説明

ピストン対向型ディスクブレーキ

【課題】ピストン対向型ディスクブレーキにおいて、インナキャリパとアウタキャリパのシリンダを連通させる油路(連通路)の加工の容易化と、エアー抜きの確実化を図ることを課題としている。
【解決手段】インナキャリパ2とアウタキャリパ3のシリンダ5にそれぞれ繋がれたシリンダ接続油路10がキャリパ鋳造時に中子で成形されており、そのシリンダ接続油路10がシリンダ5の底部から通路連通穴13の設置点までディスク径方向外側に延伸し、その延伸した先端がブリッジ部4に設けられた通路連通穴13と直接繋がり、車両へのキャリパボディ取り付け状態で、天の側の通路連通穴13の内壁面の天頂部がシリンダ接続油路10の先端よりも高い位置にある構造にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用のディスクブレーキ、詳しくは、シリンダ連通用油路の加工の容易化と、シリンダ及び油路にブレーキ液を充填するときのエアー抜きの確実化を図ったピストン対向型ディスクブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
首記のピストン対向型ディスクブレーキは、インナキャリパとアウタキャリパにそれぞれ形成されるシリンダがキャリパボディの内部に設けた油路を介して接続される。そのキャリパボディ内部の油路に関して、その油路を中子で成形して設ける構造が知られている(下記特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1が開示しているディスクブレーキ(ブレーキキャリパ)は、分割されたインナキャリパとアウタキャリパに、それぞれ、ディスク(ディスクロータ)軸方向に延びる直線路と、シリンダ底部からディスク(ディスクロータ)径方向外側に延びて前記直線路に繋がる導入ポートをキャリパ鋳造時に中子で成形して設けている。直線路は、ディスク軸方向に2分されたブリッジ部に設けており、インナキャリパとアウタキャリパのブリッジ部を突き合わせてボルトで連結し、ことのときに、両キャリパの直線路を互いに接続してインナキャリパとアウタキャリパのシリンダを連通させている。
【0004】
また、特許文献2のディスクブレーキは、シリンダ底部にディスク径方向外側に延伸する先細三角形状の凹部を中子で成形して設け、その凹部に機械加工した接続穴、連通穴、通路穴を繋いでインナキャリパのシリンダとアウタキャリパのシリンダを連通させている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−117964号公報
【特許文献2】特開2005−163809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、キャリパのブリッジ部に設ける直線路の形成方法として、中子で成形する方法とドリル加工する方法を挙げているが、この直線路は、細く長い穴であるため中子による成形は容易でない。特に、特許文献2が示しているように、インナキャリパとアウタキャリパが一体に形成される場合には、直線路の長さが非常に長くなって中子による成形が極めて難しくなるため、実際にはドリル加工せざるを得ない。
【0007】
ところが、その細く長い穴(以下では連通穴という)は、ドリルで加工すると反り(曲がり)が発生し易く、その反りによって接続相手(特許文献1では導入ポート)との接続点に位置的なずれがでる。特許文献1に示された構造ではそのずれの許容範囲が狭く、接続のずれに起因した接続不良が生じて不良品が発生することがある。
【0008】
例えば、ドリル加工する連通穴の反り(曲がり)具合によっては、車両へのキャリパ取り付け状態で連通穴が接続相手の先端よりも低い位置で接続相手に繋がる事態が生じ、接続点よりも天の方向に突出した接続相手の先端部が空気溜りとなってエアー抜きが不十分になる可能性がある。また、連通穴と接続相手の確実な連通が妨げられる懸念もある。
【0009】
上記の問題は、特許文献2が開示しているような一体型キャリパを用いる場合には、ドリル加工する連通穴がより長くてより反り易い穴になることから、特に発生し易くなる。
【0010】
一方、特許文献2に開示された構造は、インナキャリパに形成された凹部とアウタキャリパに形成された凹部を複数の穴を介して繋いでおり、連通穴を複数に分けたことで1穴当たりの穴長さが短縮されるため、特許文献1のブレーキに比べるとドリル加工した穴の反りによる接続不良の問題が少なくなる。しかしながら、この構造は、穴の加工工数が増える。また、複数の穴の加工方向が異なるため、複数方向からの加工が可能な設備が必要であり、加工設備のコスト増も避けられない。
【0011】
この発明は、ピストン対向型ディスクブレーキを対象にして、インナキャリパとアウタキャリパのシリンダを連通させる油路(連通路)の加工の容易化と、エアー抜きの確実化を図ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明においては、対向配置のインナキャリパとアウタキャリパがディスクロータを跨ぐブリッジ部を介して連結されたキャリパボディと、前記インナキャリパ、アウタキャリパの各々が備えるシリンダにそれぞれ挿入された油圧作動のピストンと、そのピストンで押圧してディスクロータに摺接させる対向配置のブレーキパッドを備えるピストン対向型ディスクブレーキを以下の通りに構成した。
【0013】
インナキャリパとアウタキャリパのシリンダにそれぞれ繋がれたシリンダ接続油路と、前記ブリッジ部にドリルで加工して設けられたディスク軸方向の直線の通路連通穴と、その通路連通穴のインナー側に連なったブリーダ穴にねじ込まれてそのブリーダ穴を封鎖するエアブリーダを有し、
前記シリンダ接続油路はキャリパ鋳造時に中子で成形されており、そのシリンダ接続油路が前記シリンダの底部から前記通路連通穴の設置点までディスク径方向外側に延伸し、
そのシリンダ接続油路の延伸した先端が前記通路連通穴と直接繋がり、
車両へのキャリパボディ取り付け状態で、天の側のブリッジ部に設けられた前記通路連通穴の内壁面の天頂部が前記シリンダ接続油路の先端よりも高い位置にある構造にした。
なお、ここで言う「ディスク軸方向の通路連通穴」には、ディスク軸と平行な穴とディスク軸に対して傾きをもつ穴の両者が含まれる。
また、ここで言う「天の側」とは、地平面に対して位置のより高い側を指す。
【0014】
このディスクブレーキの好ましい形態を以下に挙げる。
(1)車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部に形成された前記通路連通穴に直
接繋がる前記シリンダ接続油路のうち、インナキャリパのシリンダに繋がれたシリンダ接続油路がアウタキャリパのシリンダに繋がれたシリンダ接続油路よりもディスク径方向外側へより大きく延伸し、天の側のブリッジ部に形成された前記通路連通穴が、ディスク軸に対してその穴のインナー側がアウター側よりも位置的に高くなる方向に傾いて形成されたもの。
(2)ディスク軸に垂直な断面において、前記通路連通穴が円形であり、前記シリンダ接続油路の先端は前記通路連通穴の半径よりも大きなR半径を持つもの。
(3)前記ブリーダ穴を前記通路連通穴と同軸上に配置したもの。
(4)前記インナキャリパ、アウタキャリパ及びブリッジ部が鋳造により一体に形成されたもの。
【発明の効果】
【0015】
この発明のディスクブレーキは、インナキャリパとアウタキャリパに、それぞれシリンダ底部からディスク径方向外側に延伸するシリンダ接続油路を中子で成形して設け、そのインナキャリパとアウタキャリパのシリンダ接続油路を、キャリパのブリッジ部に設ける直線の通路連通穴を介して互いに連通させるので、対をなすシリンダ接続油路を1本の通路連通穴で連通させることができ、穴加工の工数削減が図れる。
【0016】
また、車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部に設けられた通路連通穴の内壁面の天頂部の位置をシリンダ接続油路の先端よりも高くしたので、通路連通穴が加工中に反ってもシリンダ接続油路の先端が通路連通穴の内壁面の天頂部よりも上にくることが無い。このために、油路の内部に空気溜りができず、作動油充填時のエアー抜きも確実になる。
【0017】
このほか、インナー側シリンダ接続油路のディスク径方向外側への延伸量を、アウター側シリンダ接続油路の延伸量よりも大きくし、天の側のブリッジ部に形成された通路連通穴をディスク軸に対してその穴のインナー側がアウター側よりも位置的に高くなる方向に傾けたものは、ブレーキ作動油に混入したエアーが位置の高いインナー側に流れるため、エアー抜け性がより良くなる。
【0018】
また、ディスク軸に垂直な断面において、前記通路連通穴が円形であり、シリンダ接続油路の先端は前記通路連通穴の半径よりも大きなR半径を持つ形にしたものは、シリンダ接続油路の先端の面積が大きくなって通路連通穴の反りの許容範囲が拡大するため、通路連通穴とシリンダ接続油路の繋がりが確実化される。
【0019】
さらに、ブリーダ穴を前記通路連通穴と同軸上に配置したものは、キャリパに明けた通路連通穴の一部をブリーダ穴の下穴として使用することができ、加工工数の削減効果が高まる。また、通路連通穴をインナー側が位置的に上になるように傾けたものにこの構成を付加すると、ブリーダ穴の位置が最も高くなってエアー抜きがしやすくなる。
【0020】
なお、インナキャリパとアウタキャリパとブリッジ部が鋳造により一体に形成されるディスクブレーキは、キャリパが2分されたものに比べて前記通路連通穴の長さが長くなるため、その穴の反りが大きくなる。従って、この一体型キャリパを採用したディスクブレーキにこの発明を適用すると、発明の有効性が特に顕著に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を、添付図面の図1〜図4に基いて説明する。図1及び図2は第1の
実施形態である。このピストン対向型ディスクブレーキは、主たる要素として、キャリパボディ1と、油圧作動のピストン6と、そのピストン6で押圧してディスクロータDに摺接させるブレーキパッド7を備えている。
【0022】
キャリパボディ1は、対向配置のインナキャリパ2とアウタキャリパ3を、ディスクロータDを跨ぐブリッジ部4を介して連結したものであって、例示のブレーキのキャリパボディ1は、インナキャリパ2とアウタキャリパ3とブリッジ部4が鋳造により一体に形成されている。
【0023】
図中左側のインナキャリパ2と右側のアウタキャリパ3には、それぞれシリンダ5が形成され、そのシリンダ5にピストン6が液密に挿入されている。17は、ピストン6の外周を封止するピストンシールである。このシールは、除圧時にピストン6を一定量引き戻すリトラクト機能を有している。
【0024】
キャリパボディ1には窓穴8が設けられており、その窓穴8に、ピストン6で押圧してディスクロータDに摺接させるブレーキパッド7がディスク軸方向スライド自在に組み込まれる。そのブレーキパッド7はキャリパに取り付けるパッドピン9で吊るして保持している。
【0025】
次に、この発明を特徴づける部分の構成について説明する。インナキャリパ2とアウタキャリパ3には、シリンダ5の底部からディスク径方向外側に向って延伸するシリンダ接続油路10が設けられている。このシリンダ接続油路10は、キャリパボディ1を鋳造するときに、崩壊性中子を使用してシリンダ5及び隣り合うシリンダを互いに連通させる連通路11と共に一体成形した油路であって、その先端(延伸端)は、キャリパボディ1に設けられたディスク溝12(図2参照)よりもディスク径方向の外側、即ち、ブリッジ部4をディスク軸方向に延長した領域内にある。
【0026】
また、キャリパボディ1のブリッジ部4には、ディスク軸方向の通路連通穴13が設けられている。また、この通路連通穴13のインナー側に連なる部分は、通路連通穴13と同軸のブリーダ穴14として形成され、そのブリーダ穴14にエアブリーダ15がねじ込まれてブリーダ穴14が封鎖されている。ブリーダ穴14は、通路連通穴13をドリルで加工してあけたときの穴を下穴にして加工されている。
【0027】
上記通路連通穴13は、キャリパボディ1にインナー側からドリル加工して明けられた小径の直線
の穴である。中子で成形されたシリンダ接続油路10は、シリンダ5の底部からこの通路連通穴13の設置点までディスク径方向外側に延伸しており、インナキャリパ2とアウタキャリパ3にそれぞれ設けられた通路連通穴13がこのシリンダ接続油路10の先端に直接繋がっている。
【0028】
通路連通穴13は、ディスク軸に垂直な断面が円形をなし、一方、シリンダ接続油路10は、図4(b)に実線で示すような穴、即ち、ディスク軸に垂直な断面での先端形状が通路連通穴13の半径よりも大きなR半径を持つ半円形をなす穴にしており、そのシリンダ接続油路10の先端に対してR中心を偏心させた通路連通穴13が繋がっている。
【0029】
車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部4に設けられた通路連通穴13は、内壁面の天頂部Tがシリンダ接続油路10の先端よりも高い位置にくるように配慮してシリンダ接続油路10に接続される。
【0030】
シリンダ接続油路の先端から通路連通穴13の内壁面の天頂部Tまでの設計上の距離を、通路連通穴13のドリル加工による想定反り量よりも大きく設定することで車両へのキャリパボディ取り付け状態で、天の側のブリッジ部4に設けられた通路連通穴13の内壁面の天頂部Tの位置がシリンダ接続油路10の先端位置よりも高くなる状況を確実に作り出すことが可能である。
【0031】
シリンダ接続油路10の先端のR半径を通路連通穴13のR半径よりも大きくすること、及び車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部4に設けられた通路連通穴13の内壁面の天頂部Tの位置をシリンダ接続油路10の先端よりも高くすることの効果についてさらに述べる。
【0032】
図4(a)は、天の側のシリンダ接続油路10の先端の位置が通路連通穴13の内壁面の天頂部Tよりも高くなっている状態を示している。この状態では、シリンダ接続油路10の先端の通路連通穴13よりも位置が高くなっている部分に空気溜りAができてブレーキ作動油の完全なエアー抜きがなされない。
【0033】
図4(b)は、天の側のシリンダ接続油路10について、そのシリンダ接続油路10の先端のR半径が通路連通穴13のR半径よりも大きい場合と、小さい場合の効果の違いを比較して示している。即ち、シリンダ接続油路10の先端のR半径r1が、実線で示すように通路連通穴13のR半径r2よりも大きければ、通路連通穴13の位置が目標点(実線の位置)から多少ずれても接続は不具合無くなされる。これに対し、シリンダ接続油路10の先端のR半径r3が、一点鎖線で示すように通路連通穴13のR半径r2よりも小さければ、通路連通穴13の位置が目標点から少しずれるだけで両者の繋がり状態が悪化して必要な接続面積が確保されなくなる。
【0034】
図4(c)は、天の側のシリンダ接続油路10の先端形状が角ばっている場合と、R形状である場合の効果の違いを比較して示している。シリンダ接続油路10の先端形状が一点鎖線で示すように角ばっていると、通路連通穴13の位置ずれは吸収されるが、シリンダ接続油路10の中心が垂直軸に対して傾いたときにそのシリンダ接続油路10の片方のコーナの位置が通路連通穴13との接続部よりも上になって空気溜りAができる可能性がある。これに対し、シリンダ接続油路10の先端のR半径r1が、実線で示すように丸みを帯びていると、通路連通穴13の位置が目標点(実線の位置)から多少ずれても接続は不具合無くなされ、空気溜りができることもない。
【0035】
以上の理由から、シリンダ接続油路10の先端は、通路連通穴13よりもR半径の大きな円弧断面を持つ形状にするのがよく、また、車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側の通路連通穴13の内壁面の天頂部Tの位置をシリンダ接続油路10の先端よりも高くするのがよい。
【0036】
図3は、この発明のピストン対向型ディスクブレーキの第2の実施形態である。このディスクブレーキは、インナキャリパ2のシリンダ5に繋がれた図中左方のシリンダ接続油路10がアウタキャリパ3のシリンダ5に繋がれた図中右方のシリンダ接続油路10よりもディスク径方向外側へより大きく延伸し、車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部4に形成された通路連通穴13を、ディスク軸に対してその穴のインナー側(図中左側)がアウター側よりも位置的に高くなる方向に傾けている。
【0037】
これにより、ブレーキ作動油中のエアーが自然にブリーダ穴に流れ込むようになってエアー抜きがより簡単に行える。
【0038】
図1、図3の16は、車両に対するキャリパボディ取り付け状態で地の側のブリッジ部4に設けられた通路連通穴13の開口端を塞ぐ閉栓である。ブレーキキャリパは、一般に右勝手用と左勝手用を共用する目的でディスクロータ回入側とディスクロータ回出側を対称形状にすることが多い。例示のディスクブレーキもそのようにしたものであって、エアブリーダ15と閉栓16の位置を着け替えると、左右の勝手が異なるものに変化する。
【0039】
なお、例示のディスクブレーキは、ピストン6をディスクロータDの回転方向に複数並べて配置しているが、ピストン6をインナー側とアウター側に各1個備えるディスクブレーキもこの発明の適用対象に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明のピストン対向型ディスクブレーキの第1の実施形態を示す部分破断正面図
【図2】キャリパボディを図1のII−II線に沿った位置で破断して示す断面図
【図3】この発明のピストン対向型ディスクブレーキの第2の実施形態を示す部分破断正面図
【図4】(a)シリンダ接続油路の先端と通路連通穴の位置関係の好ましくない例を示す図、(b)シリンダ接続油路の先端Rと通路連通穴のR半径の関係の好ましい例と好ましくない例を比較して示す図、(c)シリンダ接続油路の先端形状の好ましい例と好ましくない例を比較して示す図
【符号の説明】
【0041】
1 キャリパボディ
2 インナキャリパ
3 アウタキャリパ
4 ブリッジ部
5 シリンダ
6 ピストン
7 ブレーキパッド
8 窓穴
9 パッドピン
10 シリンダ接続油路
11 シリンダ相互の連通路
12 ディスク溝
13 通路連通穴
14 ブリーダ穴
15 エアブリーダ
16 閉栓
17 ピストンシール
D ディスクロータ
T 通路連通穴の内壁面の天頂部
A 空気溜り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置のインナキャリパ(2)とアウタキャリパ(3)がディスクロータ(D)を跨ぐブリッジ部(4)を介して連結されたキャリパボディ(1)と、前記インナキャリパ(2)、アウタキャリパ(3)の各々が備えるシリンダ(5)にそれぞれ挿入された油圧作動のピストン(6)と、そのピストン(6)で押圧して前記ディスクロータ(D)に摺接させる対向配置のブレーキパッド(7)と、インナキャリパ(2)とアウタキャリパ(3)のシリンダ(5)にそれぞれ繋がれたシリンダ接続油路(10)と、前記ブリッジ部(4)に設けられたディスク軸方向の直線の通路連通穴(13)と、その通路連通穴(13)のインナー側に連なったブリーダ穴(14)にねじ込まれてそのブリーダ穴(14)を封鎖するエアブリーダ(15)を有し、
前記シリンダ接続油路(10)はキャリパ鋳造時に中子で成形されており、そのシリンダ接続油路(10)が前記シリンダ(5)の底部から前記通路連通穴(13)の設置点までディスク径方向外側に延伸し、
そのシリンダ接続油路(10)の延伸した先端が前記通路連通穴(13)と直接繋がり、
車両へのキャリパボディ取り付け状態で、天の側のブリッジ部(4)に設けられた前記通路連通穴(13)の内壁面の天頂部(T)が前記シリンダ接続油路(10)の先端よりも高い位置にあるピストン対向型ディスクブレーキ。
【請求項2】
車両へのキャリパボディ取り付け状態で天の側のブリッジ部(4)に形成された前記通路連通穴(13)に直接繋がる前記シリンダ接続油路(10)のうち、インナキャリパ(2)のシリンダに繋がれたシリンダ接続油路(10)がアウタキャリパ(3)のシリンダに繋がれたシリンダ接続油路(10)よりもディスク径方向外側へより大きく延伸し、
天の側のブリッジ部(4)に形成された前記通路連通穴(13)が、ディスク軸に対してその穴のインナー側がアウター側よりも位置的に高くなる方向に傾いて形成されたことを特徴とする請求項1に記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
【請求項3】
ディスク軸に垂直な断面において、前記通路連通穴(13)が円形であり、前記シリンダ接続油路(10)の先端は前記通路連通穴(13)の半径よりも大きなR半径を持つことを特徴とする請求項1又は2に記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
【請求項4】
前記ブリーダ穴(14)を前記通路連通穴(13)と同軸上に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のピストン対向型ディスクブレーキ。
【請求項5】
前記インナキャリパ(2)、アウタキャリパ(3)及びブリッジ部(4)が鋳造により一体に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピストン対向型ディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−101342(P2010−101342A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270907(P2008−270907)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】