説明

ピリジン誘導体の結晶体

本発明は、結晶形態である4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶体またはその溶媒和物、これらを含んでなる医薬製剤、治療におけるその使用およびその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネートまたはその溶媒和物の結晶形態、これらを含んでなる医薬製剤、治療におけるその使用およびその製造方法に関する。この化合物はNK1およびNK3受容体の拮抗薬であり、従って、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、および物質関連障害の治療に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
WO07/028654号公報には、NK1およびNK3受容体の拮抗薬として、多くのピリジン誘導体またはその薬学上許容される塩が記載されており、したがって、精神病性障害の治療に用いることができる。特に、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド、またはその薬学上許容される塩がこの出願に記載されている。
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミドの塩酸塩についてもWO07/028654号公報に記載されている。
【0003】
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミドの構造は下記式(I)で示される。
【化1】

ここで、式(I)の化合物の薬学上許容される塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、硝酸などの無機酸、そして、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファー硫酸、イソチオン酸、ムチン酸、ゲンチジン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸、およびアリールスルホン酸、たとえばベンゼンスルホン酸や4−メチルベンゼンスルホン酸などの有機酸とともに形成される酸付加塩が挙げられる。
【0004】
遊離塩基または塩酸塩としての式(I)の化合物は、WO07/028654号公報または本願に記載される方法によって、部分的に非晶質か完全に非晶質の固体として得ることができ、これは吸湿性が高い。非晶質の固体および特に吸湿性が高い固体は一般的には低いかさ比重と不十分な流動性のために、医薬の製造プロセスの下では取り扱いが困難である。
【0005】
したがって、医薬の製造プロセスや医薬組成物に有利に用いることができうる、優れた物理化学的性質を有する式(I)の化合物の結晶形態に対するニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO07/028654号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは今般、式(I)の化合物の(トシレートまたはp−トルエンスルホン酸塩としても知られる)4−メチルベンゼンスルホン酸塩、またはその溶媒和物が結晶形態として得られること、またそれが多形性を示すことを見いだした。
【0008】
本発明の第1の態様では、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩、またはその溶媒和物が提供される。
【化2】

【0009】
本発明の第2の態様では、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0010】
本発明の第3の態様では、無水結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0011】
本発明の第4の態様では、XRPDパターンが2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様では、図1の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンが2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られ、前記XRPDパターンは本質的に次の位置:8.0±0.1、10.3±0.1、14.5±0.1、15.0±0.1、17.7±0.1°に2θ角度ピークを含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔11.0、8.6、6.1、5.9、5.0オングストローム(Å)に対応する、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0013】
本発明の第6の態様では、図1の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンが2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いて回折計により得られ、前記XRPDパターンは本質的に次の位置:3.2±0.1、6.2±0.1、8.0±0.1、10.3±0.1、12.4±0.1、14.5±0.1、15.0±0.1、16.2±0.1、17.2±0.1、17.7±0.1、18.6±0.1、20.0±0.1、22.9±0.1°に2θ角度ピークを含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔28.0、14.2、11.0、8.6、7.1、6.1、5.9、5.5、5.2、5.0、4.8、4.4、3.9オングストローム(Å)に対応する無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0014】
本発明の第7の態様では、図3の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0015】
本発明の第8の態様では、図3の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られ、前記XRPDパターンは実質的に次の位置:8.3±0.1、9.3±0.1、10.2±0.1、11.2±0.1、13.6±0.1°に2θ角度ピークを含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔10.7、9.5、8.7、7.9、6.5オングストローム(Å)に対応する無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0016】
本発明の第9の態様では、図3の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られ、前記XRPDパターンは実質的に次の位置:3.2±0.1、6.3±0.1、8.3±0.1、9.3±0.1、10.2±0.1、11.2±0.1、12.3±0.1、13.6±0.1、15.6±0.1、16.2±0.1、16.4±0.1、17.2±0.1、20.4.±0.1、22.4±0.1、 27.3±0.1、28.5±0.1°に2θ角度ピークを含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔27.8、14.1、10.7、9.5、8.7、7.9、7.2、6.5、5.7、5.5、5.4、5.1、4.4、4.0、3.3、3.1オングストローム(Å)に対応する無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0017】
本発明の第10の態様では、水和結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0018】
本発明の第11の態様では、図5の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0019】
本発明の第12の態様では、図5の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られ、前記XRPDパターンが実質的に次の位置:7.8±0.1、10.4±0.1、12.1±0.1、13.1±0.1、18.3±0.1°に2θ角度ピークを含み、その値はそれぞれd−格子面間隔11.3、8.5、7.3、6.8、4.9オングストローム(Å)に対応する水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0020】
本発明の第13の態様では、図5の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じであることを特徴とする水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩であって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られ、前記XRPDパターンが実質的に次の位置:7.8±0.1、9.2±0.1、10.4±0.1、12.1±0.1、13.1±0.1、15.1±0.1、15.6±0.1、15.8±0.1、18.3±0.1、18.5±0.1、19.4±0.1、20.4±0.1、21.2.±0.1、 22.4±0.1、22.7±0.1、26.2±0.1°に2θ角度ピークを含み、その値はそれぞれd−格子面間隔11.3、9.7、8.5、7.3、6.8、5.9、5.7、5.6、4.9、4.8、4.6、4.4、4.2、4.0、3.9、3.4オングストローム(Å)に対応する水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩が提供される。
【0021】
もう一つの態様として、本発明は、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を含んでなる医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、1以上の薬学上許容される担体または希釈剤をさらに含んでいてもよい。
【0022】
もう一つの態様として、本発明は、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなる精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、物質関連障害の治療または予防のための方法を提供する。
【0023】
もう一つの態様として、本発明は、治療での使用のための結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を提供する。
【0024】
もう一つの態様として、本発明は、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、物質関連障害の治療または予防のための医薬の製造における、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に記載した式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩無水結晶形態1(Form 1)の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。このXRDパターンは、本明細書に記載の手順に従い、2θ角度により表し、かつ銅KαX線を用いて回折計により得られた。
【図2】図2は、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩無水結晶形態1(Form 1)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。このDSCは、本明細書に記載の手順に従い、TA Q1000 TAシステムにおいて走査速度10℃/分で、サンプルサイズ1〜2mgを用いて実施した。
【図3】図3は、本発明に記載した式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩無水結晶形態2(Form 2)の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。このXRDパターンは、本明細書に記載の手順に従い、2θ角度により表し、かつ銅KαX線を用いて回折計により得られる。
【図4】図4は、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩無水結晶形態2(Form 2)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。このDSCは、本明細書に記載の手順に従い、TA Q1000 TAシステムにおいて走査速度10℃/分で、サンプルサイズ1〜2mgを用いて実施した。
【図5】図5は、本明細書に記載した水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の粉末X線回折(XRPD)パターンを示す。このXRDパターンは、本明細書に記載の手順に従い、2θ角度により表し、かつ銅KαX線を用いて回折計により得られる。
【図6】図6は、水和結晶形態(水和物1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。このDSCは、本明細書に記載の手順に従い、TA Q1000 TAシステムにおいて走査速度10℃/分で、サンプルサイズ1〜2mgを用いて実施した。
【発明の具体的説明】
【0026】
本明細書において「有効量」とは、例えば研究者や臨床医から求められている組織、システム、動物若しくはヒトへの生物学的または医学的な応答を引き出す薬剤または医薬品の量のことを意味する。さらに「治療上の有効量」とは、その量を摂取しなかった被験者と比べたときに、治療、治癒、予防または、疾患、障害若しくは副作用の回復、または疾患若しくは障害の進行の率の低減を結果として生ずる量のことを意味する。この言葉は、正常な生理学的機能を高めるために有効な量をもその範囲に含む。
【0027】
本明細書において「薬学上許容される塩」とは、非毒性で、かつ医薬として製造しかつ処方するに適した塩のことを意味する。
【0028】
本明細書において「実質的に同じ粉末X線回折パターン」とは、ここで示される回折パターンのプラスまたはマイナス0.1°以内に2θ値の回折ピークを有する粉末X線回折パターンがその回折パターンの範囲に入ることを意味すると理解される。同様にして、「少なくとも実質的に表Xのピークを含む」(ここでXは表1−3のいずれか1つである。)は、対象の表の回折パターンプラスまたはマイナス0.1°以内に2θ値の回折ピークを有する粉末X線回折パターンが、表Xに示される回折パターンの範囲内であることを意味すると理解される。
【0029】
本明細書において「溶媒和物」とは、溶質(本発明では、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩)と溶媒により形成され、変動する化学量論組成をもつ複合体を指す。有機化学の当業者は多くの有機化合物が、溶媒であって、それらがその中で反応し、そこから沈殿し若しくは結晶化する溶媒とこのような複合体を作ることができると認識することができる。好適な溶媒の例としては、これに限定されないが、水、ジオキサン、1−プロパノール、メタノール、エタノールとアセトン、トルエンとテトラヒドロフランが挙げられる。好ましくは、用いられる溶媒は、薬学上許容される溶媒である。薬学上許容される溶媒の例としては、限定されないが、水、エタノールが挙げられる。もっとも好ましく用いられる溶媒は水である。溶媒として水が用いられると、溶媒和物は水和物といわれる。
【0030】
本発明の内容において、ここで用いられる適用症を記述する用語は、アメリカ精神医学会により出版された「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th Edition」(DSM−IV)および/または「International Classification of Diseases, 10th Edition」(ICD−10)で分類される。ここで記載される疾患の様々な亜型は本発明の一部として考えられる。以下にリストされる疾病の後の括弧内の数は、DSM−IVによる分類コードを指す。
【0031】
本発明の内容において、「精神病性障害」としては以下が挙げられる:妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)、残遺型(295.60)の亜型を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型とうつ病型の亜型を含む統合失調感情障害(295.70);色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型、特定不能型の亜型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う亜型、幻覚を伴う亜型を含む一般身体疾患による精神病性障害;妄想を伴う亜型(293.81)、幻覚を伴う亜型(293.82)を含む物質誘発性精神病性障害;ならびに特定不能の精神病性障害(298.9)。
【0032】
「うつ病」と「気分障害」としては、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合性エピソードおよび軽躁病エピソード;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極I型障害、双極II型障害(すなわち軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病性の特徴を伴うもの、大うつ病様エピソードをもつもの、躁病性の特徴を伴うもの、および混合性の特徴を伴うものを含む一般身体疾患による気分障害を含む、その他の気分障害(293.83)、物質誘発性気分障害(亜型である、うつ病性の特徴を伴うもの、躁病性の特徴を伴うもの、および混合性の特徴を伴うものを含む)および特定不能の気分障害(296.90)が挙げられる。
【0033】
「不安」としては、パニック発作;広場恐怖を伴わないパニック障害(300.01)、広場恐怖を伴うパニック障害(300.21);広場恐怖;パニック障害の既往歴のない広場恐怖(300.22);亜型である、動物型、自然環境型、血液・注射・外傷型、状況型およびその他の型を含む特定の恐怖症(300.29、以前は単一恐怖症)、社交恐怖(社交不安障害、300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、ならびに特定不能の不安障害(300.00)が挙げられる。
【0034】
「睡眠障害」としては、原発性不眠症(307.42)、原発性睡眠過剰(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)、および特定不能の睡眠異常(307.47)などの睡眠異常などの原発性睡眠障害;悪夢障害(307.47)、睡眠驚愕障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)、および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)などの睡眠時随伴症などの原発性睡眠障害;他の精神疾患に関連した不眠(307.42)、および、他の精神疾患に関連した睡眠過剰(307.44)などの他の精神疾患に関連した睡眠障害;一般身体疾患による睡眠障害、特に神経障害、神経因性疼痛、下肢静止不能症候群、心および肺疾患のような疾病に付随する睡眠妨害;ならびに、不眠型、睡眠過剰型、睡眠時随伴症型および混合型の亜型を含む物質誘発性睡眠障害;睡眠時無呼吸および時差ぼけ症候群が挙げられる。
【0035】
「物質関連障害」としては、物質依存症、物質欲求および物質乱用のような物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性的機能不全、物質誘発性睡眠障害、および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)のような物質誘発性障害;アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性的機能不全、アルコール誘発性睡眠障害、および特定不能のアルコール関連障害(291.9)のようなアルコール関連障害;アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性的機能不全、アンフェタミン誘発性睡眠障害、および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)のようなアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害、および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)のようなカフェイン関連障害;大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害、および特定不能の大麻関連障害(292.9)のような大麻関連障害;コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性的機能不全、コカイン誘発性睡眠障害、および特定不能のコカイン関連障害(292.9)のようなコカイン関連障害;幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害、および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)のような幻覚剤関連障害;吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害、および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)のような吸入剤関連障害;ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、および特定不能のニコチン関連障害(292.9)のようなニコチン関連障害;アヘン類依存(304.00)、アヘン類乱用(305.50)、アヘン類中毒(292.89)、アヘン類離脱(292.0)、アヘン類中毒せん妄、アヘン類誘発性精神病性障害、アヘン類誘発性気分障害、アヘン類誘発性性的機能不全、アヘン類誘発性睡眠障害、および特定不能のアヘン類関連障害(292.9)のようなアヘン類関連障害;フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害、および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)のようなフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害; 鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬依存(304.10)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬中毒せん妄、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬離脱せん妄、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬持続性認知症、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬持続性健忘障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性精神病性障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性性的機能不全、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性睡眠障害、および特定不能の鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬関連障害(292.9)のような鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬関連障害;多物質依存(304.80)のような多物質関連障害;およびタンパク質同化ステロイド、硝酸塩吸入剤、および亜酸化窒素のような、その他の(または不明の)物質関連障害が挙げられる。
【0036】
本発明者らは今般、式(I)の化合物の(トシレートまたはp−トルエンスルホン酸塩としても知られる)4−メチルベンゼンスルホン酸塩、またはその溶媒和物を、驚くべきことに特に良好な薬学的特性を有する結晶形態で得ることができることを見いだした。
【0037】
【化3】

くさび形の結合は、結合がこの紙面よりも上方にあることを示す。破線の結合は結合がこの紙面よりも下方にあることを示す。
【0038】
この発明の方法により、結晶形態のバッチは、一貫して高純度結晶形態で、すなわち、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の水和およびそれ以外の結晶形態の割合が限られた状態で(特に20%未満)、得ることができる。
【0039】
式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の様々な多形形態は、限定はされないが、粉末X線回折(XRPD)および示差走査熱量測定(DSC)を含む数多くの通常の分析技術で特徴付けられ、また識別し得る。
【0040】
多形性は、成分または化合物が2以上の異なった結晶相に結晶化する能力として定義される。従って、多形は同じ分子式を共有する異なった固体であるが、いかなる固体の特性もその構造によって決定されるため、異なる多形は、異なった物理的特性、例えば、異なる溶解性プロファイル、異なる融点、異なる溶解プロファイル、異なる熱および/または光安定性、異なる保存期間、異なる懸濁特性、および異なる生理学的吸収速度を示し得る。結晶性固体が溶媒を含むと溶媒和物となり、溶媒が水の場合には水和物となる。
【0041】
したがって、本発明は、結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を提供する。
【0042】
4−メチルベンゼンスルホン酸塩が回収される溶媒に依存して、溶媒和物として得られ、そのような溶媒和物も本発明の一つの態様を形成する。溶媒和物は薬学上許容される溶媒和物であり得る。好適な溶媒和物は水和物である。
【0043】
溶媒和物を準備するのに好適な溶媒には、これに限定されないが、水、ジオキサン、1−プロパノール、メタノール、エタノールとアセトン、トルエンとテトラヒドロフランが挙げられる。当業者に明らかなように、前記溶媒は、混合物としても、または水との混合状態でも、用いることができる。
【0044】
一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、無水型である。
【0045】
一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の無水結晶形態は、形態1(Form 1)である。
【0046】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、図1の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同一のパターンであって、前記XRPDパターンが2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる粉末X線回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。
【0047】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、図2の示差熱走査熱量測定(DSC)パターンと実質的に同一のパターンを示すことを特徴とする。
【0048】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、少なくとも表1のピークを実質的に含む粉末X線回折パターンを示すことを特徴とする。
【表1】

【0049】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、少なくとも実質的に粉末X線回折(XRPD)°2θピークを本質的に次の位置:8.0±0.1、10.3±0.1、14.5±0.1、15.0±0.1、17.7±0.1°に含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔11.0、8.6、6.1、5.9、5.0オングストローム(Å)である、粉末X線回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。
【0050】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の無水結晶体が形態2(Form 2)である。
【0051】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、図3の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同一のパターンでであって、前記XRPDパターンは2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる粉末X線回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。
【0052】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、図4の示差熱走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同一のサーモグラムを示すことを特徴とする。
【0053】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、少なくとも表2のピークを実質的に含む粉末X線回折パターンを示すことを特徴とする。
【表2】

【0054】
もう一つの実施例においては、無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、少なくとも実質的に粉末X線回折(XRPD)°2θピークを本質的に次の位置:8.3±0.1、9.3±0.1、10.2±0.1、11.2±0.1、13.6±0.1°に含み、それらの値はそれぞれd−格子面間隔10.7、9.5、8.7、7.9、6.5オングストローム(Å)である、粉末X線回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。
【0055】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶形態は、溶媒和物である。
【0056】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の溶媒和物結晶形態は、水和物である。
【0057】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の水和結晶形態は、水和物1である。
【0058】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶水和物1は、XRPDパターンが2θ角度により表され、かつ銅KαX線を用いた回折ビームグラファイトモノクロメータを装着した回折計により得られる、図5の粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同一のパターンを示すことを特徴とする。
【0059】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶水和物1は、図6の示差熱走査熱量測定(DSC)サーモグラムと実質的に同一のサーモグラムを示すことを特徴とする。
【0060】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶水和物1は、少なくとも表3のピークを実質的に含む粉末X線回折パターンを示すことを特徴とする。
【表3】

【0061】
もう一つの実施例においては、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の結晶水和物1は、少なくとも実質的に粉末X線回折(XRPD)°2θピークを本質的に次の位置:7.8±0.1、10.4±0.1、12.1±0.1、13.1±0.1、18.3±0.1°に含み、その値はそれぞれd−格子面間隔11.3、8.5、7.3、6.8、4.9オングストローム(Å)である、粉末X線回折(XRPD)パターンを示すことを特徴とする。
【0062】
もう一つの実施例においては、本発明は、結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0063】
そのような医薬組成物は、1種以上の薬学上許容される担体また希釈剤を含み得る。これらの調製に好適な医薬化合物および方法の例はPCT公開番号WO07/028654号公報に記載されているが、このPCT公開の内容は引用することにより本明細書の開示の範囲とされる。好都合なことに、好適な医薬化合物は通常の技術、使われるときには、担体および希釈剤を用いて調製することができる。錠剤およびカプセル製剤などの経口投与のための医薬組成物が好まれる。
【0064】
本発明では、本発明に記載の結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の有効量を哺乳動物に投与することを含んでなる哺乳動物の精神病性障害、うつ病、気分障害、不安障害、睡眠障害、および物質関連障害の治療のための方法もまた提供される。
【0065】
もう一つの態様として、本発明は、治療での使用のための本発明に記載の結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を提供する。
【0066】
もう一つの態様として、本発明は、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安障害、睡眠障害、および物質関連障害の治療または予防のための医薬の製造において、本発明に記載の結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の使用を提供する。
【0067】
式(I)の化合物は、PCT公報番号WO07/028654号公報に記載される方法により製造できるが、このPCT公開の内容は引用することにより本明細書の開示の範囲とされる。その代わりに、式(I)の化合物は実験例(中間体1〜7)に記載された通りに調製することができる。
【0068】
式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミドの遊離塩基と4−メチルベンゼンスルホン酸とを好適な溶媒下で適切な化学量論的量で接触させることにより調製することができる。
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミドの遊離塩基を可溶化するための好適な溶媒としては、例えばエタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、エチル酢酸などの酢酸エステル、テトラヒドロフランなどのエーテルが挙げられる。
【0069】
結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物は、それぞれ、溶媒であって、その中での塩の溶解度が限られる溶媒から直接に結晶化するか、または非結晶塩を粉砕するかまたは別な方法で結晶化することによって製造することができる。
塩の収率改善は、溶媒の一部またはすべての蒸発乾燥によって、または例えばステージ内で、高温とその後の制御された冷却下での結晶化により、達成されうる。沈殿温度と播種の注意深い制御が、製造プロセス並びに生成物の粒径分布および形状の再現性を改善するために用いられ得る。一定の要因がどの結晶形態を生ずるかに影響する。これらの要因は、以下に限定されないが、核形成、播種(能動的なものおよび偶発的なものの両方)、および溶媒を介した効果を含む。溶媒の組成や生成物と溶媒と率は、望ましい形態の核形成に決定的である。典型的には、播種は溶媒混合物からの望ましい形態の核形成に影響しうる。
【0070】
したがって、例えば、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩はトルエンなどの様々な有機溶媒から得られる。
【0071】
他に採りうる方法としては、結晶形態1(Form 1)である無水の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、水和形態を加熱することにより得られ得る。
【0072】
本発明のなおいっそうさらなる態様は、2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミドの遊離塩基をp−トルエンスルホン酸と好適な溶媒、例えばトルエン下で反応させ、物質が溶解するまで80℃に加熱し、その後20℃に冷却することを含んでなる、無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩を製造する方法を提供する。無水結晶形態1(Form 1)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩は、濾過によりこの段階で分離でき、その後随意に乾燥することができる。
【0073】
本発明のさらなる態様は、形態1(Form 1)もしくはその溶媒和物またはその混合物を、低分子ケトン、例えばメチルイソブチルケトンもしくはアセトン、またはイソオクタンもしくはヘプタンなどの炭化水素溶媒またはこれらの混合物などの好適な溶媒と懸濁し、形態1(Form 1)から形態2(Form 2)に転換する間、溶媒の沸点付近の温度で加熱し、随意に種を加え、さらに冷却し、前記無水結晶形態2(Form 2)を単離することを含んでなる、無水結晶形態2(Form 2)である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の製造のための方法を提供する。
【0074】
式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩の溶媒和物は、それぞれ4−メチルベンゼンスルホン酸塩から通常の方法で製造しうる。例えば、4−メチルベンゼンスルホン酸塩の水和物1は、水、アセトンおよび水の混合物または含水のトルエンからの無水形態1(Form 1)の再結晶化により製造し得る。
【0075】
本発明における使用のための式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物は、他の治療薬との組合せで用いられ得る。同様に、本発明の医薬製剤は、1種以上の追加の治療薬を含みうる。PCT公報番号WO07/028654号公報(このPCT公開の内容は引用することにより本明細書の開示の範囲とされる)で式(I)の化合物またはその塩と組み合わせられ得ると開示された様々な治療薬は、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物にも同様に適用できる。
【0076】
したがって、さらなる態様において、本発明は、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物と精神病性障害の治療または予防のためのさらなる治療薬を含んでなる組合せの使用を提供する。
【0077】
結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物が他の治療薬との組合せで用いられるとき、その化合物は任意の便宜な経路によって経時的にまたは同時に投与され得る。
【0078】
同じ製剤と組合せられるときには、二つの化合物は安定で、相互におよび製剤の他の化合物と共存できなくてはならず、投与のために調合され得るべきことが理解されよう。別々に処方する場合には、それらは当該技術分野でそのような化合物について公知の方法により、任意の便宜な調合で提供され得る。
【0079】
結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物が二つめの治療薬との組合せで用いられるとき、それぞれの化合物の用量は、その化合物を単独で使うときとは異なり得る。適切な量は当業者により容易に理解されるであろう。
【0080】
結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物とこれを含んでなる医薬組成物は、治療、特に、動物、例えばヒトなどの哺乳動物における精神病性障害、うつ病、気分障害、不安障害、睡眠障害の治療または予防に有用である。PCT公開番号WO07/028654号公報(この内容は引用することにより本明細書の開示の範囲とされる)で公開される様々な治療への使用は、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物にも同様に適用できる。
【0081】
結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物は、統合失調症、不安障害、うつ病、睡眠障害および物質関連障害の治療または予防に、特に、有用である。
【0082】
本発明は、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の有効量を動物に投与することを含んでなる、動物、例えば、ヒトなどの哺乳動物における精神病性障害、うつ病、気分障害、不安障害、睡眠障害の治療または予防のための方法をも提供する。
前記技術は、特に、統合失調症、不安障害、うつ病、睡眠障害および物質関連障害の治療または予防に有用である。
【0083】
本発明は、動物、例えばヒトなどの哺乳動物における、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安障害、睡眠障害、特に統合失調症、不安障害、うつ病、睡眠障害および物質関連障害の治療または予防のための医薬の製造における、結晶形態である式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の使用をも提供する。
【実施例】
【0084】
以下の実施例は、いかなる方法においてもこの発明の範囲を限定することを意図したものではなく、本発明の範囲を単に例証することを意図したものである。
【0085】
各出発材料の後に続く、以下の手順では、主として記載事項に対する参考情報を提供する。これは単に熟練した化学者への支援のために記載している。出発材料は、必ずしも記述したバッチから製造したものでなくてよい。
【0086】
別段の定めが無い限り実験例において:
プロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker社製機器において400MHzまたは700MHzにより記録し、化学シフトは、内部標準として残留溶媒系またはテトラメチルシランを用いてppm(δ)により記録される。分裂パターンは、s,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;b,幅広線として示す。示差走査熱量測定(DSC)は、TA Q1000熱量計において走査速度10℃/分にて実施した。1〜2mgのサンプルサイズは、アルミニウムの平鍋であって、その上に平鍋の蓋を載せ、平鍋を密閉しないで軽く圧着するアルミニウム平鍋中にいれて計測した。
【0087】
図1、3、5に示される粉末X線回折(XRPD)分析は、X’Celerator検出器を装着したPANalyticalのX’−Pert Pro粉末回折計を用いて銅KαX線により取得した。取得条件は以下であった:発生電圧:40kV、発生電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ、1ステップ当たりの時間:31.75秒。サンプルは、数mgのサンプルをシリコンウエハー(ゼロバックグラウンド)プレート上に載せることにより調整し、結果、粉末の薄層となった。
【0088】
2θ回折角と、対応するd−格子面間隔の値は、XRDパターンにおける様々なピークの位置を示し、d−格子面間隔の値は、観測された2θ角度と銅Kα1波長とで、ブラッグの式を用いて計算する。使用した特定の回折計と分析者のサンプル調製技術に原因があるが、観測された2θ角度とd−格子面間隔においてわずかな変動が見込まれる。相対ピーク強度についてはより大きな変動が見込まれる。結晶形態学における違いから生じる選択配向によって、相対ピーク強度の大きな変動が観測され得る。それらの値を測定する温度によっても、観測された2θ角度とd−格子面間隔の変動が観測され得る。化合物の正確な結晶形の同定は、主に観測された2θ角度またはd−格子面間隔に基づくべきである。
前述の表1〜3には、20程度の強いピークと低い角度ピークが含まれている。
【0089】
熱分析
示差走査熱量測定(DSC)は、TA Q1000熱量計において実施した。サンプルをアルミニウム平鍋に計量し、その上に平鍋の蓋を載せ、平鍋を密閉しないで軽く圧着した。走査速度は10℃/分とした。サンプルサイズは1〜2mgとした。DSCデータを記録する場合には、イベントの開始またはピークの温度を記録することができる。電流充電時には、開始温度だけを記録する。開始温度は、主要なイベントの接線とベースラインとの交点である。融解が分解を伴う場合には、同じ材料の異なるバッチで開始融解温度に小さな変動が観測され得ることは当業者ならば十分に理解するであろう。
【0090】
本明細書には次の略語を用いる:
メチルイソ−ブチルケトンについてはMIBK、核磁気共鳴についてはNMR;100万分の1についてはppm;粉末X線回折についてはXRPD、示差走査熱量計測についてはDSC;重量/重量についてはw/w;ミリリットルについてはmL;グラムについてはgである。
【0091】
中間体1
メチルN−(フェニルメチル)−D−セリナート
【化4】

20℃で、30.00gのメチル−D−セリナート、16.61g 酢酸ナトリウムおよび300mLテトラヒドロフランを容器に入れた。20℃で21.49g(20.56mL)ベンズアルデヒドを加えて、生じた混合物を0−5℃まで冷却した。3.0mL 酢酸(99−100%)を加え、その反応混合物を0−5℃で1時間攪拌した。89.91g ナトリウム トリス−アセトキシボロハイドライドを15分にわたり分割しながら少しずつ加えた、そして反応混合物を0−5℃で2−3時間攪拌した。この懸濁液に対して375mL飽和炭酸ナトリウム溶液を0−5℃で45分にわたり加えた。(ガス放出、pH8−9に調整)。静地した混合物を0.5時間かけて20−25℃に暖めた。20−25℃で300mL 水および300mL tert−ブチルメチルエーテルを加えて、相を分離した。有機層は150mL水で洗浄し、合わせた水層は150mL tert−ブチルメチルエーテルで再抽出した。合わせた有機層は90mL水で洗浄し、有機層は減圧下35℃で乾燥して濃縮し、無色の油として表題の化合物36.36gを得た。
H−NMR[ppm,CDCl]:7.40−7.20,(m,5H);3.88−3.81,(m,1H);3.81−3.68,(m,2H);3.72,(s,3H);3.67−3.58,(m,1H);3.45−3.37,(m,1H);2.60,(bs,2H)。
【0092】
中間体2
(3R)−4−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−モルホリンカルボン酸
【化5】

30.00gの4−{[(1、1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−3−モルホリンカルボン酸と300mLイソプロパノールを20℃で容器に入れた。11.00g(11.6mL)の(S)−(−)−フェニルエチルアミンを20℃で加えた。その澄んだ溶液を80℃に加熱し、80℃で10分攪拌した。その溶液を10−15℃で4時間冷却した。懸濁液を10−15℃で2時間攪拌し、濾過して、60mLイソプロパノールで洗浄した。残渣は減圧下40℃で乾燥され、白色固体としてジアステレオマーの塩を得た。
18.40gのジアステレオマーの塩を容器に移し、20℃で92mL水を加え、15分間攪拌した。184mLイソプロピル酢酸を加えて、0−5℃に冷却した。0−5℃で10分間にわたり26mL硫酸水素ナトリウム(20%溶液)を滴下して加え、pHを3.0−3.5に調整した。この二相混合物を20−25℃に加熱し、30分間攪拌した。相を分離し、水層を92mLイソプロパノールで洗浄した。減圧下45℃で合わせた有機層を74mLまで濃縮した(白色懸濁液を得た)。184mLヘプタンを加え、減圧下45℃で再び74mLまで濃縮した184mLヘプタンを加え、混合物を5−10℃に冷却した。懸濁液を5−10℃で10分間攪拌し、そしてブフナー漏斗で濾過し、さらに2×36.8mLヘプタンで洗浄した。残渣を減圧下45℃で乾燥させ、白色固体として表題の化合物(10.13g)を得た。
H−NMR[ppm,CDCl]:11.56−11.15,(bs,1H);4.62,(d,1H);4.50−4.30(dd,1H);4.00−3.83, (dd,1H);3.82−3.61(m,2H);3.57−3.43,(m,1H);3.40−3.16,m(m,1H);1.50,(s,9H)。
【0093】
中間体3
(7R,9aR)−7−(ヒドロキシメチル)−8−(フェニルメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−6,9−ジオン
【化6】

5.00gの中間体2を20℃で50mLジクロロメタンに懸濁する。6.22g N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド ヒドロクロリドを加え、懸濁液を0−5℃に冷却した。3.97gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を加え、2℃で45分間攪拌した。15mLジクロロメタンに溶かされた4.75gの中間体1を3℃で5分にわたり滴下した。6.15g(8.14mL)N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、薄茶色の溶液を得て、反応混合物を0−5℃で16時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(40mL)を0−5℃で加え、相を分離した。水層はジクロロメタン(50mL)で再抽出し、合わせた有機層は飽和塩化ナトリウム溶液(40mL)と水(40mL)で続けて洗浄した。有機層は20−25℃でイソプロパノールに溶かした27mL 5−6N HClで処理した。混合物は35−40℃で3時間攪拌した。反応混合物を0−5℃に冷却し、165mLの飽和炭酸水素ナトリウムを加えてpHを8とした。相を分離して、水層を2×10倍量のジクロロメタンで再抽出した。合わせた有機層は減圧下50℃で部分的に濃縮した。さらに50mLメタノールを加えた。溶媒交換の後、混合物を20−25℃で0.5時間攪拌した。混合物を50℃で部分的に濃縮して、50mLイソプロパノールを加えた。追加されたイソプロパノールを50℃で蒸留除去し、さらに50mLイソプロパノールを加えて、懸濁液(生成物懸濁液中間体3)を得た。この生成物懸濁液を0−5℃に冷却し、少なくとも1時間攪拌した。
濾過紙、10mLイソプロパノールで洗浄し、残渣を45℃で乾燥させて、白色固体2.81gとして表題の化合物を得た。
H−NMR[ppm,CDCl]:7.42−7.15,(m,5H);5.34,(d,1H);4.47,(d,1H);4.36−4.19,(m,2H);4.07−3.93,(m,2H);3.93−3.82,(m,3H);3.67,(t,1H);3.47,(t,1H);3.40−3.26,(m,1H),2.88,(t 1H)。
【0094】
中間体4
[(7S,9aS)−8−(フェニルメチル)オクタヒドロピラジノ−[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル]メタノール
【化7】

13.00gの中間体3を容器に入れた。130mLテトラヒドロフランを加えて、白色懸濁液を得た。この懸濁液を45−50℃に加熱し、274mL 1Mボラン−テトラヒドロフラン溶液を2回に分けて(最初は90mLを0.5時間かけて)少なくとも1時間かけて45−50℃で加え(蓄積、ガス放出)、無色溶液を得た。完全添加の後に、給送タンクを13mL テトラヒドロフランで洗浄した。この溶液を45−50℃で18時間攪拌した。この反応混合物を30℃に冷却した。32.5mLメタノールを30℃で1.5時間かけて(最初は21mLを少なくとも1時間かけて)加えた(発熱性および強いガス放出)。22mL 6N塩酸を0.5時間かけて30℃で加えて(ガス放出)白色懸濁液を得た。この懸濁液を50℃に加熱し、1時間攪拌し、その後、溶媒を減圧下50℃で蒸留して取り除いた。195mL水を残渣に加え、薄い白色懸濁液を得た。懸濁液を40℃に加熱し、1時間攪拌し、さらに91mLジクロロメタンで3回抽出して、層を分離した。45.5mL 3N水酸化ナトリウムを水層に15分かけて加えて、白色懸濁液(pHは7−8でなければならない)を得た。懸濁液を130mLジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機層を減圧下40−45℃で濃縮し、無色油として表題の化合物を得た。(重量収量97%)
H−NMR[ppm,CDCl]:7.40−7.16,(m,5H);4.68(bs,1H);4.16−4.06,(m,1H);3.90−3.71,(m,4H);3.68−3.54,(m,2H);3.20,(t,1H);2.88−2.61,(m,5H);2.52−2.39,(m,2H);2.29,(t,1H)。
【0095】
中間体5
[(7S,9aS)−7−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]−オキシ}メチル)−8−(フェニルメチル)オクタヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン
【化8】

8.79gイミダゾールを容器に入れた。ジクロロメタン(308mL)に溶解した中間体4(30.80g)の溶液を加え、無色溶液を得た。61.6mLジクロロメタンに溶解した21.23g tert−ブチルジメチルシリルクロライドを0−5℃で10分間かけて添加し、白色懸濁液を得た。この懸濁液を20−25℃に加熱し、2時間攪拌した。
懸濁液を濾過し、61.6mLジクロロメタンで洗浄し、無色液体を得た。この溶液に、231mL飽和炭酸水素ナトリウム溶液を20−25℃で10分間かけて添加した。この二相混合物を20℃で5分間攪拌した。相を分離し、水層を154mLジクロロメタンで2回抽出した、合わせた有機層を水(2×231mL)で洗浄し、さらに減圧下40℃で濃縮し、無色油として表題の化合物を得た。(重量収量95%)
H−NMR[ppm,CDCl]:7.33−7.13;(m,5H),3.95,(t,1H);3.91−3.81,(m,2H);3.80−3.70,(m,1H);3.66−3.54,(m,2H);3.48,(d,1H);3.17−3.06,(m,1H);2.89−2.81,(m,1H);2.77,(d,1H);2.47,(d,1H);2.36−2.29,(m,1H);2.29−2.14,(m,4H);0.84,(s,9H);−0.10−0.10,(2xs,6H)。
【0096】
中間体6
(7S,9aS)−7−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]−オキシ}メチル)オクタヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン
【化9】

30.00g GSK1497237Aを容器に入れた。360mLエタノールを添加して、無色溶液を得た。3.0gパラジウム炭素(Pd/C)5%タイプ458(ペースト)を20−25℃で加えて、黒色懸濁液を得た。この懸濁液を50℃に加熱し、水素雰囲気下で2時間攪拌した。この反応混合物を20−25℃に冷却し、懸濁液をエタノールでしめらせたセライトベッド(90g)で濾過紙、2×60mLエタノールで洗浄した。濾液を回収し、減圧下50℃にて濃縮し、黄色油状の表題の化合物を得た。(重量収率92.6%)
H−NMR[ppm,CDCl]:3.95,(t,1H);3.78−3.69,(m,1H);3.63−3.50,(m,3H);3.13,(t,1H);2.92−2.83,(m,1H);2.58−2.32,(m,5H);2.29−2.14,(m,2H);1.98.(bs,1H);0.83,(s,9H);−0.02−0.04,(2xs,6H)。
【0097】
中間体7
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロ−ピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド
【化10】

16.90gのビス(トリフルオロメチル)フェニル−N−[6−クロロ−4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−3−ピリジニル]−N,2−ジメチルプロパンアミド(WO2005/002577)4.58gナトリウムtert−ブトキシド、そして2.10gビス−(トリ−tert−ブチルホスフィン−パラジウム(0)触媒を窒素下で容器に入れた。338mLトルエンに溶解した10.00g中間体6を添加し、黒褐色の溶液を得た。この溶液を80℃に加熱し、少なくとも16時間攪拌した(薄い懸濁液を得た)。
この反応混合物を20−25℃に冷却し、16.90gセライトを加え、茶色懸濁液を得た。この懸濁液を16.90gセライト上で濾過し、33.8mLトルエンで洗浄した。338mL飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、この二相系を20−25℃で5分間攪拌した。相分離の後、水層を118mLトルエンで2回抽出した。合わせた有機層は90mLの10%水性システイン溶液で処理し、25℃で1時間攪拌した。相分離後、有機層を再び90mLの10%システイン溶液で処理し、25℃で1時間攪拌した。相分離後、有機層を85mL半飽和の炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄して、溶媒をジオキサンに置換した。
このジオキサン溶液を10−15℃に冷却した。ジオキサンに希釈した63.5mLの4M塩酸を10−15℃で少なくとも10分間かけて加えた。この溶液を20−25℃に加熱し、2時間攪拌した。
ジオキサンを減圧下45℃で85mLにまで濃縮した。85mL水と254mLジクロロメタンを残渣に加えて、薄い懸濁液を得た。この二相系を20−25℃で5分間攪拌した。相分離し、有機層を20−25℃で33.8mL飽和炭酸水素ナトリウム溶液(pHを7−8に調整)で洗浄した。この二相系を20−25℃で5分間攪拌し、有機層を分離し、減圧下50℃にて濃縮し、薄茶色固体として未精製の表題の化合物を得た。
8.00gの表題の化合物(78.8% a/a HPLC)を16mL酢酸エチルに溶解した。濾紙を80から104gシリカゲルで充填し、酢酸エチルで慣らした。生成物溶液をカラムの上部にロードして、溶媒として酢酸エチルを用いてクロマトグラフィーを開始した。生成物フラクションを混合し、45−50℃減圧下で部分的に濃縮した。この混合物に2.64gから4.00gシリサイクル(Si−Thiol、1.2 mmol/g)を室温で添加して、2時間攪拌した。8.00gセライトで濾過し、32mL酢酸エチルで洗浄し、濾液を得て、45℃で濃縮して乾燥し、淡褐色固体として表題の化合物を得た。(重量収量72%)
H−NMR[ppm,CDCl]:8.04−7.91,(m,1H);7.77,(s,1H);7.72−7.60,(m,2H);7.59−7.16,(m, 1H);7.06−6.74,(m,2H);6.44,(s,1H);4.64−4.43,(m,1H);4.38−4.18,(m,1H);4.07−3.96,(m,2H);3.95−3.76,(m,3H);3.76−3.61,(m,1H);3.37−3.27,(m,1H);3.16−2.98,(m,2H);2.84−2.70,(m,1H);2.67−2.51,(m,2H);2.49−2.22,(m,5H);2.19−2.06,(m,2H);1.64−1.31,(m,5H)、OHブロードニングは観察されない。
【0098】
実施例1
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネート無水結晶形態1(Form 1)
【0099】
製造A
10.00g中間体7(97.8% a/a HPLC、カラムで精製された)を容器に入れた。100mLトルエンを加え、赤褐色の溶液を得て、この溶液を80℃まで加熱した。150mL水に溶かした2.84g p−トルエンスルホン酸一水和物を80℃で少なくとも15分間かけて添加した。この反応混合物を80℃で1時間攪拌した。この反応混合物を2−3時間かけて20℃まで冷却し、20℃で少なくとも4時間攪拌し続けた。この懸濁液を濾過し、20mLトルエンで2回洗浄し、少なくとも3時間55−60℃減圧下で乾燥させた。表題の化合物がオフホワイトの固体として単離された。重量収率86%。
【0100】
H−NMR[ppm,d−DMSO]:9.99−9.40,(bs,1H); 8.05,(s,1H);7.95,(s,1H);7.85−7.65,(m,2H);7.50,(d,2H),7.25−6.94,(m,6H);6.89−6.73,(m,1H);4.81−4.60,(m,1H); 4.59−4.40,(m,1H);4.16−3.97,(m,1H);3.96−3.86,(m,1H);3.85−3.68,(m,3H);3.66−3.55,(m,3H);3.54−3.16,(m,3H);3.03−2.86,(m,1H);2.68−2.54,(m,1H);2.28,(s,6H);2.18−2.03,(m,2H);1.60−1.13,(2×s,6H)。
【0101】
製造Aは、下記に記載する大規模な製造Bの前に簡単に製造するテストバッチである。
粉末X線回折(XRPD)と示差走査熱量測定(DSC)が得られ、無水結晶形態1(Form 1)で一致していた。
【0102】
製造B
640g中間体7(96.8% a/a HPLC、カラムで精製された)を反応容器に加えた。10倍量(6.4L)トルエンを加え、赤褐色の溶液を得て、この溶液を80℃まで加熱した。15倍量(9.6L)水に溶かした180g(1.0等量)p−トルエンスルホン酸一水和物を80℃で少なくとも15分間かけて添加した。この反応混合物を80℃で1時間攪拌した。この反応混合物を3時間かけて20℃まで冷却し、20℃で少なくとも4時間攪拌し続けた。この懸濁液を濾過し、5倍量(3.2L)トルエンで2回洗浄し、少なくとも3時間55−60℃減圧下で乾燥させた。表題の化合物がオフホワイトの結晶固体(549g)として単離された。
1H−NMRスペクトルは前記製造Aにより得られた表題の化合物のスペクトルと一致した。
粉末X線回折(XRPD)
XRPDパターンを図1に提供する。
熱分析
DSCサーモグラムを図2に示す。
DSCにより、熔解開始温度T=191℃
【0103】
実施例2
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネート無水結晶形態2(Form 2)
方法A
50.0gの2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネート無水結晶形態1(Form 1)を600mL MIBKと一緒に容器に入れ、わずかに黄色の溶液を得た。この混合物を90℃に加熱し、完全溶解を確実にした。そして、この溶液を約70℃に冷却し、3mLのMIBKに懸濁した0.5gの形態2(Form 2)を播種し、少なくとも30分間この温度で保持した。さらにヘプタン(600mL)を3時間かけてこの懸濁液に滴下した。この懸濁液を2.5時間かけて20℃に冷却し、この温度で約0.5時間攪拌した。結晶生成物を濾過により回収した。残渣を200mL 1:1 MIBK/ヘプタン混合物で洗浄し、その後400mLヘプタンにて洗浄した。残渣を吸引により部分的に乾燥させ、その後減圧下55−60℃で乾燥させ、41.5g(83%)の表題化合物を得た。
粉末X線回折(XRPD)
XRPDパターンを図3に提供する。
熱分析
DSCサーモグラムを図4に示す。
DSCにより、分解を伴う熔解開始温度T=218.6℃
【0104】
方法B
3.2gの2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネート無水結晶形態1(Form 1)を8倍量(26mL)MIBKと共に容器に入れ、薄い懸濁液を得た。この混合物は30分未満で濃くなった。その後、この懸濁液を3日間かけて20℃と40℃の間で温度をサイクルさせた。表題の化合物を濾過により得た。
粉末X線回折(XRPD)と示差走査熱量測定(DSC)が得られ、無水結晶形態2(Form 2)と一致した。
【0105】
実施例3
2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−N−{4−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−6−[(7S,9aS)−7−(ヒドロキシメチル)ヘキサヒドロピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジン−8(1H)−イル]−3−ピリジニル}−N,2−ジメチルプロパンアミド 4−メチルベンゼンスルホネート結晶水和物1
3.01gの実施例1製造Bを分注し、23mLの水でスラリーにした。このスラリーは暗くした換気設備内で製造した。クリーム色のスラリーを暗くした容器の中で、syn−10ブロック(マグネティックスターラーが内蔵された)に移した。そのスラリーをTC0−40℃、500回転で放置した。温度サイクル(TC)0−40は、40℃への素早い加熱と、その後1時間の保持、1時間かけての0℃への冷却を含み、連続的にサイクルを繰り返した。2日間のTC0−40℃の後に、スラリーを取り除いた。スラリーがかなり濃くなり、色が薄まった。2.815gの固体が夜通しの乾燥前に回収された。この物質を真空下環境温度で一晩オーブン内に放置し、乾燥させた;2.805gの表題の化合物が得られた。
重量収量93.1%
粉末X線回折(XRPD)
XRPDパターンを図5に提供する。
熱分析
DSCサーモグラムを図6に示す。
DSCにより、脱水温度T=73.3℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形態である、式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物。
【化1】

【請求項2】
結晶形態が無水型である、結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項3】
結晶形態が水和物である、結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項4】
結晶形態が図1に示す粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じパターンを示すことを特徴とする無水結晶形態1である、請求項1または2に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項5】
結晶形態が図3に示す粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じパターンを示すことを特徴とする無水結晶形態2である、請求項1または2に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項6】
結晶形態が図5に示す粉末X線回折(XRPD)パターンと実質的に同じパターンを示すことを特徴とする水和物1である、請求項1または3に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項8】
1種以上の薬学上許容される担体または希釈剤を更に含んでなる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
治療に用いるための、結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩または請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶媒和物。
【請求項10】
精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、および物質関連障害の治療または予防のための医薬の製造における、請求項1〜6のいずれか一項に記載の、請求項1に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の使用。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の結晶形態の式(I)の化合物の4−メチルベンゼンスルホン酸塩またはその溶媒和物の有効量を哺乳動物へ投与することを含んでなる、精神病性障害、うつ病、気分障害、不安、睡眠障害、および物質関連障害の治療または予防法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−529942(P2011−529942A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521561(P2011−521561)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060089
【国際公開番号】WO2010/015626
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】