説明

ファクシミリ装置、ファクシミリ通信システム及びファクシミリ通信プログラム

【課題】 所定の帯域未満の着呼側帯域を使用して通信するとき所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信するファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】 着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別手段353と、前記着呼側帯域と予め設定された所定の帯域とを比較する帯域比較手段306と、前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算手段307と、前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定手段308と、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、前記所定の料金に収まるよう送信する画像データを加工して送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるときは、前記画像データを加工することなく送信する通信手段301とを有する、IPネットワークに接続されたファクシミリ装置101を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置、ファクシミリ通信システム及びファクシミリ通信プログラムに関する。特に、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、所定の帯域未満の着呼側帯域を使用して通信するとき、許容料金に収まるよう画像データを加工して送信するファクシミリ装置、ファクシミリ通信システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代IPネットワーク通信網であるNGN(Next Generation Network)が実用化されている。また、NGNに接続可能な、IPプロトコルを使用してファクシミリ通信を行うことができるIP−FAXが普及している。
【0003】
NGNにおいては、使用する帯域ごとに、通信に使用した時間に応じて課金される。NGNを使用してファクシミリ通信を行う場合、既存のPSTN(Public Switched Telephone Networks、公衆交換電話網)を用いて通信を行うG3−FAXに代表されるアナログFAXと比較して、広帯域で安価な通信が可能である。したがって、IP−FAXは、より高い画質の原稿を画像データとして送信するよう構成される。
【0004】
しかしながら、大容量の画像データを送信するよう構成されたIP−FAXが、既存の電話回線に接続されるアナログFAXに対し通信を行うと、着呼側の通信帯域に合わせて通信を行う結果、通信費用が高くついてしまう問題があった。
【0005】
特許文献1には、着呼側でより高速なデータ送信が使用できないとき、より低速なデータ送信を使用する端末が開示されている。
【0006】
特許文献2には、IPネットワークを介してコンテンツデータを送信できない場合には、T.38伝送方式を使用し、T.38伝送方式も使用できない場合には、みなし音声伝送方式で接続して通信を行う情報処理装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、送信する画像データサイズに言及しておらず、したがって通信方式の切り替えによって通信費用が高くなる問題への対応については開示していない。
【0008】
特許文献2は、特許文献1と同様、通信方式の切り替えによって通信費用が高くなる問題への対応について開示していない。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、所定の帯域未満の着呼側帯域を使用して通信するとき所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信するファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかるファクシミリ装置は、通信に使用する通信帯域と前記通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、使用する帯域を選択できるファクシミリ装置であって、着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別手段と、前記着呼側帯域と、予め設定された所定の帯域とを比較する帯域比較手段と、前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算手段と、前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定手段と、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、前記所定の料金に収まるよう送信する画像データを加工して送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるときは、前記画像データを加工することなく送信する通信手段と、を有する。
【0011】
また、本発明にかかるファクシミリ通信システムは、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに、発呼側ファクシミリ装置と着呼側ファクシミリ装置が接続されるファクシミリ通信システムであって、発呼側ファクシミリ装置は、着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別手段と、前記発呼側ファクシミリ装置は、前記着呼側帯域と前記発呼側ファクシミリ装置の所定の帯域とを比較する帯域比較手段と、前記発呼側ファクシミリ装置は、前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算手段と、前記発呼側ファクシミリ装置は、前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定手段と、前記発呼側ファクシミリ装置は、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、前記許容料金に収まるよう送信する画像データを加工して前記着呼側ファクシミリ装置に送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるときは、前記画像データを加工することなく前記着呼側ファクシミリ装置に送信する通信手段と、を有する。
【0012】
また、本発明にかかるファクシミリ通信プログラムは、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、使用する帯域を選択できるファクシミリ装置に搭載されるファクシミリ通信プログラムであって、コンピュータに、着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別機能と、前記着呼側帯域と、当該ファクシミリ装置の所定の帯域とを比較する帯域比較機能と、前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算機能と、前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定機能と、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないとき、前記許容料金に収まるよう送信する画像データを加工して送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるとき、前記画像データをそのまま送信する通信機能とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、所定の帯域未満の着呼側帯域を使用して通信するとき所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信するファクシミリ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態におけるファクシミリ通信システムの概略を表す。
【図2】本発明の一実施形態におけるファクシミリ装置のハードウェア構成図を表す。
【図3】本発明の一実施形態におけるファクシミリ装置の機能図を表す。
【図4】本発明の実施形態に係るファクシミリ装置の接続例を表す。
【図5】本発明の第1の実施形態における第1の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図6】本発明の第1の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における第2の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図8】本発明の第2の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態における第3の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図10】本発明の第3の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における第4の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図12】本発明の第4の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施形態における第5の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図14】本発明の第5の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図15】本発明の第1の実施形態における第6の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図16】本発明の第6の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図17】本発明の第1の実施形態における第7の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【図18】本発明の第7の実施例におけるファクシミリ装置の通信フローを示すフローチャートである。
【図19】本発明の第2の実施形態における第1の実施例のファクシミリ装置の通信内容を表した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(NGNネットワークの説明、課金システムの説明、IP−FAX、G3−FAXの接続の例)
図1は、ネットワークに接続された複数のファクシミリ装置からなるファクシミリ通信システム1を表している。
【0017】
ファクシミリ通信システム1は、NGN及び既存のPSTNを含むネットワーク120に接続される、ファクシミリ装置101ないし103および111ないし113を有する。
【0018】
NGNはIPネットワークであり、PSTNと比べて広帯域な通信を行うことができる。NGNにおいてファクシミリ通信を行うときは、通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金される。一方、PSTNにおいてファクシミリ通信を行うときは、通信時間に応じて課金される。
【0019】
ファクシミリ装置101ないし103および111ないし113には、NGNを介してネットワークに接続されるIP−FAXのほか、PSTNを介してネットワーク120に接続されるアナログFAXが含まれる。ネットワーク120を通じてIP−FAX同士が通信するとき、通信に使用する通信帯域がネゴシエーションによって決定される。一方、IP−FAXとアナログFAXが通信するとき、IP−FAXがIPによって通信できないことを検出し、アナログ通信方式に切り替えて通信する。
【0020】
広帯域通信が可能であることを前提とするIP−FAXは、一般に、読み取った原稿データを高品質な画像データとして保存する。そのため、着呼側の使用可能な通信帯域が想定より狭いとき、容量の大きい画像データを送信するために時間を要した結果、通信コストが高くなる場合がある。
【0021】
本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101は、ファクシミリ通信システム1において、使用可能な帯域の異なるファクシミリ装置にファクシミリ原稿に係るデータを送信するとき、通信料金が所定の料金を超えないよう通信を行うことができる。
【0022】
(ファクシミリ装置の物理的構成の説明)
図2は、本発明の一実施形態におけるファクシミリ装置101のハードウェア構成を表す。
【0023】
本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101は、他のファクシミリ装置と情報を通信する通信部201、ファクシミリ原稿等を記憶する記憶部202、ファクシミリ原稿を出力する出力部203、各部の処理を制御する制御部204、ファクシミリ原稿を読み取る読取部206、ユーザからの指示を受け付ける入力部207、ファクシミリ装置101の情報を表示する表示部208、各部を接続するバス209を有し、他のファクシミリ装置にデータを送信するとき、通信料金が所定の料金を超えないよう通信を行う。
【0024】
通信部201は、他のファクシミリ装置との通信を行う。通信される情報には、ファクシミリ原稿に係る画像データを表す情報のほか、互いのファクシミリ装置の使用可能な帯域の情報を含む、通信を開始するためのネゴシエーションに関する情報が含まれる。
【0025】
記憶部202は、ファクシミリ装置101が使用する情報を記憶する。記憶される情報には、読取部206によって読み取られたファクシミリ原稿に係る画像データ、着呼側ファクシミリ装置の電話番号のリスト、ファクシミリ装置101が希望する通信帯域、ファクシミリ通信において許容される料金を含む。記憶部202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drives)、フラッシュメモリ等により構成され得る。
【0026】
出力部203は、ファクシミリ装置101が受信したファクシミリ原稿を、普通紙又は感熱紙などの媒体に画像として形成して出力する。出力部203は、プリンタ等により構成され得る。
【0027】
制御部204は、ファクシミリ装置101内における処理の制御を行う。処理の制御には、ファクシミリ原稿の読み取り、通信の開始、使用する通信帯域及び通信方式の判定及び切り替え、通信料金の計算、通信の切断が含まれる。また、使用可能な通信帯域が所定の帯域未満であり、かつ、通信料金が所定の料金の範囲内でないとき、送信する画像データの加工、ポーリング送信及びサーバへのアップロードをするよう制御する。これらの処理の詳細は後述する。通信料金制御部204は、CPU等により構成され得る。
【0028】
読取部206は、ファクシミリ原稿を読み取る。読み取られた原稿は、画像データとして記憶部202に記憶され、通信部201によって他のファクシミリ装置へと送信される。読取部206は、スキャナにより構成され得る。
【0029】
入力部207は、ファクシミリ装置101の処理内容に関するユーザからの入力を受け付ける。ユーザからの入力には、宛先の選択、通信の開始、通信の切断、希望する通信帯域、許容される料金が含まれる。入力された指示内容に係る情報は、記憶部202に記憶される。入力部207は、ボタン、タッチパネルディスプレイ、キーボード等により構成され得る。
【0030】
表示部208は、ファクシミリ装置101の情報を画面上に表示する。表示部209は、液晶ディスプレイ等により構成され得る。
【0031】
バス209は、ファクシミリ装置101内の各部におけるデータを送受信するための経路である。
【0032】
以上の構成により、所定の帯域未満の帯域を使用して通信するとき、通信料金が所定の料金を超えないよう通信を行うことができる。
【0033】
(ファクシミリ装置の機能的構成の説明)
図3は、本発明の一実施形態におけるファクシミリ装置101の機能図を表す。
【0034】
ファクシミリ装置101は、通信手段301、入力手段302、制御手段303、出力手段304、記憶手段305、帯域比較手段306、料金判定手段307、料金計算手段308、ユーザ問合せ手段309、画像加工手段310及び表示手段311を有し、着呼側ファクシミリ装置の通信帯域が所定の帯域未満であるとき、その通信料金を計算し、通信料金が所定の料金を超えるとき、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。または、画像データを加工して送信する代わりに、ポーリング受信又は図示しない外部サーバ131へのアップロードを行う。
【0035】
通信手段301は、通信方式識別手段351、通信方式切替手段352、通信帯域判別手段353、通信帯域選択手段354、通信切断手段355、ポーリング手段356及びアップロード手段357を有し、着呼側ファクシミリ装置又は外部サーバ131との通信を行う。
【0036】
通信方式識別手段351は、着呼側ファクシミリ装置が通信に使用する通信方式を識別する。前記通信方式は、ファクシミリのデータ送信に先立って行われるネゴシエーションによって識別することができる。IP−FAXであるファクシミリ装置101は、SIP(Session Initiation Protocol)により、ネットワーク121内のSIPプロキシサーバを介して、接続要求を示すInviteメッセージを送信する。ここで、着呼側がアナログ方式のファクシミリ装置であって、IP−FAXからの発呼に対して対応できない場合、ネットワーク120から状態コード488(Not Acceptable Here)を含むメッセージが返送される。このようにして、着呼側ファクシミリ装置がアナログ方式にのみ対応している場合を識別することができる。
【0037】
通信方式切替手段352は、通信方式識別手段351によって識別された着呼側ファクシミリ装置の通信方式に応じて、通信方式を切り替える。本実施形態においては、着呼側ファクシミリ装置がアナログ方式であるとき、通信方式をアナログ方式に切り替える。
【0038】
通信帯域判別手段353は、通信方式切替手段352によって選択された通信方式において、着呼側ファクシミリ装置が通信に使用できる帯域を判別する。着呼側ファクシミリ装置がIP−FAXであるとき、SIPにおけるInviteメッセージに対する応答メッセージ(状態コード200(OK))に含まれる、着呼側の使用可能な帯域を取得することにより、通信に使用できる帯域を判別することができる。NGNにおいては、例えば、64kbps、512kbps、1Mbpsの通信帯域が使用できる。一方、着呼側ファクシミリ装置がアナログFAXであるとき、接続要求に対して返信されるDIS(Digital Identification Signal)に含まれる情報に基づいて、通信帯域を判別することができる。
【0039】
通信帯域選択手段354は、通信帯域判別手段353によって判別された、着呼側ファクシミリ装置との通信に使用可能な帯域の中から、通信に使用する帯域を選択する。一般的な例では、最も広い帯域を選択する。
【0040】
通信切断手段355は、所定の条件のもと、ユーザからの通信切断の指示を受け、通信を切断する。SIPにおいては、切断要求を送信し、切断許可を受け取った時点で通信を終了する。アナログ方式においては、切断信号を送信する。詳細については後述する。
【0041】
ポーリング手段356は、所定の条件のもと、読み取られたファクシミリ原稿に係る画像データを、着呼側ファクシミリ装置にポーリング受信させる。この時、ポーリング受信に必要な情報は、通常のファクシミリ通信としての画像データとして送信することができるほか、例えばIP−FAXでは、SIPによるメッセージに含めることができる。一方、アナログFAXでは、送信パラメータを通知する信号であるDCS(Digital Command Signal)に付随するNSF(Non Standard Facilities)に含めることができる。処理の詳細については後述する。
【0042】
アップロード手段357は、所定の条件のもと、読み取られたファクシミリ原稿に係る画像データを、外部サーバ131にアップロードし、そのデータへのアクセス情報を着呼側ファクシミリ装置に通知する。通知方法については、ポーリング手段に必要な情報と同様の方法によって行うことができる。処理の詳細については後述する。
【0043】
入力手段302は、希望する通信帯域、許容される料金を含むユーザからの入力を受け付ける。これらの情報は、制御手段303によって制御され、記憶手段305に記憶される。また、所定の条件のもと、ユーザからの通信切断の指示を受け付ける。詳細については後述する。
【0044】
制御手段303は、各手段の処理を制御し、入力手段302によって入力されたデータを記憶する記憶手段305の情報に基づいて、着呼側ファクシミリ装置101の処理を制御する。
【0045】
出力手段304は、通信手段301を通じて着呼側から受信したファクシミリ原稿に係る画像を出力する。
【0046】
記憶手段305は、ファクシミリ原稿に係る画像データ、入力手段302によって入力された希望する通信帯域、許容される料金に係る情報のほか、着呼側ファクシミリ装置の宛先リストを含む情報を記憶する。
【0047】
帯域比較手段306は、通信帯域選択手段354によって選択された通信帯域と、記憶手段305に記憶された希望する通信帯域とを、比較する。その結果、希望する通信帯域によって通信できるとき、通常の手順に従いファクシミリ通信を行う。希望する通信帯域によって通信できないとき、後述の料金計算手段307によって、通信料金の計算が行われる。
【0048】
料金計算手段307は、着呼側ファクシミリ装置との通信に使用される帯域を使用して、ファクシミリ原稿に係る画像データを送信したときに課金される通信料金を計算する。なお、NGNにおいては、帯域ごとに単位時間当たりの通信料金が設定されている。
【0049】
料金判定手段308は、料金計算手段307によって計算された通信料金が、記憶手段305に記憶された許容される料金の範囲内であるどうかを判定する。その結果、通信料金が許容範囲内であるとき、記憶手段305に記憶されたファクシミリ原稿に係る画像データは、加工されることなく着呼側ファクシミリ装置へ送信される。通信料金が許容範囲内でないとき、画像加工手段311によって画像データが加工されて送信される。また、画像データが加工されて送信される代わりに、ポーリング手段356によって送信される。さらに、画像データが加工されて送信される代わりに、アップロード手段357によって送信される。これらの詳細については後述する。
【0050】
ユーザ問合せ手段309は、帯域比較手段306によって希望する通信帯域によって通信できないことが判明したとき、ユーザに通信を継続するかどうか問い合わせるため、表示手段311上にダイアログを表示させる。入力手段302により、ユーザから通信を継続しない指示がなされたとき、通信切断手段355によって通信は切断される。
【0051】
画像加工手段310は、料金判定手段308によって通信料金が許容範囲内でないとき、許容範囲に収まるよう、データ容量を削減するために画像データを加工する。許容範囲に収まるデータ容量は、予めユーザによって入力された許容される料金と、通信を行う帯域とから求めることができる。画像データを加工のための具体的な方法は、画像の大きさを変更する、色数を減らす、圧縮率を上げる方法を含む、一般的な方法を用いることができる。
【0052】
表示手段311は、ユーザ問合せ手段309によるユーザの問合せに係るダイアログを表示する。
【0053】
以上の構成により、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101は、着呼側ファクシミリの通信方式を判別して通信方式を切り替え、使用可能な通信帯域を識別して選択し、通信料金が所定の料金を超えないよう画像データを加工して送信することができる。また、画像データを加工して送信する代わりに、着呼側ファクシミリ装置にポーリング受信させることができる。さらに、画像データを加工して送信する代わりに、外部サーバ131経由で着呼側ファクシミリ装置に画像データを送信することができる。
【0054】
(ファクシミリ装置の接続の例の説明)
図4は、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置の接続例を表す。本発明のいくつかの実施形態は、着呼側ファクシミリ装置がIP−FAXである場合と、アナログFAXである場合とを含む。
【0055】
図4(A)は、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101と、IP−FAXである着呼側ファクシミリ装置111が、ネットワーク120を通して通信を行う。この実施形態において、二つのファクシミリ装置はSIPを用いて互いに通信を行うことができるため、通信方式をアナログ方式へと切り替える必要はない。一方、通信に使用する通信帯域はネゴシエーションによって決定されるため、場合によってはファクシミリ装置101が希望する通信帯域で通信できないことがある。そのような場合に、ファクシミリ装置101は、通信料金が所定の料金を超えないよう画像データを加工して送信する。
【0056】
図4(B)は、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101と、アナログFAXである着呼側ファクシミリ装置112が、ネットワーク120を通して通信を行う。この実施形態において、ファクシミリ装置101は、アナログ方式へと通信方式を切り替える必要がある。次に、着呼側ファクシミリ装置112とのネゴシエーションにより通信帯域を決定する。そして、ファクシミリ装置101は、通信料金が所定の料金を超えないよう画像データを加工して送信する。
【0057】
以下に、図5ないし図18を用いて、図4(A)に示される第一の実施形態における7つの実施例と、図4(B)に示される第二の実施形態における実施例について説明する。
【0058】
(第1の実施形態の第1の実施例の説明)
図4(A)に示される、着呼側がIP−FAXである場合の本発明の第1の実施形態の7つの実施例について、図5ないし図18を用いて説明する。
【0059】
図5は、本発明の第1の実施形態における第1の実施例の通信フローの概略を表す。図5の左側に図示されるIP−FAXがファクシミリ装置101を表し、右側に図示されるIP−FAXが着呼側ファクシミリ装置111を表す。本実施例においては、発呼側であるファクシミリ装置101が指定した帯域未満で通信が行われるとき、その通信料金を計算し、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。
【0060】
ファクシミリ装置101は、先述の通り、SIPを用いて接続要求を送信する。接続要求のメッセージ内には、通信に使用する帯域の情報が指定されている。接続要求を受けたファクシミリ装置111は、接続要求に対するOK応答を返す。このとき、応答メッセージ内に、通信に使用できる帯域の情報が指定される。この通信により、両者の間で使用される通信帯域が決定する。第一の実施例では、発呼側であるファクシミリ装置101が指定した帯域未満で通信が行われるとき、その通信料金を計算し、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。手順を示すフローチャートを図6に示す。
【0061】
図6は、第1の実施形態における第1の実施例の処理のフローを表す。
【0062】
ステップS601において、通信手段301は、着呼側ファクシミリ装置111に対して接続要求を送信する。
【0063】
ステップS602において、通信方式識別手段351は、着呼側ファクシミリ装置111からの応答メッセージにより、通信方式をアナログ方式に切り替える必要がないことを認識する。次に、帯域判別手段353は、着呼側ファクシミリ装置111からの応答メッセージに基づき、使用可能な帯域を判別する。次に、帯域比較手段306は、発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域と、着呼側ファクシミリ装置111が指定した帯域とを比較する。その結果、後者の帯域が前者の帯域未満であったとき、ステップS603に進む。通信帯域選択手段354は、後者の帯域を通信帯域として選択する。一方、後者の帯域が前者の帯域未満ではないとき、ステップS607へ進む。
【0064】
ステップS603において、料金計算手段307は、通信帯域選択手段354で選択された通信帯域で、発呼側ファクシミリ装置101が送信しようとしているファクシミリ原稿に係る画像データを送信したときにかかる通信料金を計算する。
【0065】
ステップS604において、料金判定手段308は、料金計算手段307によって計算された料金と、入力手段302によって予め入力された許容される料金とを比較する。そして、前者が後者の範囲内でないとき、ステップS605に進む。前者が後者の範囲内であるとき、ステップS607に進む。
【0066】
ステップS605において、画像加工手段310は、ステップS602において選択された通信帯域を使用して、予め入力された許容される料金で送信するためのデータ容量を計算する。
【0067】
ステップS606において、画像加工手段310は、ステップS605で求めたデータ容量に収まるよう、記憶手段305に記憶されたファクシミリ原稿に係る画像データを加工する。加工する方法については、先述の通りである。加工された画像データは、着呼側ファクシミリ装置111に送信されるため、記憶手段305に記憶される。
【0068】
ステップS607において、送信手段301は、着呼側ファクシミリ装置に対して、記憶手段305に記憶された画像データを送信する。
【0069】
なお、ステップS611、ステップS621は、他の実施例における処理フローからの接続を表す。
【0070】
以上の処理により、本実施形態に係るファクシミリ装置101は、着呼側ファクシミリ装置111の使用可能な通信帯域で通信した場合に課金される通信料金が、予め入力された許容される料金を超える場合、その範囲に収まるよう画像データを加工して送信できる。
【0071】
なお、ステップS604において、料金判定手段308は、料金計算手段307によって計算された料金と、接続要求メッセージ内で指定された通信に使用する帯域で通信を行った場合にかかる料金とを比較するよう構成されてもよい。このとき、ステップS605においても同様の料金が用いられる。これにより、予めユーザが許容料金を指定していない場合においても、想定する通信料金を超えて通信を行うことを防止できる。
【0072】
(第1の実施形態の第2の実施例の説明)
図7は、第1の実施形態における第2の実施例の処理のフローを表す。以後、図5及び図6と共通する項目についての説明は省略する。
【0073】
図7は、本発明の第1の実施形態における第2の実施例の通信フローの概略を表す。図7の右側に図示される、IP−FAX1及びIP−FAX2はグループAを形成し、異なるFAX番号が割り当てられている。ファクシミリ装置101は、グループAに属するIP−FAXのFAX番号を格納したリストを有し、記憶手段205に格納する。本実施例において、ファクシミリ装置101は、リスト内に指定した帯域で通信可能な着呼側ファクシミリ装置がないか確認して通信を行う。
【0074】
ファクシミリ装置101は、グループAの一方のファクシミリ装置111に対して接続要求を送信する。要求を受けた着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域未満の帯域を指定して応答する。発呼側ファクシミリ装置101は、次に、ファクシミリ装置111との通信を切断し、同じグループAの別のファクシミリ装置113に対して接続要求を送信する。要求を受けた着呼側ファクシミリ装置113は、発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域を指定して応答したとき、その帯域によって互いに通信を行う。一方、着呼側ファクシミリ装置113も発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域未満の帯域を指定して応答したとき、先述の通り、その通信料金を計算し、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。手順を示すフローチャートを図8に示す。
【0075】
図8は、第1の実施形態における第2の実施例の処理のフローを表す。
【0076】
ステップS801、ステップS802、ステップS804は、図6におけるステップS601、ステップS602、ステップS607に対応するため、説明を省略する。
【0077】
ステップS803において、記憶手段205のリストに、同一の宛先の別のFAX番号があれば、通信手段301がそのファクシミリ装置に対して新たに接続要求を行うため、ステップS801へと進む。通信手段301により、同一グループ内の全てのFAX番号を試されたとき、ステップS811へと進み、図6のステップS621に続く処理を行う。
【0078】
以上の処理により、本実施形態に係るファクシミリ装置101は、複数のファクシミリ装置を有するグループ内に、指定する帯域で通信可能なファクシミリ装置があるとき、画像を加工することなく送信することができる。一方、全てのファクシミリ装置が指定する帯域で通信できないときでも、着呼側ファクシミリ装置の使用可能な通信帯域で通信した場合に課金される通信料金が、予め入力された許容される料金を超えないよう画像データを加工して送信できる。
【0079】
(第1の実施形態の第3の実施例の説明)
図9は、本発明の第1の実施形態における第3の実施例の通信フローの概略を表す。ファクシミリ装置及びグループの構成は図8同様であるが、ファクシミリ装置101はFAX番号のリストを保持せず、代わりにグループAのファクシミリ装置111又は113がそのリストを保持している。
【0080】
発呼側ファクシミリ装置101は、グループAの一方のファクシミリ装置111に対して接続要求を送信する。要求を受けた着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域未満の帯域を指定して応答する代わりに、発呼側ファクシミリ装置101が指定した帯域で通信可能なグループ内の別のファクシミリ装置と通信するよう、FAX番号を通知する。この情報は、応答メッセージ内に記述されることができる。これを受けて、発呼側ファクシミリ装置101は、通知されたFAX番号に発信し、新たな接続要求を送信する。手順を示すフローチャートを図10に示す。
【0081】
図10は、第1の実施形態における第3の実施例の処理のフローを表す。
【0082】
ステップS1001、S1004は、図6のステップS610、S607に対応するため、説明を省略する。
【0083】
ステップS1002において、着呼側ファクシミリ装置111からグループ内の別のファクシミリ装置113と通信するよう指示を受けたとき、着呼側ファクシミリ装置111との通信を切断し、ステップS1003へ進む。前記指示を受けなかったとき、ステップS1010へ進み、図6のステップS611に続く処理を行う。
【0084】
ステップS1003において、ファクシミリ装置101の通信手段301は、ファクシミリ装置111から指示されたファクシミリ装置113に対して新たに接続要求を送信する。
【0085】
以上の処理により、本実施形態に係るファクシミリ装置101は、着呼側ファクシミリ装置111から、指定する帯域で通信可能なファクシミリ装置113へと接続するよう通知を受けることで、指定した帯域を用いて送信することができる。また、着呼側ファクシミリ111は、ファクシミリ装置101からより広帯域な通信によりデータを受信することができる。
【0086】
(第1の実施形態の第4の実施例の説明)
図11は、本発明の第1の実施形態における第4の実施例の通信フローの概略を表す。構成は、図5に示される第1の実施例と同様である。
【0087】
ファクシミリ装置101の接続要求に対し、着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101によって指定された帯域未満の通信帯域を指定して応答する。このとき、発呼側ファクシミリ装置101は、ユーザに通信を継続するか問い合わせる。通信を継続するよう指示されたとき、第1の実施例同様、その通信料金を計算し、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。手順を示すフローチャートを図12に示す。
【0088】
図12は、第1の実施形態における第4の実施例の処理のフローを表す。
【0089】
ステップS1201、ステップS1202、ステップS1206、ステップ1211は、それぞれ、図6におけるステップS601、ステップS602、ステップS607、図8におけるステップS811に対応するため、説明は省略する。
【0090】
ステップS1203において、ファクシミリ装置101のユーザ問合せ手段309は、ユーザに対して通信を継続するかどうかを問い合わせるため、ダイアログを表示手段311に表示する。ユーザによる指示は、入力手段302を通じて行われる。
【0091】
ステップS1204において、制御手段303は、入力手段302を通じて入力されるユーザによる指示を識別する。ユーザが通信を継続する旨の指示を行った場合にはステップS1211へ進み、ユーザが通信を継続しない旨の指示を行った場合にはステップS1205へと進む。
【0092】
ステップS1205において、ファクシミリ装置101の通信切断手段355は、着呼側ファクシミリ111との通信を切断し、処理を終了する。
【0093】
以上の処理により、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置101は、指定した帯域で通信を行えないとき、ユーザによる指示を待って通信し、想定しない時間又は費用がかかることを防止することができる。
【0094】
(第1の実施形態の第5の実施例の説明)
図13は、本発明の第1の実施形態における第5の実施例の通信フローの概略を表す。構成は、図5に示される第1の実施例と同様である。
【0095】
ファクシミリ装置101の接続要求に対し、着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101によって指定された帯域未満の通信帯域を指定して応答する。この後、発呼側ファクシミリ装置101は、第1の実施例と同様、着呼側の帯域に合わせて通信を行った場合の料金判定を行う。判定の結果、ファクシミリ装置101に予め入力された許容される料金の範囲内でない場合には、通信を切断する。手順を示すフローチャートを図14に示す。
【0096】
図14は、第1の実施形態における第5の実施例の処理のフローを表す。
【0097】
ステップS1401、ステップS1402、ステップS1403、ステップS1404、ステップS1406は、それぞれ第1の実施例を示す図6のステップS601、ステップS602、ステップS603、ステップS604、ステップS607に対応するため、説明を省略する。
【0098】
ステップS1405において、ファクシミリ装置101の通信切断手段355は、着呼側ファクシミリ装置111との通信を切断する。
【0099】
以上の処理により、予め指定した許容される料金内で通信を行えないとき、通信のために想定しない時間がかかることを防止することができる。
【0100】
(第1の実施形態の第6の実施例の説明)
図15は、本発明の第1の実施形態における第6の実施例の通信フローの概略を表す。構成は、図5に示される第1の実施例と同様である。
【0101】
ファクシミリ装置101の接続要求に対し、着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101によって指定された帯域未満の通信帯域を指定して応答する。この後、発呼側ファクシミリ装置101は、第1の実施例と同様、着呼側の帯域に合わせて通信を行った場合の料金判定を行う。判定の結果、ファクシミリ装置101に予め入力された許容される料金の範囲内でない場合には、着呼側ファクシミリ装置111にポーリング受信させるよう設定する。手順を示すフローチャートを図16に示す。
【0102】
図16は、第1の実施形態における第6の実施例の処理のフローを表す。
【0103】
ステップS1601ないしS1604、ステップS1607は、それぞれ第1の実施例を示す図6のステップS601ないしS604、ステップS607に対応するため、説明を省略する。
【0104】
ステップS1605において、ファクシミリ装置101のポーリング手段356は、着呼側ファクシミリ装置111が、記憶手段305に記憶されたファクシミリ原稿に係る画像データをポーリング受信できるよう、必要な情報を送信する。必要な情報には、ポーリング受信するためのFAX番号及び機密通信のためのパスワードを含む。この情報は、ファクシミリ通信のための画像データとして送信されてもよいし、SIPのメッセージを介して通知されてもよい。
【0105】
ステップS1606において、ポーリング手段356は、ポーリング受信できるようファクシミリ装置101又は他のファクシミリ装置に設定を行う。
【0106】
以上の処理により、予め指定した許容される料金内で通信を行えないとき、着呼側ファクシミリ装置にポーリング受信させることで、通信のために想定しない費用がかかることを防止することができる。
【0107】
(第1の実施形態の第7の実施例の説明)
図17は、本発明の第1の実施形態における第7の実施例の通信フローの概略を表す。構成は、図5に示される第1の実施例と同様である。
【0108】
ファクシミリ装置101の接続要求に対し、着呼側ファクシミリ装置111は、発呼側ファクシミリ装置101によって指定された帯域未満の通信帯域を指定して応答する。この後、発呼側ファクシミリ装置101は、第1の実施例と同様、着呼側の帯域に合わせて通信を行った場合の料金判定を行う。判定の結果、ファクシミリ装置101に予め入力された許容される料金の範囲内でない場合には、ファクシミリ原稿に係る画像データを外部サーバ131へアップロードし、その外部サーバ131へのアクセス情報を着呼側ファクシミリ装置111へ通知する。手順を示すフローチャートを図18に示す。
【0109】
図18は、第1の実施形態における第7の実施例の処理のフローを表す。
【0110】
ステップS1801ないしS1804、ステップS1807は、それぞれ第1の実施例を示す図6のステップS601ないしS604、ステップS607に対応するため、説明を省略する。
【0111】
ステップS1805において、ファクシミリ装置101のアップロード手段356は、ファクシミリ原稿に係る画像データを、外部サーバ131にアップロードする。外部サーバ131は、着呼側ファクシミリ111からアクセスが可能なネットワーク上に配置され、HTTP、FTPを含む一般的なデータ転送用プロトコルによってデータ送受信が可能である。アップロード手段356は、予めセットアップされた外部サーバ131に、予め決められたプロトコルを用いて、画像データをファイルとしてアップロードする。このとき、ファイル形式として、jpeg、gif、pngを含む圧縮された画像データ形式のほか、PDF(Portable Document Format)を含むドキュメント形式を用いることができる。本発明において、ファイル形式は特に限定しない。
【0112】
ステップS1806において、アップロード手段356は、着呼側ファクシミリ111が外部サーバ131にアップロードされたファイルを取得するために必要な情報を送信する。必要な情報には、URL及び必要に応じてパスワードを含む。この情報は、ファクシミリ通信のための画像データとして送信されてもよいし、SIPのメッセージを介して通知されてもよい。
【0113】
以上の処理により、予め指定された許容される料金内で通信を行えないとき、ファクシミリ原稿に係る画像データを外部サーバ131にアップロードし、着呼側ファクシミリ装置111又はそのユーザにアクセスさせて受信させることで、通信のために想定しない費用がかかることを防止することができる。
【0114】
以上により、本発明の第1の実施形態に係るファクシミリ装置101は、着呼側ファクシミリの使用可能な通信帯域を識別して選択し、通信料金が所定の料金を超えないよう画像データを加工して送信することができる。また、画像データを加工して送信する代わりに、着呼側ファクシミリ装置にポーリング受信させることができる。さらに、画像データを加工して送信する代わりに、外部サーバ131経由で着呼側ファクシミリ装置に画像データを送信することができる。
【0115】
ここまで、図4(A)に示される本発明の第一の実施形態について説明を行った。次に、図4(B)に示される本発明の第二の実施形態について説明を行う。なお、処理の流れ及びフローチャートは、第一の実施形態の説明で用いたものと同様であり、重複する事項の説明は省略する。
【0116】
(アナログFAXを使用した第二の実施形態の説明)
図4(B)においては、着呼側ファクシミリ装置112はアナログFAXである。そのため、ファクシミリ装置101の通信方式識別手段351、通信方式切替手段352が、通信方式の識別と切替のために使用される。また、通信を切り替えた後のメッセージのやりとりは、アナログ方式に基づいて行われる。しかしながら、それ以外の処理に関しては第一の実施形態と同様である。以下に、図19を用いて、第一の実施形態との差異点についてのみ説明する。
【0117】
図19は、本発明の第2の実施形態の第1の実施例における通信フローの概略を表す。図19の左側に図示されるIP−FAXが発呼側ファクシミリ装置101を表し、右側に図示されるアナログFAXが着呼側ファクシミリ装置111を表す。
【0118】
(第2の実施形態の実施例の説明)
ファクシミリ装置101は、SIPを用いて、SIPプロキシサーバ121を含むネットワーク120を経由して接続要求を送信する。しかしながら、SIPに対応しないアナログ方式の着呼側ファクシミリ装置112に対しては、ネットワーク120から接続不可である応答が返される。ファクシミリ装置101は、これに応じて通信方式をアナログ方式に切り替える。次に、ネゴシエーションによって通信モードが決定する。その後の処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、通信に使用する帯域によって画像データを送信したときにかかる通信料金を計算し、所定の料金に収まるよう画像データを加工して送信する。処理フローは第1の実施形態における第1の実施例と同様であるため、図6を用いて、手順を説明する。
【0119】
ステップS601については第一の実施形態と同様である。
【0120】
ステップS602において、通信方式識別手段351は、着呼側ファクシミリ装置111からの応答メッセージにより、通信方式をアナログ方式に切り替える必要があることを認識する。そこで、通信方式切替手段352は、アナログ方式へと通信方式を切り替える。アナログ方式には、最も普及しているG3規格のほかに、G2、G1等の規格がある。また、G3規格の中にもいくつかのバリエーションがある。本実施例においては、これらのアナログ方式のうち、着呼側ファクシミリ装置が対応する通信方式を用いる。
【0121】
アナログ方式においては、通信方式に対応して通信帯域が決定する。そのため、帯域判別手段353は、記憶手段305に予め記録された、通信方式と通信帯域とを関連付けるテーブルを参照し、帯域を判別する。
【0122】
以降の処理は、ファクシミリ間で行われる通信方式の差異はあるが、処理フローは第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0123】
以上の処理により、本実施形態に係るファクシミリ装置101は、アナログ方式にのみ対応する着呼側ファクシミリ装置111と通信した場合に課金される通信料金が、予め入力された許容される料金を超える場合、その範囲に収まるよう画像データを加工して送信できる。
【0124】
また、第1の実施形態の第2ないし7の実施例に係る処理フローは、それぞれ第2の実施形態の第2ないし7の実施例の処理フローに対応し、先に述べた差異を除き、処理内容は同様である。
【0125】
以上により、本発明の第2の実施形態に係るファクシミリ装置101は、着呼側ファクシミリの通信方式を判別して通信方式を切り替え、使用可能な通信帯域を識別して選択し、通信料金が所定の料金を超えないよう画像データを加工して送信することができる。また、画像データを加工して送信する代わりに、着呼側ファクシミリ装置にポーリング受信させることができる。さらに、画像データを加工して送信する代わりに、外部サーバ131経由で着呼側ファクシミリ装置に画像データを送信することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 ファクシミリ通信システム
101 ファクシミリ装置
111 IP−FAX
112 アナログFAX
113 IP−FAX
120 ネットワーク
121 SIPプロキシーサーバ
131 外部サーバ
301 通信手段
302 入力手段
303 制御手段
304 出力手段
305 記憶手段
306 帯域比較手段
307 料金計算手段
308 料金判定手段
309 ユーザ問合せ手段
310 画像加工手段
311 表示手段
351 通信方式識別手段
352 通信方式切替手段
353 帯域判別手段
354 通信帯域選択手段
355 通信切断手段
356 ポーリング手段
357 アップロード手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開平11−275261号公報
【特許文献2】特開2010−245830号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信に使用する通信帯域と前記通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、使用する帯域を選択できるファクシミリ装置であって、
着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別手段と、
前記着呼側帯域と、予め設定された所定の帯域とを比較する帯域比較手段と、
前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算手段と、
前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定手段と、
前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、前記所定の料金に収まるよう送信する画像データを加工して送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるときは、前記画像データを加工することなく送信する通信手段と、
を有する、ファクシミリ装置。
【請求項2】
前記所定の料金は、前記所定の帯域で通信する場合に課金される通信料金である、
請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
着呼側が複数のファクシミリ装置を備える場合に、
複数の着呼側ファクシミリ装置のリストとを有し、
前記通信手段は、前記複数の着呼側ファクシミリ装置の一の使用可能な帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記リストに記録された他の着呼側ファクシミリ装置と通信を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、当該ファクシミリ装置のユーザに、前記着呼側帯域を使用して通信を継続するか問い合わせる、問合せ手段
を有する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記通信手段は、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、画像データを加工して通信する代わりに、通信を切断する
ことを特徴とする、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、画像データを加工して通信する代わりに、ポーリング機能を使用する前記着呼側ファクシミリ装置へ必要な情報を送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記通信手段は、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、画像データを加工して通信する代わりに、通信内容に係る画像データを所定のサーバへアップロードし、着呼側ファクシミリ装置に前記サーバへのアクセス情報を送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記着呼側ファクシミリ装置はアナログ方式によって通信を行うファクシミリ装置であって、
前記着呼側ファクシミリ装置の通信方式を識別する通信方式識別手段と、
前記着呼側ファクシミリ装置との通信のために通信方式を切り替える通信方式切替手段と
を有する、請求項1ないし7いずれか一項に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに、発呼側ファクシミリ装置と着呼側ファクシミリ装置が接続されるファクシミリ通信システムであって、
発呼側ファクシミリ装置は、着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別手段と、
前記発呼側ファクシミリ装置は、前記着呼側帯域と前記発呼側ファクシミリ装置の所定の帯域とを比較する帯域比較手段と、
前記発呼側ファクシミリ装置は、前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算手段と、
前記発呼側ファクシミリ装置は、前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定手段と、
前記発呼側ファクシミリ装置は、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないときは、前記許容料金に収まるよう送信する画像データを加工して前記着呼側ファクシミリ装置に送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるときは、前記画像データを加工することなく前記着呼側ファクシミリ装置に送信する通信手段と、
を有する、ファクシミリ通信システム。
【請求項10】
通信に使用する帯域とその通信に使用される時間に応じて課金されるIPネットワークに接続され、使用する帯域を選択できるファクシミリ装置に搭載されるファクシミリ通信プログラムであって、コンピュータに、
着呼側ファクシミリ装置の使用可能な着呼側帯域を判別する帯域判別機能と、
前記着呼側帯域と、当該ファクシミリ装置の所定の帯域とを比較する帯域比較機能と、
前記着呼側帯域が前記所定の帯域未満であるとき、前記着呼側帯域を使用して通信を行う場合に課金される通信料金を計算する料金計算機能と、
前記通信料金が所定の料金の範囲内であるかどうかを判定する料金判定機能と、
前記通信料金が前記所定の料金の範囲内でないとき、前記許容料金に収まるよう送信する画像データを加工して送信し、前記通信料金が前記所定の料金の範囲内であるとき、前記画像データをそのまま送信する通信機能と
を実行させるための、ファクシミリ通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−38604(P2013−38604A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173270(P2011−173270)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】