説明

ファンガード、室外ユニット及び冷凍サイクル装置

【課題】水平面に作用する非定常性の強い上向きの力、ベルマウスの直管部に作用する水平方向の力を低減し、騒音の増大、損傷を抑制するファンガード等を得る。
【解決手段】重力方向に沿うような回転軸を中心に回転し、重力方向と逆方向の気体の流れを発生させるプロペラファン4が有する羽根の回転方向に沿って、羽根の外周端より外側に環状の壁面を形成し、気体を整流するためのベルマウス2と、ベルマウス2の吸込側終端部分から連続的に、回転軸方向とほぼ垂直な方向に板状に形成される水平面1と、水平面1及びベルマウス2の少なくとも一方の上の、回転軸を含む平面を中心として対称となる位置に、回転軸を含む平面と垂直となる方向に延びるように幅方向が形成される1組以上の板状のリブ6とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば送風機のファン等を保護するためのファンガード等に関するものである。特に、共振に係る騒音を抑制するための構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、羽根(プロペラ)を有するプロペラファンを回転させて空気の流れを発生させ、送風(冷却、排熱等)を行う送風機がある。このようなプロペラファンを有する送風機は、冷凍空気調和装置の室外ユニット(室外機)等で用いられている。
【0003】
このような送風機には、プロペラファンと他の物体等との接触を避け、両方の損傷を防ぎ、保護を行うためのファンガードが設けられている。例えば、室外ユニットにおいては、プロペラファンの回転方向に沿って壁面を形成するベルマウス直管部とその外周側にベルマウス直管部と略垂直な水平面を備えるファンガードがある。水平面は室外機において上側の壁面ともなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−207694号公報(図1)
【特許文献2】特開2002−325271号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
空気調和機の室外ユニットは屋外に設置されるため、室外ユニットから発生する騒音により、近隣住民へ迷惑をかけることがある。特に、外風が強いとき、水平面、ベルマウス、桟から構成されるファンガードにおいて、水平面に非定常性の強い上向きの力が作用し、室外ユニットが共振を起こすことがある。このような場合に室外ユニットから発生する騒音の増大、室外ユニットの損傷、等の問題が生じやすくなる。
【0006】
本発明の目的は、外風が強いときに生じる、ファンガードの水平面に作用する非定常性の強い上向きの力を低減し、また、略円筒形状のベルマウス直管部によって発生するカルマン渦を抑制し、室外ユニットから発生する騒音の増大、室外ユニットの損傷を抑制するファンガード等を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るファンガードは、重力方向に沿うような回転軸を中心に回転し、重力方向と逆方向の気体の流れを発生させるプロペラファンが有する羽根の回転方向に沿って、羽根の外周端より外側に環状の壁面を形成し、気体を整流するためのベルマウスと、ベルマウスの吸込側終端部分から連続的に、回転軸方向とほぼ垂直な方向に板状に形成される水平面と、水平面及びベルマウスの少なくとも一方の上の、回転軸を含む平面を中心として対称となる位置に、回転軸を含む平面と垂直となる方向に延びるように幅方向が形成される1組以上の板状のリブとを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水平面及びベルマウスの少なくとも一方の上の、回転軸を含む平面を中心として対称となる位置に1組以上の板状のリブを設けるようにしたので、外風による水平面における空気の流れを変化させ、ベルマウスの直管部に発生するカルマン渦を抑制させることができ、水平面に作用する上向きの力及び振幅、ベルマウスの直管部に作用する水平方向の力及び振幅を小さくすることができる。このため、例えば、ファンガードを設置する機器の筐体における共振を抑制し、騒音の増大、機器の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施形態1の室外ユニット100を表す断面図である。
【図2】この発明の実施形態1のファンガードを表す図である。
【図3】この発明の実施形態1の室外ユニット100を表す図である。
【図4】この発明の実施形態1の静圧分布を表す図である。
【図5】この発明の実施形態1の静圧分布を表す図である。
【図6】この発明の実施形態1の静圧分布を表す図である。
【図7】この発明の実施形態1のリブ6を表す図である。
【図8】この発明の実施形態1のリブ6を表す図である。
【図9】この発明の実施形態1の静圧分布を表す図である。
【図10】この発明の実施形態1の静圧分布を表す図である。
【図11】この発明の実施形態1の上向きの力を表す図である。
【図12】この発明の実施形態1の水平方向の力を表す図である。
【図13】この発明の実施形態1の翼を表す図である。
【図14】この発明の実施形態1の上向きの力と時間の関係を表す図である。
【図15】この発明の実施形態1の水平方向の力と時間の関係を表す図である。
【図16】この発明の実施形態2の上向きの力とH/Dの関係を表す図である。
【図17】この発明の実施形態2の水平方向の力とH/Dの関係を表す図である。
【図18】この発明の実施形態2の水平方向の力の振幅とH/Dの関係を表す図である。
【図19】この発明の実施形態2のリブ6を表す図である。
【図20】この発明の実施形態3の上向きの力とW/Dの関係を表す図である。
【図21】この発明の実施形態3の水平方向の力とH/Dの関係を表す図である。
【図22】この発明の実施形態4のリブ根元のRを表す図である。
【図23】この発明の実施形態4のリブが破断する荷重とRの関係を表す図である。
【図24】本発明の実施の形態5に係る冷凍空気調和装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明に係るファンガードを有する室外ユニット100の側面及び上面から見た図である。本実施の形態では、冷凍空気調和装置を構成する室外ユニット100に搭載されるプロペラファン4の保護をはかるファンガードについて説明する。図1に示すように、本実施の形態では、鉛直方向と反対側に向けた空気の流れ(上吹き)を形成するように、プロペラファン4を室外ユニット100の筐体内に設置する。このため、室外ユニット筐体に上からかぶせるかたちでファンガードの設置が行われる。ここで、図1に示す室外ユニット100の各寸法については、ここではa=920mm、b=760mm、c=1650mm、d=700mmであり、後述するベルマウス2の直管部における直径はφ710mmであるものとする。プロペラファン4は、電力を受けたモータ等(図示せず)の駆動により複数の羽根(プロペラ、翼)が回転軸を中心に回転して空気(流体)の流れを発生させる軸流ファンである。
【0011】
図2は本発明の実施の形態1に係るファンガードを表す図である。水平面1は、プロペラファン4の回転軸方向とほぼ垂直方向の板によりなされる面である。例えばベルマウス2の吸込側終端部分から連続的に、ベルマウス2と一体となるように形成される。また、水平面1は、室外ユニット100の上側の壁面ともなり、プロペラファン等のような、室外ユニット100の筐体内に収容された機器を保護する。特に限定するものではないが、ここでは、水平面1がなす外形形状は、略矩形(長方形)状であるものとする。
【0012】
ベルマウス2は、プロペラファン4の周方向(回転方向)に沿ってプロペラファン4を覆い(プロペラファン4の周囲を囲み)、プロペラファン4の回転による空気の整流をはかる。このため、プロペラファン4の周囲に、円管状に壁面が形成されることになる。また、水平面1に対して垂直方向に直管部が形成されることになる。リブ3は例えばボルト等を挿入するための穴等が設けられており、室外ユニット100の筐体とファンガードとを固定する。桟5は、複数本の金属製、又は樹脂製の線状体を格子状等に配し、ベルマウス2の吹出側開口部分を通気可能に覆うものである。
【0013】
また、ファンガードの機外側(ベルマウス2が設けられている側)に、水平面1に対してほぼ垂直な方向(ベルマウス2の直管部と平行となる方向)に板状のリブ6を有している。ここでは、回転軸を含む平面を中心として対称となる位置にそれぞれ組として同形状で設けられているものとする(本実施の形態のように、水平面1が矩形状の場合には、短手方向からみて左右対称となる位置に、長手方向をリブ6の幅として設けられている)。リブ6は、機外側と機内側との静圧差により水平面1に作用する非定常性の強い上向きの力を低減し、また、ベルマウス2の直管部によって発生するカルマン渦を抑制することで騒音を抑制する。リブ6については後に詳細な説明を行う。
【0014】
室外ユニット100は通常、屋外に設置されるため、外風に影響を受ける。外風が強いとき、室外ユニット100において、共振が起こる場合がある。共振の起こる原因の1つとして、例えばファンガードの水平面1に対して上向きに作用する力(揚力)とベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力(抗力)がある。ここでは、これらの力について説明する。ここで、上向きの力は重力方向と反対方向の力、水平方向の力は重力方向に対して垂直方向の力とする。
【0015】
図3は室外ユニット100に外風が当たる状態を表す図である。図3では、外風が水平面1に対して上から45°の角度から、46m/s(建築基準法で定められている最大外風速度)で室外ユニット100に流入する場合について示している。また、図4は、図3における外風による水平面1における機外側の静圧分布を表す図である。さらに図5は水平面1における機内側の静圧分布を表す図である。ここで、図4及び図5に示す点A’、D’、E’、F’は、それぞれ図3の点A’、D’、E’、F’と対応している。
【0016】
図4及び図5より、機内側の静圧よりも機外側の静圧の方が低いことがわかる。このため、機内側と機外側との間にできる静圧差により水平面1には上向きの力(機内側から機外側に向かう力)が作用する。
【0017】
図6はファンガードを翼として見た場合の、翼に風が流れた場合の静圧分布の一例を示す図である。図6に示す翼において、ファンガードの機外側の面が翼の負圧面の働きをし、静圧が低下する。ここで、翼の圧力面は面A’B’C’D’の壁面、負圧面は面A’E’F’D’の壁面となる。このため、この翼のように水平面1には上向きの力が作用する。
【0018】
そして、外風速度は時間によって変動するため、水平面1に作用する上向きの力も時間変動する。このため、室外ユニット100の共振が生じ、室外ユニット100から発生する騒音の増大、室外ユニット100の損傷等が生じる場合がある。一般に、外風速度が大きいほど共振が生じやすくなる。
【0019】
次に水平方向の力について説明する。ファンガードのベルマウス2における直管部は略円筒形状である。このため、外風の下流側にカルマン渦が生成される。また、図4において、領域Xは静圧が低い部分であるが、これは略円筒形状のベルマウス直管部により発生するカルマン渦によるものであり、領域Xの位置と略円筒形状のベルマウス2の直管部における剥離点とが一致している。カルマン渦は非定常性を有し、カルマン渦の発生周波数と、室外機の固有振動数が一致すると室外機が共振する原因となる。
【0020】
図7及び図8は水平面1の機外側にリブ6を設けたファンガードを表す図である。ここで、本実施の形態においては、リブ高さHは0.04D、リブ幅Wは0.1D(Dはファン径)である。ここで、プロペラファン4のファン径(直径)をDとする。
【0021】
図9はリブ6を設けた場合の、水平面1における機外側の静圧分布を表す図である。また、図10はリブ6を設けた場合の、水平面1における機内側の静圧分布を表す図である。ここで、図9及び図10に示す点A’、D’、E’、F’は、それぞれ図3の点A’、D’、E’、F’と対応している。図9に示すように、リブ6を設けることにより、図4に示した静圧の低い領域Xは生成されなくなる。
【0022】
図11はリブ6の有無等におけるファンガードの水平面1に作用する上向きの力の違いを説明するための図である。また、図12はベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力の違いを説明するための図である。上向きの力は、水平面1上の微小面の面積をΔS1iとし、その微小面における機内と機外の静圧差をΔP1iとして、Σ(ΔS1iΔP1i)として求めている。ここで、上向き方向を正としてある。一方、水平方向の力は、ベルマウス2の直管部上における微小面の投影面積をΔS2iとし、その微小面における機内と機外の静圧差をΔP2iとして、Σ(ΔS2iΔP2i)として求めている。ここで、外風の流れ方向を正としてある。また、投影面積ΔS2iは、外風の流れ方向に対する投影面積を用いてある。
【0023】
図13はファンガードを翼として見た場合の、リブ6を有する翼に風が流れた場合の静圧分布の一例を示す図である。図13に示すように、翼の負圧面にリブを設けると、翼の揚力が低下する。同様の原理で、図11、図12に示すように、ファンガードの水平面1にリブ6を設けるとことで、上向きの力、水平方向の力とも小さくなる。また、図11、図12から、図7、図8のようにリブ6が配置されたファンガードを比べると、図7のファンガードの方がやや上向きの力、水平方向の力とも小さくなっていることがわかる。これは図7の方がリブ6が多いため、流れの抵抗が大きくなるためである。
【0024】
図14はリブ6の有無による上向きの力の時間変動を示す図である。また、図15はリブ6の有無による水平方向の力の時間変動を示す図である。リブ6を設けることにより、上向きの力、水平方向の力、および振幅を小さくすることができ、室外機の共振を抑制し、室外機から発生する騒音の増大、室外機の損傷を生じにくくすることができる。
【0025】
以上のように、実施の形態1のファンガードによれば、水平面1上に、水平面1の長手方向とほぼ平行となるように幅を有し、水平面1に対してほぼ垂直な方向に高さを有する板状のリブ6を設けることにより、外風による水平面1における空気の流れを変化させ、ベルマウス2の直管部に発生するカルマン渦を抑制させるようにしたので、水平面1に作用する上向きの力及び振幅、ベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力及び振幅を小さくすることができ、室外ユニット100の共振を抑制し、室外ユニット100から発生する騒音の増大、室外ユニット100の損傷を生じにくくすることができる。
【0026】
実施の形態2.
図16は水平面1に加わる上向きの力とH/Dとの関係を示す図である。また、図17はベルマウス2の直管部に加わる水平方向の力とH/Dとの関係を示す図である。図16、図17では、外風が水平面1に対して俯角45°の角度から、46m/sで室外ユニット100に流入する場合において、リブ幅Wを0.06Dとし、リブ高さHのみを変えたときの、上向きの力、水平方向の力とH/Dの関係を示している。ここで、上向きの力、水平方向の力は時間平均した値であり、Dはプロペラファンの直径である。
【0027】
図16、図17が示すように、H/Dが大きいほど、上向きの力、水平方向の力は小さくなることがわかる。これは、図15においてリブを高くするほど、翼の揚力、抗力が低減するのと同じ原理である。
【0028】
図18はベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力の振幅とH/Dの関係を示す。図18より、H/D<0.01のときは水平方向の力の時間変動が大きいが、H/D≧0.01のときは時間変動が小さくなることがわかる。この理由を、図13に基づいて説明する。リブ6の高さが低い場合、リブ6に衝突した流れは、リブ6の下流側で翼に時間によって再付着、剥離を繰り返す。このため、抗力の時間変動が大きくなる。一方、リブ6の高さが高い場合、リブ6に衝突した流れは、リブ6の下流側で翼に再付着はせず、常に剥離する。このため、H/D<0.01のときは水平方向の力の時間変動が大きくなる。
【0029】
水平方向の力の時間変動が大きいと、ベルマウス2の直管部に偏加重がかかり、小さい力でも室外ユニット100の共振、ベルマウス2の破損等が生じやすくなる。そこで、H/D≧0.01とすることにより、水平方向の力の時間変動を抑制することができる。
【0030】
図19はリブ6の形状の他の一例を表す図である。リブ6の上部は意匠性、構造制約、製造制約等の理由がある場合、図19のように、ベルマウス2の形状に沿って形成するような形状にしてもよく、H/D≧0.01であれば形状は任意でよい。
【0031】
以上のように、実施の形態2のファンガードによれば、プロペラファン4のファン径Dに対し、リブ6の高さHの割合が0.01以上となるようにリブ6を設けるようにするようにしたので、水平面1に作用する上向きの力、ベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力を効率よく抑えることができ、例えば室外ユニット100に発生する振動の抑制をはかることができる。
【0032】
実施の形態3.
図20は水平面1に加わる上向きの力とW/Dとの関係を示す図である。また、図21はベルマウス2の直管部に加わる水平方向の力とH/Dとの関係を示す図である。図20、図21では、外風が水平面1に対して上から45°の角度から、46m/sで室外ユニット100に流入する場合において、リブ高さHを0.04Dとし、リブ幅Wのみを変えたときの、上向きの力、水平方向の力とH/Dの関係を示している。ここで、上向きの力、水平方向の力は時間平均した値であり、Dはプロペラファンの直径である。
【0033】
図20、図21より、W/D<0.02の場合は、W/Dが大きいほど、上向きの力、水平方向の力は小さくなるが、W/D≧0.02の場合は、上向きの力、水平方向の力は一定となることがわかる。これはW/D≧0.02の場合は、Wが大きくなってもカルマン渦に影響を及ぼさないためである。そこで、W/D≧0.02とすることにより、上向きの力、水平方向の力を抑制することができる。
【0034】
以上のように、実施の形態2のファンガードによれば、プロペラファン4のファン径Dに対し、リブ6の幅の割合が0.02以上となるようにリブ6を設けるようにするようにしたので、水平面1に作用する上向きの力、ベルマウス2の直管部に作用する水平方向の力を効率よく抑えることができ、例えば室外ユニット100に発生する振動の抑制をはかることができる。
【0035】
実施の形態4.
上述の実施の形態で説明したファンガードのリブ6に風が当たると、リブ6の、風に対して上流側の面がよどみ圧で静圧が高く、下流側の面は死水域となるため、静圧が低くなる。このため、リブ6には風向きと同じ方向の、水平方向の力が作用する。このため、リブ6にはある程度の強度が必要となる。強度を大きくするにはリブの厚さを厚くする等の方法がある。しかし、リブ6を、ファンガードと樹脂で一体成型する場合、リブ6を厚くすると、製造の際、樹脂の冷却時間が長くなり、製造に要する時間が長くなる等の問題が生じる。
【0036】
図22は本発明の実施の形態4に係るファンガードを表す図である。本実施の形態のファンガードは、リブ6と水平面1との境界部分にリブ補強部7を設けている。ここで、リブ補強部7において形成される曲率半径をRとする。
【0037】
図23はリブ6が破断する荷重Paとリブ補強部7におけるRとの関係を示す図である。ここでは、外風が水平面1に対して上から45°の角度から、46m/sで室外ユニット100に流入する場合において、リブ高さHを0.02Dとし、リブ厚さTを0.003Dとし、リブ6の片側の面に荷重をかけたときの関係を示している。
【0038】
図23より、Rが大きいほど、リブ6が破断する荷重は大きくなり、リブの強度が大きくなることがわかる。したがって、リブ補強部7を設けることで、リブ6の強度を増すことができる。そして、リブ補強部7の曲率半径Rの大きさは、室外ユニット100の寸法制約、ファンガードの製造制約等において、許容できる範囲内で、できる限り大きくするのがよい。
【0039】
以上のように、実施の形態3のファンガードによれば、リブ補強部7を設けるようにしたので、外風からリブ6を保護することができる。このため、外風によるリブ6の損傷等を防ぐことができ、信頼性の高いファンガード、室外ユニット100を得ることができる。このとき、リブ補強部7の曲率半径Rを許容できる範囲で大きくすることで、補強度合いを増すことができる。
【0040】
実施の形態5.
図24は本発明の実施の形態5に係る冷凍空気調和装置の構成図である。本実施の形態では、上述したファンガードを備える室外ユニット100を有する冷凍サイクル装置の一例として冷凍空気調和装置について説明する。図24の冷凍空気調和装置は、前述した室外ユニット(室外機)100と負荷ユニット(室内機)200とを備え、これらが冷媒配管で連結され、主となる冷媒回路(以下、主冷媒回路という)を構成して冷媒を循環させている。冷媒配管のうち、気体の冷媒(ガス冷媒)が流れる配管をガス配管300とし、液体の冷媒(液冷媒。気液二相冷媒の場合もある)が流れる配管を液配管400とする。
【0041】
室外ユニット100は、本実施の形態においては、圧縮機101、四方弁102、室外側熱交換器103、室外側送風機104及び室外側制御装置105の各装置(手段)で構成する。
【0042】
圧縮機101は、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。ここで、圧縮機101は、インバータ装置等を備え、運転周波数を任意に変化させることにより、圧縮機101の容量(単位時間あたりの冷媒を送り出す量)を細かく変化させることができるものとする。
【0043】
四方弁102は、室外側制御装置105からの指示に基づいて冷房運転時と暖房運転時とによって冷媒の流れを切り換える。また、室外側熱交換器103は、冷媒と空気(室外の空気)との熱交換を行う。例えば、暖房運転時においては蒸発器として機能し、液配管400から流入した低圧の冷媒と空気との熱交換を行い、冷媒を蒸発させ、気化させる。また、冷房運転時においては凝縮器として機能し、四方弁102側から流入した圧縮機101において圧縮された冷媒と空気との熱交換を行い、冷媒を凝縮して液化させる。室外側熱交換器103には、冷媒と空気との熱交換を効率よく行うため、上述の実施の形態1〜3で説明したプロペラファン4を有する室外側送風機104が設けられている。室外側送風機104についても、インバータ装置によりファンモータの運転周波数を任意に変化させてプロペラファン4の回転速度を細かく変化させるようにしてもよい。
【0044】
室外側制御装置105は、例えばマイクロコンピュータ等からなる。負荷側制御装置204と有線又は無線通信することができ、例えば、冷凍空気調和装置内の各種検知手段(センサ)の検知に係るデータに基づいて、インバータ回路制御による圧縮機101の運転周波数制御等、冷凍空気調和装置に係る各手段を制御して冷凍空気調和装置全体の動作制御を行う。
【0045】
一方、負荷ユニット200は、負荷側熱交換器201、負荷側絞り装置(膨張弁)202、負荷側送風機203及び負荷側制御装置204で構成される。負荷側熱交換器201は冷媒と空気との熱交換を行う。例えば、暖房運転時においては凝縮器として機能し、ガス配管300から流入した冷媒と空気との熱交換を行い、冷媒を凝縮させて液化(又は気液二相化)させ、液配管400側に流出させる。一方、冷房運転時においては蒸発器として機能し、負荷側絞り装置202により低圧状態にされた冷媒と空気との熱交換を行い、冷媒に空気の熱を奪わせて蒸発させて気化させ、ガス配管300側に流出させる。また、負荷ユニット200には、熱交換を行う空気の流れを調整するための負荷側送風機203が設けられている。この負荷側送風機203の運転速度は、例えば利用者の設定により決定される。負荷側絞り装置202は、開度を変化させることで、負荷側熱交換器201内における冷媒の圧力を調整するために設ける。
【0046】
また、負荷側制御装置204もマイクロコンピュータ等からなり、例えば室外側制御装置105と有線又は無線通信することができる。室外側制御装置105からの指示、居住者等からの指示に基づいて、例えば室内が所定の温度となるように、負荷ユニット200の各装置(手段)を制御する。また、負荷ユニット200に設けられた検知手段の検知に係るデータを含む信号を送信する。
【0047】
以上のように実施の形態5の冷凍空気調和装置では、実施の形態1〜4において説明したファンガードを室外ユニット100に用いることで、室外ユニットの振動、損傷等を防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 水平面、2 ベルマウス、3 リブ、4 プロペラファン、5 桟、6 リブ、7 リブ補強部、100 室外ユニット、101 圧縮機、102 四方弁、103 室外側熱交換器、104 室外側送風機、105 室外側制御装置、200 負荷ユニット、201 負荷側熱交換器、202 負荷側絞り装置、203 負荷側送風機、204 負荷側制御装置、300 ガス配管、400 液配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重力方向に沿うような回転軸を中心に回転し、前記重力方向と逆方向の気体の流れを発生させるプロペラファンが有する羽根の回転方向に沿って、前記羽根の外周端より外側に環状の壁面を形成し、前記気体を整流するためのベルマウスと、
前記ベルマウスの吸込側終端部分から連続的に、前記回転軸方向とほぼ垂直な方向に板状に形成される水平面と、
前記水平面及び前記ベルマウスの少なくとも一方の上の、前記回転軸を含む平面を中心として対称となる位置に、前記回転軸を含む平面と垂直となる方向に延びるように幅方向が形成される1組以上の板状のリブと
を備えることを特徴とするファンガード。
【請求項2】
前記リブの高さを、前記プロペラファンのファン径に対して0.01倍以上とすることを特徴とする請求項1に記載のファンガード。
【請求項3】
前記リブの幅を、前記プロペラファンのファン径に対して0.02倍以上とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のファンガード。
【請求項4】
前記リブと前記水平面との境界部分に、Rを有してリブに加わる外部の力を低減させるためのリブ補強部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のファンガード。
【請求項5】
前記水平面を長方形状に形成し、前記水平面の長手方向に沿って前記リブを設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のファンガード。
【請求項6】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
冷媒と空気との熱交換を行う室外熱交換器と、
該室外熱交換器に前記空気を通過させるためのプロペラファンと
を備える室外ユニットであって、
ユニット内の機器を保護するための前記請求項1〜5のいずれかに記載のファンガードを有することを特徴とする室外ユニット。
【請求項7】
熱交換対象と冷媒とを熱交換する複数の負荷側熱交換器及び該負荷側熱交換器に流入させる冷媒の流量を調整するための流量調整手段を有する負荷ユニットと、
請求項6に記載の室外ユニットと
を配管接続して冷媒回路を構成することを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−207643(P2012−207643A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75907(P2011−75907)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】