説明

ピッキングシステムにおけるガイドランプ装置

【課題】高低差のある複数種の集品箱に対してピッキング作業を行う場合に、物品を投入すべき集品箱を確実にピッカーに認識させることのできるピッキングシステムにおけるガイドランプ装置を提供する。
【解決手段】ガイドランプ装置10は、搬送コンベヤの側方に、その搬送方向に沿って配列され、かつ、搬送コンベヤによる集品箱Bの移動に同期して点灯する多数のガイドランプ20を備えており、ガイドランプは、水平方向よりも上下方向に延びる、いわゆる縦長であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流などにおける配送センターや倉庫等において、集品あるいは配送のために指定された物品を収納するコンテナケース等の集品箱を指示することにより、ピッキング作業を正確且つ迅速に行うためのピッキングシステムに関し、特に、物品を投入すべき集品箱を認識させるためのガイドランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流における各種物品の配送センターや倉庫においては、指定物品の集品や仕分け作業が行われる。例えば配送センターにおいては、顧客の注文に応じた物品をピッキングして集品箱に収納する、いわゆるピッキング作業が行われる。
【0003】
このようなピッキング作業の基本的な形態は、例えばベルトコンベヤ等の搬送コンベヤを、その搬送方向に沿って複数のピッキングゾーンに区画し、各ピッキングゾーンには複数種の物品を保管する保管棚を配設するとともに、各ピッキングゾーン専属のピッカー(作業者)を配置し、ピッキング指示に基づいて各ピッカーが自分の担当のピッキングゾーンの保管棚から指示された物品をピックアップして、搬送コンベヤにて搬送されてくる集品箱に収納する作業を行うものである。
【0004】
しかしながら、従来一般のピッキングシステムでは、集品箱は連続的に移動しており、そのような移動中の集品箱に物品を投入するため、ピッカーが集品箱や物品を間違えたり、物品を収納しないうちに集品箱が通り過ぎてしまったりする等のトラブルが発生することがある。
【0005】
そこで、物品の投入間違い等の不都合を解消すべく、これまでに各種のピッキングシステムが提案され用いられてきている。例えば、下記特許文献1に開示されたピッキングシステムは、図6に概略的に示されるように、搬送コンベヤ1に沿って所定間隔おいて多数のガイドランプ2が配置されており、ピッキング対象物品が置かれたピッキングゾーンを所定の集品箱Bが通過する際、ガイドランプ2が集品箱Bの移動に同期して順次点灯することで、光を集品箱Bと併走させ、ピッカーに投入対象の集品箱Bを認識させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2799445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような従来のピッキングシステムにおいては、特許文献1に記載されているように、ガイドランプをピッカーの手元に配置する構成が当初考えられていたが、集品箱Bの上部開口(以下「投入口」という)に隣接した位置にガイドランプを配置することによって、投入間違えの発生率の低減が図れることから、現在では、図6に示すように、搬送コンベヤ1の搬送面よりも上方の位置にガイドランプ2を配置することとしていた。
【0008】
ところで、近年のピッキング作業では、出荷時の運送効率を上げるために、注文物品の容量に応じて異なるサイズの集品箱Bを使用するようになってきている。この場合、従来構成ではガイドランプ2が点光源であることから、図6から理解される通り、高さの低い集品箱B(以下、必要に応じて、低い集品箱Bには区別のため添え字Sを付す)に対しての指示については、ガイドランプ2が離れているため、見間違いを起こす可能性がある。特に、ピッカーは、上流側から流れてくる集品箱Bを斜めに見て、次に物品を投入すべき集品箱Bを予め認識し、その認識のままで物品の投入を行う傾向があるが、集品箱Bとガイドランプ2を斜めに見た場合には、ガイドランプ2と集品箱Bとのズレが大きく見え、しかも低い集品箱Bの場合には物品投入時でもガイドランプ2の発光が視野に入らないこともあるため、投入間違いが発生する可能性が高いという問題点があった。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、高低差のある複数種の集品箱に対してピッキング作業を行う場合に、物品を投入すべき集品箱を確実にピッカーに認識させることのできるピッキングシステムにおけるガイドランプ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明によるガイドランプ装置は、物品を入れるための集品箱を搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤに沿って配置された、複数種の物品を保管する保管棚とを備え、ピッカーが、指示された物品を保管棚から取り出した後、指示された集品箱に該物品を投入するよう構成されたピッキングシステムにおいて用いられるものであり、搬送コンベヤの側方に、該搬送コンベヤの搬送方向に沿って配列され、かつ、前記搬送コンベヤによる集品箱の移動に同期して点灯する多数のガイドランプを備え、ガイドランプが、水平方向よりも上下方向に延びていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、ガイドランプが縦長であるため、背の高い集品箱の場合は勿論、背の低い集品箱の場合でもガイドランプの下端が集品箱の投入口の近傍に配置されるため、物品投入時に、集品箱を指示するための発光をピッカーの視野内に捉えることが可能となる。
【0012】
また、広い発光面積を確保するために、ガイドランプは、上下方向に延びる面発光光源であることが好ましい。
【0013】
更に、ガイドランプの上端が、搬送コンベヤ上を搬送される集品箱のうち最も高い集品箱の上端縁よりも高い位置に配置され、ガイドランプの下端が、搬送コンベヤ上を搬送される集品箱のうち最も低い集品箱の上端縁よりも低い位置に配置されることが有効である。これにより、高低差のある複数種の集品箱が用いられても、ガイドランプの発光は集品箱のサイズに拘わらず、常に集品箱の上端縁を横切るため、ピッカーの視角内に発光を確実に捉えることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明によれば、ガイドランプを縦長としたことで、集品箱を指示するための発光が、集品箱のサイズに拘わらず、常に集品箱の投入口の隣接位置にあるため、投入時にピッカーはその発光により物品投入対象の集品箱を確実に認識できるので、投入間違い等の弊害を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるガイドランプ装置10が適用されたピッキングシステム12を示す斜視図である。
【図2】図1のピッキングシステム12におけるガイドランプ装置10を概略的に示す正面図である。
【図3】図1のピッキングシステム12を概略的に示す平面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿っての概略断面図である。
【図5】遮光用のカバーを取り付けた状態を示すガイドランプ装置の水平断面図である。
【図6】従来のガイドランプ装置を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に沿って本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明によるガイドランプ装置10が適用されたピッキングシステム12を示す斜視図、図2は、図1のピッキングシステム12におけるガイドランプ装置10の概略正面図、図3は図1のピッキングシステム12の概略平面図である。
【0018】
図示のピッキングシステム12は、基本的には、上述した特許文献1に開示された従来構成と同様な構成となっており、集品箱Bを搬送するベルトコンベヤ等の搬送コンベヤ14を備えている。図3に示すように、この搬送コンベヤ14に沿って複数のピッキングゾーンZが設定されており、各ピッキングゾーンZには、物品を保管する保管棚16が設けられている。各保管棚16は、例えばフローラックから構成されるもので、複数種の物品が保管され、搬送コンベヤ14に面する側から商品を取り出すことができるようになっている。
【0019】
搬送コンベヤ14と保管棚16との間のスペースには、ピッキングゾーンZ毎に1人のピッカーが配置され、ピッカーは、制御装置(図示しない)からの指令によって動作するアイテム表示器18の指示に従って、保管棚16から物品を取り出し、その物品を、指示された集品箱Bに投入することとなる。
【0020】
集品箱Bの指示を行うガイドランプ装置10についても、従来と同様、多数のガイドランプ20を、搬送コンベヤ14の側方に、その搬送方向に沿って一定間隔で配列してなるものであり、ピッキング対象物品が保管されたピッキングゾーンZを所定の集品箱Bが通過する際、ガイドランプ20がその集品箱Bの移動に同期して順次点灯するよう構成されている。
【0021】
ここで、図2に明示するように、ガイドランプ装置10を構成するガイドランプ20は、水平方向よりも上下方向に長く延びた構成となっていることに留意されたい。特に、図示のガイドランプ20は、上下方向に長い面発光光源が用いられている。面発光光源の場合、発光面積が大きいため、光をピッカーが捉えやすくする。面発光光源としては、図4に示すように、例えば面発光型LED22が好ましく、図4に示すように、ガイドランプ装置10のフレーム24の開口部26に、半透明プレート28を介して取り付けられるとよい。LED22の制御に関しては、従来の点光源型のガイドランプと同様して行うことができる。また、前記半透明プレート28は、光の拡散を図るためのものであり、例えば透明樹脂の裏面に、エンボス加工したものや、白色フィルムを貼付したもの、或いは、印刷を施したもの等、種々考えられるが、使用される光源の種類によっては透明プレートを使用することもできる。
【0022】
なお、面発光光源は、面発光型LED22を用いずに、1対の通常型LEDの間に、アクリル等からなる導光用の透明プレートと、光拡散用の半透明プレートとを配したもの等、種々の型式が考えられる。
【0023】
このような縦長のガイドランプ20からなるガイドランプ装置10の設置位置は、ガイドランプ20の上端が、少なくとも搬送コンベヤ14上の最も高い集品箱Bの上端縁よりも高い位置となるような位置、好ましくは、各ピッキングゾーンZに配されたピッカーから確実に見えるような位置である。
【0024】
上記構成のガイドランプ装置10においては、高い集品箱Bが搬送コンベヤ14上を搬送されている場合には、図2から分かるように、ピッカーはガイドランプ20の上部の発光を確認することができる。しかも、物品を投入するタイミングにおいては、ガイドランプ20と集品箱Bの投入口の上端縁とが重なって見えるため、指示された集品箱Bを間違えることはなく、その集品箱Bに物品を確実に投入することができる。
【0025】
また、高さの低い集品箱Bに対しても、ガイドランプ20は上下方向に延びているため、その下端は集品箱Bの投入口の上端縁の近傍に位置される。したがって、低い集品箱Bに物品を投入する際、発光しているガイドランプ20の下端部が、その集品箱Bの投入口の上端縁に隣接又は重なって見える。したがって、上流側での発光によって前もって次に物品を投入する集品箱Bを認識していた場合(図3の点線の矢印での態様)で、たとえその認識が誤っていたとしても、物品を投入する直前においては、ピッカーは必ず集品箱Bの近傍での発光の有無を確認することができるので、投入ミスを防止することができる。
【0026】
かかる見地においては、ガイドランプ20の下端は、搬送される集品箱Bのうち最も低い集品箱Bの上端縁よりも上方の位置にて終端していてもよいが、図2に示すように、最も低い集品箱Bの上端縁よりも下方に延びていることが、より好ましい。
【0027】
なお、ある程度上流側にあるガイドランプ20の発光をピッカーが確認することは、次続の投入の準備のために好ましい態様であるが、例えば、隣のピッキングゾーンZの発光を見ることは、ミスピッキングを引き起こすおそれもある。
【0028】
このため、図5に概略的に示すように、ガイドランプ装置10のフレーム24の前面に、遮光突起30を有するカバー32を取り付けて、斜めからはガイドランプ20の発光が見えないようにしてもよい。これにより、或るピッキングゾーンZに対してガイドランプ20の発光が所定の距離まで近づかない限り、そのピッキングゾーンZにいるピッカーはガイドランプ20の発光を見ることができず、自分の担当範囲にのみ集中してピッキング作業を行うことが可能となり、ミスピッキングの低減に寄与する。勿論、このような遮光手段に関しては、従来の点光源型のガイドランプにも適用可能である。
【0029】
また、同様な目的で、所定の角度での光の伝播を抑制する偏光板を用いることもできる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0031】
例えば、上記実施形態においては、ガイドランプとして面発光型のものを用いるとしたが、上下方向に長ければ、筒状のガイドランプを用いることも可能である。
【0032】
また、複数の点光源を上下方向に直線状に配置したものを1個のガイドランプとみなし、上記実施形態の面発光と同様な態様で用いることも可能である。
【符号の説明】
【0033】
10…ガイドランプ装置、12…ピッキングシステム、14…搬送コンベヤ、16…保管棚、18…アイテム表示器、20…ガイドランプ、22…面発光型LED、24…フレーム、26…開口部、28…半透明プレート、30…遮光突起、32…カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を入れるための集品箱(B)を搬送する搬送コンベヤ(14)と、
前記搬送コンベヤ(14)に沿って配置された、複数種の物品を保管する保管棚(16)と
を備え、ピッカーが、指示された物品を前記保管棚(16)から取り出した後、指示された集品箱(B)に該物品を投入するよう構成されたピッキングシステム(12)において用いられる、物品を投入すべき集品箱(B)を指示するガイドランプ装置(10)であって、
前記搬送コンベヤ(14)の側方に、該搬送コンベヤ(14)の搬送方向に沿って配列され、かつ、前記搬送コンベヤ(14)による集品箱(B)の移動に同期して点灯する多数のガイドランプ(20)を備え、
前記ガイドランプ(20)が、水平方向よりも上下方向に延びていることを特徴とする、ピッキングシステムにおけるガイドランプ装置。
【請求項2】
前記ガイドランプ(20)が、上下方向に延びる面発光光源を備えることを特徴とする、請求項1に記載のピッキングシステムにおけるガイドランプ装置。
【請求項3】
前記ガイドランプ(20)の上端が、前記搬送コンベヤ(14)上を搬送される集品箱(B)のうち最も高い集品箱の上端縁よりも高い位置に配置され、
前記ガイドランプ(20)の下端が、前記搬送コンベヤ(14)上を搬送される集品箱(B)のうち最も低い集品箱(B)の上端縁よりも低い位置に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のピッキングシステムにおけるガイドランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11846(P2011−11846A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156016(P2009−156016)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】