説明

ビーズレットの製造方法

本発明は、脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレットの製造方法であって、90〜140℃の範囲の温度で、30秒〜30分間又は1分から10分間又は3分から7分間、乾燥粒状形態を処理することを含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂溶性ビタミン、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸から選択される高濃度の活性成分を有するビーズレットの製造方法、得られるビーズレット、及びそれらを含む組成物に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレットの製造方法であって、30秒から30分まで又1分から10分まで又は3分から7分までの時間間隔で、90〜140℃の範囲の温度で乾燥粒状形態を処理することを含む方法を提供する。
【0003】
脂溶性ビタミン活性物質の例として、天然又は合成の両方の、油を有するビタミン、プロビタミン、及び純粋若しくは実質的に純粋なビタミン、あるいはそれらの化学誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。特に興味深いものは、ビタミンA、D、E、及びK、並びにそれらの誘導体の群から選択されるビタミンである。例えば、用語「ビタミンE」は、合成的に製造されたトコフェロール又は天然トコフェロール混合物を包含する。ビタミン誘導体の例として、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート、及びビタミンEアセテートが挙げられる。ビタミンD活性物質の例はビタミンDである。特別な例として、本発明の方法はビタミンA活性物質とビタミンD活性物質、例えばビタミンAとビタミンDを含むビーズレットをもたらしてもよい。
【0004】
一つの実施態様において、本発明の方法は、脂溶性ビタミン活性物質としてビタミンAを500,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、750,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、又は750,000〜1,300,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度で関与させてもよく、例えば、ビタミンAは、500,000±35,000 IU 活性成分/g ビーズレット、750,000±35,000 IU 活性成分/g ビーズレット、1,000,000±35,000 IU 活性成分/g、又は1,100,000±35,000 IU 活性成分/gの総濃度でビーズレット中に存在してもよい。脂溶性ビタミン活性物質としてのビタミンDは100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲又は100,000〜200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲に存在しもよく、脂溶性ビタミン活性物質としてのビタミンEは50〜75%ビタミンEの範囲に存在してもよい。
【0005】
カロチノイドの例として、β−カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、カプサンチン、及びクリプトキサンチンが挙げられる。
【0006】
一つの実施態様において、本発明の方法は、カロチノイドを5〜20%の範囲、5〜15%の範囲、又は7〜15%の範囲の総濃度で関与させてもよい。
【0007】
多価不飽和脂肪酸の例には、トリグリセリド及び/又はエチルエステルとして、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びγ−リノレン酸、ならびに/あるいはエチルエステルが挙げられる。
【0008】
一つの態様において、本発明の方法は、20〜50%の範囲、25〜40%の範囲、又は28〜38%の範囲の総濃度でトリグリセリドとして多価不飽和脂肪酸を関与させてもよい。
【0009】
本発明の方法に使用する乾燥粒状形態は、当業者にとって既知の任意の手順、例えば、活性成分、乳化剤、テクスチャー化剤(texturing agent)、及び還元糖を含む水性エマルジョンを形成させ、続いてエマルジョンを前記エマルジョンの非水性成分を含む乾燥粒状形態に変換することによって調製してもよい。
【0010】
乳化剤の例はゼラチン及びアスコルビルパルミテートである。ゼラチンは同時にテクスチャー化剤として機能する乳化剤である。実質0〜約300の範囲の「ブルーム」を示す任意のゼラチンを本発明の実施に使用することができる。Aタイプゼラチン及びBタイプゼラチンの両方を使用することができる。好適に使用されるゼラチンはブルーム140であるが、ブルーム30又はブルーム75のゼラチンが同様に可能である。ゼラチン存在下では、追加のテクスチャー化剤を必要としなくともよい。
【0011】
乳化剤の濃度は使用される乳化剤の種類に依存し、例えばゼラチンは25〜35%の範囲又はそれ以下の濃度で存在してもよい。
【0012】
ゼラチン以外のテクスチャー化剤の例として、カラゲナン、加工デンプン、改質セルロース、キサンタンガム、アカシアゴム、ペクチン、グアー、カロブゴム(caroub gums)、マルトデキストリン、及びアルギネートが挙げられる。
【0013】
テクスチャー化剤の濃度は、使用されるテクスチャー化剤の種類に依存し、例えば0〜15%の範囲にあってもよい。
【0014】
還元糖の例は、フルクトース、グルコース、ラクトース、マルトース、キシロース、アラビノース、リボース、及びスクロースである。1種類の糖を用いてもよいし又は2つ以上の糖の混合物を用いてもよい。還元糖を、そのままか又はシロップ、例えばフルクトースシロップ又はグルコースシロップの形態で、添加してもよい。
【0015】
還元糖の濃度は、使用される還元糖の種類に依存し、例えば、2〜10%の範囲にあってもよいし、又は3:1から7:1の範囲、例えば5:1のゼラチン:糖の比であってもよい。
【0016】
6−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、3,5−ジ−t−4−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、及び3−t−ブチル−ヒドロキシアニソール(BHA)のような抗酸化剤、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのような保湿剤、エキステンダー、並びに可溶化剤などの少量の他の成分を導入してもよい。
【0017】
典型例として、ゼラチン及び適切な糖を前もってグリセリンと混合して水に溶解させることができる。溶解を65〜70℃で例えば約30分間続けてもよい。次いで、例えば、抗酸化剤と一緒にビタミンAを添加し乳化させてもよい。予備乳化(pre-emulsification)をコロイドミル、例えば、回転子/固定子原理に基づいて行ってもよい。予備乳化を500〜1500rpmの回転子の回転速度で15〜30分間保持してもよく、それから高圧力ホモジナイザーに通過させてエマルジョンを微細な小滴に変換させてもよい。
【0018】
一つの例において、エマルジョン小滴の「固化」した粒子への変換を、エマルジョン小滴の噴霧を微細分散粉末の粒子の空気中の攪拌雲又は懸濁中に導入することによって達成することができ、例えば、エマルジョンを回転スプレーヘッドに通して回転円筒ドラム中に含まれ攪拌される粉末物質の空気中の懸濁に圧入することによって達成されるが、そのドラム及びスプレーヘッドは反対方向に回転しているため、入ってくるエマルジョン噴霧に対して反対に回転するように空気中の粉末の雲又は懸濁を旋回させる。
【0019】
エマルジョンの小滴を集めたり被覆したりする過程で使用される微細分散粉末の例として、デンプン及び加工デンプンなどのポリサッカロイド、並びにケイ酸カルシウム単独、又はケイ酸カルシウムと以下の混合成分:微結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、親水性ケイ酸、及びカオリンの一つとの混合物が挙げられる。ケイ酸カルシウム単独から成るコーティングが好ましい。ケイ酸カルシウムは全体的又は部分的に水和物の形態であってもよい。
【0020】
ケイ酸カルシウム粒子は、それらが0.2μm未満、特に0.1μm未満の粒度と、少なくとも約80〜180m/g、好ましくは約95〜120m/gの比表面積とを有し、かつ約5〜30μm、好ましくは5〜20μmの平均粒度を有する凝集体に凝集するとき、特に好ましい。Si0/CaO比は1.65〜2.65の間に位置する。
【0021】
ケイ酸カルシウム単独からなるコーティングにおいて、ケイ酸カルシウムの量は、2〜12重量%の範囲に、好ましくは4〜9重量%の範囲にあってもよい。
【0022】
ケイ酸カルシウムと上述の混合成分の一つ以上との混合物からなるコーティングにおいて、ケイ酸カルシウム混合物の量は、5〜25重量%の範囲にあってもよい。
【0023】
場合により、得られる乾燥粒状形態を残留する微細分散粉末から分離してもよい。これはそれ自体慣用の操作によって行われてもよく、例えば、粒子と乾燥粒状形態との混合物を、乾燥粒状形態を保持するように選択された大きさの篩上に供給して揺すり、収集する粒子を通過させることで簡便に行われてもよい。
【0024】
さらなる加工のために、活性物質を含むこの乾燥粒状形態は、10%未満の、好ましくは約4〜6パーセントの含水率を有するのが好ましい。含水率がより高い場合、乾燥粒状形態をさまざまな方法によって、例えば、それを室温で空気に曝すことによって又は乾燥炉中で37〜45℃の適度な加熱によって所望の含水率に乾燥してもよい。
【0025】
加熱処理は、例えば、ビーズレット滞留時間及び温度を制御しているバッチ中又は連続工程において行われる。
【0026】
流動床法の場合、ビーズレットを、バッチ工程の場合開始時に又は連続流動床の場合恒常的に、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度を有する熱風又は窒素流中に添加する。ビーズレット温度を数秒から1分で100℃以上に上げ、速くて効果的な反応を可能にする。ビーズレットは5〜10分後に準備される。ビーズレットは処理終了時に冷やされる。
【0027】
連続フラッシュ処理の場合、ビーズレットを、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度を有する高温ガス流中に連続的に供給する。ビーズレットは、例えば300rpm以上の機械的攪拌によって転送することができる。この加熱処理を行うために使用する容器の壁を、110〜180℃の範囲の温度まで加熱することもできる。ビーズレットの所望の架橋は、90〜140℃、好ましくは105〜125℃の範囲の最大ビーズレット温度で、30秒から10分又は1分から10分の範囲の時間にて達成し得る。
【0028】
本発明の方法から得られるビーズレット形態は、コアと表面領域とを有し、ここでその表面領域の活性成分の損失が減少しており、また本発明の目的でもある。
【0029】
したがって、本発明は、更に、コアと表面領域とを有するビーズレット形態であって、そのコア領域が脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を高濃度で含み、またその表面領域が総活性成分含量の10%未満を、好ましくは総活性成分含量の5%未満を含む、ビーズレット形態を提供する。
【0030】
一つの実施態様において、本発明は、800,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲若しくは950,000〜1,250,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度のビタミンA、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲若しくは100,000〜200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲の総濃度、50〜75%の範囲の総濃度のビタミンE、5〜20%の範囲の総濃度のカロチノイド、及び5〜50%の範囲の総濃度の多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレット形態であって、その表面領域が総活性成分含量の10%未満を含む、架橋ビーズレット形態を提供する。もう一つの実施態様では、その表面領域は総活性成分含量の5%未満を含む。
【0031】
ビーズレットは、高度の安定性及び有効性によって特徴づけられる。それは、ペレットにされた場合、例えば、それはその物理的完全性を失うことなく飼料のペレット化工程の温度、水分、及び圧力に抵抗する。それは水不溶性であり、バイオアベイラビリティに関してその特性を維持する。
【0032】
本発明のビーズレットの典型例は、例えば以下の成分:30〜45%のビタミンA、0〜2%のビタミンD、5〜15%の6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(EMQ)、25〜35%のゼラチン、5〜10%のフルクトース、2〜10%のグリセリン、5〜10%のケイ酸カルシウム、0〜25%のコーンスターチ、0〜1%の食用脂、及び水を含んでいてもよい。
【0033】
例1:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレット及び200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約90部のゼラチンブルーム140及び18部のフルクトースを313.2部の水(グリセリンを23.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)158部とビタミンD(アッセイによると1gあたり20 Mio. IU ビタミンD)3.5部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0034】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0035】
ビーズレットを2群に分けた:一つの群をビーズレットの熱履歴の充分な制御のない古典的な加熱低速ミキサーを使用して処理し、他の群を流動床、すなわちビーズレットの温度及び滞留時間を制御できる装置でバッチ操作によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0036】
【表1】

【0037】
流動床では温度を5分間100〜115℃の間に制御した。加熱低速ミキサーでは温度を90℃から124℃に上げてビーズレットを約15分間加熱した。
【0038】
例2:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約100部のゼラチンブルーム140及び20部のフルクトースを308.2部の水(グリセリンを13.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)170部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0039】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は180〜270μmの範囲にあった。
【0040】
ビーズレットを3群に分けた:第一群を例1と同様に古典的な加熱低速ミキサーを使用して処理し、第二群を例1と同様に流動床によって処理し、第三群を希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0041】
【表2】

【0042】
流動床では温度を5分間110〜120℃の間に制御した。フラッシュ処理では温度を115℃から125℃に上げてビーズレットを1〜4分間加熱した。加熱低速ミキサーでは温度を70℃から124℃に上げてビーズレットを約20分間加熱した。
【0043】
例3:高濃度のビタミンAを含むビーズレットの安定性
例1及び例2の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は約90〜95%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンA形態に比肩し得る。
【0044】
例4:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約100部のゼラチンブルーム140及び20部のフルクトースを308.2部の水(グリセリンを13.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)170部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0045】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0046】
3ロットのビーズレットを希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0047】
【表3】

【0048】
フラッシュ処理では温度を105℃から115℃に上げてビーズレットを1〜5分間加熱した。
【0049】
例5:高濃度のビタミンAを含むビーズレットの安定性
例4の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は約95〜100%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンA形態に比肩し得る。
【0050】
例6:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレット及び200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約90部のゼラチンブルーム140及び18部のフルクトースを313.2部の水(グリセリンを23.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)158部及びビタミンD(アッセイによると1gあたり20 Mio. IU ビタミンD)3.5部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0051】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0052】
3ロットのビーズレットを希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0053】
【表4】

【0054】
フラッシュ処理では温度を105℃から115℃に上げてビーズレットを1〜5分間加熱した。
【0055】
例7:高濃度のビタミンAとビタミンDを含むビーズレットの安定性
例6の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は、ビタミンA及びビタミンDについてそれぞれ約95〜100%及び約100%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分と100,000 IU ビタミンD/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンAD形態に比肩し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂溶性ビタミン、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸から選択される高濃度の活性成分を有するビーズレットの製造方法、得られるビーズレット、及びそれらを含む組成物に関する。
【0002】
従来技術には、投与それ自体に、また製薬剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤などの形成のために;及び動物飼料の調製のために有用な脂溶性ビタミン粉末組成物が開示されている。米国特許第2,756,177号明細書には、ビタミン活性物質、水、ゼラチン、及び/又はアラビアゴム、並びに糖を含む、エマルジョンを形成し;そのエマルジョンを小滴に変換し;個々の小滴を大量のデンプン粉末中に回収してビタミン活性粒子を小滴から形成し、それらの粒状形態が確立されるまで相互に分離された状態を維持させるようにし;そしてビタミン活性粒子を回収テンプン粉末から分離することによる、乾燥自由流動性粉末の製造方法が開示されている。
【0003】
米国特許第4,670,247号明細書は、ビタミン活性物質、水、ゼラチン、及び糖を含むエマルジョンを形成する工程;そのエマルジョンを小滴に変換する工程;個々の小滴を大量のデンプン粉末中に回収して、小滴からビタミン活性粒子をそれらの粒状形態が恒久的に確立されるまで相互に分離された状態を維持させるようにする工程;ビタミン活性粒子を回収テンプン粉末から分離する工程;及び約90〜約180℃の温度で粒子を加熱処理する工程を含む、水不溶性ビーズレットの形態のビタミン活性製剤に関する。
【0004】
より詳細には、本発明は、脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレットの製造方法であって、30秒から30分まで又1分から10分まで又は3分から7分までの時間間隔で、90〜140℃の範囲の温度で乾燥粒状形態を処理することを含む方法を提供する。
【0005】
脂溶性ビタミン活性物質の例として、天然又は合成の両方の、油を有するビタミン、プロビタミン、及び純粋若しくは実質的に純粋なビタミン、あるいはそれらの化学誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。特に興味深いものは、ビタミンA、D、E、及びK、並びにそれらの誘導体の群から選択されるビタミンである。例えば、用語「ビタミンE」は、合成的に製造されたトコフェロール又は天然トコフェロール混合物を包含する。ビタミン誘導体の例として、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテート、及びビタミンEアセテートが挙げられる。ビタミンD活性物質の例はビタミンDである。特別な例として、本発明の方法はビタミンA活性物質とビタミンD活性物質、例えばビタミンAとビタミンDを含むビーズレットをもたらしてもよい。
【0006】
一つの実施態様において、本発明の方法は、脂溶性ビタミン活性物質としてビタミンAを500,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、750,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、又は750,000〜1,300,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度で関与させてもよく、例えば、ビタミンAは、500,000±35,000 IU 活性成分/g ビーズレット、750,000±35,000 IU 活性成分/g ビーズレット、1,000,000±35,000 IU 活性成分/g、又は1,100,000±35,000 IU 活性成分/gの総濃度でビーズレット中に存在してもよい。脂溶性ビタミン活性物質としてのビタミンDは100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲又は100,000〜200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲に存在しもよく、脂溶性ビタミン活性物質としてのビタミンEは50〜75%ビタミンEの範囲に存在してもよい。
【0007】
カロチノイドの例として、β−カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、カプサンチン、及びクリプトキサンチンが挙げられる。
【0008】
一つの実施態様において、本発明の方法は、カロチノイドを5〜20%の範囲、5〜15%の範囲、又は7〜15%の範囲の総濃度で関与させてもよい。
【0009】
多価不飽和脂肪酸の例には、トリグリセリド及び/又はエチルエステルとして、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びγ−リノレン酸、ならびに/あるいはエチルエステルが挙げられる。
【0010】
一つの態様において、本発明の方法は、20〜50%の範囲、25〜40%の範囲、又は28〜38%の範囲の総濃度でトリグリセリドとして多価不飽和脂肪酸を関与させてもよい。
【0011】
本発明の方法に使用する乾燥粒状形態は、当業者にとって既知の任意の手順、例えば、活性成分、乳化剤、テクスチャー化剤(texturing agent)、及び還元糖を含む水性エマルジョンを形成させ、続いてエマルジョンを前記エマルジョンの非水性成分を含む乾燥粒状形態に変換することによって調製してもよい。
【0012】
乳化剤の例はゼラチン及びアスコルビルパルミテートである。ゼラチンは同時にテクスチャー化剤として機能する乳化剤である。実質0〜約300の範囲の「ブルーム」を示す任意のゼラチンを本発明の実施に使用することができる。Aタイプゼラチン及びBタイプゼラチンの両方を使用することができる。好適に使用されるゼラチンはブルーム140であるが、ブルーム30又はブルーム75のゼラチンが同様に可能である。ゼラチン存在下では、追加のテクスチャー化剤を必要としなくともよい。
【0013】
乳化剤の濃度は使用される乳化剤の種類に依存し、例えばゼラチンは25〜35%の範囲又はそれ以下の濃度で存在してもよい。
【0014】
ゼラチン以外のテクスチャー化剤の例として、カラゲナン、加工デンプン、改質セルロース、キサンタンガム、アカシアゴム、ペクチン、グアー、カロブゴム(caroub gums)、マルトデキストリン、及びアルギネートが挙げられる。
【0015】
テクスチャー化剤の濃度は、使用されるテクスチャー化剤の種類に依存し、例えば0〜15%の範囲にあってもよい。
【0016】
還元糖の例は、フルクトース、グルコース、ラクトース、マルトース、キシロース、アラビノース、リボース、及びスクロースである。1種類の糖を用いてもよいし又は2つ以上の糖の混合物を用いてもよい。還元糖を、そのままか又はシロップ、例えばフルクトースシロップ又はグルコースシロップの形態で、添加してもよい。
【0017】
還元糖の濃度は、使用される還元糖の種類に依存し、例えば、2〜10%の範囲にあってもよいし、又は3:1から7:1の範囲、例えば5:1のゼラチン:糖の比であってもよい。
【0018】
6−エトキシ−1,2−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、3,5−ジ−t−4−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、及び3−t−ブチル−ヒドロキシアニソール(BHA)のような抗酸化剤、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのような保湿剤、エキステンダー、並びに可溶化剤などの少量の他の成分を導入してもよい。
【0019】
典型例として、ゼラチン及び適切な糖を前もってグリセリンと混合して水に溶解させることができる。溶解を65〜70℃で例えば約30分間続けてもよい。次いで、例えば、抗酸化剤と一緒にビタミンAを添加し乳化させてもよい。予備乳化(pre-emulsification)をコロイドミル、例えば、回転子/固定子原理に基づいて行ってもよい。予備乳化を500〜1500rpmの回転子の回転速度で15〜30分間保持してもよく、それから高圧力ホモジナイザーに通過させてエマルジョンを微細な小滴に変換させてもよい。
【0020】
一つの例において、エマルジョン小滴の「固化」した粒子への変換を、エマルジョン小滴の噴霧を微細分散粉末の粒子の空気中の攪拌雲又は懸濁中に導入することによって達成することができ、例えば、エマルジョンを回転スプレーヘッドに通して回転円筒ドラム中に含まれ攪拌される粉末物質の空気中の懸濁に圧入することによって達成されるが、そのドラム及びスプレーヘッドは反対方向に回転しているため、入ってくるエマルジョン噴霧に対して反対に回転するように空気中の粉末の雲又は懸濁を旋回させる。
【0021】
エマルジョンの小滴を集めたり被覆したりする過程で使用される微細分散粉末の例として、デンプン及び加工デンプンなどのポリサッカロイド、並びにケイ酸カルシウム単独、又はケイ酸カルシウムと以下の混合成分:微結晶性セルロース、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、親水性ケイ酸、及びカオリンの一つとの混合物が挙げられる。ケイ酸カルシウム単独から成るコーティングが好ましい。ケイ酸カルシウムは全体的又は部分的に水和物の形態であってもよい。
【0022】
ケイ酸カルシウム粒子は、それらが0.2μm未満、特に0.1μm未満の粒度と、少なくとも約80〜180m/g、好ましくは約95〜120m/gの比表面積とを有し、かつ約5〜30μm、好ましくは5〜20μmの平均粒度を有する凝集体に凝集するとき、特に好ましい。Si0/CaO比は1.65〜2.65の間に位置する。
【0023】
ケイ酸カルシウム単独からなるコーティングにおいて、ケイ酸カルシウムの量は、2〜12重量%の範囲に、好ましくは4〜9重量%の範囲にあってもよい。
【0024】
ケイ酸カルシウムと上述の混合成分の一つ以上との混合物からなるコーティングにおいて、ケイ酸カルシウム混合物の量は、5〜25重量%の範囲にあってもよい。
【0025】
場合により、得られる乾燥粒状形態を残留する微細分散粉末から分離してもよい。これはそれ自体慣用の操作によって行われてもよく、例えば、粒子と乾燥粒状形態との混合物を、乾燥粒状形態を保持するように選択された大きさの篩上に供給して揺すり、収集する粒子を通過させることで簡便に行われてもよい。
【0026】
さらなる加工のために、活性物質を含むこの乾燥粒状形態は、10%未満の、好ましくは約4〜6パーセントの含水率を有するのが好ましい。含水率がより高い場合、乾燥粒状形態をさまざまな方法によって、例えば、それを室温で空気に曝すことによって又は乾燥炉中で37〜45℃の適度な加熱によって所望の含水率に乾燥してもよい。
【0027】
加熱処理は、例えば、ビーズレット滞留時間及び温度を制御しているバッチ中又は連続工程において行われる。
【0028】
流動床法の場合、ビーズレットを、バッチ工程の場合開始時に又は連続流動床の場合恒常的に、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度を有する熱風又は窒素流中に添加する。ビーズレット温度を数秒から1分で100℃以上に上げ、速くて効果的な反応を可能にする。ビーズレットは5〜10分後に準備される。ビーズレットは処理終了時に冷やされる。
【0029】
連続フラッシュ処理の場合、ビーズレットを、100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度を有する高温ガス流中に連続的に供給する。ビーズレットは、例えば300rpm以上の機械的攪拌によって転送することができる。この加熱処理を行うために使用する容器の壁を、110〜180℃の範囲の温度まで加熱することもできる。ビーズレットの所望の架橋は、90〜140℃、好ましくは105〜125℃の範囲の最大ビーズレット温度で、30秒から10分又は1分から10分の範囲の時間にて達成し得る。
【0030】
本発明の方法から得られるビーズレット形態は、コアと表面領域とを有し、ここでその表面領域の活性成分の損失が減少しており、また本発明の目的でもある。
【0031】
したがって、本発明は、更に、コアと表面領域とを有するビーズレット形態であって、そのコア領域が脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を高濃度で含み、またその表面領域が総活性成分含量の10%未満を、好ましくは総活性成分含量の5%未満を含む、ビーズレット形態を提供する。
【0032】
一つの実施態様において、本発明は、800,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲若しくは950,000〜1,250,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度のビタミンA、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲若しくは100,000〜200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲の総濃度、50〜75%の範囲の総濃度のビタミンE、5〜20%の範囲の総濃度のカロチノイド、及び5〜50%の範囲の総濃度の多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレット形態であって、その表面領域が総活性成分含量の10%未満を含む、架橋ビーズレット形態を提供する。もう一つの実施態様では、その表面領域は総活性成分含量の5%未満を含む。
【0033】
ビーズレットは、高度の安定性及び有効性によって特徴づけられる。それは、ペレットにされた場合、例えば、それはその物理的完全性を失うことなく飼料のペレット化工程の温度、水分、及び圧力に抵抗する。それは水不溶性であり、バイオアベイラビリティに関してその特性を維持する。
【0034】
本発明のビーズレットの典型例は、例えば以下の成分:30〜45%のビタミンA、0〜2%のビタミンD、5〜15%の6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(EMQ)、25〜35%のゼラチン、5〜10%のフルクトース、2〜10%のグリセリン、5〜10%のケイ酸カルシウム、0〜25%のコーンスターチ、0〜1%の食用脂、及び水を含んでいてもよい。
【0035】
例1:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレット及び200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約90部のゼラチンブルーム140及び18部のフルクトースを313.2部の水(グリセリンを23.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)158部とビタミンD(アッセイによると1gあたり20 Mio. IU ビタミンD)3.5部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0036】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0037】
ビーズレットを2群に分けた:一つの群をビーズレットの熱履歴の充分な制御のない古典的な加熱低速ミキサーを使用して処理し、他の群を流動床、すなわちビーズレットの温度及び滞留時間を制御できる装置でバッチ操作によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0038】
【表1】

【0039】
流動床では温度を5分間100〜115℃の間に制御した。加熱低速ミキサーでは温度を90℃から124℃に上げてビーズレットを約15分間加熱した。
【0040】
例2:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約100部のゼラチンブルーム140及び20部のフルクトースを308.2部の水(グリセリンを13.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)170部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0041】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は180〜270μmの範囲にあった。
【0042】
ビーズレットを3群に分けた:第一群を例1と同様に古典的な加熱低速ミキサーを使用して処理し、第二群を例1と同様に流動床によって処理し、第三群を希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0043】
【表2】

【0044】
流動床では温度を5分間110〜120℃の間に制御した。フラッシュ処理では温度を115℃から125℃に上げてビーズレットを1〜4分間加熱した。加熱低速ミキサーでは温度を70℃から124℃に上げてビーズレットを約20分間加熱した。
【0045】
例3:高濃度のビタミンAを含むビーズレットの安定性
例1及び例2の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は約90〜95%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンA形態に比肩し得る。
【0046】
例4:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約100部のゼラチンブルーム140及び20部のフルクトースを308.2部の水(グリセリンを13.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)170部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0047】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0048】
3ロットのビーズレットを希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0049】
【表3】

【0050】
フラッシュ処理では温度を105℃から115℃に上げてビーズレットを1〜5分間加熱した。
【0051】
例5:高濃度のビタミンAを含むビーズレットの安定性
例4の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は約95〜100%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンA形態に比肩し得る。
【0052】
例6:1,000,000 IU ビタミンA/g ビーズレット及び200,000 IU ビタミンD/g ビーズレットを含むビーズレットの調製
約90部のゼラチンブルーム140及び18部のフルクトースを313.2部の水(グリセリンを23.2部含む)に65℃に加熱することによって溶解させた。それから、得られたマトリックスにエトキシキンを24%含むビタミンA(アッセイによると1gあたり2.1 Mio. IU ビタミンA)158部及びビタミンD(アッセイによると1gあたり20 Mio. IU ビタミンD)3.5部を混合させ、続いて予備乳化を行った。
【0053】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用してビーズレットに吹き付けた。ビーズレットの平均粒度は200〜300μmの範囲にあった。
【0054】
3ロットのビーズレットを希釈相の連続フラッシュ処理(フラッシュ処理を圧気輸送と機械的輸送との組合せによって確実に行う)によって処理した。結果を以下の表で比較する。
【0055】
【表4】

【0056】
フラッシュ処理では温度を105℃から115℃に上げてビーズレットを1〜5分間加熱した。
【0057】
例7:高濃度のビタミンAとビタミンDを含むビーズレットの安定性
例6の架橋ビーズレットについて、40℃、75%rHにて4週間の貯蔵時間後の保管期間における典型的安定性能は、ビタミンA及びビタミンDについてそれぞれ約95〜100%及び約100%であり、これは50,000 IU ビタミンA/g 活性成分と100,000 IU ビタミンD/g 活性成分を含む標準架橋ビタミンAD形態に比肩し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレットの製造方法であって、90〜140℃の範囲の温度で、30秒〜30分間又は1分から10分間又は3分から7分間、乾燥粒状形態を処理することを含む方法。
【請求項2】
脂溶性ビタミン活性物質がビタミンA、ビタミンD、及びビタミンEから選択され、カロチノイドがβ−カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、カプサンシン、及びクリプトキサンチンから選択され、多価不飽和脂肪酸がアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びγ−リノレン酸並びにそれらのトリグリセリド及びエチルエステルから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の濃度が、500,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲、50〜75%ビタミンEの範囲、5〜20%カロチノイドの範囲、及びトリグリセリドとしての20〜50%多価不飽和脂肪酸の範囲の総濃度から選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
乾燥粒状形態が10%未満の含水率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ビーズレット滞留時間及び温度が制御されているバッチ工程又は連続工程で加熱処理を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ビーズレットを100〜200℃の温度を有する熱風又は窒素流に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
乾燥粒状形態の添加後、温度を数秒から1分の範囲の時間で100℃以上に上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
加熱を110〜140℃の範囲の最大ビーズレット温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コア領域と表面領域とを有する架橋ビーズレット形態であって、そのコア領域が脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を高濃度で含み、その表面領域が総活性成分含量の10%未満又は5%未満を含む、架橋ビーズレット形態。
【請求項10】
800,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度のビタミンA、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲の総濃度、50〜75%の範囲の総濃度のビタミンE、5〜20%の範囲の総濃度のカロチノイド、5〜50%の範囲の総濃度の多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレット形態であって、その表面領域が総活性成分含量の10%未満又は5%未満を含む、架橋ビーズレット形態。
【請求項11】
以下の成分:30〜45%のビタミンA、0〜2%のビタミンD、5〜15%の6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、25〜35%のゼラチン、5〜10%のフルクトース、2〜10%のグリセリン、5〜10%のケイ酸カルシウム、0〜25%のコーンスターチ、0〜1%の食用脂、及び水を有する、請求項10に記載の架橋ビーズレット形態。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレットの製造方法であって、
活性成分、乳化剤、及び還元糖を含むエマルジョンを形成する工程、
エマルジョンを小滴に変換する工程、
小滴を微細分散粉末で被覆する工程、
乾燥粒状形態を残留する微細分散粉末から分離する工程、及び
該粒子形態を加熱処理する工程を含み、
90〜140℃の範囲の温度で、30秒〜30分間又は1分から10分間又は3分から7分間、乾燥粒状形態を加熱処理して、最終ビーズレット形態がコア領域と表面領域とを有するようにし、ここで、そのコア領域が活性成分を高濃度で含み、その表面領域が総活性成分含量の10%未満を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
脂溶性ビタミン活性物質がビタミンA、ビタミンD、及びビタミンEから選択され、カロチノイドがβ−カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、カプサンシン、及びクリプトキサンチンから選択され、多価不飽和脂肪酸がアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びγ−リノレン酸並びにそれらのトリグリセリド及びエチルエステルから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の濃度が、それぞれ500,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲、50〜75%ビタミンEの範囲、5〜20%カロチノイドの範囲、及びトリグリセリドとしての20〜50%多価不飽和脂肪酸の範囲の総濃度から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
微細分散粉末としてケイ酸カルシウムを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
乾燥粒状形態が10%未満の含水率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ビーズレット滞留時間及び温度が制御されているバッチ工程又は連続工程で加熱処理を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ビーズレットを100〜200℃の温度を有する熱風又は窒素流に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
乾燥粒状形態の添加後、温度を数秒から1分の範囲の時間で100℃以上に上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
加熱を110〜140℃の範囲の最大ビーズレット温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コア領域と表面領域とを有する架橋ビーズレット形態であって、そのコア領域が脂溶性ビタミン活性物質、カロチノイド、及び多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を高濃度で含み、その表面領域が総活性成分含量の10%未満又は5%未満を含む、架橋ビーズレット形態。
【請求項11】
800,000〜1,500,000 IU ビタミンA/g ビーズレットの範囲の総濃度のビタミンA、100,000〜500,000 IU ビタミンD/g ビーズレットの範囲の総濃度のビタミンD、50〜75%の範囲の総濃度のビタミンE、5〜20%の範囲の総濃度のカロチノイド、5〜50%の範囲の総濃度の多価不飽和脂肪酸の群から選択される一つ以上の活性成分を含む架橋ビーズレット形態であって、その表面領域が総活性成分含量の10%未満又は5%未満を含む、架橋ビーズレット形態。
【請求項12】
以下の成分:30〜45%のビタミンA、0〜2%のビタミンD、5〜15%の6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、乳化剤としての25〜35%のゼラチン、還元糖としての5〜10%のフルクトース、2〜10%のグリセリン、5〜10%のケイ酸カルシウム、0〜25%のコーンスターチ、0〜1%の食用脂、及び水を有する、請求項11に記載の架橋ビーズレット形態。

【公表番号】特表2006−521312(P2006−521312A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504728(P2006−504728)
【出願日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002821
【国際公開番号】WO2004/084862
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】