説明

ファン回転検知装置

【課題】 本発明は、冷却用ファンの回転数の低下や停止などの異常を正確に即時性をもって検知する安価なファン回転検知装置を提供する。
【解決手段】 電動モータ12に直結されて回転駆動されるファン13を含むファン・ユニット11に、ループ・アンテナ15を取り付ける。電動モータの漏れ磁束の変化が該アンテナで検出される。検出された検出信号の周波数がオシロスコープ16で測定される。該周波数を監視することにより、ファンの回転状態を知り、ファン・ユニットが設けられている装置内の冷却状態を把握する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン冷却を行っている装置のファンの回転状態を安価かつ容易に検知するファン回転検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナル・コンピュータ、計測器、コピー機等の電子機器のように、熱を発生する装置においては、この熱を装置外に逃がすファン冷却が行われている。しかし、このファン冷却を行う際に、ファンを駆動するモータ自体の寿命や、ファンに付着したゴミなどが原因で、ファンの回転数が低下し、或いは、ファンが停止してしまい、冷却異常が生じることがある。その結果、冷却不足によって冷却対象装置の温度が上昇して、装置の内部に搭載された電子部品が破壊され、或いは、その特性に影響が生じる可能性がある。従って、この温度上昇が生じた場合には、電子部品の破壊等を未然に防ぐために、回路の動作を停止させること等の対策が必要である。そこで、ファン冷却の異常を検知することが、従来から行われている。
【0003】
ファン冷却の異常を検知する方法には、直接的な検知法と間接的な検知法とがある。直接的な検知法としては、レーザー光を利用する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、ファンにレーザー光を照射し、例えば、レーザー光のファンのブレード間を透過するレーザー光を監視しており、ファンの回転数が検知されて、この回転数の変化により、ファン冷却の異常を検知する。また、間接的な方法としては、サーミスタ等の感温素子を利用する方法が知られている。この間接的方法では、冷却対象装置内に感温素子を配置しておき、感温素子で温度を監視している。そこで、この温度の上昇により、ファン冷却に異常があったことを検知する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−116218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーザー光を利用する方法においては、正確に直接ファンの回転数を検知することができるという長所があるが、レーザー光発生装置とレーザー光検知回路とを別途設置する必要があるため、高価になるという短所がある。
【0006】
また、感温素子を利用する間接的方法においては、感温素子自体は安価であり、小型であるため、設置スペースをそれ程必要としないという長所がある。しかし、装置内の分布温度に斑があることが多く、感温素子の設置場所によっては、測定誤差が大きくなるため、ファン冷却の異常を判定するための温度設定が困難であるという短所がある。さらに、ファン冷却に異常があっても、装置の内部回路が冷えている場合には異常を検知できないため、冷却異常の検知が即時性を欠くという短所がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、電動モータで駆動されるファンの回転数の低下や、ファンの停止といった異常を正確に即時性をもって検知できる安価なファン回転検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明のファン回転検知装置では、電動モータと、該電動モータによって回転駆動されるファンとを含み、電子機器に組み込まれたファン・ユニットと、前記電動モータの漏れ磁束を検出する検出手段と、前記検出手段から出力される検出信号に基づいて前記電動モータの回転周波数を測定する測定手段とを備え、前記測定された前記回転周波数から前記ファンの回転を検知するようにした。
【0009】
そして、前記測定手段は、前記検出信号から測定された前記回転周波数により取得された前記ファンの回転数に基づいて、前記ファン・ユニットのファン冷却状態を判断し、或いは、前記検出信号から測定された前記回転周波数の変化に基づいて、前記ファン・ユニットのファン冷却状態を判断することとした。
【0010】
また、前記検出手段は、ループ・アンテナであり、前記ループ・アンテナは、前記電動モータの回転軸と直交する前記ファン・ユニットの表面に配置され、さらに、前記ループ・アンテナは、1ターンのループ・アンテナであるとした。
【0011】
また、前記測定手段は、オシロスコープに備えられており、前記検出信号に係る信号波形と、前記測定された前記回転周波数とが、前記オシロスコープの表示画面に表示されるようにした。そして、前記ファン・ユニットは、前記オシロスコープの筐体に備えられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、電動モータの漏れ磁束をアンテナによる簡易な検出手段で検出でき、この検出信号に基づいて、ファンの回転状態を検知できるようにした。これにより、電動モータによって駆動されるファンの回転数の低下、ファン停止などの冷却異常を、正確に、即時性を持たせて、安価に検知することができる効果がある。
【0013】
更に、本発明のファン回転検知装置をオシロスコープに適用する場合には、オシロスコープが元々備えている周波数測定機能を利用することができ、オシロスコープに備えられたファン・ユニットに検出手段としてアンテナを設置するだけで、該オシロスコープの表示画面に検出信号の波形を表示し、さらには、測定された回転周波数を数値表示するようにしたので、視覚的に、且つ簡単に、ファン・ユニットの冷却状態を把握することができ、その冷却状態を安価な手法で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の回転検知装置の回転検知に関する原理を説明するブロック図である。
同図を参照して、本発明によるファン回転検知装置の基本的構成について説明する。
【0015】
図1に示されたファン・ユニット11は、電動モータ12、該モータで駆動されるファン13、及び電動モータ12を固定するフレームからなる。ファン・ユニット11の電動モータ12には、電源14が接続され、電圧V〔V〕が供給される。この電圧Vを変化させることにより、電動モータ12の回転数が制御される。図示されたファン・ユニット11では、電動モータ12とファン13とが直結されている場合を例示しているので、電動モータ12の回転数は、ファン13の回転数でもある。
【0016】
電動モータ12の漏れ磁束を検出するために、ループ・アンテナ14が、電動モータ12の回転軸と直交するファン・ユニット11のフレーム表面に設置される。更に、ループ・アンテナ15で検出した信号を測定するために、オシロスコープ16が用意され、ループ・アンテナ14がその入力端子に接続される。
【0017】
以下に、図1に基本的構成を示した本発明によるファン回転検知装置におけるファン回転数の検知原理を、図2に示した波形図を参照しながら説明する。図2(a)は、電動モータ12の漏れ磁束の変化を、図2(b)は、ループ・アンテナ15で検出された信号を、それぞれ、示している。同図においては、検知原理を分かり易く示すため、示された波形は、模式的に表されている。
【0018】
電動モータ12の漏れ磁束は、該モータの回転磁界に対応して変化するといえるので、その変化は、図2(a)に示されるように、周期的信号の波形で表される。この波形を示す磁束変化を、ループ・アンテナ15で検出する。この検出信号をオシロスコープ14で測定すると、図2(b)に示されるように、図2(a)に示された磁束変化に対応して、磁束の時間微分信号が用いられる。
【0019】
図2(b)に示したように、磁束変化の周期をTmとし、電動モータの1回転の周期をTnとする。漏れ磁束の信号とその時間微分信号とは、同じ周期Tmを有する。ここで、磁束変化の周波数Fは、F=1/Tmで表される。後に詳述するが、この検出信号の周波数Fが、電動モータの回転数(即ち、ファンの回転数)に比例することを利用して、ファンの回転数Nを検知する。
【0020】
尚、本発明で用いるループ・アンテナ15のループ部分の形状は、円であっても多角形であってもよい。また、装置の簡素化のため、検知出力が十分に得られる場合には、このループ・アンテナは、1ターンのループ・アンテナでもよい。
【0021】
また、電動モータ12の漏れ磁束を検出する検出手段には、ループ・アンテナ15に代えて、ホール素子等の感磁素子を用いることもでき、その場合は、漏れ磁束の時間微分信号ではなく、漏れ磁束による磁界強度に係る信号が検出される。漏れ磁束の時間微分信号と漏れ磁束による磁界強度の信号の周波数Fは、上述のように、F=1/Tmであるので、ファンの回転数Nを把握する上では、いずれの信号を用いてもよく、以下では、これらの検出手段で検出された信号を、検出信号と総称する。
【0022】
ここで、図1に示されたファン・ユニット11では、電動モータ12とファン13とは直結されているので、電動モータ12の回転数は、Nであり、電動モータ12の極数を、Mとすると、図2に示したように、電動モータ12が1回転する間に漏れ磁束は、M〔回〕変化を繰り返えすことになるので、電動モータ12の1回転の周期Tnは、
Tn=M・Tm …(1)
と表される。
【0023】
F=1/Tm、N=1/Tnの関係があることから、式(1)より、電動モータ12の回転数Nと、検出信号の周波数Fとの間には、
N=F/M …(2)
という比例関係が成立することが分かる。つまり、検出信号の周波数Fを測定すれば、式(2)から、電動モータ12の回転数Nを計算することができる。
【0024】
以上が、本発明によるファン回転検知装置におけるファンの回転数を検知する原理である。ただし、実際に市販されているファン・ユニット11の電動モータ12の極数Mを把握できない場合には、式(2)における、FとNとの比例定数1/Mは、実験により求めることになる。
【0025】
また、式(2)に従って、検出信号の周波数Fから、電動モータ12の回転数Nを計算することが、本発明の原理であると説明したが、必ずしも、直接的に検出信号の周波数Fを利用しなくてよい。
【0026】
例えば、パルス状の検出信号(図2参照)のパルス数を単純に計数し、このパルス数を冷却対象のプロセッサの割り込み機能で一定間隔毎に読み取ることにより、間接的に検出信号の周波数Fを利用することができる。一定間隔τの間に、パルス数Pが計数された場合、検出信号の周波数Fは、
F=P/τ …(3)
となる。
【0027】
式(3)を用いると、式(2)は、
N=P/τ/M
とされ、さらに、
N=P/(τ・M) …(4)
のように、変形されるので、電動モータ12の回転数Nは、検出信号のパルス数Pに比例していることがわかる。つまり、検出信号のパルス数Pを一定間隔τ毎に測定すれば、式(4)から、電動モータ12の回転数Nが計算できる。
【0028】
図3は、市販のファン・ユニットを使用して、電動モータの電源電圧を変化させた場合における、漏れ磁束に係る検出信号の周波数Fに関する実測例を示す表である。この表に、ファン13に直結された電動モータ12への印加電圧Vを変化させたとき、その変化に対する磁界変化の周期Tmとして、オシロスコープの表示画面上の読み取った値が示し、オシロスコープの周波数計測機能を使用して測定された周波数Fが示した。電動モータの回転数Nについては、以下の実験から得られた電動モータの極数Mに基づいて計算されたものである。
【0029】
このファン・ユニット11は、V=12〔V〕の電圧が印加された場合に、N=33.25〔Hz〕の回転数が得られることが、当該電動モータの仕様によって分かっている。そこで、図1に示した測定システムにおいて、ファン・ユニット11への印加電圧を、V=12〔V〕とし、そのときにアンテナ15で得られる検出信号をオシロスコープ16で観測し、検出信号の周期Tmを読み取り、或いは、周波数計測の結果から周波数Fを取得した。
【0030】
その結果、周波数Fとして、F=133〔Hz〕が得られたので、N=33.25、F=133を式(2)に代入することにより、電動モータの極数Mについて、M=4が得られた。これより、周波数Fと回転数Nとの比例定数1/Mは、1/M=1/4と決定され、周波数Fに基づいて回転数Nを計算できる。
【0031】
図3の表において、ファンへの印加電圧V〔V〕の各値に対するオシロスコープ16における読み取り値Tm、或いは、周波数Fは、実験値であり、回転数Nは、これらの値に従った式(2)による計算値である。
【0032】
以上のようにして、アンテナによって検出された漏れ磁束の変化を示す検出信号に基づいて、ファンの回転数を知ることができ、この回転数に従って、ファン・ユニットの冷却状態を把握することができる。例えば、検出された回転数が、規定の回転数に満たないときには、何らかの原因により、ファン冷却機能が低下していると判断できる。
【0033】
尚、原理の説明を分かり易くするために、図2に示したように、電動モータの漏れ磁束の変化理想的状態である矩形波形を用いて説明したが、実際の漏れ磁束の信号波形は、図2(a)に示されるような理想的な波形とは異なり、歪んだものとなっている。そのため、上述したような回転検知の原理通りに、正確な周波数を測定することができない場合もあり得る。
【0034】
しかしながら、図3に示した測定例に見られるように、オシロスコープに備えられた周波数測定機能によれば、アンテナで検出された検出信号から、電動モータに関わる磁束変化の周波数Fを測定でき、また、表示画面に表示された電動モータに関わる磁束変化の周期Tmを読み取ることができる。ここで取得できる周波数Fや周期Tmは、ファン・ユニットにおけるファンの回転数に関連していることが示されている。
【0035】
そこで、ファンの回転数自体を正確に測定できない場合であっても、また、ファンの回転数自体を知らなくても、測定された周波数Fの変化、或いは、読み取れた周期Tmの変化だけを監視するようにして、ファン・ユニットにおけるファンの回転状態を把握することができる。例えば、オシロスコープの表示画面に表示された周波数Fが、所定値より少なくなっている、或いは、表示された検出信号の波形における周期Tmが、所定幅より長くなっていることを測定できれば、ファン・ユニットのファンの回転が遅くなっていると判断できる。
【0036】
以上のように、ファン回転検知装置によって、ファン・ユニットにおけるファンの回転状態を判断できる。そこで、回転状態が低下したと判断できたときには、ファン・ユニットを掃除する、ファン・ユニット自体を交換する、或いは、電動モータへの供給電圧を高くする等の対策を採ることができ、ファン・ユニットにおける冷却能力の低下、つまり、電子機器内の冷却の低下を防止できる。
【0037】
図4は、上述した本発明のファン回転検知装置の適用例を示す図である。
図4の適用例においては、電子機器に備えられたファン・ユニットのファンの回転が所定状態を保持するように制御されて、ファン・ユニットによるファン冷却能力の低下が防止される。尚、図4に示したブロック図において、図1に示したファン回転検知装置と同一の構成要素には、同一の符号を付してある。
【0038】
図4に示した適用例では、冷却対象である、例えば、オシロスコープ等の電子機器の装置筐体に備えられたファン・ユニットにおけるファンの回転数を所定値に保つ制御を実行して、ファン冷却能力を保持するために、本発明のファン回転検知装置を用いている。そこで、この適用例では、電動モータ12の回転数を検知し、その検知結果に応じて、電動モータ12に供給する電圧を制御している。
【0039】
ここで、この適用例における電動モータ12としては、図3の表に示されるような回転特性を有する電動モータを使用するものとする。この表からも分かるように、電動モータ12に電源から供給される電圧の大きさに応じて、電動モータに関する漏れ磁束に係る周波数が変化している。つまり、この周波数の変化に応じてファンの回転数が変化していることが分かる。
【0040】
そこで、ファン回転検知装置を用いることによって、ファン・ユニットのファン回転状態を把握するため、電動モータの漏れ磁束変化を示す検出信号に基づいて計測された周波数を監視するようにする。そして、この周波数の変化により、ファン・ユニットのファン回転状態の低下、すなわち、ファン冷却能力の低下を判断し、電動モータの駆動電圧を制御する。もちろん、計測された周波数の変化に応じて、電動モータの回転数を一定に保持する制御も可能である。
【0041】
図4に示した適用例では、図1に示したファン回転検知装置と同様の構成が用いられている。適用例でも、ファン・ユニット11における電動モータ12の漏れ磁束は、ループ・アンテナ15で検出され、得られた検出信号が測定手段41に入力される。
【0042】
ループ・アンテナ15から得られた検出信号は、測定手段41に入力され、周波数が、該手段において測定される。この検出信号は、微弱な信号であり、且つ歪んだ波形を有しているので、測定手段41としては、この検出信号を増幅するアンプや、歪んだ波形をパルス状波形に整形するコンパレータなどの機能を備えている必要がある。そこで、測定手段41としては、この様な機能を備えた汎用の周波数カウンタICを用いることができる。また、オシロスコープ等では、元々、周波数測定機能を備えているので、測定手段41として、この周波数測定機能をそのまま利用することができる。
【0043】
測定手段41は、ループ・アンテナ15からの検出信号に基づいて、周波数Fを測定する。ここで、図4に示した適用例のように、測定手段41がデジタル信号を出力する場合には、デジタル−アナログ(D/A)コンバータ42を接続して、測定手段41の出力信号をアナログ信号に変換する。なお、測定手段41がアナログ信号を出力するタイプの場合には、このD/Aコンバータ42は、不要となる。
【0044】
測定された周波数を監視するために、測定手段41又はD/Aコンバータ42の後段にコンパレータ43が接続されている。このコンパレータ43の基準端子には、ユーザが望む電動モータ12の回転数に応じた所定値が予め入力設定される。コンパレータ43の他方の入力端子には、測定周波数に係るアナログ信号が入力される。
【0045】
ここで、コンパレータ43に入力されたアナログ信号のレベルが、ユーザ設定又は初期設定による所定値を下回った場合には、図4には示されていない電源14から電動モータ12に供給される駆動電圧Vを上げる制御を行う。このとき、測定手段41として、オシロスコープの周波数測定機能を利用している場合には、オシロスコープの表示画面に、アンテナ15によって検出した検出信号の波形を表示できるので、ユーザは、測定周波数の周期が所定値に対応する周期Tmより長くなっていることを観測できる。つまり、ユーザは、ファン・ユニットの冷却能力が低下したことを視覚的に認識できる。なお、この測定周波数が所定値に対応する所定周波数より低下したとき、オシロスコープの表示画面に、ファン冷却能力が低下していることのメッセージ、或いは、警告マークを表示することもできる。
【0046】
また、以上とは逆に、コンパレータ43に入力されたアナログ信号のレベルが、ユーザ設定又は初期設定された所定値を超えた場合には、電源14から電動モータ12に供給される駆動電圧Vを下げるように、電源14を制御する。なお、電源14の制御には、測定手段を制御するプロセッサを利用することができる。
【0047】
ところで、コスト、空間利用性、美観などの観点から、測定手段を構成する汎用の周波数カウンタIC等は、冷却対象の装置に内蔵されていることが望ましい。特に、冷却対象がオシロスコープやパーソナル・コンピュータ等の電子機器である場合には、これらの機器に測定手段を備え、アンテナからの検出信号の波形、測定周波数の値を、各機器に備えられている表示画面に表示することができる。
【0048】
更に、冷却対象がオシロスコープやパーソナル・コンピュータ等の電子機器である場合には、冷却装置であるファン・ユニットは、冷却対象電子機器の筐体に備えられたものであり、アンテナが、該ファン・ユニットに取り付けられる。
【0049】
以上のように、本発明のファン回転検知装置を用いると、図4に示したように、アンテナで電動モータの漏れ磁束を検出し、この検出信号から漏れ磁束の変化の周期を表す周波数を測定することができ、この周波数を監視することにより、電動モータの回転、或いは、ファンの回転、即ち、ファン冷却状態を把握することができる。そして、この測定周波数に基づいたファン駆動電圧を制御でき、ファン冷却を定常状態に保つことができる。例えば、ファンの回転窓が塞がれた、ファンに塵が堆積したなど、何らかの原因で、電動モータの回転が定常状態から逸脱して、ファンの回転数の低下や停止が生じた場合に、それらの異常を即時に検知することができる。また、電動モータの漏れ磁束を検出する検出手段には、例えば、1ターンのループ・アンテナを利用することができるので、安価なファン回転検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のファン回転検知装置の回転検知に関する原理を説明するブロック図である。
【図2】電動モータの漏れ磁束の変化とその検出信号を模式的波形で説明する図である。
【図3】オシロスコープによる測定例による検出信号の周波数とモータの回転数との関係を示す表である。
【図4】ファン冷却用の電動モータに係る制御システムに本発明のファン回転検知装置を適用した例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
11 ファン・ユニット
12 電動モータ
13 ファン
14 電源
15 ループ・アンテナ
16 オシロスコープ
41 測定手段
42 D/Aコンバータ
43 コンパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、該電動モータによって回転駆動されるファンとを含み、電子機器に組み込まれたファン・ユニットと、
前記電動モータの漏れ磁束を検出する検出手段と、
前記検出手段から出力される検出信号に基づいて前記電動モータの回転周波数を測定する測定手段と、を有し、
前記測定された前記回転周波数から前記ファンの回転を検知するファン回転検知装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記検出信号から測定された前記回転周波数により取得された前記ファンの回転数に基づいて、前記ファン・ユニットのファン冷却状態を判断することを特徴とする請求項1に記載のファン回転検知装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記検出信号から測定された前記回転周波数の変化に基づいて、前記ファン・ユニットのファン冷却状態を判断することを特徴とする請求項1に記載のファン回転検知装置。
【請求項4】
前記検出手段は、ループ・アンテナであり、前記ループ・アンテナは、前記電動モータの回転軸と直交する前記ファン・ユニットの表面に配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のファン回転検知装置。
【請求項5】
前記ループ・アンテナは、1ターンのループ・アンテナであることを特徴とする請求項4に記載のファン回転検知装置。
【請求項6】
前記測定手段は、オシロスコープに備えられており、
前記検出信号に係る信号波形と、前記測定された前記回転周波数とが、前記オシロスコープの表示画面に表示されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のファン回転検知装置。
【請求項7】
前記ファン・ユニットは、前記オシロスコープの筐体に備えられていることを特徴とする請求項6に記載のファン回転検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−226694(P2006−226694A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37256(P2005−37256)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】