説明

ピンポイント検索地図文書入出力装置

【課題】指定の目標位置を中心に地図を作成し、付加情報を配置し識別性を向上する。
【解決手段】指定住所等の目標物の情報を入力(S21)。地図検索エンジンで住所末尾の位置情報を検索(S22)。該当住所が存在すれば、地図上の位置情報を得る(S22のYes)。位置情報および予め設定の範囲に基づく新たな住所用ファイルを作成(S24)、住所用ファイルで地図ベクタ情報から地図を作成(S25)。位置情報を中心に地図を画像化し、この住所用ファイルは一時的に保存される。処理S22で該当住所が存在しせず位置情報が得られないとき(S22のNo)、目標物の住所情報に応じ、住所用ファイルのデータベースから住所用ファイルを検索(S23)。目標物の候補として、該当する住所用ファイルを抽出する。得られた住所用ファイルで地図を作成する(S25)。情報付加として、作成地図上に目標物の情報を示す、吹き出し、マーカー等を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索地図文書入出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能な文書入出力装置を備えたネットワーク通信システムが構築されている。
【0003】
このようなネットワーク通信システムにおいては、文書入出力装置を核とした種々のアプリケーションサービスが提供される。例えば、読み取った原稿画像や情報機器で作成されたデータを指定されたメールアドレスへ電子メールを用いて送信する処理、受信した電子メールの本文情報や、添付ファイルの画像などを記録出力する処理、さらには、受信した電子メールの本文情報や、添付ファイルの画像などを、指定されたファクシミリ装置へ送信する処理、あるいは外部ファクシミリ装置から受信したデータの蓄積、印刷出力等の管理などがある。
【0004】
さらには、地図情報を搭載して行政区分等の決められた単位で出力するようにした地図を印刷出力することも行われている。
【特許文献1】特開2004−356822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのような出力では、目的の住所が明確に決まっている場合にも出力した地図から目的地を探す必要があり、不便であった。また、特定用途向けの機器であるために文書入出力装置においては、表示された地図上から目的の場所を検索し、指定する位置とする処理は、パーソナルコンピュータに比べて大きな画面とマウス等の柔軟な入出力手段を備えていないことから、目的の地図を出力するための拡大,縮小,スクロール等の操作性がよくないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題を解決することに指向するものであり、指定された目標位置を中心として地図を作成出力し、この地図上にマーカー,吹き出し等の付加情報を配置して目標位置の識別性を向上するとともに、作成した地図を外部機器へ出力することができるピンポイント検索地図文書入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索地図文書入出力装置において、入力手段からの住所情報から地図上の位置情報を求める位置取得手段と、住所情報に基づく住所用ファイルをデータベースから抽出する抽出手段と、位置取得手段からの位置情報と設定情報に基づき住所用ファイルを作成する作成手段と、住所用ファイルから地図を画像化する描画手段とを備え、位置取得手段において住所末尾までを含む住所情報から位置情報を得たとき、作成手段で作成の住所用ファイルにより地図を画像化して、位置情報が得られないとき、抽出手段の抽出した住所用ファイルにより地図を画像化することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索地図文書入出力装置において、入力手段からの住所情報から地図上の位置情報を求める位置取得手段と、住所情報に基づく住所用ファイルをデータベースから抽出する抽出手段と、位置取得手段からの位置情報と設定情報に基づき住所用ファイルを作成する作成手段と、住所用ファイルから地図を画像化する描画手段と、住所情報の示す目標物の情報を付加する情報付加手段とを備え、位置取得手段において住所末尾までを含む住所情報から位置情報を得たとき、作成手段で作成の住所用ファイルにより地図を画像化し、かつ目標物の情報を付加して、位置情報が得られないとき、抽出手段の抽出した住所用ファイルにより地図を画像化することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、請求項1,2のピンポイント検索地図文書入出力装置において、設定情報が、地図を画像化する範囲を指定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4,5に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、請求項2のピンポイント検索地図文書入出力装置において、情報付加手段が、住所情報の目標物上にマーカーを付加すること、さらに、情報付加手段が、アイコン,記号,旗などの表示する種類と色を指定した設定情報に基づいたマーカーを付加することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6〜12に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、請求項2のピンポイント検索地図文書入出力装置において、情報付加手段が、住所情報の目標物と引出線により結んだ吹き出しを付加し、吹き出しに住所情報を表示すること、さらに、任意の文字列を表示した吹き出しを付加すること、さらに、文字サイズを指定した設定情報に基づき文字を表示した吹き出しを付加すること、さらに、吹き出しと引出線の太さを指定した設定情報に基づいた吹き出しを付加すること、さらに、吹き出しの中と線と色を指定した設定情報に基づいた吹き出しを付加すること、さらに、吹き出しの中の透過率を指定した設定情報に基づいた吹き出しを付加すること、さらに、吹き出しと目標物を結ぶ引出線の方向と長さを指定した設定情報に基づいた吹き出しを付加することを特徴とする。
【0012】
また、請求項13〜15に記載したピンポイント検索地図文書入出力装置は、請求項1,2のピンポイント検索地図文書入出力装置であって、描画手段が画像化した地図を、印刷または送信または蓄積すること、また、描画手段が地図を画像化する住所用ファイルを、ネットワークを介して同機能を有するピンポイント検索地図文書入出力装置に送信し、印刷または送信または蓄積すること、また、住所用ファイルを、HTTPのGETにより取得するURLとして登録し、情報機器からネットワークを介して、住所用ファイルを描画手段で画像化した地図を直接ダウンロードすることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、作成した住所用ファイルから指定された目標物を中心に地図を画像化して出力でき、さらに、地図上にマーカー,吹き出し等の付加情報を配置して目標物の識別性を向上するとともに、作成した地図を外部機器へ出力して利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、住所用ファイルから指定された目標位置を中心として地図を作成して出力でき、地図上にマーカー,吹き出し等の付加情報を配置し目標位置の識別性を向上するとともに、作成した地図を外部機器へ出力して利用することが容易にできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の一形態について説明する。
【0016】
本実施の形態は、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿画像やプリント機能あるいはファクシミリ機能により入力された画像)を配信する機能等を複合したいわゆるデジタルカラー複合機に本発明を適用した例を示す。
【0017】
図1は本実施の形態におけるデジタルカラー複合機を含むシステム構成図である。図1に示すように、本実施の形態においては、情報処理システムとなるデジタルカラー複合機1に通信ネットワークであるLAN(ローカルエリアネットワーク)2を介し、各種の情報処理を実行するサーバコンピュータ3や複数台のクライアントコンピュータ4が接続されたシステムを想定する。サーバコンピュータ3は、例えばFTP,HTTPプロトコルをサポートしたり、WebサーバやDNS(Domain Name Service)サーバの機能を実現したりするものである。すなわち、このシステムにおいては、デジタルカラー複合機1が備えている画像入力機能(スキャナ機能)、画像出力機能(プリント機能)および画像蓄積機能等の画像処理機能を、LAN2上で共有し得る環境が構築されているものである。
【0018】
このようなシステムは、通信制御ユニット5を介してインターネット網6に接続され、インターネット網6を介して外部環境とデータ通信可能に構築されている。また、インターネット網6には、デジタルカラー複合機1と同一機能を備えたデジタルカラー複合機100が設けられている。
【0019】
通信制御ユニット5としては、ルータ,交換機,モデム,DSLモデム等が一般的であるが、最低限TCP/IP通信が可能であればよい。また、LAN2は有線通信に限るものではなく、無線通信(赤外線や電波等)であってもよい。あるいは、光ファイバーを用いたものであってもよい。
【0020】
次に、デジタルカラー複合機1について説明する。なお、デジタルカラー複合機1について説明している記載は、当然のことながら、デジタルカラー複合機100にも適用されるものである。ここで、図2はデジタルカラー複合機1を概略的に示す外観斜視図、図3はデジタルカラー複合機1の各部の電気的接続を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、デジタルカラー複合機1は、転写紙などの媒体に画像を形成する印刷装置7の上部に、原稿から画像を読み取る画像読取装置8を配設した構成とされている。また、画像読取装置8の装置外面には、オペレータに対する表示とオペレータからの機能設定等の各種の入力を許容する操作パネルPが設けられている。さらに、操作パネルPの下部には、光ディスク,フレキシブルディスクなどの記憶媒体M(図3参照)に記憶されているプログラムコードや画像データ等を読み取る、または、記憶媒体Mに対してプログラムコードや画像データ等を書き込む装置である外部メディア入出力装置9が、記憶媒体Mの挿入を許容する挿入口を外部に露出させて設けられている。
【0022】
このようなデジタルカラー複合機1の基本構成としては、図3に示すように、画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部Bとに大別されており、印刷装置7および画像読取装置8は画像処理ユニット部Aに属し、操作パネルPおよび外部メディア入出力装置9は、各種情報処理を行う情報処理ユニット部Bに属している。
【0023】
まず、画像処理ユニット部Aについて説明する。図3に示す、印刷装置7および画像読取装置8を備える画像処理ユニット部Aは、画像処理ユニット部Aにおける画像処理全般の制御を行う画像処理制御ユニット10を備えており、この画像処理制御ユニット10には、印刷装置7を制御する印刷制御ユニット11と、画像読取装置8を制御する画像読取制御ユニット12とが接続されている。
【0024】
印刷制御ユニット11は、画像処理制御ユニット10の制御に従って印刷装置7に対して画像データを含む印刷指示を出力し、印刷装置7に転写紙などの媒体に画像を形成して出力させる。印刷装置7はフルカラー印刷可能とされており、その印刷方式は、電子写真方式のほか、インクジェット方式,昇華型熱転写方式,銀塩写真方式,直接感熱記録方式,溶融型熱転写方式など、様々な方式を用いることができる。
【0025】
画像読取制御ユニット12は、画像処理制御ユニット10の制御により画像読取装置8を駆動し、原稿の表面に対するランプ照射の反射光をミラーおよびレンズにより受光素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device))に集光して読み取り、A/D変換してRGB各8ビットのデジタル画像データを生成する。
【0026】
このような画像処理制御ユニット10は、メインプロセッサであるCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)13と、画像読取装置8から読み込んだ画像データを印刷装置7による作像に供すべく一旦格納しておくSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)14と、制御プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)15と、システムログ,システム設定,ログ情報等を記録しておく電源オフ時にもデータの保持が可能なNVRAM(Non Volatile RAM)16と、をバス接続したマイクロコンピュータ構成とされている。
【0027】
また、画像処理制御ユニット10には、多量の画像データの蓄積やジョブ履歴等の記憶装置となるHDD(磁気ディスク装置)17、装置内部に設けられた内部LANの集線装置であるHUB19を介して画像処理ユニット部AをLAN2に接続するためのLAN制御部18、ファクシミリ制御を行うFAX制御ユニット20が接続されている。このFAX制御ユニット20は、公衆電話網21に通じる構内交換器(PBX)22に接続されており、デジタルカラー複合機1は、公衆電話網21を介して、遠隔のファクシミリ装置と交信することができる。
【0028】
加えて、画像処理制御ユニット10には、表示制御ユニット23および操作入力制御ユニット24が接続されている。表示制御ユニット23は、画像処理制御ユニット10のコントロールによって制御パネルI/F(インターフェース)25に接続された通信ケーブル26を介して情報処理ユニット部Bに対して画像表示制御信号を出力し、情報処理ユニット部Bの操作パネルPに対して画像表示の制御を行う。
【0029】
また、操作入力制御ユニット24は、情報処理ユニット部Bの操作パネルPからのオペレータによる機能設定や入力操作に応じた入力制御信号を、画像処理制御ユニット10のコントロールによって制御パネルI/F25に接続された通信ケーブル26を介して入力する。すなわち、画像処理ユニット部Aは、情報処理ユニット部Bの操作パネルPを、通信ケーブル26を介して直接モニタすることができる構成になっている。
【0030】
したがって、画像処理ユニット部Aは、従来の画像処理装置が備える画像処理ユニットに対して通信ケーブル26を接続し、情報処理ユニット部Bの操作パネルPを利用するようにしたものである。すなわち、画像処理ユニット部Aの表示制御ユニット23および操作入力制御ユニット24は、操作パネルPに接続されているものとして動作している。
【0031】
このような構成により、画像処理ユニット部Aは、外部(図1に示すサーバコンピュータ3、クライアントコンピュータ4、ファクシミリ装置等)からの画像情報である印刷データおよびプリント指示するコマンドを解析し、印刷データを出力画像データとして印刷できる状態にビットマップ展開し、印刷モードをコマンドから解析し動作を決定している。その印刷データおよびコマンドをLAN制御部18あるいはFAX制御ユニット20を通じて受信し動作する。
【0032】
また、画像処理ユニット部Aは、SDRAM14やHDD17に記憶されている印刷データ、原稿読み取りデータ、これらを出力用に処理した出力画像データ、および、それらを圧縮した圧縮データを外部装置(サーバコンピュータ3、クライアントコンピュータ4、ファクシミリ装置等)に転送することができる。
【0033】
さらに、画像処理ユニット部Aは、画像読取装置8の読み取り画像データを画像処理制御ユニット10に転送し、光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化を補正し、この画像データをSDRAM14に書き込む。このようにしてSDRAM14に格納された画像データは、印刷制御ユニット11で出力画像データに変換されて、印刷装置7に出力される。
【0034】
次に、操作パネルPを備える情報処理ユニット部Bについて説明する。図3に示すように、情報処理ユニット部Bは、一般にパーソナルコンピュータといわれるような情報処理装置に用いられる汎用のOS(Operating System)によって制御されるマイクロコンピュータ構成とされている。情報処理ユニット部Bは、メインプロセッサであるCPU31を有しており、このCPU31には、CPU31の作業用領域となるRAMや起動プログラムなどを記憶した読出し専用メモリであるROMで構成されるメモリユニット32と、OSやプログラムを記憶するHDD等の記憶装置34に対するデータの入出力を制御する記憶装置制御ユニット35とが、バス接続されている。
【0035】
また、CPU31には、情報処理ユニット部Bを、HUB19を介してLAN2に接続するための通信インターフェースであるLAN制御部33が接続されている。このLAN制御部33に割り当てられるネットワークアドレスであるIPアドレスは、前述した画像処理ユニット部AのLAN制御部18に割り当てられるIPアドレスとは異なるものである。すなわち、本実施の形態のデジタルカラー複合機1には、2つのIPアドレスが割り当てられていることになる。つまり、画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部BとはそれぞれLAN2に接続されていることになり、画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部Bとの間においてはデータ交換が可能な構成になっている。
【0036】
なお、デジタルカラー複合機1はHUB19を介してLAN2に接続されていることから、見かけ上は、1つのIPアドレスのみが割り当てられているように見える。したがって、美観を損ねることはなく、結線等の取り扱いを容易にすることが可能になっている。
【0037】
さらに、CPU31には、操作パネルPを制御する表示制御ユニット36および操作入力制御ユニット37が接続されている。ここで、図4は操作パネルPの構成を示す平面図である。図4に示すように、操作パネルPは、例えばLCD(液晶表示装置)である表示装置40と、操作入力装置41とで構成されている。操作入力装置41は、表示装置40の表面に積層された超音波弾性波方式等のタッチパネル41aと、複数のキーを有するキーボード41bとで構成されている。
【0038】
キーボード41bには、画像読み取りなどの処理の開始を宣言するためのスタートキー、数値入力を行うためのテンキー、読み取った画像データの送信先を設定する読み取り条件設定キー、クリアキー等が設けられている。すなわち、表示制御ユニット36は、画像表示制御信号を制御パネルI/F38を介して表示装置40に出力し、画像表示制御信号に応じた所定事項を表示装置40に表示させる。一方、操作入力制御ユニット37は、操作入力装置41におけるオペレータによる機能設定や入力操作に応じた入力制御信号を、制御パネルI/F38を介して受信する。
【0039】
加えて、CPU31には、画像処理ユニット部Aの制御パネルI/F25と通信ケーブル26を介して接続されている制御パネル通信ユニット39が接続されている。制御パネル通信ユニット39は、画像処理ユニット部Aから出力された画像表示制御信号を受信し、また、操作パネルPからのオペレータによる機能設定や入力操作に応じた入力制御信号を画像処理ユニット部Aに転送する。なお、詳細は後述するが、制御パネル通信ユニット39で受信した画像処理ユニット部Aからの画像表示制御信号は操作パネルPの表示装置40用にデータ変換処理されてから表示制御ユニット36に出力され、また、操作パネルPからのオペレータによる機能設定や入力操作に応じた入力制御信号は画像処理ユニット部Aでの仕様に応じた形式にデータ変換処理されてから制御パネル通信ユニット39に入力される。
【0040】
前述したように記憶装置34には、CPU31が実行するOSやプログラムが格納されている。この意味で、記憶装置34は、プログラムを記憶する記憶媒体として機能する。このデジタルカラー複合機1では、ユーザーが電源を投入するとCPU31がメモリユニット32内の起動プログラムを起動させ、記憶装置34よりOSをメモリユニット32内のRAMに読み込み、このOSを起動させる。このようなOSは、ユーザーの操作に応じてプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。OSのうち代表的なものとしては、Windows(登録商標)系等が知られている。また、これらのOS上で走る動作プログラムは、アプリケーションプログラムと呼ばれる。情報処理ユニット部BのOSは、情報処理装置(サーバコンピュータ3やクライアントコンピュータ4等)と同種のOS、すなわち汎用のOS(例えば、Windows(登録商標)等)とされている。
【0041】
なお、前述したように、本実施の形態のデジタルカラー複合機1には、OS、デバイスドライバや各種アプリケーションプログラム等の各種のプログラムコード(制御プログラム)や画像データ等を記憶した記憶媒体M、すなわち、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVDRAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RWなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メディア(SDメモリカード(登録商標),コンパクトフラッシュ(登録商標),メモリスティック(登録商標),スマートメディア(登録商標))などの記憶媒体Mに記憶されているプログラムコードや画像データ等を読み取る、または記憶媒体Mに対してプログラムコードや画像データ等を書き込む装置であるフレキシブルディスクドライブ装置、光ディスクドライブ装置、MOドライブ装置、メディアドライブ装置等の外部メディア入出力装置9が搭載されている。このような外部メディア入出力装置9は、CPU31にバス接続されている入出力デバイス制御ユニット42により制御される。
【0042】
したがって、記憶装置34に記憶されているアプリケーションプログラムは、この記憶媒体Mに記録されたアプリケーションプログラムがインストールされたものであってもよい。このため、記憶媒体Mも、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばインターネット網6およびLAN2を介して外部から取り込まれ、記憶装置34にインストールされてもよい。
【0043】
なお、入出力デバイス制御ユニット42には、USB,IEEE1394,SCSI等の各種インターフェース43も接続されており、各種インターフェース43を介して様々な機器(デジタルカメラ等)が接続可能とされている。
【0044】
以下に、デジタルカラー複合機1において実行する特徴的な処理について説明する。デジタルカラー複合機1では、互いに異なる処理を行う複数の装置、この例では画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部Bがそれぞれ独立して処理を行えるようになっているので、画像処理ユニット部Aで画像読み取りの処理が行われているときに、情報処理ユニット部Bでは電子メールの受信などを行うといった動作が可能である。そして、このような例では、お互いの処理の結果が相互に影響しないので、画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部Bとが独立に動作していても問題はない。
【0045】
また、デジタルカラー複合機1では、これとは別に、情報処理ユニット部Bで動作するプログラムにより画像処理ユニット部Aの各機能を利用し、その結果を処理の対象とすることができる。例えば、画像処理ユニット部Aの画像読取装置8により読み取った文書イメージの画像データを所定のアプリケーションプログラムにより文字認識処理をしてテキスト文書を獲得するという処理も可能である。
【0046】
ただし、前記した処理を実現するには、常に両者が互いに独立して動作するのであれば、情報処理ユニット部Bのアプリケーションプログラムにより画像処理ユニット部Aの各機能を利用し、その結果を処理の対象とするという目的は達成できない。そこで、処理モジュールの組み合わせによるアプリケーションプログラムを動作させることで、画像処理ユニット部Aの各機能を利用できるようにしている。
【0047】
画像処理ユニット部Aにおいて、画像処理制御ユニット10で実行される制御システムのモジュールは複合機本来の機能をデジタルカラー複合機1で実行するための制御を行うアプリケーションプログラムから構成される。デジタルカラー複合機1は、情報処理ユニット部BからのみHUB19(LAN2)を介してアクセス可能なLAN制御部18にネット対応機能モジュールのインターフェースを設けている。
【0048】
ネット対応機能モジュールは、例えばスキャナ機能、ファクシミリ機能などのように通常の複合機が標準で備えている画像処理制御ユニット10で実行される機能をLAN2を介して使用可能にするものであり、画像処理ユニット部Aからも利用することはできない。
【0049】
ネット対応機能モジュールはLAN2からのアクセスを常時監視しているTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が、対応するポート番号の接続要求を検知したときに対応する機能の処理モジュールが起動するようになっている。
【0050】
例えば、ポート番号1002の接続要求があったときは、ファクシミリ受信機能のモジュールが起動する。起動されたモジュールは、接続要求元の処理要求に協働して動作し、必要な応答を返す。
【0051】
次に、情報処理ユニット部Bのアプリケーションプログラムの特徴について説明をする。例として、キーワード作成アプリケーションを説明する。
【0052】
キーワード作成アプリケーションは、読み込まれた画像データに対して文字認識処理を行い、文字認識結果からキーワードを作成するものである。情報処理ユニット部Bの全体は、OSの管理下で各アプリケーションプログラムが動作している。
【0053】
また、各アプリケーションプログラムはOSが提供する機能を利用できる。つまりアプリケーションプログラムを実行する中で、ソフトウェアの部品であるモジュールとして呼び出して必要な処理を行わせる形式で利用する。例として、TCP/IP制御モジュールなどがある。これはTCP/IPで接続されている他の情報機器などと通信を行うためにOSが標準で有している機能を実行する。
【0054】
また、他のアプリケーションプログラムに利用されるために組み込まれた独立したアプリケーションプログラムも利用可能である。例えば、OCRエンジンは、画像データから文字認識処理のみ行う。単独では動作しないで、他のアプリケーションプログラムの部品(モジュール)として利用される。
【0055】
このように、情報処理ユニット部B全体ではOSの管理下で各アプリケーションプログラムが動作することができるので、これらの機能を単独または複数個組み合わせたアプリケーションプログラムを開発することができる。
【0056】
ところが、既存の技術では画像処理ユニット部Aなどの機能をこのような手段で直接利用することはできない。
【0057】
すなわち、前述したように、デジタルカラー複合機1では、複合機本来の機能を実現するための画像処理ユニット部Aとアプリケーションプログラムを実行するための情報処理ユニット部Bを設け、デジタルカラー複合機1の内部でネットワークプロトコル(この例では、TCP/IP)によりLAN2を介して接続している。
【0058】
しかしながら、これは物理的な接続が可能になっているだけであり、したがって、画像処理ユニット部Aと情報処理ユニット部Bとの間でデータを相互に通信することはできるが、既存の技術を利用しただけでは、情報処理ユニット部Bで動作するアプリケーションプログラム内部から画像処理ユニット部Aの機能を利用可能にすることができない。
【0059】
そこで、情報処理ユニット部Bで動作するアプリケーションプログラム内部から画像処理ユニット部Aの機能を利用可能にする手段について説明する。
【0060】
例えば、キーワード作成アプリケーションにおいて、文字認識の対象となる画像データは、画像処理ユニット部Aで管理されている画像読取装置8から読み込まれた画像データである。
【0061】
ここで、画像読取装置8に対して画像読み取りの動作を指示するためには、ポート番号1001番を指定してTCP/IPコネクション要求を画像処理ユニット部Aに対して行う必要がある。また、このときに、処理の内容を示したデータもデータストリームとして同時に送る。ポート番号1001番で指定された機能は、画像読取装置8が画像読み取りを行い、その読み取った画像データに任意のファイル名を付けて情報処理ユニット部B側へ転送するというものである。このような処理の内容は予め取り決めておき、それらの機能を個別に利用するためにポート番号を割り当てておく。
【0062】
このようにしてキーワード作成アプリケーションから画像処理ユニット部Aの機能を利用することが可能になる。なお、通信プロトコルに関してはTCP/IPに限定するものではなく、他の方式であってもよい。
【0063】
また、本実施の形態のデジタルカラー複合機1は、基本的には、スキャナ機能、画像処理機能、メディアブラウザ機能、文書ブラウザ機能、ページブラウザ機能、フォーム合成機能、送信/蓄積機能、印刷機能、OCR機能、検索機能、ファクシミリ機能、メールサーバ機能、Webサーバ機能、定期実行機能、システム監視機能、セキュリティ機能、履歴/状態表示機能、個人設定機能、および管理者用設定機能等を備えており、以下に、各機能について簡単に説明する。
【0064】
まず、スキャナ機能では、紙原稿を画像ファイルの形で読み取り、電子メール,ファクシミリ,ファイル(Windows(登録商標)共有フォルダ,FTPフォルダ,Webフォルダ,外部サーバ等)として送信、または内部へ蓄積することができる。
【0065】
また、メディアブラウザ機能では、記憶媒体Mの各メディアに保存されているファイルを閲覧でき、個人設定でネットワーク上のWindows(登録商標)共有,FTP,Webフォルダなどを共有メディアとして設定することにより、記憶媒体Mと同様の操作により閲覧できる。
【0066】
また、文書ブラウザ機能では、蓄積されている、一般文書(一時蓄積を含む)、受信メール(受信メールの添付ファイル(画像等)を含む)、受信ファクシミリなどのファイルのまとまり(文書)を操作,閲覧することができる。また、文書管理の機能があり、文書名の変更、文書の削除などが行える。また、蓄積文書は、後述するOCR機能により画像内OCR文字の検索、Webからのダウンロードなども可能とする。
【0067】
また、ページブラウザ機能では、蓄積の文書内または送信,印刷のため読取,選択した画像内の確認などに存在し本体内の画像を表示することができる。ファイル送信,蓄積,印刷するための選択機能や、ファイルの各種情報の閲覧や編集なども行える。
【0068】
また、画像処理機能では、送信,蓄積,印刷前に画像操作を可能とする自動画像処理機能がある。画像の画質補正や回転,減色,切り抜き,白紙除去などを実施することを可能とする。
【0069】
また、フォーム合成機能では、テキストや画像を貼り付ける背景付き位置情報(フォーム)を選択し、送信,蓄積,印刷前に合成し新たな画像を作成することができる。
【0070】
また、送信/蓄積機能では、紙原稿(スキャナ),メディアブラウザ,文書ブラウザ(ページブラウザ)で選択された画像やファイルを、指定した相手先へメール送信,ファクシミリ送信,共有メディアや外部サーバへファイル送信することができる。また、前述したように蓄積を行うことでOCR処理した文字列検索すること、Webからダウンロードすることが可能となる。
【0071】
また、印刷機能では、メディアブラウザ,文書ブラウザ(ページブラウザ)で選択された画像やファイルを、様々なレイアウト(フォーム)を指定し印刷することができる。
【0072】
また、OCR機能では、スキャナ機能で取得した画像や受信したファクシミリ画像などを、文字認識(OCR)によりテキストを抽出すること、また、テキストを埋め込んだPDFファイル(画像PDF+OCR)を作成して送信,蓄積することにより、蓄積文書の全文検索機能、ファイル内の文字列から宛先,文書名に利用するOCR宛先,文書名機能がある。このOCR宛先は、指定領域のOCR文字列が登録宛先と一致するものを宛先とする。OCR文書名は、指定領域のOCR文字列を文書名とする。
【0073】
また、検索機能では、蓄積されている、または、共有メディア(ネットワーク)上に存在する画像やファイルを、文書名,ファイル名,蓄積日時,変更日時、OCRテキスト(画像をOCRした文字列を対象)などをキーワードとして、内容が一致したファイルを抽出して表示することができる。
【0074】
また、ファクシミリ機能では、デジタルカラー複合機が用意するファクシミリ通信ポート(例えば、G3−1,G3−2,G4−1等)から受信した受信画情報を画像ファイルにし、蓄積,振り分け転送(メール転送,ファイル転送)を行う。受信したファクシミリは初期設定により発信元、受信ポートにより宛先の振り分けができる。また、紙原稿、メディア文書、蓄積文書からの画像ファイルをファクシミリ送信することや受信した電子メールに添付されている画像を他のファクシミリ装置に転送することもできる。
【0075】
また、メールサーバ機能では、メール送信する機能、ゲストおよび各個人用のメールアドレスを内部に作成して保持(SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)設定時)し、受信した電子メールの添付画像を自動印刷,ファクシミリ転送,あるいは、送信,蓄積のワンタッチ動作をし、動作結果メールを送信者に返信する機能をもつ。
【0076】
ここで、受信メールアドレスはゲストおよび個人ごとにデフォルトでいくつかの動作組み合わせが用意されており、設定および変更は個人設定内にて行う。また、1つの外部メールサーバのメールアドレス(POP(Post Office Protocol)受信設定時)を、メールアドレス表示名で振り分けることにより、SMTP設定時と同様の動作をすることもできる。様々なメール環境に対応するために、メール送信については、SMTP認証、および、「POP befoe SMTP」モードに対応し、また、メール受信については、APOP(Authenticated Post Office Protocol)にも対応する。
【0077】
また、Webサーバ機能では、ゲストおよび個人用にそれぞれURLを用意し、内部に蓄積している画像やファイルを閲覧,検索,ダウンロード,アップロード,送信,蓄積,印刷,動作結果の参照、個人および管理者設定の設定をすることができる。また、通信中におけるセキュリティにも考慮しSSL(Secure Socket Layer)サーバ認証に対応する。
【0078】
また、定期実行機能では、保存期間を過ぎた蓄積の消去、POPメールの受信、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)更新、履歴自動印刷および消去、自動再起動を行うことができる。
【0079】
また、システム監視機能では、ディスクフル、装置内部に発生した異常やトレイ・ドアオープン情報、紙詰まりなどを検出し、メッセージを促す画面を表示する(サービスコール(SC)画面を含む)。また、ユーザーの使用を監視および制限する課金装置にも対応することができる。
【0080】
また、セキュリティ機能では、通りがかりのユーザー(ゲストユーザー)や外部ネットワークからの不正な操作からデータを保護するために、操作部のユーザーに対するセキュリティ(個人認証機能,管理者パスワード等)およびネットワークに対するセキュリティ(メール送信認証,APOP,WebのSSLサーバ認証,アクセス制限等)を行うことができる。
【0081】
また、履歴/状態表示機能では、電子メール,ファクシミリ,ファイルの送受信や印刷などの結果が正常であるか、また、実行または終了した日時の確認および、ジョブのキャンセル実行や実行時エラーの内容確認を行うことができる。
【0082】
また、個人設定機能では、個人の利用者の利用環境(電子メールなど宛先登録,画面および操作カスタマイズ,受信メールアドレス設定等)を他人に見られることなく、個人ごとの環境設定を登録することを可能とする。
【0083】
また、管理者用設定機能では、ゲストユーザーに対する種々の設定機能、各機能を動作させる上で基本となる機能(ネットワーク設定,時間設定,自動再起動時刻)や管理する機能(ユーザー管理,メール環境設定,受信ファクシミリ設定など)の設定を行うことができる。
【0084】
図5は本実施の形態における認証行為の制御を行う機能構成を示すブロック図である。なお、図5に示す各ブロック間を結ぶ矢印は代表的な信号の流れを表すものであって、各ブロックの機能を限定するものではない。また、図5において、第1外部機器51は図1に示すサーバコンピュータ3、第2外部機器52は図3に示す画像処理ユニット部A、個人メニュー機器53は図3に示す情報処理ユニット部Bに対応する場合を例として説明する。
【0085】
また、図6は個人メニュー機器と第1外部器の認証行為の動作を示すフローチャートである。図6に示す個人メニュー機器と第1外部器の認証行為について述べる。個人メニュー機器53の表示入力制御部53dは、例えば操作パネルP(図4参照)に表示されるメイン画面から、個人認証キーを押して認証情報の入力画面から入力されたユーザー(ユーザー名とパスワード,認証用IDカード等)の認証情報を受信する(S1)。
【0086】
表示入力制御部53dは、共通認証制御部53hに入力された認証情報を伝え、さらに共通認証制御部53hは、管理者用設定情報53nの設定に従って認証を実行する(S2)。処理S2において、管理者用設定情報53nの図7に示す管理設定テーブルの(1)「外部機器認証:する」設定の場合、さらに、管理設定テーブルの(2)「優先認証先設定:1番目=第1外部機器、2番目=個人メニュー機器」設定に基づき順に認証を依頼する(S3)。
【0087】
この優先認証先設定の1番目には「第1外部機器」、「第2外部機器」、「個人メニュー機器」のいずれかを設定する。また優先認証先に設定できる機器は、管理設定テーブルの(3)「第1外部機器認証:する」または管理設定テーブルの(5)「第2外部機器認証:する」に設定されている。
【0088】
ここで、前述した管理設定テーブルの(2)「優先認証先設定:1番目=第1外部機器、2番目=個人メニュー機器」設定の場合、まず、共通認証制御部53hは処理S1で入力されたユーザーの認証情報をもって、処理S3の第1外部機器認証制御部53cに第1外部機器との認証を依頼し、第1外部機器認証制御部53cは既存のプロトコルにより第1外部機器認証部51bと認証を判断する(S4)。この認証が失敗すると(S4のNo)、認証フローは失敗となり、ユーザーの認証フローは最初からやり直しとなる。また、成功すると(S4のYes)、共通認証制御部53hは個人メニュー認証部53jに個人メニューの認証を依頼する(S5)。
【0089】
この依頼された認証を、個人メニュー管理部53kにおいて個人設定情報53mを参照して該当するか否か認証を判断し(S6)、成功すれば(S6のYes)個人メニュー認証部53jは個人メニュー機能実行部53iに個人メニューを開始するよう要求する。また、失敗すると(S6のNo)、認証フローは失敗となり、ユーザーの認証フローは最初からやり直しとなる。
【0090】
個人メニュー機能実行部53iは個人メニュー管理部53k経由で個人設定情報53mの個人設定を呼び出し、その個人設定で個人メニューを開始する(S7)。このように、個人メニュー機器53への認証フローが行われる。このとき、すでに第1外部機器認証部51bの認証が成功しているので、個人メニュー機能実行部53iの個人メニューから第1外部機器機能実行部51aの機能を利用することができる。
【0091】
さらに、図9に示す個人メニュー機器と第1外部機器の認証後に第2外部機器の追加認証を行う場合を説明する。
【0092】
前述した個人メニューの開始と同時に、または第2外部機器の機能を利用するための要求に応じて、共通認証制御部53hは第2外部機器認証制御部53gに第2外部機器の認証を依頼し(S10)、第2外部機器認証制御部53gは第2外部機器認証部52fと認証を行う。このとき、共通認証制御部53hは個人メニュー管理部53k経由で個人設定情報53mの図8に示す個人設定テーブルの(6)「第2外部機器認証情報」設定を取得するための確認をする(S11)。ここで、認証情報の登録の有無、入力された認証情報か否かを確認する。
【0093】
この処理S11において、個人設定テーブルの(6)「第2外部機器認証情報」設定に認証情報が登録されていない場合には、先に第1外部機器との認証処理は終了しているため、第1外部機器で認証された認証情報を用いて、また、個人設定テーブルの(6)「第2外部機器認証情報」設定に認証情報が登録されている場合には登録の認証情報を取得し、これに基づき第2外部機器認証制御部53gは第2外部機器認証部52fとの認証を行い判断する(S12)。これが成功すると(S12のYes)、個人メニュー機能実行部53iは第2外部機器機能実行部52eの機能を利用可能となる。
【0094】
また、失敗すると(S12のNo)、共通認証制御部53hは、もう一度、認証情報の入力ダイアログを表示入力制御部53dに表示する(S13)。この表示は、個人メニュー機能実行部53iから第2外部機器機能実行部52eの機能を利用しようとする画面に表示されるもので、個人メニュー機能実行部53iや第1外部機器機能実行部51aの機能実行を妨げない。
【0095】
さらに、ユーザーがこの入力ダイアログ(処理S13の表示画面)に認証情報を入力することを待つ(S14)。入力ダイアログに正しい認証情報を入力することに応じ(S14のYes)、再び共通認証制御部53hは第2外部機器認証制御部53gに第2外部機器認証部52fとの認証を依頼する(S10)。認証情報の確認として(S11)、入力された認証情報をもって認証の判断を行い成功したら(S12のYes)、共通認証制御部53hは個人メニュー管理部53k経由で個人設定情報53mの図8に示す個人設定テーブルの(6)「第2外部機器認証情報」設定に正しい認証情報を保存しておき(S15)、次回の第2外部機器認証制御部53gが第2外部機器認証部52fと認証を行うときに使用する。
【0096】
これにより、図8の個人設定テーブルの(6)「第2外部機器認証情報」設定が登録されていない場合、初回のみ認証フローが失敗となるが、2回目以降は保存した情報を用いることができる。そして、第1外部機器を優先認証先に指定すると、認証フローは第1外部機器と個人メニュー装置だけで完結し、第2外部機器は個人メニューの中で第2外部機器機能実行部52eの機能を利用するときに認証する。これにより、第1外部機器のユーザー登録と個人メニューのユーザー登録が同じであれば、認証フローは成功し、第2外部機器はその機能を必要とするときに応じて認証する。
【0097】
以上のような認証行為によって、デジタルカラー複合機とネットワークに接続された各機器の機能が利用可能となる。
【0098】
図10は本実施の形態のデジタルカラー複合機のピンポイント検索の地図を作成する処理を示すフローチャートである。
【0099】
デジタルカラー複合機に、地図を所望するユーザーから指定された住所等の目標物の情報を入力する(S21)。入力された住所情報が住所末尾まで含むとき地図検索エンジンにより、住所末尾の位置情報を検索する(S22)。このとき、住所末尾までの該当する住所が存在すれば、入力された住所情報の東経何度,北緯何度といった地図上の位置情報を得られる(S22のYes)。ピンポイント検索として、この位置情報および予め設定された範囲に基づいた新たな住所用ファイルを作成し(S24)、この住所用ファイルにより地図ベクタ情報から検索して地図を作成する(S25)。この予め設定された領域を示す範囲は任意に設定可能であって、例えば1キロメートル四方を領域として、この位置情報の中心をA4サイズまたは他のサイズの描画する中心として地図を画像化し作成する。また、地図ベクタ情報により地図を描画するために用いた新たな住所用ファイルは、一時的にユーザーごとに作成され、個人設定に保存される。また、キャッシュデータとしても保存され次の検索に用いられるが、数日間の保存期間後に消去される。
【0100】
また、処理S22において、住所末尾までの該当する住所が存在しせずに、位置情報が得られないとき(S22のNo)、目標物の住所情報(行政区分の住所、郵便番号、目標物件など)の入力に応じ、住所用ファイルのデータベースから「住所」、「郵便番号」、「検索用目標物名」等に対応する位置情報や行政ポリゴン等の住所用ファイルを検索する(S23)。ここで、住所用ファイルのデータベースから検索する目標物の住所情報の候補として、該当する行政区分の住所用ファイルを抽出する。このとき、図11に示すように、候補となる複数の行政区分の地図をサムネイルで表示し、ユーザーによる選択が可能となっている。
【0101】
目標物の住所用ファイルが得られたとき、地図を描画するための情報が記録された地図ベクタ情報から、住所用ファイルにより、指定された行政区分に基づき地図を作成する(S25)。
【0102】
このとき、指定された行政区分の領域中心をA4サイズの中心とし、かつ指定の行政区分がA4サイズ内に収まるように作成する。なお、住所用ファイルのデータベースには、「住所」、「郵便番号」、「検索用目標物名」に対応した行政区分が、領域、その中心の位置情報、行政ポリゴン等が10万件程登録されている。
【0103】
行政区分の住所よりさらに細かく住所末尾までを指定するピンポイント検索として、指定の住所末尾が存在するか否かで、新たに住所用ファイルを作成するか、データベースに登録されている住所用ファイルの検索を行うか否かは、設定により選択可能であり、ピンポイント検索のみを行うようにしてもよい。また、ピンポイント検索を指定して、住所末尾まで入力せずに処理を行った場合には、住所用ファイルのデータベースに格納された地図と同様なものが作成されるが、画像化する範囲として予め設定された範囲に基づき作成されるため、その描画される範囲が異なる。
【0104】
また、情報付加手段として、例えば背景印刷等の文書データと背景データを重ね合わせて表示する背景データの手法のように、作成した地図上に目標物の情報を示す、吹き出し、マーカーを表示できる。この吹き出しには、検索した目標物の住所を表示し、その他にユーザーの所望する会社名称等の文字列を表示することも可能である。
【0105】
さらに、目標物の情報をより認識し易くするため、吹き出しの中の文字サイズ、文字色、また吹き出しや引出線の太さ、吹き出しの中と線の色、マーカーの形状と色等を指定することができる。また、吹き出し、マーカー等が表示されたその下にある地図の情報が認識できるように、透過率を指定することも可能である。なお、吹き出しについては、目標物から引出線によりその周辺に配置されることから、図13に示すように、中心にある目標物から8方向のいずれかの配置から選択することと、引出線の長さを設定できる。これにより、目標物を示す地図上の周辺情報として重要な目印を隠すことなく、表示することができる。図14には選択するマーカーの一例として建物を示したが、表示する種類として記号や旗等であってもよい。
【0106】
また、前述の吹き出し、マーカー等を設定した情報は地図の作成に用いた住所用ファイルに付加情報として登録され、個人設定に登録される。さらに、この付加情報は目標物を変更し住所用ファイルが変更されても最後の設定を記憶しており、次の目標物の住所用ファイルにも同じ付加情報を用いることができる。さらに、図1に示すデジタルカラー複合機1で作成した住所用ファイルを、同様の機能を有するデジタルカラー複合機100に入力しても、デジタルカラー複合機1と同様の設定条件に基づいた地図を得ることができる。
【0107】
前述の個人設定は、例えば個人メニューとして登録されたユーザーごとに図8に示した個人設定情報の最新使用状況保存領域等に保存され、再度利用が可能であるがその保存期間は約1週間で消去される。また、ゲストユーザーが地図の作成を行った場合には、住所用ファイルは地図作成後、直ちに消去される。
【0108】
また、作成した地図のファイルは、印刷出力する以外に蓄積文書として蓄積され、その他の文書ファイルと同様に、電子メール,ファクシミリにて送信することやWebサーバ機能によりダウンロードすることも可能である。さらに、前述した地図を作成する操作はデジタルカラー複合機の操作パネルPからの操作、またはWebサーバ機能によりネットワークを介して接続された外部機器からWebブラウザを用いて操作することも可能である。なお、作成した地図は64色のPNG(Portable Network Graphics)の画像フォーマットで作成し、また画像化の際に地図の権利者を特定する電子透かしを埋め込んで作成する。
【0109】
地図ベクタ情報から地図を作成するため入力する、住所用ファイルに登録された目標物の住所の情報、およびマーカー,吹き出し,吹き出しの引出線,吹き出し内の文字色および文字サイズ等の付加情報を、HTTPのGETによって取得するURLとして登録することができる。これにより、外部機器からWebブラウザによって、登録したURLを指定することで登録した住所用ファイルの指定する画像化した地図を得ることができる。例えば、外部機器に顧客情報として登録してある住所録の該当する顧客名にリンクとしてこのURLを設定しておけば、その顧客の地図を容易に得ることができる。
【0110】
以上のように、表示した地図上から目的物を探すための拡大,縮小,スクロール等を必要とせず、大きな画面とマウス等の柔軟な入出力手段を備えていないデジタルカラー複合機であっても、目標物を用紙中央に配置した地図を作成し、直ちに印刷出力する等の連携性に優れた処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明に係るピンポイント検索地図文書入出力装置は、住所用ファイルから指定された目標位置を中心として地図を作成して出力でき、地図上にマーカー,吹き出し等の付加情報を配置し目標位置の識別性を向上するとともに、作成した地図を外部機器へ出力して利用することが容易にでき、ネットワークに接続されて複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索した地図を作成し入出力する装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態のデジタルカラー複合機を含むシステム構成図
【図2】デジタルカラー複合機を概略的に示す外観斜視図
【図3】デジタルカラー複合機の各部の電気的接続を示すブロック図
【図4】操作パネルの構成を示す平面図
【図5】本実施の形態における認証行為の制御を行うための機能構成を示すブロック図
【図6】本実施の形態におけるデジタルカラー複合機における個人メニュー機器、第1外部機器の認証行為の動作を示すフローチャート
【図7】管理者用設定情報の管理設定テーブルを示す図
【図8】個人設定情報の個人設定テーブルを示す図
【図9】本実施の形態における個人メニュー機器と第1外部機器の認証後に第2外部機器の認証行為の動作を示すフローチャート
【図10】本実施の形態のデジタルカラー複合機のピンポイント検索の地図を作成する処理を示すフローチャート
【図11】表示装置に表示される複数の候補の地図を示す画面
【図12】表示装置に表示されるピンポイント検索画面
【図13】表示装置に表示される吹き出し表示位置選択画面
【図14】表示装置に表示される中心マーカー選択画面
【符号の説明】
【0113】
1,100 デジタルカラー複合機
2 LAN
7 印刷装置
8 画像読取装置
19 HUB
26 通信ケーブル
32 メモリユニット
34 記憶装置
40 表示装置
41 操作入力装置
51 第1外部機器
52 第2外部機器
53 個人メニュー機器
A 画像処理ユニット部
B 情報処理ユニット部
M 記憶媒体
P 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索地図文書入出力装置において、
入力手段からの住所情報から地図上の位置情報を求める位置取得手段と、前記住所情報に基づく住所用ファイルをデータベースから抽出する抽出手段と、前記位置取得手段からの位置情報と設定情報に基づき住所用ファイルを作成する作成手段と、前記住所用ファイルから地図を画像化する描画手段とを備え、
前記位置取得手段において住所末尾までを含む前記住所情報から位置情報を得たとき、前記作成手段で作成の住所用ファイルにより地図を画像化して、前記位置情報が得られないとき、前記抽出手段の抽出した住所用ファイルにより地図を画像化することを特徴とするピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項2】
ネットワークに接続され、複数の通信プロトコルを適用し、複数の情報機器との間で種々のデータ形態の文書を通信可能なピンポイント検索地図文書入出力装置において、
入力手段からの住所情報から地図上の位置情報を求める位置取得手段と、前記住所情報に基づく住所用ファイルをデータベースから抽出する抽出手段と、前記位置取得手段からの位置情報と設定情報に基づき住所用ファイルを作成する作成手段と、前記住所用ファイルから地図を画像化する描画手段と、前記住所情報の示す目標物の情報を付加する情報付加手段とを備え、
前記位置取得手段において住所末尾までを含む前記住所情報から位置情報を得たとき、前記作成手段で作成の住所用ファイルにより地図を画像化し、かつ前記目標物の情報を付加して、前記位置情報が得られないとき、前記抽出手段の抽出した住所用ファイルにより地図を画像化することを特徴とするピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項3】
前記設定情報が、地図を画像化する範囲を指定することを特徴とする請求項1または2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項4】
前記情報付加手段が、住所情報の目標物上にマーカーを付加することを特徴とする請求項2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項5】
前記情報付加手段が、アイコン,記号,旗などの表示する種類と色を指定した設定情報に基づいたマーカーを付加することを特徴とする請求項4記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項6】
前記情報付加手段が、住所情報の目標物と引出線により結んだ吹き出しを付加し、前記吹き出しに前記住所情報を表示することを特徴とする請求項2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項7】
前記情報付加手段が、任意の文字列を表示した吹き出しを付加することを特徴とする請求項6記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項8】
前記情報付加手段が、文字サイズを指定した設定情報に基づき文字を表示した吹き出しを付加することを特徴とする請求項6または7記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項9】
前記情報付加手段が、吹き出しと引出線の太さを指定した設定情報に基づいた前記吹き出しを付加することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項10】
前記情報付加手段が、吹き出しの中と線と色を指定した設定情報に基づいた前記吹き出しを付加することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項11】
前記情報付加手段が、吹き出しの中の透過率を指定した設定情報に基づいた前記吹き出しを付加することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項12】
前記情報付加手段が、吹き出しと目標物を結ぶ引出線の方向と長さを指定した設定情報に基づいた前記吹き出しを付加することを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項13】
前記描画手段が画像化した地図を、印刷または送信または蓄積することを特徴とする請求項1または2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項14】
前記描画手段が地図を画像化する住所用ファイルを、ネットワークを介して同機能を有するピンポイント検索地図文書入出力装置に送信し、印刷または送信または蓄積することを特徴とする請求項1または2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。
【請求項15】
前記住所用ファイルを、HTTPのGETにより取得するURLとして登録し、情報機器からネットワークを介して、前記住所用ファイルを描画手段で画像化した地図を直接ダウンロードすることを特徴とする請求項1または2記載のピンポイント検索地図文書入出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−66002(P2007−66002A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251329(P2005−251329)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】