説明

ピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造

【課題】NVH性能を改善したエンジンマウンティング構造を提供する。
【解決手段】車両エンジンピッチ軸の両終端それぞれに、フロントロールマウントとリアロールマウントが備えられ、フロントロールマウントとリアロールマウントによってエンジンの荷重が支持される構成である。フロントロールマウントとリアロールマウントは、車両の縦方向にエンジンの厚さが最も薄い場所に形成されたピッチ軸の両終端にそれぞれ設けるのが好ましい。エンジンマウンティング構造は、トルクロール軸の両終端のうちエンジンの中心点からより近い終端にエンジンの荷重を支持するサイドマウントを、エンジンの中心点からより遠い終端にエンジンの荷重を支持しないストッパをさらに備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンマウンティング構造に関し、より詳しくはピッチ軸にロールマウントを設けることでピッチ方向の加振力を小さくして車両の快適性を向上させたエンジンマウンティング構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行では、騒音および振動は必然的に伴うものである。最近では、低振動および低騒音に対する消費者の要求が大きくなり、車両で発生する騒音(Noise)、振動(Vibration)、および衝撃(Harshness)などを分析して乗り心地性能を向上させようとする努力が続いており、NVH〔Noise、Vibration、Harshness〕の解析によって騒音および振動の発生および低減を予測することが行われている。
【0003】
車両で発生する振動には、エンジン始動時および停止時の車体の揺れ、アイドリング(idling)時の車体振動、エンジン高回転時の車体振動、内破音や道路の凹凸による振動、高付加作用時の車体の搖れ、発進時や変速時による急激な変化時の衝撃、過大な振動による干渉などがある。このような車両振動の最大の原因は、エンジンの振動と走行中に路面から伝わる衝撃である。
【0004】
このような車両振動は、低周波数領域(20Hz以下)では、エンジンの低速回転時のトルク変動、エンジン低回転時のクランク軸の回転運動による慣性力および偶力によるパワープラント振動、タイヤ回転時のアンバランス力による車体振動、路面プロフィールによるサスペンションを通じた車体の振動、駆動系ジョイント角による偶力およびスラスト力によるパワープラント振動があり、高周波数領域(20Hz以上)では、エンジン高回転時のクランク軸の回転運動によるパワープラント振動、変速機内ギアの噛み合い振動、燃焼時のシリンダブロック振動、エンジンの動バルブ系の振動、クランク軸の湾曲および捩れ振動、パワープラントの湾曲および捩れ振動などがある。
【0005】
上述したような車両の振動を減衰するために、一般に車両のエンジンやトランスミッションなどの振動発生部と車体の間に多様な形態のマウントを用いて振動や衝撃が車体に伝わることを防いでいる。例えば、エンジンの回転および振動によってエンジン自体で騒音および振動が伝わることを防ぐエンジンマウントが、エンジンで発生した動力がパワートレーンおよびトランスミッションに伝わり発生する騒音および振動を防ぐTMマウントなどが用いられている。
【0006】
騒音、振動を低減するエンジンマウント構造では、エンジンとトランスミッションの下部が支持部によって車体に支持され、支持部に加えてさらにエンジンと車体サイドフレームとの間にマウント部を追加し、エンジン自体を補剛部材として利用して車体サイドフレームの剛性アップにより、操縦安定性能を向上させつつ、振動、騒音の抑制および乗心地の向上という相反する性能を両立させたエンジンマウント構造〔特許文献1〕、左右のフロントサイドメンバ間にエンジンマウントブラケットを設け、さらに該ブラケットに第1のリテーナー、第2のリテーナーを設けてエンジンマウントブラケットを補強して、エンジンの振動に伴うエンジンマウント部の変形および車両ボデーの騒音を低減するエンジンマウント構造〔特許文献2〕などの提案がある。
【0007】
従来技術では、エンジン加速時にX軸、Y軸、Z軸の3方向にパワートレーン剛体モード〔X軸に対するパワートレーン回転:ロール(Roll)、Y軸に対するパワートレーン回転:ピッチ(Pitch)、Z軸に対するパワートレーン回転:ヨー(Yaw)〕が発生するようになり、車両ではパワートレーン剛体モードによる車両の騒音および振動発生を最小にするためにトルクロール軸上にエンジンマウントおよびTMマウントを設けて、ロールマウントをエンジンの所定部位に搭載するトルクロール軸支持方式が主に利用されてきた。
【0008】
しかし、このようなトルクロール軸支持方式によるマウンティング構造は、3気筒エンジン搭載時にロール加振の他に発生するピッチ成分の加振力を小さくさせるという面で極めて不利である。すなわち、4気筒エンジンとは異なり、3気筒エンジンの加振成分はピッチ(Pitch)、ヨー(Yaw)方向の加振力が存在し、既存の4気筒エンジンのマウンティング構造に比べて加振力を小さくするという面において不利であると言うことができる。
【0009】
従って、3気筒エンジンでピッチ方向の追加的な加振力を小さくすることによってNVH特性を向上させることができるエンジンマウンティング構造が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−030577号公報
【特許文献2】特開平08−216699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、NVH性能を改善したエンジンマウンティング構造を提供することを目的とする。
本発明が達成しようとする課題は、上記の技術的課題に制限されるものではなく、言及されていないさらに他の技術的課題が、本発明の記載から当該分野において通常の知識を有する者に明確によって理解されることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するためになされた本発明のエンジンマウンティング構造は、車両エンジンピッチ(Pitch)軸の両終端それぞれに、フロントロールマウント(Front Roll Mount)とリアロールマウント(Rear Roll Mount)が備えられ、フロントロールマウントとリアロールマウントによってエンジンの荷重が支持される構成である。
【0013】
本発明において、フロントロールマウントとリアロールマウントは、車両の縦方向にエンジンの厚さが最も薄い場所に形成されたピッチ軸の両終端にそれぞれ設けることが好ましい。
【0014】
本発明のエンジンマウンティング構造において、フロントロールマウントは、ブラケットを備えてエンジンおよび車体のセンターメンバと締結し、リアロールマウントは、ブラケットを備えてエンジンおよび車体のサブフレームと締結するのが好ましい。
【0015】
本発明のエンジンマウンティング構造は、エンジンが備えるダンパプーリまたはドライブプレートに、マス(mass)を追加または取除くことができる。
【0016】
本発明のエンジンマウンティング構造は、トルクロール軸の両終端のうちエンジンの中心点からより近い終端にエンジンの荷重を支持するサイドマウント(Side Mount)をさらに備えることができる。
【0017】
本発明のエンジンマウンティング構造は、トルクロール軸の両終端のうちエンジンの中心点からより遠い終端にエンジンの荷重を支持しないストッパ(Stopper)をさらに備えることができる。
【0018】
本発明において、エンジンは3気筒エンジンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるエンジンマウンティング構造によれば、車両エンジンのピッチ軸(Y軸)にロールマウントを設けることによってトルクロール軸(X軸)の加振力を小さくして空回転振動を最小にし、NVH性能を向上させることができる。
【0020】
また、車両エンジンのトルクロール軸(X軸)に、エンジンの荷重を負担するサイドマウント、およびエンジンの荷重を負担しないストッパ(stopper)を形成して振動絶縁率を高めると同時に、走行中に発生するエンジンの変位を適切に制御して車両のNVH性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来技術による3気筒エンジンおよび4気筒エンジンの振動性能を比較したグラフである。
【図2】従来技術による慣性支持方式のエンジンマウンティング構造の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態によるフロントロールマウントと、エンジン、およびセンターメンバが締結した様子を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるリアロールマウントと、エンジン、およびサブフレームが締結した様子を示す図であり。
【図6】本発明の一実施形態によるTMマウントおよびエンジンマウントがさらに備えられたピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造の構成図である。
【図7】本発明の一実施形態によるエンジンが備えるダンパプーリ、クランクシャフト、およびドライブプレートを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるストッパのインシュレータを示す例示図である。
【図9】従来技術および本発明の一実施形態によるストッパのインシュレータのアイドル特性を示す図である。
【図10】従来技術および本発明の一実施形態によるストッパのインシュレータのアイドル特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、添付の図面を参照しつつ、好ましい実施形態を挙げて詳しく説明する。本明細書および特許請求の範囲に用いた用語や単語は、通常あるいは辞書にある意味に限定して解釈してはならず、発明者はその発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示した構成は、本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではなく、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物、変形例が存在し得ると理解しなければならない。
【0023】
本発明は、3気筒エンジンのアイドル振動を改善するために、小型車で主に利用されている既存の慣性支持方式(Pendulum System)に代え、エンジンのピッチ軸を支持するピッチ軸支持方式によるマウンティング構造を提案するものである。
【0024】
このようなピッチ軸支持方式によるエンジンマウンティング構造は、1)荷重を分担する2点のマウントをエンジンのピッチ軸の前後に設け、その隔離距離が小さくなるように設定し、2)エンジンの重量中心点から車両の左右サイドメンバまでの距離が短いトルクロール軸上に荷重を負担する1点のマウントを追加で装着し、3)ダンパプーリまたはドライブプレートにマス(mass)を追加する方式によってエンジンの加振成分をピッチモーメント100%に変えて形成する。さらに、必要によって、4)前記追加された1点のマウントの反対側のトルクロール軸上に荷重をかけないストッパ(Stopper)構造を形成し、エンジン走行時に大変位制御を可能にする構成とすることができる。
【0025】
図1は、従来技術に係る3気筒エンジンおよび4気筒エンジンの振動性能を比較したグラフである。
最近、小型車の販売増加に伴って3気筒エンジンの需要が増えてきている。図1に示すように、3気筒エンジンと4気筒エンジンの振動性能を比較すると、C1振動では3気筒エンジンがX軸方向に10dB以上劣っており、4気筒エンジンのC2と3気筒エンジンのC1.5を比べても、3気筒エンジンがX軸方向に13dB以上不利であることが分かる。
【0026】
このように、車の快適性〔NVH(騒音、振動、乗り心地)〕における3気筒エンジンの最大の弱点は、4気筒エンジンと比較してアイドル(Idle)振動にあると言えるが、これは、エンジンのC1成分であるY軸に対するパワートレーン回転モーメントであるピッチ(Pitch)モーメント、およびZ軸に対するパワートレーン回転モーメントのヨー(Yaw)モーメントによる加振力に起因している。
【0027】
本発明は、通常、3気筒エンジンはピッチモーメントとヨーモーメントが50%ずつカップルリングされていることが多いため、主加振成分であるC1.5ロールモーメントの他にも、このような追加的な加振力に対して別な対応が必要である、という点に着眼してなされたものである。
【0028】
図2は、従来技術による慣性支持方式のエンジンマウンティング構造の例を示す図である。慣性支持方式のエンジンマウンティング構造においては、エンジンおよびパワートランスミッションが、X軸方向にトルクロール軸130上にRHマウント(Right Head Mount)110とLHマウント(Left Head Mount)120が形成されて支持され、車両の縦方向であるY軸方向にはエンジン下方に装着されたロールマウント120’によって支持されるようになっている。
【0029】
ロールマウント120’は、エンジンとパワートランスミッションのローリング方向(前後方向)に発生する振動の伝達を抑制するためのものと言えるが、単純にエンジンの1点に装着されたロールマウント120’だけでは、X軸方向の振動を減衰することができないという短所があった。
【0030】
また、このようなマウンティング構造が適用された車両では、加速時にエンジンの振動がロールマウント120’を通じて振動絶縁が小さい状態でサブフレームに伝達され、この振動は振動絶縁されることなく車体に伝達されるため、車両室内でブーミング音(Booming noise)が発生する原因になるという短所もあった。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態によるピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造の構成図である。
本発明に係るピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造は、車両エンジンピッチ軸の両終端それぞれにフロントロールマウント(Front Roll Mount)140とリアロールマウント(Rear Roll Mount)140’を備え、フロントロールマウント(Front Roll Mount)140とリアロールマウント(Rear Roll Mount)140’によってエンジンの荷重が支持されていることを特徴としている。
【0032】
フロントロールマウント140とリアロールマウント140’は、車両の縦方向、すなわちY軸方向にエンジンの厚さが最も薄い場所に形成されたピッチ軸の両終端それぞれに設ける。このとき、フロントロールマウント140とリアロールマウント140’の間の距離は小さくするのが好ましく、これはX軸方向のロール剛性を最小にするためである。
【0033】
フロントロールマウント140とリアロールマウント140’は、実際の車両で脱着/装着が容易なようにブラケットとゴム材のインシュレータで構成することができ、ロールマウントのゴム特性は、アイドル状態および走行状態において車両の振動騒音性能を左右する極めて重要な要素となる。
【0034】
ロールマウントのゴム特性は、ゴムのスプリング定数およびダンピング特性および装着角度に応じて左右され、スプリング定数が小さいほど、ダンピング値が大きいほど、車両の振動騒音性能に有利に作用するが、スプリング定数が極度に低いとエンジン挙動と加速時の騒音に不利であるため、排気量とエンジントルクに合うように適切に設定しなければならない。
【0035】
フロントロールマウント140は、ブラケット150’を利用してエンジンおよび車体のセンターメンバ150と締結することができ、リアロールマウント140’は、ブラケット160’を備えてエンジンおよび車体のサブフレーム160と締結することができる。
【0036】
本発明では、ヨー(Yaw)モーメント成分を減衰するために、エンジンのダンパプーリ230またはドライブプレート220に別途のマス(mass)を追加したり、あるいは取除いたりすることができる。このように、ダンパプーリ230またはドライブプレート220にマス(mass)を追加あるいは取除けば、ピッチモーメントおよびヨーモーメントがそれぞれ50%の割合になっていたものがピッチモーメント100%の成分に変更され、Y軸方向モーメントの増加によってX方向モーメントが減少するようになる。
【0037】
トルクロール軸130の両終端のうちエンジンの中心点190からより近い終端には、エンジンの荷重を支持するサイドマウント(Side Mount)をさらに備えることができる。例えば、TMマウント170によって荷重を支持するようにし、サイドマウントの機能を実行することができる。
【0038】
これと反対に、トルクロール軸130の両終端のうちエンジンの中心点190からより遠い終端には、エンジンの荷重を支持しないストッパ(Stopper)をさらに備えることができる。すなわち、荷重を支持しない構造のエンジンマウント180を備えてストッパの機能を実行することができ、アイドル振動に影響なく走行中の大変位制御が可能となる。
【0039】
このように本発明では、主マウントであるフロントロールマウント140とリアロールマウント140’によってパワートレーンの荷重を支持し、TMマウント170などによりて形成されるサイドマウントによってパワートレーンの荷重を分担し、エンジンマウント180にストッパを装着してエンジンのロール変位(パワートレーンが転輪駆動方式によって横地に搭載され、加速時や減速時に発生するエンジンの大変位方向)を制御する役割を行うことができる。
【0040】
本発明では、ピッチ軸上に主マウントであるフロントロールマウント140とリアロールマウント140’を形成し、その間の距離を小さくしてピッチモーメント100%の成分に変更し、ピッチ方向モーメント成分を小さくしてエンジンのアイドル時にNVH特性を向上させることができる。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態によるフロントロールマウントと、エンジン、およびセンターメンバが締結した様子を示す図である。
フロントロールマウント140は、パワートレーンのピッチ軸前方にブラケット150’を利用し、エンジンおよび車体のセンターメンバ150と締結することができる。もちろん、これに限定されるものではなく、必要に応じて、車両の前後方向にTメンバ(図示していない)を構成してフロントロールマウント140を支持する構造を採択することもできる。
【0042】
図5は、本発明の一実施形態によるリアロールマウントと、エンジン、およびサブフレームが締結された様子を示す図である。
リアロールマウント140’の場合、パワートレーンのピッチ軸後方側にリアロールマウント140’を締結し、リアロールマウント140’の支持のためにサブフレーム160側でサポートブラケット160’を構成して締結することができる。もちろん、これに限定されるものではなく、必要に応じて、車両の前後方向でセンターメンバを構成してリアロールマウント140’を支持する構造を採択することもできる。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態によるTMマウントとエンジンマウントがさらに備えられたピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造の構成図である。
上述したように、パワートレーンのメイン(Main)荷重を、主マウントであるフロントロールマウント140とリアロールマウント140’に置くようにすれば、残りの荷重を支持するサイドマウントを、エンジンまたはTM側に設けることができる。このとき、パワートレーンまたはエンジンの中心点190から近い方向のマウントにサイドマウントを追加することができる。これは、パワートレーン剛体モードを下方調整するためである。
【0044】
例えば、サイドマウントに追加されたTMマウント170のスプリング特性は、ピッチモーメントによる加振力を絶縁するために、上下方向の特性をソフト(soft)に設定するのが好ましい。さらに、サイドマウントは、車体のサイドメンバと締結することができる。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態によるエンジンが備えるダンパプーリ、クランクシャフト、およびドライブプレートを示す図である。
通常、3気筒エンジンのC1加振成分は、ピッチモーメントとヨーモーメントがそれぞれ50%の割合になっているが、本発明ではアウターバランサをエンジンのダンパプーリ230やドライブプレート220などにマス(Mass)を追加する方式によってピッチモーメント100%の成分に変更する。
【0046】
すなわち、このようにヨーモーメントを減衰させてピッチモーメント100%の成分に変更すれば、トルクロール軸に沿って作用するモーメント成分の減衰が容易になり、エンジンのアイドル時にNVH特性を向上させることができる。
【0047】
図8は、本発明の一実施形態によるストッパのインシュレータを示す図である。図9、図10は、従来技術および本発明の一実施形態に係るストッパのインシュレータのアイドル特性を示す図である。
【0048】
上述したように、本発明は、トルクロール軸を基準としてサイドメンバと締結するサイドマウントの反対側に、パワートレーンの荷重を支持しない1点のマウントを追加してアイドル振動に寄与せず、純粋に走行中の大変位制御のためのストッパを備えることができる。
【0049】
本発明において、ストッパ(Stopper)は、ストッパインシュレータ静的運動、すなわちアイドル条件で荷重を受けずにスプリング特性の寄与度がないようにインナーパイプ(inner Pipe)と分離しており、大変位条件で剛性が作用するように設計するのが好ましい。
【0050】
従って、アイドル条件では、スプリング剛性が0であった後、振動が大きい場合に、インシュレーターに触れながら所定の剛性値が作用するようになり、パワートレーンの過度な挙動を制御することができる。パワートレーンの振動が大きくない場合には、原価や重量などを考慮してストッパをなしとし、製造費用を節減することもできる。
【0051】
以上、本発明の実施形態と関連して本発明を説明したが、これは例として示したに過ぎず、本発明はこの実施形態に制限されるものではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の範囲を逸脱しない限り、上述された実施形態を変更または変形することができ、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
110:RHマウント
120:LHマウント
120’:ロールマウント
130:トルクロール軸
140:フロントロールマウント
140’:リアロールマウント
150:センターメンバ
150’、160’:ブラケット
160:サーブプレ
170:TMマウント
180:エンジンマウント
190:エンジンの中心点
210:クランクシャフト
220:ドライブプレート
230:ダンパプーリ
240:ドライブプレートとダンパプーリにマス(Mass)が追加された領域
250:インナーパイプ
260:インシュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両エンジンピッチ(Pitch)軸の両終端それぞれに、フロントロールマウント(Front Roll Mount)とリアロールマウント(Rear Roll Mount)が備えられ、前記フロントロールマウントと前記リアロールマウントによってエンジンの荷重が支持されることを特徴とするピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項2】
前記フロントロールマウントと前記リアロールマウントは、車両の縦方向にエンジンの厚さが最も薄い場所に形成されたピッチ軸の両終端にそれぞれ設けることを特徴とする請求項1に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項3】
前記フロントロールマウントは、ブラケットを備えてエンジンおよび車体のセンターメンバと締結し、
前記リアロールマウントは、ブラケットを備えてエンジンおよび車体のサブフレームと締結する、
ことを特徴とする請求項1に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項4】
前記エンジンが備えるダンパプーリまたはドライブプレートに、マス(mass)を追加または取除くことを特徴とする請求項1に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項5】
前記エンジンのトルクロール軸の両終端のうち、前記エンジンの中心点からより近い終端にエンジンの荷重を支持するサイドマウント(Side Mount)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項6】
前記エンジンのトルクロール軸の両終端のうち、前記エンジンの中心点からより遠い終端にエンジンの荷重を支持しないストッパ(Stopper)をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。
【請求項7】
前記エンジンは、3気筒エンジンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のピッチ軸を支持するエンジンマウンティング構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−67368(P2013−67368A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90138(P2012−90138)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】