説明

ビークルデータを取得する方法及び装置

ビークルデータを自動的に取得するための、コンピュータによって実行される装置、及びコンピュータが使用可能なプログラムコードである。ある有利な実施形態では、コンピュータによって実行される方法により、無線インターフェース上の事象に関してビークルが監視される。ビークルによって無線インターフェースで送られた事象の受信に応答して、ポリシーに基づき事象に対してビークルデータが必要か否かが決定される。ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストが無線インターフェースでビークルに送られる。ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信すると、ビークルデータは記憶される。ビークルからビークルデータを受信した後に記憶されたビークルデータは解析されて、一つの解析が形成される。この解析を使用して、一連の故障状態を識別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、改善されたデータ処理システム及び具体的にはデータを処理する方法及び装置に関するものである。またさらに具体的には、本発明は、ビークルデータを取得するための、コンピュータによって実行される方法、装置、及びコンピュータが使用可能なプログラムコードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機は様々な機能を実行するために、一又は複数のコンピュータを組み込むことができる。これらの機能には例えば、環境制御システム、航空機の飛行制御システム、ナビゲーションシステム、及び健康管理システムが含まれる。航空機の健康管理システムは、航空機の他のコンピュータ及び/又はセンサに接続されたコンピュータ又は他のデバイスであってよい。この種のシステムにより、いつ修理又はメンテナンスが必要になり得るかを識別するのに使用される航空機データ及び故障情報を収集することができる。
【0003】
この種のデータは、航空機が着陸した後に及び/又は飛行中に取得することができる。現在はオペレータが、航空機の健康管理システムによって報告書を作成するために使用できるデータ及び事象を選択することが出来る。特定の種類の事象に応答して、航空機のデータ処理システムはデータを記憶する又はデータを地上に送ることができる。現在のシステムでは、ダウンロードされるデータはシステムによって固定され、機内の状況によって変わることはない。
【発明の概要】
【0004】
有利な実施形態により、ビークルデータを自動的に取得するための、コンピュータによって実行される装置、及びコンピュータが使用可能なプログラムコードが提供される。ある有利な実施形態では、コンピュータによって実行される方法により、無線インターフェース上の事象に関してビークルが監視される。ビークルによって無線インターフェースで送られた事象の受信に応答して、ポリシーに基づき事象に対してビークルデータが必要か否かが決定される。ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストが無線インターフェースでビークルに送られる。ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータが記憶される。
【0005】
別の有利な実施形態では、事象に関してビークルが監視されている。事象の検出に応答して、ポリシーに基づき事象に対してビークルデータが必要か否かが決定される。ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストがビークルに送られる。
【0006】
さらに別の有利な実施形態では、装置はポリシー、データリクエストプロセス、及びデータ処理システムを含む。ポリシーにより、事象についてのビークルデータが必要となる時の一連の状態が識別される。データリクエストプロセスにより、無線インターフェース上の事象に関してビークルを監視することができる。ビークルによって無線インターフェースで送られた事象の受信に応答して、ポリシーに基づき事象に対してビークルデータが必要か否かが決定される。ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストが無線インターフェースでビークルに送られる。ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータが記憶される。データリクエストプロセスとポリシーは、データ処理システムに位置している。
【0007】
またさらに別の有利な実施形態では、コンピュータプログラム製品がコンピュータによって書き込み可能な記憶媒体上のプログラムコードを含む。プログラムコードは、無線インターフェース上の事象に関してビークルを監視するためにある。プログラムコードはまた、ポリシーに基づき事象に対してビークルデータが必要か否かを決定するために、ビークルによって無線インターフェースで送られた事象を受信するためでもある。プログラムコードは、ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストを無線インターフェースでビークルに送るためにある。プログラムコードは、ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータを記憶するためにある。
【0008】
特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において個別に達成することができる、または下記の説明及び図面を参照することによってさらに詳細を理解することができる更に別の実施形態と組み合わせることができる。
【0009】
有利な実施形態を特徴づけていると思われる新規特性は添付の請求項に記載されている。有利な実施形態だけでなく、使用の好ましいモード、更なる目的及びその利点はしかしながら、添付の図面と併せて読むときに、本発明の有利な実施形態の下記の詳細説明を参照することによって最適に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は有利な実施形態を実行できるデータ処理システムネットワークを図解的に示す図である。
【図2】図2は有利な実施形態によるデータ処理システムの図である。
【図3】図3は有利な実施形態によるビークルからデータを自動的に取得するのに使用されるコンポーネントを示す図である。
【図4】図4は有利な実施形態によるビークルデータをリクエストするためのデータフローを示す図である。
【図5】図5は有利な実施形態によるビークルデータをリクエストするためのデータフローを示す図である。
【図6】図6は有利な実施形態によるビークルデータのデータフローの別の図である。
【図7】図7は有利な実施形態によるビークルデータを取得するプロセスのフロー図である。
【図8】図8は有利な実施形態によるビークルデータを解析するプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで図面を参照、特に、本発明の有利な実施形態が実行可能なデータ処理環境の例図が提供されている図1〜2を参照する。当然ながら、図1〜2は単なる例であり、異なる実施形態が実行可能な環境に関していかなる制限も主張する、あるいは暗示するものではない。図示した環境に対して多様な変更が可能である。
【0012】
ここで図面を参照すると、図1は本発明の有利な実施形態を実行できるデータ処理システムネットワークを図解的に示す図である。ネットワークデータ処理システム100は、実施形態を実行できるコンピュータネットワークである。ネットワークデータ処理システム100は、ネットワークデータ処理システム100の中で共に接続された様々なデバイス及びコンピュータの間に通信リンクを提供するのに使用される媒体であるネットワーク102を含む。ネットワーク102は、ワイヤ等の接続部、無線通信リンク、又は光ファイバーケーブルを含むことができる。
【0013】
図示した実施例においては、サーバ104及びサーバ106が記憶装置108と共にネットワーク102に接続されている。
【0014】
加えて、クライアント110、112、及び114がネットワーク102に接続されている。これらのクライアント110、112、及び114は例えば、パーソナルコンピュータ又なネットワークコンピュータであってよい。図示した実施例では、サーバ104からクライアント110、112、及び114に、例えばブートファイル、オペレーティングシステムイメージ、及びアプリケーション等のデータが提供される。この実施例では、クライアント110、112、及び114はサーバ104に対するクライアントである。
【0015】
航空機116は、これもまたクライアント110、112、及び114と情報交換が可能なクライアントである。航空機116はまた、サーバ104及び106と情報交換することも可能である。航空機116は、飛行中は無線通信リンクを通して、又は地上にいる間は他の全ての種類の通信リンクを通して、異なるコンピュータとデータを交換することができる。これらの実施例では、サーバ104、サーバ106、クライアント110、クライアント112、及びクライアント114はコンピュータであってよい。
【0016】
航空機116は、事象を発生させて、例えばサーバ104等のコンピュータへこれらの事象を送ることができる。さらに、サーバ104はこれらの事象を処理して追加のデータが必要か否かを決定することができる。この決定はポリシーを使用してなされる。航空機116からの追加データが必要な場合、サーバ104はこの追加データのリクエストを航空機116に返信することができる。これらの種類の決定は、航空機116に位置する一時データが失われ得る又はすでに存在しない可能性を最小限に抑えるために自動的に行ってもよい。これらの実施例では、一時データはデータ処理システム又は記憶デバイス内にほんの一時的に存在できるデータである。ネットワークデータ処理システム100は、図示していない追加のサーバ、クライアント、及び他のデバイスを含むことができる。
【0017】
図示した実施例では、ネットワークデータ処理システム100は、互いに通信するために、プロトコルのトランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)の組を使用する、ネットワーク及びゲートウェイの世界規模の集合体を代表するネットワーク102を有するインターネットである。言うまでもなく、ネットワークデータ処理システム100はまた、例えばイントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、又はワイドエリアネットワーク(WAN)等の複数の異なる種類のネットワークとして実行することもできる。図1は一実施例であり、異なる実施形態に対してアーキテクチャを限定するものではない。
【0018】
ここで図2を見てみると、図示した実施形態によるデータ処理システムの図が示されている。データ処理システム200は、例えばサーバ104及びクライアント110等のサーバ及びクライアントを実行するのに使用できるデータ処理システムの一実施例である。さらに、データ処理システム200は図1の航空機116に含むことができるデータ処理システムの一実施例である。
【0019】
この図示した実施例では、データ処理システム200は通信用ファブリック202を含み、通信用ファブリック202は、プロセッサ装置204、記憶装置206、永続記憶装置208、通信装置210、入力/出力(I/O)装置212、及び表示装置214の間の通信を提供する。
【0020】
プロセッサ装置204は、記憶装置206にロード可能なソフトウェアの命令を実行する働きをする。プロセッサ装置204は特定の実行形態によって、一又は複数のプロセッサ一式、又はマルチプロセッサコアであってよい。さらに、プロセッサ装置204は、二次プロセッサを単一チップ上に有する基本プロセッサを備える一又は複数の異種プロセッサシステムを使用して実行してもよい。別の実例となる実施例としては、プロセッサ装置204は同じ種類の複数のプロセッサを含む左右対称のマルチプロセッサシステムであってよい。
【0021】
記憶装置206はこれらの実施例では、例えば、ランダム・アクセス・メモリ又は他の全ての好適な揮発性又は非揮発性記憶デバイスであってよい。永続記憶装置208は特定の実行形態によって、様々な形態を取ることができる。永続記憶装置208は、例えばハードドライブ、フラッシュメモリ、書換可能な光ディスク、書換可能な磁気テープ、又は上記の幾つかの組合せ等の一又は複数のコンポーネント又はデバイスを含むことができる。永続記憶装置208によって使用される媒体もまた、取り外し可能であってよい。例えば、取り外し可能なハードドライブを永続記憶装置208用に使用することができる。
【0022】
通信装置210はこれらの実施例では、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの実施例では、通信装置210はネットワークインターフェースカードである。通信装置210は、物理的及び無線通信リンクのいずれか、あるいは両方を使用することによって通信を提供することができる。
【0023】
入力/出力装置212により、データ処理システム200に接続できる他のデバイスへのデータ入力及びデバイスからのデータ出力が可能になる。例えば、入力/出力装置212はキーボード及びマウスによるユーザー入力の接続部を提供することができる。さらに、入力/出力装置212はプリンタに出力を送ることができる。表示装置214によりユーザーに情報を表示する機構が提供される。
【0024】
オペレーションシステム及びアプリケーション又はプログラムの命令は永続記憶装置208に位置している。これらの命令は、プロセッサ装置204によって実行するために、例えば記憶装置206等の記憶装置にロードすることができる。異なる実施形態のプロセスは、記憶装置206に位置することができるコンピュータによって実行される命令を使用して、プロセッサ装置204によって実行可能である。これらの命令は、プロセッサ装置204のうちの一つのプロセッサによって読み取り及び実行可能である、プログラムコード、コンピュータが使用可能なプログラムコード、又はコンピュータによって読み取り可能なプログラムコードと呼ばれる。異なる実施形態のプログラムコードは例えば記憶装置206又は永続記憶装置208等の、異なる物理的又は実体的なコンピュータによって読み取り可能な媒体上に具現化することができる。
【0025】
プログラムコード216は、関数形式でコンピュータによって読み取り可能な媒体218に位置しており、プロセッサ装置204によって実行するために、データ処理システム200にロードする、又は転送することができる。プログラムコード216及びコンピュータによって読み取り可能な媒体218はこれらの実施例では、コンピュータプログラム製品220を形成する。ある実施例では、コンピュータによって読み取り可能な媒体218は実体的な形態で、例えば永続記憶装置208の一部である、例えばハードドライブ等の記憶デバイスに転送するために永続記憶装置208の一部であるドライブ又は他のデバイスに挿入される又は配置される光又は磁気ディスクであってよい。実体的な形態においては、コンピュータによって読み取り可能な媒体218はまた、例えばデータ処理システム200に接続されたハードドライブ又はフラッシュメモリ等の永続記憶装置の形態を取ることもできる。コンピュータによって読み取り可能な媒体218の実体的な形態はまた、コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体とも呼ばれる。
【0026】
あるいは、プログラムコード216は、通信装置210への通信リンクを通して、及び/又は入力/出力装置212への接続部を通して、コンピュータによって読み取り可能な媒体218からデータ処理システム200に転送することができる。通信リンク及び/又は接続部は図示した実施例では、物理的又は無線の通信リンク及び/又は接続部であってよい。コンピュータによって読み取り可能な媒体はまた、プログラムコードを含む通信リンク又は無線送信等の非実体的な媒体の形態を取ることもできる。
【0027】
データ処理システム200のために図示された異なるコンポーネントはアーキテクチャを制限するものではなく、異なる実施形態を実行するのに適したものである。図示した異なる実施形態は、データ処理システム200のために図示されたコンポーネントに追加の又はそれらの代わりのコンポーネントを含むデータ処理システムにおいて実行することができる。図2に示す他のコンポーネントは、図示した実施例とは違うものであってもよい。
【0028】
例えば、バスシステムを使用して通信用ファブリック202を実行することができ、例えばシステムバス又は入力/出力バス等の一又は複数のバスを備えることができる。言うまでもなく、バスシステムは、バスシステムに取り付けられた異なるコンポーネント又はデバイスの間でのデータの転送を提供する、全ての好適な種類のアーキテクチャを使用して実行することが可能である。加えて、通信装置は、例えばモデム又はネットワークアダプタ等のデータの送受信に使用される一又は複数のデバイスを含むことができる。さらに、記憶装置は例えば、通信用ファブリック202に含むことができるインターフェース及びメモリコントローラハブに見られるような記憶装置206又はキャッシュであってよい。
【0029】
異なる有利な実施形態では、ビークルがビークルデータを送る及び/又は記憶する事象を選択することができるが、このデータは所望の解析を行うのに不十分であり得ることが認識され、考慮されている。ビークルデータはビークルについてのデータ、及び/又はビークルによって収集されたデータである。現在、航空機からダウンロードされたデータは、航空機のデータ処理システムによって検出された事象に応答して自動的に作成された所定の報告書一式であってよい。
【0030】
異なる有利な実施形態では、更なる解析を行う又は要求を出すのに追加のデータが必要であり得ることが認識されている。異なる有利な実施形態では、現在追加データはオペレータ又は他のユーザーがリクエストしているデータによって識別及び取得可能であることが認識されている。これらの種類のリクエストはしかしながら、タイムリーでない場合がある。例えば、異なる有利な実施形態では、しばしばデータが一時的であり得ることが認識されている。言い換えれば、データは、データがすでに入手不可能な状態になる前に、例えばほんの10分、又は数秒しか残らない場合がある。
【0031】
タービュランス事象は一時的な状態である。幾つかのデータ、例えば操縦装置の地表位置を機内システムによって取得/保存し、記憶することは可能である。しかしながら、例えばタービュランス事象周辺の空調圧縮空気流入量等の他のデータは一時的である場合があり、保存できない可能性がある。この一時的なデータは、タービュランス事象において空調システムの異常動作の解析に役立つ可能性があり、異なる有利な実施形態なしには失われてしまうものである。
【0032】
一時的なデータの実施例には例えば、ミッションの特定段階における燃料量、異なる時点での個々のタンクの燃料量、運転開始中のエンジン状態、運転停止中のエンジン状態、運転開始中の電気的状態、運転停止中の電気的状態、エンジンパラメータ、及び一時的であり得る他の種類のデータを含む。
【0033】
この結果、データ受信時に、必要であり得る追加データを識別するためにオペレータがデータを解析した場合、オペレータが追加データが必要であることを決定した後には、幾つかの又は全ての追加データはすでに入手不可能である可能性がある。さらに、追加データがまだ入手可能であったとしても、この種のプロセスには時間がかかり、費用もかさむ。
【0034】
この問題を認識し又考慮して、異なる有利な実施形態では、航空機のデータ処理システムからビークルデータが自動的に解析される。異なる有利な実施形態では、事象について無線インターフェースでビークルが監視される。この無線インターフェースには、通信リンク一式の使用が含まれ得る。本明細書に使用される一式は、一又は複数のアイテムを指している。
【0035】
例えば、無線通信リンク一式は、一又は複数の無線通信リンクである。ビークルによって無線インターフェースで送られた事象の受信に応答して、ポリシーに基づき事象についての追加のビークルデータが必要か否かの決定をすることができる。これらの実施例で使用されるポリシーは、追加のデータが必要か否か、及び/又はどんな種類のデータが必要なのかを決定するのに使用できる規則及び/又はデータ一式である。
【0036】
異なる有利な実施形態では、オペレータが解析を行い、その後どの追加データが必要であり得るかを決定することに頼ると、それが、追加データがすでに入手不可能になる、又はなった後の、あるいは追加データの一部のみが入手可能になる、又はなった後の期間に渡って行われる可能性があることが認識されている。さらに、この種のプロセスは、全航空機隊の監視をしている時にオペレータに作業が集中する可能性がある。その結果、異なる有利な実施形態では、ポリシーを使って自動的に事象を解析し、追加のビークルデータが必要であり得るか否か、及び/又はどの追加のビークルデータが必要であり得るかが決定される。追加データが必要であるとの決定に応答して、ポリシーを使用してそのデータを識別することができる。その後追加データのリクエストをビークルに送ることができる。
【0037】
ポリシーを使用することによって、データが必要か否か、そしてどのデータが必要かをオペレータが判断することはもはや必要ない。さらに、ポリシーを使用することにより、異なる種類の事象に対してどのデータが必要であり得るかを予め定めた規定に基づき、同じ種類のデータを得ることができる。言い換えれば、ポリシーにより得られる追加データの種類の一貫性が確実に保たれる。異なるオペレータにデータの識別が任されると、オペレータの解釈及び/又は解析によって、同じ事象に対して異なるオペレータが異なる種類のデータを選択する可能性がある。
【0038】
ビークルデータが必要である決定に応答して、無線インターフェースでビークルデータのリクエストがビークルに送られる。ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、このビークルデータを記憶することができる。この結果、一時的なデータが失われるのを避けることができる。
【0039】
ここで図3を参照すると、ビークルからデータを自動的に得るのに使用されるコンポーネントを示す図が、有利な実施形態にしたがって図示されている。
【0040】
この実施例では、ビークルデータ収集環境300は、ビークル302及びビークル監視システム304を含むことができる。ビークル302は例えば、図1の航空機116等の航空機であってよい。言うまでもなく、ビークル302は他の形態を取ることができる。例えば、ビークル302は例えば非限定的に、水上艦、自動車、トラック、軍用地上車、人員運搬車、潜水艦、宇宙船、又はその他のビークルであってよい。
【0041】
ビークル監視システム304は、例えば図1のサーバ104等のデータ処理システムであってよい。ビークル監視システム304は、例えば空港、管理施設、又はその他の地表位置等の地上局に位置していてよい。
【0042】
この実施例では、ビークル302はデータ処理システム306、列線交換ユニット308及びセンサ310を含む。データ処理システム306は健康管理システムとして機能し、列線交換ユニット308と、ビークル302内の他のコンポーネントを監視することができる。これらの他のコンポーネントはセンサ310を使用して監視することができる。このデータはセンサ310からデータ処理システム306によって直接、又は列線交換ユニット308を通して間接的に得ることができる。センサ310は例えば非限定的に、バルブ位置センサ、圧力センサ、温度センサ、酸素圧センサ、燃料レベルセンサ、又はビークル302の他の好適なセンサを含むことができる。
【0043】
この実施例では、データ処理システム306で事象生成プロセス312が実行される。事象生成プロセス312は、ビークル監視システム304への送信が要求されるデータ及び情報の選択に基づいて、自動的に事象を生成するプロセスであってよい。これらの実施例では、事象生成プロセス312により、例えば事象314等の事象を発生させることができる。事象314は様々な形態を取ることができる。例えば、事象314はビークルデータ又は警報を含むことができる。ビークルデータが事象314に含まれている時は、このビークルデータは生データの形態であってよく、又は報告書の中に配置されていてもよい。
【0044】
データ応答プロセス316もまた、データ処理システム306で実行される。データ応答プロセス316は例えばリクエスト318等のリクエストを受信することができる。リクエスト318の受信に応答して、データ応答プロセス316はデータ320として収集され、返されるべきデータを識別することができる。データ320はこれらの実施例ではビークルデータであってよい。このデータは、例えば非限定的に、センサ310及び列線交換ユニット308等の様々なコンポーネントから収集可能である。
【0045】
データ処理システム306は、ビークルデータを様々な形で収集することができる。このビークルデータは例えば、エンジンオイル量、酸素圧、タイヤ圧、油圧油レベル、燃料レベル、客室温度、外気温度、空気圧、速度、位置、及び他の適切な種類のビークルデータを含むことができる。
【0046】
データ処理システム306はこれらの実施例では、無線インターフェース322でビークル監視システム304に事象314を送る。この事象は、無線インターフェース322で、例えば通信リンク323等の通信リンクで送ることができる。これらの実施例では、無線インターフェース322は、ビークル302及びビークル監視システム304の間の通信を可能にする媒体である。この媒体はこれらの実施例では空気である。ビークルの種類によっては、媒体は真空又は水でもよい。
【0047】
ビークル監視システム304は、事象314等の事象を処理するのに使用される複数のコンポーネントを含む。これらの実施例では、ビークル監視システム304は、データリクエストプロセス324、ポリシー326、記憶デバイス328、及び解析プロセス330を含む。
【0048】
データリクエストプロセス324では、事象314を受信し、ポリシー326を使用して事象314を処理する。データリクエストプロセス324では、事象314が解析プロセス330によって解析用に記憶デバイス328に記憶される。幾つかの有利な実施形態では、データリクエストプロセス324から解析プロセス330へ事象314を直接送ることができる。
【0049】
これらの実施例では、ポリシー326は事象を処理するために追加のデータが必要か否かを識別するのに使用可能な規定及び/又はデータ一式である。さらに、ポリシー326はまた、必要な追加データの種類を識別するのに使用可能でもある。
【0050】
データリクエストプロセス324により、リクエスト318を作成し、航空機データ処理システム306へ無線インターフェース322を通して通信リンク332でリクエスト318を送ることができる。リクエスト318はデータ応答プロセス316によって処理される。リクエスト318は例えば、追加の温度データ、列線交換ユニット308のうちの一つの列線交換ユニットのレジスタ値、又は他の好適なデータのリクエストであってよい。データ応答プロセス316では、センサ310及び/又は列線交換ユニット308を使用してこのデータを収集する。その後データ320は、無線インターフェース322を介して通信リンク334でデータリクエストプロセス324に送り返される。
【0051】
また、これらの有利な実施形態では、データ解析に反復アプローチを実施することが可能である。言い換えると、受信したデータに基づき、追加のポリシーを有効化してデータをさらにリクエストすることができる。幾つかの事象、例えばデータのリクエスト、データ送信、及び追加データのリクエスト等の反復により、自動的な一貫したデータの収集及び解析の改善が可能になり得る。
【0052】
データ320はこれらの実施例では、状況に応じたビークルデータの形態を取ることができる。状況に応じたビークルデータは、ポリシー326を使用して規定された全てのビークルデータであって、事象に関連する全てのデータであってよい。別の実施例としては、状況に応じたビークルデータは、事象に関連した状態であってよい。例えば、元の事象が故障であった場合、データ320はセンサ310からの追加データであってよく、又は故障が発生した特定のコンポーネントを含む列線交換ユニット308のシステムの一部に関連するものであってよい。
【0053】
別の実施例では、事象がビークル302における特定の段階である場合、状況に応じたビークルデータは時間を基準として収集してもよい。例えば、ビークル302が降下段階にある航空機である場合、航空機内の一連の空気圧データは降下段階において2分ごとに収集することができる。さらに別の実施例では、ビークルが降下段階にある場合、燃料消費量を状況に応じたビークルデータとして降下段階において5分ごとに収集することができる。これらの実施例では、状況に応じたビークルデータはポリシーを使用して識別されたデータである。
【0054】
データ320はこれらの実施例では、データリクエストプロセス324によって受信され、記憶デバイス328に記憶される。上述したように、データ320はポリシー326の追加のポリシーを有効化して追加データをリクエストし、反復データの収集及び解析を可能にすることができる。解析プロセス330では、記憶装置328及び事象314からデータ320を取得し、データを処理して結果を生成することができる。
【0055】
この結果は例えば、警報336及び/又は指令338であってよい。警報336は、解析プロセス330によって発することができる。警報336は、何らかの対処を取らなければならないことを表す場合がある。警報336により、特定の問題又は対象物の故障を識別することができる。さらに、警報336をメンテナンスオペレータ及び/又はビークル302に送ることができる。解析プロセス330はまた、指令338を生成することもできる。指令338により、特定の状態に対して実施することができるメンテナンス作業を識別することができる。
【0056】
解析プロセス330では、事象314及びデータ320を解析して、現在の状態がメンテナンスを必要とするか否か、そしていつこのメンテナンスを適用することができるかを決定することができる。解析プロセス330では、将来メンテナンスが必要となり得る、可能性のある状態、及び現在発生している状態を識別することができる。一実施例として、解析プロセス330では、トレンド解析及び/又は他の統計的解析を行うことができる。
【0057】
このように、異なる有利な実施形態により、メンテナンスが必要であり得る状態を識別するのに要する時間と労力が削減される。さらに、異なる有利な実施形態により、現在採用されている方法を使用して、失う可能性のあるデータを取得する能力が提供され、より良い解析が得られる。異なる有利な実施形態では、必要とするビークルデータを自動的に識別する能力もまた提供される。
【0058】
ビークルデータ収集環境300の図は、有利な実施形態を実行可能なある方法を示す。この図は、物理的な制限又はアーキテクチャの制限を課すものではなく、ビークルデータ収集環境300を実行するのに適したものである。例えば、ビークル監視システム304は地表位置ではなく、別のビークルに位置していてよい。他の有利な実施形態では、ビークル監視システム304は一つのビークル302ではなく複数のビークルを監視することができる。さらに、異なるコンポーネントを、機能コンポーネントが図示されたのとは異なるコードで実行することができる。例えば、事象生成プロセス312及びデータ応答プロセス316は、図3に示すように、2つの別々のコンポーネントの代わりに単一のプログラムを使用して実行することができる。
【0059】
ここで図4を参照すると、ビークルデータをリクエストするためのデータフローの図が、有利な実施形態に従って図示されている。この実施例では、航空機400は、出発地402と到着地404の間のミッションにおいて複数の異なる段階を有する。
【0060】
これらの段階には、上昇406、巡航408、及び降下410が含まれる。ビークル監視システム412は、事象を巡航段階408における航空機400からの故障コード414の形で受信する。ビークル監視システム412は、例えば図3のビークル監視システム304等のビークル監視システムの一実施例である。
【0061】
故障コード414の受信に応答して、ビークル監視システム412は必要となり得るデータを識別する。リクエスト416は航空機400へ送信される。リクエスト416の受信に応答して、航空機400はデータ418を生成し、ビークル監視システム412に送り返す。データ418はまた、追加データが必要であり得る事象の形態を取ることもできる。この実施例では、データ418をビークル監視システム412で処理して、データ422がビークル監視システム412に返信されるようにリクエストするための航空機400に対するリクエスト420を生成することができる。
【0062】
ここで図5を参照すると、ビークルデータをリクエストするためのデータフローの図が有利な実施形態にしたがって図示されている。
【0063】
この実施例では、航空機500は到着地504へ到達するミッションのために出発地502から出発することができる。航空機500が出発地502を飛び立つ時に、航空機500は事象506を生成し、これをビークル監視システム508が受信する。ビークル監視システム508は、図3のビークル監視システム304等のシステムを使用して、実行可能である。事象506は例えば、出発地コード、又は単に航空機500が離陸したことの表示であってよい。
【0064】
航空機500は、到着地504へ到達するミッションの間に複数の段階を有し得る。これらの段階は、上昇段階510、巡航段階512、及び降下段階514を含む。航空機500がミッション中に移動すると、この図示した実施例では、ビークル監視システム508から航空機500へデータのリクエストが定期的に送られる。
【0065】
例えば、航空機500が上昇段階510にある間、ビークル監視システム508はしばらく時間が経過した後にリクエスト516を送信する。これに応答して、航空機500はデータ518を返信する。再びしばらく時間が過ぎた後に、ビークル監視システム508は、航空機500が巡航段階512にある間に航空機500にリクエスト520を送る。これに応答して、航空機500はデータ522を返信する。再びしばらく時間が過ぎた後に、ビークル監視システム508は、航空機500が巡航段階512にある間に航空機500にリクエスト524を送ってデータ526を受信する。再びしばらく時間が過ぎた後に、ビークル監視システム508は、航空機500が降下段階514にある間に航空機500にリクエスト528を送ってデータ530を受信する。
【0066】
このデータのリクエスト及び受信は、航空機500が到着地504に着陸した際に、航空機500から事象532を受信した時点で終了する。事象532は例えば、到着空港コード、又は単に航空機500が着陸したことの表示であってよい。
【0067】
ここで図6を参照すると、ビークルデータを取得するためのデータフローの別の実施例が有利な実施形態に従って図示されている。この実施例では、航空機600は到着地604へ到達するミッションのために出発地602から出発することができる。
【0068】
航空機600はミッション実施中に様々な段階を有することができる。これらの段階には、上昇段階606、巡航段階608、降下段階610、高度保持段階612、及び降下段階614が含まれる。このミッション実施中には、航空機600はビークル監視システム616へ事象を送り、ビークル監視システム616からリクエストを受信することができる。
【0069】
この実施例では、航空機600はビークル監視システム616へ引き返す事象618を送る。引き返す事象は、航空機が出発地点への計画外の引き返しを行う時に発生する。引き返す事象は、航空機の問題、天候、又は他の問題が理由で発生し得る。引き返す事象618においては、航空機の健康状態の追加情報を使用して、着陸時に対処できるように問題を特定することができる。巡航段階608での引き返す事象618の受信に応答して、ビークル監視システム616はリクエスト620を航空機600へ送信する。リクエスト620の受信に応答して、航空機600はデータ622を返信する。
【0070】
その後、巡航段階608における飛行中に、この実施例では、航空機600はタービュランス事象624を送信する。タービュランス事象624は、航空機600が激しいタービュランスに遭遇したことを表す。タービュランス事象624の受信に応答して、ビークル監視システム616はタービュランスに関する更なるデータを取得するためにリクエスト626を送信する。
【0071】
タービュランス事象624では、リクエスト可能なデータは例えば、加速、対気速度の変化、又は他の好適なパラメータを含む。この種の情報は、航空機の構造及びシステムコンポーネントへの影響を判断するのに使用することができる。さらに、この情報を使用して航空機の検査の手引きとする又は航空機の検査を特定することができる。リクエスト626の受信に応答して、航空機600はデータ628をビークル監視システム616へ返信する。
【0072】
ミッション実施中に、航空機600は高度保持段階612中に高度保持延長段階に遭遇する場合がある。この状態に応答して、航空機600はビークル監視システム616へ高度保持延長事象630を送ることができる。高度保持延長事象630の受信に応答して、ビークル監視システム616は航空機600にリクエスト632を送信することができる。
【0073】
高度保持延長中に、全体的な燃料量及び個々の燃料タンクの量が厳密に監視され、確実に十分な燃料量が確保される。さらに、この情報を使用して、所望の目的地での着陸を管理することができる。さらに、この情報を使用して、航空機を別の目的地へ方向転換させるか否かを決定することができる。方向転換は、例えば天候又は航空交通量の状態等の様々な要因のために起こる可能性がある。
【0074】
リクエスト632の受信に応答して、航空機600はビークル監視システム616にデータ634を返信する。この種の情報に対して、ビークル監視システム616は複数の異なる種類の解析を行うことができる。例えば、この情報がタービュランスでの突然の対気速度の変化を含む場合、解析により機体及び/又はエンジンの検査の必要を確認することができる。検査の内容及び範囲は航空機のメンテナンス書類に特定されていてよく、航空機の形状だけでなく、事象の深刻度によっても変わり得る。
【0075】
別の実施例としては、落雷により様々なデバイス及び接続部が影響を受けていないかを確実に知るためにシステムのチェックを必要とする場合がある。解析では試験されるべきシステムと規定の試験を特定することができる。試験は落雷の状況及び激しさに基づく解析において特定することができる。
【0076】
さらに別の実施例では、解析により、別のシステム又はサブシステムの機能性の損失に応答して、システム又はサブシステムの操作及び/又は機能性への影響の可能性を特定することができる。解析により、適切な次の操作を確保するため、又はさらなる故障事象を防ぐために必要であり得る試験、検査、調節、又は他の対処を特定することができる。具体例としては、作動油の損失が油圧ポンプ及び/又は導管の損傷の原因となり得る。
【0077】
さらに別の実施例では、解析により燃料量とアンバランスを特定することができる。これらのアンバランスは、左右への燃料供給の差によって起こる可能性がある。さらに、リクエストされた情報の解析により燃料内の水分も確認することができる。その結果、解析により進入中又は着陸中のパイロットの操作の変更が指示される可能性がある。さらに、解析によっては空港の選択もまた変更される可能性がある。
【0078】
ここで図7を参照すると、ビークルデータを取得するためのプロセスのフロー図が、有利な実施形態に従って図示されている。図7に示すこのプロセスは、例えば図3のビークル監視システム304のデータリクエストプロセス324等のソフトウェアコンポーネントにおいて実行可能である。
【0079】
このプロセスは、ビークルを監視することによって開始される(工程700)。工程700には、ビークルからの送信について無線インターフェースを監視することを含むことができる。他の有利な実施形態では、工程700は、ビークル用に設定されたタイマーを監視することを含むことができる。このタイマーを使用して、周期的事象を生成してビークルデータをリクエストすることができる。このプロセスでは次に、事象が検出されたか否かが決定される(工程702)。この事象は例えば、ビークルによって生成されプロセスへ送られた事象であってよい。他の有利な実施形態では、事象はタイマーの終了であってよい。
【0080】
事象の検出に応答して、事象がポリシーと比較される(工程706)。このポリシーは、ユーザーの介入なしに、追加のビークルデータが必要であるか否かを自動的に決定する機能を得るために使用される。さらに、ポリシーの使用により、リクエストされたデータの特定の種類の事象に対する一貫性も確実となる。その結果、異なるビークルからの同様の事象の解析では、互いに解析する、あるいは相互に比較することができる。次に、追加のビークルデータが必要か否かの決定が行なわれる(工程708)。この決定は、ポリシーとの比較を使用して行うことができる。追加のビークルデータが必要な場合、ポリシーを使用してビークルデータが識別される(工程710)。
【0081】
このプロセスでは次に、ポリシーを使用して識別されたデータについて、ビークルにリクエストが送信される(工程712)。次にリクエストしたデータが受信される(工程714)。この受信したデータが記憶されて(工程716)、その後プロセスは終了する。
【0082】
ここで図8を参照すると、ビークルデータを解析するプロセスのフロー図が有利な実施形態にしたがって図示されている。図8に示すプロセスは、例えば図3のビークル監視システム304の解析プロセス330等のコンポーネントにおいて実行することができる。
【0083】
このプロセスは、解析用のビークルデータを識別することによって開始される(工程800)。これらの実施例では、このデータは一連の事象と、リクエストされた可能性のある一連の追加のビークルデータを含むことができる。次にこのプロセスでは、識別されたデータの解析が行なわれる(工程802)。この解析は現在利用可能な全ての解析プロセスを使用して行うことができる。
【0084】
異なる種類の解析プロセスの実施例には、現在のエンジン設定、燃料流量、速度、及び高度データの、理想的な飛行試験の同様のデータとの比較を含むことができる。この比較を使用して、航空機とエンジン性能の変化を識別することができる。実施可能な解析の他の実施例には、航空機の異なるタイヤ間でのタイヤ空気圧の比較が挙げられる。直陸時に制御の問題を引き起こす可能性のある、左右のタイヤ空気圧の差を識別することが可能である。油圧レベルの変化を解析して、可能性のある漏出の問題を特定することができる。
【0085】
別の実施例としては、エンジンオイルの変化を評価して、可能性のある漏出又はオイル消費の問題を識別することができる。さらに別の実施例では、電気システムのパラメータの変化と、補助動力装置の始動中のトレンドを使用して、航空機のバッテリの状態を判断することができる。
【0086】
次にこのプロセスでは、解析による結果が生成される(工程804)。工程804での結果は一連の故障状態であってよい。故障状態は、故障、あるいは起きる可能性のある故障の識別である。故障は、コンポーネント、部品、システム、サブシステム、又はビークルが適切に及び/又は予想したように稼動するのに必要な他の物体の全ての故障であってよい。
【0087】
その後に、一連の指令が識別される(工程806)。これらの指令には、メンテナンス作業からの指令、どんな対処を取るべきかについて、又は何の対処も必要ないということさえも含むことができる。次にこのプロセスでは警報を発することができ(工程808)、その後プロセスは終了する。この実施例では、警報808は指令の重要度次第で実行される任意のステップであってよい。例えば、ある指令ではビークルのミッションが終了した後に対処を取ることが要求される場合がある一方で、他の指令では即時に対処することが要求される場合がある。
【0088】
このため、異なる有利な実施形態により、ビークルデータを取得し管理するための、コンピュータによって実行される方法、装置、及びコンピュータが使用可能なプログラムコードが提供される。異なる有利な実施形態により、ミッション実施中に航空機から送信可能な所定のデータに加えて、追加のデータを選択する機能が提供される。ミッションデータの識別は、ユーザーによる入力の代わりにポリシーを使用することで行われる。このように、さらに一貫性のある種類のデータを得ることができる。
【0089】
図示した異なる実施形態のフロー図及びブロック図は、装置、方法、及びコンピュータプログラム製品の幾つかの可能な実行形態のアーキテクチャ、機能性、及び工程を示している。これに関して、フロー図又はブロック図の各ブロックは、特定の一つの機能又は複数の機能を実行するための一又は複数の実行可能な命令を含む、コンピュータが使用可能なプログラムコード又はコンピュータによって読み取り可能なプログラムコードのモジュール、セグメント、又は一部を表すことができる。
【0090】
幾つかの代替実行形態では、ブロックに記載されている一つの機能又は複数の機能を、図に記載された順番とは違う順番に実施してもよい。例えば、ある場合には、関連する機能性次第で、連続して示す2つのブロックをほぼ同時に実行することができる、あるいは、ブロックをしばしば反対の順番に実行することができる。
【0091】
異なる有利な実施形態は、全体的にハードウェアの実施形態、全体的にソフトウェアの実施形態、又はハードウェアとソフトウェア要素を両方含む実施形態の形態を取ることができる。幾つかの実施形態は例えば、ファームウェア、常駐ソフトウェア、及びマイクロコード等の形態を含むがそれに限定されないソフトウェアにおいて実行される。
【0092】
さらに、異なる実施形態は、コンピュータ、又は命令を実行する全てのデバイス又はシステムによって、あるいはコンピュータ、又は命令を実行する全てのデバイス又はシステムに接続して使用されるプログラムコードを提供するコンピュータが使用可能な媒体又はコンピュータによって読み取り可能な媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。本発明の目的のために、コンピュータが使用可能な媒体、又はコンピュータによって読み取り可能な媒体は概して、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、あるいは命令実行システム、装置、又はデバイスに接続して使用されるプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、又はトランスポートすることができる全ての実体的な装置であってよい。
【0093】
コンピュータが使用可能な媒体、又はコンピュータによって読み取り可能な媒体は例えば非限定的に、電子回路、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム、又は伝播媒体であってよい。コンピュータによって読み取り可能な媒体の非限定的な実施例には、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なフロッピーディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、固定磁気ディスク、及び光ディスクが挙げられる。光ディスクには、コンパクトディスク−読出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)及びDVDを含むことができる。
【0094】
さらに、コンピュータが使用可能な媒体又はコンピュータによって読み取り可能な媒体は、コンピュータによって読み取り可能なプログラムコード又はコンピュータが使用可能なプログラムコードがコンピュータで実行される時に、このコンピュータによって読み取り可能なプログラムコード又はコンピュータが使用可能なプログラムコードの実行によって、コンピュータが別のコンピュータによって読み取り可能なプログラムコード又はコンピュータが使用可能なプログラムコードを通信リンクで送信するように、コンピュータによって読み取り可能なプログラムコード又はコンピュータが使用可能なプログラムコードを含む又は記憶することができる。この通信リンクは例えば非限定的に、物理的な媒体又は無線媒体を使用することができる。
【0095】
コンピュータによって読み取り可能なプログラムコード又はコンピュータが使用可能なプログラムコードを記憶する及び/又は実行するのに好適なデータ処理システムは、例えばシステムバス等の通信用ファブリックを通して記憶素子に直接あるいは間接的に連結した一又は複数のプロセッサを含む。記憶素子は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリ、大容量記憶装置、及び少なくとも幾つかのコンピュータによって読み取り可能なプログラムコード、又はコンピュータが使用可能なプログラムコードの一時記憶装置を提供して、コードの実行中に大容量記憶装置からコードを読み出し得る回数を減らすキャッシュメモリを含むことができる。
【0096】
入力/出力又はI/Oデバイスは直接、又は介在I/Oコントローラを通してのいずれかによってシステムに連結することができる。これらのデバイスは例えば非限定的に、キーボード、タッチスクリーン表示、及びポインティングデバイスを含むことができる。また、異なる通信アダプタをシステムに連結して、データ処理システムが介在構内ネットワーク又は公衆ネットワークを通して他のデータ処理システム又はリモートプリンタ又は記憶デバイスに連結するようにすることができる。
【0097】
異なる有利な実施形態の記載は、図示及び説明の目的のために提示されたものであり、包括的、又は開示された形の実施形態に限定するように意図されたものではない。当業者には多数の修正及び変形例が明らかである。さらに、他の有利な実施形態と比較して、異なる有利な実施形態により異なる利点を得ることが可能である。
【0098】
選択された一又は複数の実施形態は、実施形態及び実際の応用形態の原理を最適に説明するため、また、当業者が、考えられる特定の使用に好適である様々な修正を施した様々な実施形態の開示を理解できるように選択され記載されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルデータを自動的に取得するためのコンピュータによって実行される方法であって、
事象について無線インターフェースでビークルを監視し、
ビークルによって無線インターフェースで送られた事象の受信に応答して、ポリシーに基づき事象にビークルデータが必要か否かを決定し、
ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストを無線インターフェースでビークルに送信し、
ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータを記憶する
ことを含む方法。
【請求項2】
ビークルからビークルデータを受信した後に、記憶されたビークルデータを解析して一つの解析を形成し、
解析を使用して一連の故障状態を識別する
ことをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項3】
一連の故障状態の識別に応答して、一連の指令を生成する
ことをさらに含む、請求項2に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項4】
解析ステップが、
ビークルデータを使用して根本原因解析法を行う
ことを含む、請求項2に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項5】
ビークルが、航空機、潜水艦、水上艦、自動車、トラック、軍用地上車、人員運搬車、及び宇宙船のうちの一つから選択される、請求項1に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項6】
一連の故障状態が、未来に起こりうる故障の識別を含む、請求項2に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項7】
ビークルが航空機であり、航空機が飛行している間に事象を受信し、さらに、
飛行中の航空機からビークルデータを受信した後に、記憶されたビークルデータを解析して、一つの解析を形成し、
航空機が飛行している間に、前記解析を使用して一連の故障状態を識別し、
航空機が航空機のミッションを完了する前に、一連の保守作業を生じさせる
ことを含む、請求項1に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項8】
ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ポリシーに基づき更なるビークルデータが必要であるか否かを決定し、
ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、無線インターフェースでビークルデータの追加のリクエストをビークルへ送信する
ことをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項9】
ある事象に対してビークルデータが必要である時の一連の状態を識別するポリシーと、
事象について無線インターフェースでビークルを監視し;ビークルが無線インターフェースで送信した事象を受信したことに応答して、ポリシーに基づき前記事象にビークルデータが必要か否かを決定し;ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、ビークルデータのリクエストを無線インターフェースでビークルに送信し;ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータを記憶することができるデータリクエストプロセスと、
データリクエストプロセスとポリシーとが位置するデータ処理システムと
を含む装置。
【請求項10】
データリクエストプロセスによって記憶されたビークルデータを使用して、一連の故障状態を識別できる解析プロセス
をさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
一連の故障に対して一連の指令を提示することができるユーザーインターフェース
をさらに含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ビークルデータが事象に対して状況に応じたビークルデータを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ビークルデータを自動的に取得するためのコンピュータプログラム製品であって、
コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体、
事象について無線インターフェースでビークルを監視するための、コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体に記憶されたプログラムコード、
ビークルによって無線インターフェースで送信された事象の受信に応答して、ポリシーに基づき前記事象にビークルデータが必要か否かを決定するための、コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体に記憶されたプログラムコード、
ビークルデータが必要であるとの決定に応答して、無線インターフェースでビークルデータのリクエストをビークルへ送信するための、コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体に記憶されたプログラムコード、及び
ビークルから無線インターフェースでビークルデータを受信したことに応答して、ビークルデータを記憶するための、コンピュータによって書き込み可能な記憶媒体に記憶されたプログラムコード
を含む、コンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−529220(P2011−529220A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520063(P2011−520063)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047166
【国際公開番号】WO2010/011437
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】