説明

ファクシミリ装置、及びその制御方法、プログラム、記憶媒体

【課題】 異なる複数のファクシミリ通信が競合しても、一方のファクシミリ通信を優先させて実行することにより、通信が切断されてしまうことを防止することである。
【解決手段】 あるファクシミ装置とのファクシミリ通信中に、異なる通信経路を介して接続された他のファクシミリ装置から新たなファクシミリ通信要求が競合していることを検出する(S4)。そして、競合していることを検出した場合、新たに通信要求した相手端末との通信種別を判別する(S6)。そして、判別された結果に基づいて、優先させるべきファクシミリ通信を選択する(S7)。そして、ファクシミリ通信を優先的に実行させる通信制御工程(S9〜S19)とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手端末とファクシミリ通信を実行するファクシミリ装置に関し、特に複数のファクシミリ通信が競合した場合の通信制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ファクシミリ装置は公衆回線にモデムを使って接続して、画像データを送受信するファクシミリ通信(以下、G3FAX通信とする)が可能である。具体的には、ITU−T勧告T.30に従ったプロトコルを用いて、アナログ信号を処理するITU−T勧告V.8/V.34やV.17などのモデムを使って画像データを送受信する。
【0003】
一方、近年ではインターネットまたはLAN(ローカルエリアネットワーク)などを経由したリアルタイム型インターネットファクシミリ通信(以下、IP−FAX通信とする)を行うことも可能となっている。具体的には、ITU−T勧告T.38に従ったプロトコルを用いて、画像データをIFP(インターネットファクシミリプロトコル)パケットに変換して相手端末またはゲートウェイ装置との送受信を行う。
【0004】
ところで、公衆回線及びLANに接続されているファクシミリ装置では、上述したIP−FAX通信とG3FAX通信の両方の機能を備えている。このような場合、それぞれ異なる相手端末と通信するIP−FAX通信とG3FAX通信が並行して実行されるような場合がある。
【0005】
また、従来の公衆回線を介したG3FAX通信では、相手端末と呼接続を行って一対一(送信側端末と受信側端末)の通信を実行していた。それに対して、IP−FAX通信では、各相手端末とそれぞれ呼接続を行うものの、複数の相手端末とそれぞれ複数のIP−FAX通信を並行して行うことが可能となっている。
【0006】
このように、複数の通信が並行して実行される場合に生じる問題として、ファクシミリ通信のためのデータを処理するCPUなどの負荷が大きくなってしまい、符号化/復号化などのデータ処理が遅れてしまうことが考えられる。符号化/復号化などのデータ処理が遅れてしまうと、信号間の最大時間として予め設定されているタイマ制御値以上の間隔が開いてしまい、通信が切断されてしまうおそれがある。
【0007】
このように、信号の間隔がタイマ値以上になって通信が切断されてしまうといった問題に対する解決策としては、例えば、IP網を介してIP−FAX通信を実行する場合に、タイマの値を長く設定しておくことが考えられている。
【0008】
これは、IP網を介して通信を実行する場合には、通信ポイント間の距離や回線の混み具合によって、信号の遅延が発生する可能性が高いため、多少の遅延が発生したとしても通信を切断させないようにするためのものである。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2003−87489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したIP−FAX通信とG3FAX通信が競合した場合や、複数のIP−FAX通信が競合した場合には、上記の先行技術において依然解決されていない問題が存在する。
【0010】
即ち、例えばIP−FAX通信及びG3FAX通信の両方を実行することが可能なファクシミリ装置では、IP−FAX通信とG3FAX通信が並行して行われ、処理が競合してしまうと、データ処理に遅延が生じる場合がある。
【0011】
このようにデータ処理に遅延が生じたとしても、上記の先行技術のようにタイマ制御値を予め長く設定しておけば、多少の遅延であればIP−FAX通信を切断させずに済ませることができる。
【0012】
しかしながら、G3FAX通信については、タイマ値はITU−T勧告T.30などの規格などにより厳密に定められており、変更することはできない。従って、符号化/復号化などのデータ処理が遅延した場合には、G3FAX通信については通信が切断されてしまう。
【0013】
また、IP−FAX通信であっても、送信側端末と受信側端末との間の通信経路に公衆回線が含まれている場合、すなわちゲートウェイ装置を用いてIP−FAX通信とG3FAX通信の両方を実行している場合がある。このような場合においても、データ処理の遅れに起因する信号の遅延が発生すると、G3FAX通信部分の通信が切断されてしまう。
【0014】
さらに、IP−FAX通信はタイマ値を変更して長くしていたとしても、通信速度自体が早いので、やはりデータ処理が遅れてしまった場合には、通信が切断されてしまう。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、異なる複数のファクシミリ通信が競合したとしても、一方のファクシミリ通信を優先させて実行することにより、通信が切断されてしまうことを防止できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明のファクシミリ装置は以下に示す構成を備える。
【0017】
公衆回線を含む第1の通信経路または公衆回線を含まない第2の通信経路を用いて、相手端末とファクシミリ通信を実行する通信手段と、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出手段と、前記検出手段が、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、いずれのファクシミリ通信を優先させるかを選択する選択手段と、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信または前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信のうち、前記選択手段により選択されたファクシミリ通信を優先するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成する本発明のファクシミリ装置は以下に示す構成を備える。
【0019】
相手端末とファクシミリ通信を実行する通信手段と、前記相手端末が、公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを判定する判定手段と、前記判定手段による判定の結果に基づいて、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出手段と、前記検出手段が、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信を優先するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異なる複数のファクシミリ通信が競合したとしても、一方のファクシミリ通信を優先させて実行することにより、通信が切断されてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を示すファクシミリ装置100の構成を説明するブロック図である。
【0023】
図1に示すファクシミリ装置100において、メイン制御部101は、ファクシミリ装置100全体を制御する。ROM102は、メイン制御部101により実行される制御プログラムを格納する。
【0024】
なお、メイン制御部101はこの制御プログラムをRAM103にロードして実行することで各デバイスを制御する。
【0025】
RAM103は、DRAMやSRAMなどにより構成され、メイン制御部101による制御のためのワークエリア、データの一時格納、またはファクシミリ画像データの一時格納などに使用される。
【0026】
操作部104は、操作キーや操作表示パネルなどにより構成される。読み取り部105は、原稿上の画像を読み取って電子データに変換して入力する。印刷部106は、記録紙に文字や写真の記録を行う。
【0027】
符号/復号化部107は、読み取り部105で原稿から読み取って入力した画像データを、ファクシミリ通信に必要な符号形式に変換する符号化処理を行う。また、符号/復号化部107は、ファクシミリ通信で受信した画像データを復号化処理も行う。ここで、符号形式としてMH,MR,MMR,JBIGなどが使用される。
【0028】
ネットワークI/F(インターフェース)108は、ファクシミリ装置100を100BaseTなどのLAN111に接続してネットワーク上の送受信信号の制御を行う。なお、LAN111は、100BaseTに限られることはない。
【0029】
LAN111は、インターネットに接続され、ファクシミリ装置100はインターネットを介して通信することができる。なおここでは、ネットワークI/F108を制御してITU−T勧告T.38に従ったIP−FAX通信を行うことができる。すなわち、メイン制御部101がRAM103やネットワークI/F108を制御して、IFPパケットの組立/分解やパケットの送受信などを行う。
【0030】
モデム109は、ファクシミリ装置100を公衆回線112に接続して、公衆回線112を介したデータ通信を行う。
【0031】
すなわち、ここではITU−T勧告V.8/V.34やV.17などのファクシミリモデムや回線接続制御回路を用い、メイン制御部101がRAM103やモデム109を制御して、公衆回線112に接続して相手端末とG3FAX通信を行う。
【0032】
なお、送信する画像データは読み取り部105で読み取ったり、ネットワークI/F108を経由して取得したりする。そして、取得した画像データを、RAM103や符号/復号化部107を制御して符号化し、モデム109から送信する。
【0033】
一方、G3FAX通信における受信時は、モデム109において受信動作を行う。そして、受信したデータはRAM103や符号/復号化部107を制御して復号化して、印刷部106で印刷したり、ネットワークI/F108から他の端末へ送信したりする。
【0034】
図2は、ファクシミリ装置100を含むシステム全体図を示している。ファクシミリ装置100は、LAN111を介してインターネットに接続されているファクシミリ装置210とIP−FAX通信を行うことができる(通信経路A)。ファクシミリ装置210は、ファクシミリ装置100と同様の機能を有しており、LANを介して、または直接インターネットに接続されている。また、図には示していないが、ファクシミリ装置210は更に公衆回線に接続されていてもよい。
【0035】
また、ファクシミリ装置100は、公衆回線を介してファクシミリ装置220と接続されている。ファクシミリ装置100は、公衆回線を介してファクシミリ装置220とG3FAX通信を行うことができる(通信経路B)。
【0036】
ファクシミリ装置220も、ファクシミリ装置100と同様の機能を有しており、直接公衆回線に接続されている。また、図には示していないが、ファクシミリ装置220は更にLANまたはインターネットに接続されていてもよい。
【0037】
さらに、ファクシミリ装置100は、ゲートウェイ装置230を介してファクシミリ装置220と通信することが可能となっている(通信経路C)。具体的には、ファクシミリ装置100はインターネットを介してゲートウェイ装置230とIP−FAX通信を実行する。
【0038】
ゲートウェイ装置230はITU−T勧告T.38に準拠しており、ファクシミリ装置100から受信したIP−FAX通信のIFPパケットをG3FAX通信のファクシミリ信号に変換することができる。
【0039】
また、ゲートウェイ装置230は、逆にファクシミリ装置220から受信したG3FAX通信のファクシミリ信号をIP−FAX通信に用いるIFPパケットに変換することも可能である。ゲートウェイ装置230は、公衆回線を介してファクシミリ装置220とG3FAX通信を実行する。
【0040】
さらに、ファクシミリ装置100は、ゲートウェイ装置230を介してファクシミリ装置210と通信することも可能である(通信経路D)。具体的には、ファクシミリ装置100は公衆回線を介してゲートウェイ装置230とG3FAX通信を実行する。
【0041】
ゲートウェイ装置230はITU−T勧告T.38に準拠しており、ファクシミリ装置100から受信したG3FAX通信のファクシミリ信号をIP−FAX通信のIFPパケットに変換することができる。また、ゲートウェイ装置230は、逆にファクシミリ装置210から受信したIP−FAX通信のIFPパケットをG3FAX通信に用いるファクシミリ信号に変換することも可能である。ゲートウェイ装置230は、インターネットを介してファクシミリ装置210とIP−FAX通信を実行する。
【0042】
このように通信経路C及びDは、インターネット及び公衆回線の両方を含み、通信経路CまたはDを用いたファクシミリ通信はIP−FAX通信とG3FAX通信とを含んでいることになる。
【0043】
次に、競合する複数の異なる通信経路を用いたファクシミリ通信のうち、どれを優先的に実行するかを決める優先度決定機能について説明する。
【0044】
なお、上記優先度は、通信開始前に通信経路の種類毎に前もって設定しておき、異なる通信経路を用いたファクシミリ通信が競合した場合に、設定された通信を優先して行う。または、異なる通信経路を用いたファクシミリ通信が競合した場合に、後述する条件に従って優先させるべき通信を決定し、決定した通信を優先して行うようにしても良い。以下、通信を開始する前に、前もって決定する例の場合を説明する。
【0045】
まず、図1に示すファクシミリ装置100においては、上述の通り、通信経路A〜Dの4種類の通信経路を用いたファクシミリ通信が可能となっている。ここで第1の実施形態においては、通信経路の種類を、公衆回線を含む第1種の通信経路(即ち、通信経路B〜D)と、公衆回線を含まない第2種の通信経路(即ち、通信経路A)との2種類に区別して制御を行う。
【0046】
〔第1の制御動作〕
図3は、ファクシミリ装置100における第1の制御動作を示す図である。なお、図2と同一の機器には、同一の符号を付してある。また、F1〜F10は各通信手順を示す。
【0047】
第1の制御動作では、ファクシミリ装置210とのIP−FAX通信の動作中に、ファクシミリ装置220とのG3FAX通信が開始された場合について説明する。なおここでは、ファクシミリ装置220とのG3FAX通信を、ファクシミリ装置210とのIP−FAX通信よりも優先させて制御するものとする。
【0048】
ファクシミリ装置100は、上述した通信経路Aを用いて、インターネットを経由してファクシミリ装置210とIP−FAX通信を行っている(F1)。なお、ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置210からの送信であるかは問わない。またこの時、IP−FAX通信のタイマ制御値は通常の値(TM1)が設定されているものとする。
【0049】
その後、ファクシミリ装置100は、上述した通信経路Bを用いて、公衆回線を経由してファクシミリ装置210とG3FAX通信を開始する(F2)。
【0050】
なお、ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置220からの送信であるかは問わない。
【0051】
このとき、メイン制御部101は、F2に示すファクシミリ通信が開始されたことにより、すでに通信中の第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信(F6)と、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信(F5)とが並行して行われている、すなわち競合していることを検出する。
【0052】
メイン制御部101がこの競合状態を検出すると、メイン制御部101は符号/復号部107に対して、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信に用いるデータの処理を優先するよう制御を行う。
【0053】
ここでは、ファクシミリ装置220とのG3FAX通信のためのデータ符号化/復号化の処理に対して、RAM103などのリソースがより多く割り当てる。これにより、遅延のないデータ処理を行うことが可能になる。すなわち、ファクシミリ装置220とのG3FAX通信における信号遅延を抑えることができるので、通信が切断されてしまうことを防ぐことができる。
【0054】
一方、IP−FAX通信の相手端末であるファクシミリ装置210に対しては、IP−FAX通信で用いられているタイマ制御値の変更の通知を行う。
【0055】
これは、ファクシミリ装置220とのG3FAX通信に用いるデータの処理を優先させているため、ファクシミリ装置210とのIP−FAX通信に用いるデータの処理が遅れてしまう可能性があるためである。
【0056】
このとき、ファクシミリ装置210とのIP−FAX通信のタイマ制御値をより大きな値に変更することにより、多少のデータ処理の遅れが発生したとしても通信が切断されてしまうことを防ぐことができる。
【0057】
具体的には、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置210に対して、タイマ制御変更通知をメイン制御部101の制御が行う(F3)。ファクシミリ装置210はタイマ制御変更が受けられる状態になったら、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返す(F4)。
【0058】
これにより、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210はタイマ制御値をTM2に変更してIP−FAX通信を行う。
【0059】
なお、F3のタイマ制御変更通知と、ファクシミリ装置210からのF4のOK応答は、例えば、DIS(初期識別)、DCS(受信命令)のメッセージのやり取りで行うか、NSF、NSSのメッセージのやり取りで行うものとする。
【0060】
また、F6のタイマ制御値TM2はIP−FAX通信の通常のタイマ制御TM1からタイマ値を大きくしたものである(TM1<TM2)。
【0061】
第1の実施形態では、通常のタイマ制御値TM1が35秒±5秒なので、タイマ制御値TM2は、例えば3分としているものとする。この3分という値は、ファクシミリ装置100のメモリやCPU等のハードウエア資源に応じて設定すればよく、3分に限定されるものではない。
【0062】
一方、タイマ制御値TM2として特定の値を設けずに、IP−FAX通信におけるタイマ制御をしないようにしても良い。すなわち、IP−FAX通信のタイマはカウントせずに、TCPのコネクションタイマをカウントしてファクシミリ通信を行うものでもよい。
【0063】
このように第1の制御動作では、公衆回線を含む通信経路を用いたファクシミリ通信と公衆回線を含まない通信経路を用いたファクシミリ通信が競合する場合に、公衆回線を含む通信経路を用いたファクシミリ通信を優先させるようにしている。
【0064】
これにより、第1の制御動作では、特に画像データの符号/復号化処理に対してファクシミリ装置220とのG3FAX通信を優先させることにより、ファクシミリ装置210とファクシミリ装置220との通信の両方を並行して行うことができるようになる。
【0065】
そして、F7で、ファクシミリ装置110はファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を終了する。その後、F8で、ファクシミリ装置100のメイン制御部101は、ファクシミリ装置210に対して、タイマ制御値をTM2からTM1に戻すためのタイマ制御戻し通知を行う。
【0066】
そして、ファクシミリ装置210はタイマ制御の戻しが受けられる状態になったら、F9で、タイマ制御値戻し通知に対するOKをファクシミリ装置110へ返す。その後、F10で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210はタイマ制御値をTM1に戻した状態でIP−FAX通信を継続する。
【0067】
なお、タイマ制御値戻し通知とそれに対するOKは、例えば、EOM(Q信号)、DIS、DCSメッセージのやり取りの中で行う。
【0068】
なお、ここでは公衆回線を含む第1種の通信経路の例として、通信経路Bを用いてファクシミリ装置100がファクシミリ装置220と通信を行う場合について説明した。
【0069】
しかしながら、通信経路Bの代わりに通信経路CまたはDを用いてファクシミリ通信が実行される場合であっても、通信経路Aを用いたファクシミリ通信と競合してしまう場合には、同様の制御を行う。
【0070】
具体的には、通信経路CまたはDを用いたファクシミリ通信のためのデータ処理を、通信経路Aを用いたファクシミリ通信のためのデータ処理よりも優先させるよう制御する。また、通信経路Aを用いたファクシミリ通信(IP−FAX通信)のタイマ制御値を大きい値に変更するよう制御する。
【0071】
また、ここでは1つのIP−FAX通信と1つのG3FAX通信が競合している場合を例にして説明したが、これら以外にさらなるファクシミリ通信が競合している場合も考えられる。
【0072】
このような場合にも、公衆回線を含む通信経路を用いたファクシミリ通信のためのデータ処理を優先して行うとともに、公衆回線を含まない通信経路を用いたファクシミリ通信に対してはタイマ制御値を変更するようにしてもよい。
【0073】
〔第2の制御動作〕
図4は、ファクシミリ装置100における第2の制御動作を示す図である。ここでは、ファクシミリ装置100が通信経路Aを用いてファクシミリ装置210と通信中に、ファクシミリ装置220が通信経路Cを用いて発呼してきた場合の制御について説明する。
【0074】
なお、図2と同一の機器には、同一の符号を付してある。また、F11〜F20は各通信手順を示す。 ファクシミリ装置100は、上述した通信経路Aを用いてインターネットを経由してファクシミリ装置210とIP−FAX通信を行っている(F11)。なお、ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置210からの送信であるかは問わない。
【0075】
そして、ファクシミリ装置100は、例えばSIPサーバから着呼を受け付けた時にInvite情報の内容を解析して、相手装置がゲートウェイ装置であるか否かを判断する(F12)。
【0076】
ここで、相手装置がゲートウェイ装置であると判断した場合には、発呼した端末は公衆回線に接続されている、つまりこの通信には第1種の通信経路が用いられていると判断できる。そして、この判断の結果に基づいて、メイン制御部101は第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信と第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信が競合していることを検出することができる。
【0077】
そして、ファクシミリ装置100は競合する複数のファクシミリ通信のうち、どちらを優先させて処理するかの選択を行う。ここでは、RAM103上に、第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信よりも、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度が高いことを示す優先度テーブルが予め設定されているものとする。
【0078】
なお、ここでは第1種の通信経路と第2種の通信経路のうち、どちらを用いたファクシミリ通信を優先して行うかを予め登録しておくようにしているが、例えば、通信経路A〜Dについてそれぞれ優先度を登録しておいてもよい。
【0079】
第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の方が高く設定されている場合には、ここではファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を、ファクシミリ装置210とのファクシミリ通信よりも優先させて実行させる。
【0080】
具体的には、F13で、ファクシミリ装置100は、ファクシミリ装置210に対して、待機通知を行う。ファクシミリ装置210は待機通知が受けられる状態になったら、F14で、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返して、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210との間のIP−FAX通信は待機状態となる。
【0081】
なお、待機通知とそれに対するOKは、例えば、DIS(初期識別)、DCS(受信命令)のメッセージのやり取りで行うか、NSF、NSSのメッセージのやり取りで行う。
【0082】
そして、F15で、ファクシミリ装置100はIP−FAX通信をゲートウェイ装置230と行う。また、F16で、ゲートウェイ装置230は同時にファクシミリ装置220とG3FAX通信を行う。
【0083】
ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置220からの送信であるかは問わない。
【0084】
このように、ファクシミリ装置210とのファクシミリ通信を行っている場合に、さらに別のファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を開始する必要がある時は、優先度が低い方のファクシミリ通信を待機状態にする。これにより、メイン制御部101や符号/復号化部107などのリソースを、優先度の高いファクシミリ通信のための処理に割り当てることができる。
【0085】
特に、画像データの符号/復号化処理について優先度の高いファクシミリ通信のための処理を遅延なく行うことが可能になり、問題なくファクシミリ通信を行うことができるようになる。
【0086】
ファクシミリ装置100とファクシミリ装置220とのファクシミリ通信が終了すると、F17で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置220はゲートウェイ装置230を経由して、ファクシミリ通信の終了処理を行う。
【0087】
すなわち、EOP(メッセージ後命令)、MCF(メッセージ後応答)、DCN(切断命令)メッセージのやり取りやSIPプロトコルのByeのやり取りを行う。
【0088】
その後、F18で、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置210に対して、再開通知を行う。そして、ファクシミリ装置210は再開通知が受けられる状態になったら、F19で、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返して、F20で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210は再びIP−FAX通信を再開する。
【0089】
なお、再開通知とそれに対するOKは、例えば、EOM(Q信号)、DIS、DCSメッセージのやり取りの中で行う。
【0090】
以上、第2の制御動作によれば、RAM103上に第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度が、第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度よりも高い場合について説明した。しかしながら、第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度の方が高く設定されている場合は、ファクシミリ装置220との通信を待機させる制御を行う。
【0091】
すなわち例えば、TNRやRNR信号を使ってフロー制御を行い、画像データの送受信を待機させるやり方などが用いられる。
【0092】
〔第3の制御動作〕
図5は、ファクシミリ装置100における第3の制御動作を示す図である。ここでは、ファクシミリ装置100が通信経路Cを用いてファクシミリ装置220と動作中に、ファクシミリ装置210が通信経路Aを用いて発呼してきた場合の制御について説明する。なお、図2と同一の機器には、同一の符号を付してある。また、F21〜F31は各通信手順を示す。
【0093】
ファクシミリ装置100は、上述した通信経路Cを用いて、インターネットを経由してゲートウェイ装置230とIP−FAX通信を行う(F21)と同時に、ゲートウェイ装置230はファクシミリ装置220とG3FAX通信を行っている(F22)。ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置220からの送信であるかは問わない。
【0094】
その後、ファクシミリ装置100は、例えばSIPサーバから着呼を受け付けたときにInvite情報の内容を解析して、相手装置がゲートウェイ装置であるか否かを判断する。ここで、相手装置がゲートウェイ装置でないと判断した場合には、発呼した端末はインターネットまたはLANに接続されている、つまりこの通信には第2種の通信経路が用いられていると判断できる。
【0095】
そして、この判断の結果に基づいて、メイン制御部101は第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信と第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信が競合していることを検出することができる。
【0096】
そして、ファクシミリ装置100は競合する複数のファクシミリ通信のうち、どちらを優先させて処理するかの選択を行う。ここでは、RAM103上に第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信よりも、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度が高いことを示す優先度テーブルが予め設定されているものとする。
【0097】
第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の方が高く設定されている場合には、ここではファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を、ファクシミリ通信210とのファクシミリ通信よりも優先させて実行させる。
【0098】
具体的には、F23で、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置210に対して、待機通知を行う。ファクシミリ装置210は待機通知が受けられる状態になったら、F25で、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返して、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210の間の通信は待機状態となる。
【0099】
なお、待機通知とそれに対するOKは、例えば、DIS(初期識別)、DCS(受信命令)のメッセージのやり取りで行うか、NSF、NSSのメッセージのやり取りで行う。
【0100】
そして、F26で、ファクシミリ装置100はIP−FAX通信をゲートウェイ装置230と行う(F26)。また、F27でゲートウェイ装置230は同時にファクシミリ装置220とG3通信を行う(F27)。ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置220からの送信であるかは問わない。
【0101】
このように、ファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を行っている場合に、さらに別のファクシミリ装置210とのファクシミリ通信を開始する必要がある時は、優先度が低い方のファクシミリ通信を待機状態にする。これにより、メイン制御部101や符号/復号化部107などのリソースを、優先度の高いファクシミリ通信のための処理に割り当てることができる。
【0102】
特に、画像データの符号/復号化処理について優先度の高いファクシミリ通信のための処理を遅延なく行うことが可能になり、問題なくファクシミリ通信を行うことができるようになる。
【0103】
ファクシミリ装置100ファクシミリ装置220とのファクシミリ通信が終了すると、F26で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置220はゲートウェイ装置230を経由して、ファクシミリ通信の終了処理を行う。
【0104】
すなわち、EOP(メッセージ後命令)、MCF(メッセージ後応答)、DCN(切断命令)メッセージのやり取りやSIPプロトコルのByeのやり取りを行う。
【0105】
その後、F29で、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置210に対して、開始通知を行う。そして、ファクシミリ装置210は開始通知が受けられる状態になったら、F30で、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返して、F31で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210はIP−FAX通信を行う。
【0106】
なお、開始通知とそれに対するOKは、例えば、EOM(Q信号)、DIS、DCSメッセージのやり取りの中で行う。
【0107】
以上、第2の制御動作によれば、RAM103上に第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度が、第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度よりも高い場合について説明した。しかしながら、第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度の方が高く設定されている場合は、ファクシミリ装置220との通信を待たせる制御を行う。
【0108】
すなわち例えば、TNRやRNR信号を使ってフロー制御を行い、画像データの送受信を待機させるやり方などが用いられる。
【0109】
〔通信経路の判別動作〕
次に、ファクシミリ装置100において、インターネットを経由したIP−FAX通信の相手端末が、公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを判別する処理について説明する。
【0110】
まず、第1の判別方法としては、ファクシミリ装置100の内部メモリ(例えば、RAM103など)に相手端末の情報を登録しておく方法がある。
【0111】
すなわち、相手端末へ発呼するための電話番号やIPアドレスなどを登録する際に、属性情報として各端末が公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを示す情報を登録しておく。
【0112】
これにより、ファクシミリ装置100が発呼する時に用いた宛先情報、または着呼したときに相手端末から通知される発信元情報に基づいて、相手端末の種別を判定することができる。これにより、上述した第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信であるか、または第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信であるか、を判別することが可能となる。そして、この判別の結果に基づいて、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信と第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出することができる。
【0113】
また、第2の判別方法としては、SIPプロトコルのINVITEメッセージ情報を利用する例もある。図6は、ファクシミリ装置100において実行される、SIPプロトコルを用いた通信手順を説明する図である。ここでは、SIPサーバによりSIPプロトコルを使って、送信側端末と受信側端末との呼を接続する場合について説明する。
【0114】
図6において、送信機と受信機はそれぞれのSIPサーバを経由してINVITEメッセージやOKメッセージを送受信してその呼(セッション)を接続する。ACKメッセージが直接、発呼側から送信し非呼側で受信されたら、Media Sessionを行う。ここでは、Media SessionはITU−T勧告T.38に従ったIP−FAX通信であるとする。Media Sessionが終了すると、BYE、OKメッセージの送受信でその呼(セッション)は切断される。
【0115】
図7は、ファクシミリ装置100が受信したInviteメッセージの内容を示す図である。図7において、行L5におけるFrom.Alice <sip:alice@atlanta.com>;…がInviteメッセージを発信した相手であることを識別することができる。
【0116】
この相手情報により、メイン制御部101が、発呼してきた端末がファクシミリ装置なのか、またはゲートウェイ装置なのかを判別することができる。
【0117】
すなわち、ファクシミリ装置のRAM103にゲートウェイ装置を特定するための情報を登録しておき、Inviteメッセージが届いたら登録された情報を参照して判別を行う。
【0118】
さらには、ゲートウェイ装置230を特定することが可能な情報をメモリに登録できるようにしておいて、ゲートウェイ装置230からInviteメッセージを受信したら、そのファクシミリ通信は第1種の通信経路を用いていると判別するようにしてもよい。
【0119】
また、ファクシミリ装置210を特定するような情報を登録できるようにしておき、ファクシミリ装置210からInviteメッセージを受信したら、そのファクシミリ通信は第2種の通信経路を用いていると判別するようにしてもよい。
【0120】
また、第3の判別方法としては、ファクシミリ通信手順の中でインターネットを経由したファクシミリ通信の相手端末の種別を判別するようにしても良い。この場合は、DIS、DCS、NSF、NSSなどのメッセージを使って、その中のフィールドに端末種別情報を挿入することによって、その情報を受信したファクシミリ装置100は判別を行うことができる。
【0121】
図8は、ファクシミリ装置100における上述した第1〜第3の制御動作を含む一連の制御動作を示すフローチャートである。
【0122】
ここでは、ファクシミリ装置100がファクシミリ装置210との通信中に、ファクシミリ装置230とのゲートウェイ装置230を介した通信処理を並列的に処理する通信処理例である。
【0123】
なお、S1〜S19は各ステップを示す。また、各ステップは、メイン制御部101がROM102に記憶された通信制御プログラムをRAM103にロードして実行することで実現される。
【0124】
ファクシミリ装置100は、S1で、通信要求の受信を監視して、通信要求を受信したら、S2で、メイン制御部101がその通信要求元の相手がファクシミリ装置210であるかを通信プロトコルから判別する。ここで、ファクシミリ装置210でないと判別した場合は、S5へ進む。
【0125】
一方、S2で、メイン制御部101がファクシミリ装置210からの通信要求であると判別した場合は、S3で、上述した通信経路Aのように、インターネットを経由して直接ファクシミリ装置210とIP−FAX通信を行う。ここではファクシミリ装置100からの送信であるか、ファクシミリ装置210からの送信であるかは問わない。この時に、図3に示すF1で、タイマ制御値は通常の値(TM1)が設定されているものとする。
【0126】
その後、S4で、メイン制御部101がネットワーク制御部108を介してファクシミリ装置210との通信中に、さらに、ネットワーク制御部108を介して他の通信要求があるかどうかを判別する。ここで、他の通信要求がないと判別した場合は、S3に戻る。
【0127】
一方、S4で、メイン制御部101がネットワーク制御部108を介して他の通信要求があると判別した場合は、S5で、その通信要求先がゲートウェイ装置230を介して接続されたファクシミリ装置220であるか否かを判別する。
【0128】
ここで、ゲートウェイ装置230を介して接続されたファクシミリ装置220でないと判別した場合は、他の通信を行う。なお、メイン制御部101は、ファクシミリ装置220とはゲートウェイ装置230を経由して、IP−FAX通信及びG3FAX通信を含むファクシミリ通信の開始処理を行う。
【0129】
一方、S5で、メイン制御部101がゲートウェイ装置230を介して接続されたファクシミリ装置220との通信であると判別した場合は、S6で、メイン制御部101が通信種別をプロトコルに基づいて判別する。
【0130】
次に、ファクシミリ装置100のメイン制御部101は、同時動作させる通信の優先度判別処理を行う。そして、S7で、RAM103に記憶されている優先度テーブルを参照して、第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信または第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信のいずれの優先度が高く設定されているかを判別する。
【0131】
ここで、メイン制御部101が判別した第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先順位が高いと判別した場合は、S9で、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置210に対して、タイマ制御変更通知をメイン制御部101の制御で行う。
【0132】
一方、S8で、メイン制御部101が判別した第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先順位が低いと判別した場合は、S17で、ファクシミリ装置210との通信終了を監視する。
【0133】
このとき、ファクシミリ装置220との通信は待機させている。そして、ファクシミリ装置210との通信を終了したら、S18で、ゲートウェイ装置230を経由して、ファクシミリ装置220と通信を行う。そして、S19で、ファクシミリ装置220との通信の終了を監視する。そして、ファクシミリ装置220との通信を終了したら、S1に戻る。
【0134】
一方、S10では、S9でファクシミリ装置100から通知されるタイマ制御変更通知に対して、ファクシミリ装置210からOK応答を受信するのを監視する。
【0135】
そして、ファクシミリ装置210からOK応答を受信したら、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置220はタイマ制御値をTM2に変更した状態でIP−FAX通信を行う。
【0136】
なお、ここで、タイマ制御値TM2はIP−FAX通信の通常のタイマ制御値TM1よりも大きいものとする(TM1<TM2)。
【0137】
そして、S11で、ファクシミリ装置100は、ファクシミリ装置210との通信と並行して、ファクシミリ装置220と通信するためにゲートウェイ装置230と通信を行う。
【0138】
そして、S12で、ファクシミリ装置100はファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を終了するのを監視する。そして、ファクシミリ装置220とのファクシミリ通信を終了したら、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置220はゲートウェイ装置230を経由してファクシミリ通信の終了処理を行う。
【0139】
すなわち、EOP(メッセージ後命令)、MCF(メッセージ後応答)、DCN(切断命令)メッセージのやり取りやSIPプロトコルのByeのやり取りを行う。
【0140】
その後、S12で、ファクシミリ装置100のメイン制御部101は、ファクシミリ装置210に対して、タイマ制御戻し通知を行う。
【0141】
そして、ファクシミリ装置210はタイマ制御の戻しが受けられる状態になったら、それに対するOKをファクシミリ装置100へ返してくるので、S14で、OK応答を受信したら、S15で、ファクシミリ装置100とファクシミリ装置210はタイマ制御値をTM2に戻してIP−FAX通信を継続する。
【0142】
これにより、ファクシミリ装置100において、複数のIP−FAX通信やG3FAX通信とを同時に行う場合に、ファクシミリ装置100内部の処理が増えて、パフォーマンスが落ちたり、通信ができなくなったりする事態を回避できる。
【0143】
そして、S16で、メイン制御部101は、ファクシミリ装置210との通常のデータ通信が終了したかどうかを判別する。ここで、メイン制御部101がファクシミリ装置210との通常のデータ通信が終了していないと判別した場合は、S15へ戻り、ファクシミリ装置210との通常のデータ通信が終了していると判別した場合は、S1へ戻り、次のデータ通信要求を待機する。
【0144】
なお、S9における処理を、第2の制御動作として上述したように、データ通信待機通知処理等に変更し、S13における処理を、データ通信開始通知処理に変更するようにしてもよい。
【0145】
〔第2実施形態〕
なお、上記第1実施形態では、メイン制御部101がRAM103に保持する優先度テーブルに第1種の通信経路を用いたファクシミリ通信または第2種の通信経路を用いたファクシミリ通信の優先度のいずれを高くするかをユーザがあらかじめ設定可能な場合について説明した。
【0146】
しかしながら、ネットワークに接続される環境や、ユーザの通信環境に適応して、設定した優先度を変更する必要が生じる場合がある。
【0147】
そこで、ユーザが優先度テーブルに設定されている優先度を書き換え可能に構成できることが望ましい。
【0148】
また、他のデータ通信装置との通信履歴を時間経過とともにモニタして、動的に優先度テーブルに設定されている優先度を書き換え可能に構成できることはさらに望ましい。
【0149】
〔第3実施形態〕
以下、図9に示すメモリマップを参照して本発明に係るファクシミリ装置で読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0150】
図9は、本発明に係るファクシミリ装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【0151】
なお、特に図示しないが、記憶媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0152】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、各種プログラムをコンピュータにインストールするためのプログラムや、インストールするプログラムが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0153】
本実施形態における図8に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0154】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0155】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0156】
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0157】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0158】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0159】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
【0160】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0161】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけではない。例えばそのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行う。そして、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0162】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込ませる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0163】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0164】
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の第1実施形態を示すファクシミリ装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示すファクシミリ装置を含むシステムの構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施形態を示すファクシミリ装置における第1の制御動作の一例を示す図である。
【図4】本実施形態を示すファクシミリ装置における第2の制御動作の一例を示す図である。
【図5】本実施形態を示すファクシミリ装置における第3の制御動作の一例を示す図である。
【図6】本実施形態を示すファクシミリ装置におけるSIPサーバを用いた通信手順を説明するための図である。
【図7】図1に示したファクシミリ装置が受信するInviteメッセージの内容を示す図である。
【図8】本実施形態を示すファクシミリ装置におけるファクシミリ通信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係るファクシミリ装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【符号の説明】
【0166】
101 メイン制御部
102 ROM
103 RAM
104 操作部
105 読み取り部
106 印刷部
107 符号/復号化部
108 ネットワーク制御部
109 アナログFAX制御部
110 ネットワーク
16 PSTN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆回線を含む第1の通信経路または公衆回線を含まない第2の通信経路を用いて、相手端末とファクシミリ通信を実行する通信手段と、
前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出手段と、
前記検出手段が、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、いずれのファクシミリ通信を優先させるかを選択する選択手段と、
前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信または前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信のうち、前記選択手段により選択されたファクシミリ通信を優先するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記通信手段により実行されるファクシミリ通信に用いられるデータを処理する処理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記選択手段により選択されたファクシミリ通信に用いられるデータを優先して処理するよう前記処理手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記選択手段により前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信が選択された場合に、前記制御手段は更に、前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信のタイマ制御値を変更することを特徴とする請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記選択手段により選択されなかったファクシミリ通信の実行を待機させることにより、前記選択手段により選択されたファクシミリ通信を優先して実行させることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記第1の通信経路は公衆回線からなり、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信とは、ITU−T勧告T.30規格に従って実行されるファクシミリ通信であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記第1の通信経路は公衆回線、及び、インターネットまたはLANを含み、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信とは、ITU−T勧告T.30規格に従って実行されるファクシミリ通信及びITU−T勧告T.38規格に従って実行されるファクシミリ通信を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記第2の通信経路は、インターネットまたはLANからなり、前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とは、ITU−T勧告T.38規格に従って実行されるファクシミリ通信であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記通信手段は、インターネットまたはLANを介して実行されるリアルタイム型インターネットファクシミリ通信を実行することが可能であって、
前記検出手段は、前記通信手段により並列して実行される複数のリアルタイム型インターネットファクシミリ通信におけるそれぞれの相手端末が、公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを判定することにより、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
相手端末とファクシミリ通信を実行する通信手段と、
前記相手端末が、公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果に基づいて、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出手段と、
前記検出手段が、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信を優先するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項10】
前記通信手段により実行されるファクシミリ通信に用いられるデータを処理する処理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信に用いられるデータを、優先して処理するよう前記処理手段を制御することを特徴とする請求項9に記載のファクシミリ装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信のタイマ制御値を変更することを特徴とする請求項10に記載のファクシミリ装置。
【請求項12】
前記通信手段により実行されるファクシミリ通信とは、ITU−T勧告T.38規格に従って実行されるリアルタイム型インターネットファクシミリ通信であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項13】
公衆回線を含む第1の通信経路または公衆回線を含まない第2の通信経路を用いて、相手端末とファクシミリ通信を実行する通信工程と、
前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出工程と、
前記検出工程で、前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信と前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、いずれのファクシミリ通信を優先させるかを選択する選択工程と、
前記第1の通信経路を用いたファクシミリ通信または前記第2の通信経路を用いたファクシミリ通信のうち、前記選択工程で選択されたファクシミリ通信を優先するよう制御する制御工程と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置の制御方法。
【請求項14】
相手端末とファクシミリ通信を実行する通信工程と、
前記相手端末が、公衆回線に接続されているか、または、インターネットまたはLANに接続されているかを判定する判定工程と、
前記判定工程における判定の結果に基づいて、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出する検出工程と、
前記検出工程で、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信と、前記インターネットまたはLANに接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信とが競合していることを検出した場合に、前記公衆回線に接続された相手端末に対して実行されているファクシミリ通信を優先するよう制御する制御工程と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置の制御方法。
【請求項15】
請求項13または14のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項13または14のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−131445(P2008−131445A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315450(P2006−315450)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】