説明

ピッキング装置

【課題】荷物を載置可能なフォークを有するピッキング装置において、ピッキング装置を用いて荷物を移動させる際の荷物の安定保持と、ピッキング装置を用いて荷物を収納棚に収納する際のフォークの移動距離の短縮とを両立して実現させる。
【解決手段】荷物Nを載置可能なフォーク53を有し、そのフォーク53を収納棚S1の開口端面Sa内に挿入して前記荷物Nを出し入れするピッキング装置に、前記フォーク53が収納棚S1外にある際には前記荷物Nをフォーク53の基端側に位置させ、前記フォーク53が収納棚S1の開口端面Sa内に挿入される際に前記荷物Nをフォーク53の先端側に位置させるための荷物位置変更機構57を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を載置可能なフォークを有し、そのフォークを収納棚の開口端面内に挿入して前記荷物を出し入れするピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、荷物を載置可能なフォークを有し、そのフォークを収納棚の開口端面内に挿入し、収納棚内の荷物をフォークに載置することにより収納棚内から前記荷物を取り出し、また、フォークに載置した荷物をフォーク上から収納棚内に移すことにより収納棚内に前記荷物を収納するピッキング装置は種々考えられてきている。このようなピッキング装置の一例として、フォークと、このフォークを収納棚の開口端面内に挿入した状態と収納棚外に位置させた状態との間で作動させるフォーク駆動機構とを備えるものが広く考えられている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2008−19097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ピッキング装置により荷物を所望の収納スペースに移動させる際には、荷物を安定して保持させるべく、フォークの基端部に荷物を載置することが望ましい。
【0004】
その一方で、フォークに載置した荷物を収納棚に収納する際には、フォークの移動距離を短縮できるので、フォークの先端部に荷物を載置することが望ましい。
【0005】
しかし、特許文献1記載のもの等、従来のピッキング装置においては、フォークに対して荷物を一定の位置にしか載置できないので、前記両要望を同時に実現することが不可能であった。
【0006】
本発明は、以上に述べた課題を解決すること、すなわち荷物を移動させる際の荷物の安定保持と、荷物を収納棚に収納する際のフォークの移動距離の短縮とを、両立して実現させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るピッキング装置は、以上の課題を解決するために、荷物を載置可能なフォークを有し、そのフォークを収納棚の開口端面内に挿入して前記荷物を出し入れするピッキング装置であって、前記フォークが収納棚外にある際には前記荷物をフォークの基端側に位置させ、前記フォークが収納棚の開口端面内に挿入される際に前記荷物をフォークの先端側に位置させるための荷物位置変更機構を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
このようなものであれば、収納棚に収納した荷物を移動させるべく、フォークを収納棚の開口端面内に挿入させてフォークの先端近傍に荷物を載置し、このフォークを収納棚外に戻す際に、前記荷物位置変更機能の作用により荷物を移動させてフォークの基端側に位置させることができる。また、フォークの基端側に載置した状態で荷物を移動させた後、この荷物を収納棚内に収納させるべくフォークを収納棚の開口端面内に挿入させる際に、前記荷物位置変更機構の作用により荷物を移動させてフォークの先端側に位置させることができる。
【0009】
以上の課題を解決する上で、簡単な構成で前記荷物位置変更機構を実現するには、前記荷物位置変更機構が、フォークの上面を通過して正逆動作する荷物支持ベルトを備え、この荷物支持ベルトをフォークの動きを利用して正逆動作させ得るように構成したものが望ましい。このようなものであれば、フォークの動きを利用して荷物支持ベルトを正逆動作させることにより、フォークに載置した荷物の位置を変更できるので、荷物支持ベルトを正逆動作させるための駆動機構を別に設ける必要がないからである。
【0010】
さらに、前記荷物位置変更機構が、前記荷物支持ベルトをフォークの進退動作を利用して正逆動作させ得るように構成したものであれば、フォークの動きを無理なく円滑に荷物支持ベルトに伝達できる。
【0011】
また、前述した本発明の課題を解決できるピッキング装置の好適な構成の一例として、前記フォークが、ベースとともに収納棚の開口端面に沿って移動するものであり、前記フォークを駆動するフォーク駆動機構が、前記ベースと、このベースに取り付けた基台と、この基台上に収納棚方向へスライド可能に配された第1の中間スライダと、この第1の中間スライダ上に収納棚方向へスライド可能に配された第2の中間スライダとを備え、この第2の中間スライダ上に前記フォークを収納棚方向にスライド可能に支持させたものであって、モータの駆動力で前記基台に対して前記第1の中間スライダを進退動作させるスライダ駆動機構と、前記基台に対する前記第1の中間スライダの動きを利用して前記第2の中間スライダを前記第1の中間スライダに対して作動させる第1の連動機構と、前記第2の中間スライダの動きを利用して前記フォークを前記第2の中間スライダに対して作動させる第2の連動機構とを備えたものが挙げられる。
【0012】
さらに、開口端面を対向させて配置した対をなす収納棚間に配置して使用されるピッキング装置においては、前記フォークを、フォークの一方の先端部を一方の収納棚内に挿入する第1の挿入位置と、フォークの他方の先端部を他方の収納棚内に挿入する第2の挿入位置と、フォークをそれらの収納位置の中間に設定した収納棚外の中立位置との間で作動させるフォーク駆動機構を備え、前記荷物位置変更機構が、前記フォークが前記中立位置にある際に荷物をフォークの中央基端部に位置させ得るように構成したものが望ましい。このようなものであれば、いずれかの収納棚に収納した荷物を取り出すべくフォークを前記第1又は第2の収納位置に移動させ、荷物をフォークの先端部に載置し、フォークを中立位置に移動させると、荷物位置変更機構により荷物がフォークの中央基端部に移動するので、荷物は両荷物棚の中間に位置することとなり、両荷物棚に対する荷物の出し入れに要する時間を均等にできるからである。
【0013】
前述した本発明の課題を解決する上で、荷物のフォーク上での位置決めを行えるようにするには、前記フォークの基端部に位置させた荷物の一側を係止するための位置決め壁と、その位置決め壁に荷物を押し付けて荷物を位置決め保持するための幅寄せ部材とを具備する構成を採用するのが望ましい。このようなものであれば、前記位置決め壁と前記幅寄せ部材とにより荷物を挟持することにより荷物が位置決めされるからである。
【0014】
さらに、前述した本発明の課題を解決する上で、収納棚に荷物を多段積みさせる構成を実現するには、収納棚内に進入させた前記フォークの先端部を収納棚外に後退させる際に、フォーク上の荷物を収納棚内にとどめておくためのそぎ落とし部材を備えているものが望ましい。このようなものであれば、収納棚に予め収納した荷物の略直上に収納すべき荷物を位置させるべく収納棚内にフォークを進入させ、前記フォークの先端部を収納棚外に後退させる際に前記そぎ落とし部材を機能させると、前記収納棚に予め収納した荷物の直上に新たな荷物を載置できるからである。
【0015】
加えて、前述した本発明の課題を解決する上で、荷物のフォーク上での位置決めを行える効果、及び収納棚に荷物を多段積みさせる効果を簡単な構成により両立させる、前記フォークの基端部に位置させた荷物の一側を係止するための位置決め壁と、その位置決め壁に荷物を押し付けて荷物を位置決め保持するための幅寄せ部材と、収納棚内に進入させた前記フォークの先端部を収納棚外に後退させる際に、フォーク上の荷物を収納棚内にとどめておくためのそぎ落とし部材とを備えているものであって、幅寄せ部材の動きを利用して前記そぎ落とし部材を作動させるようにしたものが望ましい。このようなものであれば、幅寄せ部材の動きを利用することによりそぎ落とし部材を作動させているので、そぎ落とし部材を作動させるための駆動機構を別に設ける必要がないからである。
【0016】
なお、本発明において、「フォークの基端」とは、開口端面を対向させて配置した対をなす収納棚間に配置して使用されるピッキング装置において、一方の先端部を一方の収納棚内に挿入する第1の挿入位置と、他方の先端部を他方の収納棚内に挿入する第2の挿入位置と、収納位置の中間に設定した収納棚外の中立位置との間で作動可能なフォークの中央部、すなわち請求項5の「中央基端部」を含む概念である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収納棚に収納した荷物を移動させる際には、フォークの先端側に荷物を載置した後、前記荷物位置変更機能の作用により荷物をフォークの基端側に位置させることができる。また、フォークに載置した荷物を収納棚内に収納させる際には、前記荷物位置変更機構の作用により荷物をフォークの先端側に位置させることができる。従って、荷物を移動させる際の荷物の安定保持と、荷物を収納棚に収納する際のフォークの移動距離の短縮とを、両立して実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に示す実施形態は上流側コンベアIIにより順次搬入される荷物Nを自動格納機能を有した複数組の貯蔵設備Iに格納し、必要に応じてその貯蔵設備Iから導出させた荷物Nを搬出ステーションIIIからトラックTに受け渡すことができるようにしたものである。なお、前記荷物Nとしては、チラシ等の紙葉類を複数枚束ね結束したものを想定している。
【0020】
前記各貯蔵設備Iは、図2及び図3に示すように、開口端面Saを対向させて配置した対をなす収納棚S1、S2と、その収納棚S1、S2間に配設したピッキング装置Pと、このピッキング装置Pに対して荷物Nの受け渡しを行うための搬出入装置Qとを具備してなる。
【0021】
収納棚S1、S2は、フレーム1と、このフレーム1に装着した複数枚の棚要素3とを具備してなり、共通の開口端面Saに前記各棚要素3上にそれぞれ形成される複数の単位収納スペースSbを開口させている。すなわち、これらフレーム1と複数枚の棚要素3とによって同一の開口端面Saに開口し縦横に配列される多数の単位収納スペースSbを形成している。
【0022】
ピッキング装置Pは、図5乃至図11に示すように、荷物Nを前記収納棚S1、S2に対して出し入れするためのヘッド5と、このヘッド5を前記収納棚S1、S2の開口端面Saに沿って上下左右に作動させるためのヘッド駆動手段7とを具備してなる。
【0023】
ヘッド駆動手段7は、前記収納棚S1、S2間に配設した床レール9と、この床レール9と平行に設けた天井レール11との間に設けられたもので、床レール9上を走行する走行部13と、この走行部13上に立設され上端部を天井レール11に移動可能に支持させた移動支柱15と、この移動支柱15に昇降可能に支持させたヘッド5を上下方向に移動させるための昇降部17とを具備してなる。
【0024】
走行部13は、車輪19を介して前記床レール9上を左右方向に走行する架台21と、この架台21上に設けられ前記車輪19を回転駆動する走行用駆動機構23とを具備してなる。
【0025】
移動支柱15は、例えばアルミ押し出し材製のもので、前記架台21に剛結してある。具体的には、角パイプ状の支柱本体25と、この支柱本体25の両側面に突設した案内突条27とを備えてなる。
【0026】
昇降部17は、前記移動支柱15の上端部に設けた滑車29と、一端を前記ヘッド5に接続し他端側を前記滑車29を介して架台21上に導かれたワイヤ31と、このワイヤ31の他端側を巻き取りあるいは繰り出して前記ヘッド5を昇降させるウィンチ33と、このウィンチ33を正逆駆動するためのウィンチ駆動機構35とを具備してなる。
【0027】
前記ヘッド5は、前記移動支柱15に昇降可能に支持されたベース37と、このベース37上に搭載されたフォーク部39と、このフォーク部39に隣接させて前記ベース37上に設けられた幅寄せ部41と、この幅寄せ部41に関連させて前記ベース37上に配設されたそぎ落とし部43とを具備してなる。
【0028】
前記ベース37は、縦フレーム45と、この縦フレーム45から突出させた横フレーム47とを備えてなる。
【0029】
縦フレーム45は、前記移動支柱15の案内突条27の両面を挟持する対をなす第1の案内輪49と、前記移動支柱15の案内突条27の先端に転接する第2の案内輪51とを複数組有し、これら案内輪49、51を介して前記移動支柱15に昇降可能に装着されている。
【0030】
横フレーム47は、縦フレーム45の下端部から片持ち的に突出させたもので、縦フレーム45に剛結されている。
【0031】
フォーク部39は、荷物Nを積載可能なフォーク53と、このフォーク53を進退動作させるためのフォーク駆動機構55と、フォーク53上の荷物Nをフォーク53に対して移動させるための荷物位置変更機構57とを具備してなる。
【0032】
フォーク53は、全ての荷物Nを支持するためのメインフォーク53aと、このメインフォーク53aよりも幅寸法が小さいサブフォーク53bとからなる。なお、上述した棚要素3は、メインフォーク53aおよびサブフォーク53bをそれぞれ上下方向に通過させるための間隙3a、3bを有した櫛歯状をなしている。
【0033】
フォーク駆動機構55は、モータ55aを正逆駆動させることにより、前記フォーク53を、フォーク53の一方の先端部を一方の収納棚S1内に挿入する第1の挿入位置αと、フォーク53の他方の先端部を他方の収納棚S2内に挿入する第2の挿入位置βと、フォーク53をそれらの挿入位置α、βの中間に設定した収納棚S1、S2外の中立位置γとの間で作動させるものである。具体的には、フォーク駆動機構55は、前記ヘッド5のベース37に取り付けた基台55bと、この基台55b上に収納棚S1、S2方向へスライド可能に配された第1の中間スライダ55cと、この第1の中間スライダ55c上に収納棚S1、S2方向へスライド可能に配された第2の中間スライダ55dとを備え、この第2の中間スライダ55d上に前記フォーク53を収納棚S1、S2方向にスライド可能に支持させたものである。そして、このフォーク駆動機構55は、モータ55aの駆動力で前記基台55bに対して前記第1の中間スライダ55cを進退動作させるスライダ駆動機構55eと、前記基台55bに対する前記第1の中間スライダ55cの動きを利用して前記第2の中間スライダ55dを前記第1の中間スライダ55cに対して作動させる第1の連動機構55fと、前記第2の中間スライダ55dの動きを利用して前記フォーク53を前記第2の中間スライダ55dに対して作動させる第2の連動機構55gとをさらに備えたものである。
【0034】
前記基台55bは、例えば平板状のもので、ベース37の対をなす横フレーム47上に固設されている。基台55bは、その上面に収納棚S1、S2の開口端面Saに対して突没する方向に延びる案内レール55b1を備えている。
【0035】
前記第1の中間スライダ55cは、例えば平板状のもので、前記基台55b上に配されている。この第1の中間スライダ55cは、スライドベアリング55c1を介して前記基台55bの案内レール55b1にスライド可能に支持されている。この第1の中間スライダ55cは、その上面に収納棚S1、S2の開口端面Saに対して突没する方向に延びる案内レール55c2を備えている。
【0036】
前記第2の中間スライダ55dは、例えばブロック状のスライダ本体55d1と、このスライダ本体55d1上に設けた鍔部55d2とを備えたもので、前記第1の中間スライダ55c上に配設されている。この第2の中間スライダ55dは、下部スライドベアリング55d3を介して前記第1の中間スライダ55cの案内レール55c2にスライド可能に支持されている。そして、この第2の中間スライダ55dの鍔部55d2上に、上部スライドベアリング55d4を介して前記メインフォーク53a及び前記サブフォーク53bをそれぞれスライド可能に支持させている。
【0037】
前記第1の中間スライダ55cを駆動するためのスライダ駆動機構55eは、ベース37の横フレーム47間に位置させて前記基台55bの下面に装着したモータ55aと、このモータ55aの出力軸に装着した駆動プーリ55e2と、前記基台55bに軸着した複数の案内プーリ55e3と、これらプーリ55e2、55e3に架け渡したタイミングベルト55e4とを備えてなるもので、このタイミングベルト55e4の特定箇所と前記第1の中間スライダ55cとをブラケット55e5を介して接続したものである。
【0038】
第2の中間スライダ55dを第1の中間スライダ55cに対して作動させるための第1の連動機構55fは、第1の中間スライダ55cの両端部に軸着した対をなすプーリ55f1と、これらプーリ55f1間に架け渡したタイミングベルト55f2と、このタイミングベルト55f2の下側所定箇所を基台55bに接続するためのブラケット55f3とを具備してなるもので、前記タイミングベルト55f2の上側所定箇所を第2の中間スライダ55dに接続している。
【0039】
第1の中間スライダ55cに対して第2の中間スライダ55dの倍の速度でフォーク53を作動させるための第2の連動機構55gは、前記第2の中間スライダ55dに軸着され一体回転可能な対をなすピニオンギア55g1と、第1の中間スライダ55cに固設され前記ピニオンギア55g1に噛合する下部ラック55g2と、フォーク53に固設され前記ピニオンギア55g1に噛合する上部ラック55g3とを具備してなる。
【0040】
荷物位置変更機構57は、前記フォーク53が収納棚S1、S2外にある際には図7に示すように前記荷物Nをフォーク53の中央基端部に位置させ、前記フォーク53が収納棚S1、S2の開口端面Sa内に挿入される際に図9及び図11に示すように前記荷物Nをフォーク53の先端側に位置させるためのものである。すなわち、この荷物位置変更機構57は、図7に示すように、前記フォーク53が前記中立位置γにある際に荷物Nをフォーク53の中央基端部に位置させ、図9及び図11に示すように、前記フォーク53が前記第1の挿入位置α、第2の挿入位置βにある際に荷物Nをフォーク53の一方の先端部又は他方の先端部にそれぞれ位置させ得るように構成したものである。具体的には、この荷物位置変更機構57は、フォーク53の上面を通過して正逆動作する荷物支持ベルト57aを備え、フォーク53の進退動作を利用して荷物支持ベルト57aを正逆動作させるものである。詳述すれば、荷物支持ベルト57aは、メインフォーク53a、サブフォーク53bの両端部にそれぞれ対をなして設けたプーリ57b間に架け渡したものである。この荷物支持ベルト57aは、ブラケット57cを介して所定箇所を第2の中間スライダ55dに接続している。
【0041】
幅寄せ部41は、前記フォーク53の中央基端部に位置させた荷物Nの一側を係止するための位置決め壁59と、その位置決め壁59に荷物Nを押し付けて荷物Nを位置決め保持するための幅寄せ部材61と、この幅寄せ部材61を駆動させるための幅寄せ部材駆動機構63とを具備してなる。具体的には、前記ヘッド5のベース37に案内シャフト65aを有した固定フレーム65を固着するとともに、この固定フレーム65の案内シャフト65aにスライドベアリング67aを介して可動フレーム67を位置決め壁59に接離する方向に進退可能に設け、その可動フレーム67の前進端に前記幅寄せ部材61を立設している。
【0042】
前記位置決め壁59は、前記ベース37のメインフォーク53aよりも移動支柱15寄りの箇所に起立させて設けたものである。また、この位置決め壁59の下辺近傍には、図12に示すように、荷物Nの有無を検知するための中央荷物認識センサ60a、左荷物認識センサ60b、及び右荷物認識センサ60cが設けてある。通常の荷物Nを中央基端部に載置してある場合には、中央荷物認識センサ60aのみが荷物検知信号を出力し、左荷物認識センサ60b及び右荷物認識センサ60c上には荷物Nが存在しないように設定してある。荷物Nが異常に左に寄った場合には左荷物認識センサ60bが荷物検知信号を出力し、荷物Nが異常に右に寄った場合には、右荷物認識センサ60cが荷物検知信号を出力するようになっている。
【0043】
前記幅寄せ部材61は、櫛歯状又は後述するような板状のもので、その前縁で荷物Nの側面を前記位置決め壁59に接近する方向に押圧し得るようにしたもので、前記可動フレーム67とともに進退するようになっている。なお、この幅寄せ部材61には、前記図12に示すように、優先して荷物Nに当接する感圧機構62が設けてある。この感圧機構62は、荷物Nを所定以上の力で押圧することを防止するためのもので、先端が幅寄せ部材61の前縁から突没し得るようにして該幅寄せ部材61にスライド可能に支持された事前押圧部材62aと、この事前押圧部材62aを突出方向に付勢するためのばね62bと、前記事前押圧部材62aが荷物Nからの所定以上の反力を受けることによりばね62bの付勢力に抗して没入した場合に押圧感知信号を出力する押圧感知センサ62cとを具備してなる。すなわち、幅寄せ部材61が前進すると、まず事前押圧部材62aが荷物Nに当接して荷物Nを押圧する。荷物Nが位置決め壁59に押しつけられた状態でさらに幅寄せ部材61が前進すると、前記事前押圧部材62aが荷物Nから大きな反力を受け、ばね62bの付勢力に抗して幅寄せ部材61の前縁と面一となる位置まで没入し、押圧感知センサ62cが押圧感知信号を出力する。そして、この押圧感知センサ62cが押圧感知信号を出力し、かつ前記中央荷物認識センサ60aが荷物検知信号を出力した時点で、荷物Nが適正に位置決め壁59に押圧されたものとみなして幅寄せ部材61の前進を停止させるようにしている。
【0044】
前記幅寄せ部材駆動機構63は、前記固定フレーム65に設けたモータ63aと、このモータ63aの出力軸に装着した駆動プーリ63bと、この駆動プーリ63bに対応させて固定フレーム65に軸着した案内プーリ63cと、これらプーリ63b、63c間に架け渡したタイミングベルト63dとを備えてなるもので、前記タイミングベルト63dの特定箇所を前記可動フレーム67に接続している。
【0045】
そぎ落とし部43は、収納棚S1、S2内に進入させた前記フォーク53の先端部を収納棚S1、S2外に後退させる際に、フォーク53上の荷物Nを収納棚S1、S2内にとどめておくためのそぎ落とし部材69と、このそぎ落とし部材69を駆動するそぎ落とし部材駆動機構71とを具備してなる。前記そぎ落とし部材69は、前記幅寄せ部材61の動きを利用して作動させるようにしたものである。具体的には、前記幅寄せ部41の可動フレーム67にそぎ落とし部材支持フレーム73を固設し、このそぎ落とし部材支持フレーム73の両外方端部に対をなすスライドロッド69aをそれぞれ外方へ突没可能に設け、これらスライドロッド69aの外方端に前記そぎ落とし部材69を取着している。スライドロッド69aは、引っ張りコイルスプリング等の弾性部材69bによりスライドロッド69aが内方へ没入する方向に付勢されている。すなわち、対をなすスライドロッド69aの内方端間にスライドロッド69aを連結する連結部材69cを設け、この連結部材69cを前記弾性部材69bにより内方に牽引している。
【0046】
そぎ落とし部材駆動機構71は、前記固定フレーム65に設けたカム面71aと、前記可動フレーム67が正規の可動範囲δを超えて前進した際に、前記カム面71aに案内されて外方に案内されるカムフォロア71bとを具備してなり、前記カムフォロア71bを前記連結部材69cに軸着したものである。ここで可動フレーム67の「正規の可動範囲δ」とは、フォーク53上の荷物Nを幅寄せ部材61により押圧するための可動範囲である。すなわち、正規の可動範囲δとは、図10及び図11に示すように、前記カムフォロア71bが始点εから押圧終点ζに至る範囲をいう。そして、荷物Nがフォーク53により収納棚S1、S2内に持ち出されて位置決め壁59に対応する部位に荷物Nが無い状態で前記幅寄せ部材61を正規の可動範囲δを超えて前進させることができるようになっている。図11に示すように、正規の可動範囲δを超えて幅寄せ部材61を最前進させた位置、すなわちカムフォロア71bが図10及び図11に示す幅寄せ点ηに達した位置では前記そぎ落とし部材69がフォーク53の上方であってこのそぎ落とし部材69の外側面69dが収納棚S1、S2の開口端面Saの近傍位置又は開口端面Saよりも若干収納棚S1、S2内に進入した位置に達するように前記カム面71aの形状を設定している。
【0047】
一方、搬出入装置Qは、一方の収納棚S1の開口端面Saに沿わせて設けた投入コンベア75と、この投入コンベア75の途中に設けた受取コンベア77と、他方の収納棚S2の開口端面Saに沿わせて設けた出荷コンベア79とを具備してなる。
【0048】
投入コンベア75は、前記上流側コンベアIIから分岐させたもので、上流側コンベアIIから受け取った荷物Nを受取コンベア77に向けて搬送するためのものである。具体的には、投入コンベア75は一方の収納棚S1の下部に配設されたもので、コンベアフレーム75a間に多数個の駆動ローラ75bを架設したものである。駆動ローラ75bは、一定以上の負荷が掛かった場合には停止するように構成された通常のものである。なお、この実施形態では、投入コンベア75の受取コンベア77よりも下流側の部位を正逆送可能に構成し、その部位に待機中の荷物Nを仮置きしておくようにしている。すなわち投入コンベア75のうち受取コンベア77より上流側の部位が待機中の荷物Nで満杯になった場合は、受取コンベア77をスルーさせ、投入コンベア75のうち受取コンベア77よりも下流側の部位に荷物Nを待機させ、上流側の待機中の荷物Nがなくなった際に下流側の部位の投入コンベア75を逆送させ待機中の荷物Nを受取コンベア77に供給するようにしている。
【0049】
受取コンベア77は、図4に示すように、投入コンベア75により搬入された荷物Nをピッキング装置Pに受け渡すためのもので、ピッキング装置Pの可動範囲の略中央に配置されている。この実施形態では、2台のピッキング装置Pを共通の床レール9上に配し、収納棚S1、S2の一方の片半部をなす第1の収納可能領域イと、収納棚S1、S2の他方の片半部をなす第2の収納可能領域ロとを設定し、それら各収納可能領域イ、ロにそれぞれピッキング装置Pを対応させている。そして、前記受取コンベア77はこれら各収納可能領域イ、ロの略中央にそれぞれ配されている。具体的には、受取コンベア77は、コンベアフレーム77aと、このコンベアフレーム77a内に架設した正逆回転可能な複数の駆動ローラ77bと、コンベアフレーム77aの上流端及び下流端にそれぞれ出没可能に設けた上流側ストッパ77c、下流側ストッパ77dと、前記駆動ローラ77b上に前記下流側ストッパ77dにより係止された荷物Nを持ち上げるリフタ77eとを具備してなる。また、この受取コンベア77には、位置決め用突起77fが出没可能に設けられ、受取コンベア77上において位置決め用突起77fに接離する方向に進退動作可能な位置決め押圧部材77gによって、受取コンベア77上の荷物Nを位置決め用突起77fに向けて押し出すようにしてある。受取コンベア77上の荷物Nは、下流側ストッパ77dと、前記位置決め用突起77fとにより位置決めされるようになっており、位置決め状態においてリーダ77hにより、荷物Nに付与されたバーコード等の識別子のデータを読み取ることができるようにしてあり、このリーダ77hにより読み取った識別子に対応する単位収納スペースSbに前記ピッキング装置Pを用いてその荷物Nを収納するようにしている。前記リフタ77eは、ピッキング装置Pのフォーク53を荷物Nの下面側に挿入させ得る位置までその荷物Nを持ち上げることができるようになっている。なお、図4では、上流側ストッパ77c、下流側ストッパ77d、リフタ77e、位置決め用突起77fをそれぞれ上方へ突出させた状態を想像線で示している。
【0050】
出荷コンベア79は、他方の収納棚S2の開口端面Saに沿わせて収納可能領域イ、ロの略全域に亘って設けられ、荷物Nを搬出ステーションIIIに向けて搬送し収納棚S1、S2外へ排出するものである。具体的には、出荷コンベア79は他方の収納棚S2の下部に配設されたもので、コンベアフレーム79a間に多数個の駆動ローラ79bを架設したものである。なお、出荷コンベアは、ローラコンベアではなく、ベルトコンベアであってもよい。
【0051】
この実施形態では、出荷コンベア79を、リーダ77hにより識別子のデータを読み取ることができなかった荷物Nや、データを読み取ったが別の貯蔵設備Iの収納棚S1、S2に収納すべき荷物Nや、許容以上に斜めになっており収納に支障を来す状態の荷物N等を直ちに排出するキャンセルコンベアとしても利用している。
【0052】
前述したように、この実施形態における貯蔵設備Iは、対をなす収納棚S1、S2間にピッキング装置Pを配し、一方の収納棚S1側に投入コンベア75と受取コンベア77を配するとともに他方の収納棚S2側に出荷コンベア79を配してなるものであり、かかる構成をなす貯蔵設備Iを複数組並列に設置している。
【0053】
前記貯蔵設備Iの上流側には、例えば図示しない結束機により複数枚の紙葉類を束ねてなる荷物Nを順次搬入するための前記上流側コンベアIIが配されている。この上流側コンベアIIの各貯蔵設備Iに対応する部位には分岐点がそれぞれ設定されており、これら各分岐点に投入コンベア75へ荷物Nを搬入するための搬入用分岐コンベア81がそれぞれ接続されている。上流側コンベアIIの各分岐点には、該上流側コンベアII上の各荷物Nを対応する搬入用分岐コンベア81に受け渡すための図示しない選別機構が配されている。選別機構は、各荷物Nに付されたデータに対応する指令信号により作動し、上流側コンベアII上の各荷物Nを、データに対応する搬入用分岐コンベア81上に分流させる役割をなす。選別機構の構成は通常のものであるため説明を省略する。
【0054】
前記貯蔵設備Iの下流側には、前記貯蔵設備Iから搬出される荷物NをトラックT等に受け渡すための搬出ステーションIIIが設置されている。搬出ステーションIIIには、始端を各貯蔵設備Iの出荷コンベア79に接続してなる搬出コンベア83がそれぞれ配されており、これら各搬出コンベア83により搬出される荷物Nを対応するトラックT等に積載するようになっている。
【0055】
次いで、この実施形態の作動を説明する。
【0056】
例えば、図示しない結束機により複数枚の紙葉類を束ねてなる荷物Nが、上流側コンベアIIにより順次搬入される。この上流側コンベアIIにより搬入される各荷物Nは、選別機構の働きにより固有のデータに対応する分岐点において搬入用分岐コンベア81に移され、対応する貯蔵設備Iの投入コンベア75に受け渡される。
【0057】
投入コンベア75に渡された荷物Nは、一方の収納棚S1の下部を通って受取コンベア77に到達し下流側ストッパ77dにより係止され、該受取コンベア77上に待機させられる。その際に位置決め用突起77fが上動して受取コンベア77上に出現し、位置決め押圧部材77gにより前記荷物Nを位置決め用突起77fに押し付けて位置決めする。この位置決め状態において、リーダ77hがその荷物Nに付された識別子のデータを読み取り、別に設けた荷物高さ計測機構77iで荷物Nの高さを計測し、図示しない制御部に向けて識別子のデータと高さデータとを出力する。各荷物Nの収納すべき収納棚S1、S2は予め決められており、識別子のデータ及び高さデータを受け取った制御部は、そのデータにより、予め決められている収納すべき収納棚S1、S2のどの単位収納スペースSbに収納するのかを特定する。単位収納スペースSbを特定した場合には、ピッキング装置Pに向けて、その荷物Nを受取コンベア77からピッキングして特定した単位収納スペースSbに収納すべき旨の収納指令信号を出力する。すなわち、そのデータによりその荷物Nを収納すべき単位収納スペースSbを特定した場合、また、先に荷物Nが収納されている場合においては、先の荷物Nの高さデータとこれから収納しようとする荷物Nの高さデータから、フォーク53の厚さと収納時の先の荷物Nの上面との隙間及び上の棚要素3との隙間を考慮し、収納可能な単位収納スペースSbを特定した場合には、ピッキング装置Pに向けて、その荷物Nを受取コンベア77からピッキングして特定した単位収納スペースSbに収納すべき旨の収納指令信号を出力する。このとき指定されるヘッド5の停止高さ位置は当該棚要素3の高さ位置に相当する高さであるが、荷物Nを先の荷物Nの上に段積みする場合は、制御部に入力されている先の荷物Nの高さに加え、フォーク53の厚さ及び収納時に確保すべき隙間分を加えた高さが指定される。なお、ピッキングする前に正確な荷物Nの高さが判明するため、段積みする場合は事前に単位収納スペースSbが特定できない。したがって、先に荷物Nが収納されている場合においては、先の荷物Nの高さデータとこれから収納しようとする荷物Nの高さデータから、フォーク53の厚さと収納時の先の荷物Nの上面との隙間及び上の棚要素3との隙間を考慮し、収納可能な単位収納スペースSbを特定することにしている。また、上述の手順によって単位収納スペースSbを特定し、その単位収納スペースSbに荷物Nを収納した場合、制御部にその旨(識別子のデータ、すなわち荷物名、及び高さデータ)を出力し、制御部では単位収納スペースSb毎に如何なる荷物Nが収納されているかを示す収納荷物データ、及びその単位収納スペースSbに収納されている一又は複数の荷物Nの総高さデータを蓄積・保管し、次の段積みや出荷時の荷物Nの特定に対応するようにしている。一方、制御部が、リーダ77hから送られたデータにより収納すべき単位収納スペースSbを特定できないと判断した場合には、ピッキング装置Pに向けて、その荷物Nを受取コンベア77からピッキングし、キャンセルコンベアとしても機能する出荷コンベア79上に直ちに移送すべき旨の排出指令信号を出力する。なお、投入コンベア75上に複数の荷物Nが次々に搬入される場合には、上流側ストッパ77cを突出させて受取コンベア77上の荷物N以外の荷物Nを係止させ、投入コンベア75上に待機させる。
【0058】
制御部から収納指令信号が出力された場合には、受取コンベア77のリフタ77eが上昇して荷物Nの下方にスペースが形成されるとともに、ピッキング装置Pのヘッド5が受取コンベア77に対応する位置にまで移動して、そのヘッド5のフォーク53が前記スペースに進入する。しかる後に、リフタ77eが下降し、上昇前の位置に戻すことで、荷物Nがフォーク53上に載置される。当然、ヘッド5が若干上昇してリフタ77e上の荷物Nがフォーク53上に載置されてもよい。ただし、リフタ77eが下降した方が荷物Nをキャンセルライン、例えば出荷コンベア79に排出する場合に、ヘッド5の昇降なしにフォーク53の出し入れと幅寄せ部41の動きで、そぎ落としするだけで排出が可能となり、短時間に排出が可能となる。フォーク53は荷物Nを保持した状態で中立位置γに復帰する。フォーク53が中立位置γに復帰すると、後述するような荷物位置変更機構57の働きによって、荷物Nの載置位置がフォーク53の先端側から中央基端側に変更され、ピッキング装置Pの中央に位置することになる。この状態で、幅寄せ部41が作動し、その荷物Nを幅寄せ部材61により位置決め壁59に押し付けて位置決めする。これによって荷物Nはフォーク53上の正規の位置に幅寄せされるとともに、落下や位置ずれが生じないように挟圧保持される。この状態で、ピッキング装置Pの昇降部17と走行部13とが作動してヘッド5が、当該ピッキング装置Pが担当する収納可能領域イ又はロの範囲内で上下左右に移動する。そして、そのヘッド5が、データにより特定された単位収納スペースSbに対応する位置で停止する。しかる後に、幅寄せ部41による荷物Nの拘束が解除されるとともに、前記フォーク53が収納棚S1、S2の開口端面Sa内にまで進入する。その結果、フォーク53に載置された荷物Nが当該単位収納スペースSbの棚要素3上に位置させられる。そして、幅寄せ部41を位置決め壁59方向に前進させ、そぎ落とし部材69を所定の位置にセットし、フォーク53を引き抜くことにより荷物Nをそぎ落とし、前記棚要素3上に載置する。当然、ヘッド5が若干降下してフォーク53上の荷物Nが前記棚要素3上に載置してもよい。その後、前記フォーク53が中立位置γに復帰して収納作業を終了する。以上の動作を繰り返して、投入コンベア75から受取コンベア77上に搬入される荷物Nを、そのデータに対応する収納棚S1、S2の単位収納スペースSbに収納する。
【0059】
一方、制御部から排出指令信号が出力された場合には、受取コンベア77上の荷物Nが、前述の作動に準じたピッキング装置Pの働きにより、直ちに出荷コンベア79上に搬送され、この出荷コンベア79により貯蔵設備I外に排出される。排出された荷物Nは、搬出ステーションIIIの搬出コンベア83の途中に設けた排出用分岐コンベア85等に案内され所要の箇所に移される。なお、フォーク53の先端側に支持された荷物Nを出荷コンベア79上に移し変える際には、後述するようにそぎ落とし部43が作動し、そぎ落とし部材69により荷物Nを出荷コンベア79上に係止させつつフォーク53を抜き取るように中立位置γまで後退させる。
【0060】
次いで、搬出ステーションIIIの対応する搬出コンベア83の搬出端にトラックTが到着し、特定の荷物Nを貯蔵設備Iから出荷する必要が生じた場合には、搬出コンベア83脇に設けた図示しないタッチパネルにより荷物Nを選択することによって制御部に出荷要望が伝えられ、制御部からピッキング装置Pに向けて出荷指令信号が出力される。
【0061】
制御部から出荷指令信号が出力された場合には、ピッキング装置Pが作動してそのヘッド5が出荷すべき荷物Nが貯蔵されている単位収納スペースSbに対面する位置まで移動し、収納時と逆の動作により棚要素3上の荷物Nをフォーク53上に載せ、中央位置で挟圧保持する。その状態で例えばピッキング装置Pの昇降部17が作動し、荷物Nを保持したヘッド5が出荷コンベア79に対応する位置まで上下移動する。しかる後に、キャンセル時と同様な動作によりヘッド5のフォーク53上に載置された荷物Nを出荷コンベア79に受け渡し、出荷作業を終了する。なお、本実施形態に示す貯蔵設備Iは、制御部に予めプログラムされた自動運転モードに基づき制御部から出力される各指令信号を受けて各部が作動するものであるが、その制御方式は通常のものであるため説明は省略する。
【0062】
ここで、フォーク部39の作動について詳細に説明する。
【0063】
図7に示す中立位置γにおいては、フォーク53の両先端が各収納棚S1、S2の開口端面Saと一定の距離をなしており、ヘッド5は両収納棚S1、S2間を自在に移動することができるようになっている。そして、モータ55aを正逆回転させることによって、このフォーク53を図9に示す第1の挿入位置α又は図11に示す第2の挿入位置βにまで移動させることができるようになっている。
【0064】
中立位置γから第1の挿入位置αへ移動させる際の作動について説明すれば、次のようである。先ず、モータ55aが正方向(X方向)に回転すると、スライダ駆動機構55eの働きにより第1の中間スライダ55cが図中右方にスライドする。第1の中間スライダ55cが図中右方にスライドすると、第1の連動機構55fの働きにより第2の中間スライダ55dが第1の中間スライダ55cに対して図中右方にスライドする。第2の中間スライダ55dが図中右方にスライドすると、第2の連動機構55gの働きによりフォーク53が第2の中間スライダ55dに対して図中右方にスライドし、そのフォーク53が収納棚S1、S2の開口端面Saを超えて単位収納スペースSb内に進入する。
【0065】
具体的に説明すれば、フォーク駆動機構55のモータ55aを作動させて駆動プーリ55e2を回転させると、スライダ駆動機構55eのタイミングベルト55e4が正方向に移動し、このタイミングベルト55e4の上部が図中右方に移動する。その結果、このタイミングベルト55e4の上部に接続された第1の中間スライダ55cがそのタイミングベルト55e4とともに図中右方にスライドする。第1の中間スライダ55cが図中右方にスライドすると、前記第1の連動機構55fのタイミングベルト55f2が正方向に移動する。すなわち、このタイミングベルト55f2は、下部が基台55bに固定されているため、タイミングベルト55f2の上部は第1の中間スライダ55cのスライド移動速度の倍速で図中右方に移動する。その結果、このタイミングベルト55f2の上部に固定された第2の中間スライダ55dがスライドする。第2の中間スライダ55dが図中右方に移動すると、この第2の中間スライダ55dに軸装された対をなすピニオンギア55g1が同一の速度で移動する。これらのピニオンギア55g1の下側は、第1の中間スライダ55cに設けた下部ラック55g2に噛合させてあるとともに、上側はフォーク53に設けた上部ラック55g3に噛合させてあるため、ピニオンギア55g1が図中右方に自転しつつ移動すると、下部ラック55g2を足場にして上部ラック55g3に一体化されたフォーク53が第2の中間スライダ55dの移動速度の倍の速度で第1の中間スライダ55cに対して図中右方に移動する。
【0066】
フォーク53は以上のようにして中立位置γから第1の挿入位置αに移動する。フォーク53を中立位置γから第2の挿入位置βに移動させるには、モータ55aを逆方向(Y方向)に回転させればよい。
【0067】
次に荷物位置変更機構57について詳細に説明する。
【0068】
フォーク53が中立位置γから第1の挿入位置αに移動する際に、フォーク53の両端に軸着されたプーリ57b間に架け渡した荷物支持ベルト57aの上部がフォーク53に対して図中右方に移動する。すなわち、この荷物支持ベルト57aの下部はブラケット57cを介して第2の中間スライダ55dに接続されているため、第2の中間スライダ55dに対してフォーク53が図中右方に移動すると、荷物支持ベルト57aの上部がそのフォーク53よりも速い速度で図中右方に移動することになる。
【0069】
フォーク53が中立位置γから第2の挿入位置βへ移動するには、これに準じた作動により荷物支持ベルト57aの上部がフォーク53よりも速い速度で図中左方に移動することになる。
【0070】
次に幅寄せ部41の作動について詳細に説明する。
【0071】
幅寄せ部41は、中立位置γにあるフォーク53上に荷物Nが載置されている場合に、正規の可動範囲δ内で幅寄せ部材61を可動させて荷物Nの位置決め及び荷物Nの挟圧保持を行うものである。すなわち、この場合に、幅寄せ部材駆動機構63のモータ63aを作動させてタイミングベルト63dを正逆方向に移動させると、このタイミングベルト63dの上部に接続された可動フレーム67が固定フレーム65に対してスライドし、この可動フレーム67に支持された幅寄せ部材61が位置決め壁59に対して進退動作を行う。そのため、この幅寄せ部材61を前進させて荷物Nを位置決め壁59方向に押圧することにより、その荷物Nをフォーク53上の正規位置に位置決めすることができる。そして、その押圧状態を維持することによりその荷物Nをヘッド5上に挟圧保持しておくことができる。
【0072】
次にそぎ落とし部43の作動について詳細に説明する。
【0073】
このそぎ落とし部43は、前記幅寄せ部41の可動フレーム67の動きを利用して作動するようにしたもので、可動フレーム67を正規の可動範囲δを超えて位置決め壁59方向に前進させることにより、このそぎ落とし部43のそぎ落とし部材69が作動するようになっている。詳述すれば、幅寄せ部41の可動フレーム67が正規の可動範囲δで進退している場合には、そぎ落とし部材69は収納棚S1、S2方向に進退することはなく、またフォーク53上に位置することもない。可動フレーム67が正規の可動範囲δを超えて位置決め壁59方向に前進すると、カムフォロア71bがカム面71aに案内されることになり、可動フレーム67の前進に伴ってカムフォロア71bが漸次収納棚S1、S2に接近する方向に移動する。このカムフォロア71bの動きは、このカムフォロア71bを軸支する連結部材69c及びスライドロッド69aを介してそぎ落とし部材69に伝えられることになり、カムフォロア71bの動きに対応してそぎ落とし部材69が収納棚S1、S2方向に移動する。また、このそぎ落とし部材69は、可動フレーム67の進退動作に伴って、位置決め壁59に接近する方向にも移動するものであり、最終的には図9及び図11に示すようにフォーク53の上方であって収納棚S1、S2の開口端面Sa付近に設定されたそぎ落とし位置にまで達するようになっている。
【0074】
このそぎ落とし部43は、特定の単位収納スペースSbに荷物Nが予め収納されている状態でその先の荷物Nの上に次の荷物Nを積み重ねる場合に主として用いられる。すなわち、次の荷物Nを載置したフォーク53を先の荷物Nの上面よりも若干高い位置に停止させ、その状態でフォーク53を中立位置γから第1の挿入位置α又は第2の挿入位置βに移動させることによって、次の荷物Nが先の荷物Nの上方に位置づけられる。しかる後に幅寄せ部材61を正規の可動範囲δを超えて前進させることにより、そぎ落とし部材69が前記そぎ落とし位置に位置づけられる。この状態でフォーク53を中立位置γに移動させると、荷物Nはそぎ落とし部材69に阻止されて先の荷物Nの上方に留まるため、フォーク53が荷物Nの下から抜き取られた段階で、次の荷物Nが先の荷物N上に積載されることになる。なお、先の荷物Nの上面は、受取コンベア77の直前に設けた荷物高さ計測機構77iにより事前に計測した荷物Nの高さデータにより特定される。その高さデータに基づいてヘッド5の位置を決定し、フォーク53の単位収納スペースSb内に挿入するが、ヘッド5に設けた荷物上端検知センサ92で、事実、フォーク53が先の荷物Nの上端面より上である、すなわちフォーク53の高さには荷物Nが無いことを確認し、収納を開始する。また、このようにして多段積みした荷物Nを搬出する際には、多段積みしたままの状態でフォーク53に載置して出荷コンベア79に移動させるようにしている。さらに、このそぎ落とし部43は、これに準じた作動により荷物Nを出荷コンベア79上にそぎ落とす場合にも使用される。
【0075】
ここで、本実施例では、上述したように、特定の単位収納スペースSbに荷物Nが予め収納されている状態でその先の荷物Nの上に次の荷物Nを積み重ねることを可能にすべく、前記ヘッド5に荷物上端検知センサ92を設けている。そして、特定の単位収納スペースSbに荷物Nが予め収納されている場合には、事前に計測した荷物Nの高さデータに基づいてヘッド5の位置を決定し、この荷物上端検知センサ92によりフォーク53が先の荷物Nの上端面より上である、すなわちフォーク53の高さには荷物Nが無いことを確認し、荷物Nの上面の近傍かつ直上にフォーク53の下面が位置するようにヘッド5を移動させるという新規の制御方法が採用されている。但し、このようにヘッド5を移動させるための制御を実現するための手法は通常のものであるため説明は省略する。
【0076】
また、本実施例のピッキング装置Pの前記走行部13には、このピッキング装置Pの移動距離及び方向を示す移動距離情報を出力する図示しないエンコーダを設けている。一方、このピッキング装置Pの制御部は、前記エンコーダが出力する移動距離情報と、予め制御部内の内部メモリに記憶しているピッキング装置Pの初期位置を示す初期位置情報とに基づき、ピッキング装置Pの現在位置を求めるようにしている。さらに本実施例では、ヘッド5に、収納棚S1、S2のフレーム1の位置、より具体的にはに設けたドグとしての役割を担う区画杆1cの位置を検知して収納棚S1、S2の単位収納スペースSbを認識するための収納棚位置検知センサ87、87、87、87を設けていて、この収納棚位置検知センサ87で検知した収納棚S1、S2の区画杆1cの位置を示す情報に基づき、前記エンコーダが出力する移動距離情報の実際の距離からのずれの補正を行う新規の制御方法が採用されている。但し、このような補正を行う制御方法を実現するための手法は通常のものであるため説明は省略する。
【0077】
加えて、このピッキング装置Pのヘッド5には、各単位収納スペースSbに収納されている荷物Nが収納棚S1、S2の開口端面Saよりもピッキング装置P側にはみ出しているか否かを検知するための荷物収納位置検知手段たる荷物収納位置検知センサ91を設けている。さらに、ヘッド5には、単位収納スペースSb内に既に荷物Nがあるか否かを検知する在荷検知センサ89や、トラブル発生時のピッキング装置Pを手動で操作するためのモニター用カメラ94も設けている。なお、荷物収納位置検知センサ91の高さ位置は荷物上端検知センサ92の高さ位置と異ならせている。
【0078】
本実施例に係るピッキング装置Pの構成によれば、荷物Nを移動させるべくフォーク53を収納棚S1、S2の開口端面Sa内に挿入させてフォーク53の先端近傍に荷物Nを載置し、このフォーク53を収納棚S1、S2外の中立位置γに移動させると、前記荷物N位置変更機能の作用により荷物Nがフォーク53の中央基端部に移動するので、荷物Nをより確実にフォーク53に保持させることができる。また、荷物Nをフォーク53の中央基端部に載置した状態でこの荷物Nを収納棚S1、S2内に収納させるべくフォーク53をいずれかの収納棚S1、S2の開口端面Sa内に挿入させると、前記荷物位置変更機構57の作用により荷物Nが該収納棚S1、S2側のフォーク53の先端側に移動するので、より少ないフォーク53の移動距離で収納棚S1、S2のより深い位置に荷物Nを移動させることができる。すなわち、荷物Nを移動させる際の荷物Nの安定保持と、荷物Nを収納棚S1、S2に収納する際のフォーク53の移動距離の短縮とを、両立して実現できる。さらに、荷物Nを収納棚S1、S2内に収納させるべくフォーク53をいずれかの収納棚S1、S2の開口端面Sa内に挿入させた際に、前記荷物位置変更機構57の作用により荷物Nが該収納棚S1、S2側のフォーク53の先端側に移動するので、フォーク53の荷物Nよりも先端側に発生するデッドスペースを減少させることができる。従って、収納棚S1、S2側に前記デッドスペースとなる部分を挿入させるための余地を設ける必要がなくなるので、収納棚S1、S2の奥行き寸法を小さくすることができる。
【0079】
また、前記荷物位置変更機構57が、フォーク53の上面を通過して正逆動作する荷物支持ベルト57aを備え、前記荷物支持ベルト57aをフォーク53の進退動作を利用して正逆動作させ得るように構成したので、フォーク53の進退動作を前記荷物支持ベルト57aに無理なく伝達できる。そして、フォーク53の進退動作を前記荷物支持ベルト57aに伝達し、この荷物支持ベルト57aを正逆動作させることにより、フォーク53に載置し荷物支持ベルト57aに支持させた荷物Nの位置を変更できる。従って、荷物支持ベルト57aを正逆動作させるための駆動機構を別に設けることなく、簡単な構成でこのような荷物位置変更機構57を実現できる。
【0080】
さらに、前記フォーク53を駆動するフォーク駆動機構55の構成によれば、スライド駆動機構による前記第1の中間スライダ55cの前記基台55bに対する相対移動距離、第1の連動機構55fによる前記第2のスライダの前記第1の中間スライダ55cに対する相対移動距離、第2の連動機構55gによる前記フォーク53の前記第2のスライダに対する相対移動距離、及び荷物位置変更機構57によるフォーク53上の荷物Nのフォーク53に対する相対移動距離が全て等しい。従って、前記第1の中間スライダ55cの前記基台55bに対する相対移動距離の3倍だけフォーク53を基台55bに対して相対移動させつつ、前記第1の中間スライダ55cの前記基台55bに対する相対移動距離の4倍だけフォーク53上の荷物Nを基台55bに対して相対移動させることができる。
【0081】
さらに、前記フォーク53が前記中立位置γにある際に荷物Nがフォーク53の中央基端部に位置するように構成したので、いずれかの収納棚S1、S2に収納した荷物Nを取り出すべくフォーク53を前記第1又は第2の収納位置に移動させ、荷物Nをフォーク53の先端部に載置し、フォーク53を中立位置γに移動させると、荷物位置変更機構57の作用により荷物Nがフォーク53の中央基端部すなわち両荷物N棚の中間に位置する。従って、両荷物N棚に対する荷物Nの出し入れに要する時間を均等にでき、荷物Nを一方の収納棚S1、S2に偏らせることなく両収納棚S1、S2に均等に収納させるようにすることができる。さらに、どちらの収納棚S1、S2に収納した荷物Nもこのピッキング装置Pにより安定して移動させることができる。
【0082】
一方、前記フォーク53の基端部に位置させた荷物Nの一側を係止するための位置決め壁59と、その位置決め壁59に荷物Nを押し付けて荷物Nを位置決め保持するための幅寄せ部材61とを具備する構成を採用しているので、前記位置決め壁59と前記幅寄せ部材61とにより荷物Nを挟持することによりフォーク53上において荷物Nを位置決めできる。さらに、前記位置決め壁59と前記幅寄せ部材61とにより荷物Nを挟持させることにより、荷物Nを移動させる際に荷物Nをさらに安定して保持させることができる。
【0083】
加えて、収納棚S1、S2内に進入させた前記フォーク53の先端部を収納棚S1、S2外に後退させる際に、フォーク53上の荷物Nを収納棚S1、S2内にとどめておくためのそぎ落とし部材69を備えているので、収納棚S1、S2に予め収納した荷物Nの略直上に収納すべき荷物Nを位置させるべく収納棚S1、S2内にフォーク53を進入させ、前記フォーク53の先端部を収納棚S1、S2外に後退させる際に前記そぎ落とし部材69を機能させると、前記収納棚S1、S2に予め収納した荷物Nの直上に新たな荷物Nを載置でき、従って収納棚S1、S2に荷物Nを多段積みさせる構成を実現することができる。
【0084】
そして、幅寄せ部材61の動きを利用して前記そぎ落とし部材69を作動させるようにしているので、上述した幅寄せ部材61及びそぎ落とし部材69を設けることによる効果を実現しつつ、収納棚S1、S2に予め収納した荷物Nの略直上に収納すべき荷物Nを位置させるべく収納棚S1、S2内にフォーク53を進入させてから、前記フォーク53の先端部を収納棚S1、S2外に後退させる際に前記幅寄せ部材61を作動させることにより前記そぎ落とし部材69を機能させ、前記収納棚S1、S2に予め収納した荷物Nの直上に新たな荷物Nを載置するようにできる。すなわち、そぎ落とし部材69を駆動するための駆動機構を別に設けることなく、前記効果を簡単な構成で実現できる。
【0085】
なお、本発明は、以上に述べた一実施例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、荷物位置変更機構を機能させる際に該表面と荷物との間に発生する摩擦力を増すようにし、フォーク上の荷物の位置をより確実に変更できるようにすべく、荷物支持ベルトの荷物に接する側の表面に、該表面に形成した微小な凹凸等の滑り止め手段を設けてもよい。このような荷物支持ベルトを上述した実施例に係る荷物支持ベルト57aに代えて採用した場合、前記荷物位置変更機構の機能を停止させる荷物位置変更解除手段を設けてもよい。このような荷物位置変更解除手段の一例として、荷物支持ベルトと第2の中間スライダとを接続する接続具に設けられ、前記そぎ落とし部材の前面を収納棚の開口端部近傍に突出させた状態でフォークを収納棚内に引き戻す際に荷物支持ベルトと第2の中間スライダとの接続を解除可能な接続解除手段が挙げられる。このような接続解除手段を、前記そぎ落とし部材の前面を収納棚の開口端部近傍に突出させた状態でフォークを収納棚外に引き戻す際に機能させると、荷物が荷物支持ベルト上を滑りつつフォークが引き戻されるので、フォークを引き戻す際にフォーク駆動機構のモータにかかる負担を軽くできる。
【0087】
また、前述した実施例では幅寄せ部材駆動機構63により駆動された幅寄せ部材61の動きを利用してそぎ落とし部材69を作動させるようにしているが、幅寄せ部材駆動機構とは独立に動作するそぎ落とし部材駆動機構を別に設け、このそぎ落とし部材駆動機構によりそぎ落とし部材を駆動するようにしてもよい。
【0088】
一方、前述した実施例の貯蔵設備Iでは開口端面Saを対向させて配置した対をなす収納棚S1、S2間にピッキング装置Pを設けているが、1つの収納棚と、この収納棚の開口端面に沿って移動可能なピッキング装置とを具備する貯蔵設備においては、ピッキング装置のフォークを、先端部を前記1つの収納棚内に挿入する挿入位置と、全体が収納外となる中立位置との間のみで移動可能に構成してもよい。
【0089】
さらに、前述した実施例では、荷物支持ベルト57aを利用して荷物位置変更機構57を設けているが、例えば、フォークを、フォーク本体と、フォーク本体の上方に設けてなり荷物を載置可能な荷物載置部材とを具備するものとし、荷物位置変更機構を、フォークに軸着したピニオンギアと、第2の中間スライダの上面に設けた下部ラックと、前記荷物載置板の下面に設けた上部ラック板とを具備するものとしてもよい。加えて、フォークを、フォーク本体と、フォーク本体の上方に設けてなり荷物を載置可能な荷物載置部材とを具備するものとし、フォーク又はヘッドにフォーク駆動機構のモータと別体の駆動源を設け、この駆動源から動力の供給を受けて荷物載置部材を駆動する荷物位置変更機構を設けてもよい。
【0090】
また、幅寄せ部材は、上述したような櫛歯状のものに限らず、例えば図13に示すような板状のものであってもよい。この幅寄せ部材261は、荷物Nの寸法に対応した長手寸法を有する本体261aと、この本体の両側から斜め外方に延出させた傾斜案内部261bとを具備してなる。このようなものであれば、荷物Nが正確に中央基端部に載置されている場合には本体261aのみでその荷物Nを押圧して位置決め壁59に押しつけることができる。一方、荷物Nが右又は左にずれている場合には、前記傾斜案内部261bが荷物Nに優先的に当接し、幅寄せ部材の前進に伴い荷物Nを中央基端部に強制復帰させるような案内作用を営む。
【0091】
そして、前記出荷コンベア79を、収納棚Sの下部に限らず、収納可能領域イ、ロの上下方向中央部に配したり、あるいはトラックTの荷台の高さ位置に対応させて配したりしてもよい。また、前記受取コンベア77を、収納棚S1の下部に限らず、収納可能領域イ、ロの上下方向中央部に配してもよい。
【0092】
加えて、投入コンベア75の受取コンベア77より下流側の部位をキャンセルコンベアとして利用するようにしてもよい。
【0093】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態に係る貯蔵設備を備えた貯蔵システム全体の模式的な平面図。
【図2】同実施形態に係る貯蔵設備の構成説明図。
【図3】同実施形態に係る貯蔵設備の模式的な正面図。
【図4】同実施形態に係る搬出入装置の要部を示す斜視図。
【図5】同実施形態に係るピッキング装置を示す斜視図。
【図6】同実施形態のピッキング装置の構成説明図。
【図7】同実施形態のピッキング装置の要部を示す正面図。
【図8】図7に示すピッキング装置の中央側断面図。
【図9】図7に対応させて示すピッキング装置の動作説明図。
【図10】同実施形態のピッキング装置の要部を示す平面図。
【図11】図10に対応させて示すピッキング装置の動作説明図。
【図12】同実施形態のピッキング装置の位置決め壁及び幅寄せ部材近傍を概略的に示す平面図。
【図13】本発明の他の実施形態に係るピッキング装置の位置決め壁及び幅寄せ部材近傍を概略的に示す平面図。
【符号の説明】
【0095】
P…ピッキング装置
53…フォーク
55…フォーク駆動機構
55b…基台
55c…第1の中間スライダ
55d…第2の中間スライダ
55e…スライダ駆動機構
55f…第1の連動機構
55g…第2の連動機構
57…荷物位置変更機構
57a…荷物支持ベルト
59…位置決め壁
61…幅寄せ部材
69…そぎ落とし部材
N…荷物
S1、S2…収納棚
Sa…開口端面
α…第1の挿入位置
β…第2の挿入位置
γ…中立位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載置可能なフォークを有し、そのフォークを収納棚の開口端面内に挿入して前記荷物を出し入れするピッキング装置であって、
前記フォークが収納棚外にある際には前記荷物をフォークの基端側に位置させ、前記フォークが収納棚の開口端面内に挿入される際に前記荷物をフォークの先端側に位置させるための荷物位置変更機構を備えていることを特徴とするピッキング装置。
【請求項2】
前記荷物位置変更機構が、フォークの上面を通過して正逆動作する荷物支持ベルトを備え、この荷物支持ベルトをフォークの動きを利用して正逆動作させ得るように構成したものである請求項1記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記荷物位置変更機構が、前記荷物支持ベルトをフォークの進退動作を利用して正逆動作させ得るように構成したものである請求項2記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記フォークが、ベースとともに収納棚の開口端面に沿って移動するものであり、前記フォークを駆動するフォーク駆動機構が、前記ベースに取り付けた基台と、この基台上に収納棚方向へスライド可能に配された第1の中間スライダと、この第1の中間スライダ上に収納棚方向へスライド可能に配された第2の中間スライダとを備え、この第2の中間スライダ上に前記フォークを収納棚方向にスライド可能に支持させたものであって、
モータの駆動力で前記基台に対して前記第1の中間スライダを進退動作させるスライダ駆動機構と、前記基台に対する前記第1の中間スライダの動きを利用して前記第2の中間スライダを前記第1の中間スライダに対して作動させる第1の連動機構と、前記第2の中間スライダの動きを利用して前記フォークを前記第2の中間スライダに対して作動させる第2の連動機構とを備えたものである請求項1、2又は3記載のピッキング装置。
【請求項5】
開口端面を対向させて配置した対をなす収納棚間に配置して使用されるピッキング装置であって、
前記フォークを、フォークの一方の先端部を一方の収納棚内に挿入する第1の挿入位置と、フォークの他方の先端部を他方の収納棚内に挿入する第2の挿入位置と、フォークをそれらの収納位置の中間に設定した収納棚外の中立位置との間で作動させるフォーク駆動機構を備え、
前記荷物位置変更機構が、前記フォークが前記中立位置にある際に荷物をフォークの中央基端部に位置させ得るように構成したものであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記フォークの基端部に位置させた荷物の一側を係止するための位置決め壁と、その位置決め壁に荷物を押し付けて荷物を位置決め保持するための幅寄せ部材とを具備することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のピッキング装置。
【請求項7】
収納棚内に進入させた前記フォークの先端部を収納棚外に後退させる際に、フォーク上の荷物を収納棚内にとどめておくためのそぎ落とし部材を備えている請求項1、2、3、4、5又は6記載のピッキング装置。
【請求項8】
前記フォークの基端部に位置させた荷物の一側を係止するための位置決め壁と、その位置決め壁に荷物を押し付けて荷物を位置決め保持するための幅寄せ部材と、収納棚内に進入させた前記フォークの先端部を収納棚外に後退させる際に、フォーク上の荷物を収納棚内にとどめておくためのそぎ落とし部材とを備えているものであって、幅寄せ部材の動きを利用して前記そぎ落とし部材を作動させるようにした請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のピッキング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate