシーンが異なるフレームを含むフィルム素材をPAL方式に映像出力する場合の動作タイミング図である。
【符号の説明】
【0106】
100,200 ビデオビットストリーム復号化出力装置
110,210 復号化手段
120,220 フレームレート変換手段
121 スキップカウンタ
130 映像同期信号生成手段
140 映像出力手段
221 リピートカウンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化された画像データを含んだビデオビットストリームを復号化し映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置であって、
映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し出力する映像同期信号生成手段と、
前記画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を表すフレームレート信号が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きいとき、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを間引くための間引き信号を前記映像同期信号に同期して出力するフレームレート変換手段と、
入力された前記ビデオビットストリームを復号化して得られる復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記ビデオビットストリームに含まれている前記復号化画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、3フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示す場合は、2フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する復号化手段と、
前記映像出力フィールド数信号で指示された映像出力期間に基づいて、前記復号化画像データに前記映像同期信号を多重し映像出力する映像出力手段と、を備えた、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオビットストリーム復号化出力装置において、
前記復号化手段は、
前記復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す映像出力期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フレーム分の前記画像データを復号化せずに次のフレームから復号化を行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す期間映像映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載のビデオビットストリーム復号化出力装置において、
前記フレームレート変換手段は、前記フレームレート信号が前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さいときは、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを繰り返し映像出力させるための繰り返し信号を出力するものであり、
前記復号化手段は、
前記復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示する場合は、4フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示しない場合は、2フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示す場合は、3フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【請求項1】
符号化された画像データを含んだビデオビットストリームを復号化し映像出力するビデオビットストリーム復号化出力装置であって、
映像出力のタイミングを示す映像同期信号を生成し出力する映像同期信号生成手段と、
前記画像データの単位時間あたりの出力フレーム数を表すフレームレート信号が、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも大きいとき、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを間引くための間引き信号を前記映像同期信号に同期して出力するフレームレート変換手段と、
入力された前記ビデオビットストリームを復号化して得られる復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記ビデオビットストリームに含まれている前記復号化画像データの映像出力期間を表すリピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、3フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示す場合は、2フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する復号化手段と、
前記映像出力フィールド数信号で指示された映像出力期間に基づいて、前記復号化画像データに前記映像同期信号を多重し映像出力する映像出力手段と、を備えた、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビデオビットストリーム復号化出力装置において、
前記復号化手段は、
前記復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記間引き信号が間引きを指示しない場合は、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す映像出力期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記間引き信号が間引きを指示する場合は、1フレーム分の前記画像データを復号化せずに次のフレームから復号化を行い、前記リピート・ファースト・フィールド信号が示す期間映像映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【請求項3】
請求項1に記載のビデオビットストリーム復号化出力装置において、
前記フレームレート変換手段は、前記フレームレート信号が前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数よりも小さいときは、前記映像同期信号から得られる単位時間あたりの出力フレーム数に合わせるように前記画像データを繰り返し映像出力させるための繰り返し信号を出力するものであり、
前記復号化手段は、
前記復号化画像データ、
前記フレームレート信号、及び、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示する場合は、4フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が2フィールド期間映像出力を示し、かつ前記繰り返し信号が繰り返しを指示しない場合は、2フィールド期間映像出力させ、
前記リピート・ファースト・フィールド信号が3フィールド期間映像出力を示す場合は、3フィールド期間映像出力させる映像出力フィールド数信号を、
前記映像同期信号に同期して出力する、
ことを特徴とするビデオビットストリーム復号化出力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−300395(P2007−300395A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126691(P2006−126691)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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