説明

ピタバスタチン及び医薬として許容可能なそれらの塩の製造方法

本発明は、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩を開示し、そのアルカリ又はアルカリ土類金属が、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ストロンチウム、及びバリウムのうちの1つ以上を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピタバスタチン及び医薬として許容可能なその塩の製造方法に関する。特に、本発明は、結晶と非晶質(アモルファス)の形態の、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ピタバスタチンカルシウムは、下記式IAを有する(3R,5S)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプテン酸カルシウム塩として文献で知られている。
【0003】
【化1】

【0004】
ピタバスタチンは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムa(HMG−CoA)還元酵素の阻害剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤)として作用する合成された脂質低下剤である。この酵素は、HMG−CoAからメバロネートへの変換を触媒し、阻害剤は一般に「スタチン類」と言われている。スタチン類は、心臓血管疾患のおそれがある患者の血流中の低密度リポタンパク質(LDL)粒子の濃度を低下させるために用いられる治療上有効な薬剤である。ピタバスタチンは、高コレステロール血症及び混合型脂質異常症の治療に用いられる。
【0005】
ピタバスタチンカルシウムは、興和株式会社(日本国)によって新規な化学的に合成された強力なスタチンとして最近開発された。報告されたデータに基づけば、ピタバスタチンの有効性は用量に依存し、アトルバスタチンと同等であると思われる。この新しいスタチンは、高コレステロール血症の患者の治療において安全かつ良好な寛容性をもつ。多くの他の一般的に用いられる薬剤との有意な相互作用は著しく低いと考えることができる。
【0006】
ピタバスタチンの製造方法は、欧州特許出願公開第0304063号公報及び欧州特許出願公開第1099694号公報、並びにMiyachiら,Tetrahedron Letters (1993) vol. 34, 8267-8270頁、及びTakahashiら,Bull. Chem. Soc. Japan (1995) Vol. 68, 2649-2656頁の刊行物に記載されている。これらの刊行物にはピタバスタチンの合成が非常に詳細に記載されているが、ピタバスタチンのヘミカルシウム塩は記載されていない。Sorberaら,Drugs of the Future (1998) vol. 23, 847-859頁及びM. Suzukiら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1999) vol. 9, 2977-2982頁の刊行物には、ピタバスタチンカルシウムが記載されているが、その製造のための正確な手順は示されていない。ピタバスタチンカルシウムの製造のための完全な合成手順は、欧州特許出願公開第0520406号公報に記載されている。その特許に記載された方法では、ピタバスタチンカルシウムは、水溶液からの沈殿によって、190〜192℃の融点をもつ白色結晶物質として得られている。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0182008号公報には、ピタバスタチンカルシウム塩(2:1)の多形体A、B、C、D、E、及びFと非晶質(アモルファス)形態が開示されている。特に、約5%から15%の水分を有する結晶形Aと、その製造方法が開示されている。
【0008】
米国特許出願公開第2009/0176987号公報にもピタバスタチンカルシウムの結晶多形の結晶形Aが開示されており、これは5〜15%の水を含み、且つ、CuKα線を用いて測定したX線粉末回折において、30.16°の回折角(2θ)に25%より大きな相対強度を有するピークを示す。
【0009】
国際公開WO2007/132482号公報には、式3の臭化物塩と式4のアルデヒド化合物を縮合させることによって式5のオレフィン化合物を得て、オレフィン化合物を、精製のための有機アミン塩を経由してピタバスタチンカルシウムに変換することによってピタバスタチンカルシウムを調製する新規な方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0304063号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1099694号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第0520406号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0182008号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0176987号公報
【特許文献6】国際公開WO2007/132482号公報
【特許文献7】国際公開WO95/11898号公報
【特許文献8】米国特許第6,627,636号明細書
【特許文献9】米国特許第5,763,675号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Miyachiら,Tetrahedron Letters (1993) vol. 34, 8267-8270頁
【非特許文献2】Takahashiら,Bull. Chem. Soc. Japan (1995) Vol. 68, 2649-2656頁
【非特許文献3】Sorberaら,Drugs of the Future (1998) vol. 23, 847-859頁
【非特許文献4】M. Suzukiら,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (1999) vol. 9, 2977-2982頁
【非特許文献5】Tetrahedron Letters, Vol. 34, No. 51, p.p. 8271-8274 (1993)
【非特許文献6】Heterocycles, Vol. 50, No. 1, 1999; Drugs of Future 1998 23 (8)
【非特許文献7】Tetrahedron Asymmetry 1993, Vol. 4, pp. 201-204
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術には、ピタバスタチンマグネシウムの調製のために利用できる報告は全くない。したがって、本件発明の発明者は、ピタバスタチンの新規な、医薬として許容可能な塩、好ましくはマグネシウム塩を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にしたがい、キノリン誘導体、例えば、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類塩(HMG−CoA阻害剤)を提供し、より具体的には、本発明は、結晶、及び非晶質(アモルファス)の形態のピタバスタチンマグネシウムの新規な製造方法を提供する。
【0014】
一つの態様では、ピタバスタチン及びその医薬として許容可能な塩の新規な製造方法を提供する。特に、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属には、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ストロンチウム、バリウムなどのうちの1つ以上が含まれる。ピタバスタチンは(3R,5S)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプテン酸として化学的に公知であり、その医薬として許容可能な塩類は以下の式Iを有する。
【0015】
【化2】

(式中、Mは、K、Mg2+、Sr2+、Zn2+、Ba2+である。)
【0016】
一つの好ましい態様では、ピタバスタチン及び医薬として許容可能なその塩、特に式IBを有する(3R,5S)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプテン酸マグネシウム塩として化学的に理解されるピタバスタチンマグネシウムの新規な製造方法を提供する。
【0017】
第二の態様では、新規な塩である、式(IB)のピタバスタチンマグネシウムを提供する。
【化3】

【0018】
なお別の態様では、10.1、13.2、19.3、及び27.2±0.2(2θ)にX線粉末回折ピークをもつ結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを提供する。
【0019】
さらなる態様では、式(IB)のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、その方法は以下の工程を含む:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)酸性条件下で式IIの化合物を加水分解してアセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でアルカリ金属水酸化物で処理して、ピタバスタチン(I)の対応するアルカリ金属塩を形成させる工程;
(d)ピタバスタチンのアルカリ金属塩をマグネシウム源で処理してピタバスタチンマグネシウムを得る工程;及び
(e)そのピタバスタチンマグネシウムを単離する工程。
【0020】
上記態様によれば、本発明によるピタバスタチンマグネシウムの製造方法は、約7%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムをもたらす。
【0021】
別の態様によれば、式(II)の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステルが結晶形態で得られる。
【0022】
別の態様によれば、結晶形態で(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステルを得るための改良された精製方法を提供する。
【0023】
さらなる態様によれば、非晶質(アモルファス)形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、その方法は以下の工程を含む:
(a)好適な有機溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの溶液を準備する工程であって、前記の有機溶媒が、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、脂肪族もしくは環状エーテル、及びそれらの混合物のなかの1つ以上である工程;
(b)上記の溶液に好適な貧溶媒を添加する工程;及び
(c)非晶質(アモルファス)形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程。
【0024】
さらなる態様によれば、約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、この方法は以下の工程を含む:
(a)約8%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを準備する工程;
(b)上記のピタバスタチンマグネシウムを流動床乾燥機中で湿った空気と接触させるか、あるいは約1〜5日の期間、30mm/Hg未満の圧力下で約5〜約60℃の温度に保つ工程;及び
(c)約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程。
【0025】
さらなる態様によれば、安定な結晶形態にある実質的に純粋なピタバスタチンマグネシウムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、実施例2の方法によって製造した約8%〜約12%の水分含有量を有する結晶のピタバスタチンマグネシウムのX線回折パターンを示す。
【図2】図2は、実施例3の方法によって製造した非晶質のピタバスタチンマグネシウムのX線回折パターンを示す。
【図3】図3は、結晶の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物(II)のX線回折パターンを示す。
【図4】約116.4℃に発熱ピークを有する結晶の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物(II)のDSCサーモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の1つ以上の態様の詳細を、以下に本明細書中で説明する。
【0028】
本発明のその他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【0029】
[本発明の詳細な説明]
従来技術は、より良い純度を得るためにピタバスタチンの有機アミン塩を用いることを開示している。本発明者は、本明細書に示す方法を用いることによって製造したピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩が、より良好な収率と純度をもたらし、且つアミン塩の形成を用いることを避けることを発見した。このことは、工程の経済性と商業的な実行可能性を顕著に向上させる。
【0030】
本明細書で用いるとおり、「単離」の用語には、濾過、減圧濾過、遠心、及びデカンテーションが含まれる。得られた生成物は、さらに又は追加で乾燥させられて、所望の水分値を達成することができる。例えば、生成物は、トレイ(皿)乾燥機中で、減圧下で、及び/又は流動床乾燥機中で乾燥させることができる。
【0031】
任意選択で場合によっては、固体形成の前に溶液を濾過して、溶媒を除去する前に、溶けていない固体、固形不純物などを除去することができる。当技術分野で公知の任意の濾過システム及び濾過手法を用いることができる。
【0032】
「好適な有機溶媒」の用語は、単一の溶媒、又は2種以上の溶媒の組み合わせを意味する。
【0033】
「実質的に純粋」の用語は、本発明の方法によって製造したピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩が、いずれかの単一の個別の不純物、例えば、デスフルオロ不純物、シス異性体不純物、ピタバスタチン5−オキソ不純物、ピタバスタチンラクトン不純物、ピタバスタチンt−ブチルジオールエステル不純物、及びピタバスタチンが縮合した不純物を実質的に含まないことを意味する。
【0034】
さらに、「実質的に純粋」の用語は、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩が99%より高い純度を有することを意味する。特に、それは、HPLCの面積百分率(パーセント)が99.5%より大きくてもよい。とくに、ここで上に記載した単一の個別の不純物が約0.1%未満でしか含まれず、全不純物がHPLCの面積百分率で1.0%以下である。
【0035】
特に、ピタバスタチンジアステレオマー不純物及びピタバスタチンエナンチオマー不純物は、HPLCの面積百分率で約0.3%未満しか存在しない。
【0036】
ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩の製造において存在する上記の不純物には、以下で本明細書に記載した方法によって製造したピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩の様々なバッチのHPLC分析から決定した以下のものが含まれる。
【0037】
【化4】

【0038】
第一の態様では、ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩を提供し、そのアルカリ又はアルカリ土類金属は、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ストロンチウム、バリウムなどのうちの1つ以上を含む。とくに、それは、マグネシウム、亜鉛、及びカリウムのうちの1つ以上を含んでいてよい。
【0039】
本発明の第二の態様では、新規な塩である式(IB)のピタバスタチンマグネシウムを提供する。
【化5】

【0040】
特に、ピタバスタチンマグネシウムは、約7%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する水和物であってもよい。特に、その水分含有量は、約9%〜約12%wt/wtであってもよい。さらに特に、その水分含有量は、カール−フィッシャー法などの当技術分野で公知の方法によって測定して約10%〜約12%wt/wtであることができる。
【0041】
なお別の態様では、10.1、13.2、19.3、及び27.2±0.2(2θ)にX線粉末回折ピークを有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを提供する。特に、このピタバスタチンマグネシウムの結晶形態は、図1に示されているX線粉末回折パターンを有している。さらなる態様には、1%DMSO中で20±0.5℃にて、約+22.0〜+22.5°の旋光度を有するピタバスタチンマグネシウムが含まれる。
【0042】
なお別の態様では、図2に示されているX線粉末回折ピークを有する非晶質(アモルファス)形態のピタバスチンマグネシウムを提供する。さらなる態様によれば、この非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムは、約5%wt/wt未満の水分含有量しか有していない。特に、それは約2%wt/wt未満の水分含有量しか有していないことができる。
【0043】
第三の態様では、ピタバスタチン及び医薬として許容可能なその塩、特にピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ金属の製造方法を提供し、塩には、マグネシウム、カリウム、亜鉛などの1つ以上が含まれる。
【0044】
ピタバスタチンのアルカリ金属塩は、一般式(I)を有する(3R,5S)−7−[2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプテン酸塩として化学的に知られる。
【化6】

(式中、Mは、Na、K、Liである。)
【0045】
本発明のさらなる態様では、式(IC)のピタバスタチン亜鉛を提供する。
【化7】

【0046】
本発明のなお別の態様では、式(ID)のピタバスタチンカリウムを提供する。
【化8】

【0047】
さらなる態様によれば、式(IB):
【化9】

のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、
この方法は、以下の工程を含む:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IV:
【化10】

の臭化ホスホニウム化合物を、式III:
【化11】

のアルデヒド化合物と反応させて、式II:
【化12】

の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)式IIの化合物を酸性条件下で加水分解して、アセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でアルカリ金属水酸化物で処理して、対応する式(I):
【化13】

(式中、Mは、Na、K、Liである。)
のピタバスタチンのアルカリ金属塩を形成させる工程;
(d)ピタバスタチンのアルカリ金属塩(I)をマグネシウム源で処理して、ピタバスタチンマグネシウムを得る工程;及び
(e)そのピタバスタチンマグネシウムを単離する工程。
【0048】
式IVの臭化ホスホニウム化合物と式IIIのアルデヒド化合物は、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で反応させることができる。アルカリ又はアルカリ土類金属塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどのうちの1つ以上が含まれる。特に、それは炭酸カリウムであることができる。
【0049】
その反応を、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、又はそれらの混合物のうち1つ以上を含む好適な極性非プロトン溶媒中で行う態様が含まれる。特に、溶媒はジメチルスルホキシドであってよい。この反応は、常温で、すなわち、約15℃〜約40℃で行ってよい。特に、それは約20℃〜約35℃であってよい。
【0050】
反応混合物は、約5〜15時間、反応が完結するまで撹拌してよく、特に10時間である。反応混合物は、式IIの化合物を抽出するために、好適な有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、塩化メチレン、酢酸エチルでさらに処理することができる。特に、式IIの化合物はトルエンを用いて抽出することができる。
【0051】
一般に、式IIの化合物は、トルエンの除去の後、イソプロパノールを添加することによって単離することができる。イソプロパノールの添加後、反応混合物を40℃〜80℃、好ましくは60℃〜70℃に加熱し、さらに15℃に冷やして、式(II)のオレフィン化合物を得ることができる。式(II)の化合物は、好適な極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの中で精製することができる。特に、式(II)の化合物はメタノールを用いて精製することができる。
【0052】
本方法のさらなる態様には、式(II)の化合物の加水分解が含まれる。オレフィン化合物の加水分解を酸性条件下で行い、アセトニド保護基を除去して、ジオール化合物を生成させる。好適な酸には、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、リン酸などのうちの1つ以上が含まれる。特に、それは塩酸であることができる。
【0053】
得られたジオール化合物を、その場(in situ)で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどから選択されるアルカリ金属水酸化物で処理する。
【0054】
特に、それは、ピタバスタチンの対応するアルカリ金属塩(I)を得るために、水酸化ナトリウムであることができる。
【化14】

(式中、MはNaである。)
【0055】
本方法の態様には、ピタバスタチンの式(I)のアルカリ金属塩を処理することが含まれ、特に、ピタバスタチンナトリウムをマグネシウム源で処理することができる。好ましいマグネシウム源には、塩化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、及びそれらの水和物の1つ以上が含まれる。特に、それは塩化マグネシウム6水和物であってよい。
【0056】
一般に、上述した方法で調製したピタバスタチンマグネシウムは、40℃〜45℃の空気オーブン中で、少なくとも約4〜24時間の間乾燥させて、約8〜12%wt/wtの範囲の水分含有量を有し、結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを得ることができる。
【0057】
実施態様には、約8%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有するピタバスタチンマグネシウムを8時間以上、特に、少なくとも24時間乾燥させて、約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない実質的に無水のピタバスタチンマグネシウムを得ることもさらに含まれる。
【0058】
好ましい態様によれば、式(II)の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物の改良された製造方法を提供する。
【0059】
【化15】

【0060】
上記の方法は、以下の工程:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)式IIの化合物を1つ以上の好適な極性溶媒で処理して、反応混合物を形成させる工程;
(c)上記反応混合物を昇温した温度で加熱する工程;
(d)上記反応混合物を常温に冷やす工程;及び
(e)上記の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物を結晶形態で単離する工程、
を含む。
【0061】
式IVの臭化ホスホニウム化合物と式IIIのアルデヒド化合物を、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で反応させることができる。アルカリ又はアルカリ土類金属塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどの1つ以上が含まれる。特に、それは炭酸カリウムであってよい。
【0062】
実施態様には、上記反応を、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、又はそれらの混合物のうちから選択される好適な極性非プロトン溶媒の1つ以上の中で行うことができることも含まれる。特に、常温、すなわち、約15℃〜約40℃でのジメチルスルホキシドであってよい。特に、それは約20℃〜約35℃であってよい。
【0063】
上記の反応混合物は、反応が完了するまで、約5〜15時間撹拌することができる。特に、それは10時間であってよい。反応混合物は、式IIの化合物を抽出するために、好適な有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、酢酸エチルでさらに処理することができる。特に、式(II)の化合物はトルエンで抽出することができる。
【0064】
式IIの化合物は、トルエンの除去と、その後のイソプロパノールの添加によって単離することができる。イソプロパノールの添加後、反応混合物を40℃〜80℃、特に60℃〜70℃に加熱し、そして15℃に冷やして、化合物(II)を得ることができる。式(II)の化合物は、好適な極性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの中で精製することができる。特に、それはメタノールであってよい。
【0065】
一般に、「昇温した温度」の用語には、極性溶媒中で化合物IIを約50〜約100℃に加熱することが含まれる。特に、化合物IIは約50℃〜約70℃、最も特には、約60℃〜65℃で加熱してよい。
【0066】
一般に、「常温」の用語には、極性溶媒中に化合物IIを含む反応混合物を約0℃〜約30℃に冷やすことが含まれる。特に、それは約0℃〜約15℃、最も特には約0℃〜10℃であることができる。上記態様によれば、化合物(II)、すなわち、(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物が、極性溶媒中での精製後に結晶形態で得られる。
【0067】
化合物(II)の結晶形態は、7.86°、9.94°、11.48°、12.71°、14.80°、15.88°、17.44°、18.16°、19.17°、19.97°、20.77°、22.71°、23.41°、24.68°、26.02°、27.63°、及び29.36°±0.2°の2θ(±0.2° 2θ)で表される特性ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。このX線粉末回折パターンは、図3に示すものと実質的に同じと特徴づけられる。
【0068】
化合物(II)の結晶形は、約2999、2976、1720、1600、1512、1487、1379、1342、1288、1197、1134、1066、1035、931、及び842cm−1にピークを有するIRスペクトル、及び約116.04℃におけるDSCでの発熱によって特徴づけられる。このDSC温度記録図(サーモグラム)は図4に示したものと実質的に同じである。
【0069】
さらなる態様によれば、下記式(IC):
【化16】

のピタバスタチン亜鉛の製造方法を提供し、その方法は下記の工程:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)酸性条件下で式IIの化合物を加水分解してアセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でアルカリ金属水酸化物で処理して、ピタバスタチン(I)の対応するアルカリ金属塩を形成させる工程;
(d)ピタバスタチン(I)のそのアルカリ金属塩を亜鉛源で処理してピタバスタチン亜鉛を得る工程;及び
(e)上記のピタバスタチン亜鉛を単離する工程、
を含む。
【0070】
一般に、化合物(II)の製造及びその加水分解のための工程パラメータは、上に開示したものと同様である。好ましい亜鉛源には、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、メタンスルホン酸亜鉛、エタンスルホン酸亜鉛、アミノ酸の亜鉛塩、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、または硝酸亜鉛からの1つ以上が含まれる。特に、それには、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、または酢酸亜鉛のうちの1つ以上が含まれる。
【0071】
さらなる側面によれば、式(ID):
【化17】

のピタバスタチンカリウムの製造方法を提供し、
その方法は、以下の工程:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)酸性条件下で式IIの化合物を加水分解してアセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でカリウム源で処理してピタバスタチンカリウムを得る工程、
を含む。
【0072】
一般に、化合物(II)の製造及びその加水分解のためのプロセスパラメータは本明細書において上で開示したものと同様である。好ましいカリウム源には、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウムなどが含まれる。
【0073】
さらなる態様によれば、非晶質(アモルファス)形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、その方法は以下の工程:
(a)好適な有機溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの溶液を準備する工程であって、前記の有機溶媒が、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである工程;
(b)有機溶媒を除去して残留物を得る工程;
(c)その残留物に好適な貧溶媒を添加する工程;及び
(d)非晶質(アモルファス)形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む。
【0074】
アモルファス形態は、有機溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの濃縮溶液に貧溶媒を添加することによって一般には調製することができる。
【0075】
本方法の態様には、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択される好適な有機溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの溶液を調製することが含まれる。好ましい溶媒には、塩化メチレン、エチレンジクロライド、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、及びそれらの混合物、並びにそれらと水との混合物のうちの1つ以上が含まれる。特に、好適な溶媒には、メタノール、アセトン、酢酸エチルのうちの1つ以上が含まれる。
【0076】
一般に、本方法の態様には、好適な有機溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの溶液に貧溶媒を添加する工程が含まれる。好適な貧溶媒には、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどの1つ以上が含まれる。特に、好適な貧溶媒には、ヘプタンまたはシクロヘキサンまたはメチルt−ブチルエーテルのうちの1つ以上が含まれる。
【0077】
上記態様によれば、非晶質(アモルファス)形態のピタバスタチンマグネシウムを製造する方法が提供され、その方法は以下の工程:
(a)好適な有機溶媒中にピタバスタチンマグネシウムを含む溶液を準備する工程であって、その有機溶媒が、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、及びそれらの混合物のうちの1つ以上である工程;
(b)反応混合物を昇温した温度に加熱し、次に常温に冷却する工程;
(c)その溶液に好適な貧溶媒を添加する工程;及び
(d)非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む。
【0078】
一般に、好適な溶媒と貧溶媒には、本明細書で先に挙げたものと同じものが含まれる。しかし、上記反応混合物を、工程(b)において昇温した温度に加熱することができる。昇温した温度とは、約50℃〜約100℃である。特に、それは約70℃〜約90℃であってよい。
【0079】
この反応混合物を次に常温、好ましくは約15℃〜35℃、好ましくは約25℃〜35℃に冷やす。
【0080】
貧溶媒と溶媒とは混和性であることが好ましい。非晶質形態は、好適な溶媒中のピタバスタチンマグネシウムの溶液の凍結乾燥またはその溶液からの溶媒の除去によっても調製することができる。
【0081】
さらなる態様によれば、約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法を提供し、その方法は以下の工程:
(a)約8%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを準備する工程;
(b)上記のピタバスタチンマグネシウムを流動床乾燥機中で湿った空気と接触させるか、あるいは約1〜5日の期間、30mm/Hg未満の圧力下で約5〜約60℃の温度に保つ工程;及び
(c)約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む。
【0082】
上記方法によれば、約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムが、約8%〜約12%の水分を含むピタバスタチンマグネシウムを流動床装置中で湿った空気と接触させることによって調製される。
【0083】
特に、その温度は約25℃〜約50℃、より特には約30℃〜約40℃である。この接触は、特に、約6時間から2日間行ってよい。本明細書で用いるように、「湿った」の用語は、少なくとも30%の相対湿度をいう。特に、それは少なくとも約50%、最も特には少なくとも約70%であることができる。
【0084】
さらなる態様によれば、安定な結晶形態の実質的に純粋なピタバスタチンマグネシウムを提供する。
【0085】
別の態様においては、HPLCの面積百分率(面積パーセント)によって測定した場合に、デスフルオロ不純物、シス異性体不純物、ピタバスタチン5−オキソ不純物、ピタバスタチンラクトン不純物、ピタバスタチンt−ブチルジオールエステル不純物、及びピタバスタチンが縮合した不純物を実質的に含まないピタバスタチンマグネシウムを提供する。さらに、ピタバスタチンジアステレオマー不純物はHPLCの面積百分率(面積パーセント)によって0.3%未満である。
【0086】
さらなる態様によれば、10.1°、13.2°、19.3°、及び27.2±0.2°の2θ値に特性ピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる結晶性ピタバスタチンマグネシウムの治療上有効量と、1種以上の医薬として許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0087】
このさらなる態様によれば、実質的に図2に示されるX線回折パターンによって特徴づけられる非晶質のピタバスタチンマグネシウムと、1種以上の医薬として許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0088】
出発物質である、式IVの臭化ホスホニウム化合物は、式(VI)のアルコール化合物から調製することができる。
【化18】

【0089】
式(VI)のアルコール化合物は、従来技術において報告されている公知の方法によって、式(V)の3−(ブロモメチル)−2−シクロプロピル−4(4'−フルオロフェニル)キノリンの形成を経て、式(IV)のホスホニウム化合物に変換される。国際公開第95/11898号その参照例7及び例1、ないし米国特許第6,627,636号明細書及び同第5,763,675号明細書に開示された方法に従う。
【化19】

【0090】
たとえば、トルエン、o−キシレン、クロロベンゼンなど好適な非極性溶媒中、式(V)のブロモ化合物3−(ブロモメチル)−2−シクロプロピル−4−(4'−フルオロフェニル)キノリンとトリフェニルホスフィンなどとのWittig試薬により、式(IV)の臭化ホスホニウム化合物が得られる。
【0091】
出発試薬である式(VI)のアルコール化合物は、従来技術、たとえば、Tetrahedron Letters, Vol. 34, No. 51, p.p. 8271-8274 (1993); Heterocycles, Vol. 50, No. 1, 1999; Drugs of Future 1998 23 (8)またはTetrahedron Asymmetry 1993, Vol. 4, pp. 201-204に報告された公知の方法によって調製することができ、これら全体を参考文献としてここで報告する。
【0092】
以下のスキームに示されるとおり、ピタバスタチンマグネシウムは以下に示すように調製することができる。
【0093】
【化20】

【0094】
本発明を以下の例によってさらに説明するが、それらは本発明の例としてのみ提供され、本発明の範囲を制限するものではない。所定の変更及び等価なものが当業者には明らかであり、本発明の範囲に含まれることが意図されている。
【実施例】
【0095】
〔製造例1〕
〔3−(ブロモメチル)−2−シクロプロピル−4−(4'−フルオロフェニル)キノリン(V)の製造〕
【0096】
【化21】

【0097】
1kgの式(VI)のアルコール化合物と8Lのメチレンジクロライド(塩化メチレン)を0℃において反応器に入れた。0.462Kgの新しく調製した臭化ホスホニウムの2Lのメチレンジクロライド中の溶液をゆっくり添加し、25℃で2時間攪拌した。TLCで観察して反応が終了した後、反応混合物を5%の炭酸水素ナトリウム溶液で7〜8のpHに調節して失活させた。有機層を分離し、5Lの水で洗い、次に減圧下で45℃において溶媒を除去した。残留物を60℃で2.5Lのヘプタンで処理し、15℃に冷やした。生成物を15℃で濾過し、減圧下で55℃において8時間乾燥させて3−(ブロモメチル)−2−シクロプロピル−4−(4'−フルオロフェニル)キノリンを得た。
【0098】
〔製造例2〕
〔式(IV)の臭化ホスホニウム化合物の製造〕
【0099】
【化22】

【0100】
1kgの3−(ブロモメチル)−2−シクロプロピル−4−(4'−フルオロフェニル)キノリン、10Lのトルエン、及び300mLのイソプロパノールを反応器に入れ、50℃に加熱した。2Lのトルエン中の0.874kgのトリフェニルホスフィンの溶液をゆっくり添加し、3時間撹拌した。反応混合物を25℃に冷やし、1時間撹拌した。生成物を濾過し、トルエンで洗った。生成物をトレイ乾燥機中55℃で8時間乾燥させて、式(IV)の臭化ホスホニウム化合物を得た。
【0101】
〔例1〕
〔式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物の調製〕
【0102】
【化23】

【0103】
7Lのジメチルスルホキシド中の0.751kgのtert-ブチル−2((4R,6S)−6−ホルミル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)アセテート(III)の溶液に、1Kgの式(IV)の臭化ホスホニウム化合物と0.67Kgの炭酸カリウムを添加した。反応混合物を25℃で10時間撹拌した。この反応混合物を水で失活させ、トルエンで抽出した。有機層を濃縮し、イソプロパノールを用いて表題化合物を粗製物固体として単離した。こうして得られた粗生成物を以下に示すようにしてメタノール中で再結晶させた。
【0104】
〔式IIのオレフィン化合物の精製〕
ピタバスタチンオレフィン化合物(II)(100g)とメタノール(600mL)を60℃〜65℃に加熱して透明な溶液を得て、これを10分間撹拌した。活性炭(10g)を60℃〜65℃で添加して10分間撹拌した。この反応混合物を濾過し、メタノール(100mL)で洗った。濾液を25℃に冷やし、徐々に10℃にし、次に10℃で2時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、冷やしたメタノール(100mL)で洗った。湿ったケーキをメタノール(480mL)中で60℃〜65℃に加熱して透明な溶液を得た。活性炭(10g)を60℃〜65℃で添加し、10分間撹拌した。反応混合物を濾過し、メタノール(100mL)で洗った。濾液を25℃に冷やし、徐々に10℃にし、10℃で2時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、冷やしたメタノール(100mL)で洗った。湿ったケーキを減圧下で30分間乾燥させ、次に50℃〜55℃で12時間、加熱空気オーブン中で乾燥させて、図3に示されるのと実質的に同じX線粉末回折と図4に示される約116.04℃に発熱ピークを有するDSC温度記録図(サーモグラム)によって特徴づけられる結晶性オレフィン化合物(II)を得た。
【0105】
〔例2〕
〔式(IB)のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0106】
【化24】

【0107】
1Lのメタノール中の100gの式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物(結晶)の溶液に、272.8mLの1N HClを25℃で添加した。この反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物を15℃に冷やし、23.2gの10%水酸化ナトリウム溶液で処理した。
【0108】
この反応混合物を25℃で4時間撹拌し、水で失活させた。反応物を92mLの1N HCl溶液で処理して約8.0のpHに調節し、洗浄のためにメチレンジクロライド(塩化メチレン)で処理した。分離した水層を100gの塩化マグネシウム六水和物で処理し、25℃で30分間撹拌した。この溶液を15℃に冷やし、濾過し、水で洗った。生成物を熱空気オーブン中で4時間乾燥させて、11.0%の水分含有量を有する82gの結晶ピタバスタチンマグネシウムを得た(XRDは図1に示すとおりである)。
【0109】
〔例3〕
〔式(IC)のピタバスタチン亜鉛の調製〕
【0110】
【化25】

【0111】
1Lのメタノール中の100gの式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物(結晶)の溶液に、272.8mLの1N HCl溶液を25℃で添加した。この反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物を15℃に冷やし、23.2gの10%水酸化ナトリウム溶液で処理した。反応混合物を25℃で4時間撹拌し、水で失活させた。反応物を92mLの1N HCl溶液で処理して、約8.0のpHに調節し、洗浄のためにメチレンジクロライド(塩化メチレン)で処理した。分離した水層を100gの硫酸亜鉛で処理し、25℃で30分間撹拌した。この溶液を15℃に冷やし、濾過し、水で洗った。生成物を熱空気オーブン中で4時間乾燥させて75gの結晶ピタバスタチン亜鉛を得た。
【0112】
〔例4〕
〔式(ID)のピタバスタチンカリウムの調製〕
【0113】
【化26】

【0114】
1Lのメタノール中の100gの式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物(結晶)の溶液に、272.8mLの1N HCl溶液を25℃で添加した。この反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物を15℃に冷やし、23.2gの10%水酸化ナトリウム溶液で処理した。反応混合物を25℃で4時間撹拌し、水で失活させた。反応物を92mLの1N HCl溶液で処理して、約8.0のpHに調節し、洗浄のためにメチレンジクロライド(塩化メチレン)で処理した。分離した水層を80gの水酸化カリウムで処理し、25℃で30分間撹拌した。この溶液を15℃に冷やし、濾過し、水で洗った。生成物を熱空気オーブン中で4時間乾燥させて72gの結晶ピタバスタチンカリウムを得た。
【0115】
〔例5〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0116】
100gの結晶ピタバスタチンマグネシウムを75℃〜80℃に加熱して800mlの酢酸エチルに溶かした。そのわずかに濁った溶液を75℃〜80℃でハイフロー床(hyflow bed)を通して濾過した。濾液を25℃に冷やし、シクロヘキサン(3300mL)に添加した。その反応混合物を2時間撹拌した。その反応混合物を濾過し、湿ったケーキをシクロヘキサン(100mL)で洗った。生成物を熱空気オーブン中で12時間乾燥させて83.0gの非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。得られた固体は非晶質(アモルファス)であり、それは図2に示したX線回折パターンによって示されるとおりである。
【0117】
〔例6〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0118】
100gの結晶ピタバスタチンマグネシウムを800mlの酢酸エチルに75℃〜80℃に加熱して溶かした。そのわずかに濁った溶液を75℃〜80℃でハイフロー床(hyflow bed)を通して濾過した。濾液を、45℃〜50℃において乾燥粉末が得られるまで減圧下で蒸発させた。その固体を25℃に冷やし、シクロヘキサン(500mL)をその濾過物に添加し、30分間撹拌した。反応混合物を濾過し、湿ったケーキをシクロヘキサン(100mL)で洗った。生成物を12時間熱空気オーブン中で乾燥させて83.0gの非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。得られた固体は、図2に示したX線回折パターンによって示されるように非晶質(アモルファス)だった。
【0119】
〔例7〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0120】
100gの結晶ピタバスタチンマグネシウムとメタノール(500mL)を30分間、RBF中で撹拌した。反応混合物を減圧下で45℃〜50℃において溶媒蒸発させて乾燥生成物を得た。乾燥粉末が得られるまで、45℃〜50℃で、濾液を減圧下で蒸発させた。その固体を25℃に冷やし、シクロヘキサン(500mL)をその濾液に添加し、30分間撹拌した。その反応混合物を濾過し、湿ったケーキをシクロヘキサン(100mL)で洗った。生成物を12時間、熱空気オーブン中で乾燥させて83.0gの非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。
【0121】
〔例8〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0122】
100gの結晶ピタバスタチンマグネシウムを800mlのアセトン中に、55℃〜60℃に加熱することによって溶かした。そのわずかに濁った溶液を55℃〜60℃でハイフロー床(hyflow bed)を通して濾過した。濾液を25℃に冷やし、ジイソプロピルエーテル(3000mL)に添加した。その反応混合物を3分間撹拌した。反応混合物を濾過し、湿ったケーキをジイソプロピルエーテル(100mL)で洗った。生成物を12時間熱空気オーブン中で乾燥させて45.0gの非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。
【0123】
〔例9〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0124】
11%の水分含有量を有する10gのピタバスタチンマグネシウムを45℃で2日間、流動床乾燥器中で乾燥させて2%wt/wt未満の水分含有量を有する非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。この生成物のX線回折研究は、それが非晶質であることを示した。
【0125】
〔例10〕
〔非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの調製〕
【0126】
11%の水分含有量を有する10gのピタバスタチンマグネシウムを約5〜60℃において真空トレイ乾燥器中で、24時間30mm/Hg未満の圧力下で乾燥させて2%wt/wt未満の水分含有量を有する非晶質ピタバスタチンマグネシウムを得た。その生成物のX線回折研究はそれが非晶質(アモルファス)であることを示しており、図2を参照されたい。
【0127】
本発明をその具体的態様の点から説明したが、いくらかの変形及び等価物が当業者には明らかであり、本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0128】
〔本発明の利点〕
1.本発明は、ピタバスタチンのアルカリ金属塩の医薬として許容可能な新規な塩を提供する。
2.本発明は、ピタバスタチンアルカリ金属塩の改善された製造方法を提供する。
3.本発明は、8%〜12%の水分含有量を有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを提供する。
4.本発明は、非晶質形態のピタバスタチンマグネシウム及びその製造方法も提供する。
5.本発明は、約2%未満の水分含有量しか含まない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを提供する。
6.提供した方法は、環境にやさしく、経済的に実行可能であり、大きな規模の生産に容易に拡張可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピタバスタチンのアルカリ又はアルカリ土類金属塩化合物であって、前記アルカリ又はアルカリ土類金属が、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ストロンチウム、及びバリウムのうち1つ以上を含む化合物。
【請求項2】
ピタバスタチンマグネシウムである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
水和物である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
約7%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
結晶である請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
前記結晶の形態が、10.1°、13.2°、19.3°、及び27.2°±0.2°の2θ(±0.2° 2θ)角で表される特性ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
図1に示したものと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
非晶質である請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
図2に示したものと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
約5%wt/wt未満の水分含有量しか有しない、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
20±0.5℃において1%DMSO中で約+22.0〜+22.5の比旋光度を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
ピタバスタチンマグネシウムと1種以上の医薬として許容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項13】
ピタバスタチンマグネシウムが実質的に純粋であってHPLCの面積百分率で約99%より高い純度を有する、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
ピタバスタチンマグネシウムが実質的に純粋であってHPLCの面積百分率でジアステレオマー不純物を約0.3%未満しか含まない、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
下記式(IB):
【化1】

のピタバスタチンマグネシウムの製造方法であって、以下の工程:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IV:
【化2】

の臭化ホスホニウム化合物を、式III:
【化3】

のアルデヒド化合物と反応させて、式II:
【化4】

の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)式IIの化合物を酸性条件下で加水分解して、アセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でアルカリ金属水酸化物で処理して、対応する式(I):
【化5】

(式中、Mは、Na、K、Liである。)
のピタバスタチンの対応するアルカリ金属塩(I)を形成させる工程;
(d)ピタバスタチンのアルカリ金属塩(I)をマグネシウム源で処理して、ピタバスタチンマグネシウムを得る工程;及び
(e)ピタバスタチンマグネシウムを単離する工程、
を含む方法。
【請求項16】
請求項15の(a)工程のアルカリ又はアルカリ土類金属塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどのうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15の(a)工程の好適な極性非プロトン溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、又はそれらの混合物のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
任意選択により、溶媒を除去することによって前記化合物(II)を単離してもよい、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
任意選択により、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの好適な極性溶媒中で化合物(II)を精製してもよい、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項15の(b)工程において、酸性条件下での化合物(II)の加水分解を、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、リン酸などから好適な酸を選択することによって行う、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
請求項15の(c)工程において、好適なアルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
請求項15の(c)工程において、ピタバスタチンのアルカリ金属塩がピタバスタチンナトリウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
請求項15の(d)工程において、好適なマグネシウム源が、塩化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、及びそれらの水和物のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
請求項15の(e)工程において、ピタバスタチンマグネシウムが結晶形態で単離される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
結晶形態の式(II)の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)−キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物。
【請求項26】
前記結晶形態が7.86°、9.94°、11.48°、12.71°、14.80°、15.88°、17.44°、18.16°、19.17°、19.97°、20.77°、22.71°、23.41°、24.68°、26.02°、27.63°、及び29.36°±0.2°の2θ角で表される特性ピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記結晶形態が約2999、2976、1720、1600、1512、1487、1379、1342、1288、1197、1134、1066、1035、931、及び642cm−1にピークを有するIRスペクトルによって特徴づけられる、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
前記結晶形態が約116.04℃におけるDSCでの発熱によって特徴づけられる、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
下記式(II):
【化6】

の(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物の改良された製造方法であって、以下の工程:
(a)1つ以上の好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)式IIの化合物を1つ以上の好適な極性溶媒で処理して、反応混合物を形成させる工程;
(c)前記反応混合物を昇温した温度で加熱する工程;
(d)前記反応混合物を常温に冷やす工程;及び
(e)(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物を結晶形態で単離する工程、
を含む製造方法。
【請求項30】
前記好適な極性溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMF、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのうちの1つ以上を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記の昇温した温度が約50℃〜約100℃である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記の常温が約0℃〜約30℃である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法であって、以下の工程:
(a)好適な有機溶媒中にピタバスタチンマグネシウムを含む溶液を準備する工程であって、前記有機溶媒が、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、及びそれらの混合物のうちの1つ以上である工程;
(b)前記有機溶媒を除去して残留物を得る工程;
(c)前記残留物に好適な貧溶媒を添加する工程;
(d)非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む製造方法。
【請求項34】
請求項33の(a)工程において、前記の好適な有機溶媒が、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、及びそれらの混合物、並びにそれらと水との混合物のうちの1つ以上を含む、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
請求項33の(c)工程において、前記の好適な貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのうちの1つ以上を含む、請求項33に記載の製造方法。
【請求項36】
非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法であって、以下の工程:
(a)好適な有機溶媒中にピタバスタチンマグネシウムを含む溶液を準備する工程であって、前記有機溶媒が、塩素化溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、及びそれらの混合物のうちの1つ以上である工程;
(b)反応混合物を昇温した温度に加熱し、次に常温に冷却する工程;
(c)前記溶液に好適な貧溶媒を添加する工程;及び
(d)非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む方法。
【請求項37】
請求項36の(a)工程において、前記の好適な有機溶媒が、メチレンジクロライド、エチレンジクロライド、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、及びそれらの混合物、並びにそれらと水との混合物のうちの1つ以上を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項36の(b)工程において、前記の昇温した温度が約50℃〜約100℃である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
請求項36の(b)工程において、前記の常温が約15℃〜約35℃である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
請求項36の(c)工程において、前記の好適な貧溶媒が、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのうちの1つ以上を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムの製造方法であって、以下の工程:
(a)約8%〜約12%wt/wtの範囲の水分含有量を有する結晶形態のピタバスタチンマグネシウムを準備する工程;
(b)前記のピタバスタチンマグネシウムを流動床乾燥機中で湿った空気と接触させるか、あるいは前記のピタバスタチンマグネシウムを約1〜5日の期間、30mm/Hg未満の圧力下で約5〜約60℃の温度に保つ工程;及び
(c)約2%wt/wt未満の水分含有量しか有しない非晶質形態のピタバスタチンマグネシウムを回収する工程、
を含む製造方法。
【請求項42】
前記の湿った空気とは少なくとも30%の相対湿度をいう、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
下記式(IC):
【化7】

のピタバスタチン亜鉛の製造方法であって、下記の工程:
(a)好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)酸性条件下で式IIの前記化合物を加水分解してアセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でアルカリ金属水酸化物で処理して、ピタバスタチンの対応するアルカリ金属塩(I)を形成させる工程;
(d)ピタバスタチンの前記アルカリ金属塩(I)を亜鉛源で処理してピタバスタチン亜鉛を得る工程;及び
(e)前記ピタバスタチン亜鉛を単離する工程、
を含む製造方法。
【請求項44】
前記亜鉛源が、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、フマル酸亜鉛、酒石酸亜鉛、乳酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、クエン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、メタンスルホン酸亜鉛、エタンスルホン酸亜鉛、アミノ酸の亜鉛塩、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、または硝酸亜鉛からの1つ以上を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
下記式(ID):
【化8】

のピタバスタチンカリウムの製造方法であって、以下の工程:
(a)好適な極性非プロトン溶媒中で、アルカリ又はアルカリ土類金属塩基の存在下で、式IVの臭化ホスホニウム化合物を式IIIのアルデヒド化合物と反応させて、式IIの(4R,6S)−(E)−6−[2−(2−シクロプロピル−4−(4−フルオロフェニル)キノリン−3−イル)−ビニル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−イル]酢酸t−ブチルエステル化合物をもたらす工程;
(b)酸性条件下で式IIの前記化合物を加水分解してアセトニド保護基を除去してジオール化合物を形成させる工程;及び
(c)工程(b)のジオール化合物をその場(in situ)でカリウム源で処理してピタバスタチンカリウムを得る工程、
を含む製造方法。
【請求項46】
前記カリウム源が、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウムなどの1つ以上を含む、請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−516459(P2013−516459A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547590(P2012−547590)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/IN2011/000039
【国際公開番号】WO2011/089623
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(507365927)カディラ・ヘルスケア・リミテッド (26)
【Fターム(参考)】