説明

ピッキングシステム

【課題】ピッキングの指示数や1ケースあたりの物品の数によって作業性が悪くならないピッキング指示が可能なピッキングシステムを提供すること。
【解決手段】表示部16、17を備え、管理装置のピッキング情報を表示部に指示データとして表示し、作業者が該指示データに基づき物品をピッキングするピッキングシステムにおいて、指示データの表示を必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を加算するよう指示する加算表示形態と、必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を減算するよう指示する減算表示形態と、加算表示形態又は減算表示形態とするかの基準情報と、ピッキングすべき物品のケース入り数とピッキング指示個数情報と基準情報に基づき、加算表示形態又は減算表示形態の選択と指示データを算出し、該選択された表示形態で該算出された指示データを表示部に表示する制御手段を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位の管理装置からの指示に基づき所定数の物品を所定の陳列棚から取り出す、或いは所定の棚へ収納するピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データ受信手段及び表示手段等を備えピッキングカートを多数の物品陳列が配置された倉庫内を移動させながら、データ受信手段で上位の管理装置から送信される指示データを受信し、表示手段に表示し、該表示された指示データに基づき物品のピッキング作業を行うピッキングシステムは特許文献1等で既に公知である。そして、このようなピッキングシステムにおいて、作業し易くするために当該物品が複数梱包されて1箱となる箱単位の個数と、バラの物品の個数とに基づきピッキングが指示される場合がある。例えば、1ケース10個入りの物品の場合でピッキング指示個数が18個の場合、カートの表示部は1ケースと、バラ8個を加える表示にて指示される。
【特許文献1】特開2000−44021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の例では、バラの物品を8個取るよりも、1ケースから2個の物品を取り出した方が作業性が向上するが、指示は常に上記のようにケース単位の個数にバラの物品の個数を加える表示であったので、指示数や1ケース当たりの物品の数によっては作業性が悪い場合があった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピッキングの指示数や1ケースあたりの物品の数によって作業性が悪くならないピッキング指示が可能なピッキングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、作業者が視認できる位置に配置された表示部を備え、管理装置から送信されてくるピッキングすべき物品に関する情報を受信し、該受信した情報を表示部に指示データとして表示し、作業者が該指示データに基づき物品をピッキングするピッキングシステムにおいて、物品毎に1ケースに含まれる物品の数である入り数情報と、対象となる物品のピッキング指示個数情報と、指示データは前記ピッキング指示個数情報と入り数情報とに基づき生成されるケース数とバラの物品数とからなる情報であり、指示データの表示を必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を加算するよう指示する加算表示形態と、指示データの表示を必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を減算するよう指示する減算表示形態と、加算表示形態で表示するか減算表示形態で表示するかの基準となる基準情報と、ピッキングすべき前記物品の入り数とピッキング指示個数情報と基準情報に基づき、加算表示形態又は減算表示形態の表示形態選択と指示データを算出し該選択された表示形態で該算出された指示データを表示部に表示する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
上記のように制御手段は、ピッキングすべき物品の入り数とピッキング指示個数情報と基準情報に基づき、加算表示形態又は減算表示形態の表示形態の選択と指示データを算出し、該選択された表示形態で該算出された指示データを表示部に表示するので、指示された数の物品のピッキング作業性が向上する。
【0007】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、加算表示形態或いは減算表示形態の切り替えをする表示形態操作手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記のように、表示形態操作手段を備えることにより、表示形態を加算表示形態か或いは減算表示形態に切り替えることができ、実際の物品の在庫の数に応じた表示形態を切り替えることができる。
【0009】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、加算表示形態或いは減算表示形態と共に、ピッキング指示個数情報を表示することを特徴とする。
【0010】
上記のように加算表示形態或いは減算表示形態と共に、ピッキング指示個数情報を表示することにより、実際に存在するピッキングすべきケース数が足りない場合であっても、バラの物品の個数にてピッキングすべき個数を容易に確認できるので作業性が向上する。
【0011】
また、本発明は、上記ピッキングシステムにおいて、ピッキング作業完了を宣言する宣言手段と、宣言手段により、加算表示形態或いは減算表示形態のいずれかの表示形態で示されたケース数情報とバラ数情報とを実績データとして管理装置へ送信する送信手段と、を備え、管理装置は送信された実績データを受信する受信手段を備え、受信手段で受信されたケース数情報とバラ数情報とに基づき、物品毎にケース数とバラ数とで在庫を管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、物品のピッキングの指示数に応じて加算表示か減算表示かが自動で選択されて表示部に表示されるので、ピッキング作業がし易い指示データが表示される。
【0013】
請求項2の発明によれば、表示形態操作手段により加算表示か減算表示かの切り替えができるので、実際の物品の在庫の数に応じて表示形態を切換えてピッキング作業を行なうことが可能となる。
【0014】
請求項3の発明によれば、加算表示形態或いは減算表示形態と共に、ピッキング指示個数情報を表示することにより、実際に存在するピッキングすべきケース数が足りない場合であっても、バラの物品の個数にてピッキングすることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、管理装置で、宣言手段より送られてきた、加算表示形態或いは減算表示形態のいずれかの表示形態でされたケース数情報とバラ数情報の実績データを基に実際に物品毎にケースがいくつあるか、バラ物品がいくつあるかの在庫管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。物品(商品)のピッキング作業には、倉庫内の陳列棚に物品が並んでいて、指示された商品を該陳列棚から取り出し、カートに搭載されているコンテナに収納する所謂摘み取り方式ピッキングと、カートに物品(商品)が載置されており、棚が例えば納品先毎に分けられており、該棚に物品を納めていく、所謂種蒔き方式ピッキングがある。本発明に係るビッキングシステムは摘み取り方式ピッキングと種蒔き方式ピッキングのいずれにも適用できるが、ここでは摘み取り方式のピッキングに使用する場合を説明する。
【0017】
図1は本発明に係るピッキングシステムに用いるピッキングカートの構成例を示す図で、図1(a)は側面図、図1(b)は正面図(矢印A方向から見た図)である。図1に示すように、1台のピッキングカート10は、上下2段に仕切られ、下段には2台の台秤11、12、上段には2台の台秤が設けられている。図示は省略するが台秤11の各々には折り畳みコンテナ等のピッキングした物品を収容するコンテナ41〜44を搭載できるようになっている。
【0018】
ピッキングカート10には押すためのハンドル15が設けられ、該ハンドル15の前方(正面)には作業者がピッキングカート10を押しながらピッキングのため指示データ等の各種データを見ることが出来るように第1表示部16が設けられている。また、ピッキングカート10の側部にはピッキング作業を行いながら、指示データ等の各種データを見ることが出来るように第2表示部17が設けられている。また、ピッキングカート10の上部側部にはプリンタ18が設けられている。このプリンタ18ではピッキングした物品を収容するコンテナに貼り付けるラベル等を発行できるようになっている。また、図示は省略するが、第1表示部16内には上位の管理装置と通信するためのアンテナが設けられている。更に、図示は省略するがピッキングする物品のバーコードを読み取るためスキャナーが設けられている。
【0019】
図2は本発明に係るピッキングシステムのシステム構成例を示すブロック図である。各ピッキングカート10−1、10−2、・・・10−nは、無線ルータ101を介して管理装置100と通信可能になっている。無線ルータ101はルータ機能を有するアクセスポイントで、無線LAN102と有線LAN(図示せず)と同時の接続が可能となっている。
【0020】
図3はピッキングカート10のシステム構成を示すブロック図である。ピッキングカート10は、CPU20、RAM21、ROM22、第1表示部16、第2表示部17、充電電源部23、通信部24、第1計量部(台秤13)25、第2計量部(台秤14)26、第3計量部(台秤11)27、第4計量部(台秤12)28、スキャナー30、プリンタ18、及びスピーカー部31を備えている。CPU20は、各種演算を実行し、ピッキングカート10の各部を制御する。RAMにはCPU20によって読み出されたデータ等、CPU20が処理を行う上で利用するフラグやレジスタ、管理装置100から送信されるピッキングのための指示データ等が記憶されている。ROM22には、CPUが動作するためのプログラムが記憶されている。
【0021】
第1表示部16は図1に示すように、ハンドル15の前方(正面)に設けられ、液晶タッチパネルとして構成されている。また、第2表示部17はピッキングカート10の側面に設けられ、第1表示部16と同様に液晶タッチパネルとして構成されている。充電電源部23は、充電されたピッキングカート10に搭載されている各機器に電源を供給する。通信部24は、図2に示すように、上位の管理装置100と無線LAN102にて通信する。スキャナー30は物品に付されているバーコードを読み取るために設けられている。第1計量部25〜第4計量部28には上記のように折り畳み式の等のピッキングした物品を収納するコンテナが搭載されている。また、プリンタ18は各コンテナに貼り付けるラベルやピッキングした実績を印字して発行する。スピーカー部31はエラーを音で知らせるために設けられている。
【0022】
ピッキングカート10の各計量部(台秤)に搭載されるコンテナNoは1つの納入先を示している。上位の管理装置100は多数の店舗等から受ける大量の注文データに基づき、同じピッキングカート10でピッキング作業を行なう際、移動距離が短く、効率のよいピッキング作業ができるような指示データを生成して各ピッキングカート10へ送信する。
【0023】
図4はピッキングカート10が受信するビッキングを指示する指示データの例を示す。図示するように、指示データには、「ロケーションNo」、「商品名」、「JANコード(バーコード情報)」、「総指示数」、「入り数」、「単位重量(g)」、「ケース風袋重量」、「基準個数」、「納品先情報」、「コンテナ位置」がある。ここで「単位重量(g)」とはピッキングする物品の単位重量であり、「基準個数」とは減算表示形態とするか加算表示形態とするかの基準値であり、例えば“−3”であれば、−3個まで、つまり−1、−2でバラ数を表現できれば減算表示させることを意味し、−4以上であれば加算表示させることを意味する。また、「コンテナ位置」とはピッキングカート10のコンテナが搭載される台秤(計量部)の位置である。ここでは上段の台秤13(第1計量部25)を「A」、台秤14(第2計量部26)を「B」とし、下段の台秤11(第3計量部27)を「C」、台秤12(第4計量部28)を「D」としている。また、「ロケーションNo」は、物品が配置されている位置を示す位置情報で倉庫内を一定の規則で各棚と棚内の物品の位置を特定できるように割り振られたものである。そして、各作業員はロケーション情報を熟知しているので、表示部16、17に表示されるロケーション情報を見ることで、移動先を理解することができる。また、各棚にはロケーション情報が視認可能なようにラベル等に印字され貼付されているので該ラベルを見て、指示された棚へ移動可能である。
【0024】
ロケーション毎に1つの物品(商品)が特定され、それぞれJANコードや総指示数、1ケースに収納されている物品の入り数、物品の単位重量、ケース単位重量、減算或いは加算表示形態にするための基準個数、コンテナの搭載位置情報(A、B、C、D)が設定されている。ここで、例えば上段のA、B位置にあるコンテナには軽い重量の物品を、下段のC、D位置にあるコンテナには重い重量の物品を収納するように設定される。
【0025】
図5はピッキング作業の操作フローを示す図である。先ず、ピッキング作業の開始前にピッキングカート10の第1表示部16には、図6に示すように、「担当者番号」、「担当者名」、「パスワード」、「切替キー」、「テンキー」の画面が表示されている。先ずステップST1において、ピッキング作業の担当者が担当者番号を入力することにより、担当者番号の入力が受け付けられ第1表示部16には、図7に示すように、ロケーション情報が表示されるロケーション情報エリア、指示データが表示される指示データエリア、更に、各コンテナを示したコンテナ情報エリア、には何も情報が表示されていない初期画面が表示される。続いてステップST2において、表示されている「開始」キーを押下する。
【0026】
上記「開始」キーが押下されると、CPU20は通信部を介して管理装置100へ指示データを要求し、そしてCPU20は通信部24を介して管理装置100からピッキングのための指示データを受信し、該指示データをRAM21の所定エリアに記憶する。そしてステップST3において、指示データのコンテナNo毎のラベルがプリンタ18から4枚発行される。各ラベルは各コンテナに対応しており、発行される4枚のラベルの隅にA、B、C、Dとそれぞれ搭載位置が印字されている。そしてピッキングカート10の上段はA、B、下段はC、Dと予め決まっているので、作業者(担当者)は発行されたラベルを搭載位置A、B、C、Dにあるコンテナの側面に貼り付ける。貼り付けられた各ラベルには、ピッキング指示テータの各コンテナNo毎に設定されている納品先情報に基づき納品先の店名や支店などが印字される他、各コンテナNo等がバーコード化され印字されている。
【0027】
ピッキングカート10の各コンテナが位置する場所にはそれぞれA、B、C、Dを示すバーコードが貼り付けられている。ステップST4において、上記ステップST3でコンテナに貼付けられたラベルのバーコードと、ピッキングカート10のA位置に貼付けられたラベルに印字されたバーコードとをスキャナー30で読み取り、コンテナの位置が間違っていないかどうかが確認される。そして上記と同様、ピッキングカート10のB、C、D位置に貼付けられたラベルに印字されたバーコードと該B、C、D位置に搭載されているコンテナの側面に貼付けられたラベルに印字されたバーコードとをスキャナー30で読み取り、コンテナの位置が間違っていないかどうかが確認される。
【0028】
上記ステップST4でA、B、C、D全てのコンテナの対応付けの確認が済むと、ステップST5において、上記ステップST3で受信した指示データの初めの物品、例えば図8に示す「シA−201」等のロケーション情報が、第1表示部16と第2表示部17の両方に表示される。続いてステップST6において、作業者が上記表示部に表示されたロケーションにピッキングカート10を移動し、当該ロケーションに位置する物品に付されているバーコードをスキャナー30で読み取る。
【0029】
次に、ステップST7において、ステップST2で受信した指示データのJANコードと、物品に付されたバーコードから読み取ったJANコードが一致する場合は、図9に示すような表示が第1表示部16と第2表示部17の両方に表示される。つまり、ロケーション情報エリアには該当するロケーションNo「シA−201」が、指示データエリアには総指示数35と指示データと12のバラ−1、ケース3、そしてコンテナ情報エリアには対応するコンテナに指示データとしてのバラ数とケース数が表示される。ここでCPU20はステップST7でRAM21に記憶した指示データの総指示数データ、入り数データ、基準個数データに基づき、減算表示にするか加算表示にするかを判断し、判断された表示形態で指示データが表示される。コンテナNoが「110」、ロケーションNo「シA−201」に位置するシャンプーABCは指示数「35」、入り数「12」、基準個数は「−3」までなので、指示データとして、ケースが「3個」、バラが「−1つ」とする表示が第1表示部16と第2表示部17の両方に表示される。
以下にCPU20が演算する指示データの具体的な算出の仕方を説明する。この場合、指示数が「35」で、入り数が「12」、基準個数が「−3」である。
1.指示数を入り数で除算する。この場合、商「2」、余り「11」が算出される。
2.1で算出された商に1を加えた「3」に入り数「12」を乗算する。この場合「36」が算出される。
3.指示数「35」から上記2で算出された数「36」を減算する。この場合「−1」が算出される。
4.上記3で算出された「−1」が、基準個数「−3」より数字として大きいので、減算表示形態が採用されるとCPU20は判断する。つまり、上記2で商を一つ増やした「3」がケース数となり、上記3で算出された「−1」がバラ数となる。
なお、加算表示形態の場合は、上記1で算出された「2」がケース数となり、「11」がバラ数となる。
【0030】
つまり、3つのケースと、その間の1つのケースから1つの物品を取り出する指示を意味することになる。同じ指示数「35」を指示データで表示する場合、ケース「2」、バラ「11」と表示させることも可能であるが、バラの物品を11個、棚から取り出すよりは1つのケースから1つの物品を取り出すようにした方が、ピッキングの作業が向上する。また、ケースが多くなる場合、そのままケースを利用して納品先に収めることができるので、より作業効率が良くなる。
【0031】
次に、ステップST8において、作業者は指示された2つケースと、1ケースから1つの物品を取り出した3つのケースをA位置にあるコンテナに投入する。
【0032】
次に、ステップST9において、CPU20は、A位置のコンテナが載置された第1計量部(台秤13)25から出力された重量データから、RAM21に記憶しているケース風袋重量の3つ分の重量を減算し、該値が指示数に単位重量を乗算した値に等しいかどうかを判断(正しい重量かを判断)する。正しい重量(YES)である場合は、ステップST10に進み図10に示すように、コンテナ情報エリアに表示された指示データを第1表示部16と第2表示部17の両方から消去し、完了キーを押すことを促す表示をさせる。一方、ステップST9で正しい重量でない(NO)場合、ステップST13に進み、値が合わない場合は個数があっていない旨のエラーを表示し、正しい個数を投入する旨を第1表示部16と第2表示部17の両方に表示する。
【0033】
次に、ステップST10において、完了キーが押されると、該当するロケーションNoで作業したデータが管理装置100に送られる。この場合はピッキング総指示数「35」と、ケース「3」、バラが「−1」の情報が送信され、管理装置100の実績ファイルが更新される。図11はこの実績ファイル例を示す図で、ロケーションNo「シA−201」のJANコード「4512345891075」、商品名「シャンプーABC」のバラでの総個数を示す「在庫数」、ケースの在庫数を示す「在庫ケース数」、棚に並んでいる「バラの物品数」を示す「バラ数」が更新される。これにより管理装置100で、実際に棚に並んでいる物品の総個数,ケース単位の個数,バラの個数を把握することができる。
【0034】
次に、ステップST11において、RAM21に記憶した指示データのうち、次のロケーションの指示データがあるか否かを判断し、ある(YES)場合は前記ステップST5に進み上記処理を繰り返す。ない(NO)場合ステップST12に進む。
【0035】
ステップST12において、全ての作業が終了した旨が第1表示部16と第2表示部17の両方に表示され、ピッキングカート10を所定の位置まで移動させ、コンテナを所定の位置で降ろすよう指示される。また、上記ステップST13において、重量があわない場合、個数があっていない旨のエラーを表示し、正しい個数を投入させる旨の表示を第1表示部16と第2表示部17の両方に表示させる。
【0036】
なお、上記実施形態例では、ピッキングカート10のCPU20にて加算表示か減算表示かを判断するようにしたが、管理装置100にて、加算表示か減算表示かを判断し、必要なケース数とバラ数とを指示データとしてピッキングカート10に送信するようにしてもよい。そして、加算表示形態或いは減算表示形態にするかを判断する場合、減算表示にさせる場合は加算表示と比べて、ケース数が1つ多く必要なので、算出されたケース数が実績ファイル中の在庫ケース数と比べて足りるかどうかを判断して減算表示させるかを判断するようにしてもよい。
【0037】
また、第1表示部16と第2表示部17の入り数を表示する部分、例えば図10の“12”が表示されている部分をタッチすることで、上記例での減算表示形態から加算表示形態へ表示形態を切り替える操作手段を設けてもよい。この場合、CPU20は、総指示数35を入り数の12で割る演算を実行し、商が2、余りが11となり、この結果、2ケースとバラが11との表示をさせる。これにより、例えば実際に陳列しているケース数が足りない場合など、減算表示から加算表示にすることで、より簡単にすべき指示データを確認できる。また、切替の為の専用のキーを第1表示部16と第2表示部17にそれぞれ設けるようにしてもよい。
該切り替える例を段落番号〔0029〕で説明した例を用いて説明すると、上記例のように減算表示形態であった場合は、指示数が「35」と受信して記憶されているので、指示数を入り数で除算する。この場合、商が「2」、余りが「11」が算出され、ケース数が「2」、バラ数が「11」となり、表示が加算表示形態に切り替わる。
また、加算表示形態から減算表示形態へ切り替わる場合は以下の処理をCPU20は実行する。この場合、上記例と同じように指示数「35」、入り数「12」、基準個数「−3」が受信して記憶されているので、以下のステップを踏む。
1.指示数を入り数で除算する。この場合、商「2」、余り「11」が算出される。
2.1で算出された商に1を加えた「3」に入り数「12」を乗算する。この場合「36」が算出される。
3.指示数「35」から上記2で算出された数「36」を減算する。この場合「−1」が算出される。
4.上記3で算出された「−1」が、基準個数「−3」より数字として大きいので、減算表示形態を採用するとCPU20は判断し、上記2で商を一つ増やした「3」をケース数とし、上記3で算出された「−1」をバラ数とし、減算表示形態に切り替える。
なお、上記減算表示形態に切り替える場合、上記3で指示数「35」から上記2で算出された数を減算するが、その値が基準個数より小さい数字になる場合は、減算表示形態は表示しないようにしても良い。つまり、基準個数よりも小さい数字では減算表示させないように制御してもよい。
【0038】
また、バラの物品の総指示数を表示しているが、通常は該バラ総数を表示せずに、実際に棚に陳列しているケース等が足りない場合にケースとバラ数からなる指示データをバラ総数からなる指示データを表示させるキー操作部を設けるようにしてもよい。また、基準データは個数でなくとも、例えば1ケースに含まれる数の半分(を含む)等の割合であってもよい。また、上記例では“−3”というマイナスの基準個数であったが、例えば入り数“12”に対して“9”を基準個数としてもよい。つまり9個までは加算表示させるようにしてもよい。即ち、基準個数がプラスであればその数まで加算表示が許され、マイナス表示であればその数まで減算表示が許される。また、基準情報である基準個数は物品毎に異なるよう管理装置100で設定可能なようにしてあってもよいし、あるいは全ての物品に対して一律に同じ基準個数を採用するようにしてもよい。
【0039】
また、上記例では、上記ステップST4において、当該ロケーションでピッキングすべき物品のバーコードを読み取ることで、指示データを表示させることにしたが、これに限らず、1つのロケーションでの作業が終わったら、次のロケーションと当該ロケーションでのピッキングすべき指示データを表示させるようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態例では、1つのCPU20で制御する例を説明したが、例えば、上位との通信やアンテナを含む第1表示部16の表示を制御するCPUと、第2表示部17やプリンタ18やスキャナー30、第1乃至第4計量部25〜28を制御するCPUと、2つのCPUにてピッキングカート10を制御するようにしてもよい。また、作業を完了宣言するキーは第1表示部16及び第2表示部17における完了キーであったが、ピッキングカート10にキーそのものを設けても良い。
【0041】
また、上記実施形態例では、倉庫を移動するピッキングカートの第1表示部16及び第2表示部17に指示データが表示される例を説明したが、カートの表示部に指示データが表示される場合に限定されるものではない。ピッキングカートの表示部にはピッキングすべき物品のロケーションNo.のみが表示され、作業者は示された棚位置まで移動する。そして、該棚には物品に対応するよう表示部が備わっており、該表示部に指示データを表示するようにしても良い。また、表示部が備わっていないカートで本発明を利用しても良い。つまり、作業開始前にピッキングすべき物品のロケーションNo.が示されたリストを紙で受け取り、作業員は該位置へ移動し、前記と同じように物品に対応する位置に表示部を備え、該表示部に指示データを表示させるようにしても良い。この場合、作業終了宣言をするためのスイッチを表示部に設けることで作業完了を管理装置へ送信することができる。また、上記例におけるピッキングカートの外観等は限定されるものでなく、表示部は1つでもよいし、コンテナの数も4つに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るピッキングシステムに用いるピッキングカートの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るピッキングシステムの全体システム構成を示す図である。
【図3】ピッキングカートのシステム構成を示す図である。
【図4】ピッキングカートが受信するピッキングを指示する指示データの例を示す図である。
【図5】ピッキング作業の操作フローを示す図である。
【図6】ピッキングカートの表示部の表示例を示す図である。
【図7】ピッキングカートの表示部の初期画面の表示例を示す図である。
【図8】ピッキングカートの表示部のロケーション移動指示画面例を示す図である。
【図9】ピッキング作業におけるピッキングカートの表示部の表示例を示す図である。
【図10】ピッキング作業におけるピッキングカートの表示部の表示例を示す図である。
【図11】ピッキング作業の終了による実績ファイル例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ピッキングカート
11〜14 台秤
15 ハンドル
16 第1表示部
17 第2表示部
18 プリンタ
20 CPU
21 RAM
22 ROM
23 充電電源部
24 通信部
25 第1計量部
26 第2計量部
27 第3計量部
28 第4計量部
30 スキャナー
31 スピーカー部
100 管理装置
101 無線ルータ
102 無線LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が視認できる位置に配置された表示部を備え、管理装置から送信されてくるピッキングすべき物品に関する情報を受信し、該受信した情報を前記表示部に指示データとして表示し、前記作業者が該指示データに基づき物品をピッキングするピッキングシステムにおいて、
物品毎に1ケースに含まれる物品の数である入り数情報と、
対象となる物品のピッキング指示個数情報と、
前記指示データは前記ピッキング指示個数情報と入り数情報とに基づき生成されるケース数とバラの物品数とからなる情報であり、
前記指示データの表示を必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を加算するよう指示する加算表示形態と、
前記指示データの表示を必要なケース数と、該ケース数に指定された物品のバラ数を減算するよう指示する減算表示形態と、
前記加算表示形態で表示するか前記減算表示形態で表示するかの基準となる基準情報と、
前記ピッキングすべき前記物品の入り数と前記ピッキング指示個数情報と前記基準情報に基づき、前記加算表示形態又は減算表示形態の表示形態選択と前記指示データを算出し該選択された表示形態で該算出された指示データを前記表示部に表示する制御手段と、
を備えたことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記加算表示形態或いは減算表示形態の切り替えをする表示形態操作手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記加算表示形態或いは減算表示形態と共に、前記ピッキング指示個数情報を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記ピッキング作業完了を宣言する宣言手段と、
前記宣言手段により、前記加算表示形態或いは減算表示形態のいずれかの表示形態で示された前記ケース数情報と前記バラ数情報とを実績データとして前記管理装置へ送信する送信手段と、を備え、
前記管理装置は送信された前記実績データを受信する受信手段を備え、
前記受信手段で受信された前記ケース数情報と前記バラ数情報とに基づき、物品毎にケース数とバラ数とで在庫を管理することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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