説明

ファイバが組み込まれた針

組織が癌性であるか否かを診断するための光学分光法に基づく組織検査を可能にするファイバを備える針。これは針への光ファイバの組み込みを必要とする。問題は、ファイバが、針の中空部分がある場合にそれを塞がず、並びに外側円筒形状を超えてのびないような、針の遠位端において少なくとも1つのファイバ出口を持つ針をいかにして製造するかということである。この問題を解決するために、我々は次の4つの部分から成る針を製造することを提案する:内側円筒管、外側中空円筒管、ファイバ出口が組み込まれた針先端部分、及びホルダ部分。内側及び外側円筒の間の中空間隔はファイバの外径以上であり、内側及び外側円筒はホルダ部分の中に取り付けられ、先端部分は2つの円筒上に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してファイバが組み込まれた針に関する。特に、本発明は組織が癌性であるか否かを診断するための光学分光法に基づく組織検査用の小径針に関する。
【背景技術】
【0002】
針インターベンションは、組織が癌性か否かを検査するための組織の生検採取のために腫瘍学の分野で広く使用されている。こうしたインターベンションをより信頼できるものにするために、どのような組織が針の前にあるかというフィードバックが必要とされる。これを実現する方法は、光学分光法の利用による。これは針へのファイバの組み込みを必要とする。こうしたファイバは、針の前の組織を照射する光を供給し、組織からの反射光を回収するために使用される。
【0003】
しかしながらこれに伴う問題は、針の本来の機能を損なうことなく、従って針の外部又は内部(例えば組織標本を採取するために使用される)を変えることなく、いかにしてこうしたファイバを針に組み込むかということである。これは、ファイバが針の遠位端において異なるファイバ構成を構築することができるままでありながら、ファイバが針壁の内部に組み込まれなければならないことを意味する。これは、針の先端におけるファイバ構成が特定の光学特性の測定における感度を決定するため、特に重要である。例えばファイバ先端が傾斜しているという事実又は先端における2ファイバ間の距離は、測定信号に影響を及ぼす。
【0004】
従って、光ファイバを使用する針は針の前の組織の生理学的情報を提供するために特に適している。このようなファイバを含む針は、こうしたファイバが光学的コンソールに接続されることを必要とする。コンソールにおいて光は針の前の組織を照射するためにこうしたファイバに結合され得、一方組織から後方散乱されてファイバに戻って結合される光はコンソールにおいて検出され、さらに処理され得る。これは針がファイバによってコンソールに接続され得ることを意味する。
【0005】
この構成はいくつかの欠点を持つ。まず、コネクタファイバ部分は操作中に容易に壊れるか又は損傷する可能性がある。さらに、コネクタファイバ部分は針の殺菌をより困難にし、従って余分なコストを追加する。最後に、使用のために針を設定するときの医者による操作は、通常は長いファイバのため面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
針の遠位端において少なくとも1つのファイバ出口を持つ針を製造することが本発明の目的であり得、ファイバは針の中空部分がある場合にはそれを塞がず、並びに外側円筒形状を超えてのびない。正確に使用されることができ、容易に扱われ、及び適切に殺菌されることができる針を提供することが本発明の別の目的であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらは独立請求項の各々にかかる主題によって実現され得る。本発明のさらなる実施形態は各従属請求項に記載される。
【0008】
概して、内側円筒管、外側中空円筒管、ファイバ出口が組み込まれた針先端部分、コネクタ部分、及びホルダ部分という5個の部分から成る針を製造することが提案される。
【0009】
本発明にかかる針は、軸方向に貫通孔を有する先端部分、開口を有するホルダ部分、内管と外管を有するシャフトであって、内管及び外管の遠位端は先端部分と接続され、内管及び外管の近位端はホルダ部分と接続され、内管と外管の間に空間が形成される、シャフト、光を透過することができるファイバであって、ファイバの端面は先端部分の貫通孔の中に位置し、ファイバはシャフトの内管及び外管によって形成される空間内に位置し、ファイバはホルダ部分の開口を通る、ファイバを有する。
【0010】
内筒と外筒の間の中空間隔はファイバの外径以上であり、内筒及び外筒はホルダ部分の中に取り付けられ、先端部分は2つの円筒上に取り付けられることに留意すべきである。
【0011】
有利なことに、異なる直径を持つ2つの円筒の使用は、ファイバを針に組み込む簡単な方法を可能にする。さらに、個別先端部分の使用は、針全長に及ぶ複雑なマウントを作る必要なく、照射及び収集ファイバ端形状を組み立てる上で大きな自由を可能にする。
【0012】
ホルダ部分は、2円筒間に取り付けられる先端部分から外部へ向かってファイバをガイドするチャネルを備える。この部分は針の近位端におけるファイバの大きな曲げ角度を防ぐためにファイバ周囲に強度を与える追加機能を持つ。
【0013】
円筒及び針先端は金属で作られてもよく、金属はチタンなどMRI互換性であり得る。針先端はまたセラミック材料で作られてもよい。これは鋭利かつロバストな針先端を可能にしたまま、様々な形状に成形可能であるという利点を持つ。さらに、ホルダ部分はプラスチック射出成型によって作られてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、針の先端部分は、針の先端を形成するシャフト部分と斜面をさらに有し、ファイバは、ファイバの端面が斜面の表面と同一平面であるように貫通孔の中に位置し得る。
【0015】
2つのファイバ(両ファイバは光を透過することができる)の場合、ファイバのうち1つの端面は斜面の上端に位置し得、ファイバのうちもう1つは斜面の下端に位置し得る。
【0016】
針の斜面は一般に組織への簡単な導入を可能にするために傾斜している。従って、'斜面'とは針を組織へ導入することを可能にする幾何学的構造を意味する。通常、針のシャフトは円形断面を含む。針シャフト、特に中空針のシャフトの遠位端は楕円面が形成されるように切断され、これはシャフトの長手方向軸に対して傾斜している。さらに、シャフトの長手方向軸と傾斜面すなわち斜面との間の角度が規定される。斜面は針の最遠位端においてとがった先端を形成する。さらに、シャフトの外面と斜面の傾斜面との間の縁はとがっていてもよい。
【0017】
'斜面の上端'という表現は斜面の表面の一部である領域を示すべきであり、該領域は斜面とシャフトとの間の遠位縁の近傍に位置する。つまり、斜面の上端に位置するファイバは、斜面の楕円面の長軸において、遠位縁、すなわちとがった先端の近くに位置し得る。
【0018】
一方'斜面の下端'は斜面の表面の一部である領域を意味し、該領域は斜面の上端と正反対に位置する。つまり、斜面の下端に位置するファイバは、斜面とシャフトとの間の近位縁の近くで、斜面の楕円面の長軸上、又はその付近、又はすぐ傍にあり得る。
【0019】
しかしながら、'斜面'という表現は針の先端における類似構造も含んでよく、該構造は針の組織への導入に役立つ。例えば、斜面は凸面又は凹面であってもよく、あるいは斜面は複数の小さな表面の組み合わせであってもよく、これらの表面は段又は縁によって互いに接続される。とがっていない、すなわちシャフトの長手方向軸に対して垂直に配向した領域が残るように、シャフトの断面が斜面によって完全に切断されないこともまた可能であり得る。こうした'とがっていない'端部は丸い縁を含んでもよく、又は丸い前縁を形成してもよい。別の実施例として、針の先端を形成するために対称に又は非対称に配置される2つ以上の傾斜面によって鋭い縁が形成されてもよい。
【0020】
針がとがった先端を含むよう、斜面はシャフトと鋭角を成し得ることに留意すべきである。好適には、鋭角はおよそ20°であり得る。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、針のシャフトは外径を持ち、ファイバの端面は互いに距離を置いて配置され、端面間の距離は直径よりも大きい。好適には、ファイバ端間の距離はシャフトの直径よりも大きい。例えば、距離は直径よりも1.1倍以上大きい。特に、距離は直径よりも1.25倍以上大きい。好適には、距離は直径よりも1.5倍以上大きい。
【0022】
針の使用目的に応じて、針の外径は脳生検針の場合2.108mm、一般生検針又は神経穿刺針の場合1.27mm乃至2.108mm、細針吸引の場合0.711mm乃至2.108mm、硬膜外針の場合0.711mm乃至1.473mm、及び針電極の場合2.108mm以下であり得る。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、針は光を透過することができる第3のファイバをさらに有し、第3のファイバの端面は、斜面の下端においてファイバのうちもう1つの端面の近くに位置し得る。この場合、ファイバのうちもう1つと第3のファイバは斜面表面の長軸の傍に位置し得る。
【0024】
例えば、1.3mmの針直径では、斜面の上端にあるファイバと、斜面の下端にあるファイバのうち1つとの間の距離は2.46mmであり得、斜面の下端にある2つのファイバ間の距離は0.37mmであり得ることが可能であり得る。
【0025】
距離はファイバのうち1つの中心軸からファイバのうちもう1つの中心軸まで測定されることが留意される。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態によれば、針はコネクタ部分をさらに有し、ファイバの近位端面は、針と、光源及び光検出器を含むコンソールとの間に位置するファイバケーブルとの接続のためのコネクタ部分の中に位置する。これにより、ファイバ近位端は針上に強固に取り付けられる。言い換えれば、針のホルダ部分からのびるファイバ部分はない。
【0027】
有利なことに、針の製造、殺菌、及び操作が著しく簡略化され、個別ファイバケーブルは、この部分が再利用され得るためよりロバストに作られることができ、この個別ファイバケーブルが予め設定されることができるため、すなわち針がその無菌環境から開けられる必要がないため、装置の設定のためのワークフローが容易になる。
【0028】
本発明にかかる針を製造するために、対応する方法は概して、軸方向に少なくとも1つの貫通孔を形成するステップを含む先端部分を製造するステップ、各貫通孔の中に少なくとも1つのファイバの端面を配置及び固定するステップ、内管及び外管の間に形成される空間内に少なくとも1つのファイバが位置するよう、内管及び外管の遠位端を先端部分と接続するステップ、少なくとも1つのファイバをホルダ部分の開口に通すステップ、並びに内管及び外管の近位端をホルダ部分と接続するステップを有することが提案される。
【0029】
該方法はさらに、少なくとも1つのファイバの端面が斜面の表面と同一平面であるよう、斜面の表面及び少なくとも1つのファイバの端面を磨くステップをさらに有し得る。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、各貫通孔への少なくとも1つのファイバの固定は接着によってもたらされてもよく、先端部分及びホルダ部分の少なくとも1つと内管及び外管の接続は、溶接又は接着によってもたらされてもよい。
【0031】
本発明のさらなる実施形態によれば、該方法は、ファイバがファイバの中に強固に取り付けられるよう、ホルダ部分に位置するコネクタ部分に少なくとも1つのファイバの近位端を固定するステップをさらに有し得る。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、ファイバを持つ針は光学組織検査用のシステムにおいて使用され得、該システムは、針のファイバのうち1つと接続される光源、針のファイバのうちもう1つと接続される光検出器であって、光源から来る、及びファイバのうち1つの端面から放出される光が、ファイバのうちもう1つに入るときに光検出器によって検出されることができる、光検出器、光検出器からのデータを処理するための処理ユニット、並びに処理データの視覚化のためのモニタをさらに有する。針と光源及び/又は光検出器との間に、個別ファイバケーブルが設けられ得る。
【0033】
かかるシステムにおいて、針の傾斜斜面におけるファイバ遠位端は、上述の通り、針の外径Dよりも大きい距離Aを少なくとも1つの光源‐検出器ファイバのペアに与え、A>1.1D又はA>1.25D、好適にはA>1.5Dである。bが針斜面の先端角度である場合、次式が有効であり得る。
【数1】

【0034】
針が斜面の上端に1つのファイバを、及び斜面の下端に2つのファイバを備える場合、上端のファイバは周辺組織に光を放出する光源としてはたらき得、他の2つのファイバは反射光を収集する2つの検出器ファイバとなり得る。ファイバをそれぞれ光源と検出器に取り付けることに関して、他の組み合わせもまた可能であることに留意すべきである。
【0035】
本発明はまた、本発明にかかるシステムの処理ユニットのためのコンピュータプログラムにも関連し得る。コンピュータプログラムは好適にはデータプロセッサのワーキングメモリにロードされる。しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、こうしたネットワークからデータプロセッサのワーキングメモリにダウンロードされることができる。コンピュータプログラムは光の放出を制御し得、検出器ファイバの近位端における光検出器から来る信号を処理し得る。そしてこれらのデータはモニタにおいて視覚化され得る。
【0036】
本発明の実施形態は異なる主題に関して記載されることに留意すべきである。特に、いくつかの実施形態は方法ステップに関して記載され、一方他の実施形態は装置又はシステムに関して記載される。しかしながら、当業者は上記及び下記の記載から、他に通知されない限り、1つの種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせもまた、この出願とともに開示されると見なされると推測するだろう。
【0037】
本発明の上記態様及びさらなる態様、特徴及び利点もまた、以下に記載される実施形態の実施例から導き出されることができ、実施形態の実施例を参照して説明される。本発明は実施形態の実施例を参照して以下により詳細に記載されるが、本発明はこれらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態にかかる針の側面図と上面図を示す。
【図2】本発明の一実施形態にかかる針の先端部分の等角図を示す。
【図3】本発明の別の実施形態にかかる針を含む、本発明にかかるシステムを示す。
【図4】個別ファイバケーブルを本発明にかかる針と接続する態様を図式的概観において及び詳細図において図示する。
【図5】本発明にかかる針を製造するための方法の異なるステップを図示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面における図は概略に過ぎず縮尺通りではない。異なる図において同様の要素は同じ参照符号を与えられることが留意される。
【0040】
図1に図示される通り、本発明の一実施形態にかかる針100は、シャフト110、シャフトの先端部分における斜面120、ファイバ130、及びホルダ部分160を有する。この実施形態例によれば、シャフトは150mmの長さと1.3mmの直径を持つ。さらに、斜面は20°のシャフト軸との角度を包含する。
【0041】
この実施形態において、遠位端、すなわち斜面120の表面からシャフト110を通ってホルダ部分160へ走るファイバ130は、針から外へホルダ部分160の開口を通る。
【0042】
上述の寸法は一例であって本発明の範囲を限定する意図ではないことが留意される。前述の寸法により、光学分光法に基づく組織検査用の針のための指標及び関係を提供することが意図される。
【0043】
図2において、本発明の一実施形態にかかる針の先端部分が図示される。この先端部分は針が組み立てられる前に形成される。先端部分は適切な金属材料若しくは合金で作られてもよく、又は好適にはセラミック材料で作られてもよい。
【0044】
先端部分200は、太い部分210と細い部分212を持つシャフト部分を含む。上記シャフト部分の間に、段又は肩214が形成される。先端部分はさらに、上端222と下端224を持つ斜面220を有し、上端は先端部200のとがった先端226付近の表面領域である。シャフト部分の長手方向軸に平行に、3つの小さな貫通孔又はチャネル230,240及び250が設けられる。上記小さな貫通孔の各々は、各孔の開口が斜面表面220にあり、孔のもう1つの開口が肩214の表面の中にあるように形成され、この表面はシャフト部分の長手方向軸に実質的に垂直に配向される。孔230,240及び250は、ファイバがその孔に収まり得るような寸法であり、ファイバはさらに接着によって固定され得る。
【0045】
図2に描かれる通り、単に一例であって限定のつもりではないが、孔の間に距離が含まれ、各孔の中心から測定される。ここで、斜面220の上端222における孔230と斜面220の下端224における孔250の間の距離は2.46mmである。斜面220の下端224における2つの孔240,250の間の距離は0.37mmである。
【0046】
最後に、先端部分200はシャフト部分の中心軸に沿ってチャネル260を含む。かかるチャネル260は、例えば薬剤を送達するため、又は針が置かれる組織から物質を抽出するために役立ち得る。
【0047】
図3は本発明にかかるシステムを図示する。該システムは本発明の一実施形態にかかる針300を含む。この図において、針300は先端部分310、内管352、外管350、及びホルダ部分360の組立品である。さらに、2つのファイバ330と340が針の中に示される。
【0048】
針の重要な部分は針先端(図2参照)であり、この中に2つ又は3つの孔が製造される。各孔の中に接着によってファイバが取り付けられる。先端は内管及び外管の両方に溶接又は接着によって固定され、内管及び外管の内径及び外径は先端部分の太い及び細いシャフト部分の対応する直径に適応される。管の間の空間356が得られ、この中へ先端部分における貫通孔が開く。先端部分における孔から出て、ファイバ330,340は両管の間の中空空間356の中に位置する。
【0049】
先端、ファイバ及び両管は、一旦組み立てられると、針ホルダに固定される。ホルダの内部で内管は、例えば注射器又は他の管類が固定されることができるコネクタと接続される。このようにして、ファイバとの相互作用なく、大量の流体が内管及び先端部分のチャネル354を通して分配されることができる。針ホルダ360はまた、ファイバのための個別出口362も含む。先端、ファイバ、管及びホルダを組み立てた後、ファイバにとって適切な表面品質を得るために針の斜面320(すなわち針先端)が磨かれる。
【0050】
さらに、該システムは光源332、光検出器342、処理ユニット370、及びモニタ380を有する。処理ユニット370は、斜面320の上端におけるファイバ330の遠位端面を通して周辺組織へ光が放出されるよう、ファイバ330へ光を放出するように光源332を制御することができる。斜面の前にどのような組織があるかに応じて、放出される光は多かれ少なかれ斜面の下端の方向に反射され、もう1つのファイバ340によって受信される。ファイバ340を通って、光は光検出器342へ導かれ、該検出器は光を電気信号へ変換するように構成される。これらの電気信号は例えば電信で処理ユニットへ送信される。処理ユニットは、処理データがモニタ380上で視覚化され得るよう、電気信号に対応するデータを処理する。上記視覚化データに基づいて、組織が癌性であるか否かを診断することが可能であり得る。
【0051】
図4は針400のホルダ部分460とファイバケーブル490の接続を図示する。コンソールへの接続を作るために、個別ファイバコネクタケーブル490が使用され得るか、又はコンソールに予め接続されるファイバケーブルが使用され得る。この個別ファイバケーブルは殺菌される必要がない。これが必要とされる場合は、医療機器において既に一般に使用されている通り、プラスチック無菌スリーブがその周りに巻かれることができる。
【0052】
針400をファイバケーブル490と結合するために、針400におけるコネクタ部分470、及びファイバケーブル490における対応して形成されるコネクタ部分480が設けられる。図4に詳細な図で描かれる通り、ホルダ部分460において取り付けられるコネクタ部分470は、小さい端部472と、その前面において凹部(不図示)を含む。一方ファイバケーブル490におけるコネクタ部分480は、軸方向において中空部分482、ピン状部材484、及び前面486を含む。
【0053】
コネクタ部分470,480の接続中、ピン状部材484はコネクタ部分470の凹部の中に収容され、小さい端部472は反対のコネクタ部分480の中空部分482の中に係合する。コネクタ部分480のとがっていない前面486と同一平面に、少なくとも1つのファイバ端が置かれる。針におけるファイバの対応する端部はコネクタ部分470の凹部の端面の中に位置する。従って、2つのコネクタ部分間の、従って針のファイバとファイバケーブルとの間の、適切かつ信頼できる接続が容易に実現される。
【0054】
針上の強固なコネクタ470は、針における1つのファイバ又は複数のファイバのいずれも接続することができることが留意される。図4においては、ファイバケーブル490の端部におけるコネクタ部分480のピン状部材484の端面486において3つのファイバ端が見えている。
【0055】
本発明にかかる構成は以下の利点を持つ、すなわち針の製造、殺菌及び操作が著しく簡略化され、個別ファイバケーブルは、この部分が再利用されるためよりロバストに作られることができ、並びに、この個別ファイバケーブルが予め設定されることができるため、すなわち針がその無菌環境から開けられる必要がないため、装置の設定のためのワークフローが容易になる。
【0056】
針上に1つのコネクタしか存在しないことに加え、多数のコネクタもまた想定される。コネクタは電気信号などの他の信号への接続も提供し得る。
【0057】
図5は本発明にかかる針を製造するための方法のステップを示すフローチャートである。当然のことながら、該方法に関して記載されるステップは主要なステップであり、これらの主要なステップは複数のサブステップに分化又は分割され得る。さらに、これらの主要なステップの間にもサブステップがあってもよい。従ってサブステップは、該ステップが本発明にかかる方法の原理の理解にとって重要である場合にのみ言及される。
【0058】
本発明にかかる方法のステップS1は先端部分を製造するステップであり、この製造するステップは軸方向に少なくとも1つの貫通孔を形成するステップを含む。
【0059】
ステップS2は各貫通孔の中に少なくとも1つのファイバの端面を配置するステップであり、上記配置するステップは例えば接着によって少なくとも1つのファイバを固定するステップを含み得る。
【0060】
ステップS3は、内管と外管の間に形成される空間内に少なくとも1つのファイバが位置するよう、内管及び外管の遠位端を先端部分と接続するステップである。
【0061】
ステップS4は、内管及び外管の近位端をホルダ部分と接続するステップであり、少なくとも1つのファイバはホルダ部分の開口に通される。
【0062】
ステップS5は、ホルダ部分において取り付けられるコネクタ部分を用いて少なくとも1つのファイバの近位端を固定するステップである。
【0063】
本発明にかかる方法のステップS6は、少なくとも1つのファイバの端面が斜面の表面と同一平面になるよう、斜面の表面及び少なくとも1つのファイバの端面を磨くステップである。
【0064】
以下において、本発明にかかる例示的な針が、その外径、その挿入長、及びその好適な使用に関して記載される。
【0065】
生検針は1.27mmから2.108mmまでの外径を持ち得、その長さの100mmから150mmが組織の中に挿入され得、頸部、頭部、胸部、前立腺、及び肝臓における軟組織コア生検において使用され得る。
【0066】
軟組織の細針吸引は0.711mmから2.108mmの外径を持ち得、その長さの100mmから150mmが軟組織の中に挿入され得、軟組織の吸引のために使用され得る。
【0067】
脳生検針は2.108mmの外径を持ち得、その長さの150mmから250mmまでが組織の中に挿入され得、診断的脳生検のために使用され得る。
【0068】
神経穿刺針は1.27mmから2.108mmまでの外径を持ち得、その長さの150mmから200mmが組織の中に挿入され得、かかる針は脳の病変への非外傷性のアプローチを可能にする。
【0069】
硬膜外針は0.711mmから1.473mmの外径を持ち得、150mmまでの長さが組織の中に挿入され得、硬膜上腔へのステロイド注射など脊髄部位における治療のために使用され得る。
【0070】
最後に、針電極は2.108mm以下の外径を持ち得、その長さの250mmまでが組織の中に挿入され得、例えば腫瘍の高周波アブレーションのために使用され得る。
【0071】
本発明は図面と前述の説明に詳細に図示され記載されているが、かかる図示と記載は実例又は例示であって限定ではないと見なされるものとし、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態への他の変更は、図面、開示、及び添付の請求項の考察から、請求された発明を実践する上で当業者によって理解されもたらされることができる。請求項において、"有する"という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"a"又は"an"は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは請求項に列挙された複数の項目の機能を満たし得る。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、ハードウェアとともに又はその一部として供給される例えば光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体上に保存/配信され得るが、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線通信システムなどを介して他の形式でも配信され得る。請求項における任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0072】
100,300,400 針
110 シャフト
120,220,320 斜面
210 シャフト部分の太い部分
212 シャフト部分の細い部分
214 肩
222 斜面の上端
224 斜面の下端
130,230,240,250 ファイバ
200,310 先端部分
330,340 ファイバ
332 光源
342 光検出器
350 外管
352 内管
260,354 チャネル
356 内管と外管の間の空間
160,360,460 ホルダ部分
362 開口
370 処理ユニット
380 モニタ
470,480 コネクタ部分
472 小さい端部
482 中空部分
484 ピン状部材
486 前面
490 ファイバケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針であって、
軸方向に貫通孔を有する先端部分と、
開口を有するホルダ部分と、
内管及び外管を有するシャフトであって、前記内管及び前記外管の遠位端が前記先端部分と接続され、前記内管及び前記外管の近位端が前記ホルダ部分と接続され、前記内管及び前記外管の間に空間が形成される、シャフトと、
光を透過することができるファイバであって、前記ファイバの端面が前記先端部分の前記貫通孔の中に位置し、前記ファイバが前記シャフトの前記内管及び前記外管によって形成される前記空間内に位置し、前記ファイバが前記ホルダ部分の前記開口を通る、ファイバとを有する針。
【請求項2】
前記先端部分が、前記針の前記先端を形成するシャフト部分と斜面をさらに有する、請求項1に記載の針。
【請求項3】
前記ファイバの前記端面が前記斜面の前記表面と同一平面になるよう、前記ファイバが前記貫通孔の中に位置する、請求項1に記載の針。
【請求項4】
前記ファイバの前記端面が前記斜面の上端に位置する、請求項2に記載の針。
【請求項5】
2つのファイバであって、両ファイバは光を透過することができ、前記ファイバのうち1つの端面が前記斜面の上端に位置し、前記ファイバのうちもう1つが前記斜面の下端に位置する、請求項1に記載の針。
【請求項6】
前記針の前記シャフトが外径を持ち、前記ファイバの前記端面が互いに距離を置いて配置され、前記端面間の距離が前記シャフトの前記外径よりも大きい、請求項5に記載の針。
【請求項7】
第3のファイバをさらに有し、前記第3のファイバは光を透過することができ、前記第3のファイバの端面が、前記斜面の下端において前記2つのファイバのうちもう1つの端面の近くに位置する、請求項5に記載の針。
【請求項8】
前記ファイバの近位端面が、前記針と、光源及び光検出器を含むコンソールとの間に位置するファイバケーブルとの接続のためのコネクタ部分の中に位置する、請求項1に記載の針。
【請求項9】
光学組織検査のためのシステムであって、
請求項1に記載の針と、
前記針の前記ファイバのうち1つと接続される光源と、
前記針の前記ファイバのうちもう1つと接続される光検出器であって、前記光源から来る、及び前記ファイバのうち1つの端面から放出される光が、前記ファイバのうちもう1つに入るときに前記光検出器によって検出されることができる、光検出器と、
前記光検出器からのデータを処理するための処理ユニットと、
前記処理データの視覚化のためのモニタとを有するシステム。
【請求項10】
前記針のファイバの近位端を前記光源又は前記光検出器と結合するファイバケーブルをさらに有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の針を製造するための方法であって、
軸方向に少なくとも1つの貫通孔を形成するステップを含む、前記先端部分を製造するステップと、
各貫通孔の中に少なくとも1つのファイバの端面を配置及び固定するステップと、
前記内管及び前記外管の間に形成される空間内に前記少なくとも1つのファイバが位置するよう、前記内管及び前記外管の遠位端を前記先端部分と接続するステップと、
前記少なくとも1つのファイバを前記ホルダ部分の開口に通すステップと、
前記内管及び前記外管の近位端を前記ホルダ部分と接続するステップとを有する、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのファイバの端面が前記斜面の表面と同一平面になるよう、前記斜面の表面及び前記少なくとも1つのファイバの端面を磨くステップをさらに有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記各貫通孔の中に前記少なくとも1つのファイバを固定するステップが接着によってもたらされる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記内管及び前記外管を前記先端部分及び前記ホルダ部分の少なくとも1つと接続するステップが溶接又は接着によってもたらされる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのファイバの近位端を、前記ホルダ部分に位置するコネクタ部分の中に固定するステップをさらに有する、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509159(P2012−509159A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543844(P2011−543844)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052539
【国際公開番号】WO2010/058302
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】