説明

ピクセル再生方法及びそれを利用したピクセル再生装置

【課題】
伝導性異物による有機発光素子のピクセルの不良領域を再生して製品の信頼性を確保し、歩留まりを向上させるピクセルの再生方法及びこれを具現する再生装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、基板10上に有機発光層31,32,33を挟んで互いに交差するように形成された第1の電極20と第2の電極40とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、前記第1の電極20及び第2の電極40間の有機発光層31,32,33に存在する伝導性異物存在領域にピクセル再生装置Lを用いてレーザを照射する第2のステップとを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子のピクセルを再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDは、蛍光または燐光有機物薄膜に電流を流すと、電子と正孔とが有機物層で結合しながら光を発生する原理を利用した自発光型ディスプレイのことである。この際、発光層を構成する有機物質により光の色が変わる。
【0003】
OLEDは、さらに受動型のPM OLED(Passive Matrix Organic Light Emitting Diodes)と能動型のAM OLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diodes)に分かれる。PM OLEDは、一つのライン全体が一気に発光して駆動するライン駆動方式であるのに対して、AM OLEDは、発光素子がそれぞれ駆動する個別駆動方式である。
【0004】
このOLEDの発光原理を、図1を参考して説明すると、アノード電極4とカソード電極2との間に電圧が印加されると、カソード電極2から生じる電子は、電子注入層1a及び電子輸送層1bを通じて発光層1cの方へ移動するようになる。また、アノード電極4から生じる正孔は、正孔注入層1e及び正孔輸送層1dを通じて発光層1cの方へ移動するようになる。これによって、発光層1cでは、電子輸送層1bと正孔輸送層1dから供給された電子と正孔との再結合により、エキシトン(EXITON)が形成され、このエキシトンは、さらに基底状態に励起されながら一定のエネルギーの光をアノード電極4を通じて外部に放出することにより、画像が表示されるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このOLEDの発光層に伝導性異物(Conductive particle;cp)が存在するようになると、この伝導性異物は、特定ノード(NODE)として作用して、前述した発光のために電子と正孔の移動が影響を受け、発光層に不良をもたらすことになる。
【0006】
本発明は、前述の問題を解決するために案出されたもので、本発明の目的は、伝導性異物による有機発光素子のピクセルの不良領域をレーザ照射により再生できるようにして製品の信頼性を確保することができ、歩留まりを向上させることができるピクセルの再生方法及びこれを具現する再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するための手段として、本発明は、基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された、第1の電極と第2の電極などを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、前記第1の電極及び第2の電極間の有機発光層に存在する伝導性異物の存在領域にピクセル再生装置を利用してレーザを照射する第2のステップと、を含むことを特徴とする有機発光素子のピクセル再生方法を提供することにある。
【0008】
また、前記第2のステップは、前記伝導性異物が存在する領域にレーザを照射し粉砕して、あるいは前記第1の電極または第2の電極から分離して、前記伝導性異物が存在する領域以外のピクセル領域の発光を可能にすることを特徴とする有機発光素子のピクセル再生方法を提供できるようにする。
【0009】
さらに、前記第2のステップは、前記伝導性異物に直接レーザを照射して前記伝導性異物そのものを粉砕する、あるいは電極から分離させるステップによって具現することができる。
【0010】
また、前記第2のステップは、前記伝導性異物が存在する領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記伝導性異物を電気的に隔離して、正常動作を行うようにするステップで具現することもできる。
【0011】
さらに、前記第2のステップは、前記導電性異物のサイズより大きくレーザを照射し、前記導電性異物を有機発光層から隔離してピクセルが正常動作を行うようにするステップによって具現することができる。また、前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを利用することができる。
【0012】
また、前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、前記有機発光素子が偏光板を含まない場合は、300nm以上の波長を、偏光板を含む場合は、420nm以上の波長を有するレーザを使用することを特徴とする。
【0013】
前記のような構造を有する本発明にかかる有機発光素子のピクセル再生方法が用いられるピクセル再生装置は、レーザビームを発振するレーザ発振部と、前記レーザ発振部から照射されたレーザビームの方向を切り替えて、有機発光素子の有機発光層に伝達するビーム伝達部と、前記レーザビームのサイズを変換させるビームサイズ調節部と、及び前記有機発光層のイメージをリアルタイムで撮影する映像部と、を備えている。
【0014】
特に、この場合、前記ビームサイズ調節部は、モータで駆動されるスリットと、スリットのサイズ及び位置を確認することができるスリット照明光源と、及び前記スリット照明光源から入射される光の進路を変更させるためのスリット照明用ミラーと、を有している。
【0015】
また、前記ピクセル再生装置は、前記レーザビームを伝導性異物が存在する領域の区間でスキャニングをするスキャナーと、スキャニングされるレーザビームが加速区間または減速区間では有機発光層に照射されないようにフィルタリングを行う、ビーム加工面制御手段と、を更に有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、伝導性異物によるAMOLEDのピクセルの不良領域を、レーザ照射によって再生することができるようにして製品の信頼性を確保することができ、歩留まりを向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的なOLEDの構造を示す図である。
【図2】本発明にかかる再生工程を説明するための要部断面図である。
【図3】本発明にかかる再生工程を説明するための要部断面図である。
【図4】本発明にかかる再生工程の結果を示すイメージ図である。
【図5】本発明にかかる再生工程の結果を示すイメージ図である。
【図6】本発明にかかるピクセル再生装置の実施例を示す図である。
【図7】本発明にかかるピクセル再生装置の実施例を示す図である。
【図8】本発明にかかるピクセル再生装置の実施例を示す図である。
【図9】本発明にかかるピクセル再生装置の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では添付図面を参照して本発明にかかる構成及び作用を具体的に説明する。ただし、図面番号にかかわらず同じ構成要素には同じ参照符号を付与し、これに対する重複説明は省略することにする。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明することに用いられるが、前記構成要素は、前記用語によって限られることはない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0019】
本発明は、伝導性異物が形成された領域を、レーザを用いて再生する方法を提供することをその要旨とする。
【0020】
このために、本発明にかかる有機発光素子のピクセル再生方法は、基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された、第1の電極と第2の電極などを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、前記第1の電極及び第2の電極間の有機発光層に存在する伝導性異物存在領域にピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップとを含んでなる。本発明にかかるピクセル再生方法に適用される有機発光素子は、受動型のPM OLEDと能動型のAM OLEDの両方に適用できることはもちろん、以下では、AM OLEDを例として説明を行う。
【0021】
前述の工程を、具体的に図面を参照して説明すると以下のとおりである。
【0022】
図2は、本発明にかかる有機発光素子の要部を示した断面図で、対向する基板10,20の間に第1の電極20と透明電極パターンである第2の電極40とを備え、第1の電極20と第2の電極40との間に存在するRed、Green、Blueの発光層31,32,33が設けられた構造を備える。特に、本構造では、Green発光層32の部分に伝導性異物CPが存在する不良が発生した構造を示す。
【0023】
本発明は、前記の伝導性異物CPを、レーザを照射できるピクセル再生装置Lを用いて,伝導性異物CPそのものや伝導性異物CPが形成された周辺領域にレーザを照射して伝導性異物CPを破砕する、あるいは再配列して不良ピクセルを再生できるようにする。
【0024】
すなわち、前記伝導性異物CPが存在する領域や伝導性異物CPそのものに直接レーザを照射して粉砕する、あるいは前記第1の電極20または第2の電極40から分離して、前記伝導性異物CPが存在する領域以外のピクセル領域の発光を可能とする。
【0025】
または、これとは異なって、前記第2のステップは、前記伝導性異物CPが存在する領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記伝導性異物CPを電気的に隔離して、ピクセルが正常動作を行うようにすることができる。特に、前記レーザの照射を伝導性異物CPに行う場合、前記伝導性異物CPのサイズより大きくレーザを照射して、異物を有機発光層32から隔離して、ピクセルが正常動作を行うようにすることが好ましく、有機発光素子内部の他の層に伝達されるダメージを最小化するために、前記レーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いることが好ましい。
【0026】
また、前記有機発光素子の表面に偏光板が付着されていない場合、透明電極である第2の電極40にダメージを与えずに加工できるようにするために、300nmより長い波長のレーザを用いることが好ましい。
【0027】
さらに、前記有機発光素子の表面に偏光板が付着されている場合は、前記の偏光板を透過して加工できるように、420nm以上の波長を有するレーザを用いることがより好ましい。
【0028】
図3は、白色発光層とカラーフィルターを備える構造の有機発光素子のピクセル再生方法を示す。
【0029】
図2で説明した構造と対向する基板10、50との間に第1の電極20と第2の電極40とが備えられ、第1の電極20及び第2の電極40の間に白色発光層(white emitting layer;30)が配置され、第2の電極40である透明ITO層の上部にRed61、Green62、Blue63を含むカラーフィルター60が配置されるようになる。図2の構成と少し構成上の差異はあるが、基本的にレーザを照射して、伝導性異物CPを粉砕して微細な異物cp1、cp2、cp3粒子に再配列して、不良が生じた白色発光層30の不良領域を再生できるようになるという要旨は同様に適用できる。
【0030】
図4(A)は、図2で示した前記伝導性異物CPが存在するグリーンピクセルGの領域を示すもので、暗点で示される伝導性異物CPによるピクセル不良により、ピクセル全体が発光しないようになることが確認でき、図4(B)は、図4(A)の伝導性異物CPそのものをレーザで粉砕して微細な異物cp1化し、全体ピクセルY2が正常加工して発光することを示す写真である。
【0031】
図5も不良が発生して,暗点化状態X1のピクセルを,本発明にかかるレーザ加工によって再生する場合、発光できる状態で再生される発光状態X2のピクセルを示す。この構造で見られる薄い暗点cp1は、粒子化した伝導性異物CPを示すものである。
【0032】
図6及び図7は、前述のピクセル再生工程に適用されるピクセル再生装置の一実施例を示す。
【0033】
本発明にかかるピクセル再生装置は、レーザを含む光学系で構成することができる。特に、具体的に前記ピクセル再生装置は、レーザビームを発振するレーザ発振部Lと前記レーザ発振部から照射されたレーザビームの方向を切り替えて有機発光素子の有機発光層に伝達するビーム伝達部110、そして前記レーザビームのサイズを変換させるビームサイズ調節部120及び前記有機発光層のイメージをリアルタイムで撮影する映像部130を含んでなる。もちろん、これに有機発光層上部の対物レンズの焦点を調整するためのオートフォーカス部140及び対物レンズ150をさらに含んでなる。
【0034】
以下は、前記光学系を構成する細部構成を例示するもので、様々な構造に変更できることはもちろん、一例で構成された光学系の構成を、図7を参照して具体化すると以下のとおりである。
【0035】
前記レーザ発振部Lは、前記光学系であるビーム出力(強度)調整手段、ビームプロファイルを変換するビーム形成制御手段をさらに含むことができ、前記ビーム伝達部110は、レーザビームの方向を切り替える第1の方向切り替えミラー111と第2の方向切り替えミラー112と、レーザビームの形状を作製するレーザ用結像レンズ113とレーザビームを対物レンズ150に入射させるレーザ用ハーフミラー114とからなる。
【0036】
前記のレーザ発振器Lから出射されたレーザビームは、ビームの経路を調節する第1の方向切り替えミラー111によって下部の方に切り替えられ、後述のビームサイズ調節部120のスリット123により加工に適したサイズに変更される。スリット123を通過したレーザビームは,下部の第2の方向切り替えミラー112によって反射され、レーザ用結像レンズ113を通してレーザ用ハーフミラー114で反射され、対物レンズ150に入射するようになり、前記有機発光素子の発光層Sに照射され、伝導性粒子に対する加工が進行する。
【0037】
前記レーザ用ハーフミラー114は、レーザ軸とイメージ軸とを結合(combine)させる光学系で、加工に用いられるレーザ波長のビームは反射させ、試料のイメージは透過させ、メインカメラ131へ送る役割をする。可視光領域波長のレーザを用いる場合、イメージ軸の可視光領域と重なるようになるため、可視光領域で50:50の透過反射コーティングを行わなければならない。前記のようなビーム伝達部110の構成によって誘導されるレーザビームの経路は、レーザ用ハーフミラー114でイメージ軸に接するまでは、イメージ軸の光経路と異なる経路を有するにようになる。
【0038】
前記ビームサイズ調節部120は、モータで駆動されるスリット123とスリット123のサイズ及び位置を確認できるスリット照明光源121及びスリット照明用ハーフミラー122とからなる。スリット照明光源121によって出された可視光の照明は、スリット照明用ハーフミラー122で反射され、レーザビームの経路と同様にスリット123を通過した後、第2の方向切り替えミラー112で反射され、レーザ用結像レンズ113を通過し、レーザ用ハーフミラー114によって対物レンズ150に入射するようになり、スリット123の映像が有機発光素子の発光層Sに映るようになる。有機発光素子の発光層Sに映されたスリット123のイメージを元にスリット123のサイズ及び加工位置を確認して加工が進行するようになる。この際、スリット照明用ハーフミラー122は、レーザの出力損失を減らすために、レーザ照射時にはシリンダー駆動により光経路から離脱するようになる。すなわち、加工領域及び加工サイズをスリット照明によって確認した後、レーザ発振時には経路から外れ、スリット照明用ハーフミラー122によるレーザの損失を最小化する。前記のようにインアウト(InOut)構成時は、ハーフミラーの代わりに一般反射ミラーを用いてもよい。インアウト機能を用いることなく,可視光領域のレーザを用いる場合は、照明とレーザの波長が同一可視光であるため、可視光領域で50:50の透過反射コーティングを行わなければならない。したがって、レーザとスリット照明がそれぞれ50%の損失をもたらす。映像部130は、メインカメラ131とイメージ用結像レンズ132、落斜照明光源133、落斜照明用ハーフミラー134及び透過照明光源135で構成される。メインカメラはCCD(CMOS)カメラが用いられる。落斜照明光源133または透過照明光源135によって加工試料Sに光が照らされ、加工試料Sのイメージは、イメージ用結像レンズ132を通してメインカメラ131に映像が映るようになる。イメージ用結像レンズ132は、観察領域(FOV:field of view)をさらに広く確認するために0.5倍の倍率にも変更可能である。この際の落射照明用ハーフミラー134は、落射照明光源133を反射させ、対物レンズ150による加工試料Sの映像がメインカメラ131に伝達できるようにするために、可視光領域における反射及び透過率が50:50となるように設計される。もし落射照明光源133の光量が十分で、透過照明光源135の光量が足りない場合、落射照明用ハーフミラー134の反射及び透過率は、30:70等の割合で設計することもできる。
【0039】
本発明は、前記有機発光素子の発光層Sに対物レンズ150の正確な焦点を合わせるために、前記メインカメラ131と対物レンズ150との間に位置するオートフォーカス部140を備える。オートフォーカス部140は、対物レンズ150の焦点を確認するためのオートフォーカス用カメラ141、焦点イメージを前記オートフォーカス用カメラ141に入射させるためのオートフォーカス用キューブタイプハーフミラー142及び対物レンズ150をZ軸方向(基板方向又は基板反対方向)に上下調整が可能になるように駆動させるZ軸駆動部143からなる。有機発光素子の発光層Sの導電性粒子が存在する部位映像がオートフォーカス部により焦点が合わされてカメラにより出力され、制御部(図示せず)が前記取得映像に基づき焦点調節信号を前記Z軸駆動部143に伝達して対物レンズ150の焦点が調整される。前記対物レンズ150は、倍率の異なる対物レンズ150を装着して加工及び確認ができるように対物レンズ150の変更が可能なリボルバー(図示せず)に装着されており、リボルバーは、直線運動のリニア(Linear)タイプ又は回転運動のロータリ(Rotary)タイプで構成することができる。
【0040】
本発明は前述のように、イメージ軸とレーザ軸の分離により、ハーフミラーの通過回数を減らすことで従来の同軸構造で発生したレーザの出力損失を減らす一方、レーザ用ハーフミラー114を除いてはキューブタイプのハーフミラーの使用が容易であるのでダブルイメージ(Ghost Image)が発生しない。また、イメージ処理方式のオートフォーカス用キューブタイプハーフミラー142とオートフォーカス用カメラ141の更なる装着が容易であるだけでなく、これにより低下する光量又はキューブタイプハーフミラー142の透過反射率の調整により克服可能である。
【0041】
前述のような本発明にかかるピクセル再生装置の構成は、前述したレーザ発振部Lを除いて図8のような構成となるように具現することができる。
【0042】
すなわち、本発明にかかるピクセル再生装置200は、レーザ発振部Lと前記レーザビームを伝導性異物が存在する領域の区間でスキャニングをするスキャナー230とスキャニングされるレーザビームが加速区間又は減速区間では有機発光層に照射されないようにフィルタリングを行うビーム加工面制御手段280とを含む構造として具現することも可能である。
【0043】
前記レーザ発振部Lは、レーザ部210と、前記レーザ部から照射されたレーザビームの強度を調節するビーム強度調節部220とを含んでなる。
【0044】
また、前述した構造に加え、ビーム形状制御手段270と、前記レーザビームをパネルPの色フィルタの照射区間でスキャニングをするスキャナー230と、ビーム加工面制御手段280と、色フィルタ(又はパネル)をリアルタイムで確認する映像部240と照明241、前記レーザビームの焦点を調節するオートフォーカシング部250とフォーカシングレンズ260とを含む。また、光経路を調節するミラー(M1、M2)が多数配置されるように構成することができる。前記スキャナー230は公知の手段であって、レーザビームの方向を切り替えるX-ガルバノミラー及びY-ガルバノミラー、前記各ミラーにより方向が切り替わるレーザビームを集速するスキャンレンズを含む。特に、前記ビーム加工面制御手段280は、スキャニングされる前記レーザビームが加速区間又は減速区間では前記色フィルタに照射されないようにフィルタリングする構成要素である。加速区間又は減速区間とその他の区間ではレーザエネルギー密度に差異があるため、この区間でレーザビームを使用しないようにするためにフィルタリングするものである。これにより、色フィルタ全体の照射領域を均一なエネルギー密度で加工するためのものである。
【0045】
また、本発明によるピクセル再生装置は、図9に示すような構造により具現することができる。
【0046】
すなわち、レーザビームを発振するレーザ発振部300と前記レーザ発振部300により発振されたレーザビームを前記有機発光素子の発光層上の伝導性異物又は伝導性異物が形成された領域部位のサイズに合わせて調節するビームサイズ調節部400、そして前記レーザ発振部300により発振されたレーザビームの経路を調節するビーム伝達部500を図示された構造のように形成することができる。もちろん、ここに前述した各々の構成、すなわち有機発光素子をローディングするローディング手段、レーザ発振部300、ビームサイズ調節部400及びビーム伝達部を制御する制御部を更に含んでなる。図7、図8と同じ機能を果たす構成の符号は同一であり、本実施例では細部構成を図9のように具現することも可能である。
【0047】
図9を参照すると、前記レーザ発振部300はQ-スイッチング方式でレーザビームを発振する機能を果たし、レーザスタビライザー310を用いて均一なレーザを発振させる。このレーザスタビライザー310を用いると、照射領域に均一なレーザが照射される利点がある。本実施例にかかるレーザ発振手段300は、特に有機発光装置の内部の他の層に伝達されるダメージを最小化するために、10ns以下のパルス幅を有するレーザを用いることが好ましい。レーザ発振手段300は近赤外線(NIR)、可視光線(GR)及び近紫外線(NUV)範囲の波長を有するレーザを発振させる。特に好ましくは、前記有機発光素子が偏光板を含まない場合は,300nm以上の波長を、偏光板を含む場合は420nm以上の波長を有するレーザを用いることがより好ましい。
【0048】
また、ビームサイズ調節部400は,レーザビームを液晶パネルの不良部位のサイズに合わせてビームを拡張及び調節する機能を果たす。このような機能を果たすために、ビームサイズ調整部400は,ビームシェーパー(beam shaper、410)とビームスリット(beam slit、420)、又はビームシェーパー410とマスク420とを含んでなる。
【0049】
前記ビームシェーパー410は,レーザ発振手段300から発振されたレーザビームのサイズを拡張させるビームエキスパンダー(beam expande)とレーザのエネルギー分布を均一にするホモジナイザー(homogenizer)とからなり、必要に応じてビームエキスパンダーのみ用いることもできる。
【0050】
また、前記ビームスリット420は,ビームシェーパー410により拡張され、エネルギー分布が均一に形成されたレーザビームを導電性異物部分のサイズに合わせてビームを分割し、マスク420は,ビームシェーパー410により拡張され、エネルギー分布が均一に形成されたレーザビームを予め決められたパターンで通過させる。
【0051】
前記ビーム伝達部500は、第1のミラー510、第2のミラー520及び対物レンズ530を含んでなる。第1のミラー510は,レーザ発振手段300から発振されたレーザビームを反射させる。また、第2のミラー520は、ビームサイズ調整部400を通過したレーザビームを透過させ、有機発光素子800から反射される反射光を反射させる。そして対物レンズ530は、第2のミラー520を透過したレーザビームを集光して透過させる。本実施例に係るビーム伝達部500は、ガントリ(図示せず)に装着されてガントリを移動させたり、液晶パネル800が載せられたステージ(図示せず)を移動させたりすることで、レーザを照射したい位置に正確に照射することができる。
【0052】
また、前記映像部600は、第2のミラー120から反射光を受けてレーザ照射及び再生作業が正確に進行されるのかどうかをリアルタイムで監視する、またはレーザビームの焦点を調節する機能を果たす。このような映像部600は、工程過程をリアルタイムで監視するCCDカメラ610及び有機発光素子800に照射されるレーザビームの焦点を自動に調節するオートフォーカス部620を含む。また制御手段(図示せず)は、レーザ発振部300、ビームサイズ調節部400、ビーム伝達部500及び映像部600を制御する機能を果たす。
【0053】
前述のような本発明の詳細な説明では、具体的な実施例について説明した。しかし、本発明の範疇から逸脱しない範囲内では種々の変形が可能である。本発明の技術的思想は、本発明の前述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲と均等なものによって決められなければならない。
【符号の説明】
【0054】
10,50:基板
20,40:第1の電極、第2の電極
30:発光層
60:カラーフィルター
L:レーザ発振部
110:ビーム伝達部
120:ビームサイズ調節部
130:映像部
140:オートフォーカス部
150:対物レンズ
210:レーザ部
220:ビーム強度調節部
230:スキャナー
240:映像部
250:オートフォーカス部
260:フォーカシングレンズ
300:レーザ発振部
310:レーザスタビライザー
400:ビームサイズ調節部
410:ビームシェーパー
411:ビームエキスパンダー
412:ホモジナイザー
420:ビームスリット
430:マスク
500:ビーム伝達部
510:第1のミラー
520:第2のミラー
530:対物レンズ
600:映像部
610:CCDカメラ
620:オートフォーカス部
700:制御部
800:有機発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、
前記第1の電極及び第2の電極間の有機発光層に存在する伝導性異物存在領域にピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップと、
を含むことを特徴とする有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項2】
前記第2のステップは、前記伝導性異物存在領域にレーザを照射し粉砕して、あるいは前記第1の電極又は第2の電極から分離して、前記伝導性異物存在領域以外のピクセル領域の発光を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項3】
前記第2のステップは、前記伝導性異物に直接レーザを照射して前記伝導性異物そのものを粉砕する、あるいは電極から分離するステップであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項4】
前記第2のステップは、前記伝導性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記伝導性異物を電気的に隔離して正常動作を行うようにするステップであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項5】
前記第2のステップは、前記導電性異物のサイズよりも大きくレーザを照射して前記導電性異物を有機発光層から隔離してピクセルを正常動作させるステップであることを特徴とする請求項3に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項6】
前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項7】
前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、前記有機発光素子が偏光板を含まない場合は300nm以上の波長を、偏光板を含む場合は420nm以上の波長を有するレーザを用いることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子のピクセル再生方法が用いられるピクセル再生装置において、
前記ピクセル再生装置は、
レーザビームを発振するレーザ発振部と、
前記レーザ発振部から照射されたレーザビームの方向を切り替えて有機発光素子の有機発光層に伝達するビーム伝達部と、
前記レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部と、
前記有機発光層のイメージをリアルタイムで撮影する映像部と、
を備えていることを特徴とするピクセル再生装置。
【請求項9】
前記ビームサイズ調節部は、
モータで駆動されるスリットと、
前記スリットのサイズ及び位置を確認することができるスリット照明光源と、
前記スリット照明光源から入射される光の進路を変更させるためのスリット照明用ミラーと、
を有していることを特徴とする請求項8に記載のピクセル再生装置。
【請求項10】
前記ピクセル再生装置は、
前記レーザビームを伝導性異物存在領域の区間でスキャニングをするスキャナーと、
スキャニングされるレーザビームが加速区間又は減速区間では有機発光層に照射されないようにフィルタリングするビーム加工面制御手段と、
を更に有したことを特徴とする請求項8に記載のピクセル再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−238597(P2012−238597A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109496(P2012−109496)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(512124371)コーウィン ディーエスティー カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】COWINDST CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77, DONGPYEON−RO, GWANYANG−DONG DONGAN−GU, ANYANG−SI, GYEONGGI−DO 431−803, REPUBLIC OF KOREA
【Fターム(参考)】