ビデオ信号処理装置、ビデオ信号処理方法
【課題】オンスクリーンディスプレイ画像を、背景画像の色変化にかかわらず常に視やすいものとするのにあたり、オンスクリーンディスプレイ画像の色についてユーザの意向が反映されるようにして、より充実したオンスクリーンディスプレイ機能を得る。
【解決手段】 ユーザ操作により、背景画像の色に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向を指定可能とする。そして、背景画像にオンスクリーンディスプレイ画像を重畳表示するときには、ユーザ操作により指定された色傾向を示す色指定情報と、背景画像の色の判定結果とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定する。
このようにして決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色は、先ず、背景画像の色に対して異なる色となっている状態が常に得られる。また、決定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色は、ユーザ操作により指定された色傾向に従っているので、例えばユーザの意向に合致していることになる。
【解決手段】 ユーザ操作により、背景画像の色に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向を指定可能とする。そして、背景画像にオンスクリーンディスプレイ画像を重畳表示するときには、ユーザ操作により指定された色傾向を示す色指定情報と、背景画像の色の判定結果とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定する。
このようにして決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色は、先ず、背景画像の色に対して異なる色となっている状態が常に得られる。また、決定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色は、ユーザ操作により指定された色傾向に従っているので、例えばユーザの意向に合致していることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ信号について所要の処理を実行するビデオ信号処理装置、及びその方法に関するもので、とくに、例えば通常の表示画像を背景画像として、文字、図形等のキャラクタ画像を重畳表示させる、いわゆるオンスクリーンディスプレイのためのビデオ信号処理装置、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、現状のテレビジョン受像機をはじめとした映像機器には、いわゆるオンスクリーンディスプレイ(OSD:On Screen Display)機能が備えられるのが通常である。OSDとは、周知のようにして、本来の表示画像を背景画像として、文字、シンボル、図形などによる画像である、オンスクリーンディスプレイ画像が、上記背景画像の所定位置に重畳されるようにして表示される。代表的な例として、オンスクリーンディスプレイ機能によっては、現在表示出力させている画像に対応する入力ソースや、放送局のチャンネル番号、及びユーザが所定の設定操作などを行うための設定操作画面などが表示される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−338991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オンスクリーンディスプレイ画像は、あらかじめ決められた固定色により表示されるのが一般的である。このために、背景画像である本来の表示画像の内容によっては、オンスクリーンディスプレイ画像が見づらくなる場合がある。例えば、オンスクリーンディスプレイ画像が緑を基調とするような色調であるとして、背景画像が緑色傾向となったような場合には、背景画像にオンスクリーンディスプレイ画像が同化しやすくなり、その分、オンスクリーンディスプレイ画像を視覚的に明確に認識しにくくなる。
このために、現状においては、時間経過に応じて変化する背景画像の内容(色)にかかわらず、オンスクリーンディスプレイ画像について、視覚的に認識しやすくなるようにすることが求められているということがいえる。また、この場合において、ユーザの個人差などに応じて、そのユーザがもっとも見やすい表示画像となるようして、オンスクリーンディスプレイ画像が生成されるようにすれば、さらに、オンスクリーンディスプレイ機能が充実して好ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、ビデオ信号処理装置として次のように構成することとした。
つまり、オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手段と、背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作が可能とされる操作手段と、この操作手段に対する操作により指定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手段と、色判定手段により判定された基準画像色と情報保持手段が保持している指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手段と、この色決定手段により決定された色によるオンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手段とを備えることとした。
【0006】
また、信号処理方法として、オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手順と、背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作を可能とする操作入力手順と、この操作入力手順により得られた、オンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手順と、色判定手順により判定された基準画像色と情報保持手順により保持されている指定情報とに基づいてオンスクリーンディスプレイ画像の色として基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手順と、この色決定手順により決定された色によるオンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手順とを実行するように構成することとした。
【0007】
上記各構成では、先ず、ユーザ操作により、背景画像の色に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向を指定可能とされている。そして、背景画像に対してオンスクリーンディスプレイ画像を表示させるのにあたっては、上記したユーザ操作により指定された色傾向を示す色指定情報と、背景画像色として判定された基準画像色とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するようにされる。
このようにして決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色は、先ず、上記基準画像色以外の色であるから、画像として実際に表示されたときには、背景画像の色に対して異なる色となっている状態が常に得られる。また、決定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色は、そのときの背景画像色である基準画像色を基準として、色指定情報が示す色傾向に従って特定したものであるから、ユーザの指定した色傾向に合致していることになる。そして、このようにして決定された色により、オンスクリーンディスプレイ画像が、背景画像に重畳されるようにして表示される。
【発明の効果】
【0008】
このようにして本発明によっては、オンスクリーンディスプレイ画像について、背景画像の内容(色)の変化に対して、背景画像とは異なる色が設定されることになるので、オンスクリーンディスプレイ画像について視覚的に認識しやすい状態が確保されることになる。そのうえで、さらに、オンスクリーンディスプレイ画像の色は、ユーザ自身が操作を行って指定した色傾向に応じて決定されるものとなる。つまり、本発明によっては、オンスクリーンディスプレイ画像の色について、背景画像の変化にかかわらず常に視覚的に区別しやすく、かつ、例えばユーザの色に対する好みや、色の見やすさなどの個人差に適合したものとすることが可能とされている。これにより、これまでよりもはるかに充実したオンスクリーンディスプレイ機能が得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)についての説明を行っていくこととする。本実施の形態としては、本発明に基づくビデオ信号処理装置を、テレビジョン受像機に適用した場合を例に挙げることとする。
本実施の形態のテレビジョン受像機は、いわゆるオンスクリーンディスプレイ機能を有する。つまり、例えば受信選局して得られたビデオ信号の画像を背景画像(主画像)として、必要に応じて、チャンネル番号、音量レベル、各種設定のための設定画像などの、文字、絵柄、図形などによる部分的画像を、背景画像に重畳するようにして表示させるものである。
【0010】
本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能としては、基本的には、背景画像(主画像)の内容が変化してその色の調子が変化するのに応じて、この背景画像の色の調子とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定可能とされる。これによって、背景画像の変化にかかわらず、オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像と同化することなく、見やすいようにされている。
しかしながら、あらかじめ定められた所定規則によって、背景画像の色の調子に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するアルゴリズムとすると、背景画像に対してオンスクリーンディスプレイ画像が際だって見えて認識しやすくはなるものの、ユーザによっては、オンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向が自分の好みではなかったりすることがあると考えられる。また、例えば、設定アルゴリズムに従って表示される背景画像とオンスクリーンディスプレイ画像との色関係では、ユーザによっては、際だちすぎて見づらいと感じたり、あるいは逆に、もっと際だつような色関係にしたいなどのようにして、印象に個人差があることも考えられる。
そこで、本実施の形態としては、上記したようなユーザの好みや、色に対する印象の個人差などに適合させたうえで、背景画像の色の調子とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定できるように構成される。
【0011】
そして、オンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するのにあたり、上記のようにしてユーザの好みなどが反映されるようにするため、本実施の形態のテレビジョン受像機では、オンスクリーンディスプレイ画像の色に関してユーザ操作により設定できるようにしている。このために、本実施の形態のテレビジョン受像機では、図5に示すオンスクリーン表示色設定画面を表示させることができるようになっている。この設定画面は、例えばユーザがテレビジョン受像機に対する所定操作を行うことで、表示画面上に呼び出すことができる。また、この設定画面そのものとしても、テレビジョン受像機のオンスクリーンディスプレイ機能によって背景画像(主画像)に重畳表示されるオンスクリーンディスプレイ画像である。
【0012】
図5のオンスクリーン表示色設定画面においては、先ず、「選択方法」の項目として、「基本固定色」「補色」「類似色」「同色」「ユーザ設定」の5項目が示されており、この場合には、これらの項目を、ラジオボタンを有効/無効設定することで選択するようにされている。図では、「補色」の項目が選択されている場合を示している。
【0013】
「基本固定色」を選択した場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、予め決められている基本の色が、固定的に設定されることになる。
【0014】
また、「補色」を選択した場合には、オンスクリーンディスプレイ画像について、背景画像の色に対して補色の関係となる色を選択して設定するアルゴリズムを実行するようにされる。
このことについて、図6により説明する。
本実施の形態では、図6にも示されているように、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色として、色相環により表現される黄、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤橙、黄橙の12色を用意している。これに応じて、背景画像の色判定にあたっては、上記色相環による12色のいずれかにより判定結果を出力するようにされている。なお、後述するようにして、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色としては、さらに、色相環以外で明度により表される「白」と「黒」の2色も用意することとしているが、通常においては背景画面として何らかの色を有していることがほとんどであるので、基本的には、色相環における12色のうちから1つの色を、背景画像色についての判定結果として出力するようにされる。
【0015】
ここで、ユーザが「選択方法」として「補色」を選択した場合において、図6に示すようにして背景画像の色(基準画像色)について青であると判定されたとする。色相環においては、相互に180°で対向する位置関係であり、距離的に最も遠い色が、補色関係にある。従って、背景画像の色が青である場合には、図示するようにして、青と補色関係にある黄橙が、オンスクリーンディスプレイ画像の色として決定されることになる。
この「補色」の項目を選択した場合が、背景色に対してもっとも際だって区別できるオンスクリーンディスプレイ画像の色となる。
【0016】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から、「類似色」の項目を選択した場合には、図7に示すようにして、オンスクリーンディスプレイ画像の色が決定される。
色相環においては、相互の位置関係が近い距離にあるほど、相互の色が類似しているものとされるが、ここでは、オンスクリーンディスプレイ画像設定における類似色としては、図示する色相環において、もっとも近い距離にある色であることとする。
そして、この場合にも背景画像の色については青であると判定されたとすると、その類似色は、緑青と青紫の何れかであるということになる。つまり、類似色とした場合には、色相環の時計方向と反時計方向とに従って、2つの色候補が生じることとなる。オンスクリーンディスプレイ画像の色としては、これらのうちの何れか1つを選択決定することになる。なお、候補となる2つの色のうちの何れを選択するのかについては、あらかじめ設定した規則に従うようにすればよい。例えば、背景画像色として判定された色のR,G,B値の分布(バランス)が近い方(つまり、より色が近似しているとみなされる方)の色を選択するようにアルゴリズムをくむことが考えられる。また、ユーザ操作に応じた選択決定が可能なようにすることも考えられる。
この「類似色」によるオンスクリーンディスプレイ画像は、例えば上記「補色」の項目を選択した場合と比較して、背景画像色に対する際だちの度合いは弱くはなる。しかし、例えばユーザによっては、補色ではオンスクリーンディスプレイ画像が目立ちすぎてかえって見づらいような場合がある。このような場合において、「類似色」がユーザの選択肢となる。
【0017】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から、「同色」の項目を選択した場合には、色相環において、背景画像の判定色と同じ色を、オンスクリーンディスプレイ画像の色として選択決定するようにされる。
この「同色」の項目を選択した場合、上記「類似色」を選択した場合よりも、さらに背景画像色に対する際だちの度合いは弱くはなる。しかし、後述するようにして、背景画像色の判定結果は、例えば背景画像(主画像)についての平均的な色を求めるものであるので、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、背景画像の判定色と同じ色が設定されたとしても、オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像と完全同化してしまって視覚的に認識できなくなってしまうようなことはない。従って、この「同色」も、「類似色」と同様に、オンスクリーンディスプレイ画像が目立ちすぎないようにしたい場合の選択肢となるものである。
【0018】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から「ユーザ設定」の項目を選択した場合には、例えば、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色(本実施の形態では、色相環を成す12色、白及び黒の2色、計14色)のうちから、1つの色を選択決定するための選択画面が表示される。この選択画面に対する操作によって色決定を行うと、オンスクリーンディスプレイ画像は、背景画像色にかかわらず、この決定された色により固定となる。
【0019】
また、「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択した場合における基本的な色選択のアルゴリズムとしては、先に図6及び図7にて説明したものとなるのであるが、実際においては、「補色」または「類似色」を選択した場合、図5における「選択範囲」の項目を選択することが可能となり、これにより、オンスクリーンディスプレイ画像について、「補色」または「類似色」としたうえで、「選択範囲」において選択された項目に応じて、候補となる色についての範囲設定を行うことができるようになっている。なお、ここでは「選択範囲」の各項目についても、ラジオボタンに対する操作によって選択できるようにされている。
【0020】
先ず、「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択したうえで、「選択範囲」として「すべての色」を選択した場合には、先に説明した12色の色相環におけるすべての色が、オンスクリーンディスプレイ画像の色としての候補となる。この場合の選択アルゴリズムとしては、図6及び図7により説明したのと同様となる。逆に言えば、図6及び図7により説明した、「補色」または「類似色」としてのオンスクリーンディスプレイ画像の色選択決定は、「選択範囲」について「すべての色」が設定されていた場合のものとなる。
【0021】
また、「選択範囲」として「寒色系」を選択した場合には、例えば図8に示すようにしてオンスクリーンディスプレイ画像の色が決定される。
「選択範囲」として「寒色系」が選択された場合、図8に示すようにして、色相環を成す12色について暖色と寒色の2つに色範囲に分類するようにされる。ここでは、黄、黄橙、赤橙、赤、赤紫、紫の6色を暖色の範囲にあるものとして分類し、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫の6色を寒色の範囲にあるものとして分類している。
そのうえで、図8の例では、「選択方法」としては「補色」を選択しており、背景画像の判定色としては青である場合を示している。
この場合、先ず、12色の色相環において青色の補色となるのは、黄橙である。しかしながら、黄橙は、暖色の範囲の色である。そこで、この場合には、この黄橙にもっとも距離の近い色で、寒色の色範囲に含まれる黄緑を、オンスクリーンディスプレイ画像の色として選択決定するようにされる。
【0022】
また、「選択範囲」として「暖色系」を選択した場合には、図8により説明した「寒色」の色選択アルゴリズムについて、「暖色」の色範囲を選択するように変更して、オンスクリーンディスプレイ画像の色決定を行うことになる。
例えば図8に示したように、「選択方法」としては「補色」を選択しており、背景画像の判定色は青とされたうえで、「選択範囲」として「暖色系」を選択しているとした場合には、色相環において青の補色となる黄橙が暖色の色範囲にある。従って、この場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、そのまま黄橙が選択決定されることになる。
また、「選択方法」について「類似色」を選択し、「選択範囲」として「暖色系」または「寒色系」を選択した場合については、先に図7により説明した類似色の選択の規則と、図8に示した暖色と寒色の色範囲による色選択の規則とを組み合わせればよいことになる。
【0023】
また、「選択範囲」として「原色のみ」を選択した場合には、図9に示すようにして、例えば、12色の色相環において、青、赤、緑の光の3原色のみがオンスクリーンディスプレイ画像の色の候補となる。
具体例として、「選択範囲」として「原色のみ」を選択した場合として、「選択方法」について「補色」を選択し、背景画像色は青であると判定されているとすると、先ず、青の補色は、黄橙であることになる。そして、12色の色相環において、この黄橙に対してもっとも近距離の3原色は、青、赤、緑のうち赤である。従って、この場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として赤を選択決定するようにされる。
【0024】
また、「選択範囲」として「モノトーン」を選択した場合には、図10に示すようにして、12色の色相環内の色ではなく、白または黒が色選択の候補となる。
例えば、背景画像の色を判定するときには、その明度についても判定するようにしておく。そして、この明度の判定結果により、背景画像としては、白の範囲に含まれるか、黒の範囲に含まれるのかについて判断する。そして、背景画像が白の範囲に含まれるとの判定結果が得られた場合には、オンスクリーンディスプレイ画像については、その逆の黒を設定するようにされる。同様にして、背景画像が黒の範囲に含まれるとの判定結果が得られた場合には、オンスクリーンディスプレイ画像については白を設定するようにされる。
【0025】
また、図5に示す画面では、「選択範囲」においても「ユーザ設定」の項目を選択可能とされている。この「ユーザ設定」の項目を選択すると、上記「すべての色」「寒色系」「暖色系」「原色のみ」「モノトーン」の項目以外の選択範囲の指定や、これらの項目についての詳細設定などが行えるようになっており、このための設定画面が表示されることになる。
【0026】
このようにして、本実施の形態では、オンスクリーンディスプレイ画像の色を、ユーザ操作に応じて設定可能とされている。
そして、特に「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択したときには、背景画像とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色として、「補色」または「類似色」として指定された色の傾向に従って選択されるようになっている。つまり、オンスクリーンディスプレイ画像の色について、背景画像と同化せずに視覚的に認識しやすい色が選択されるようになっているとともに、この選択される色について、ユーザがその傾向を指定できるようにされていることで、ユーザの好みや見やすさなどの色に関する感覚についての個人差に対応させることができる。また、本実施の形態では、上記のようにして、「選択方法」として「補色」「類似色」を選択したときには、「補色」又は「類似色」の種類で括られる色傾向の条件の下で、「選択範囲」の項目選択によって、さらに詳細な(限定的な)色傾向の設定をすることができるようにもなっている。
このようにして、本実施の形態としては、単に背景画像に対して視覚的に認識しやすいオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するだけではなく、このオンスクリーンディスプレイ画像の色がユーザの意向に適合するように配慮されている。これにより、オンスクリーンディスプレイ画像表示について、これまでよりも良質にできることになる。また、ユーザの設定操作に応じてオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向が変化することにもなるので、ユーザに楽しみを与えるという性質も有することになる。
【0027】
ここで、図11に、オンスクリーン表示色設定画面が表示された表示画面の状態例を示しておく。
この図に示すようにして、背景画像である主画像は、テレビジョン受像機の表示画面100全体において表示される。そして、この背景画像(主画像)の中央上側において、オンスクリーンディスプレイ画像として、オンスクリーン表示色設定画面が重畳表示されている。
このようにしてオンスクリーン表示色設定画面を表示させた状態で、上記したようにユーザが「選択方法」「選択範囲」の設定を行うと、その設定が、オンスクリーンディスプレイ画像であるオンスクリーン表示色設定画面にも反映されるようになっている。これにより、ユーザは、オンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行いながら、オンスクリーン表示色設定画面(オンスクリーンディスプレイ画像)に設定される色を確認することができる。
【0028】
続いては、先に図5〜図10により説明した本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ画像の色の選択決定の動作を実現するための技術的構成例について、図1〜図4を参照して説明していくこととする。
【0029】
先ず、図1は、本発明の実施の形態としてのビデオ信号処理装置である、テレビジョン受像機の構成例を示している。
この図に示すテレビジョン受像機においては、アンテナ1により所定の放送波を受信して得られた受信信号をチューナ部2に供給するようにしている。なお、ここでは例として、例えば電波による放送波を受信することとしているが、この放送波は、地上波放送、衛星放送の何れによるものであっても良い。また、CATV(Cable Terevision)などにより有線で伝送されてくるものを受信する構成とされてもよい。
【0030】
チューナ部2では、入力された受信信号について選局を行うとともに、必要に応じて、所定の符号化に対する復号処理などをはじめとする所要の信号処理を実行して、例えば所要のチャンネルのビデオ信号を得て出力するようにされる。なお、ここでは、チューナ部2から出力されるビデオ信号としては、光の3原色によるRGB信号であることとする。
チューナ部2から出力されたビデオ信号は、合成処理部3及び色相解析処理部5とに対して分岐して入力される。
【0031】
合成処理部3には、上記したチューナ部2から出力されるビデオ信号が入力されると共に、オンスクリーンディスプレイ画像を表示させるときには、OSD処理部7にて生成されたオンスクリーンディスプレイ画像部分に相当する信号であるオンスクリーン画像信号とが入力される。合成処理部3は、チューナ部2からの出力のビデオ信号(以降、主画像ビデオ信号ともいう)により表示される画像については背景画像として、オンスクリーンディスプレイ画像信号により表示される画像については、上記背景画像上の所要位置に重ねられるようにして表示される、オンスクリーンディスプレイ画像を得るために、主画像ビデオ信号とオンスクリーン画像信号とを合成したビデオ信号(合成ビデオ信号)を生成するための信号処理を実行し、この合成ビデオ信号を表示部4に対して出力する。
なお、このような合成ビデオ信号を得るための信号処理としては、これまでに知られている技術を採用すればよい。また、この処理は、デジタル信号処理であってもアナログ信号処理であってもよい。
また、確認のために述べておくと、オンスクリーンディスプレイの画像を表示させる必要のないときには、合成処理部3においては特に合成処理を実行することなく、チューナ部から入力された主画像ビデオ信号をそのままスルーさせるようにして表示部4に出力する。
【0032】
表示部4は、所定種類の表示デバイスと、この表示デバイスの表示画面において画像が表示出力されるように入力されたビデオ信号に基づいて表示デバイスを駆動する駆動回路部などからなる。なお、本実施の形態としては、表示部4に採用される表示デバイスとしては特に限定されるべきではないが、現状であれば、例えばLCD、CRT、プラズマディスプレイパネルなどを挙げることができる。
【0033】
色相解析処理部5は、チューナ部2から出力される主画像ビデオ信号を取り込んで、後述する手順により、主画像ビデオ信号を画像として表示出力させたときの、この主画像についての色(背景画像色:基準画像色)がどのようなものであるのか判定するための解析処理を実行する。前述もしたように、背景画像色の判定結果としては、図6などに示した色相環を成す12色のいずれかのうちで最も近似した色に該当させることとしている。色相解析処理部5の解析処理によって判定された背景画像色の情報は、色決定処理部6に対して入力される。
【0034】
色決定処理部6では、上記色相解析処理部5により判定された背景画像色の情報と、色指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するための処理を実行する。
ここで、色指定情報は、ユーザが、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行って設定した内容に従って、その内容を有するものとして生成される情報である。例えばユーザが、「選択方法」として「類似色」を設定し、「選択範囲」としては「暖色系」を設定したのであれば、色指定情報としては、この旨を示す内容を有することになる。なお、この色指定情報は、ここでは図示していないが、実際に、本実施の形態のテレビジョン受像機に備えられているとされる、不揮発性のメモリ素子などから成る記憶手段に対して記憶されるようになっている。また、オンスクリーン表示色設定画面に対する操作結果に応じた色指定情報の生成や上記記憶手段に対する色指定情報の書き込み/読み出しなどの制御は、この実施の形態のテレビジョン受像機において、各種制御処理を実行するマイクロコンピュータが実行するようにされる。
そして、色決定処理部6が色を決定するのにあたっては、先に図6〜図10により例示した色の選択手順が実行されるように構成されたアルゴリズムに従った処理を実行するようにされる。従って、色決定処理部6により決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色としては、本実施の形態で規定される色相環を成す12色と、白、黒の計14色を候補として選択されるものとなる。
このようにしてオンスクリーンディスプレイ画像の色が決定されると、色決定処理部6は、OSD処理部7に対して、この決定された色の情報(決定色情報)を通知する。
【0035】
OSD処理部7は、キャラクタジェネレータといわれるオンスクリーンディスプレイ画像の素材となる、文字(記号等を含む)、所定形状の図柄の画像データなどを、必要とされる表示内容に対応させて発生させ、この発生された画像データにより、背景画像に重畳すべき画像信号である、オンスクリーン画像信号を生成するようにされる。
【0036】
また、本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能としては、カラーパレットを備える。ここでのカラーパレットとは、OSD処理部7がオンスクリーンディスプレイのための画像データを生成するのにあたり、画像色として使用可能な色が示される情報であり、具体的には、例えば模式的には図2に示すようなテーブル構造のデータとされる。
図2に示すようにして、カラーパレットとしては、先ず、このカラーパレットにおいて用意される色ごとの識別子として色番号が定義される。本実施の形態において、カラーパレットとして用意される色は、先に図5〜図10により説明した色相環を成す12色と、白、黒の2色との計14色とされる。この結果、オンスクリーンディスプレイ画像の色としてもこれらの14色によるバリエーションを持つことになる。また、あくまでも一例であるが、ここでは、色番号は、自然数による1〜14の範囲の値をとることとし、これらの色番号1〜14に対して、それぞれ、黄、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤橙、黄橙、白、黒を対応させることとしている。
そして、これらの色番号ごとに、その色番号が対応する色を表現するための色成分値であるR,G,B値を対応付けるようにしているものである。なお、図2においては、R,G,B値の欄が空白で示されているが、実際には、これらの各欄において、所定の実値の情報が格納されるものである。
また、このカラーパレットとしてのデータは、例えばテレビジョン受像機が実際に備えるとされるROM、不揮発性のメモリ素子などに対して予め記憶しておくようにされる。
【0037】
OSD処理部7が、オンスクリーンディスプレイ画像信号を生成するときには、カラーパレットを参照して、色決定処理部6から通知された決定色情報が示す色(色番号)に対応する色成分値(R,G,B値)を読み出すようにされる。そして、この読み出した色成分値(R,G,B値)によるオンスクリーンディスプレイ用の画像データを生成したうえで、オンスクリーンディスプレイ画像信号を生成して出力するようにされる。
このような動作によって、本実施の形態のテレビジョン受像機としては、図5〜図10により説明したようにして、オンスクリーンディスプレイ画像についての色設定が行われることとなる。
【0038】
また、図1に示される操作入力部8は、ここでは、少なくとも、前述した色指定情報が得られるようにするためのユーザ操作、つまり、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面を呼び出し、また、呼び出したオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を可能とするための所定の操作手段から成るものとされる。例えば、テレビジョン受像機に備えられる所定の操作子や、テレビジョン受像機に付属するリモートコントローラに備えられる所定の操作子と、このリモートコントローラから送信される操作情報信号をテレビジョン受像機側で受信してコマンド信号を得る受信部などを備えて成る。
【0039】
なお、図1に示す本実施の形態のテレビジョン受像機の構成は、本実施の形態としてのオンスクリーンディスプレイ画像の色選択に関する機能部位を示すものとされる。このために、図1に示すブロック構成は、実際のハードウェア的な構成に加え、ソフトウェア的な構成を機能ブロックとして示す部分を含む。先にも説明したように、本実施の形態のテレビジョン受像機は、CPU、ROM、RAMなどから成るマイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータによる各種の制御処理が実行される。そして、図1に示す構成において、例えば、色相解析処理部5、色決定処理部6などの動作は、マイクロコンピュータが背景画像(主画像)のビデオ信号を取り込んでRAMに保持させたうえで、例えばCPUがROMに記憶されるプログラムに従って実行する処理として得ることができる。また、OSD処理部7などとしての動作についても、色決定情報の通知に応じてカラーパレットから読み出したR,G,B値をセットするなどの処理は、マイクロコンピュータが実行する制御処理として構成できる。
【0040】
続いては、上記図1によっても説明した、色指定情報に応じた色によるオンスクリーン表示を実現するための構成について、テレビジョン受像機が備えるマイクロコンピュータ(CPU)がプログラムに従って実行すべき処理として、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
テレビジョン受像機の動作として、何らかのオンスクリーン表示を実行すべきタイミングになったとされると、テレビジョン受像機のマイクロコンピュータは、図3のステップS101としての処理である、チューナ部2から出力される背景画像(主画像)としてのビデオ信号についての色相解析のための処理を実行する。この処理は、図1においては、色相解析処理部5としての機能に相当する。
【0042】
上記ステップS101としての色相解析処理は、例えば、図4に示すものとなる。
図4においては、先ず、ステップS201において、チューナ部2から出力される背景画像のビデオ信号について、フレーム画像単位(あるいはフィールド画像単位でもよい)で取り込み、例えば1つのフレーム画像データとして、マイクロコンピュータ内部のRAMに保持する。
次のステップS202においては、上記のようにしてRAMに保持したフレーム画像データを、例えば1画面分の二次元的な画像としてみた場合において、所定の分割パターンにより領域分割する。このときの分割パターンとしては、例えば1画面分を所定数により等分割するなどして、分割により得られる各分割領域の二次元的形状サイズが同一となるようにすることが適正な測定結果を得る上で好ましい。そして、続くステップS203により、上記ステップS20により得られた分割領域ごとの所定位置の画素を取り出し、この取り出した画素についての色成分値であるR,G,B値の各々を測定する。
【0043】
上記ステップS203の処理が終了した段階では、各分割領域ごとの色成分値(R,G,B値)が得られている状態にある。そこで、続くステップS204においては、これらの各分割領域ごとの色成分値を利用して、色成分値を成す、R値、G値、B値ごとの平均値を求めるようにされる。つまり、各分割領域ごとに得られた複数のR値により、R値の平均値Raを算出し、同様にして、各分割領域ごとに得られた複数のG値により、G値の平均値Gaを算出し、各分割領域ごとに得られた複数のB値により、B値の平均値Baを算出する。
このようにして得られた平均値Ra,Ga,Baを1つの色成分値(Ra,Ga,Ba)としてみた場合、この色成分値(Ra,Ga,Ba)は、ステップS201にてフレーム画像単位により取り込んだ背景画像についての平均的な色相を表現しているということがいえる。
【0044】
次のステップS205では、カラーパレットに示される色番号のうちで、上記ステップS204にて得られた平均値Ra,Ga,Baによる色成分値(Ra,Ga,Ba)と最も距離が近いとされる色成分値を持つ色番号を特定するようにされる。この処理は、カラーパレットにおいて用意される色のうちから、ステップS201にて取り込まれた背景画像についての画面平均としての色と最も近似した色を特定する処理となる。
ただし、本実施の形態において、背景画像に対応してオンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するのは、先ず、図5などにより説明したようにして、オンスクリーンディスプレイ画像色の選択が補色または類似色である場合とされており、この補色または類似色の選択は、図6などに示した12色による色相環を利用して行うこととされている。このことに対応して、ステップS205において選択候補となる色番号は、色番号1〜14のうちから、色相環を成す12色に対応するものとなる。つまり、色番号1〜14のうちで、色相によっては表現されない(色相環には含まれない)白及び黒に対応する色番号13,14を除いた、色番号1〜12となる。
【0045】
また、ステップS205おいて、色成分値(Ra,Ga,Ba)に対して最短距離の色成分値を持つ色番号を特定するのにあたっては、一例として、カラーパレットにおける色番号i(1≦i≦12)のR,G,B値をそれぞれ、Rpi,Gpi,Bpiとして、
【数1】
で表される演算を、色番号1〜12ごとに行うようにされる。そして、この(数1)による演算により得られた値が最小(min)となる色成分値(R,G,B)を持つ色番号を、ステップS205における特定結果として出力するようにされる。
このようにして、図3のステップS101(図4のステップS201〜S205)の処理が実行されることによっては、色相解析結果として、実施の形態の12色の色相環のうちから、背景画像の画面平均色に一致するとされる色相が、カラーパレットの色番号により特定されることになる。そして、ステップS101の処理を終了すると、図3のステップS102の処理に進むことになる。
【0046】
ステップS102においては、例えば、現在において不揮発性のメモリに記憶保持されている色指定情報を読み出してRAMに保持するなどして取り込むようにされる。
確認のために述べておくと、色指定情報は、ユーザが図5に示したオンスクリーン表示色設定画面に対して行った操作により得られたオンスクリーンディスプレイ画像色についての設定内容を示しているものである。
【0047】
次のステップS103においては、ステップS101による色相解析結果、つまり、背景画像の画面平均色に一致するとされる色相に対応するカラーパレットの色番号の情報と、上記ステップS102により取り込んだ色指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像に使用すべき色を決定する。このオンスクリーンディスプレイ画像に使用すべき色の決定にあたっては、カラーパレットに用意される14色の全てが候補となる。
ステップS103の処理としては、先ず、色指定情報の内容において、「選択方法」が「補色」または「類似色」のいずれかである場合には、基本的に(選択範囲が「すべての色」の場合)は、図6や図7により説明したようにして、ステップS101による色相解析結果として特定された色相(カラーパレットの色番号)に対して補色、または類似色となる色を選択するようにされる。そのうえで、「選択範囲」の指定内容によっては、図8〜図10などにより説明したようにして、最終的に、指定情報内容に応じた色を決定するようにされる。このようして、ステップS103の処理として得られる決定色の情報は、例えばカラーパレットの色番号によって示すようにされる。
また、色指定情報の内容として「選択方法」が「基本固定色」、「ユーザ設定」とされたうえで、特定の色を指定している場合には、この指定された色に対応するカラーパレットの色番号を、そのままステップS103の処理結果として出力する。
このステップS103の処理が、図1における色決定処理部6としての機能に相当する。つまり、ステップS103の処理結果が、図1にて説明した決定色情報となる。
【0048】
次のステップS104、及びこれに続くステップS105の処理は、図1との対応では、OSD処理部7においてマイクロコンピュータが担う機能として、決定色情報の通知を受けてオンスクリーン画像信号を生成するための制御処理となるものである。
ステップS104においては、カラーパレットを参照することで、上記決定色情報が示す色番号に対応する色成分値(R,G,B値)を読み出して取得する。そして、次のステップS105により、上記ステップS104にて取得した色成分値(R,G,B値)を、OSD処理部7がオンスクリーンディスプレイ画像データに使用するR,G,B値としてセットしたうえで、所要の画像内容のオンスクリーンディスプレイ画像データが生成されるように制御処理を実行する。そして、このようにして生成されたオンスクリーンディスプレイ画像データに対応する画像信号であるオンスクリーン画像信号を、図1に示す合成処理部3に対して出力するようにされる。これにより、先に図1にて説明したように、図5に対するオンスクリーン表示色設定画面に対する設定操作に応じて選択された色によるオンスクリーンディスプレイ画像の重畳表示が行われることになる。
【0049】
また、本実施の形態としては、オンスクリーン表示が開始されて、所定条件を満たして終了するまでの間、図3に示す処理を例えば一定周期のタイミングで繰り返し実行するようにされる。これにより、例えばオンスクリーン表示色の設定内容として、「選択方法」に、「補色」又は「類似色」を選択している場合には、背景画像(主画像)の内容が変化して、その画面全体の色傾向が変化したとしても、これに応じて、オンスクリーンディスプレイ画像の色が動的に変化するようにされ、ユーザの意向どおりのオンスクリーン表示が常に得られることとなる。また、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面もオンスクリーンディスプレイ画像の1つであるから、このオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行っているときには、操作に応じて変更される設定内容に従って、オンスクリーン表示色設定画面そのものの色が変化することとなる。例えばユーザは、このようなオンスクリーン表示色設定画面の色の変化をみて、設定結果が妥当であるか否かについての判定を行うようにされる。
【0050】
なお、本発明はこれまでに説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、実施の形態では、本発明に基づいたオンスクリーン表示を、テレビジョン受像機に適用した例を挙げているが、これに限定されるべきものではなく、例えばビデオレコーダ、単体のデジタル放送チューナなどをはじめとして、主画像を背景画像としてオンスクリーン表示を行う各種映像機器に適用できるものである。
また、実施の形態では、12色の色相環及び白、黒の2色による14色を色選択に用いることとしているが、これもあくまでも一例であって、選択候補となる色の数であるとか、またどのような色を選択候補とするのかについては、適宜変更されてかまわない。
また、背景画像(主画像)の色判定のための処理としても、実施の形態におけるビデオ信号の色相解析の手順のみに限定されるものではない。例えば、実施の形態では、背景画像のフレーム画像領域全体を対象として色判定を行っているが、これに対して、オンスクリーンディスプレイ画像の表示位置などに適応させて、背景画像のフレーム画像領域の所要の一部領域のみを色判定に用いるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、色を解析するのに必要な処理対象の画像データ量が少なくなるので、色解析のための処理を軽いものとすることが期待できる。
また、解析結果を得るための演算としても、(数1)により示したものに限定されるものではなく、相応に信頼性の高い解析結果が得られるのであれば、他の演算式を採用してかまわない。
また、背景画像(主画像)の色判定(色解析)は、R,G,B値についての各平均値(Ra,Ga,Ba)と、カラーパレットに用意される色ごとのR,G,B値とに基づいて行うこととしているが、例えば背景画像(主画像)のR,G,B値間での比を求め、この比の値により、カラーパレットに用意される色ごとのR,G,B値との比較を行うようにするなど、平均値に基づく以外の色判定の手法が考えられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態としてのビデオ信号処理機能を備えるテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能に対応してテレビジョン受像機が備えるカラーパレットのデータ構造を示す図である。
【図3】本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能を実現するための処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図3におけるビデオ信号の色相解析処理を示すフローチャートである。
【図5】オンスクリーン表示色設定画面の内容例を示す図である。
【図6】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:補色)を示す図である。
【図7】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:類似色)を示す図である。
【図8】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:補色 補正範囲:寒色)を示す図である。
【図9】オンスクリーン画像色の設定例(補正範囲:三原色)を示す図である。
【図10】オンスクリーン画像色の設定例(補正範囲:モノトーン)を示す図である。
【図11】表示画面上でのオンスクリーン表示色設定画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 アンテナ、2 チューナ部、3 合成処理部、4 表示部、5 色相解析処理部、6 色決定処理部、7 OSD処理部、8 操作入力部、100 表示画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ信号について所要の処理を実行するビデオ信号処理装置、及びその方法に関するもので、とくに、例えば通常の表示画像を背景画像として、文字、図形等のキャラクタ画像を重畳表示させる、いわゆるオンスクリーンディスプレイのためのビデオ信号処理装置、方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、現状のテレビジョン受像機をはじめとした映像機器には、いわゆるオンスクリーンディスプレイ(OSD:On Screen Display)機能が備えられるのが通常である。OSDとは、周知のようにして、本来の表示画像を背景画像として、文字、シンボル、図形などによる画像である、オンスクリーンディスプレイ画像が、上記背景画像の所定位置に重畳されるようにして表示される。代表的な例として、オンスクリーンディスプレイ機能によっては、現在表示出力させている画像に対応する入力ソースや、放送局のチャンネル番号、及びユーザが所定の設定操作などを行うための設定操作画面などが表示される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−338991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オンスクリーンディスプレイ画像は、あらかじめ決められた固定色により表示されるのが一般的である。このために、背景画像である本来の表示画像の内容によっては、オンスクリーンディスプレイ画像が見づらくなる場合がある。例えば、オンスクリーンディスプレイ画像が緑を基調とするような色調であるとして、背景画像が緑色傾向となったような場合には、背景画像にオンスクリーンディスプレイ画像が同化しやすくなり、その分、オンスクリーンディスプレイ画像を視覚的に明確に認識しにくくなる。
このために、現状においては、時間経過に応じて変化する背景画像の内容(色)にかかわらず、オンスクリーンディスプレイ画像について、視覚的に認識しやすくなるようにすることが求められているということがいえる。また、この場合において、ユーザの個人差などに応じて、そのユーザがもっとも見やすい表示画像となるようして、オンスクリーンディスプレイ画像が生成されるようにすれば、さらに、オンスクリーンディスプレイ機能が充実して好ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、ビデオ信号処理装置として次のように構成することとした。
つまり、オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手段と、背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作が可能とされる操作手段と、この操作手段に対する操作により指定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手段と、色判定手段により判定された基準画像色と情報保持手段が保持している指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手段と、この色決定手段により決定された色によるオンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手段とを備えることとした。
【0006】
また、信号処理方法として、オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手順と、背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作を可能とする操作入力手順と、この操作入力手順により得られた、オンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手順と、色判定手順により判定された基準画像色と情報保持手順により保持されている指定情報とに基づいてオンスクリーンディスプレイ画像の色として基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手順と、この色決定手順により決定された色によるオンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手順とを実行するように構成することとした。
【0007】
上記各構成では、先ず、ユーザ操作により、背景画像の色に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向を指定可能とされている。そして、背景画像に対してオンスクリーンディスプレイ画像を表示させるのにあたっては、上記したユーザ操作により指定された色傾向を示す色指定情報と、背景画像色として判定された基準画像色とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するようにされる。
このようにして決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色は、先ず、上記基準画像色以外の色であるから、画像として実際に表示されたときには、背景画像の色に対して異なる色となっている状態が常に得られる。また、決定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色は、そのときの背景画像色である基準画像色を基準として、色指定情報が示す色傾向に従って特定したものであるから、ユーザの指定した色傾向に合致していることになる。そして、このようにして決定された色により、オンスクリーンディスプレイ画像が、背景画像に重畳されるようにして表示される。
【発明の効果】
【0008】
このようにして本発明によっては、オンスクリーンディスプレイ画像について、背景画像の内容(色)の変化に対して、背景画像とは異なる色が設定されることになるので、オンスクリーンディスプレイ画像について視覚的に認識しやすい状態が確保されることになる。そのうえで、さらに、オンスクリーンディスプレイ画像の色は、ユーザ自身が操作を行って指定した色傾向に応じて決定されるものとなる。つまり、本発明によっては、オンスクリーンディスプレイ画像の色について、背景画像の変化にかかわらず常に視覚的に区別しやすく、かつ、例えばユーザの色に対する好みや、色の見やすさなどの個人差に適合したものとすることが可能とされている。これにより、これまでよりもはるかに充実したオンスクリーンディスプレイ機能が得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)についての説明を行っていくこととする。本実施の形態としては、本発明に基づくビデオ信号処理装置を、テレビジョン受像機に適用した場合を例に挙げることとする。
本実施の形態のテレビジョン受像機は、いわゆるオンスクリーンディスプレイ機能を有する。つまり、例えば受信選局して得られたビデオ信号の画像を背景画像(主画像)として、必要に応じて、チャンネル番号、音量レベル、各種設定のための設定画像などの、文字、絵柄、図形などによる部分的画像を、背景画像に重畳するようにして表示させるものである。
【0010】
本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能としては、基本的には、背景画像(主画像)の内容が変化してその色の調子が変化するのに応じて、この背景画像の色の調子とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定可能とされる。これによって、背景画像の変化にかかわらず、オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像と同化することなく、見やすいようにされている。
しかしながら、あらかじめ定められた所定規則によって、背景画像の色の調子に対するオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するアルゴリズムとすると、背景画像に対してオンスクリーンディスプレイ画像が際だって見えて認識しやすくはなるものの、ユーザによっては、オンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向が自分の好みではなかったりすることがあると考えられる。また、例えば、設定アルゴリズムに従って表示される背景画像とオンスクリーンディスプレイ画像との色関係では、ユーザによっては、際だちすぎて見づらいと感じたり、あるいは逆に、もっと際だつような色関係にしたいなどのようにして、印象に個人差があることも考えられる。
そこで、本実施の形態としては、上記したようなユーザの好みや、色に対する印象の個人差などに適合させたうえで、背景画像の色の調子とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定できるように構成される。
【0011】
そして、オンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するのにあたり、上記のようにしてユーザの好みなどが反映されるようにするため、本実施の形態のテレビジョン受像機では、オンスクリーンディスプレイ画像の色に関してユーザ操作により設定できるようにしている。このために、本実施の形態のテレビジョン受像機では、図5に示すオンスクリーン表示色設定画面を表示させることができるようになっている。この設定画面は、例えばユーザがテレビジョン受像機に対する所定操作を行うことで、表示画面上に呼び出すことができる。また、この設定画面そのものとしても、テレビジョン受像機のオンスクリーンディスプレイ機能によって背景画像(主画像)に重畳表示されるオンスクリーンディスプレイ画像である。
【0012】
図5のオンスクリーン表示色設定画面においては、先ず、「選択方法」の項目として、「基本固定色」「補色」「類似色」「同色」「ユーザ設定」の5項目が示されており、この場合には、これらの項目を、ラジオボタンを有効/無効設定することで選択するようにされている。図では、「補色」の項目が選択されている場合を示している。
【0013】
「基本固定色」を選択した場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、予め決められている基本の色が、固定的に設定されることになる。
【0014】
また、「補色」を選択した場合には、オンスクリーンディスプレイ画像について、背景画像の色に対して補色の関係となる色を選択して設定するアルゴリズムを実行するようにされる。
このことについて、図6により説明する。
本実施の形態では、図6にも示されているように、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色として、色相環により表現される黄、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤橙、黄橙の12色を用意している。これに応じて、背景画像の色判定にあたっては、上記色相環による12色のいずれかにより判定結果を出力するようにされている。なお、後述するようにして、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色としては、さらに、色相環以外で明度により表される「白」と「黒」の2色も用意することとしているが、通常においては背景画面として何らかの色を有していることがほとんどであるので、基本的には、色相環における12色のうちから1つの色を、背景画像色についての判定結果として出力するようにされる。
【0015】
ここで、ユーザが「選択方法」として「補色」を選択した場合において、図6に示すようにして背景画像の色(基準画像色)について青であると判定されたとする。色相環においては、相互に180°で対向する位置関係であり、距離的に最も遠い色が、補色関係にある。従って、背景画像の色が青である場合には、図示するようにして、青と補色関係にある黄橙が、オンスクリーンディスプレイ画像の色として決定されることになる。
この「補色」の項目を選択した場合が、背景色に対してもっとも際だって区別できるオンスクリーンディスプレイ画像の色となる。
【0016】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から、「類似色」の項目を選択した場合には、図7に示すようにして、オンスクリーンディスプレイ画像の色が決定される。
色相環においては、相互の位置関係が近い距離にあるほど、相互の色が類似しているものとされるが、ここでは、オンスクリーンディスプレイ画像設定における類似色としては、図示する色相環において、もっとも近い距離にある色であることとする。
そして、この場合にも背景画像の色については青であると判定されたとすると、その類似色は、緑青と青紫の何れかであるということになる。つまり、類似色とした場合には、色相環の時計方向と反時計方向とに従って、2つの色候補が生じることとなる。オンスクリーンディスプレイ画像の色としては、これらのうちの何れか1つを選択決定することになる。なお、候補となる2つの色のうちの何れを選択するのかについては、あらかじめ設定した規則に従うようにすればよい。例えば、背景画像色として判定された色のR,G,B値の分布(バランス)が近い方(つまり、より色が近似しているとみなされる方)の色を選択するようにアルゴリズムをくむことが考えられる。また、ユーザ操作に応じた選択決定が可能なようにすることも考えられる。
この「類似色」によるオンスクリーンディスプレイ画像は、例えば上記「補色」の項目を選択した場合と比較して、背景画像色に対する際だちの度合いは弱くはなる。しかし、例えばユーザによっては、補色ではオンスクリーンディスプレイ画像が目立ちすぎてかえって見づらいような場合がある。このような場合において、「類似色」がユーザの選択肢となる。
【0017】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から、「同色」の項目を選択した場合には、色相環において、背景画像の判定色と同じ色を、オンスクリーンディスプレイ画像の色として選択決定するようにされる。
この「同色」の項目を選択した場合、上記「類似色」を選択した場合よりも、さらに背景画像色に対する際だちの度合いは弱くはなる。しかし、後述するようにして、背景画像色の判定結果は、例えば背景画像(主画像)についての平均的な色を求めるものであるので、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、背景画像の判定色と同じ色が設定されたとしても、オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像と完全同化してしまって視覚的に認識できなくなってしまうようなことはない。従って、この「同色」も、「類似色」と同様に、オンスクリーンディスプレイ画像が目立ちすぎないようにしたい場合の選択肢となるものである。
【0018】
また、図5のオンスクリーン表示色設定画面の「選択方法」から「ユーザ設定」の項目を選択した場合には、例えば、オンスクリーンディスプレイ画像に設定可能な色(本実施の形態では、色相環を成す12色、白及び黒の2色、計14色)のうちから、1つの色を選択決定するための選択画面が表示される。この選択画面に対する操作によって色決定を行うと、オンスクリーンディスプレイ画像は、背景画像色にかかわらず、この決定された色により固定となる。
【0019】
また、「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択した場合における基本的な色選択のアルゴリズムとしては、先に図6及び図7にて説明したものとなるのであるが、実際においては、「補色」または「類似色」を選択した場合、図5における「選択範囲」の項目を選択することが可能となり、これにより、オンスクリーンディスプレイ画像について、「補色」または「類似色」としたうえで、「選択範囲」において選択された項目に応じて、候補となる色についての範囲設定を行うことができるようになっている。なお、ここでは「選択範囲」の各項目についても、ラジオボタンに対する操作によって選択できるようにされている。
【0020】
先ず、「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択したうえで、「選択範囲」として「すべての色」を選択した場合には、先に説明した12色の色相環におけるすべての色が、オンスクリーンディスプレイ画像の色としての候補となる。この場合の選択アルゴリズムとしては、図6及び図7により説明したのと同様となる。逆に言えば、図6及び図7により説明した、「補色」または「類似色」としてのオンスクリーンディスプレイ画像の色選択決定は、「選択範囲」について「すべての色」が設定されていた場合のものとなる。
【0021】
また、「選択範囲」として「寒色系」を選択した場合には、例えば図8に示すようにしてオンスクリーンディスプレイ画像の色が決定される。
「選択範囲」として「寒色系」が選択された場合、図8に示すようにして、色相環を成す12色について暖色と寒色の2つに色範囲に分類するようにされる。ここでは、黄、黄橙、赤橙、赤、赤紫、紫の6色を暖色の範囲にあるものとして分類し、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫の6色を寒色の範囲にあるものとして分類している。
そのうえで、図8の例では、「選択方法」としては「補色」を選択しており、背景画像の判定色としては青である場合を示している。
この場合、先ず、12色の色相環において青色の補色となるのは、黄橙である。しかしながら、黄橙は、暖色の範囲の色である。そこで、この場合には、この黄橙にもっとも距離の近い色で、寒色の色範囲に含まれる黄緑を、オンスクリーンディスプレイ画像の色として選択決定するようにされる。
【0022】
また、「選択範囲」として「暖色系」を選択した場合には、図8により説明した「寒色」の色選択アルゴリズムについて、「暖色」の色範囲を選択するように変更して、オンスクリーンディスプレイ画像の色決定を行うことになる。
例えば図8に示したように、「選択方法」としては「補色」を選択しており、背景画像の判定色は青とされたうえで、「選択範囲」として「暖色系」を選択しているとした場合には、色相環において青の補色となる黄橙が暖色の色範囲にある。従って、この場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として、そのまま黄橙が選択決定されることになる。
また、「選択方法」について「類似色」を選択し、「選択範囲」として「暖色系」または「寒色系」を選択した場合については、先に図7により説明した類似色の選択の規則と、図8に示した暖色と寒色の色範囲による色選択の規則とを組み合わせればよいことになる。
【0023】
また、「選択範囲」として「原色のみ」を選択した場合には、図9に示すようにして、例えば、12色の色相環において、青、赤、緑の光の3原色のみがオンスクリーンディスプレイ画像の色の候補となる。
具体例として、「選択範囲」として「原色のみ」を選択した場合として、「選択方法」について「補色」を選択し、背景画像色は青であると判定されているとすると、先ず、青の補色は、黄橙であることになる。そして、12色の色相環において、この黄橙に対してもっとも近距離の3原色は、青、赤、緑のうち赤である。従って、この場合には、オンスクリーンディスプレイ画像の色として赤を選択決定するようにされる。
【0024】
また、「選択範囲」として「モノトーン」を選択した場合には、図10に示すようにして、12色の色相環内の色ではなく、白または黒が色選択の候補となる。
例えば、背景画像の色を判定するときには、その明度についても判定するようにしておく。そして、この明度の判定結果により、背景画像としては、白の範囲に含まれるか、黒の範囲に含まれるのかについて判断する。そして、背景画像が白の範囲に含まれるとの判定結果が得られた場合には、オンスクリーンディスプレイ画像については、その逆の黒を設定するようにされる。同様にして、背景画像が黒の範囲に含まれるとの判定結果が得られた場合には、オンスクリーンディスプレイ画像については白を設定するようにされる。
【0025】
また、図5に示す画面では、「選択範囲」においても「ユーザ設定」の項目を選択可能とされている。この「ユーザ設定」の項目を選択すると、上記「すべての色」「寒色系」「暖色系」「原色のみ」「モノトーン」の項目以外の選択範囲の指定や、これらの項目についての詳細設定などが行えるようになっており、このための設定画面が表示されることになる。
【0026】
このようにして、本実施の形態では、オンスクリーンディスプレイ画像の色を、ユーザ操作に応じて設定可能とされている。
そして、特に「選択方法」として「補色」または「類似色」を選択したときには、背景画像とは異なるオンスクリーンディスプレイ画像の色として、「補色」または「類似色」として指定された色の傾向に従って選択されるようになっている。つまり、オンスクリーンディスプレイ画像の色について、背景画像と同化せずに視覚的に認識しやすい色が選択されるようになっているとともに、この選択される色について、ユーザがその傾向を指定できるようにされていることで、ユーザの好みや見やすさなどの色に関する感覚についての個人差に対応させることができる。また、本実施の形態では、上記のようにして、「選択方法」として「補色」「類似色」を選択したときには、「補色」又は「類似色」の種類で括られる色傾向の条件の下で、「選択範囲」の項目選択によって、さらに詳細な(限定的な)色傾向の設定をすることができるようにもなっている。
このようにして、本実施の形態としては、単に背景画像に対して視覚的に認識しやすいオンスクリーンディスプレイ画像の色を設定するだけではなく、このオンスクリーンディスプレイ画像の色がユーザの意向に適合するように配慮されている。これにより、オンスクリーンディスプレイ画像表示について、これまでよりも良質にできることになる。また、ユーザの設定操作に応じてオンスクリーンディスプレイ画像の色の傾向が変化することにもなるので、ユーザに楽しみを与えるという性質も有することになる。
【0027】
ここで、図11に、オンスクリーン表示色設定画面が表示された表示画面の状態例を示しておく。
この図に示すようにして、背景画像である主画像は、テレビジョン受像機の表示画面100全体において表示される。そして、この背景画像(主画像)の中央上側において、オンスクリーンディスプレイ画像として、オンスクリーン表示色設定画面が重畳表示されている。
このようにしてオンスクリーン表示色設定画面を表示させた状態で、上記したようにユーザが「選択方法」「選択範囲」の設定を行うと、その設定が、オンスクリーンディスプレイ画像であるオンスクリーン表示色設定画面にも反映されるようになっている。これにより、ユーザは、オンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行いながら、オンスクリーン表示色設定画面(オンスクリーンディスプレイ画像)に設定される色を確認することができる。
【0028】
続いては、先に図5〜図10により説明した本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ画像の色の選択決定の動作を実現するための技術的構成例について、図1〜図4を参照して説明していくこととする。
【0029】
先ず、図1は、本発明の実施の形態としてのビデオ信号処理装置である、テレビジョン受像機の構成例を示している。
この図に示すテレビジョン受像機においては、アンテナ1により所定の放送波を受信して得られた受信信号をチューナ部2に供給するようにしている。なお、ここでは例として、例えば電波による放送波を受信することとしているが、この放送波は、地上波放送、衛星放送の何れによるものであっても良い。また、CATV(Cable Terevision)などにより有線で伝送されてくるものを受信する構成とされてもよい。
【0030】
チューナ部2では、入力された受信信号について選局を行うとともに、必要に応じて、所定の符号化に対する復号処理などをはじめとする所要の信号処理を実行して、例えば所要のチャンネルのビデオ信号を得て出力するようにされる。なお、ここでは、チューナ部2から出力されるビデオ信号としては、光の3原色によるRGB信号であることとする。
チューナ部2から出力されたビデオ信号は、合成処理部3及び色相解析処理部5とに対して分岐して入力される。
【0031】
合成処理部3には、上記したチューナ部2から出力されるビデオ信号が入力されると共に、オンスクリーンディスプレイ画像を表示させるときには、OSD処理部7にて生成されたオンスクリーンディスプレイ画像部分に相当する信号であるオンスクリーン画像信号とが入力される。合成処理部3は、チューナ部2からの出力のビデオ信号(以降、主画像ビデオ信号ともいう)により表示される画像については背景画像として、オンスクリーンディスプレイ画像信号により表示される画像については、上記背景画像上の所要位置に重ねられるようにして表示される、オンスクリーンディスプレイ画像を得るために、主画像ビデオ信号とオンスクリーン画像信号とを合成したビデオ信号(合成ビデオ信号)を生成するための信号処理を実行し、この合成ビデオ信号を表示部4に対して出力する。
なお、このような合成ビデオ信号を得るための信号処理としては、これまでに知られている技術を採用すればよい。また、この処理は、デジタル信号処理であってもアナログ信号処理であってもよい。
また、確認のために述べておくと、オンスクリーンディスプレイの画像を表示させる必要のないときには、合成処理部3においては特に合成処理を実行することなく、チューナ部から入力された主画像ビデオ信号をそのままスルーさせるようにして表示部4に出力する。
【0032】
表示部4は、所定種類の表示デバイスと、この表示デバイスの表示画面において画像が表示出力されるように入力されたビデオ信号に基づいて表示デバイスを駆動する駆動回路部などからなる。なお、本実施の形態としては、表示部4に採用される表示デバイスとしては特に限定されるべきではないが、現状であれば、例えばLCD、CRT、プラズマディスプレイパネルなどを挙げることができる。
【0033】
色相解析処理部5は、チューナ部2から出力される主画像ビデオ信号を取り込んで、後述する手順により、主画像ビデオ信号を画像として表示出力させたときの、この主画像についての色(背景画像色:基準画像色)がどのようなものであるのか判定するための解析処理を実行する。前述もしたように、背景画像色の判定結果としては、図6などに示した色相環を成す12色のいずれかのうちで最も近似した色に該当させることとしている。色相解析処理部5の解析処理によって判定された背景画像色の情報は、色決定処理部6に対して入力される。
【0034】
色決定処理部6では、上記色相解析処理部5により判定された背景画像色の情報と、色指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するための処理を実行する。
ここで、色指定情報は、ユーザが、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行って設定した内容に従って、その内容を有するものとして生成される情報である。例えばユーザが、「選択方法」として「類似色」を設定し、「選択範囲」としては「暖色系」を設定したのであれば、色指定情報としては、この旨を示す内容を有することになる。なお、この色指定情報は、ここでは図示していないが、実際に、本実施の形態のテレビジョン受像機に備えられているとされる、不揮発性のメモリ素子などから成る記憶手段に対して記憶されるようになっている。また、オンスクリーン表示色設定画面に対する操作結果に応じた色指定情報の生成や上記記憶手段に対する色指定情報の書き込み/読み出しなどの制御は、この実施の形態のテレビジョン受像機において、各種制御処理を実行するマイクロコンピュータが実行するようにされる。
そして、色決定処理部6が色を決定するのにあたっては、先に図6〜図10により例示した色の選択手順が実行されるように構成されたアルゴリズムに従った処理を実行するようにされる。従って、色決定処理部6により決定されるオンスクリーンディスプレイ画像の色としては、本実施の形態で規定される色相環を成す12色と、白、黒の計14色を候補として選択されるものとなる。
このようにしてオンスクリーンディスプレイ画像の色が決定されると、色決定処理部6は、OSD処理部7に対して、この決定された色の情報(決定色情報)を通知する。
【0035】
OSD処理部7は、キャラクタジェネレータといわれるオンスクリーンディスプレイ画像の素材となる、文字(記号等を含む)、所定形状の図柄の画像データなどを、必要とされる表示内容に対応させて発生させ、この発生された画像データにより、背景画像に重畳すべき画像信号である、オンスクリーン画像信号を生成するようにされる。
【0036】
また、本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能としては、カラーパレットを備える。ここでのカラーパレットとは、OSD処理部7がオンスクリーンディスプレイのための画像データを生成するのにあたり、画像色として使用可能な色が示される情報であり、具体的には、例えば模式的には図2に示すようなテーブル構造のデータとされる。
図2に示すようにして、カラーパレットとしては、先ず、このカラーパレットにおいて用意される色ごとの識別子として色番号が定義される。本実施の形態において、カラーパレットとして用意される色は、先に図5〜図10により説明した色相環を成す12色と、白、黒の2色との計14色とされる。この結果、オンスクリーンディスプレイ画像の色としてもこれらの14色によるバリエーションを持つことになる。また、あくまでも一例であるが、ここでは、色番号は、自然数による1〜14の範囲の値をとることとし、これらの色番号1〜14に対して、それぞれ、黄、黄緑、緑、青緑、緑青、青、青紫、紫、赤紫、赤、赤橙、黄橙、白、黒を対応させることとしている。
そして、これらの色番号ごとに、その色番号が対応する色を表現するための色成分値であるR,G,B値を対応付けるようにしているものである。なお、図2においては、R,G,B値の欄が空白で示されているが、実際には、これらの各欄において、所定の実値の情報が格納されるものである。
また、このカラーパレットとしてのデータは、例えばテレビジョン受像機が実際に備えるとされるROM、不揮発性のメモリ素子などに対して予め記憶しておくようにされる。
【0037】
OSD処理部7が、オンスクリーンディスプレイ画像信号を生成するときには、カラーパレットを参照して、色決定処理部6から通知された決定色情報が示す色(色番号)に対応する色成分値(R,G,B値)を読み出すようにされる。そして、この読み出した色成分値(R,G,B値)によるオンスクリーンディスプレイ用の画像データを生成したうえで、オンスクリーンディスプレイ画像信号を生成して出力するようにされる。
このような動作によって、本実施の形態のテレビジョン受像機としては、図5〜図10により説明したようにして、オンスクリーンディスプレイ画像についての色設定が行われることとなる。
【0038】
また、図1に示される操作入力部8は、ここでは、少なくとも、前述した色指定情報が得られるようにするためのユーザ操作、つまり、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面を呼び出し、また、呼び出したオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を可能とするための所定の操作手段から成るものとされる。例えば、テレビジョン受像機に備えられる所定の操作子や、テレビジョン受像機に付属するリモートコントローラに備えられる所定の操作子と、このリモートコントローラから送信される操作情報信号をテレビジョン受像機側で受信してコマンド信号を得る受信部などを備えて成る。
【0039】
なお、図1に示す本実施の形態のテレビジョン受像機の構成は、本実施の形態としてのオンスクリーンディスプレイ画像の色選択に関する機能部位を示すものとされる。このために、図1に示すブロック構成は、実際のハードウェア的な構成に加え、ソフトウェア的な構成を機能ブロックとして示す部分を含む。先にも説明したように、本実施の形態のテレビジョン受像機は、CPU、ROM、RAMなどから成るマイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータによる各種の制御処理が実行される。そして、図1に示す構成において、例えば、色相解析処理部5、色決定処理部6などの動作は、マイクロコンピュータが背景画像(主画像)のビデオ信号を取り込んでRAMに保持させたうえで、例えばCPUがROMに記憶されるプログラムに従って実行する処理として得ることができる。また、OSD処理部7などとしての動作についても、色決定情報の通知に応じてカラーパレットから読み出したR,G,B値をセットするなどの処理は、マイクロコンピュータが実行する制御処理として構成できる。
【0040】
続いては、上記図1によっても説明した、色指定情報に応じた色によるオンスクリーン表示を実現するための構成について、テレビジョン受像機が備えるマイクロコンピュータ(CPU)がプログラムに従って実行すべき処理として、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
テレビジョン受像機の動作として、何らかのオンスクリーン表示を実行すべきタイミングになったとされると、テレビジョン受像機のマイクロコンピュータは、図3のステップS101としての処理である、チューナ部2から出力される背景画像(主画像)としてのビデオ信号についての色相解析のための処理を実行する。この処理は、図1においては、色相解析処理部5としての機能に相当する。
【0042】
上記ステップS101としての色相解析処理は、例えば、図4に示すものとなる。
図4においては、先ず、ステップS201において、チューナ部2から出力される背景画像のビデオ信号について、フレーム画像単位(あるいはフィールド画像単位でもよい)で取り込み、例えば1つのフレーム画像データとして、マイクロコンピュータ内部のRAMに保持する。
次のステップS202においては、上記のようにしてRAMに保持したフレーム画像データを、例えば1画面分の二次元的な画像としてみた場合において、所定の分割パターンにより領域分割する。このときの分割パターンとしては、例えば1画面分を所定数により等分割するなどして、分割により得られる各分割領域の二次元的形状サイズが同一となるようにすることが適正な測定結果を得る上で好ましい。そして、続くステップS203により、上記ステップS20により得られた分割領域ごとの所定位置の画素を取り出し、この取り出した画素についての色成分値であるR,G,B値の各々を測定する。
【0043】
上記ステップS203の処理が終了した段階では、各分割領域ごとの色成分値(R,G,B値)が得られている状態にある。そこで、続くステップS204においては、これらの各分割領域ごとの色成分値を利用して、色成分値を成す、R値、G値、B値ごとの平均値を求めるようにされる。つまり、各分割領域ごとに得られた複数のR値により、R値の平均値Raを算出し、同様にして、各分割領域ごとに得られた複数のG値により、G値の平均値Gaを算出し、各分割領域ごとに得られた複数のB値により、B値の平均値Baを算出する。
このようにして得られた平均値Ra,Ga,Baを1つの色成分値(Ra,Ga,Ba)としてみた場合、この色成分値(Ra,Ga,Ba)は、ステップS201にてフレーム画像単位により取り込んだ背景画像についての平均的な色相を表現しているということがいえる。
【0044】
次のステップS205では、カラーパレットに示される色番号のうちで、上記ステップS204にて得られた平均値Ra,Ga,Baによる色成分値(Ra,Ga,Ba)と最も距離が近いとされる色成分値を持つ色番号を特定するようにされる。この処理は、カラーパレットにおいて用意される色のうちから、ステップS201にて取り込まれた背景画像についての画面平均としての色と最も近似した色を特定する処理となる。
ただし、本実施の形態において、背景画像に対応してオンスクリーンディスプレイ画像の色を決定するのは、先ず、図5などにより説明したようにして、オンスクリーンディスプレイ画像色の選択が補色または類似色である場合とされており、この補色または類似色の選択は、図6などに示した12色による色相環を利用して行うこととされている。このことに対応して、ステップS205において選択候補となる色番号は、色番号1〜14のうちから、色相環を成す12色に対応するものとなる。つまり、色番号1〜14のうちで、色相によっては表現されない(色相環には含まれない)白及び黒に対応する色番号13,14を除いた、色番号1〜12となる。
【0045】
また、ステップS205おいて、色成分値(Ra,Ga,Ba)に対して最短距離の色成分値を持つ色番号を特定するのにあたっては、一例として、カラーパレットにおける色番号i(1≦i≦12)のR,G,B値をそれぞれ、Rpi,Gpi,Bpiとして、
【数1】
で表される演算を、色番号1〜12ごとに行うようにされる。そして、この(数1)による演算により得られた値が最小(min)となる色成分値(R,G,B)を持つ色番号を、ステップS205における特定結果として出力するようにされる。
このようにして、図3のステップS101(図4のステップS201〜S205)の処理が実行されることによっては、色相解析結果として、実施の形態の12色の色相環のうちから、背景画像の画面平均色に一致するとされる色相が、カラーパレットの色番号により特定されることになる。そして、ステップS101の処理を終了すると、図3のステップS102の処理に進むことになる。
【0046】
ステップS102においては、例えば、現在において不揮発性のメモリに記憶保持されている色指定情報を読み出してRAMに保持するなどして取り込むようにされる。
確認のために述べておくと、色指定情報は、ユーザが図5に示したオンスクリーン表示色設定画面に対して行った操作により得られたオンスクリーンディスプレイ画像色についての設定内容を示しているものである。
【0047】
次のステップS103においては、ステップS101による色相解析結果、つまり、背景画像の画面平均色に一致するとされる色相に対応するカラーパレットの色番号の情報と、上記ステップS102により取り込んだ色指定情報とに基づいて、オンスクリーンディスプレイ画像に使用すべき色を決定する。このオンスクリーンディスプレイ画像に使用すべき色の決定にあたっては、カラーパレットに用意される14色の全てが候補となる。
ステップS103の処理としては、先ず、色指定情報の内容において、「選択方法」が「補色」または「類似色」のいずれかである場合には、基本的に(選択範囲が「すべての色」の場合)は、図6や図7により説明したようにして、ステップS101による色相解析結果として特定された色相(カラーパレットの色番号)に対して補色、または類似色となる色を選択するようにされる。そのうえで、「選択範囲」の指定内容によっては、図8〜図10などにより説明したようにして、最終的に、指定情報内容に応じた色を決定するようにされる。このようして、ステップS103の処理として得られる決定色の情報は、例えばカラーパレットの色番号によって示すようにされる。
また、色指定情報の内容として「選択方法」が「基本固定色」、「ユーザ設定」とされたうえで、特定の色を指定している場合には、この指定された色に対応するカラーパレットの色番号を、そのままステップS103の処理結果として出力する。
このステップS103の処理が、図1における色決定処理部6としての機能に相当する。つまり、ステップS103の処理結果が、図1にて説明した決定色情報となる。
【0048】
次のステップS104、及びこれに続くステップS105の処理は、図1との対応では、OSD処理部7においてマイクロコンピュータが担う機能として、決定色情報の通知を受けてオンスクリーン画像信号を生成するための制御処理となるものである。
ステップS104においては、カラーパレットを参照することで、上記決定色情報が示す色番号に対応する色成分値(R,G,B値)を読み出して取得する。そして、次のステップS105により、上記ステップS104にて取得した色成分値(R,G,B値)を、OSD処理部7がオンスクリーンディスプレイ画像データに使用するR,G,B値としてセットしたうえで、所要の画像内容のオンスクリーンディスプレイ画像データが生成されるように制御処理を実行する。そして、このようにして生成されたオンスクリーンディスプレイ画像データに対応する画像信号であるオンスクリーン画像信号を、図1に示す合成処理部3に対して出力するようにされる。これにより、先に図1にて説明したように、図5に対するオンスクリーン表示色設定画面に対する設定操作に応じて選択された色によるオンスクリーンディスプレイ画像の重畳表示が行われることになる。
【0049】
また、本実施の形態としては、オンスクリーン表示が開始されて、所定条件を満たして終了するまでの間、図3に示す処理を例えば一定周期のタイミングで繰り返し実行するようにされる。これにより、例えばオンスクリーン表示色の設定内容として、「選択方法」に、「補色」又は「類似色」を選択している場合には、背景画像(主画像)の内容が変化して、その画面全体の色傾向が変化したとしても、これに応じて、オンスクリーンディスプレイ画像の色が動的に変化するようにされ、ユーザの意向どおりのオンスクリーン表示が常に得られることとなる。また、図5に示したオンスクリーン表示色設定画面もオンスクリーンディスプレイ画像の1つであるから、このオンスクリーン表示色設定画面に対する操作を行っているときには、操作に応じて変更される設定内容に従って、オンスクリーン表示色設定画面そのものの色が変化することとなる。例えばユーザは、このようなオンスクリーン表示色設定画面の色の変化をみて、設定結果が妥当であるか否かについての判定を行うようにされる。
【0050】
なお、本発明はこれまでに説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、実施の形態では、本発明に基づいたオンスクリーン表示を、テレビジョン受像機に適用した例を挙げているが、これに限定されるべきものではなく、例えばビデオレコーダ、単体のデジタル放送チューナなどをはじめとして、主画像を背景画像としてオンスクリーン表示を行う各種映像機器に適用できるものである。
また、実施の形態では、12色の色相環及び白、黒の2色による14色を色選択に用いることとしているが、これもあくまでも一例であって、選択候補となる色の数であるとか、またどのような色を選択候補とするのかについては、適宜変更されてかまわない。
また、背景画像(主画像)の色判定のための処理としても、実施の形態におけるビデオ信号の色相解析の手順のみに限定されるものではない。例えば、実施の形態では、背景画像のフレーム画像領域全体を対象として色判定を行っているが、これに対して、オンスクリーンディスプレイ画像の表示位置などに適応させて、背景画像のフレーム画像領域の所要の一部領域のみを色判定に用いるようにしてもよい。このようにすれば、例えば、色を解析するのに必要な処理対象の画像データ量が少なくなるので、色解析のための処理を軽いものとすることが期待できる。
また、解析結果を得るための演算としても、(数1)により示したものに限定されるものではなく、相応に信頼性の高い解析結果が得られるのであれば、他の演算式を採用してかまわない。
また、背景画像(主画像)の色判定(色解析)は、R,G,B値についての各平均値(Ra,Ga,Ba)と、カラーパレットに用意される色ごとのR,G,B値とに基づいて行うこととしているが、例えば背景画像(主画像)のR,G,B値間での比を求め、この比の値により、カラーパレットに用意される色ごとのR,G,B値との比較を行うようにするなど、平均値に基づく以外の色判定の手法が考えられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態としてのビデオ信号処理機能を備えるテレビジョン受像機の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能に対応してテレビジョン受像機が備えるカラーパレットのデータ構造を示す図である。
【図3】本実施の形態のオンスクリーンディスプレイ機能を実現するための処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図3におけるビデオ信号の色相解析処理を示すフローチャートである。
【図5】オンスクリーン表示色設定画面の内容例を示す図である。
【図6】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:補色)を示す図である。
【図7】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:類似色)を示す図である。
【図8】オンスクリーン画像色の設定例(補正方法:補色 補正範囲:寒色)を示す図である。
【図9】オンスクリーン画像色の設定例(補正範囲:三原色)を示す図である。
【図10】オンスクリーン画像色の設定例(補正範囲:モノトーン)を示す図である。
【図11】表示画面上でのオンスクリーン表示色設定画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 アンテナ、2 チューナ部、3 合成処理部、4 表示部、5 色相解析処理部、6 色決定処理部、7 OSD処理部、8 操作入力部、100 表示画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手段と、
上記背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作が可能とされる操作手段と、
上記操作手段に対する操作により指定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手段と、
上記色判定手段により判定された基準画像色と、上記情報保持手段が保持している指定情報とに基づいて、上記オンスクリーンディスプレイ画像の色として、上記基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手段と、
上記色決定手段により決定された色による上記オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、上記背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手段と、
を備えることを特徴とするビデオ信号処理装置。
【請求項2】
オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手順と、
上記背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作を可能とする操作入力手順と、
上記操作入力手順により得られた、オンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手順と、
上記色判定手順により判定された基準画像色と、上記情報保持手順により保持されている指定情報とに基づいて、上記オンスクリーンディスプレイ画像の色として、上記基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手順と、
上記色決定手順により決定された色による上記オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、上記背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手順と、
を実行することを特徴とするビデオ信号処理方法。
【請求項1】
オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手段と、
上記背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作が可能とされる操作手段と、
上記操作手段に対する操作により指定されたオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手段と、
上記色判定手段により判定された基準画像色と、上記情報保持手段が保持している指定情報とに基づいて、上記オンスクリーンディスプレイ画像の色として、上記基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手段と、
上記色決定手段により決定された色による上記オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、上記背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手段と、
を備えることを特徴とするビデオ信号処理装置。
【請求項2】
オンスクリーンディスプレイ画像に対して背景画像として表示出力されるべきビデオ信号を取り込み、このビデオ信号により表示される画像の色とみなされる基準画像色を判定する色判定手順と、
上記背景画像の色との関係に基づくオンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する操作を可能とする操作入力手順と、
上記操作入力手順により得られた、オンスクリーンディスプレイ画像の色傾向を指定する指定情報を保持する情報保持手順と、
上記色判定手順により判定された基準画像色と、上記情報保持手順により保持されている指定情報とに基づいて、上記オンスクリーンディスプレイ画像の色として、上記基準画像色以外の特定の色を決定する色決定手順と、
上記色決定手順により決定された色による上記オンスクリーンディスプレイ画像が背景画像に重畳して表示されるように、上記背景画像として表示出力されるべきビデオ信号についての処理を実行する信号処理手順と、
を実行することを特徴とするビデオ信号処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−33435(P2006−33435A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209648(P2004−209648)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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