説明

ファクシミリ装置

【課題】相手先装置が対応できる符号化方式の符号化画像データを好適に生成可能な、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ファクシミリ装置は、受信された相手先装置からの能力信号から相手先装置の受信機能力情報を取得し(S106,S122)、読み取られた原稿に対応する画像データから、受信機能力情報によって特定される符号化方式で符号化された符号化画像データを生成し、記憶する(S112,S124)。ファクシミリ装置は、受信機能力情報が取得された場合、相手先装置との通信が行われていない状態とし、符号化画像データが、記憶された場合、記憶された符号化画像データを、通信回線網を介して、相手先装置にファクシミリ送信する(S114)。ファクシミリ装置は、相手先装置との通信が行われていない状態で原稿の読み取りを開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ファクシミリ装置等に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1のFAX送信処理では、通信相手装置から受信したDIS信号等に含まれる情報に基いて、通信相手装置の受信能力が送信条件を満たさないと判断されると、記憶されている符号化された原稿データが読み出され、復号された後、通信相手装置の能力に合わせて、解像度、原稿サイズ、カラー原稿を白黒原稿に変換するなどの処理が行われる。変更された画像データは、符号化され、画像メモリに記憶される。また、特許文献2の印刷システムは、印刷装置端末として機能する2台の画像処理装置と、これらが接続されているIPネットワークからなる。画像処理装置は、それぞれ、IPネットワークを構築する2台のSIPプロキシー・サーバーに接続されている。この印刷システムにおいて、IPネットワークは、例えば、次世代ネットワーク(NGN)として構成されており、SIPプロキシー・サーバーやロケーション・サーバーなどにより構築されている。
【0003】
なお、市外局番から始まる電話番号を利用した帯域確保型のデータ通信サービスが提供されている(例えば、非特許文献1参照)。このサービスにはNGNが利用される。また、「NGNを利用するT.38ベースのIP化FAX接続インプリメント仕様」が策定されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−294879号公報
【特許文献2】特開2010−219689号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】東日本電信電話株式会社、“News Release 「ひかり電話」を利用した帯域確保型データ通信サービス 「データコネクト」の提供および大容量・多チャネルでの通信を実現する「ひかり電話ナンバーゲート」の提供について”、[online]、平成22年5月31日、[平成23年3月5日検索]、インターネット< http://www.ntt-east.co.jp/release/1005/100531e.html >
【非特許文献2】株式会社ソフトフロント、“NGNを利用するT.38ベースのIP化FAX接続インプリメント仕様”、[online]、2010年2月1日、[平成23年3月17日検索]、インターネット< http://www.softfront.co.jp/tech/lib/100201_specification-IPFAX.pdf >
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、送信先となるファクシミリ装置(相手先装置)とファクシミリ通信を行う場合、送信元のファクシミリ装置では、読み取られた原稿に対応する画像データは、符号化された形式で送信される。その際、送信元のファクシミリ装置と、相手先装置との間では、ファクシミリ送信に用いる符号化方式がネゴシエーションされる。送信元のファクシミリ装置は、このネゴシエーションによって決定された符号化方式で、符号化された符号化画像データを生成し、これを送信する。ここで、符号化画像データを送信する方法には、リアルタイム送信と、メモリ送信とがある。先ず、リアルタイム送信について説明する。リアルタイム送信では、原稿の読み取りと、符号化と、送信といった一連の処理が並行して行われる。このような各処理のうち、原稿の読み込み及び符号化は、処理に長い時間を要する。そのため、リアルタイム送信は、ファクシミリ送信に要する時間が長くなってしまう。例えば、上述したような帯域確保型のデータ通信サービスが利用される場合、高速通信のメリットが失われる。なお、NGNが利用された帯域確保型のデータ通信サービスにおける通信速度は、64kbps、512kbps、1Mbps程度である。
【0007】
次に、メモリ送信について説明する。送信元のファクシミリ装置において、モノクロ送信が選択されている場合のメモリ送信では、原稿の読み取りと、圧縮率の高い例えばMMRによる符号化と、符号化画像データの記憶部への記憶(蓄積)といった一連の処理が行われる。その後、全ての原稿を対象として、符号化画像データが記憶部に記憶された状態で、リアルタイム送信と同様、ネゴシエーションが行われる。ネゴシエーションの結果、相手先装置が、MMRに対応していないファクシミリ装置であると、送信元のファクシミリ装置では、MMRによる符号化画像データが復号化される。続けて、復号化された画像データは、相手先装置が対応している符号化方式で再符号化される。その後、再符号化された符号化画像データが送信される。従って、リアルタイム送信と同様、処理に要する時間が長くなる。なお、モノクロ送信の場合の符号化方式としては、例えば、圧縮率の高い順に、MMR、MR、MHが採用される。また、JBIGによる符号化方式が採用される場合もある。
【0008】
カラー送信が選択されている場合のメモリ送信では、先ず、原稿の読み取りと、JPEGによる符号化と、符号化画像データの記憶部への記憶(蓄積)といった一連の処理が行われる。その後、全ての原稿を対象として、符号化画像データが記憶部に記憶された状態で、上記と同様、ネゴシエーションが行われる。ネゴシエーションの結果、相手先装置が、カラー送信に対応していないファクシミリ装置であると、例えば、送信エラーとされる。この他、JPEGによる符号化画像データが復号化され、復号化された画像データは、モノクロ変換された後、モノクロに対応した符号化方式で再符号化される。その後、再符号化された符号化画像データが送信される。従って、上述した場合と同様、処理に要する時間が長くなる。
【0009】
本発明は、相手先装置が対応できる符号化方式の符号化画像データを好適に生成可能な、ファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、通信回線網に接続された相手先装置に、読み取られた原稿に対応する画像データを符号化した符号化画像データをファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、データを記憶する記憶部と、原稿を読み取る読取部と、通信回線網に接続される通信部と、前記通信部を制御する通信制御部と、前記通信制御部によって前記通信部で受信された相手先装置からの能力信号から、相手先装置が受信できる符号化画像データの符号化方式のための受信機能力情報を取得する取得部と、前記読取部で読み取られた原稿に対応する画像データから、前記取得部で取得された受信機能力情報によって特定される符号化方式で符号化された符号化画像データを生成する生成部と、前記生成部で生成された符号化画像データを、前記記憶部に記憶する記憶制御部と、を有し、前記通信制御部は、前記取得部で受信機能力情報が取得された場合、前記通信部による相手先装置との通信が行われていない状態とし、前記生成部で生成された符号化画像データが、前記記憶制御部によって前記記憶部に記憶された場合、前記通信部を制御し、前記記憶部に記憶された符号化画像データを、通信回線網を介して、相手先装置にファクシミリ送信し、前記読取部は、前記通信制御部によって前記通信部による相手先装置との通信が行われていない状態で、原稿の読み取りを開始する、ファクシミリ装置である。これによれば、メモリ送信時、相手先装置の受信機能力情報を取得し、相手先装置との通信が行われていない状態で、原稿を読み取り、相手先装置が対応できる適切な符号化画像データを生成することができるため、従来のように相手先の受信能力が異なっていた場合の再符号化処理を行う必要がない。その結果、確保した帯域を有効利用できる。
【0011】
このファクシミリ装置は、次のような構成とすることもできる。通信回線網は、IPネットワークによって構成され、前記通信制御部は、前記通信部を制御し、前記取得部で取得される受信機能力情報を含む第一の能力信号を、第一のプロトコルに従った手順によって受信し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得された場合、第一のプロトコルに従った手順によって前記通信部による通信の中断を制御し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得されない場合、第一のプロトコルに従った手順による通信を終了させた状態で、受信機能力情報を含む第二の能力信号を、第二のプロトコルに従った手順によって受信する、ようにしてもよい。これによれば、好適に、相手先装置の受信機能力情報を取得することができる。第一のプロトコルに従った手順による通信を中断又は終了し、この通信が行われていない状態とすることができる。なお、第一のプロトコルとしては、所定のサーバを介した通信を行うためのプロトコルが例示される。第二のプロトコルとしては、所定のサーバを介さず、ファクシミリ送信の送信元及び送信先の両装置で、直接、通信を行うためのプロトコルが例示される。
【0012】
また、前記通信制御部は、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得された場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を中断するための第一の中断信号を、前記相手先装置に送信し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得されない場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を終了するための終了信号を、前記相手装置に送信する、ようにしてもよい。これによれば、好適に、第一のプロトコルに従った手順による通信を中断又は終了し、この通信が行われていない状態とすることができる。
【0013】
また、前記通信制御部は、第二のプロトコルに従った手順によって第二の能力信号が受信された場合、第二のプロトコルに従った手順によって前記通信部による通信の中断を制御する、ようにしてもよい。これによれば、好適に、第二のプロトコルに従った手順による通信を中断し、この通信が行われていない状態とすることができる。
【0014】
また、前記通信制御部は、第二のプロトコルに従った手順によって第二の能力信号が受信された場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を中断するための第二の中断信号を、前記相手先装置に送信する、ようにしてもよい。これによれば、好適に、第二のプロトコルに従った手順による通信を中断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、相手先装置が対応できる符号化方式の符号化画像データを好適に生成可能な、ファクシミリ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ファクシミリ通信システムの一例、及び、ファクシミリ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】第一実施例の処理のシーケンス図である。
【図3】(A)はINVITEメッセージのSDPの一例を示す図である。(B)は第一実施例の200OKメッセージのSDPの一例を示す図である。
【図4】第二実施例及び第三実施例の各処理のシーケンス図である。
【図5】(A)は第二実施例の200OKメッセージのSDPの一例を示す図である。(B)は第三実施例の200OKメッセージのSDPの一例を示す図である。
【図6】送信元のファクシミリ装置で実行されるメイン処理のフローチャートである。
【図7】受信機能力取得処理のフローチャートである。
【図8】符号化画像データ送信処理のフローチャートである。
【図9】公衆電話交換回線網によって実現される処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
【0018】
<ファクシミリ通信システム>
ファクシミリ通信システム(FAX通信システム)1について、図1を参照して説明する。図1に示すFAX通信システム1は、次世代ネットワーク(NGN(Next Generation Network)。以下、「NGN」という。)網3によって構築される。具体的に、FAX通信システム1は、例えば上述した非特許文献1に示されるような、市外局番から始まる電話番号(以下、「ダイヤル番号」という。)を利用した帯域確保型のデータ通信サービスによって構築される。即ち、FAX通信システム1は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社によって既に提供されている、帯域確保型のデータ通信サービスによって構築される。この帯域確保型のデータ通信サービスは、データコネクト(登録商標)と称されている。NGN網3を利用した帯域確保型のデータ通信サービスは、既に実用化された技術であるため、その説明は、省略する。
【0019】
FAX通信システム1は、図1に示すように、少なくとも、送信元となるファクシミリ装置(FAX装置)10と、送信先(受信側)となるファクシミリ装置(以下、「相手先装置」という。)50とを含む。また、FAX通信システム1は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ80を含む。FAX装置10と、相手先装置50と、SIPサーバ80とは、NGN網3に接続されている。この他、図1に示す例では、FAX通信システム1は、交換機90を含む。FAX装置10と相手先装置50とは、交換機90によって構成された公衆電話交換回線網(PSTN(Public Switched Telephone Networks)。以下、「PSTN」という。)5にも接続されている。交換機90は、既に実用化された構成であるため、その説明は、省略する。
【0020】
<FAX装置>
FAX装置10は、T.38ベースのIPFAX(Internet Protocol FAX。以下、「T.38FAX」という。)通信と、一般FAX通信とを行うための機能を有する。なお、T.38は、IPプロトコルを用いて、G3FAX通信を行うための伝送制御プロトコルである。T.38FAX通信は、SIPURI(SIP Uniform Resource Identifier)を用いて、NGN網3を介して、符号化された画像データ(以下、「符号化画像データ」という。)を通信(送受信)するものである。一般FAX通信は、PSTN5を介して、符号化画像データを通信(送受信)するものである。T.38FAX通信及び一般FAX通信では、ダイヤル番号が用いられる。ダイヤル番号としては、例えば、0ABJやE.164形式が例示され、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社から割り当てられる。
【0021】
本実施形態では、NGN網3によって実現され、T.38FAX通信によって、符号化画像データを、相手先装置50にファクシミリ送信(以下、「T.38FAX送信」という。)する場合を例に説明する。PSTN5を介して実現され、一般FAX通信によって、符号化画像データを、相手先装置50にファクシミリ送信(以下、「一般FAX送信」という。)する構成については、後述する。FAX装置10は、カラー及びモノクロの両方を対象とする。例えば、カラー画像を対象としたカラーファクシミリ送信(以下、「カラー送信」という。)と、モノクロ画像を対象としたモノクロファクシミリ送信(以下、「モノクロ送信」という。)との両方を行うことができる。なお、T.38FAX送信及び一般FAX送信の何れについても、カラー送信及びモノクロ送信を行うことができる。
【0022】
FAX装置10は、図1に示すように、表示部12と、操作部14と、読取部16と、印刷部18と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)20と、PSTNインターフェース(PSTN I/F)22とを有する。FAX装置10は、CPU30と、プログラムROM32と、RAM34と、フラッシュROM36とを有する。これら各部12〜36は、バスライン26に接続されている。表示部12は、諸情報を表示するためのディスプレイである。操作部14は、複数のキーによって構成される。操作部14は、0〜9等のテンキー、カラースタートキー、モノクロスタートキー、選択キー及び停止キー等で構成される。テンキーは、例えば、ダイヤル番号を入力する際に押下される。カラースタートキーは、カラー送信を行う際に、モノクロスタートキーは、モノクロ送信を行う際に、それぞれ、押下される。選択キーは、所定の選択肢を選択等する際に押下される。停止キーは、開始された処理又は動作等を、停止等させる際に押下される。ユーザは、操作部14を構成する各種の処理に対応付けられたキーを操作することで、各種の指示をFAX装置10に入力することができる。
【0023】
読取部16は、CIS(Contact Image Sensor)又はCCD(Charge Coupled Devices)のスキャン機構を有する。読取部16は、原稿を読み取る(スキャンする)ことによって、読み取られた原稿に対応した画像データを生成する。印刷部18は、インクジェット方式又はレーザ方式等の印刷機構を備え、FAX装置10で受信等された画像データ(符号化画像データ)に対応した画像を、記録用紙に印刷する。ネットワークI/F20は、NGN網3に接続され、FAX装置10をNGN網3に接続する。PSTN I/F22は、PSTN5に接続され、FAX装置10をPSTN5に接続する。なお、FAX装置10に、パーソナルコンピュータ等の外部装置と接続するための外部インターフェースを設けてもよい。外部装置が接続された通信ケーブルが、外部インターフェースに接続されたとき、FAX装置10と外部装置とは、データ通信可能となる。
【0024】
CPU30は、演算処理を実行する。プログラムROM32は、後述するような各種の処理等のためのコンピュータプログラムを記憶する。RAM34は、CPU30が各種のコンピュータプログラムを実行する際に利用される記憶領域となる。CPU30は、プログラムROM32に記憶された各種のコンピュータプログラムを実行する等して、FAX装置10を制御する。これによって、FAX装置10では、各種の処理及び機能が実現される。フラッシュROM36は、各種のデータを記憶する。例えば、フラッシュROM36には、相手先装置50に関連付けて、相手先装置50のダイヤル番号等が登録されたアドレス帳データベースが記憶される。また、SIPサーバ80のドメイン名が記憶される。ユーザは、操作部14等を介して、相手先装置50を含む受信側のFAX装置のダイヤル番号等をアドレス帳データベースに登録し、また、SIPサーバ80のドメイン名を記憶させる。本実施形態では、相手先装置50には、ダイヤル番号として「xxxyyyzzzz」が割り当てられ(図1参照)、SIPサーバ80のドメイン名は、「sipuri.com」であるとする。従って、相手先装置50のSIPURIは、ダイヤル番号とドメイン名とが組み合わされた「xxxyyyzzzz@sipuri.com」となる(図1参照)。
【0025】
相手先装置50は、FAX装置10と同じく、カラー及びモノクロの両方を対象としたタイプと、モノクロのみ対象としたタイプとに分けられる。相手先装置50は、FAX装置10と同様の構成を有するFAX装置であり、図1に示すように、FAX装置10の各部12〜36に対応する、各部52〜76を有する。そのため、相手先装置50に関する説明は、省略する。
【0026】
<SIPサーバ>
SIPサーバ80は、NGN網3を制御する。SIPサーバ80は、FAX装置10のIPアドレス及びSIPURIを対応付けて記憶し、また、相手先装置50の、IPアドレス及びSIPURIを対応付けて記憶している。SIPサーバ80は、SIPを用いて、FAX装置10と相手先装置50との間の通信を制御する。T.38FAX送信において、FAX装置10と相手先装置50との間でSIPに従った手順に基づく各種の信号は、SIPサーバ80を経由して送受信される。
【0027】
<処理シーケンス>
FAX通信システム1において、FAX装置10と、相手先装置50と、SIPサーバ80とによって行われる処理について、3つの実施例を説明する。なお、以下に示す第一実施例及び第二実施例は、何れも、送信元のFAX装置10において、カラー送信が選択されると共に、送信方法としてメモリ送信が行われる場合に基づいたものである。一方、第三実施例は、送信元のFAX装置10において、モノクロ送信が選択される場合に基づいたものである。なお、メモリ送信である点については、第一実施例及び第二実施例と同様である。図2に示す符号「(A)」〜「(I13)」は、以下の説明における手順(A)〜手順(I13)に対応し、図4に示す符号「(J)」〜「(O13)」は、以下の説明における手順(J)〜手順(O13)に対応する。
【0028】
<第一実施例>
第一実施例について、図2及び図3等を参照して説明する。第一実施例のT.38FAX送信は、ユーザが、操作部14のテンキーを操作し、相手先装置50のダイヤル番号が入力され、その後、操作部14のカラースタートキーが押下された場合に開始される。相手先装置50のダイヤル番号は、ユーザが、操作部14の選択キー等を操作し、アドレス帳データベースに登録された相手先装置50のダイヤル番号を選択することで、入力することもできる。カラースタートキーの押下に応じて、FAX装置10では、フラッシュROM36からSIPサーバ80のドメイン名が読み出され、入力された相手先装置50のダイヤル番号と、読み出されたドメイン名とから、SIPURIが生成される。
【0029】
続けて、FAX装置10は、生成されたSIPURIを送信先として、SIPサーバ80に、「INVITE」を送信する(手順(A)参照)。SIPサーバ80のアドレスは、例えば、FAX装置10とデータ通信可能に接続されたDHCPサーバ(不図示)から取得される。INVITEメッセージは、SIPによる通信を開始する際に送信され、コール(セッション)に招待するためのメッセージ(メソッド)である。INVITEメッセージは、図3(A)に示すような、SDP(Session Description Protocol)に従って記述されたボディ部を含む。ここで、NGN網3のようなIPネットワーク上で通信を行うためには、先ず、相手先装置50を見つけ、通信開始のための手順に基づいて、呼び出しや応答を行う必要がある。SIPは、このような通信セッションの確立のために必要な機能を提供する。また、この通信を始めるためには、メディアデータを含んだパケットの符号化方式やパケットの宛先のアドレス等について、FAX装置10と相手先装置50との間でネゴシエーションを行う必要がある。SDPは、このネゴシエーションに必要となる記述言語である。SDPは、SIPと共に利用されて、通信のためのメディアパケット伝送に必要な能力交換を行う機能を提供する。INVITEメッセージは、T.38FAX通信に関する情報を含む(図3(A)の「m=」行及び「a=」行参照)。具体的に、「m=application 9 TCP t38」は、T.38FAX通信を定義するための記述である。「a=T38FaxVersion:1」は、T.38FAX通信のバージョンを定義するための記述である。「a=T38FaxRateManagement:localTCP」は、使用するプロトコルがTCPであることを定義するための記述である。なお、INVITEメッセージは、既に実用化されたSDPに従って記述されたメッセージである。そのため、図3(A)のINVITEメッセージに関するこの他の説明は、省略する。SIPサーバ80に送信された「INVITE」は、SIPサーバ80から相手先装置50に送信される(手順(A)参照)。
【0030】
「INVITE」を受信した相手先装置50は、これに応じて、「180 Ringing」を送信する(手順(B)参照)。180Ringingは、送信されたリクエスト、具体的には、「INVITE」を受信し、処理中であることを示す応答コードである。その後、相手先装置50は、「200 OK」を送信する(手順(C)参照)。200OKメッセージは、リクエストとしてのINVITEメッセージが理解され、受け入れられたことを示す応答コードである。200OKメッセージは、例えば図3(B)に示すような、SDPに従った記述を含む。200OKメッセージは、図3(A)の場合と同様、T.38FAX通信に関する情報を含む(図3(B)に記述された「m=」行及び「a=」行参照)。例えば、「m=application 49152 TCP t38」は、T.38FAX通信の了解を定義するための記述である。なお、200OKメッセージは、上述した通り、既に実用化されたSDPに従って記述された応答コードである。そのため、図3(B)の200OKメッセージに関する詳細な説明は、省略する。FAX装置10は、相手先装置50から、SIPサーバ80を経由して送信される「180 Ringing」及び「200 OK」を受信する(手順(B),(C)参照)。「200 OK」を受信した後、FAX装置10は、生成されたSIPURIを送信先として、SIPサーバ80に、「ACK」を送信する(手順(D)参照)。ACKは、INVITEメッセージに対する応答を受け取ったことを通知するためのメッセージ(メソッド)である。送信された「ACK」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信され、相手先装置50は、この「ACK」を受信する(手順(D)参照)。手順(A)〜(D)は、SIPに従って行われる。この「ACK」の送受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間のSIPによる通信は、終了する。
【0031】
「ACK」を受信した後、相手先装置50は、「DIS」を送信する(手順(E)参照)。DISには、相手先装置50の受信能力を示す情報(以下、「受信機能力情報」という。)が含まれる。例えば、DISは、受信能力として、画像データの符号化方式に対応する復号化能力に関する受信機能力情報を含む指令である。なお、「DIS」を送信した相手先装置50がJPEGに対応している(JPEGの復号化能力を有する)場合、相手先装置50は、カラー画像データの受信能力(カラー受信能力)を有する。FAX装置10は、相手先装置50から送信された「DIS」を受信する(手順(E)参照)。その後、FAX装置10は、相手先装置50に「DCN」を送信し、相手先装置50は、この「DCN」を受信する(手順(F)参照)。DCNは、接続解除を通知するための指令である。手順(E),(F)は、T.38に従って、SIPサーバ80を介さず、FAX装置10と相手先装置50との間で、直接行われる。この「DCN」の送受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間のT.38による通信は、中断(終了)する。続けて、FAX装置10は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に「BYE」を送信する(手順(G)参照)。BYEは、INVITEメッセージによるコールを終了することを通知するためのメッセージ(メソッド)である。「BYE」を受信した相手先装置50は(手順(G)参照)、これに対応する「200 OK」を、SIPサーバ80を経由して、FAX装置10に送信する(手順(H)参照)。FAX装置10は、「200 OK」を受信する。手順(G),(H)は、SIPに従って行われる。この「200 OK」の送受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間のSIPによる通信は、終了する。以上の手順(A)〜(H)によって、FAX装置10は、相手先装置50の受信機能力情報を取得し、T.38FAX送信に関する符号化方式等がネゴシエーションされる。
【0032】
次に、FAX装置10では、自装置にセットされた原稿の読み取りが、読取部16で開始され、読み取られた原稿に対応した画像データが生成される。FAX装置10では、読取部16で読み取られた原稿に対応した画像データから、取得された受信機能力情報によって特定される共通の符号化方式で符号化された符号化画像データが生成される。生成された符号化画像データは、RAM34上に記憶される。相手先装置50がJPEGに対応し、カラー受信能力を有することが特定されたとする。この場合、FAX装置10では、原稿がカラーで読み取られ、RAM34上には、カラーの符号化画像データ(カラー符号化画像データ)が記憶される。なお、カラー符号化画像データは、具体的には、JPEGデータである。ところで、操作部14のカラースタートキーの押下に対して、相手先装置50が、カラー受信能力を有していない場合、FAX装置10では、次のような処理が行われる。即ち、原稿がモノクロで読み取られ、手順(E)で受信した「DIS」によって特定される共通の符号化方式で符号化されたモノクロの符号化画像データ(モノクロ符号化画像データ)が、RAM34上に記憶される。この他、送信エラーとしてもよい。この点に関する説明は、後述する。
【0033】
FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが全て終了した場合、記憶されたカラー符号化画像データ等を、相手先装置50に送信するための処理が開始される。具体的に、FAX装置10は、生成されたSIPURIを送信先として、「INVITE」を送信する。SIPサーバ80は、この「INVITE」を、相手先装置50に送信し、相手先装置50は、これを受信する(手順(I1)参照)。その後、図2に示すような、手順(I2)〜(I13)が、順次行われ、各手順において、対応する信号が送受信される。FAX装置10と相手先装置50との間の手順(I1)〜(I13)は、従来のT.38FAX送信と同様である。この点に関する説明は、図9を参照して、後述することとし、第一実施例において、その説明は、省略する。
【0034】
<第二実施例>
第二実施例について、図4及び図5(A)等を参照して説明する。この処理も、第一実施例と同様のユーザ操作によって開始される。従って、この点に関する説明は、省略する。FAX装置10と、SIPサーバ80と、相手先装置50との間では、処理が開始された後、順次、図4に示す手順(J)〜(L)が実行される。先ず、手順(J)では、第一実施例の手順(A)と同様の方法で、FAX装置10から、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に、「INVITE」が送信され、相手先装置50は、この「INVITE」を受信する。ここで、送受信される「INVITE」は、第一実施例の場合と同様、図3(A)に示すような、INVITEメッセージである。手順(J)におけるINVITEメッセージに関する説明は、上述した通りであり、省略する。続けて、「INVITE」を受信した相手先装置50は、受信に応じて、「180 Ringing」を、SIPサーバ80を経由して、FAX装置10に送信し(手順(K)参照)、その後、「200 OK」メッセージを送信する(手順(L)参照)。手順(K),(L)は、第一実施例の手順(B),(C)と同様の処理である。ここで、手順(L)における200OKメッセージは、第一実施例に係る図3(B)とは異なり、図5(A)に示すような、「a=fmtp:t38 DIS=ffc80120EEB8C4809180809800」を含む。この記述は、第一実施例の手順(E)で送受信される「DIS」に含まれる記述に対応する記述である。図5(A)における前述の「a=」によれば、FAX装置10は、第一実施例の手順(E)で受信した「DIS」から取得した受信機能力情報と同様の受信機能力情報を取得することができる。例えば、相手先装置50が対応する符号化方式(相手先装置50が有する復号化能力)に関し、JPEG、JBIG、MMR、MR及び/又はMHの何れに対応しているかを取得することができる。
【0035】
「200 OK」を受信した後、FAX装置10は、生成されたSIPURIを送信先として、SIPサーバ80に、「CANCEL」を送信する(手順(M)参照)。CANCELは、未応答のINVITEメッセージに対するリクエストをキャンセルするためのメッセージ(メソッド)である。送信された「CANCEL」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信され、相手先装置50は、この「CANCEL」を受信する(手順(M)参照)。「CANCEL」を受信した後、相手先装置50は、受信に応じて、「200 OK」を送信する(手順(N)参照)。FAX装置10は、相手先装置50から、SIPサーバ80を経由して送信される「200 OK」を受信する(手順(N)参照)。手順(J)〜(N)は、SIPに従って行われる。この「200 OK」の送受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間のSIPによる通信は、中断(終了)する。以上の手順(J)〜(N)によって、FAX装置10は、相手先装置50の受信機能力情報を取得し、T.38FAX送信に関する符号化方式等がネゴシエーションされる。第二実施例では、第一実施例と異なり、ネゴシエーションの段階において、T.38による通信が行われない。従って、T.38による通信が課金の対象であるような場合、課金されずに、相手先装置50の受信機能力情報を取得することができる。
【0036】
次に、FAX装置10では、自装置にセットされた原稿の読み取りが、読取部16で開始され、読み取られた原稿に対応した画像データが生成される。FAX装置10では、読取部16で読み取られた原稿に対応した画像データから、取得された受信機能力情報によって特定される共通の符号化方式で符号化された符号化画像データが生成される。生成された符号化画像データは、RAM34上に記憶される。この点については、第一実施例の場合と同様であるため、説明は、省略する。また、FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが全て終了した後に行われる手順(O1)〜(O13)は、それぞれ、第一実施例の手順(I1)〜(O13)に対応する処理であって、従来のT.38FAX送信と同様である。そのため、この点に関する説明は、第一実施例の場合と同様、図9を参照して、後述することとし、第二実施例においては、省略する。
【0037】
<第三実施例>
第三実施例は、上述した通り、モノクロ送信に対応した処理である。ただし、第三実施例も、上述した第二実施例と同様、図4に示す各手順(J)〜(O13)によって行われる。第三実施例と第二実施例の相違は、手順(L)にて、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50とFAX装置10との間で送受信される「200 OK」に含まれる記述(情報)である。この相違は、第三実施例がモノクロ送信に対応した処理であることに起因する。以下では、この点について説明し、その他に関する説明は、省略する。
【0038】
第二実施例に係る図5(A)の200OKメッセージには、上述した通り、第一実施例の手順(E)で送受信される「DIS」に含まれる記述に対応する記述が含まれる。これに対して、第三実施例に係る図5(B)では、対応する符号化方式に関し、「a=T38FaxTranscodingMMR」との記述が含まれる。この記述は、符号化方式のMMRに対応する復号化能力に関する受信機能力情報を定義するためのものである。また、「a=T38FaxTranscodingJBIG」との記述が含まれる。この記述は、符号化方式のJBIGに対応する復号化能力に関する受信機能力情報を定義するためのものである。このような2つの記述は、T.38FAX通信用として、SDPに新たに追加された規定に基づくものである。第三実施例の200OKメッセージによれば、受信能力(モノクロ受信能力)として、JBIG及びMMRの符号化方式に対応する復号化能力に関する受信機能力情報を定義することができる。第三実施例に係るこのような構成が採用される場合、FAX装置10では、図5(B)に示すような200OKメッセージが、手順(L)で受信されると、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データから、MMR又はJBIGで符号化されたモノクロ符号化画像データが生成され、RAM34上に記憶される。なお、この処理の開始に際し、操作部14のカラースタートキーが押下された状態で、図5(B)に示すような200OKメッセージが、手順(L)で受信された場合、例えば、モノクロ送信するかを、ユーザに問い合わせるようにするとよい。この点に関する説明は、後述する。
【0039】
<メイン処理>
T.38FAX送信が行われる際に、FAX装置10で実行されるメイン処理について、図6等を参照して説明する。メイン処理は、上述した第一実施例から第三実施例において、FAX装置10が行う各手順のための処理である。メイン処理は、FAX装置10のCPU30が、プログラムROM32に記憶されたメイン処理のためのコンピュータプログラムを、RAM34上で実行して行われる。メイン処理は、例えば、FAX装置10の電源がオンされた場合に開始される。メイン処理の開始に際し、ユーザは、FAX装置10に、送信対象の原稿をセットする。
【0040】
CPU30は、相手先装置50のダイヤル番号(図1に基づけば、「xxxyyyzzzz」)が入力されるまで待機する(S100:No)。ダイヤル番号が入力された場合(S100:Yes)、CPU30は、操作部14のカラースタートキーが押下されたかについて判断する(S102)。カラースタートキーが押下された場合(S102:Yes)、CPU30は、フラッシュROM36からSIPサーバ80のドメイン名を読み出し、読み出したドメイン名(上述した例に基づけば、「sipuri.com」)と、入力されたダイヤル番号とから、上述したようなSIPURI(図1に基づけば、「xxxyyyzzzz@sipuri.com」)を生成する(S104)。続けて、CPU30は、受信機能力取得処理を実行する(S106)。受信機能力取得処理は、上述したネゴシエーションに対応した処理であり、相手先装置50の受信機能力情報を取得するための処理である。受信機能力取得処理は、第一実施例の手順(A)〜(H)(図2参照)と、第二及び第三実施例の手順(J)〜(N)(図4参照)とに対応する。受信機能力取得処理の説明は、後述する。その後、CPU30は、S106の受信機能力取得処理の結果に従い、相手先装置50がカラー受信能力を有しているかについて判断する(S108)。相手先装置50の受信能力は、図7に示す受信機能力取得処理のS208又はS218で、RAM34又はフラッシュROM36に保存された受信機能力情報によって特定される。
【0041】
相手先装置50がカラー受信能力を有していない場合(S108:No)、CPU30は、表示部12に、その旨を表示すると共に、今回のカラー送信を、モノクロ送信として継続するかを問い合わせるための画面を表示する。ユーザは、「継続」又は「停止」の何れかを、操作部14の選択キーを操作して選択する。ユーザが「継続」を選択した場合、CPU30は、S110の判断を肯定し(S110:Yes)、処理をS124に移行する。ユーザが「停止」を選択した場合、CPU30は、S110の判断を否定し(S110:No)、メイン処理を終了する。ただし、メイン処理は、FAX装置10の電源がオフされるまでの間、繰り返されるため、CPU30は、メイン処理を再開し、上述したS100を、再度、実行する。
【0042】
相手先装置50がカラー受信能力を有している場合(S108:Yes)、CPU30は、FAX装置10にセットされた原稿をカラーで読み取る(S112)。S112でCPU30は、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データ(例えば、ビットマップデータ)を、JPEG方式で符号化し、カラー符号化画像データ(JPEGデータ)を生成する。生成されたカラー符号化画像データは、RAM34上に記憶される。CPU30は、S112を、FAX装置10にセットされた原稿の全てに対して行う。従って、RAM34上には、全ての原稿に対応したカラー符号化画像データが記憶される。全てのカラー符号化画像データが記憶された時点で、メモリ送信の準備が完了する。続けて、CPU30は、RAM34上に記憶されたカラー符号化画像データを対象として、符号化画像データ送信処理を実行する(S114)。なお、将来の所定の時刻(予約時刻)にS114を実行する、所謂、タイマ送信がFAX装置10でセットされた場合、S112は、タイマ送信のためにセットされた予約時刻の到達前に完了するようにされる。符号化画像データ送信処理の説明は、後述する。S114を実行した後、CPU30は、メイン処理を終了する。メイン処理が終了し場合の処理の継続については、上述した通りである。
【0043】
説明をS102に戻し、操作部14のカラースタートキーが押下されていない場合(S102:No)、CPU30は、操作部14のモノクロスタートキーが押下されたかについて判断する(S116)。モノクロスタートキーが押下された場合(S116:Yes)、CPU30は、処理をS120に移行する。一方、モノクロスタートキーが押下されていない場合(S116:No)、CPU30は、操作部14の停止キーが押下されたかについて判断する(S118)。停止キーが押下された場合(S118:Yes)、CPU30は、処理をS100に戻し、ダイヤル番号が入力されるまで、再度、待機する。一方、停止キーが押下されていない場合(S118:No)、CPU30は、処理をS102に戻し、S102以降の処理を実行する。S120でCPU30は、SIPURIを生成する。S120は、上述したS104と同様の処理である。そのため、S120に関する説明は、上述した通りであり、省略する。次に、CPU30は、受信機能力取得処理を実行する(S122)。受信機能力取得処理は、上述したネゴシエーションに対応した処理であり、S106と同様の処理である。
【0044】
S122を実行した後、又は、上述したS110の判断が肯定された場合(S110:Yes)、CPU30は、FAX装置10にセットされた原稿をモノクロで読み取る(S124)。S124でCPU30は、読取部16で読み取られた原稿に対応する画像データ(例えば、ビットマップデータ)を、ネゴシエーションされた共通の符号化方式、具体的に、JBIG、MMR、MR又はMHの何れかで符号化し、モノクロ符号化画像データを生成する。生成されたモノクロ符号化画像データは、RAM34上に記憶される。CPU30は、S124を、FAX装置10にセットされた原稿の全てに対して行う。従って、RAM34上には、全ての原稿に対応したモノクロ符号化画像データが記憶される。全てのモノクロ符号化画像データが記憶された時点で、メモリ送信の準備が完了する。なお、タイマ送信の場合、S124の完了は、上述したS112の場合と同様である。その後、CPU30は、処理をS114に移行する。S114でCPU30は、カラー符号化画像データを例に説明した場合と同様、RAM34上に記憶されたモノクロ符号化画像データを対象として、符号化画像データ送信処理を実行する(S114)。符号化画像データ送信処理の説明は、後述する。S114を実行した後、CPU30は、上記同様、メイン処理を終了する。終了後の処理の継続については、上述した通りである。
【0045】
<受信機能力取得処理>
図6に示すメイン処理のS106及びS122で実行される受信機能力取得処理について、図7等を参照して説明する。受信機能力取得処理を開始したCPU30は、FAX装置10の通信モードを、SIP通信設定とする(S200)。これによって、FAX装置10は、SIPに従って、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50と通信を行うことが可能な状態となる。続けて、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、図6のS104又はS120で生成したSIPURIを送信先として、「INVITE」を送信する(S202)。なお、受信機能力取得処理が、S106で実行されている場合、送信先は、S104で生成されたSIPURIとされ、S122で実行されている場合、送信先は、S120で生成されたSIPURIとされる(SIPに従った他の各ステップにおいても同じ。)。S202は、第一実施例の手順(A)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(J)に対応する。S202で送信された「INVITE」は、例えば図3(A)に示すようなINVITEメッセージであって、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信される。相手先装置50(詳細には、CPU70)は、ネットワークI/F60を制御し、「INVITE」を受信する。
【0046】
次に、CPU30は、S202での「INVITE」の送信に応じて、相手先装置50から送信される「200 OK」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S204:No)。このような「200 OK」の送受信は、第一実施例の手順(C)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(L)(図4参照)に対応する。なお、相手先装置50では、「200 OK」の送信前に、「180 Ringing」が送信され、FAX装置10では、「200 OK」の受信前に、この「180 Ringing」が受信される(図2の手順(B)、図4の手順(K)参照)。「200 OK」が受信された場合(S204:Yes)、CPU30は、受信された「200 OK」を解析し、受信機能力情報の記述があるかについて判断する(S206)。例えば、受信機能力取得処理が、モノクロスタートキーが押下されて開始されている場合(図6のS116:Yes,S122参照)において、FAX装置10で受信された「200 OK」が、図5(A)又は図5(B)に示すような200OKメッセージであった場合、S206の判断は、肯定される(S206:Yes)。図5(A),(B)に示すような200OKメッセージは、上述した通り、モノクロ符号化方式の受信機能力情報を含むためである。また、受信機能力取得処理が、カラースタートキーが押下されて開始されている場合(図6のS102:Yes,S106参照)において、FAX装置10で受信された「200 OK」が、図5(A)に示すような200OKメッセージであった場合、S206の判断は、肯定される(S206:Yes)。図5(A)に示すような200OKメッセージは、上述した通り、カラー符号化方式の受信機能力情報を含むためである。その後、CPU30は、受信した「200 OK」に記述された、相手先装置50の受信機能力情報を取得し、例えば、RAM34又はフラッシュROM36に保存する(S208)。続けて、CPU30は、「CANCEL」を送信する(S210)。S210は、上述した第二及び第三実施例の手順(M)(図4参照)に対応する。S210で送信された「CANCEL」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信される。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「CANCEL」を受信する。「CANCEL」を受信した相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、SIPサーバ80を経由して、FAX装置10に「200 OK」を送信する。
【0047】
説明をS206に戻して、例えば、受信機能力取得処理が、モノクロスタートキーが押下されて開始されている場合(図6のS116:Yes,S122参照)において、FAX装置10で受信された「200 OK」が、図3(B)に示すような200OKメッセージであった場合、S206の判断は、否定される(S206:No)。図3(B)に示すような200OKメッセージは、上述した通り、モノクロ符号化方式の受信機能力情報を含まないためである。また、受信機能力取得処理が、カラースタートキーが押下されて開始されている場合(図6のS102:Yes,S106参照)において、FAX装置10で受信された「200 OK」が、図3(B)又は図5(B)に示すような200OKメッセージであった場合、S206の判断は、否定される(S206:No)。図3(B)及び図5(B)に示すような200OKメッセージは、上述した通り、カラー符号化方式の受信機能力情報を含まないためである。その後、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、「ACK」を送信する(S212)。「ACK」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信される。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「ACK」を受信する。S212は、第一実施例の手順(D)(図2参照)に対応する。S212を実行した後、CPU30は、FAX装置10の通信モードを、T.38通信設定とする(S214)。これによって、以降の相手先装置50との通信は、SIPサーバ80を経由せず、相手先装置50と、直接、T.38に従って行われる。その後、CPU30は、S212での「ACK」の送信に応じて、相手先装置50から送信される「DIS」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S216:No)。このような「DIS」の送受信は、第一実施例の手順(E)(図2参照)に対応する。「DIS」が受信された場合(S216:Yes)、CPU30は、受信された「DIS」を解析し、「DIS」に記述された、相手先装置50の受信機能力情報を取得し、例えば、RAM34又はフラッシュROM36に保存する(S218)。
【0048】
次に、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、「DCN」を送信する(S220)。「DCN」は、SIPサーバ80を経由せず、直接、相手先装置50に送信される。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「DCN」を受信する。S220は、第一実施例の手順(F)(図2参照)に対応する。その後、CPU30は、FAX装置10の通信モードを、再度、SIP通信設定とする(S222)。これによって、以降の相手先装置50との通信は、SIPに従って、SIPサーバ80を経由して行われる。続けて、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、「BYE」を送信する(S224)。「BYE」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信される。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「BYE」を受信する。S224は、第一実施例の手順(G)(図2参照)に対応する。「BYE」を受信した相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、SIPサーバ80を経由して、FAX装置10に「200 OK」を送信する。
【0049】
S210又はS224を実行した後、CPU30は、S210での「CANCEL」の送信又はS224での「BYE」の送信に応じて、相手先装置50から送信される「200 OK」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S226:No)。このような「200 OK」の送受信は、第一実施例の手順(H)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(N)(図4参照)に対応する。「200 OK」が受信された場合(S216:Yes)、CPU30は、受信機能力取得処理を終了し、処理を、図6のS108又はS124に戻す。CPU30は、「200 OK」の受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間のSIPによる通信を終了(中断)する。
【0050】
<符号化画像データ送信処理>
図6に示すメイン処理のS114で実行される符号化画像データ送信処理について、図8等を参照して説明する。符号化画像データ処理を開始したCPU30は、S300〜S304を、順次、実行する。S302は、第一実施例の手順(I1)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O1)に対応する。また、S304に関する「200 OK」の送受信は、第一実施例の手順(I3)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O3)(図4参照)に対応する。なお、相手先装置50では、「200 OK」の送信前に、「180 Ringing」が送信され、FAX装置10では、「200 OK」の受信前に、この「180 Ringing」が受信される(図2の手順(I2)、図4の手順(O2)参照)。S300〜S304は、上述した図7に示す受信機能力取得処理のS200〜S204と同様の処理である。そのため、S300〜S304に関する説明は、省略する。図8に示す符号化画像データ送信処理におけるSIPに従った各ステップでの送信先に関し、図6のS104が実行されていた場合、S104で生成されたSIPURIとされ、S120が実行されていた場合、S120で生成されたSIPURIとされる。
【0051】
「200 OK」が受信された場合(S304:Yes)、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、「ACK」を送信する(S306)。「ACK」は、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に送信される。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「ACK」を受信する。S306は、第一実施例の手順(I4)(図2参照)又は、第二及び第三実施例の手順(O4)に対応する。続けて、CPU30は、FAX装置10の通信モードを、T.38通信設定とする(S308)。これによって、以降の相手先装置50との通信は、SIPサーバ80を介さず、相手先装置50と、直接、T.38に従って行われる。その後、CPU30は、S306での「ACK」の送信に応じて、相手先装置50から送信される「DIS」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S310:No)。このような「DIS」の送受信は、第一実施例の手順(I5)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O5)に対応する。「DIS」が受信された場合(S310:Yes)、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、直接、「DCS」を相手先装置50に送信する(S312)。DCSは、符号化画像データの送信パラメータを定義し、符号化画像データの送信の開始を通知するための指令である。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「DCS」を受信する。S312は、第一実施例の手順(I6)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O6)に対応する。
【0052】
次に、CPU30は、S312での「DCS」の送信に応じて、相手先装置50から、直接、送信される「CFR」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S316:No)。CFRは、符号化画像データの送信を開始してよい旨を示す指令である。このような「CFR」の送受信は、第一実施例の手順(I7)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O7)(図4参照)に対応する。「CFR」が受信された場合(S316:Yes)、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、RAM34上に記憶された符号化画像データと、ポストメッセージとを、相手先装置50に、直接、送信する(S318)。S318は、第一実施例の手順(I8)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O8)に対応する。具体的に、図6のS112が実行されていた場合、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、RAM34上に記憶されたカラー符号化画像データと、ポストメッセージとを、相手先装置50に送信する。一方、図6のS124が実行されていた場合、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、RAM34上に記憶されたモノクロ符号化画像データと、ポストメッセージとを、相手先装置50に送信する。ここで、S318でCPU30は、RAM34上に記憶された符号化画像データを復号し、再度、S310で受信した「DIS」で特定される符号化方式による再符号化を実行しない。図7に示す受信機能力取得処理で、適切な符号化方式が特定されているためである。
【0053】
送信されるポストメッセージとしては、第一実施例の手順(I9)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O9)に示すような、「PPS-EOP」が例示される。PPS−EOPは、イメージ終了指令である。その後、CPU30は、相手先装置50から送信される「MCF」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S320:No)。MCFは、PPS−EOPに対する、相手先装置50からの応答であって、適切に符号化画像データが受信されたことを示す指令である。このような「MCF」の送受信は、第一実施例の手順(I10)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O10)に対応する。「MCF」が受信された場合(S320:Yes)、CPU30は、RAM34上の符号化画像データに関し、未送信の画像があるかについて判断する(S322)。未送信の画像がある場合(S322:Yes)、CPU30は、処理をS318に戻し、S320の処理を繰り返して実行する。未送信の画像がない場合(S322:No)、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、「DCN」を、相手先装置50に、直接、送信する(S324)。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「DCN」を受信する。S324は、第一実施例の手順(I11)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O11)に対応する。
【0054】
その後、CPU30は、FAX装置10の通信モードを、再度、SIP通信設定とする(S326)。これによって、以降の相手先装置50との通信は、SIPに従って、SIPサーバ80を経由して行われる。続けて、CPU30は、ネットワークI/F20を制御し、SIPサーバ80を経由して、相手先装置50に、「BYE」を送信する(S328)。相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、「BYE」を受信する。S328は、第一実施例の手順(I12)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O12)に対応する。「BYE」を受信した相手先装置50は、ネットワークI/F60を制御し、SIPサーバ80を経由して、FAX装置10に「200 OK」を送信する。CPU30は、相手先装置50から送信される「200 OK」が、ネットワークI/F20で受信されるまで待機する(S330:No)。このような「200 OK」の送受信は、第一実施例の手順(I13)(図2参照)、又は、第二及び第三実施例の手順(O13)(図4参照)に対応する。「200 OK」が受信された場合(S330:Yes)、CPU30は、FAX装置10と相手先装置50との間のSIPによる通信を終了し、符号化画像データ送信処理を終了する。なお、上述した通り、符号化画像データ送信処理の終了に伴い、図6のメイン処理も終了する。
【0055】
<本実施形態における有利な効果>
以上説明した本実施形態によれば、原稿読取開始(図2及び図4の「原稿読取開始」、図6のS112,S124参照)前に、相手先装置50の受信機能力情報を取得することができる。受信機能力情報を取得した後、原稿読取開始前に、FAX装置10では、「DCN」及び「BYE」が送信され(図2の(F),(G)、図7のS220,S224参照)、又は、「CANCEL」が送信(図4の手順(M)、図7のS210参照)される。そのため、原稿読取開始前のタイミングで、相手先装置50との通信が終了又は中断される。その結果、例えば「DCS」が送信されず(図2の手順(I6)、図4の手順(O6)、図8のS312参照)、符号化画像データ等の送信のための処理(図2の手順(I8)、図4の手順(O8)、図8のS318参照)が、自動的に開始されることはない。
【0056】
例えば、図6のS106又はS122が省略された処理では、一旦、最も圧縮率の高い符号化方式で、読み取られた原稿に対応する画像データが生成され、これがRAM上に記憶される。また、読取後の、メモリ送信に係る符号化画像データ送信処理で、相手先装置50の受信能力が特定される。このような比較構成では、相手先装置50が、RAM上の画像データの符号化方式に対応した受信能力を有していないことが、符号化画像データ送信処理の最中に特定される。従って、送信元となるFAX装置では、RAM上の符号化画像データを復号化し、復号化した画像データを、共通の符号化方式で、再度、符号化しなければならない。本実施形態では、上述した通り、相手先装置50との通信が終了又は中断された状態で、相手先装置50の受信能力に対応した符号化画像データを生成することができる(例えば、図6のS112,S124参照)。従って、メモリ送信に係る符号化画像データ送信処理を、効率的に行うことができる(図6のS114、詳細は図8参照)。NGN網3のような高速通信が可能な通信回線網において、本実施形態は、再符号化に時間を要することがなく、高速通信のメリットを有効活用することができる。また、送信に要する時間に応じて課金されるような場合、上述の比較構成では、再符号化に時間を要するため、課金額が増加する。しかし、本実施形態のメイン処理では、再符号化がなされず、これに関する処理時間が不要でるため、課金額を抑制することができる。
【0057】
<変形例>
上述した本実施形態の構成は、交換機90によって構成されるPSTN5を介した一般FAX送信にも適用することが可能で、これによっても上記同様の機能が実現され、同様の効果を得ることができる。図9を参照して、その概略を説明する。以下では、カラー送信が選択されると共に、送信方法としてメモリ送信が行われる場合を例に説明する。各種の信号及びカラー符号化画像データは、交換機90を経由して、FAX装置10と相手先装置50との間を送受信される。図9に示す符号「(P)」〜「(T10)」は、以下の説明における手順(P)〜手順(T10)に対応する。
【0058】
図9の処理の開始に際し、ユーザは、上記同様の方法で、相手先装置50のダイヤル番号を入力し、操作部14のカラースタートキーを押下する。これによって、PSTN5への回線閉結(図10で「電話回線閉結」と記載)がなされ、図10の処理が開始される。その後、相手先装置50に対して呼出信号が送信され(手順(P)参照)、相手先装置50においても、PSTN5への回線閉結が行われる。続けて、FAX装置10は、PSTN I/F22を制御し、「CNG」を、相手先装置50に送信し、相手先装置50は、この「CNG」を受信する(手順(Q)参照)。相手先装置50では、この「CNG」に応じて、「DIS」が送信され、FAX装置10は、PSTN I/F22で、この「DIS」を受信する(手順(R)参照)。上述した通り、DISには、相手先装置50の受信機能力情報が含まれる。その後、FAX装置10は、PSTN I/F22を制御し、「CNG」を、相手先装置50に送信し、相手先装置50は、この「DCN」を受信する(手順(S)参照)。この「DCN」の送受信によって、FAX装置10と相手先装置50との間の接続は切断される(図10で「電話回線切断」と記載)。このような手順(P)〜(S)によって、FAX装置10は、相手先装置50の受信機能力情報を取得し、一般FAX送信に関する符号化方式等がネゴシエーションされる。
【0059】
次に、FAX装置10では、自装置にセットされた原稿の読み取りが、読取部16で開始され、読み取られた原稿に対応した画像データから、取得された受信機能力情報によって特定される共通の符号化方式で符号化された符号化画像データが生成され、RAM34上に記憶される。相手先装置50がカラー受信能力を有する場合、FAX装置10では、原稿がカラーで読み取られ、RAM34上には、カラー符号化画像データ(JPEGデータ)が記憶される。FAX装置10にセットされた原稿の読み取りが全て終了した場合、記憶されたカラー符号化画像データ等を、相手先装置50に送信するための手順(T1)〜(T10)が、順次、行われる。手順(T1)〜(T10)は、従来の一般FAX送信によるものと同様であるため、これらに関する説明は、省略する。
【符号の説明】
【0060】
3 次世代ネットワーク網(NGN網)、 5 公衆電話交換回線網(PSTN)
10 ファクシミリ装置、 12 表示部、 14 操作部、 16 読取部
18 印刷部、 20 ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)
22 PSTNインターフェース(PSTN I/F)、 26 バスライン
30 CPU、 32 プログラムROM、 34 RAM
36 フラッシュROM
50 ファクシミリ装置(相手先装置)、 80 SIPサーバ、 90 交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線網に接続された相手先装置に、読み取られた原稿に対応する画像データを符号化した符号化画像データをファクシミリ送信するファクシミリ装置であって、
データを記憶する記憶部と、
原稿を読み取る読取部と、
通信回線網に接続される通信部と、
前記通信部を制御する通信制御部と、
前記通信制御部によって前記通信部で受信された相手先装置からの能力信号から、相手先装置が受信できる符号化画像データの符号化方式のための受信機能力情報を取得する取得部と、
前記読取部で読み取られた原稿に対応する画像データから、前記取得部で取得された受信機能力情報によって特定される符号化方式で符号化された符号化画像データを生成する生成部と、
前記生成部で生成された符号化画像データを、前記記憶部に記憶する記憶制御部と、を有し、
前記通信制御部は、前記取得部で受信機能力情報が取得された場合、前記通信部による相手先装置との通信が行われていない状態とし、前記生成部で生成された符号化画像データが、前記記憶制御部によって前記記憶部に記憶された場合、前記通信部を制御し、前記記憶部に記憶された符号化画像データを、通信回線網を介して、相手先装置にファクシミリ送信し、
前記読取部は、前記通信制御部によって前記通信部による相手先装置との通信が行われていない状態で、原稿の読み取りを開始する、ファクシミリ装置。
【請求項2】
通信回線網は、IPネットワークによって構成され、
前記通信制御部は、前記通信部を制御し、前記取得部で取得される受信機能力情報を含む第一の能力信号を、第一のプロトコルに従った手順によって受信し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得された場合、第一のプロトコルに従った手順によって前記通信部による通信の中断を制御し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得されない場合、第一のプロトコルに従った手順による通信を終了させた状態で、受信機能力情報を含む第二の能力信号を、第二のプロトコルに従った手順によって受信する、請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得された場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を中断するための第一の中断信号を、前記相手先装置に送信し、第一のプロトコルに従った手順によって第一の能力信号が取得されない場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を終了するための終了信号を、前記相手装置に送信する、請求項2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、第二のプロトコルに従った手順によって第二の能力信号が受信された場合、第二のプロトコルに従った手順によって前記通信部による通信の中断を制御する、請求項2又は請求項3に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、第二のプロトコルに従った手順によって第二の能力信号が受信された場合、前記通信部を制御し、前記通信部による通信を中断するための第二の中断信号を、前記相手先装置に送信する、請求項4に記載のファクシミリ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−213005(P2012−213005A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77024(P2011−77024)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】