説明

ファン

【課題】光をファンに照射する面積を増やす位置に発光ダイオードを配置することによって、全体的に光沢があるファンを提供することにある。
【解決手段】円筒形の枠12と、前記円筒形枠に連接されるベース部14と、前記ベース部の中央に設ける中心柱144とを備える枠フレーム10と、前記中心柱に挿入され、前記ベース部の上に設けられる回路基板20と、前記枠フレームの内部に設けられ、中空ハブ32と前記中空ハブの外周面に設けられる複数のファンブレード38とを備えるローター30と、を備えるファン100において、前記回路基板上には、上部に斜面が形成されている少なくとも一つの突出部材402が設けられ、前記斜面の上には、前記回路基板の表面と傾斜される発光ダイオード40が装着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファンに関し、特に発光ダイオードが装着されているファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子産業の発展に伴って、コンピュータなどの電子装置に用いるCPU(中央処理装置)やチップ等の電子部品の処理速度が、ますます高速になっている。CPUやチップなど処理速度が高速になればなるほど、コンピュータによって消費されるエネルギーが増加し、且つ大量の熱量を発生する。電子部品から発生する熱量を効果的に放熱させないと、コンピュータの作動に影響を与えて、コンピュータの作動が不安定に陥る。よって、比較的に大量の熱量を発生するCPUに放熱装置を設けて、CPUの放熱を促進させる必要がある。前記放熱装置は、主にファン及びヒートシンクからなり、ファンはヒートシンク上に設けられ、ヒートシンクはCPU上に設けられる。CPUから発生した熱量の一部分はヒートシンクによって放熱され、熱の他の部分はファンの回転によって放熱される。前記ファンがヒートシンクへ送風し、ヒートシンクがCPUから発生した熱量を放熱させるようにする。
【0003】
従来、コンピュータのファンは、完全に不透明なケースに囲まれているので、ケースの外部から内部のファンを全く見ることができなかった。そこで、従来のコンピュータは、ただ実用性だけを追求していることをわかる。
【0004】
しかし、近頃、コンピュータに透明なカバーを装着することが流行している。すると、コンピュータの内部から発生する光を見ることができるので、美しい効果を得ることができる。このような照明の効果は、発光ダイオード(LED)を採用して実現するものである。LEDの基本的な構造は、電子で発光する半導体モジュールである。前記LEDはエポキシ樹脂にカプセル化され、エポキシ樹脂に支持される二つの端子を備える。これらの端子は、それぞれに対応する陽極と陰極とに電気的に接続される。LEDは、体積が小さい、消耗が少ない、反応スピードが速い、効率が高い、様々な発光色があるおよび寿命が長いという特徴を有している。LEDは、ファン、電源、及びグラフィックカードなどのコンピュータ部品に設けることができる。
【0005】
特許文献1で、発光ダイオードを装着させたファンが公開された。このファンは、方形の枠を備え、この枠の外側に孔が設けられている。前記孔の中には様々な発光色の発光ダイオードが装着されている。
【0006】
しかし、このような形状のファンにおいて、前記枠に発光ダイオードを装着する孔があるために、前記枠に孔を設ける必要がある。これは、ファンの製造工程が複雑になるばかりでなく、ファンの製造する金型の構造も複雑になる。又、発光ダイオードが枠の側面に設けられているので、光が外部へ発散し、ファンに照射する面積が小さくなる。
【特許文献1】中国特許第2641353Y号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の問題点に鑑み、成型の工程を減らし、また照射する面積を増大する発光ダイオードを持つファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
円筒形の枠と、前記円筒形枠に連接されるベース部と、前記ベース部の中央に設ける中心柱とを備える枠フレームと、前記中心柱に挿入され、前記ベース部の上に設けられる回路基板と、前記枠フレームの内部に設けられ、中空ハブと前記中空ハブの外周面に設けられる複数のファンブレードとを備えるローターと、を含むファンにおいて、前記回路基板上には、上部に斜面が形成されている少なくとも一つの突出部材が設けられ、前記斜面の上には、前記回路基板の表面と傾斜される発光ダイオードが装着されている。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、前記ファンの回路基板に斜面を有する突出部材を設け、前記発光ダイオードを前記斜面に装着して、前記発光ダイオードの突出方向が前記回路基板の平面に対して傾斜されるようにする。すると、前記発光ダイオードの光が前記ファンのローターに照射する面積が増加する。又、前記枠フレームに孔を設ける必要がないから、複雑な工程を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る具体実施例の構成を詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例のファン100である。このファン100は、枠フレーム10と、回路基板20と、ローター30とを備える。回路基板20とローター30とは、枠フレーム10の内部に設けられている。
【0012】
図1と図2を参照すると、枠フレーム10は、円筒部12を有する。円筒部12は相対する二つの開口端を備え、一方の開口端には間隔を置く三つのリブ122が設けられている。いずれか一つのリブ122の一面には、配線(図示せず)を収容する収容溝120が設けられ、収容溝120の一側には、配線を係合するため係合部126が設けられている。円筒部12の他方の開口端には、ファン100をヒートシンク(図示せず)に装着するための結合部124が間隔を空けて配置されている。円筒部12には蛍光粉末が塗布されている。枠フレーム10は、リブ122が連結している円盤状のベース部14をさらに有する。ベース部14は壁面部140を備え、壁面部140には間隔を空けて配置された三つの凹所142が設けられている。ベース部14の中心部には、回路基板の方向へ伸びる中心柱144が設けられ、ベース部14の壁面部140に近接する位置には配線が通るように切欠口146が設けられている。
【0013】
回路基板20は、円盤状である。回路基板20の中心部には、枠フレーム10の中心柱144に挿入される円形孔200が設けられている。円形孔200の外周面には、ステーター(図示せず)を設けられ、回路基板20の周縁には、同一平面上に中心部から放射状に延伸され、且つ一定の間隔を空けて配置された三つの張出部202が設けられている。張出部202は、枠フレーム10の凹所142に対応し、張出部202ごとに突出部材402が突設されている。突出部材402は斜面を有し、発光ダイオード40は前記斜面の上に装着される。発光ダイオード40の突出する方向が回路基板20の中心線に関して全て同じであり、発光ダイオード40の突出方向が回路基板20に対して傾いている。発光ダイオード40を直接的にダイオードソケット42に装着することも可能である。発光ダイオード40は、プラス端子とマイナス端子とを備え、このプラス端子とマイナス端子とは、ダイオードソケット42と突出部材402とを通じて回路基板20と電気的に接続する。
【0014】
突出部材402に回路基板20と電気的に接続する導電部品(図示せず)を設けることも可能である。それによって、発光ダイオード40のプラス端子とマイナス端子とをダイオードソケット42と突出部材402とに接続させる際、突出部材402の導電部品を通じて回路基板20と電気的に接続することができる。突出部材402で、回路基板20に向かう一端には、位置決め素子206が設けられ、回路基板20には位置決め素子206に対応する位置決め孔26が設けられている。
【0015】
ローター30は中空ハブ32を備える。中空ハブ32の外周面には複数のファンブレード38が形成され、中空ハブ32の内部には、永久磁石34と、ステーターと中心柱144とに連結される回転軸36とを備える。ローター30は、枠フレーム10の円形枠12の内側に装着され、中空ハブ32は、ステーターの外側に位置する。
【0016】
さらに図3を参照すると、本発明のファンを組み立てる際、まず発光ダイオード40をダイオードソケット42に装着させる。次に、発光ダイオード40が装着されたダイオードソケット42を突出部材402が有する斜面に略垂直な状態で装着させる。次に、突出部材402に設けられる位置決め素子206を回路基板20の位置決め孔26に挿入し、溶接を実施する。次に、回路基板20の円形孔200に枠フレーム10の中心柱144を挿入して、回路基板20が枠フレーム10のベース部の上に配置されるようにする。同時に、回路基板20の張出部202を枠フレーム10の凹所142に装着して、発光ダイオード40がローター30の中空ハブ32の外側に配置されるようにする。最後に、ローター30の回転軸36を枠フレーム10の中心柱144に挿入して、ローター30が枠フレーム10の枠12の内側に配置されるようにする。
【0017】
本発明のファン100を使用する際、このファン100を、透明なカバーを備え、放熱の必要があるコンピュータの所定の位置に配置する。例えば、CPUの上方向等の位置に装着させる。電源と電気的に接続すると、ステーターとローター30とに設けられた永久磁石34の作用によって、ローター30と内部の回転軸36とが回転する。ローター30が回転すると、放熱に必要となる気流の対流が発生するので、CPUを冷却する効果及び放熱する効果を得ることができる。且つ、発光ダイオード40の光は、それぞれ枠フレーム10とローター30とから外部へ漏れる。
【0018】
上述したように、本発明はファン100の回路基板20に発光ダイオード40が設けられているため、枠フレーム10に孔を設ける必要がなく、更に、この枠フレーム10を製造するための金型の構造を簡単にすることができる。又、発光ダイオード40がローター30の外側に置かれているから、ローター30が回転する際にローター30全体に光を照射することができる。即ち、発光ダイオード40がローター30に光を照射する面積を増加することが可能となる。また、ローター30に照射した光がファンの円筒部12へ反射されると、円筒部12に塗布された蛍光粉末が発光するので、ファン100がより美しくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態に係るファンを示す分解斜視図である。
【図2】図1に示すファンの倒置した状態の分解斜視図である。
【図3】図2に示すファンの組み立て図である。
【符号の説明】
【0020】
10 枠フレーム
12 枠
14 ベース部
20 回路基板
26 位置決め孔
30 ローター
32 中空ハブ
34 永久磁石
36 回転軸
38 ファンブレード
40 発光ダイオード
42 ダイオードソケット
100 ファン
120 収容溝
122 リブ
124 結合部
126 係合部
140 壁面部
142 凹所
144 中心柱
146 切欠口
200 円形孔
202 張出部
206 位置決め素子
402 突出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の枠と、前記円筒形枠に連接されるベース部と、前記ベース部の中央に設ける中心柱とを備える枠フレームと、
前記中心柱に挿入され、前記ベース部の上に設けられる回路基板と、
前記枠フレームの内部に設けられ、中空ハブと前記中空ハブの外周面に設けられる複数のファンブレードとを有するローターと、備えるファンにおいて、
前記回路基板上には、斜面が形成されている少なくとも一つの突出部材が設けられ、
前記斜面上には、前記回路基板の表面に対して傾斜して発光ダイオードが装着されていることを特徴とするファン。
【請求項2】
前記発光ダイオードは、前記ローターの中空ハブの外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記回路基板には、平面に沿って外へ延伸される複数の張出部が設けられ、前記突出部材は前記張出部の上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項4】
前記回路基板には、平面に沿って外へ延伸される三つの張出部が設けられ、張出部ごとに前記発光ダイオードが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項5】
前記枠フレームのベース部には、円筒状の壁面部が設けられ、前記壁面部には、前記張出部と対応する凹所が設けられ、前記張出部が前記凹所の外部に配置されることを特徴とする請求項3に記載のファン。
【請求項6】
前記発光ダイオードは、同じ方向に沿って、前記突出部材に装着されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のファン。
【請求項7】
前記突出部材にダイオードソケットを設け、前記発光ダイオードは、前記斜面に略垂直となるよう前記ダイオードソケットに装着されていることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項8】
前記突出部材の回路基板に向かう一端に、回路基板に挿入することでき、且つ回路基板に溶接される位置決め素子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項9】
前記枠フレームの円筒形枠に、二つの開口端が設けられ、いずれか一つの開口端には前記枠フレームのベース部と連接するリブが間隔に設けられ、他の一つの開口端には前記ファンをヒートシンクに結合する結合部が設けられることを特徴とする請求項1に記載のファン。
【請求項10】
枠フレームの上には、蛍光粉末を塗布されていることを特徴とする請求項1に記載のファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−291700(P2008−291700A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136722(P2007−136722)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】