説明

ピロー包装体及びサイドガセット付き包装袋

【課題】 陳列時に転倒するのを防止でき、安定した状態で陳列することのできるピロー包装体を提供する。
【解決手段】 フィルムで筒状に形成された本体内に包装対象物が収容され、該本体の両端部が閉塞されたピロー包装体において、前記本体の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように本体の外面上に配設されたシート片を備え、該シート片は、本体の中央側にある基端側が該本体に貼着される一方、本体の一方の端部側にある先端側が該本体に対して非貼着状態で設けられ、本体の一方の端部を下側にして設置した状態でシート片の先端側が設置面に接するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列時に自立性を有するピロー包装体及びサイドガセット付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おにぎり、パン等の食品や食品以外の商品(以下、総称して包装対象物という)の包装形態として、ピロー包装が知られている。
【0003】
このピロー包装は、長手方向に搬送されるピロー包装用原反で包装対象物を包み込むように、搬送中のピロー包装用原反の長手方向と直交する方向の両端部同士を長手方向にシールした後、筒状になったピロー包装用原反を包装対象物の両側で溶断シールするようにしており、上述のような工程が連続的に行われることで、フィルムで筒状に形成された本体内に包装対象物が収容され、該本体の両端部がシールによって閉塞されたピロー包装体を連続的に作製することができる。
【0004】
また、包装対象物を包装するための包装材として、サイドガセット付き包装袋が知られている。かかるサイドガセット付き包装袋は、一枚又は二枚以上のフィルムで形成されており、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の側端同士を接続する一対の側壁部とで筒状に形成された本体を備えている。そして、該サイドガセット付き包装袋は、本体を構成する一対の側壁部が壁部間で二つ折りにされ、本体の一方の端部が閉塞されている。
【0005】
これにより、サイドガセット付き包装袋は、包装対象物を収容するまで本体が扁平状になっており、他端部から包装対象物を収容するときに、二つ折りにされた側壁部(サイドガセット)が拡がって本体が角筒状になるように構成されている。そして、サイドガセット付き包装袋は、包装対象物を収容した状態で他端部が閉塞されることで、包装対象物を包装するようになっている。
【0006】
従って、サイドガセット包装袋は、包装対象物を包装した状態で、ピロー包装体と同様に筒状に形成された本体内に包装対象物が収容され、該本体の両端部が閉塞された状態になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように包装対象物を包装したサイドガセット付き包装袋やピロー包装体(以下、総称して単に包装体という)は、店舗において、本体を起立状態にして陳列される場合がある。この場合、上記何れの包装体も、陳列時に下側になる本体の何れか一方の端部側を適宜折り曲げて底を形成し、その底を設置面(陳列面)上に載せるようにしているが、本体の下端側を折り曲げると、本体の一方の端部側が収容した包装対象物に対応して変形し、底になる部分と起立した部分との境界(角部)近傍が丸みを持った形状になったり、収容した包装対象物に沿って歪な形状になったりする。また、該包装体は、本体の下側になる一方の端部が閉塞されることによって剛性が高まっているため、その一方の端部を折り曲げた状態(寝かせた状態)にして陳列しなければならない。
【0008】
そのため、上記何れの包装体も、本体が起立状態になるように設置面上に配置したときに、本体の一方の端部(下端)側の形状や折り曲げた端部の存在により、陳列時に安定せずに転倒する場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、陳列時に転倒するのを防止でき、安定した状態で陳列することのできるピロー包装体及びサイドガセット付き包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るピロー包装体は、フィルムで筒状に形成された本体内に包装対象物が収容され、該本体の両端部が閉塞されたピロー包装体において、前記本体の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように本体の外面上に配設されたシート片を備え、該シート片は、本体の中央側にある基端側が該本体に貼着される一方、本体の一方の端部側にある先端側が該本体に対して非貼着状態で設けられ、本体の一方の端部を下側にして設置した状態でシート片の先端側が設置面に接するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成のピロー包装体によれば、閉塞された何れか一方の端部を下側にして陳列するに際し、該本体の一方の端部側が内部に収容された包装対象物に対応するように曲げられた状態にされて底になる。そうすると、前記シート片は、先端側が本体に対して非貼着状態で設けられているため、該先端側が本体の一方の端部側の変形に追従することなく本体に貼着された基端側と連続した姿勢で維持することになる。すなわち、本体の下端側が包装対象物に対応して内側に変形するのに伴い、該本体の一方の端部側とシート片の先端側が離間した状態となる。そして、本体の一方の端部側を下側にして設置した状態でシート片の先端側が設置面に接するように構成されているので、シート片が支持脚として機能し、転倒が防止される。
【0012】
本発明に係るピロー包装体の一態様として、前記本体は、シート片が貼着される領域内に、前記一方の端部側に凸をなす舌片を形成するように切り込みが設けられ、前記シート片は、少なくとも舌片の周囲に対して剥離可能に設けられていることが好ましい。このようにすれば、シート片の先端側を把持して該シート片を基端側に向けて捲ると、切り込みによって形成された舌片がシート片に付いて捲れ上がり、その状態でシート片を引っ張り続けることで切り込みの両端から本体が切り裂かれることになる。これにより、本体に開口が形成されることになり、包装対象物を該開口から取り出すことができる。すなわち、上記構成とすることでシート片が本体の転倒を防止するのに加えて開封用のシールとしても機能する。
【0013】
本発明に係るピロー包装体の他態様として、前記本体は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部が周方向に間隔をあけて二つ以上形成され、前記シート片は、隣り合う二つの柱部間に設けられ、前記柱部は、フィルムが二重以上に重ね合わされて形成されてもよい。このようにすれば、柱部によって本体の縦方向の剛性を高めることができ自立性を更に高めることができる。
【0014】
本発明に係るピロー包装体の別の態様として、前記本体は、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の側端同士を接続する一対の側壁部とを備え、前記シート片は、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されてもよい。このようにすれば、本体が角筒状をなすため、陳列時に底として有効に機能する部分が四角形状になって設置面との接触面積が大きくなる。これにより、本体自身の設置の安定性も高まるため、シート片による支持との相乗効果によって陳列時の安定性をより高いものにすることができる。
【0015】
本発明に係るピロー包装体のさらに別の態様として、前記本体は、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の側端同士を接続する一対の側壁部と、一端から他端にまで延び、壁部と側壁部との境界から外側に延出するようにフィルムを二重にして形成された帯状の柱部とを備え、前記シート片は、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されてもよい。このようにすれば、本体は、角筒状になり、陳列時に本体の底として有効に機能する部分が四角形状になって設置面との接触面積が大きくなる。また、角筒状になった本体の四隅に柱部が位置するので、柱部によって本体の縦方向の剛性を高めることができる。これにより、本体の自立性や設置安定性が高まるため、シート片による支持との相乗効果によって陳列時の安定性をより高いものにすることができる。
【0016】
本発明に係るサイドガセット付き包装袋は、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の両側端同士を接続する一対の側壁部とで筒状に形成された本体を備え、一対の側壁部が壁部間で二つ折りにされるとともに、本体の一方の端部が閉塞されたサイドガセット付き包装袋において、前記本体の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されたシート片を備え、該シート片は、本体の中央側にある基端側が該本体に貼着される一方、本体の一方の端部側にある先端側が該本体に対して非貼着状態で設けられ、本体内に包装対象物を収容し、該本体の一方の端部側を下側にして設置した状態でシート片が設置面に接するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成のサイドガセット付き包装袋によれば、包装対象物を収容した状態で本体が角筒状になり、該本体の閉塞された一方の端部を下側にして陳列するに際し、本体の一方の端部側を曲げて形成される底の有効に機能する部分が四角形状になって設置面との接触面積が大きくなり、本体自体の自立性が高まることになる。そして、本体の一端側を曲げて底を形成すると、前記シート片は、先端側が本体に対して非貼着状態で設けられているため、該先端側が本体の一方の端部の変形に追従することなく本体に貼着された基端側と連続した姿勢で維持することになる。すなわち、本体の一方の端部側が包装対象物に対応して内側に変形するのに伴い、該本体の下端側とシート片の先端側が離間した状態となる。そして、本体の一方の端部側を下側にして設置した状態でシート片の先端側が設置面に接するように構成されているので、シート片が支持脚として機能し、転倒が防止される。
【0018】
本発明に係るサイドガセット付き包装袋の一態様として、前記本体は、シート片が貼着される領域内に、前記一方の端部側に凸をなす舌片を形成するように切り込みが設けられ、前記シート片は、少なくとも舌片の周囲に対して剥離可能に設けられていることが好ましい。このようにすれば、シート片の先端側を把持して該シート片を基端側に向けて捲ると、切り込みによって形成された舌片がシート片に付いて捲れ上がり、その状態でシート片を引っ張り続けることで切り込みの両端から本体が切り裂かれることになる。これにより、本体に開口が形成されることになり、包装対象物を該開口から取り出すことができる。すなわち、上記構成とすることでシート片が転倒を防止するのに加えて開封用のシールとしても機能する。
【0019】
そして、本発明に係るサイドガセット付き包装袋の他態様として、前記本体は、一端から他端にまで延び、壁部と側壁部との境界から外側に延出するように形成された帯状の柱部を備えてもよい。このようにすれば、角筒状になった本体の四隅の柱部によって本体の縦方向の剛性を高めることができる。これにより、本体の自立性や設置安定性が高まるため、シート片による支持との相乗効果によって陳列時の安定性をより高いものにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るピロー包装体によれば、陳列時に転倒するのを防止でき、安定した状態で陳列することができるという優れた効果を奏し得る。
【0021】
また、本発明に係るサイドガセット付き包装袋によれば、陳列時に転倒するのを防止でき、安定した状態で陳列することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第一実施形態に係るピロー包装体について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本実施形態に係るピロー包装体は、図1(a)〜図1(c)に示す如く、一枚のフィルムFで筒状に形成された本体10と、該本体10の中央側から何れか一方の端部(一端部)に向けて延びるように本体10の外面上に配設されたシート片20とを備えている。該ピロー包装体1は、本体10内に包装対象物(図においては三角おにぎり)Pを収容した状態で該本体10の両端部が所定幅のシールによって閉塞されている。なお、各図において、ドットの付した領域がシールされた領域又は貼着された領域を示している。
【0024】
本実施形態に係る本体10は、平面視矩形状をなす一枚のフィルムFの側端部同士が接合(シール)されて筒状に形成されている。より具体的には、該本体10は、前後で対向する一対の壁部11,11と、該一対の壁部11,11の側端同士を接続した一対の側壁部12,12とを備えており、角筒状に形成されている。そして、本実施形態に係る本体10は、フィルムFの両側端部(長手方向と直交する短手方向の両端部)同士を接合した部位が一方の壁部11上に位置している。前記一対の側壁部12,12のそれぞれは、一旦本体10の内側で二つ折りにした上で広げたような態様をなしている。すなわち、各側壁部12,12は、ガセットを広げたような態様になっている。そのため、各側壁部12,12には、一端から他端に向けて延びる稜線が形成されている。なお、上述の如く、本体10は、両端部がシールによって閉塞されているため、一対の側壁部12,12は、両端部において二つ折りにされた状態で一対の壁部11,11に挟み込まれた状態になっている。
【0025】
本実施形態に係る本体10は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部13…が形成されており、本実施形態においては、該柱部13…が周方向に間隔をあけて四つ形成されている。各柱部13…は、フィルムFを二重以上に重ね合わせて形成されるもので、本実施形態においては、本体10を形成するフィルムFを部分的に二重に(山折りに)して貼り合わせる(シールする)ことで形成されている。そして、本実施形態に係る本体10は、上述の如く、一対の壁部11,11及び一対の側壁部12,12を備えて角筒状に形成されているため、四つの柱部13…は、壁部11,11と側壁部12,12との境界から外側に延出するように設けられている。
【0026】
前記本体10(一方の壁部11)は、シート片20が配設される領域のうち、該シート片20の後述する貼着片部20aが貼着される領域内に、該本体10の一端側に凸をなす舌片15を形成するように切り込み14が設けられている。すなわち、切り込み14は、壁部11の幅方向に略真っ直ぐに延びる第一切り込み部14aと、該第一切り込み部14aの両端から本体10の他端に向けて延びる一対の第二切り込み部14b,14bとで構成されており、該第一切り込み部14a及び第二切り込み部14b,14bによって舌片15が形成されている。なお、本実施形態において、第二切り込み部14b,14bは、第一切り込み部14aに繋がる始点から円弧状に延びるように形成され、終点側が本体10の他端側に向くように形成されている。本実施形態に係る切り込み14は、壁部11の略全幅に亘って形成され、本体10の中央よりも一端側に設けられている。
【0027】
前記シート片20は、本体10の中央側にある基端側の領域(以下、貼着片部という)20aが本体10に貼着される一方、本体10の一端側にある先端側の領域(以下、支持片部という)20bが本体10に対して非貼着状態で設けられている。本実施形態に係るシート片20の貼着片部20aは、少なくとも舌片15の周囲に対して剥離可能に貼着されている。本実施形態に係るシート片20は、貼着片部20a全体が該本体10に対して剥離可能な接着強度で接着されているが、上述の如く、切り込み14が舌片15を形成した態様で形成されているため、本体10に対して非貼着状態にある支持片部20b(シート片20の先端側)を引っ張ることで、貼着片部20aは舌片15以外の部分が本体10の外面から剥離する一方で、舌片15が該シート片20(貼着片部20a)に付いて捲り上がり、切り込み14の両端が起点になって本体10(壁部11,11)が柱部13…の延びる方向に切り裂けるようになっている。
【0028】
そして、本実施形態において、前記柱部13…が設けられているため、シート片20は、二つの柱部13…間(他方の壁部11)に設けられている。本実施形態に係るシート片20は、矩形状に形成されており、本体10の一端側にある先端が前記柱部13…の延びる方向と直交する方向に延びるように設けられている。すなわち、シート片20は、先端が本体10の一端部を閉塞する帯状のシールラインと平行又は略平行になるように設けられている。また、該シート片20は、先端が本体10における陳列時の底となる位置に対応するように配置されている。すなわち、シート片20の先端の位置は、底になるときの本体10の一端側の変形(位置や形状)を考慮して陳列時に該シート片20の先端側(先端)が設置面に接するように設定される。
【0029】
該シート片20は、コシのある樹脂シートが採用されており、本体10の変形に追従しにくいようになっている。そして、該シート片20は、本体10を構成するフィルムFの厚みの二倍以上の厚みのシートが採用され、本実施形態においては本体10を構成するフィルムFの二倍の厚みのシート(例えば、本体10を構成するフィルムFが30μmである場合には60μmの樹脂シート)が採用されている。
【0030】
本実施形態に係るピロー包装体1は、以上の構成からなり、本体10の中心線が上下方向に延びるように本体10を起立状態にして店舗に陳列される。具体的には、上記構成のピロー包装体1は、図2、図3(a)及び図3(b)に示す如く、本体10の閉塞された一端部側を下にして陳列される。その際、該本体10の下端(一端)側が内部に収容された包装対象物Pに対応するように内側に曲げられて底にされ、本体10のシールされた一端部が底に沿うように折り曲げられる。
【0031】
そうすると、前記シート片20は、前記支持片部20bが本体10に対して非貼着状態で設けられているため、支持片部20bは、本体10の一端側の変形に追従することなく本体10に貼着された貼着片部20aと連続した姿勢で維持することになる。すなわち、本体10の一端側が包装対象物Pに対応して内側に変形するのに伴い、該本体10の一端側とシート片20の支持片部20bが離間した状態となる。そして、本体10を起立状態で陳列する際、底になった本体10の一端側と、シート片20の支持片部20bとの間隔があいた状態で、底とシート片20の先端(支持片部20bの先端)が陳列面(設置面)G上に載ることになる。これにより、シート片20(支持片部20b)が本体10の転倒モーメントに対抗する結果、当該ピロー包装体1は、転倒が防止されて安定した状態で陳列されることになる。
【0032】
そして、上記構成のピロー包装体1を開封するには、図4に示す如く、本体10に対して非貼着状態にある支持片部20b(シート片20の先端側)を把持して貼着片部20a側(シート片20の基端側)に引っ張ると、貼着片部20aが舌片15周辺から剥離する一方で、舌片15が該貼着片部20aに付いて捲り上がる。そして、シート片20を引き続き引っ張ると、切り込み14の両端が起点になって本体10(壁部11,11)が柱部13…の延びる方向に切り裂け、一方の壁部11に大きな開口が形成されることになる。これにより、該大きな開口から包装対象物Pを取り出すことができる。
【0033】
上記構成のピロー包装体1は、長尺なピロー包装用原反から連続的に作製されている。ここでピロー包装用原反について具体的に説明すると、かかるピロー包装用原反は、図5(a)に示す如く、長尺フィルム10’と、長尺フィルム10’の長手方向に間隔をあけて該長尺フィルム10’の一方の面上に配設された複数のシート片20’とを備えている。
【0034】
前記長尺フィルム10’は、前記本体10を構成するフィルムFの連続体である。本実施形態に係る長尺フィルム10’には、長手方向に延びる帯状の襞部13’…が形成されている。より具体的には、該長尺フィルム10’は、長手方向に延びる襞部13’…が長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて四つ形成されている。各襞部13’…は、前記長尺フィルム10’を部分的に二重にして形成されている。すなわち、各襞部13’…は、長尺フィルム10’を山折りにした部分を曲げ稜線から所定幅の範囲で全体的又は部分的にシールすることにより長尺フィルム10’の一方の面から帯状に延出して形成されている。
【0035】
該長尺フィルム10’は、図5(b)に示す如く、短手方向の中央側に位置する二つの襞部13’,13’の間隔Aが前記本体10の壁部11,11の幅方向の幅に対応し、その二つの襞部13’,13’と短手方向の外側にある襞部13’,13’との間隔Bが本体10の側壁部12,12の幅に対応するように設定されている。そして、長尺フィルム10’は、外側の襞部13’…から幅方向の端縁まで距離Cが本体10の壁部11,11の幅方向の半分の幅に接合代(シール代)αを加えた長さに設定されている。すなわち、長尺フィルム10’は、外側の襞部13’…から幅方向の端縁まで距離Cが、中央側に位置する二つの襞部13’,13’の間隔Aの半分の長さにシール代αを加えた長さ(C=A/2+α)に設定されている。
【0036】
そして、本実施形態に係る長尺フィルム10’は、図5(a)に示す如く、シート片20’の後述する貼着片部20a’が貼着される領域内(中央側の二つの襞部13’,13’間)に切り込み14’が設けられている。該切り込み14'は、長手方向の一端(先端)側に凸をなす舌片15’を形成するように形成されている。すなわち、各切り込み14’…は、長尺フィルム10’の長手方向と直交する短手方向に略真っ直ぐに延びる第一切り込み部14a’と、該第一切り込み部14a’の両端から長尺フィルム10’の他端に向けて延びる第二切り込み部14b’,14b’とで構成されており、該第一切り込み部14a’及び第二切り込み部14b’,14b’によって舌片15’が形成されている。なお、本実施形態において、第二切り込み部14b’,14b’は、第一切り込み部14a’に繋がる始点から円弧状に延びるように形成され、終点側が長尺フィルム10’の長手方向の他端側に向くように形成されている。
【0037】
そして、複数の切り込み14’は、中央側にある二つの襞部13’,13’近傍にまで延びるように形成されており、本体10の縦方向(柱部13…の延びる方向)の長さに対応する間隔で形成されている。
【0038】
各シート片20’は、矩形状に形成されており、両側縁を長尺フィルム10’の短手方向の両端と略平行になるように配設されている。すなわち、各シート片20’は、長尺フィルム10’の長手方向に位置する両端が、前記襞部13’…の延びる方向と直交又は略直交方向に延びるように配置されている。
【0039】
本実施形態においては、前記長尺フィルム10’に四つの襞部13’…が形成されているため、シート片20’は、長尺フィルム10’の短手方向の中央側にある二つの襞部13’,13’間に設けられている。各シート片20’は、長尺フィルム10’の長手方向の他端側にある基端側の領域(貼着片部)20a’が該長尺フィルム10’に貼着される一方、該長尺フィルム10’の長手方向の一端側にある先端側の領域(支持片部)20b’が長尺フィルム10’に対して非貼着状態で設けられている。各シート片20’は、少なくとも舌片15’の周囲に対して剥離可能に設けられている。
【0040】
本実施形態に係るシート片20’は、前記貼着片部20a’全体が長尺フィルム10’に対して剥離可能な接着強度で接着されているが、上述の如く、切り込み14’が舌片15を形成した態様で設けられているため、長尺フィルム10’に対して非貼着状態にあるシート片20’の支持片部20b’を引っ張ることで、貼着片部20aが舌片15の周辺から剥離する一方で、舌片15が貼着片部20a’に付いて捲り上がり、切り込み14’の両端が起点になって長尺フィルム10’が長手方向の切り裂けるようになっている。
【0041】
本実施形態に係るピロー包装用原反1’は、以上の構成からなり、通常、ロール状に巻かれる。本実施形態に係るピロー包装用原反1’は、長手方向に襞部13’…が延び、さらに、長手方向に間隔をあけて襞部13’…と同等の厚み(長尺フィルム10’の二倍の厚み)のシート片20’が複数配設されるため、上述の如く、安定してロール状に巻くことができる。
【0042】
そして、一般的なピロー包装機を用いてピロー包装用原反1’から上記構成のピロー包装体1が連続的に作製される。図示しないが、ピロー包装機としては、包装対象物Pをピロー包装用原反1’上に供給する供給手段、ピロー包装用原反1’を長手方向に供給しつつ短手方向に曲げて筒状にするフォーマ、筒状にされたピロー包装用原反1’の短手方向の両端部を長手方向にシールする(背張りを行う)縦シーラ、包装対象物Pの両側で筒状にあれたピロー包装用原反1’を溶断シールする横シーラ等を備えた一般的なものが採用される。
【0043】
そして、ピロー包装機により、前記ピロー包装用原反1’は、長手方向に供給されつつ、その他方の面(長尺フィルム10’の他方の面)上に包装対象物Pが供給される。そして、長尺フィルム10’が短手方向に曲げられつつ該短手方向の両端部がシールされて筒状になることで前記包装対象物Pが包囲された状態となる。
【0044】
そして、本実施形態においては、長尺フィルム10’に襞部13’…が設けられているため、上述の如く筒状にされるに際し、各襞部13’…の付け根で長尺フィルム10’が略直角に曲がって角筒状になる。特に、本実施形態においては、厚手のシート片20’が短手方向の中央側にある二つの襞部13’,13’間に配設されているため、中央側にある二つの襞部13’,13’の両側の部位がスムーズに起き上がって円滑に角筒状となる。
【0045】
そして、ピロー包装用原反1’の供給方向における少なくとも包装対象物Pの両側において、中央側にある襞部13’と外側にある襞部13’との間が内側に向けて二つ折りにされた上で、当該部分が溶断シールされる。これにより、ピロー包装用原反1’の切り込み14’、シート片60’がピロー包装体1の切り込み14,シート片20になり、各襞部13’…がピロー包装体1の柱部13になる。そして、このような工程が連続的に繰り返されることで、上記構成のピロー包装体1が順々に作製される。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るピロー包装体1は、本体10を起立状態で陳列するに際し、底になった本体10の下端側と、シート片20’の先端側(支持片部)20bが間隔をあけて陳列面(設置面)上に載る結果、シート片20’が本体10を支持した状態になる。これにより、陳列時の転倒が防止され、安定した状態で陳列することができるという優れた効果を奏し得る。
【0047】
また、前記本体10は、シート片20が貼着される領域内に本体10の一端側に凸をなす舌片15を形成するように切り込み14が設けられ、シート片20は、少なくとも舌片15の周囲に対して剥離可能に設けられているので、シート片20が本体10の転倒を防止するのに加えて開封用のシールとしても機能し、該包袋体1を容易に開封できるものにすることができる。
【0048】
そして、前記本体10は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部13…が形成されており、前記柱部13…は、前記フィルムFを部分的に二重にして形成されているので、本体10の座屈強度を高めることができ自立性を更に高めることができる。
【0049】
さらに言えば、本実施形態に係るピロー包装体1の本体10は、前記柱部13…が周方向に間隔をあけて四つ形成され、前記シート片20が二つの柱部13…間に設けられているので、各柱部13…が角に位置して本体10が角筒状になり、シート片20による支持との相乗効果によって陳列時の安定性をより高いものにすることができる。
【0050】
また、本実施形態において、ピロー包装用原反1’は、長尺フィルム10’に襞部13’…が長手方向と直交する短手方向に間隔をあけて四つ形成され、前記シート片20’が二つの襞部13’,13’間に設けられるので、中央側にある二つの襞部13’,13’間の強度が高まっているため、ピロー包装機で筒状にする際に、中央側の二つの襞部13’,13’の両側がスムーズに起き上がり、円滑に角筒状にすることができる。
【0051】
次に、本発明の第二実施形態に係るサイドガセット付き包装袋について説明する。
【0052】
本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋は、図6(a)〜図6(c)に示す如く、前後で対向する一対の壁部51,51と、該一対の壁部51,51の側端同士を接続する一対の側壁部52,52とで筒状に形成された本体50と、前記本体50の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように、少なくとも何れか一方の壁部51の外面上に配設されたシート片60とを備えている。
【0053】
該サイドガセット付き包装袋5は、本体50の一端部が所定幅のシールによって閉塞されており、他端部から包装対象物Pを収容できるようになっている。そして、該サイドガセット付き包装袋5は、一対の側壁部52,52が壁部51,51間で二つ折りにされてガセットを構成している。なお、本実施形態においても、各図のドットの付した領域がシールされた領域又は貼着された領域を示している。
【0054】
本実施形態に係る本体50は、平面視矩形状をなす一枚のフィルムFの適宜折曲加工した上で両側端部同士が接合(シール)されて形成されている。すなわち、前記一対の壁部51,51及び一対の側壁部52,52を形成するように、フィルムFを折り曲げ加工した上で両側端部をシールすることによって前記本体50が形成されている。本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋5は、フィルムFの側端部同士を接合した部分が、一方の壁部51上に位置するように形成されている。すなわち、本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋5は、一方の壁部51において背張りされている。そして、本実施形態に係る本体50は、上述の如く、一端部がシールによって閉塞されているため、一対の側壁部52,52は、一端部において二つ折りにされて一対の壁部51,51に挟み込まれた状態になっている。
【0055】
本実施形態に係る本体50は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部53…が形成されており、本実施形態においては、該柱部53…が周方向に間隔をあけて四つ形成されている。各柱部53…は、フィルムFを二重以上に重ね合わせて形成されるもので、本実施形態においては、本体50を形成するフィルムFを部分的に二重に(山折りに)して貼り合わせる(シールする)ことで形成されている。そして、本実施形態に係る本体50は、上述の如く、一対の壁部51,51及び一対の側壁部52,52を備えて筒状に形成されているため、四つの柱部53…は、壁部51,51と側壁部52,52との境界から外側に延出するように設けられている。
【0056】
前記本体50(一方の壁部51)は、シート片60が配設される領域のうち、該シート片60の後述する貼着領域60aが貼着される領域内に、該本体50の一端側に凸をなす舌片55を形成するように切り込み54が設けられている。すなわち、切り込み54は、壁部51の幅方向に略真っ直ぐに延びる第一切り込み部54aと、該第一切り込み部54aの両端から本体50の他端に向けて延びる一対の第二切り込み部54b,54bとで構成されており、該第一切り込み部54a及び第二切り込み部54b,54bによって舌片55が形成されている。なお、本実施形態において、第二切り込み部54b,54bは、第一切り込み部54aに繋がる始点から円弧状に延びるように形成され、終点側が本体50の他端側に向くように形成されている。本実施形態に係る切り込み54は、壁部51の略全幅に亘って形成され、本体50の中央よりも一端側に設けられている。
【0057】
前記シート片60は、本体50の中央側にある基端側の領域(以下、貼着片部という)60aが本体50に貼着される一方、本体50の一端側にある先端側の領域(以下、支持片部という)60bが本体50に対して非貼着状態で設けられている。本実施形態に係るシート片60の貼着片部60aは、少なくとも舌片55の周囲に対して剥離可能に貼着されている。本実施形態に係るシート片60は、貼着片部60a全体が該本体50に対して剥離可能な接着強度で接着されているが、上述の如く、切り込み54が舌片55を形成した態様で形成されているため、本体50に対して非貼着状態にある支持片部60b(シート片60の先端側)を引っ張ることで、貼着片部60aは舌片55以外の部分が本体50の外面から剥離する一方で、舌片55が該シート片60(貼着片部60a)に付いて捲り上がり、切り込み54の両端が起点になって本体50(壁部51,51)が柱部53…の延びる方向に切り裂けるようになっている。
【0058】
そして、本実施形態において、一方の壁部51において背張りされているため、シート片60は、他方の壁部51に設けられている。本実施形態に係るシート片60は、矩形状に形成されており、本体50の一端側にある先端が前記柱部53…の延びる方向と直交する方向に延びるように設けられている。すなわち、シート片60は、先端が本体50の一端部を閉塞する帯状のシールラインと平行又は略平行になるように設けられている。また、該シート片60は、先端が本体50における陳列時の底となる位置に対応するように配置されている。すなわち、シート片60の先端の位置は、底になるときの本体50の一端側の変形(位置や形状)を考慮して陳列時に該シート片60の先端側(先端)が設置面に接するように設定される。
【0059】
該シート片60は、コシのある樹脂シートが採用されており、本体50の変形に追従しにくいようになっている。そして、該シート片60は、本体50を構成するフィルムFの厚みの二倍以上の厚みのシートが採用され、本実施形態においては本体50を構成するフィルムFの二倍の厚みのシート(例えば、本体50を構成するフィルムFが30μmである場合には60μmの樹脂シート)が採用されている。
【0060】
本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋5は、以上の構成からなり、図7(a)に示す如く、開放した他端部から包装対象物Pを収容した上で該他端部を閉塞される。本実施形態においては、上述の如く、一対の側壁部52,52がサイドガセットを構成しているので、一対の壁部51,51の間隔を拡げることができ、包装対象物Pに厚みがあっても該包装対象物Pを収容できる。そして、一対の側壁部52,52全体が二つ折りにされてガセットを構成するため、本体50の他端部においても、二つ折りにした側壁部52,52を一対の壁部51,51で挟み込んだ状態にして所定幅でシールすることによって閉塞される。これにより、第一実施形態で説明したピロー包装体1と同様の態様となる。
【0061】
そして、包装対象物Pを包装したガセット付き包装袋5は、図7(b)に示す如く、本体50の閉塞された一端部側を下にして店舗内に陳列される。その際、該本体50の下端(一端)側が内部に収容された包装対象物Pに対応するように内側に曲げられて底にされ、本体50のシールされた一端部が底に沿うように折り曲げられる。
【0062】
そうすると、前記シート片60は、前記支持片部60bが本体50に対して非貼着状態で設けられているため、本体50の下端側の変形に追従することなく本体50に貼着された貼着片部60aと連続した姿勢で維持することになる。すなわち、本体50の下端側が包装対象物Pに対応して内側に変形するのに伴い、該本体50の下端側とシート片60の支持片部60bが離間した状態となる。そして、本体50を起立状態で陳列する際、底になった本体50の一端側と、シート片60の支持片部60bとの間隔があいた状態で、底とシート片60の先端(支持片部60bの先端)が陳列面(設置面)上に載ることになる。これにより、シート片60(支持片部60b)が本体50の転倒モーメントに対抗する結果、当該サイドガセット付き包装袋5は、転倒が防止されて安定した状態で陳列されることになる。
【0063】
そして、サイドガセット付き包装袋5を開封するには、本体50に対して非貼着状態にある支持片部60b(シート片60の先端側)を把持して貼着片部60a側(シート片60の基端側)に引っ張ると、貼着片部60aが舌片55周辺から剥離する一方で、舌片55が該貼着片部60aに付いて捲り上がる。そして、シート片60を引き続き引っ張ると、切り込み54の両端が起点になって本体50(壁部51,51)が柱部53…の延びる方向に切り裂け、一方の壁部51に大きな開口が形成されることになる。これにより、該大きな開口から包装対象物Pを取り出すことができる。
【0064】
以上のように、本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋5は、包装対象物Pを収容して本体50を起立状態で陳列するに際し、底になった本体50の一方の端部側と、シート片60の先端側(支持片部)20bが間隔をあけて陳列面(設置面)上に載る結果、シート片60が本体50を支持した状態になる。これにより、陳列時の転倒が防止され、安定した状態で陳列することができるという優れた効果を奏し得る。
【0065】
また、前記本体50は、シート片60が貼着される領域内に本体50の一端側に凸をなす舌片55を形成するように切り込み54が設けられ、シート片60は、少なくとも舌片55の周囲に対して剥離可能に設けられているので、シート片60が本体50の転倒を防止するのに加えて開封用のシールとしても機能し容易に開封できるものにすることができる。
【0066】
そして、前記本体50は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部53…が形成されており、前記柱部53…は、前記フィルムFを部分的に二重にして形成されているので、本体50の縦方向の剛性を高めることができ自立性を更に高めることができる。
【0067】
さらに言えば、本実施形態に係るサイドガセット付き包装袋5の本体50は、前記柱部53…が周方向に間隔をあけて四つ形成され、前記シート片60が二つの柱部53…間(他方の壁部53)に設けられているので、各柱部53…が角に位置して本体50が角筒状になり、シート片60による支持との相乗効果によって陳列時の安定性をより高いものにすることができる。
【0068】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0069】
上記各実施形態において、包装対象物Pとして三角おにぎりを一例にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、パン、お菓子等の食品や、食品以外のものであっても勿論よい。
【0070】
上記各実施形態において、本体10,50の一方の壁部11,51に切り込み14,54を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、本体10,50の一方の側端部又は端部に開封用の切欠きを設け、該切欠きを起点に本体10,50を切断して開封できるようにしても勿論よい。この場合、シート片20,60を剥離させる必要がないため、本体10,50に対してシート片20,60を強固に貼着してもよい。従って、ピロー包装体1を作製するためのピロー包装用原反1’には、切り込み14’を設ける必要がなく、包装時に長尺フィルム10’をシールした部位に切欠きを設ければよい。
【0071】
上記各実施形態において、本体10,50に柱部13,53を設けたが、柱部13,53は、必要に応じて設ければよい。但し、本体10,50の縦方向の剛性を高めるには、柱部13,53を設けることが好ましいことは言うまでもない。
【0072】
上記各実施形態において、本体10,50を形成するフィルムFを部分的に山折り(二重)にして所定幅で貼り合わせることで柱部13,53を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8(a)に示す如く、本体10,50を構成するフィルムFに帯状のフィルムF1を貼り合わせて、フィルムF,F1を二重以上(図においては二重)にして、その帯状の領域の厚みを厚くして柱部13,53とするようにしてもよい。また、図8(b)に示す如く、本体10,50を形成するフィルムFを部分的に断面Z状(蛇腹状)になるように折り返し、フィルムFが三重以上(図においては、三重)になった部分を貼り合わせて帯状の柱部13,53としてもよい。このようにしても、柱部13,53は、本体10,50に沿った態様、すなわち、上述のように帯状のフィルムFを貼り合わせて柱部13,53としたのと同様の態様で形成することができる。このように何れも本体10,50の一端から他端にまで厚みの厚くなった帯状の柱部13,53が形成されるので、本体10,50の縦方向の剛性を高めることができる。
【0073】
上記各実施形態において、シート片20,60を一つ設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、シート片20,60を二つ以上設けるようにしてもよい。この場合、本体10,50の中心周りで等間隔(等角度)で配置することが好ましい。但し、本体10,50が二つ折りにされた側壁部12,52を備えたり、壁部11において背張りされたりする場合には、これらを躱すようにシート片20,60を配設することは言うまでもない。
【0074】
上記各実施形態において、樹脂フィルムからなるシート片20,60を本体10,50上に配設したが、例えば、シート片20,60に商品に関する情報を印刷してラベルとしての機能を持たせてもよい。また、シート片20,60は、樹脂シートに限定されるものではなく、紙シートであっても勿論よい。
【0075】
上記第一実施形態において、一対の壁部11,11及び一対の側壁部12,12で本体10を角筒状に形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、本体10は、図9(a)及び図9(b)に示す如く、包装対象物Pの周囲にフィルムFを巻き、該フィルムFの両側端部同士をシールするようにしてもよい。すなわち、ピロー包装体1は、本体10が一対の壁部11,11や一対の側壁部12,12等に区画されないようにフィルムFで筒状に形成されたものであってもよい。この場合においても、本体10の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように本体10の外面上に配設されたシート片20を備え、該シート片20は、本体10の中央側にある基端側20aが該本体10に貼着される一方、本体の一端側にある先端側20bが該本体10に対して非貼着状態で設けられ、本体10の一方の端部側を下側にして設置した状態でシート片20が設置面に接するように構成されることで、本体10を起立状態にして陳列してもシート片20によって転倒が防止される。
【0076】
そして、このように包装対象物Pの周囲にフィルムFを巻き、該フィルムFの両側端部同士をシールして筒状の本体10を形成する場合であっても、図9(b)に示す如く、帯状に延びる柱部13を設ければ本体10の剛性を高めることができる。すなわち、包装対象物Pの周囲に巻かれるフィルムFの一部を山折りにして(二重にして)所定幅でシールすることで、本体10の縦方向に延びる柱部13を形成することができ、本体10の縦方向の剛性を高めることができる。
【0077】
また、上記第一実施形態において、一方の壁部11において背張りするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、本体10は、図10(a)に示す如く、フィルムFの両側端部同士をシールした部位が本体10の周方向に間隔をあけて設けられる複数の柱部13…の一つになるようにフィルムFを曲げ加工して形成されたものであってもよい。すなわち、本体10は、上記実施形態と同様に壁部11と側壁部12との境界に本体10を構成するフィルムFを部分的に二重にして接合した柱部13を形成するに当り、その一つがフィルムFの両側端部同士を接合した部位になるようにフィルムFを曲げ加工して形成されたものであってもよい。このようにすれば、壁部11上に背張り部が位置しないため、シート片20を何れか一方の壁部11又は両方の壁部11,11の外面上に配設することができる。また、一方の壁部11にシート片20を設ける場合には、他方の壁部11の略全面に商品表示等の印刷をしたりシールを貼り付けたりすることができる。
【0078】
上記第一実施形態において、本体10に壁部11と側壁部12との境界に柱部13…を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図10(b)に示す如く、壁部11と側壁部11との境界に折曲稜線が形成されるようにフィルムFで筒状の本体10を形成してもよい。なお、図10(a)及び図10(b)において、側壁部12全体を二つ折りにしてサイドガセットの如く構成しているが、ピロー包装体1においては、必ずしも側壁部12全体を二つ折りにする必要はない。すなわち、本体10が壁部11,11及び側壁部12,12を備えたピロー包装体1とする場合、包装対象物Pの両側において、側壁部12,12における溶断シールされる部位のみを内側に折り込んだ状態にしてもよい。
【0079】
上記第一実施形態において、本体10の両端部を所定幅のシールで閉塞するようにしたが、例えば、本体10の両端部は、線状のシールで閉塞するようにしてもよい。また、第二実施形態においては、予め閉塞される本体50の一端部を所定幅のシールで閉塞したが、これもまた線状のシールで閉塞してもよい。さらに、第二実施形態において、包装対象物Pを収容した後に本体50の他端部を所定幅のシールで閉塞するようにしたが、線状のシールで閉塞してもよいし、粘着テープ等で開口を閉じるようにしてもよい。
【0080】
上記第二実施形態において、一枚のフィルムFで本体50を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図11に示す如く、本体50は、一対の壁部51,51を構成する一対の壁部用フィルムF1,F2と、一対の側壁部52,52を構成する一対の側壁用フィルムF3,F4とを接続して形成してもよい。この場合、壁部フィルムF1,F2の側端部と側壁用フィルムF3,F4の側端部とを所定幅でシールすることで柱部53を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第一実施形態に係るピロー包装体の説明図であって、(a)は、正面図を示し、(b)は、側面図を示し、(c)は、(a)のI−I断面図を示す。
【図2】第一実施形態に係るピロー包装体を陳列した状態の全体斜視図を示す。
【図3】第一実施形態に係るピロー包装体の説明図であって、(a)は、陳列した状態の正面図を示し、(b)は、陳列した状態の側面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るピロー包装体を開封する際の斜視図を示す。
【図5】第一実施形態に係るピロー包装体を作製するためのピロー包装用原反の説明図であって、(a)は、ロール状にしたピロー包装用原反から先端側を引き出した状態の斜視図を示し、(b)は、(a)のII−II断面の略図を示す。
【図6】本発明の第二実施形態に係るサイドガセット付き包装袋の説明図であって、(a)は、包装対象物を包装する前の正面図を示し、(b)は、包装対象物を包装する前の背面図を示し、(c)は、包装対象物を包装する前の平面図を示す。
【図7】第二実施形態に係るサイドガセット付き包装袋の説明図であって、(a)は、包装対象物を収容する状態の斜視図を示し、(b)は、包装対象物を包装して陳列された状態の斜視図を示す。
【図8】本体に形成される柱部の他の形態の説明図であって、(a)は、柱部が帯状のフィルムを重ね合わせて形成されたものの断面の略図を示し、(b)は、柱部が本体を形成するフィルムを部分的に三重以上(三重)にして形成されたものの断面の略図を示す。
【図9】本発明の別の実施形態に係るピロー包装体の断面の略図であって、(a)は、包装対象物の周囲で一枚のフィルムを丸めて形成された本体を備える包装体の断面の略図を示し、(b)は、包装対象物の周囲で一枚のフィルムを丸めて筒状にされるとともに、該フィルムを部分的に貼り合わせて柱部が形成された本体を備える包装体の断面の略図を示す。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係るピロー包装体の説明図であって、(a)は、一枚のフィルムから一対の壁部、一対の側壁部、及び一対の柱部が形成された本体を備える包装体の断面の略図を示し、(b)は、一枚のフィルムから一対の壁部及び一対の側壁部が形成された本体を備える包装体の断面の略図を示す。
【図11】本発明の他実施形態に係るサイドガセット付き包装袋の説明図であって、四枚のフィルムから一対の壁部、一対の側壁部、及び一対の柱部が形成された本体を備える包装体の断面の略図を示す。
【符号の説明】
【0082】
1…ピロー包装体、1’…ピロー包装用原反、10…本体、10’…長尺フィルム、11…壁部、12…側壁部、13…柱部、13’…襞部、14…切り込み、14a…第一切り込み部、14b…第二切り込み部、14’…切り込み、14a’…第一切り込み部、14b’…第二切り込み部、15…舌片、15’…舌片、20…シート片、20’…シート片、5…サイドガセット付き包装袋、50…本体、51…壁部、52…側壁部、53…柱部、54…切り込み、54a…第一切り込み部、54b…第二切り込み部、55…舌片、P…包装対象物、F…フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムで筒状に形成された本体内に包装対象物が収容され、該本体の両端部が閉塞されたピロー包装体において、前記本体の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように本体の外面上に配設されたシート片を備え、該シート片は、本体の中央側にある基端側が該本体に貼着される一方、本体の一方の端部側にある先端側が該本体に対して非貼着状態で設けられ、本体の一方の端部を下側にして設置した状態でシート片の先端側が設置面に接するように構成されていることを特徴とするピロー包装体。
【請求項2】
前記本体は、シート片が貼着される領域内に、前記一方の端部側に凸をなす舌片を形成するように切り込みが設けられ、前記シート片は、少なくとも舌片の周囲に対して剥離可能に設けられている請求項1に記載のピロー包装体。
【請求項3】
前記本体は、一端から他端にまで延びる帯状の柱部が周方向に間隔をあけて二つ以上形成され、前記シート片は、隣り合う二つの柱部間に設けられ、前記柱部は、フィルムが二重以上に重ね合わされて形成されている請求項1又は2に記載のピロー包装体。
【請求項4】
前記本体は、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の側端同士を接続する一対の側壁部とを備え、前記シート片は、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のピロー包装体。
【請求項5】
前記本体は、前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の側端同士を接続する一対の側壁部と、一端から他端にまで延び、壁部と側壁部との境界から外側に延出するようにフィルムを二重にして形成された帯状の柱部とを備え、前記シート片は、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されている請求項1又は2に記載のピロー包装体。
【請求項6】
前後で対向する一対の壁部と、該一対の壁部の両側端同士を接続する一対の側壁部とで筒状に形成された本体を備え、一対の側壁部が壁部間で二つ折りにされるとともに、本体の一方の端部が閉塞されたサイドガセット付き包装袋において、前記本体の中央側から何れか一方の端部に向けて延びるように、少なくとも何れか一方の壁部の外面上に配設されたシート片を備え、該シート片は、本体の中央側にある基端側が該本体に貼着される一方、本体の一方の端部側にある先端側が該本体に対して非貼着状態で設けられ、本体内に包装対象物を収容し、該本体の一方の端部側を下側にして設置した状態でシート片が設置面に接するように構成されていることを特徴とするサイドガセット付き包装袋。
【請求項7】
前記本体は、シート片が貼着される領域内に、前記一方の端部側に凸をなす舌片を形成するように切り込みが設けられ、前記シート片は、少なくとも舌片の周囲に対して剥離可能に設けられている請求項6に記載のサイドガセット付き包装袋。
【請求項8】
前記本体は、一端から他端にまで延び、壁部と側壁部との境界から外側に延出するように形成された帯状の柱部を備えている請求項6又は7に記載のサイドガセット付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−107680(P2009−107680A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282785(P2007−282785)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】