説明

ファンカバー

【課題】封入加工により成型され、ファンカバー全体の強度を向上させ、空間を節約できるファンカバーを提供する。
【解決手段】底座2および側板3を含む。底座2は、基部21および接合部24を有する。基部21は、これと異なる材料からなる軸筒23を有し、軸筒23は、基部21上に、軸方向に凸伸するように設けられている。接合部24は、底座2の周縁に沿って配置されている。側板3は、接合部24上に配置され、底座2と結合して、底座2との間に空間5を画定する。封入加工により成型されるため、ファンカバー全体が薄型となり、電子機器に用いられると使用空間を節約できる。同時に、ファン内の空間不足という問題を解決し、さらにカバー強度を増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンカバーに関し、特に、封入加工により成型され、ファンカバー全体の強度を向上させ、空間を節約するファンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
テクノロジーの発展にともない、デスクトップパソコン、ノート型パソコンなど電子製品が普及し、広範囲にわたって応用されている。電子製品は、サイズが徐々に縮小し、厚さも薄型に向かう傾向がある。そのなかでも、ノート型パソコンは、全体的に薄型になっているため、内部のCPUなどの電子デバイスの発生した熱量が放熱空間の不足により、迅速に熱量を排出することができず、CPUの発熱パワーが絶えず上昇するという事態が起きてしまうことが多い。
【0003】
CPUの過熱により、ノート型パソコンが使用不能に陥るのを防ぐために、ノート型パソコンは、十分な放熱能力を備えることにより、CPUが高速稼動する際の熱量を放出しなければならない。これにより、CPUは、正常な状態を維持することができる。従来技術では、薄型ファンがCPU上に直接配置されることにより、放熱ファンがCPUに対して強制放熱を行い、熱量を外部に迅速に放出していた。
【0004】
以下、従来技術を図面に基づいて説明する。図3および図4を参照する。図3は、従来のファンカバーを示す分解斜視図である。図4は、従来のファンカバーを示す斜視図である。なお、以下に述べるファンカバーとは、冷却ファンを収納し、その羽根車を回転可能に枢支する筐体に相当するものである。
図3および図4に示すように、ファンカバーは、プラスチックからなり、底座10および蓋13を含む。底座10は、軸筒101、および軸筒101の周囲に沿う複数の穴を設けている(図示せず)。軸筒101は、底座10の中央部に配置され、羽根車14を嵌合している。底座10の周縁には、側板12が垂直に延伸している。側板12は、底座10と空間15を画定している。空間15は、開放側の穴と連通している。空間15と向かい合うように、側板12の相対する両端部の間に、排気口151が形成されている。蓋13は、対応する空間15と連通する開口131を有する。蓋13は、底座10上に被せられ、ファンカバーが完成する。
【0005】
底座10、軸筒101および側板12は、一体射出成型されるため、軸筒101が底座10上に凸設されることになり、底座10の軸方向の厚さが増加し、空間15が不足してしまう。また、ファンカバーが射出成型により作られると、底座10の厚さを十分に薄くすることができない。例えば、厚さが5mmの場合は、変形や破損がしやすく、全体的に強度不足であることは明白である。これは、特に、底座10の部分で顕著である。以上のように、従来技術には、三つの短所があった。1、変形しやすい。2、空間不足である。3、強度不足である。
先行技術としては、例えば特許文献1に示される冷却ファンがある。この特許文献1の冷却ファンは、ファンブレードと、前記ファンブレードを収納するための筐体とを備える冷却ファンにおいて、前記ファンブレードの一部又は全部が筐体から突出し、より多くの空気をファンブレードの周辺と縁側とを経由して筐体内に導入させることによって、冷却ファンの放熱効果を向上させるものである。この構成では、筐体の高さを削減して、ファンブレードの周辺縁側からも空気が入り風入り口の面積を大きくできるが、ファンブレードが筐体から突出しているので、冷却ファンが取り付けられる機器本体の修理時に作業者がファンブレードに触れ怪我をする可能性がある。そこで、特許文献1には、上記の構成に加えて、筐体上に突出したファンブレードを覆うように蓋部としてのカバーを取り付ける構成も提案している。そして、筐体とカバー(蓋部)を射出成型によって一体に形成されることが好ましいとしている。従って、特許文献1は、射出成型による上述のような不都合を生じる可能性がある。
【0006】
以上の短所を解決するのが、大きな課題であり、良好なファンカバーが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3094737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の目的は、封入加工により成型され、使用された電子機器内において空間を節約することができるファンカバーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、ファンカバー全体の強度を向上させることができるファンカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、ファンカバーを提供する。本発明のファンカバーは、底座および側板を含む。底座は、基部および接合部を有する。基部は、異なる材料からなる軸筒を有し、軸筒は、基部上に、軸方向に凸伸するように設けられている。接合部は、底座の周縁に沿って配置されている。側板は、接合部上に配置され、底座と結合して、底座との間に空間を画定している。底座と基部とは、それぞれ側板と軸筒と異なる材料からなり、封入加工により成型されるため、ファンカバー全体が薄型となり、電子機器に用いられると使用空間を節約することができる。同時に、ファン内の空間不足という問題を解決し、さらにカバー強度を増加させることができる。なお、底座に側板(または軸筒)を結合する方法は、一体を包み込んで射出成型する封入加工と呼ばれる方法になる。
【発明の効果】
【0010】
底座と基部とは、それぞれ側板と軸筒と異なる材料からなり、封入加工により成型されるため、ファンカバー全体が薄型となり、電子機器に用いられると使用空間を節約することができる。また、一方では、ファン内の空間不足という問題を解決し、さらにカバー強度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態によるファンカバーを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるファンカバーを示す斜視図である。
【図3】従来のファンカバーを示す分解斜視図である。
【図4】従来のファンカバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1および図2を参照する。図1は、本発明の一実施形態によるファンカバーを示す分解斜視図である。図2は、本発明の一実施形態によるファンカバーを示す斜視図である。
図1および図2に示すように、本発明のファンカバーは、底座2および側板3を含む。底座2は、基部21および接合部24を有する。接合部24は、底座2の周縁に沿って配置されている。基部21は、基部21と異なる材料からなる軸筒23を有する。軸筒23は、基部21上に、軸方向に凸伸するように設けられている。軸筒23は、封入加工により基部21と結合されている。ここで、基部21に軸筒23を結合する方法は、一体を包み込んで射出成型する加工法になる。軸筒23は開放端部231、および閉鎖端部232を有する。閉鎖端部232は、基部21に接合し、軸筒23は、羽根車(図示せず)を枢接する。
【0014】
側板3は、接合部24上に配置され、底座2と結合して、底座2と側板3との間に空間5を画定している。つまり、側板3は、接合部24上に封入加工されることにより、底座2と側板3と結合して空間5を画定している。ここで、接合部24に側板3を結合する方法は、一体を包み込んで射出成型する加工法になる。側板3は、延伸側部31をさらに有する。延伸側部31は、側板3の相対する端部の一つから延伸してなり、排気口33を形成している。排気口33は、空間5と相互に連通し、羽根車が引き込んだ流体を排気口33から放出する。
【0015】
軸筒23および基部21は、それぞれ異なる材料からなる。底座2および側板3もそれぞれ異なる材料からなる。本実施形態において、軸筒23および側板3は、プラスチック材料からなる。また、基部21および底座2は、ステンレス、アルミニウム、鉄などの金属材料からなる。ただし、これらの材料に限定されるものではない。
【0016】
基部21および底座2が金属材料からなるため、従来のプラスチック成型と異なり、厚さを0.3mmまで薄くすることができる。薄くしても、なお良好な強度を有し、変形しにくい。0.5mmの厚さで変形し、強度不足になった従来構造とは、大きな違いである。
【0017】
空間5は、閉鎖側51、および閉鎖側51に相対する開放側52を有する。閉鎖側51は、底座2により形成されている。開放側52は、底座2から離れた側に側板3により形成されている。
【0018】
基部21は、複数の支持体4により、底座2に接合されている。支持体4は、それぞれ第1の湾曲部41、第2の湾曲部42および第3の湾曲部43を有する。第1の湾曲部41は、底座2を接合し、第2の湾曲部42は、基部21を接合し、第3の湾曲部43は、第1の湾曲部41と第2の湾曲部42とを接合している。これにより、底座2および基部21には、高低差が形成される。支持体4間には、開口45が形成され、開口45は、それぞれ相対し、空間5に連通している。
【0019】
底座2と基部21とは、それぞれ側板3と軸筒23と異なる材料からなり、封入加工により成型されるため、ファンカバー全体が薄型となり、電子機器に用いられると使用空間を節約することができる。また、一方では、ファン内の空間不足という問題を解決し、さらにカバー強度を増加させることができる。以上のように、本発明のファンカバーは、三つの長所を有する。1、使用空間を節約することができる。2、良好な強度を有する。3、変形しにくい。
【0020】
本発明では好適な実施形態を前述の通りに開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当該技術を熟知する者は誰でも、本発明の精神と範囲を逸脱することなく各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0021】
2 底座
3 側板
4 支持体
5 空間
21 基部
23 軸筒
24 接合部
31 延伸側部
33 排気口
41 第1の湾曲部
42 第2の湾曲部
43 第3の湾曲部
45 開口
51 閉鎖側
52 開放側
231 開放端部
232 閉鎖端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部および接合部を有し、前記基部は、これと異なる材料からなる軸筒を有し、前記軸筒は、前記基部上に、軸方向に凸伸するように設けられ、前記接合部は、前記底座の周縁に沿って配置されている底座と、
前記接合部上に配置され、前記底座と結合して、前記底座との間に空間を画定している側板と、を含むことを特徴とするファンカバー。
【請求項2】
前記側板は、排気口を形成する延伸側部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項3】
前記基部は、複数の支持体により、前記底座に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項4】
前記支持体間には、それぞれ開口が形成され、前記空間に連通していることを特徴とする請求項3に記載のファンカバー。
【請求項5】
前記支持体は、それぞれ第1の湾曲部、第2の湾曲部および第3の湾曲部を有し、前記第1の湾曲部は前記底座を接合し、前記第2の湾曲部は前記基部を接合し、前記第3の湾曲部は前記第1の湾曲部と前記第2の湾曲部とを接合していることを特徴とする請求項3に記載のファンカバー。
【請求項6】
前記軸筒は、羽根車を枢接していることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項7】
前記底座は、金属材料からなることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項8】
前記側板および前記軸筒は、プラスチック材料からなることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項9】
前記軸筒は、開放端部および閉鎖端部を有し、前記閉鎖端部は前記基部に接合することを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項10】
前記空間は、閉鎖側および開放側を有する。前記閉鎖側は前記底座により形成され、前記開放側は前記底座から離れた側に前記側板により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。
【請求項11】
前記側板は、封入加工により前記接合部に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のファンカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−127512(P2011−127512A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286696(P2009−286696)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(504115301)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (82)
【Fターム(参考)】